JPH0768184B2 - 1―ニトロアントラキノン類の製造方法 - Google Patents

1―ニトロアントラキノン類の製造方法

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JPH0768184B2
JPH0768184B2 JP1130205A JP13020589A JPH0768184B2 JP H0768184 B2 JPH0768184 B2 JP H0768184B2 JP 1130205 A JP1130205 A JP 1130205A JP 13020589 A JP13020589 A JP 13020589A JP H0768184 B2 JPH0768184 B2 JP H0768184B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は1−ニトロアントラキノン類の製造方法に関す
るものである。更に詳しく述べると、下記一般式(A)
で示される5−ニトロ−1,4,4a,9a−テトラヒドロアン
トラキノン類を塩基性化合物の存在下に下記一般式
(B)で示される1−ヒドロキシルアミノアントラキノ
ン類に変換せしめた後、酸化することを特徴とする下記
一般式(C)で示される1−ニトロアントラキノン類の
製造方法に関する。更には、1−ニトロナフタレンを酸
化して5−ニトロ−1,4−ナフトキノンを得、ついで下
記一般式(D)で示される1,3−ブタジエン類とをディ
ールス・アルダー反応させて前記一般式(A)で示され
る5−ニトロ−1,4,4a,9a−テトラヒドロアントラキノ
ン類を得、これを原料として使用する上記1−ニトロア
ントラキノン類の製造方法に関する。
(上記式(A)、(B)、(C)および(D)におい
て、R1およびR2は互いに独立して水素原子、炭素数1〜
4個のアルキル基およびハロゲン原子の中から選ばれる
1種を表わす。) 1−ニトロアントラキノン類は、例えば1−アミノアン
トラキノン類の原料として、染料や顔料の中間体として
広い用途を有する化合物であり、特にその内でも1−ニ
トロアントラキノンは工業的にも重要な中間体化合物と
して知られている。
[従来の技術] 1−ニトロアントラキノンの製造方法としては、アント
ラキノンを濃硝酸あるいは混酸等によりニトロ化して得
る方法が良く知られている(特開昭49−5430号、特開昭
57−193426号、特公昭57−51377号、特公昭58−35498
号、特公昭61−52137号各公報)。しかしながらこのよ
うな方法で得られる1−ニトロアントラキノンは2−ニ
トロ体、ジニトロ体などの副生物を多量に含有し、1−
ニトロアントラキノンの純度はよくても80%以下であ
る。従って、染料の中間体として用いられるような高純
度の1−ニトロアントラキノンを得るためには更に精製
することが必要となるが、蒸留,再結晶,抽出等の通常
の分離精製手段ではこれらの副生物は分離しにくく、工
業的規模で精製することは困難である。更にこれらの方
法では硫酸及び硝酸の使用量が多く、取扱い及び廃液処
理等の点でも問題が多い。
また、反応媒体としてニトロベンゼンを用い、5−ニト
ロ−1,4−ナフトキノンと1,3−ブタジエンとを100℃で
反応させた後、180〜200℃で酸化して1−ニトロアント
ラキノンを得る方法(フランス特許第1486803号)もあ
るが反応条件の制御が困難であり収率も低い。
[発明が解決しようとする課題] 本発明の目的は、従来の方法では解決できなかった前述
の欠点を解消し、緩和な反応条件で選択性よく反応で
き、生成物の分離や廃水処理等が容易で、作業環境およ
び公害の面においても工業的に有利に1−ニトロアント
ラキノン類を得る方法を提供することにある。
[課題を解決するための手段] 本発明者らは、1−ニトロアントラキノン類を工業的に
有利に製造する方法を開発すべく鋭意研究を重ねた結
果、ついに本発明を完成するに至った。即ち本発明によ
れば、前記式(A)の5−ニトロ−1,4,4a,9a−テトラ
ヒドロアントラキノン類を塩基性化合物の存在下に式
(B)の1−ヒドロキシルアミノアントラキノン類に変
換させ、得られた1−ヒドロキシルアミノアントラキノ
ン類を酸化することを特徴とする式(C)で示される1
−ニトロアントラキノン類の新規な製造方法が提供され
る。本発明によれば、更に、1−ニトロナフタレンを酸
化して5−ニトロ−1,4−ナフトキノンとし、ついで一
般式(D)で示される1,3−ブタジエン類とディールス
・アルダー反応させて式(A)の5−ニトロ−1,4,4a,9
a−テトラヒドロアントラキノン類をつくり、得られた
5−ニトロ−1,4,4a,9a−テトラヒドロアントラキノン
類を塩基性化合物の存在下で式(B)の1−ヒドロキシ
ルアミノアントラキノン類に変換させ、得られた1−ヒ
ドロキシルアミノアントラキノン類を塩基性化合物の存
在下で酸化することを特徴とする式(C)で示される1
−ニトロアントラキノン類の一貫的製造方法が提供され
る。
本発明の方法によれば、簡便な操作かつ緩和な反応条件
下で目的とする1−ニトロアントラキノン類を高収率、
高純度でしかも環境破壊を起こすことなく低いコストで
得ることができる。以下に詳しく説明する。
本発明において使用される式(A)の5−ニトロ−1,4,
4a,9a−テトラヒドロアントラキノン類は純度の高いも
のが望ましい。もし、6−ニトロ体やジニトロ体などの
不純物を含んでいると得られる1−ニトロアントラキノ
ン類に2−ニトロ体やジニトロ体などの副生物が混在
し、製品の純度や収率にも悪影響をおよぼすばかりかこ
れらの不純物が有毒なアントラキノン誘導体になって製
品中に混入し、これらの毒性も問題となる。この点、1
−ニトロナフタレンを酸化して5−ニトロ−1,4−ナフ
トキノンを得、ついでこれを式(D)の1,3−ブタジエ
ン類とディールス・アルダー反応させて得られた5−ニ
トロ−1,4,4a,9a−テトラヒドロアントラキノン類は6
−ニトロ体やジニトロ体などの不純物を含まず、好適な
原料として用いられる。かかる式(A)の5−ニトロ−
1,4,4a,9a−テトラヒドロアントラキノン類を得る工程
について説明する。
まず、1−ニトロナフタレン類を5−ニトロ−1,4−ナ
フトキノン類にまで酸化する。ここで原料である1−ニ
トロナフタレン類もナフタレン類のニトロ化によって得
られるが、このニトロ化は前記のアントラキノンのニト
ロ化とは比較にならないほど選択率が高いので、収率や
製品純度等の点で問題なく、十分に高品質の1−ニトロ
ナフタレン類が出発原料として入手できる(エンサイク
ロペディア オブ ケミカル テクノロジー,第2版,
第704頁)。かかる1−ニトロナフタレン類を酸化する
方法としては、選択率,収率及び操作性の面からも電解
酸化法によることが好ましい。電解酸化法には電極表面
で直接1−ニトロナフタレン類を酸化する直接電解酸化
法と、電極反応によって酸化剤種を生成してそれによっ
て1−ニトロナフタレン類を酸化する間接電解酸化法が
あるが、特に間接電解酸化法は緩和な条件下で純度の高
い5−ニトロ−1,4−ナフトキノンが高選択率、高収率
で得られ、操作性の面においても容易に行える利点があ
る。間接電解酸化法において、間接電解酸化によって酸
化剤種自身は還元されるがこれを電解酸化によって再び
酸化体に再生し、循環使用される。ここで循環使用され
る酸化還元種をメディエーターという。メディエーター
はそれぞれの反応条件や反応特性などを考慮して希望に
あったものを選択すればよいが、Ce(IV)/Ce(III)、
Mn(III)/Mn(II)、Mn(IV)/Mn(II)、Ag(II)/Ag
(I)などのような酸化還元系が選択率、操作性、安全
性などの面で好ましい。これらのメディエーターの酸性
水溶液中における好ましい濃度は、Ce(IV)、Mn(II
I)、Mn(IV)またはAg(II)を主たる酸化剤として用
いる場合には0.1〜10モル/リットル、より好ましくは
0.3〜5モル/リットル、更に好ましくは0.5〜3モル/
リットルである。濃度が高すぎると、酸化剤が析出して
スラリーになったり溶液の粘度が高くなったりして撹拌
が不十分になり反応に支障をきたすことが起こりうる。
一方、濃度が低過ぎると酸化力が低下したり反応装置が
大きくなったりして不利である。またこれらの酸化剤は
間接電解酸化反応によってCe(III)、Mn(II)、Ag
(I)などに還元されるが、それらは酸性水溶液層中に
回収して電解酸化によって再生した後、再び間接電解酸
化に循環使用することができる。
Ce(IV)/Ce(III)型の酸化還元系としては、酸水溶液
中に溶解もしくは懸濁されたCe種が使用される。具体例
としては、硝酸セリウムを硝酸水溶液に溶かした溶液、
メタンスルホン酸セリウムをメタンスルホン酸水溶液に
溶かした溶液、炭酸セリウムを硝酸水溶液、酢酸水溶液
またはメタンスルホン酸水溶液に溶かした溶液、これら
溶液を電解酸化したものなどが挙げられる。
Mn(III)/Mn(II)型あるいはMn(IV)/Mn(II)型の
酸化還元系としては、酸水溶液中に溶解もしくは懸濁さ
れたMn種が使用される。具体例としては、硫酸マンガン
を硫酸水溶液に溶かした溶液、硝酸マンガンを硝酸水溶
液に溶かした溶液、これら溶液を電解酸化したものなど
が挙げられる。
Ag(II)/Ag(I)型の酸化還元系としては、酸水溶液
中に溶解もしくは懸濁されたAg種が使用される。具体例
としては、硝酸銀を硝酸水溶液に溶かした溶液、酸化銀
(II)を硝酸水溶液に添加した懸濁液、これら溶液また
は懸濁液を電解酸化したものなどが挙げられる。
間接電解酸化の温度は0〜80℃が好ましい。また酸化反
応中に超音波を照射することも有効であり好ましい。反
応に際しては使用するメディエーターに不活性な溶媒、
例えばニトロベンゼン、クロルベンゼン、ジクロルベン
ゼンなどの非極性非プロトン溶媒を用いると好ましい。
Ceを単独もしくは主なメディエーターとして用いる場合
に使用する酸としては、酸化力および選択率または取扱
性を考慮すると、好ましくは硝酸、酢酸、メタスルホン
酸の中から選ばれる。Ceをメディエーターとして用いる
と反応や電解再生時にセリウム塩のスラリーが存在せ
ず、取扱が容易である。Mnを単独もしくは主なメディエ
ーターとして用いる場合には、使用する酸としては硫酸
が好ましく、酸濃度は20〜60重量%、好ましくは35〜55
重量%である。Mn(III)は硫酸マンガン(III)の硫酸
溶液または懸濁物の形で使用できる。Agをメディエータ
ーとして用いる場合には、使用する酸としては硝酸が好
ましく、酸濃度は20〜60重量%、好ましくは35〜50重量
%である。Ag(II)は酸化銀(II)の硝酸溶液または懸
濁物の形で使用でき、酸化反応後に溶液状態となる利点
も得られる。メディエーターの再生のための電解酸化は
通常、隔膜を有する電解槽を用いて陽極において実施さ
れるが、無隔膜電解槽を用いてもよい。
5−ニトロ−1,4−ナフトキノンと前記式(D)で示さ
れる1,3−ブタジエン類とのディールス・アルダー反応
による前記式(A)で示される5−ニトロ−1,4,4a,9a
−テトラヒドロアントラキノン類の製造は、5−ニトロ
−1,4−ナフトキノンと1,3−ブタジエン類を溶解する適
当な溶媒を用いて行なわれる。そのような溶媒としては
例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化
水素;ジクロロエタン、四塩化炭素、ジクロロベンゼン
等のハロゲン化炭化水素;エチルエーテル、ジフェニル
エーテル等のエーテル類;フタル酸ジオクチル等のエス
テル類;酢酸メチル等のケトン類;メタノール、エタノ
ール等のアルコール類;セロソルブ等のセロソルブ類等
があげられる。5−ニトロ−1,4−ナフトキノンと1,3−
ブタジエン類のディールス・アルダー反応は、他の芳香
族キノン化合物の場合と同様に一般的には0〜250℃、
好ましくは30〜150℃の温度で行なわれる。反応圧力は
1,3−ブタジエン類の溶解度等にも依存するが、通常120
kg/cm2以下、より一般的には0〜20kg/cm2の範囲で行な
われる。1,3−ブタジエン類の使用量は5−ニトロ−1,4
−ナフトキノンに対して過剰である程反応は速く完結す
るが、あまり多過ぎても装置的な面で経済的ではなく、
好ましくは1〜20モル倍、より好ましくは1.1〜10モル
倍で行なわれる。
以上述べたようにして、高純度の式(A)で示される5
−ニトロ−1,4,4a,9a−テトラヒドロアントラキノン類
が得られ、本発明において好適な原料として用いられ
る。しかし、本発明において5−ニトロ−1,4,4a,9a−
テトラヒドロアントラキノン類は上記した方法によって
製造されたものに限らず、その他の適宜な方法で製造さ
れたものをも使用することができる。
本発明においては5−ニトロ−1,4,4a,9a−テトラヒド
ロアントラキノン類を塩基性化合物の存在下に1−ヒド
ロキシルアミノアントラキノン類に変換せしめる。反応
は、例えば5−ニトロ−1,4,4a,9a−テトラヒドロアン
トラキノン類を好ましくは溶媒中にて、0〜200℃の温
度にて塩基性化合物を添加することによって遂行され
る。塩基性化合物としては通常の無機あるいは有機の塩
基性化合物を用いることができ、例えば下記のものが挙
げられる。
1) 周期表第I a族、第I b族、第II a族および第II b
族金属の塩基性化合物。例えば、酸化物、水酸化物およ
び弱酸との塩、具体例としては、酸化マグネシウム、酸
化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、重
炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、ほ
う酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、リン酸−水素ナト
リウム、リン酸カリウム、過マンガン酸カリウム、クロ
ム酸ナトリウム、硫化ナトリウム、ナトリウムメチラー
ト、ナトリウムフェノラート、エチレンジアミン四酢酸
四ナトリウム、多硫化ナトリウム、水硫化ナトリウム 2) アンモニア、炭酸アンモニウムおよびアンモニア
錯塩 3) 第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、水
酸化第4級アミンおよびその他含窒素塩基性化合物 これらの中でも、特に、周期律表第I a族、第I b族、第
II a族および第II b族金属の水酸化物、炭酸塩、重炭酸
塩が好適に用いられる。存在させる塩基性化合物の量と
しては、液を塩基性に保つ量であればよいが、5−ニト
ロ−1,4,4a,9a−テトラヒドロアントラキノン類に対し
て2当量倍以上が好ましい。また、ここで水性溶媒を用
いると、生成した1−ヒドロキシルアミノアントラキノ
ン類が塩基性下でこれによく溶解し、次の酸化の工程へ
溶液の形で供給できるので操作が容易になる利点があ
る。該水性溶媒としては、水、またはメタノール、エタ
ノール、イソプロパノール、エチレングリコール等のア
ルコール類、エーテル類、特にメチルセロソルブ等のセ
ロソルブ類等が好ましく、単独、あるいは混合して使用
される。特に水を単独、あるいはその他の水性溶媒を混
合して用いることが好ましい。また、非水性溶媒と水性
溶媒を併用すると、得られた1−ヒドロキシルアミノア
ントラキノン類が水性溶媒層に、未反応原料などが非水
性溶媒層にそれぞれ抽出されるので、水性溶媒層をその
まま次の酸化工程で使用することができる。
次いで得られた1−ヒドロキシルアミノアントラキノン
類を、好ましくは塩基性化合物の存在下に、酸化して1
−ニトロアントラキノン類にする。酸化する方法として
は特に限定はされない。例えば、空気などの分子状酸素
を含む気体を酸化剤として用い、好ましくは35℃以上の
温度で酸化する。特に空気を酸化剤として用いる場合に
は取扱が容易であり、コストの面でも有利なので好まし
い。また、酸化剤として過酸化水素またはその水溶液を
用いて酸化することもできる。この場合は空気酸化に比
べて酸化反応が進行しやすくなり、20℃以上の温度で酸
化することができ、また、反応中に反応熱によって液温
度が上昇して外部から特別に加熱する必要がなくなる場
合もあり、好ましい。更には酸化方法として電解酸化法
を行なって陽極において発生する酸素を利用することも
可能である。
1−ヒドロキシルアミノアントラキノン類の酸化は、好
ましくは水溶媒中、あるいは水と他の溶剤とを混合した
水性溶媒中で行なう。ここで水と混合する溶剤として
は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチ
レングリコール等のアルコール類;エーテル類;特にエ
チレングリコールモノメチルエーテル等のセロソルブ
類;アセトン等のケトン類等が挙げられる。また、酸化
時の粘度上昇や発泡等の問題を避ける目的で芳香族炭化
水素の存在下に行なうのも好ましい。
1−ヒドロキシルアミノアントラキノン類を塩基性化合
物の存在下に酸化する場合には、1−ヒドロキシルアミ
ノアントラキノン類が溶解しやすくなり、酸化が容易に
進み、操作性も良好である。該塩基性化合物として好ま
しく用いられるものとしては、前記の5−ニトロ−1,4,
4a,9a−テトラヒドロアントラキノン類を1−ヒドロキ
シルアミノアントラキノン類に変換せしめる工程で述べ
たと同じである。存在させる塩基性化合物の量について
も前記工程で述べたと同じである。なお、この工程で存
在させる塩基性化合物と前記工程で存在させる塩基性化
合物とは必ずしも同一である必要はないが同一である方
が好ましい。また、両工程を同一反応槽内で実施する
と、装置や工程が簡略化できるうえに収率向上にも効果
があり、好ましい。
1−ヒドロキシルアミノアントラキノン類を酸化するに
際し、液中の1−ヒドロキシルアミノアントラキノンの
濃度は特に限定されないが、低すぎると反応槽が大きく
なったり生産性が低下するため溶液100重量部に対し0.0
1重量部以上であることが好ましい。一方高すぎると液
の粘度が上昇し液の取扱が困難になるため50重量部以下
であることが好ましい。更に好ましくは0.1〜20重量部
の範囲にあることが望ましい。
かくして生成した1−ニトロアントラキノン類は濾過や
遠心分離などにより分離し、適宜洗浄,乾燥等の簡単な
処理をするだけで十分高品質の製品とすることができ
る。塩基性化合物は瀘液として回収されるので循環再使
用することが可能である。この場合、濾液中に含まれる
不要な有機化合物を除去して余計な反応や製品純度の低
下を防ぐのが好ましい。これは例えば該濾液を活性炭な
どの吸着材を充填した吸着塔に通すことにより実施され
る。
このように本発明を実施することにより、従来の方法に
比べて廃棄物が少なく、公害の面においても製造コスト
の面においても工業的に有利に純度の高い1−ニトロア
ントラキノン類が製造される。
[実施例] 次に本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は
これに限定されるものではない。
実施例1 硝酸第1セリウムアンモニウムの硝酸溶液を電解酸化し
て得られた硝酸第2セリウムアンモニウムの硝酸溶液
(第2セリウムイオン濃度は2.0モル/リットル)を、
還流冷却器、撹拌装置を取り付けたガラス容器に入れ70
℃に保持した。これに1−ニトロナフタレン60.55gとニ
トロベンゼン100gを添加し撹拌して約60分間反応させ
た。反応終了後、撹拌を停止し、反応液を分液ロートに
移し、油層と水層を分類し、水層については150gのニト
ロベンゼンを用いて3回抽出した。水層は再び第2セリ
ウムイオン濃度が2.0モル/リットルになるまで電解酸
化し、次のバッチの反応に使用した。抽出油層と前記分
離後の油層とを混合して全有機溶液中の5−ニトロ−1,
4−ナフトキノン及び未反応1−ニトロナフタリンを高
速液体クロマトグラフィーにより定量した結果、5−ニ
トロ−1,4−ナフトキノン55.17gが得られ、未反応1−
ニトロナフタレンは2.72gであった。従って、1−ニト
ロナフタリンの転化率95.5%、反応1−ニトロナフタリ
ン当りの5−ニトロ−1,4−ナフトキノンの収率は81.3
モル%であった。上記全有機層を減圧下約50℃で濃縮
し、5−ニトロ−1,4−ナフトキノンを析出させ、濾別
後の沈澱を2時間減圧乾燥させた後、高速液体クロマト
グラフィーで測定したところ99.2%であった。
次に、こうして得られた5−ニトロ−1,4−ナフトキノ
ンのうち10g、1,3−ブタジエン3.3gおよびエチレングリ
コールモノメチルエーテル40mlよりなる混合物を100ml
のオートクレーブ中撹拌しながら50℃に6時間保持し
た。反応圧力は当初1.2気圧、反応終了時1.0気圧であっ
た。次いで反応混合物中に水60mlを添加したのち25℃に
冷却した。析出した結晶を濾過、メチルアルコール30ml
で洗浄し、減圧乾燥して白色の純度98%の5−ニトロ−
1,4,4a,9a−テトラヒドロアントラキノン11.9gを得た。
得られた5−ニトロ−1,4,4a,9a−テトラヒドロアント
ラキノン10gにメタノール100gと5%アンモニウム水溶
液30gを加え、60℃にて1時間撹拌して得られた溶液を2
0℃に冷却し、結晶を濾過、水洗し、減圧乾燥させ1−
ヒドロキシルアミノアントラキノンの結晶を得た。次に
この結晶を5%水酸化ナトリウム溶液100gに加え撹拌し
て得られた溶液に40℃において2時間空気を通じ酸化さ
せた後、得られた結晶を濾過し水洗して1−ニトロアン
トラキノンの結晶9.83gを得た。得られた結晶を高速液
体クロマトグラフィーにて分析したところ、純度は92.3
%で不純物として1−アミノアントラキノンを含むこと
が分かった。
実施例2 1モル/kgのMn3+を含む45%硫酸水溶液(懸濁物)500g
を還流冷却器、撹拌装置を取り付けたガラス容器に入れ
て60℃に保持した。これに40gの1−ニトロナフタレン
と60gのニトロベンゼン混合物を加え、撹拌しながら65
℃において2時間反応させた。反応後、有機相と無機相
を分離し無機相は60gのニトロベンゼンで抽出し、得ら
れたニトロベンゼン相は反応後分離して得られた前記の
有機相に添加した。こうして得られたニトロベンゼン相
を約半分まで濃縮した後、冷却し析出した結晶を濾過分
離した。冷メタノールにて洗浄後、真空乾燥させ、純度
95.2%の5−ニトロ−1,4−ナフトキノンを得た。反応
後得られたMn2+を含む硫酸水溶液はPb電極を用いて電解
酸化し、次の反応に使用した。こうして得られた5−ニ
トロ−1,4−ナフトキノンの内10gを実施例1と同様に反
応させ1−ヒドロキシルアミノアントラキノンの結晶を
得た。次にこの結晶を5%水酸化ナトリウム溶液100gに
加え撹拌して得られた溶液に30℃において5%過酸化水
素水10gを混合し1時間酸化させた後、得られた結晶を
濾過し水洗して1−ニトロアントラキノンの結晶9.85g
を得た。得られた結晶を高速液体クロマトグラフィーに
て分析したところ、純度は94.2%で不純物として1−ア
ミノアントラキノンを含むことが分かった。
実施例3 実施例1と同様にして得られた5−ニトロ−1,4,4a,9a
−テトラヒドロアントラキノン10gに10%水酸化カリウ
ム溶液500gを添加し、60℃にて1時間撹拌した。続いて
同じ容器内で、得られた溶液に50℃にて吹込管を用い
て、電解の陽極で発生した酸素ガスと空気との混合物を
供給し1時間酸化させた。その後、析出した結晶を濾過
水洗したのち減圧乾燥し、9.78gの結晶を得た。高速液
体クロマトグラフィーで分析したところ1−ニトロアン
トラキノンの純度は95.7%で1−アミノアントラキノン
が不純物として存在していた。尚、ここで得られた1−
ニトロアントラキノンを水硫化ソーダを用いて95℃で還
元したところ純度99.2%の1−アミノアントラキノンが
得られた。1−ニトロアントラキノンを濾過した際に得
られた濾液は活性炭で吸着処理した後、再び5−ニトロ
−1,4,4a,9a−テトラヒドロアントラキノンに加え同様
の操作を繰り返し純度96.2%の1−ニトロアントラキノ
ン9.81gを得た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井上 明 兵庫県姫路市網干区興浜字西沖992番地の 1 日本触媒化学工業株式会社触媒研究所 内 審査官 一色 由美子

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(A) (上記式において、R1およびR2は互いに独立して水素原
    子、炭素数1〜4個のアルキル基およびハロゲン原子の
    中から選ばれる1種を表わす。) で示される5−ニトロ−1,4,4a,9a−テトラヒドロアン
    トラキノン類を塩基性化合物の存在下に一般式(B) (上記式において、R1およびR2は前記と同じである。) で示される1−ヒドロキシルアミノアントラキノン類に
    変換させ、得られた1−ヒドロキシルアミノアントラキ
    ノン類を酸化することを特徴とする一般式(C) (上記式において、R1およびR2は前記と同じである。) で示される1−ニトロアントラキノン類の製造法。
  2. 【請求項2】1−ニトロナフタレンを酸化して5−ニト
    ロ−1,4−ナフトキノンを得、得られた5−ニトロ−1,4
    −ナフトキノンを一般式(D) (上記式において、R1およびR2は互いに独立して水素原
    子、炭素数1〜4個のアルキル基およびハロゲン原子の
    中から選ばれる1種を表わす。) で示される1,3−ブタジエン類とディールス・アルダー
    反応させて一般式(A) (上記式において、R1およびR2は前記と同じである。) で示される5−ニトロ−1,4,4a,9a−テトラヒドロアン
    トラキノン類を得、得られた5−ニトロ−1,4,4a,9a−
    テトラヒドロアントラキノン類を塩基性化合物の存在下
    に、一般式(B) (上記式において、R1およびR2は前記と同じである。) で示される1−ヒドロキシルアミノアントラキノン類に
    変換せしめた後、酸化することを特徴とする一般式
    (C) (上記式において、R1およびR2は前記と同じである。) で示される1−ニトロアントラキノン類の製造法。
  3. 【請求項3】1−ニトロナフタレンの酸化を、電解酸化
    により行なう請求項(2)に記載の方法。
  4. 【請求項4】1−ニトロナフタレンの酸化を、Ce(IV)
    /Ce(III)、Mn(III)/Mn(II)、Mn(IV)/Mn(II)
    及びAg(II)/Ag(I)から選ばれる少なくとも1つの
    酸化還元系をメディエーターとする間接電解酸化により
    行なう請求項(2)に記載の方法。
  5. 【請求項5】塩基性化合物が、周期表第I a族、第I b
    族、第II a族および第II b族金属元素の塩基性化合物で
    ある請求項(1)〜(4)のいずれかに記載の方法。
  6. 【請求項6】一般式(B)の1−ヒドロキシルアミノア
    ントラキノン類の酸化を塩基性化合物の存在下にて行な
    う請求項(1)〜(5)のいずれかに記載の方法。
  7. 【請求項7】一般式(B)の1−ヒドロキシルアミノア
    ントラキノン類の酸化を、周期表第I a族、第I b族、第
    II a族および第II b族金属元素の塩基性化合物の存在下
    にて行なう請求項(6)に記載の方法。
  8. 【請求項8】請求項(1)〜(7)に記載の方法により
    得られた1−ニトロアントラキノン類を分離した後の塩
    基性溶液を循環使用する請求項(1)〜(7)のいずれ
    かに記載の方法。
  9. 【請求項9】1−ニトロアントラキノン類を分離した後
    の塩基性溶液を、該溶液に含まれる有機化合物を除去し
    た後、循環使用する請求項(8)に記載の方法。
  10. 【請求項10】1−ニトロアントラキノン類を分離した
    後の塩基性溶液を吸着材と接触させて該溶液に含まれる
    有機化合物を除去する請求項(9)に記載の方法。
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