JPH0758367A - 超電導素子 - Google Patents

超電導素子

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JPH0758367A
JPH0758367A JP5206145A JP20614593A JPH0758367A JP H0758367 A JPH0758367 A JP H0758367A JP 5206145 A JP5206145 A JP 5206145A JP 20614593 A JP20614593 A JP 20614593A JP H0758367 A JPH0758367 A JP H0758367A
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JP
Japan
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superconducting
semiconductor
electrode
electron
incident
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JP5206145A
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English (en)
Inventor
Mutsuko Hatano
睦子 波多野
Kazuo Saito
和夫 齊藤
Mitsuo Suga
三雄 須賀
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】Si半導体2上に平面波の電子波を入射するた
めの入射電極3と常伝導電極18を対向して設け、その
間に超電導電極4と5を半導体2中の電子波の進行方向
と直交するように対向させ、超電導電極4と5に囲まれ
た半導体上にゲート絶縁膜を介してゲート電極6を設け
た構造を有する。電子導波路13の幅Wをゲート電極6
に印加する電圧によって変化させ、通過する電子波のモ
ード数を連続的に変調する。 【効果】本発明によれば、高速で消費電力が小さい超電
導素子を提供することができる。さらに一つの素子の寸
法が微細である上に少数の素子で演算ができるため、高
集積化を実現することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、機能性を有して高集積
化が可能で、高速かつ低消費電力で動作する超電導素子
に関する。
【0002】
【従来の技術】電子波の干渉を用いた代表的な量子効果
素子には、ダッタ(S.Datta)らによってフィジカル レ
ビュー レター,(Phys.Rev.Let.)55巻2344ペー
ジ(1985年)に論じられているものがある。この素子は
GaAsからなる電子導波路の間に島状のAlGaAs
を設けることにより電子導波路を二つに分岐し、それぞ
れの電子導波路を伝搬する電子波の干渉を検出するもの
である。
【0003】また超電導体を用いた量子効果素子には、
特開平1−49830号公報に開示されているものがある。こ
の素子は、図11に示したような半導体2上に電子波の
入射電極3と超電導電極1を対向して設けた構成を基本
とする。入射電極3から半導体中に拡がる電子波は超電
導電極1と半導体2の境界でアンドレエフ反射を受け、
凹面境に反射される光のように跳ね返り、もと来た経路
を戻って入射電極に収束する。これに図11に示したよ
うに、入射電極3と超電導電極1の間の半導体上にゲー
ト電極4を設けると、ゲート電圧の変化によって、ゲー
ト電極付近の半導体中のキャリア濃度が変わる。これに
より、超電導近接効果により超電導電極1から半導体2
中に浸透する超電導ペアポテンシャルの領域の大きさが
変化するため、電子波がアンドレエフ反射する位置が移
動し経路差を変えることができる。従って、電子波の重
ね合わせの結果生じる干渉を制御することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の半導体を用
いた量子効果素子では、二分された電子導波路の幅、あ
るいは長さや不純物濃度を同一に構成することができ
ず、電子導波路中の電子波の位相にばらつきが生じる問
題があった。また電子導波路の壁に対応するGaAsとA
lGaAsの境界面の粗さによる弾性散乱の影響が大き
く、干渉性を高めることが困難であった。さらに二つの
電子導波路が合流する際に電子波間の散乱が起こるため
電子波の収束方法に工夫が必要であった。
【0005】また従来の超電導体を用いた量子効果素子
の電子波は、電子波の空間的な広がりを抑制して干渉性
を高める必要があった。
【0006】本発明の第一の目的は、電子波をコリメー
トして電子波のモード数を限定し、さらにモード数を0
からnまで連続的に変化させることができる超電導素子
を提供することにある。
【0007】本発明の第二の目的は、電子波の干渉性を
高め、一つの素子の簡単な構成で高速,低消費電力で動
作する超電導素子を提供することにある。
【0008】本発明の第三の目的は、電子波の伝搬方向
を電界あるいは電流で制御し、高速,低消費電力で動作
する超電導素子を提供することにある。
【0009】本発明の第四の目的は、並列演算処理が可
能な高速,低消費電力で動作する乗算器を提供すること
にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】第一の目的は、半導体を
電子波の導体とし、前記半導体中を走行する電子波の進
行方向に平行に二つの超電導体と該半導体の境界面を備
えた電子導波路で構成することにより達成される。さら
に、二つの超電導体と半導体の境界面で囲まれた導波路
の幅は、前記半導体上に絶縁膜を介して設けられたゲー
ト電極に印加する電圧により変化させることができ、そ
の結果として電子波のモード数を0からnまで連続的に
変化させることができる。
【0011】第二の目的は、半導体からなる導体中に島
状の超電導体を設けることにより半導体中を走行する電
子波の電子導波路を二つに分岐する構造を備え、それぞ
れの該電子導波路は超電導電極と半導体の二つの境界で
構成されおり、それぞれの電子導波路を伝搬する電子波
の間に位相差を与えるための手段と二つの該電子導波路
を合流する機能を持つ超電導素子により達成される。
【0012】第三の目的は、半導体上に前記半導体中へ
電子波を供給する超電導体または常伝導体からなる複数
の入射電極と複数の超電導電極を対向して設け、前記入
射電極と超電導電極の間に電子波の進行方向に直角に複
数の超電導体と半導体を交互に周期的に配置した超格子
からなる周期的にポテンシャルが変化する回折格子を備
え、前記回折格子に印加する電圧で電子波の進行方向を
変調することにより容易に達成される。
【0013】第四の目的は、半導体上に前記該半導体中
へ電子波を供給する複数の入射電極と超電導電極を対向
して設け、入射電極と超電導電極間の半導体上に前記半
導体中の電子波の位相を制御する手段を一つの入射電極
に対して複数個含んでおり、入射電極から入射した電子
波の電子導波路を超電導電極で囲むことにより容易に達
成される。
【0014】
【作用】超電導体と半導体の境界面では、超電導近接効
果とアンドレエフ反射と呼ばれる特殊な量子現象が生じ
るため、半導体中の電子波は境界面の粗さに起因する弾
性散乱を受けにくい。これは半導体と超電導体の実効的
な境界面が超電導近接効果によって決定されるからであ
る。
【0015】図12に示した超電導体と半導体の境界近
傍のエネルギダイアグラムを用いて、超電導近接効果と
アンドレエフ反射を説明する。超電導体と半導体を接触
させた場合、超電導体側から半導体側へ超電導電子対が
浸透し、逆に半導体から超電導体側へ準粒子が浸透す
る。この結果、超電導体内では電子対密度が低下し、半
導体側では電子対が存在するようになる。これが超電導
近接効果である。図中では、超電導性の空間変化をペア
ポテンシャル△で表わしている。ペアポテンシャルは超
電導電子対の確率振幅と電子間の相互作用ポテンシャル
の積であり、いわば超電導性の指標である。ペアポテン
シャルの半導体中へのしみ出しの範囲は、半導体中のコ
ヒーレンス長に対応し、この長さは半導体中のキャリア
濃度の3分の1乗に比例して変化する。
【0016】また境界では、半導体中の電子が超電導電
子対へ変換する過程に生じるアンドレエフ反射が起る。
この反射については、1964年にソビエト フィジッ
クスジェーイーテイーピー(Sov.Phys.JETP)19巻,1
228ページに記載されている。アンドレエフ反射は量
子力学的には位相共役反射である。フェルミ準位に対応
するエネルギを基準とした半導体側から超電導体へ入射
する電子の励起エネルギが超電導体のペアポテンシャル
よりも小さい場合には、超電導体中に励起エネルギに対
応する状態が無いため、一つの電子では境界から超電導
体中に入ることができない。しかし入射電子が、逆向き
の運動量とスピンを有する別の電子とボーズ凝縮すれ
ば、超電導電子対として超電導体中に入っていくことが
できる。これに伴って、入射電子とは逆向きの運動量を
持った正孔が、入射電子と同じ経路を通って半導体中を
戻ってくる。
【0017】図13に本発明の作用を表す電子導波路の
構成を示す。図13において、1と5は超電導電極、2
は半導体、3は入射電極である。電子導波路13の導体
は半導体2からなり、導波路の壁は超電導電極1、5と
半導体2の境界面で構成されている。超電導電極のギャ
ップエネルギより低いエネルギを有する電子波が入射電
極3から半導体2中にある入射角で入射されると、超電
導電極1と半導体2の境界面、超電導電極5と半導体2
の境界面でアンドレエフ反射を受けて入射電極3に戻
る。すなわち、超電導電極1あるいは5に衝突しない電
子のみが、電子導波路中を通過することができる。従っ
て電子波のモード数が限定され、空間的な拡がりが少な
いコリメートした電子波をとりだすことができる。
【0018】さらに、電子波がその波長と同程度の幅の
電子導波路13を通過する場合に、その導波路のコンダ
クタンスは量子化され、e2/πhの整数倍をとる。これ
は量子コンダクタンスに対応する。すなわち、電子導波
路13の幅の増大とともに、通過できる電子のモード数
が増加する。図13の電子導波路では、超電導近接効果
により超電導電極1と5それぞれから半導体2側にペア
ポテンシャルがしみだす。電界を印加することにより半
導体中のキャリア濃度を変化させると、半導体中のコヒ
ーレンス長は半導体中のキャリア濃度の3分の1乗に比
例して変化するので、実効的な電子導波路の幅が変化す
る。このため電界印加により量子細線を実現することが
でき、さらには電子のモード数を制御することができ
る。この時の電子導波路13のコンダクタンスは階段状
に変化し、そのステップの大きさは量子コンダクタンス
の最小単位である。
【0019】電子導波路を二つ用いることにより、電子
波の干渉を生じさせることができる。この場合電子波が
コリメートされており、超電導体半導体の境界面におけ
る粗さによる弾性散乱も抑制されるため、電子波の干渉
性を高めることができる。
【0020】一方、図14に示したように超電導体と半
導体を交互に配置して超格子を構成すると、超格子に対
して平行方向に進行する電子波が回折する。これは電子
波の進行方向に直交した方向のペアポテンシャルが周期
的に変化するからである。ペアポテンシャルの変調度P
は、各超電導体と半導体中のペアポテンシャルの高さの
変化と格子のピッチ(図14中のCとDで示した幅)で
決定される。この変調度Pにより電子波の回折率が変化
する。ポテンシャルの変調度Pと最大回折率の関係を図
15に示す。この回折現象を電界により制御することに
より、超電導素子を実現することができる。ポテンシャ
ルの変調度Pは上記した超電導近接効果により変化させ
ることができる。すなわち、超電導体で挾まれた半導体
中のペアポテンシャルの大きさを半導体中のキャリア濃
度を変化させることにより変えることができる。従っ
て、電界によって回折率を変調する素子を実現すること
ができる。
【0021】並列処理が行える乗算器は、複数の入力信
号を入力するための複数の入射電極と、それぞれの入力
信号に対応して2回の重み付けWaiとWbiを行うゲート
電極から構成されている。それぞれの入力信号に乗算
は、超電導電極と半導体の境界面で囲まれた電子導波路
内で行われるため、並列処理が可能となる。さらに超電
導トランジスタを結合させることにより、これをしきい
部として用い、予め定められたしきい値と比較して、比
較結果をもとに出力信号を電圧として出力することがで
きる。またしきい値特性は微分可能であるため、ニュー
ロン素子の学習法として使われるバックプロパゲーショ
ン法が使用でき、この結果として重みを制御することが
可能となる。さらにしきい値を外部からの電圧で簡単に
変化させることができる。
【0022】以上に示した超電導素子は超電導電極のギ
ャップエネルギに対応した数ミリボルトの電圧で動作す
るため、低消費電力化を図ることができる。また、電子
波の干渉の制御を用いた素子であるため、高速動作が可
能となる。さらに従来の素子ではできなかった回路やシ
ステムの機能を、1素子の簡単な構成で実現することが
できる。
【0023】以上示した反射現象を効率良く制御するた
めには、入射電極に工夫を要する。電子波入射時のキャ
リアの散乱を抑えるために、半導体上に半径が半導体中
のキャリアの平均自由行程の10倍以下の微小な接合を
介して入射電極3を設ける必要がある。また半導体中を
電子波が走行する距離は、半導体中のキャリアの平均自
由行程の10倍以下に選択されるのが望ましい。従っ
て、超電導素子は微細な寸法で構成されるため、高集積
化を図ることができる。
【0024】超電導材料は高温でも動作させるために、
高い超電導転移温度を有する酸化物超電導材料であるこ
とが望ましい。n型の導電性を有する超電導材料、(N
d,Ce)2CuO4なる組成の超電導体を用いるとよい
が、これに加え、上記組成のNdの部分をPr,Pm,
Sm,Eu,Gd,Erの群より選ばれた少なくとも一
つの元素によって置き換えたもの、あるいはCeの部分
をTh,Tl,Pb,Biの群より選ばれた少なくとも
一つの元素によって置き換えたものであってもよい。p
型の導電性を有する超電導材料であるY系の酸化物超電
導体を用いるとよいが、これに換えてLa系の酸化物超
電導体,Bi系の酸化物超電導体,Tl系の酸化物超電
導体を用いても本発明の目的を達成することができる。
【0025】また金属系の超電導材料、具体的にはN
b,Pb、あるいはPb合金,Nb金属化合物を用いて
も良い。
【0026】半導体の材料としてはSiを用いるとよい
が、これに換えてGe,GaAs,InSb,InA
s,InPを用いても本発明の目的を達成することがで
きる。また、酸化物超電導体と組成比が異なるが類似の
結晶構造から成り半導体的な性質を有する材料を用いて
も同様の効果を得ることができる。
【0027】
【実施例】図1は、本発明の第一の実施例である超電導
素子の平面構造を表す。この素子は、Si半導体2上に
平面波の電子波を入射するためのNbからなる入射電極
3と常伝導電極18を対向して設け、その間に超電導電
極4と5を半導体2中の電子波の進行方向と直交するよ
うに対向させて設け、超電導電極4と5に囲まれた半導
体上にゲート絶縁膜を介して多結晶Siからなるゲート
電極6を設けた構造を有する。
【0028】入射電極3と常伝導電極18の間の距離は
半導体2の平均自由行程より短い。このため電子導波路
はバリステック伝導状態になっている。超電導電極4と
半導体2の境界面と超電導電極5と半導体2の境界面で
囲まれた半導体2の領域は幅Wの電子導波路13を構成
している。超電導電極のギャップエネルギ以下のエネル
ギで入射電極3から半導体2中に一定の入射角で入射さ
れた電子波は、超電導電極4あるいは5と半導体2の境
界面でアンドレエフ反射を受けて入射電極3に戻る。す
なわち、超電導電極4あるいは5に衝突しない電子のみ
が、電子導波路中を通過することができる。従って電子
波の空間的な拡がりが少ないコリメートした電子波が常
伝導電極18に向かって進行する。このため電子波の位
相の空間的な分布を抑制することができる。また超電導
電極4あるいは5と半導体2の境界面では超電導近接効
果により実効的な境界面が平坦化される。これにより、
半導体中の電子波は界面の粗さなどの弾性散乱を受けに
くい。
【0029】さらに、電子導波路13の幅Wをゲート電
極6に印加する電圧によって変化させることができる。
超電導近接効果により超電導電極4と5それぞれから半
導体2側の電子導波路13中にペアポテンシャルがしみ
だす。ゲート電極6に印加する電圧を増大させ電子導波
路13中キャリア濃度が増加すると、半導体中のコヒー
レンス長Lが増大する。これにより実効的な電子導波路
の幅Wが(W−2L)に変化する。一方、電子導波路の
幅Wが半導体2中の電子波の波長と同程度になると、そ
の導波路のコンダクタンスは量子化される。Si半導体
の場合Wは約0.1μm 以下になると量子化され、電子
導波路の幅の減少とともに通過できる電子のモード数が
減少する。
【0030】図2にゲート電圧に対する電子導波路13
のコンダクタンスの変化を示す。半導体中のコヒーレン
ス長Lはゲート電圧によって変化するため、電子波のモ
ード数を0からnまで連続的に変化させることができ
る。すなわちコンダクタンスは階段状に変化し、そのス
テップの大きさは量子コンダクタンスの最小単位とな
る。
【0031】図3に入射電極3と常伝導電極18の間の
電流電圧特性を示す。入射電極3から半導体2中へ入射
した電子波は電子導波路13を通過し、超電導電極4ま
たは5に衝突しない電子波のみが常伝導電極18に到達
する。入射電極2と常伝導電極18の間には電流が流れ
るが、ゲート電圧が増大すると電子導波路13を通過す
る電子波のモード数が変化するので、電極間に流れる電
流もゲート電圧により段階的に変化する。なおこの現象
を用いると、アナログ信号をデジタル信号に変換するア
ナログ/デジタル変換器を実現することもできる。
【0032】本実施例によれば、小さいゲート電圧の変
化で素子電流を大きく変化させることができ、量子化さ
れた最小単位のコンダクタンスの変化を用いるため、低
消費電力の超電導素子を実現することができる。さらに
一つの素子の寸法が微細であるため、高集積化を図るこ
とができる。
【0033】図4は、本発明の第二の実施例である超電
導素子の断面構造を表す。この素子は、Si半導体2上
に平面波の電子波を入射するための常伝導体あるいは超
電導体からなる入射電極3と出力電極15の間に、多結
晶Siからなる膜厚100nmのゲート電極17,熱酸
化Si膜からなる膜厚10nmのゲート絶縁膜16,N
bからなる膜厚100nmの超電導電極12,Si半導
体からなる膜厚70nmの電子導波路14,島状に形成
した膜厚50nmのNbからなる超電導電極11,Si
半導体からなる膜厚70nmの電子導波路13,Nbか
らなる膜厚100nmの超電導電極10を順に積層した
構造を有する。これは超電導体と半導体の境界面で囲ま
れた二つの電子導波路の干渉現象を利用した素子であ
る。
【0034】超電導電極のギャップエネルギ以下のエネ
ルギで入射電極3から半導体中に一定の入射角で入射さ
れた電子波は、島状に形成された超電導電極11により
二つの電子導波路13と14に分岐される。それぞれの
電子導波路中を進行する電子波は超電導電極で囲まれて
いるため、超電導電極10,11,12の壁に衝突しな
い電子のみが、電子導波路中を通過することができる。
また、超電導電極と半導体の境界面では、界面の粗さな
どによる弾性散乱を受けにくい。従って電子波の空間的
な拡がりが少ないコリメートした電子波が出力電極15
に向かって進行する。このため電子波の位相の空間的な
分布を抑制することができる。分岐した電子波は再び合
流され出力電極15に収束される。ここでゲート電極1
7に電圧を印加することにより、電子導波路13と14
の電子波間の静電ポテンシャルが変化し、位相差が生じ
る。従ってゲート電圧により電子波の干渉が制御され
る。
【0035】図5に入射電極3と出力電極15間の電流
電圧特性を示す。干渉のため電圧に対して電流は周期的
に変化する。さらにゲート電圧を変化させるとこの電流
のピーク位置が変化する。すなわち電流が異なった制御
条件で同一の値を示し、これを2値以上の多値の論理に
対応させ動作することができる。
【0036】本実施例によれば、小さいゲート電圧の変
化で素子電流を大きく変化させることができるため、低
消費電力で高速の超電導素子を実現することができる。
また電子波がコリメートされているため、干渉効果を強
めることができる。さらに一つの素子の寸法が微細であ
るため、高集積化を図ることができる。
【0037】図6は、本発明の第三の実施例である超電
導素子の平面構造を表す。この素子は、第二の実施例で
示した素子と同様の特性及び効果を有するが、半導体2
に対して平面的に二つの電子導波路13と14が構成さ
れている。Si半導体2上に平面波の電子波を入射する
ためのNbからなる入射電極3と超電導電極1を対向さ
せ、その電極間に3つのNbからなる超電導電極10,
11,12を0.1μmの距離をおいて設けることによ
り、超電導電極10と11で囲まれた半導体の電子導波
路13と、超電導電極11と12で囲まれた半導体の電
子導波路14を形成している。さらに一方の電子導波路
14上にゲート絶縁膜を介してゲート電極6を設けるこ
とにより、電子導波路14中のキャリア濃度を変化させ
ることができる。
【0038】超電導電極ギャップエネルギ以下のエネル
ギで入射電極3から半導体中に一定の入射角で入射され
た電子波は、超電導電極11により二つの電子導波路1
3,14に分岐される。それぞれの電子導波路中を進行
する電子波は超電導電極で囲まれているため、超電導電
極10,11,12の壁に衝突しない電子のみが、電子
導波路中を通過することができる。また、超電導電極と
半導体の境界面では、半導体中の電子波は界面の粗さな
どの弾性散乱を受けにくい。従って電子波の空間的な拡
がりが少ないコリメートした電子波が超電導電極1に向
って進行する。超電導電極1と半導体2の境界面ではア
ンドレエフ反射が生じて、電子波入射電極3に収束され
る。ここでゲート電極6に電圧を印加すると、電子導波
路14中のキャリア濃度の変化により電子波の波長を変
調し、電子導波路13と14の電子波間に位相差が生じ
る。従ってゲート電圧により電子波の干渉が制御され
る。干渉現象の結果、電圧に対して電流は周期的に変化
する。さらにゲート電圧を変化させるとこの電流のピー
ク位置が変化する。すなわち電流が異なった制御条件で
同一の値を示し、これを2値以上の多値の論理に対応さ
せ動作することができる。
【0039】本実施例によれば、小さいゲート電圧の変
化で素子電流を大きく変化させることができるため、低
消費電力で高速の超電導素子を実現することができる。
また電子波がコリメートされているため、干渉効果を強
めることができる。さらに一つの素子の寸法が微細であ
るため、高集積化を図ることができる。
【0040】図7は、本発明の第四の実施例である超電
導素子の平面構造を表す。この素子は、Si半導体2上
に平面波の電子波を入射するための入射電極3,電子波
の伝搬方向を制御するNb/Si/Nb/Si/Nb…
…の組合せからなる回折格子の横超格子29,2群のN
bからなる超電導電極21と23,超電導電極22から
構成されている。超格子29の下にはゲート絶縁膜を介
してゲート電極17が設けられている。入射電極から超
格子29までの距離は電子波の位相コヒーレンス長以下
であり、電子波の進行方向と直交する方向に超格子29
の周期的なポテンシャルが変化する。この超格子29は
人為的に配置した散乱源であり、ポテンシャルはNbの
ペアポテンシャル△Nbと超電導近接効果によりNbか
らSi中にしみだしたペアポテンシャル△Siからなる
周期的なポテンシャル構造を空間的に形成しており、入
射電子波に対して回折格子の役割をする。
【0041】半導体2中の電子波が超格子29を通過す
ると回折により伝搬方向は45度偏向される。偏向効率
は最大回折効率に対応し、図15にその変化を示してい
る。偏向効率は超格子29のポテンシャルの変調度Pに
より変化する。ポテンシャルの変調度Pは各超電導体と
半導体中のペアポテンシャルの高さ変化と格子のピッチ
で決定される。このポテンシャルの変調度Pは、ゲート
電極17に印加する電圧により変化させることができ
る。これは超電導体で挾まれた半導体中に超電導近接効
果で誘起されたペアポテンシャルの大きさは、ゲート電
圧で半導体中のキャリア濃度を変化させることにより変
えることができるからである。従って、ポテンシャルの
変調度Pがゲート電圧によって変化し、偏向率を変調す
ることができる。
【0042】例えばゲート電圧が0.05V の変化で回
折効率は10%から80%まで変化する。そこで回折電
子と非回折電子とを弁別して集めるように2群の超電導
電極21と23,超電導電極22を空間的に配置する。
これにより、超電導電極21と23、あるいは超電導電
極22と入射電極3間に流れる電流は、ゲート電圧によ
って制御される。
【0043】この素子の特性を図8に示す。図8の横軸
はゲート電圧を表し、縦軸は超電導電極22と入射電極
3間に流れる電流、及び超電導電極21と入射電極3間
に流れる電流を表す。ゲート電圧が0から0.05V に
変化すると、超電導電極22と入射電極3間に流れる電
流は20mAから3mAまで変化し、超電導電極21と
入射電極3間に流れる電流は3mAから20mAまで変
化する。
【0044】本実施例によれば、小さい制御電位の変化
で素子電流を大きく変化させることができるため、低消
費電力の超電導素子を実現することができる。また平面
波の回折現象を用いて伝搬制御する超電導素子であるた
め、電子波の高速性を損なわずに電子波の伝搬方向を切
り替えることができ、高速の素子を実現することができ
る。
【0045】図9は、本発明の第五の実施例である超電
導素子の平面構造を表す。この素子は、Si半導体2上
に平面波の電子波を入射するための入射電極3,電子波
の伝搬方向を制御するNb/Si/Nb/Si/Nb…
…の組合せからなる回折格子の横超格子29,2群の超
電導トランジスタ24と25、及び26から構成されて
いる。
【0046】本実施例は、第四の実施例で示した素子と
は、出力信号の検出に超電導トランジスタを用いた点が
異なり、素子の動作原理と効果は同様である。超電導ト
ランジスタを結合させることにより、これをしきい部と
して用い予め定められたしきい値と比較して、比較結果
をもとに出力信号を超電導トランジスタの電圧として出
力することができる。またしきい値特性は微分可能であ
るため、ニューロン素子の学習法として使われるバック
プロパゲーション法が使用でき、しきい値を外部からの
電圧で簡単に変化させることができる。
【0047】本実施例によれば、小さい制御電位の変化
で素子電流を大きく変化させることができるため、低消
費電力の超電導素子を実現することができる。また平面
波の回折現象を用いて伝搬制御する超電導素子であるた
め、電子波の高速性を損なわずに電子波の伝搬方向を切
り替えることができ、高速の素子を実現することができ
る。
【0048】第四と第五の実施例では、超格子29とし
て超電導体と半導体の組合せを用いたが、これに換えて
異なる超電導転移温度を有する複数の超電導体で構成さ
れる超格子を用いても本発明の目的を達成することがで
きる。
【0049】また第四と第五の実施例では、偏向率の変
調をゲート電圧で行ったが、超格子に直接電流を注入す
る方法を用いても本発明の目的を達成することができ
る。
【0050】図10は、本発明の第六の実施例である超
電導素子の平面構造を表す。この素子は、Si半導体上
2にNbからなる超電導電極1に対向した複数の電子波
入射電極3で構成され、入力信号Xi が入力されるNb
からなる入力電極20、それぞれの入力信号に対応して
重み付けWia,Wibを行う絶縁膜を介した多結晶Siか
らなる重み部31,32から構成されており、それぞれ
の入力信号の処理は超電導電極で囲まれた電子導波路内
で行われる。
【0051】例えば、左端の入射電極3から入射した電
子波は超電導電極33と34で囲まれた電子導波路35
で演算される。すなわち、入力信号X1 は重み部31,
32でW1aとW1bの2回の重み付けされた後、超電導電
極1に到達する。重み付けは、重み部31,32に印加
する電圧により半導体中のキャリア濃度を変化させ、電
子波に位相差を与えることにより実現される。すなわち
出力結果はX1x1ax1bという乗算結果となる。
【0052】ここで各電子導波路は超電導電極で囲まれ
ているため、お互いに干渉することはない。従って、演
算が各入力信号Xi に対して各々の電子導波路内で同時
に行われるため、超並列処理が可能となる。さらに超電
導電極1の他端に対向して第二の超電導電極30を形成
し、両超電導電極間に絶縁膜を介してゲート電極6を設
けることにより超電導トランジスタ25を結合させるこ
とにより、これをしきい部として用い予め定められたし
きい値と比較して、比較結果をもとに出力信号を超電導
電極1と超電導電極30の間の電圧として出力すること
ができる。またしきい値特性は微分可能であるため、ニ
ューロン素子の学習法として使われるバックプロパゲー
ション法が使用でき、しきい値を超電導トランジスタ2
5のゲート電圧で簡単に変化させることができる。
【0053】本実施例によれば、それぞれの乗算は超電
導体のギャップエネルギ以下の電圧で実行されるため、
低消費電力で動作する乗算器を実現することができる効
果がある。さらに一つの素子の寸法が微細であり、1素
子の簡単な構成で乗算の並列処理が行えるため、高集積
化と高速化を図ることができる。
【0054】なお、本実施例では、電子を注入するため
の電極に超電導体を用いたが、常伝導体を用いても同様
の効果が得られる。さらにキャリアの注入の手段を、ト
ンネル障壁層を介した超電導電極を用いて構成しても同
様の効果が得られる。
【0055】
【発明の効果】本発明によれば、高速で動作をし、消費
電力が小さい超電導素子を提供することができる。さら
に、一つの素子の寸法が微細である上に、少数の素子で
演算ができるため、高集積化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施例の超電導素子の平面図。
【図2】本発明の第一の実施例の超電導素子の特性図。
【図3】本発明の第一の実施例の超電導素子の特性図。
【図4】本発明の第二の実施例の超電導素子の断面図。
【図5】本発明の第二の実施例の超電導素子の特性図。
【図6】本発明の第三の実施例の超電導素子の平面図。
【図7】本発明の第四の実施例の超電導素子の平面図。
【図8】本発明の第四の実施例の超電導素子の特性図。
【図9】本発明の第五の実施例の超電導素子の平面図。
【図10】本発明の第六の実施例の超電導素子の平面
図。
【図11】従来の技術による超電導素子の説明図。
【図12】本発明の作用を表すエネルギダイアグラム。
【図13】本発明の作用を表す超電導素子の説明図。
【図14】本発明の作用を表す超電導素子の説明図。
【図15】本発明の作用を表す特性図。
【符号の説明】 4,5…超電導電極、18…常伝導電極、2…半導体、
3…入射電極、6…ゲート電極。

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】半導体上に前記半導体中へ電子波を供給す
    る超電導体または常伝導体からなる一つあるいは複数の
    入射電極と、常伝導電極あるいは第一の超電導電極が対
    向した超電導素子において、前記入射電極と前記常伝導
    電極あるいは前記第一の超電導電極の間の半導体上に電
    子波の進行方向と平行に、前記超電導体と前記半導体の
    境界面を二つ備えた電子導波路が構成されるように、第
    二の二つの超電導電極を対向して設けたことを特徴とす
    る超電導素子。
  2. 【請求項2】請求項1において、対向して設けた前記第
    二の超電導電極と半導体の境界で構成した電子導波路の
    幅が、前記半導体中の伝導電子の平均自由行程と同程度
    かそれより小さい超電導素子。
  3. 【請求項3】請求項2において、前記電子導波路の幅
    は、前記半導体上に設けたゲート電極に印加する電圧に
    より制御される超電導素子。
  4. 【請求項4】半導体からなる導体内部に島状の超電導体
    を設けることにより前記半導体中を走行する電子波の電
    子導波路を二つに分岐する構造を備え、前記それぞれの
    電子導波路の境界は二つの超電導電極と半導体で構成さ
    れおり、それぞれの電子導波路を伝搬する電子波の間に
    位相差を与えるための手段と、分岐後の二つの電子導波
    路を合流する機能を持つことを特徴とする超電導素子。
  5. 【請求項5】請求項4において、前記位相差を与える手
    段として、少なくとも一方の電子導波路に電界を印加で
    きる手段を備えた超電導素子。
  6. 【請求項6】請求項4において、前記位相差を与える手
    段として、磁場を印加する手段を備えた超電導素子。
  7. 【請求項7】半導体上に前記半導体中へ電子波を供給す
    る超電導体または常伝導体からなる複数の入射電極と複
    数の超電導電極を対向して設け、前記入射電極と前記超
    電導電極の間に電子波の進行方向に直角に、周期的にペ
    アポテンシャルが変化するように複数の超電導体と半導
    体を交互に周期的に配置した回折格子を備え、前記回折
    格子に印加する電圧で電子波の進行方向を変調すること
    を特徴とする超電導素子。
  8. 【請求項8】請求項7において、前記回折格子は、超電
    導転移温度が異なる複数の超電導体を交互に配置した超
    格子からなる超電導素子。
  9. 【請求項9】半導体上に前記半導体中へ電子波を供給す
    る超電導体または常伝導体からなる複数の入射電極と複
    数の超電導電極を対向して設け、前記入射電極と前記超
    電導電極の間に電子波の進行方向に直角に、周期的にペ
    アポテンシャルが変化するように複数の超電導体と半導
    体を交互に周期的に配置した回折格子を備え、前記回折
    格子に注入する電流で電子波の進行方向を変調すること
    を特徴とする超電導素子。
  10. 【請求項10】請求項7において、前記超電導素子は、
    前記半導体上の前記超電導電極に対向して絶縁膜を介し
    て第二の超電導電極が設けられている超電導素子。
  11. 【請求項11】請求項7において、前記超電導素子は、
    半導体上の前記超電導電極に対向して第二の超電導電極
    が設けられ、前記超電導電極間に絶縁膜を介して設けら
    れたゲート電極から構成されている超電導素子。
  12. 【請求項12】半導体上に前記半導体中へ電子波を供給
    する複数の入射電極と超電導電極を対向して設け、前記
    入射電極と前記超電導電極間の半導体上に前記半導体中
    の電子波の位相を制御する手段を一つの入射電極に対し
    て複数個含んでおり、前記入射電極から入射した電子波
    の電子導波路が超電導電極で囲まれていることを特徴と
    する超電導素子。
  13. 【請求項13】請求項12において、前記半導体中の電
    子波の位相を制御する手段は、前記半導体に電界を印加
    してキャリア濃度を変化させるゲート電極からなること
    を特徴とする超電導素子。
  14. 【請求項14】請求項12において、前記超電導素子
    は、一つの入射電極に対してゲート電極を複数個備えて
    おり、前記入射電極への電圧の変化を入力信号として用
    い、前記ゲート電極それぞれに電圧を印加して複数の重
    み付けを行う動作を各電子導波路内で同時に行うことに
    より、入力信号の乗算を並列処理する超電導素子。
  15. 【請求項15】請求項12において、前記超電導素子
    は、前記半導体上の前記超電導電極に対向して第二の超
    電導電極が設けられ、前記超電導電極間に絶縁膜を介し
    て設けられたゲート電極から構成されている超電導素
    子。
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