JPH0775590A - ポリ−3−ヒドロキシ酪酸の製造法 - Google Patents
ポリ−3−ヒドロキシ酪酸の製造法Info
- Publication number
- JPH0775590A JPH0775590A JP5225899A JP22589993A JPH0775590A JP H0775590 A JPH0775590 A JP H0775590A JP 5225899 A JP5225899 A JP 5225899A JP 22589993 A JP22589993 A JP 22589993A JP H0775590 A JPH0775590 A JP H0775590A
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- JP
- Japan
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- culture
- methanol
- phb
- medium
- nitrogen
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- Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
- Biological Depolymerization Polymers (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【構成】 ポリ−3−ヒドロキシ酪酸を生産する能力を
有するメタノール資化性細菌を、単一の培養槽で、メタ
ノールを炭素源とし、平均滞留時間が15時間以上にな
るように窒素の供給速度を制限した連続培養をすること
によりポリ−3−ヒドロキシ酪酸を菌体内に蓄積させ
る。 【効果】 本発明によるポリ−3−ヒドロキシ酪酸生産
は、連続培養プロセスであるので、従来の回分培養の繰
り返しで行うプロセスに比べ飛躍的な省力化がはかれ
る。また原料(培養の基質)がメタノールであるので、
原料コストが安くなり、また雑菌汚染の心配がない。し
たがって、ポリ−3−ヒドロキシ酪酸を大規模に、しか
も経済的かつ安定的に生産することが可能となる。
有するメタノール資化性細菌を、単一の培養槽で、メタ
ノールを炭素源とし、平均滞留時間が15時間以上にな
るように窒素の供給速度を制限した連続培養をすること
によりポリ−3−ヒドロキシ酪酸を菌体内に蓄積させ
る。 【効果】 本発明によるポリ−3−ヒドロキシ酪酸生産
は、連続培養プロセスであるので、従来の回分培養の繰
り返しで行うプロセスに比べ飛躍的な省力化がはかれ
る。また原料(培養の基質)がメタノールであるので、
原料コストが安くなり、また雑菌汚染の心配がない。し
たがって、ポリ−3−ヒドロキシ酪酸を大規模に、しか
も経済的かつ安定的に生産することが可能となる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリ−3−ヒドロキシ酪
酸(以下PHBと記す)の製造法に関するものである。
酸(以下PHBと記す)の製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】PHBは、エネルギー貯蔵物質として数
多くの微生物の菌体内に生成、蓄積され、優れた生物分
解性と生体適合性とを示す熱可塑性高分子であることか
ら、環境にやさしい“クリーン”プラスチックとして注
目され、手術糸や骨折固定用材などの医用材料および医
薬や農薬を徐々に放出する徐放性システムなどの多方面
への応用が永年にわたり期待されてきた。特に、近年、
合成プラスチックが環境汚染や資源環境の観点から深刻
な社会問題になるに至り、PHBは石油に依存しないバ
イオポリマーとして注目され、これまでにもPHBの製
造法がいくつか報告されている(特開昭60−2148
88、特開昭60−251889、特公平02−202
38、特公平03−65154)。これらの公報には、
炭素源(以後、基質ともいう)としてグルコースを用い
て、アルカリゲネス属の菌体を、窒素あるいはリンを制
限するなどの方法による増殖制限条件下で連続培養する
ことによりPHBを製造する方法(特公平02−202
38)や、アゾトバクター属、プロトモナス属の菌体を
アルカリゲネス属の菌体の場合と同様に増殖制限条件下
で回分培養することによりPHBを製造する方法(特開
昭60−214888、特公平03−65154)など
が記載されているが、これらの方法は生産コストが高い
など工業的生産には不十分である。
多くの微生物の菌体内に生成、蓄積され、優れた生物分
解性と生体適合性とを示す熱可塑性高分子であることか
ら、環境にやさしい“クリーン”プラスチックとして注
目され、手術糸や骨折固定用材などの医用材料および医
薬や農薬を徐々に放出する徐放性システムなどの多方面
への応用が永年にわたり期待されてきた。特に、近年、
合成プラスチックが環境汚染や資源環境の観点から深刻
な社会問題になるに至り、PHBは石油に依存しないバ
イオポリマーとして注目され、これまでにもPHBの製
造法がいくつか報告されている(特開昭60−2148
88、特開昭60−251889、特公平02−202
38、特公平03−65154)。これらの公報には、
炭素源(以後、基質ともいう)としてグルコースを用い
て、アルカリゲネス属の菌体を、窒素あるいはリンを制
限するなどの方法による増殖制限条件下で連続培養する
ことによりPHBを製造する方法(特公平02−202
38)や、アゾトバクター属、プロトモナス属の菌体を
アルカリゲネス属の菌体の場合と同様に増殖制限条件下
で回分培養することによりPHBを製造する方法(特開
昭60−214888、特公平03−65154)など
が記載されているが、これらの方法は生産コストが高い
など工業的生産には不十分である。
【0003】即ち、上記の発明では、菌体を増殖させる
ための主栄養素、すなわち炭素源が高価でPHBの製造
コストを低く抑えることができなかったり、連続培養に
よるPHBの蓄積が不十分であったり、二段階培養を行
うなど製造プロセスが複雑であるなどの欠点がある。
ための主栄養素、すなわち炭素源が高価でPHBの製造
コストを低く抑えることができなかったり、連続培養に
よるPHBの蓄積が不十分であったり、二段階培養を行
うなど製造プロセスが複雑であるなどの欠点がある。
【0004】原料(すなわち基質)のコストは、PHB
生産の全体コストにおいて重要な要素である。グルコー
ス、蔗糖等を原料とするPHBの生産法についての記載
が特公平02−20238、特開昭60−214888
にあるが、これらの方法ではPHB生産コストの上昇が
さけられない。安価なメタノールを基質とした培養法に
ついては、例えば特開昭56−117793号明細書の
記載によれば、メタノールを基質としてメチロバクテリ
ウム オルガノフィラム種の微生物を第一の培養槽にお
いて栄養素を制限せずに連続的に培養する。この際、細
胞内にはPHBの蓄積が生じない。次いで、第二の培養
槽へ連続的に移送し第二の培養槽において窒素またはリ
ンを増殖の律速因子として培養する。この際に初めて細
胞内にPHBの蓄積が生じる。明細書中の記載によれば
この方法で得られるPHB含有量は細胞乾燥重量の25
〜47重量%にすぎない。培養槽をシリーズで2槽用い
て二段階培養を行う方法は、プロセスが複雑であること
と満足のいくPHB含量を得られないことの欠点を有し
ている。
生産の全体コストにおいて重要な要素である。グルコー
ス、蔗糖等を原料とするPHBの生産法についての記載
が特公平02−20238、特開昭60−214888
にあるが、これらの方法ではPHB生産コストの上昇が
さけられない。安価なメタノールを基質とした培養法に
ついては、例えば特開昭56−117793号明細書の
記載によれば、メタノールを基質としてメチロバクテリ
ウム オルガノフィラム種の微生物を第一の培養槽にお
いて栄養素を制限せずに連続的に培養する。この際、細
胞内にはPHBの蓄積が生じない。次いで、第二の培養
槽へ連続的に移送し第二の培養槽において窒素またはリ
ンを増殖の律速因子として培養する。この際に初めて細
胞内にPHBの蓄積が生じる。明細書中の記載によれば
この方法で得られるPHB含有量は細胞乾燥重量の25
〜47重量%にすぎない。培養槽をシリーズで2槽用い
て二段階培養を行う方法は、プロセスが複雑であること
と満足のいくPHB含量を得られないことの欠点を有し
ている。
【0005】また、特公平02−20238号明細書中
に、窒素制限下でメタノール基質でメチロバクテリウム
オルガノフィラム NCIB 11483菌株を連続
培養した記載があるが、この条件で達成された最高のP
HB含有量は約11%と低いものである。
に、窒素制限下でメタノール基質でメチロバクテリウム
オルガノフィラム NCIB 11483菌株を連続
培養した記載があるが、この条件で達成された最高のP
HB含有量は約11%と低いものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
技術における上記したような課題を解決し、安価なメタ
ノールを資化し得る細菌を用いてPHBをより安定に、
大量にかつ安価に製造できる連続培養による生産方法を
提供することにある。
技術における上記したような課題を解決し、安価なメタ
ノールを資化し得る細菌を用いてPHBをより安定に、
大量にかつ安価に製造できる連続培養による生産方法を
提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、PHBを
生産する能力を有するメタノール資化性細菌を用いて、
安価にPHBを生産する方法を鋭意検討したところ、こ
れらの細菌を単一の培養槽で窒素の供給速度により増殖
を制限する、いいかえれば増殖速度の制限因子が窒素で
ある窒素律速条件下で連続培養する(以下窒素律速培養
という)に際して、増殖速度の制限因子がない場合の細
菌の世代時間に比較して増殖速度を非常に遅くすること
により、即ち平均滞留時間を非常に長くすることにより
細胞の増殖と並行して多量にPHBを蓄積させ得ること
を見いだし、本発明に到達した。すなわち、本発明はP
HBを生産する能力を有するメタノール資化性細菌を、
メタノールを炭素源として連続培養し、該菌体中にPH
Bを合成蓄積させ、当該菌体からPHBを取得するPH
Bの製造法において、単一の培養槽で平均滞留時間が1
5時間以上になるように窒素の供給速度を制限した連続
培養をすることを特徴とするPHBの製造法である。
生産する能力を有するメタノール資化性細菌を用いて、
安価にPHBを生産する方法を鋭意検討したところ、こ
れらの細菌を単一の培養槽で窒素の供給速度により増殖
を制限する、いいかえれば増殖速度の制限因子が窒素で
ある窒素律速条件下で連続培養する(以下窒素律速培養
という)に際して、増殖速度の制限因子がない場合の細
菌の世代時間に比較して増殖速度を非常に遅くすること
により、即ち平均滞留時間を非常に長くすることにより
細胞の増殖と並行して多量にPHBを蓄積させ得ること
を見いだし、本発明に到達した。すなわち、本発明はP
HBを生産する能力を有するメタノール資化性細菌を、
メタノールを炭素源として連続培養し、該菌体中にPH
Bを合成蓄積させ、当該菌体からPHBを取得するPH
Bの製造法において、単一の培養槽で平均滞留時間が1
5時間以上になるように窒素の供給速度を制限した連続
培養をすることを特徴とするPHBの製造法である。
【0008】本発明において、PHBは −OCH
(CH3 )CH2 CO− なる繰り返し単位から構成
されるポリエステル物質である。本発明に使用される細
菌は、PHBを生産する能力を有し、メタノール資化性
を持つ細菌であればよく、たとえば、メチロバクテリウ
ム属、キサントバクター属、ハイホミクロビウム属、パ
ラコッカス属、メチロバチルス属およびアンキロバクタ
ー属の細菌などが挙げられるが、実用上メチロバクテリ
ウム(Methylobacterium)属の細菌が好ましい。
(CH3 )CH2 CO− なる繰り返し単位から構成
されるポリエステル物質である。本発明に使用される細
菌は、PHBを生産する能力を有し、メタノール資化性
を持つ細菌であればよく、たとえば、メチロバクテリウ
ム属、キサントバクター属、ハイホミクロビウム属、パ
ラコッカス属、メチロバチルス属およびアンキロバクタ
ー属の細菌などが挙げられるが、実用上メチロバクテリ
ウム(Methylobacterium)属の細菌が好ましい。
【0009】培養の窒素源としては、使用する細菌が資
化しうる物質であれば特に制限はなく、例えばアンモニ
ア、尿素、硝酸あるいは酵母エキス、麦芽エキスなどの
有機窒素含有物が用いられる。無機塩類としてリン酸
塩、カリウム塩、ナトリウム塩、硝酸塩およびマグネシ
ウム、鉄、カルシウム、亜鉛、マンガン、コバルト、
銅、モリブデン等の金属塩が用いられる。
化しうる物質であれば特に制限はなく、例えばアンモニ
ア、尿素、硝酸あるいは酵母エキス、麦芽エキスなどの
有機窒素含有物が用いられる。無機塩類としてリン酸
塩、カリウム塩、ナトリウム塩、硝酸塩およびマグネシ
ウム、鉄、カルシウム、亜鉛、マンガン、コバルト、
銅、モリブデン等の金属塩が用いられる。
【0010】培養条件は、使用する菌株により異なる
が、一般的には、温度は25〜40℃、好ましくは30
〜38℃とされる。良好なPHB生産性を得る最適温度
は、菌株により異なることが多い。また、pHは5〜
8、好ましくは6.0〜7.5が用いられる。このよう
な条件で好気的に培養されるが、そのために空気、又は
酸素を通気し、かつ酸素を培養液に有効に溶け込ませる
ために必要に応じて攪拌する。一般的には培養液中の溶
存酸素濃度は0.3ppm以上が望ましい。
が、一般的には、温度は25〜40℃、好ましくは30
〜38℃とされる。良好なPHB生産性を得る最適温度
は、菌株により異なることが多い。また、pHは5〜
8、好ましくは6.0〜7.5が用いられる。このよう
な条件で好気的に培養されるが、そのために空気、又は
酸素を通気し、かつ酸素を培養液に有効に溶け込ませる
ために必要に応じて攪拌する。一般的には培養液中の溶
存酸素濃度は0.3ppm以上が望ましい。
【0011】培養槽の形式は、通気攪拌槽であればいず
れでも使用可能であり、例えば機械的攪拌槽、エアーリ
フト式培養槽および気泡塔型培養槽などを利用すること
ができる。培地の供給方法は、炭素源、窒素源、各種無
機塩類、各種添加剤などが、一括してあるいは個別に連
続的あるいは間欠的に供給される。たとえば、メタノー
ルは他の培地成分との混合物として培養槽に供給しても
よく、また他の培地成分とは別に独立して培養槽に供給
することもできる。培養液のpH制御は、窒素律速培養
によらない場合は、アンモニアを用いてpHを制御でき
る。本発明による窒素律速培養条件を用いる場合には、
非窒素系塩基、例えば苛性ソーダ、苛性カリなどを用い
てpHを制御するのが望ましい。
れでも使用可能であり、例えば機械的攪拌槽、エアーリ
フト式培養槽および気泡塔型培養槽などを利用すること
ができる。培地の供給方法は、炭素源、窒素源、各種無
機塩類、各種添加剤などが、一括してあるいは個別に連
続的あるいは間欠的に供給される。たとえば、メタノー
ルは他の培地成分との混合物として培養槽に供給しても
よく、また他の培地成分とは別に独立して培養槽に供給
することもできる。培養液のpH制御は、窒素律速培養
によらない場合は、アンモニアを用いてpHを制御でき
る。本発明による窒素律速培養条件を用いる場合には、
非窒素系塩基、例えば苛性ソーダ、苛性カリなどを用い
てpHを制御するのが望ましい。
【0012】PHBの蓄積には通常、炭素源以外の培地
成分を制限する方法が用いられる。窒素、リン、イオ
ウ、カリ、および微量元素、例えばマンガン、亜鉛、銅
などの成分を制限するのが好ましい。本発明の場合には
窒素が制限される。窒素は、アンモニウム塩、又はアン
モニアガス、あるいはアンモニア水で供給するのが便利
である。例えば、アンモニアガス、又はアンモニア水を
窒素源として供給する場合、連続的に供給する他の培地
成分とは別にアンモニアガス又はアンモニア水を一定量
連続的に供給する方法が用いられる。アンモニウム塩と
して供給する場合は、連続的に供給する培地成分ととも
に培地に溶解して用いることができる。このようにして
供給する窒素源を菌体が活発に増殖するうえで必要とさ
れる量より減少させ、すなわち窒素供給速度を菌体増殖
の制限因子になるように制限して行う培養法が用いられ
る。
成分を制限する方法が用いられる。窒素、リン、イオ
ウ、カリ、および微量元素、例えばマンガン、亜鉛、銅
などの成分を制限するのが好ましい。本発明の場合には
窒素が制限される。窒素は、アンモニウム塩、又はアン
モニアガス、あるいはアンモニア水で供給するのが便利
である。例えば、アンモニアガス、又はアンモニア水を
窒素源として供給する場合、連続的に供給する他の培地
成分とは別にアンモニアガス又はアンモニア水を一定量
連続的に供給する方法が用いられる。アンモニウム塩と
して供給する場合は、連続的に供給する培地成分ととも
に培地に溶解して用いることができる。このようにして
供給する窒素源を菌体が活発に増殖するうえで必要とさ
れる量より減少させ、すなわち窒素供給速度を菌体増殖
の制限因子になるように制限して行う培養法が用いられ
る。
【0013】培養液中の残存窒素濃度の測定は、窒素源
としてアンモニアあるいはアンモニア化物を用いた場合
には、常法によりアンモニウムイオン電極、又はイオン
クロマトグラフィ(1ppmまで測定可能)によりアン
モニウムイオン濃度として連続的に測定されるが、本発
明の培養法によれば、実質的にアンモニウムイオンが検
出できない程度となる。ただし混合特性の悪いときは、
培養液中の残存アンモニウムイオンは、部分的に数pp
mを示すことがあり得る。
としてアンモニアあるいはアンモニア化物を用いた場合
には、常法によりアンモニウムイオン電極、又はイオン
クロマトグラフィ(1ppmまで測定可能)によりアン
モニウムイオン濃度として連続的に測定されるが、本発
明の培養法によれば、実質的にアンモニウムイオンが検
出できない程度となる。ただし混合特性の悪いときは、
培養液中の残存アンモニウムイオンは、部分的に数pp
mを示すことがあり得る。
【0014】連続培養系で定常状態を保つ方法として
は、基質の節約という立場から基質の供給速度を制限し
ながら培養する、いわゆる基質律速培養によるものが一
般的であるが、本発明における培養法は前記の基質律速
培養とは異なり、培養槽への窒素供給速度を制限するこ
とにより定常状態を保ちながら培養を行う、すなわち増
殖を制限する因子が唯一窒素のみである窒素律速培養法
である。
は、基質の節約という立場から基質の供給速度を制限し
ながら培養する、いわゆる基質律速培養によるものが一
般的であるが、本発明における培養法は前記の基質律速
培養とは異なり、培養槽への窒素供給速度を制限するこ
とにより定常状態を保ちながら培養を行う、すなわち増
殖を制限する因子が唯一窒素のみである窒素律速培養法
である。
【0015】本発明の連続培養に切り替えられた後は、
窒素源の供給を調節して培養液中の残存アンモニウム濃
度を通常使用されるイオン分析計では検出できない程に
低くすると同時に、培養液中の残存メタノール濃度が一
定となるように培地供給量、又はメタノール供給量を制
御する。工業的にはメタノール供給量および培地供給量
は、残存メタノール濃度をガスクロマトグラフィなどの
分析計により経時的に測定し、その信号により自動的に
調節される。培養液中のメタノール濃度は通常は10〜
3000ppm程度、好ましくは200〜2000pp
m程度に維持される。残存メタノール濃度は、培養廃ガ
ス中のメタノールを炭化水素計あるいは、ガスクロマト
グラフィ等の分析計により測定することによっても知る
ことができる。このようにして、一定の通気条件下で一
定の定常状態が得られ、この定常状態においては菌の増
殖を制限しているのは窒素のみである。
窒素源の供給を調節して培養液中の残存アンモニウム濃
度を通常使用されるイオン分析計では検出できない程に
低くすると同時に、培養液中の残存メタノール濃度が一
定となるように培地供給量、又はメタノール供給量を制
御する。工業的にはメタノール供給量および培地供給量
は、残存メタノール濃度をガスクロマトグラフィなどの
分析計により経時的に測定し、その信号により自動的に
調節される。培養液中のメタノール濃度は通常は10〜
3000ppm程度、好ましくは200〜2000pp
m程度に維持される。残存メタノール濃度は、培養廃ガ
ス中のメタノールを炭化水素計あるいは、ガスクロマト
グラフィ等の分析計により測定することによっても知る
ことができる。このようにして、一定の通気条件下で一
定の定常状態が得られ、この定常状態においては菌の増
殖を制限しているのは窒素のみである。
【0016】本発明における連続培養初期における培養
液中の菌体濃度(乾燥菌体基準、以下同様)は特に制限
はないが、通常は本発明の定常状態時の菌体濃度と同程
度か、やや低い濃度に到達したのち本連続培養へ移行す
ることが望ましい。また、本発明における連続培養中に
おける培養液中の菌体濃度は通常10〜100g/lで
ある。菌の増殖速度を変えるには、窒素供給速度を調節
することにより任意に変更できる。即ち、増殖速度を速
くする(平均滞留時間を短くする)には窒素供給速度を
大きくするように条件を選択すればよく、逆に増殖速度
を遅くする(平均滞留時間を長くする)には窒素供給速
度を小さくするように条件を選択すればよい。
液中の菌体濃度(乾燥菌体基準、以下同様)は特に制限
はないが、通常は本発明の定常状態時の菌体濃度と同程
度か、やや低い濃度に到達したのち本連続培養へ移行す
ることが望ましい。また、本発明における連続培養中に
おける培養液中の菌体濃度は通常10〜100g/lで
ある。菌の増殖速度を変えるには、窒素供給速度を調節
することにより任意に変更できる。即ち、増殖速度を速
くする(平均滞留時間を短くする)には窒素供給速度を
大きくするように条件を選択すればよく、逆に増殖速度
を遅くする(平均滞留時間を長くする)には窒素供給速
度を小さくするように条件を選択すればよい。
【0017】本発明の窒素供給速度制限下での連続培養
に先立って、菌を活発に増殖させて培養液中の菌濃度が
所定値となるまで予備培養が行われる。予備培養とし
て、たとえば基質およびその他の培地成分ならびに酸素
を十分に供給しつつ行われる回分培養、もしくは窒素の
みを制限して行われる回分培養、またはこれらの回分培
養に引き続いて基質およびその他の培地成分ならびに窒
素を十分に供給しつつ行われる連続培養などがある。予
備培養は通常の方法により行われ、培養温度、pH、基
質および培地成分ならびに培地もしくは培養液中の基質
濃度などは前記の本発明の連続培養におけるものと同様
である。予備培養に引き続き、前記の窒素供給速度を制
限した連続培養が行われる。窒素の供給速度を小さく
し、培養槽での平均滞留時間を長くするに伴ない菌体中
のPHB含有量は増加し、平均滞留時間を15時間以上
とした時に飛躍的なPHB含有量の増加が認められる。
に先立って、菌を活発に増殖させて培養液中の菌濃度が
所定値となるまで予備培養が行われる。予備培養とし
て、たとえば基質およびその他の培地成分ならびに酸素
を十分に供給しつつ行われる回分培養、もしくは窒素の
みを制限して行われる回分培養、またはこれらの回分培
養に引き続いて基質およびその他の培地成分ならびに窒
素を十分に供給しつつ行われる連続培養などがある。予
備培養は通常の方法により行われ、培養温度、pH、基
質および培地成分ならびに培地もしくは培養液中の基質
濃度などは前記の本発明の連続培養におけるものと同様
である。予備培養に引き続き、前記の窒素供給速度を制
限した連続培養が行われる。窒素の供給速度を小さく
し、培養槽での平均滞留時間を長くするに伴ない菌体中
のPHB含有量は増加し、平均滞留時間を15時間以上
とした時に飛躍的なPHB含有量の増加が認められる。
【0018】このようにして得られた培養液から、濾過
または遠心分離などの通常の固液分離によって菌体を分
離回収し、必要に応じて水などで洗浄して菌体を得る。
このようにして得られた菌体から、又は、さらに所望に
より超音波処理などで破壊された菌体から、たとえばク
ロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化
炭化水素を抽剤として抽出して得られたPHB抽出液か
ら、これと貧溶媒とを混合するなどにより凝固沈澱させ
るなどのそれ自体公知の手段で処理してPHBを分離す
る。必要に応じてさらに精製して高純度のPHBを得る
ことができる。
または遠心分離などの通常の固液分離によって菌体を分
離回収し、必要に応じて水などで洗浄して菌体を得る。
このようにして得られた菌体から、又は、さらに所望に
より超音波処理などで破壊された菌体から、たとえばク
ロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化
炭化水素を抽剤として抽出して得られたPHB抽出液か
ら、これと貧溶媒とを混合するなどにより凝固沈澱させ
るなどのそれ自体公知の手段で処理してPHBを分離す
る。必要に応じてさらに精製して高純度のPHBを得る
ことができる。
【0019】
【実施例】次に本発明を実施例によりさらに具体的に説
明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるもの
ではない。 実施例1 プロトモナス エクストルクエンス(Protomonas extor
quens )K(微工研菌寄第8395号)を使用した。な
お、最近の文献によれば本菌は、メチロバクテリウム
(Methylobacterium)属に属するとされている(I.J.Bo
usfield and P.N.Green;Int.J.Syst.Bacteriol.,35,209
(1985)、T.Urakami et al.;Int.J.Syst.Bacteriol., 4
3,504-513(1993))。
明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるもの
ではない。 実施例1 プロトモナス エクストルクエンス(Protomonas extor
quens )K(微工研菌寄第8395号)を使用した。な
お、最近の文献によれば本菌は、メチロバクテリウム
(Methylobacterium)属に属するとされている(I.J.Bo
usfield and P.N.Green;Int.J.Syst.Bacteriol.,35,209
(1985)、T.Urakami et al.;Int.J.Syst.Bacteriol., 4
3,504-513(1993))。
【0020】工業用水1L当たり、つぎの組成を有する
回分培養用培地(培地A)を調製した。 回分培養用培地の組成 (培地A) メタノール 5 g KH2 PO4 3 g (NH4 )2 SO4 1 g MgSO4 ・7H2 O 1 g 酵母エキス 0.2g FeC6 H5 O7 ・xH2 O 60 mg ZnSO4 ・7H2 O 20 mg MnCl2 ・4H2 O 10 mg CaCl2 ・2H2 O 40 mg CuSO4 ・5H2 O 1 mg KI 1 mg ( NH4)6 Mo7 O24・4H2 O 1 mg CoCl2 ・6H2 O 1 mg H3 BO3 1 mg NaCl 50 mg
回分培養用培地(培地A)を調製した。 回分培養用培地の組成 (培地A) メタノール 5 g KH2 PO4 3 g (NH4 )2 SO4 1 g MgSO4 ・7H2 O 1 g 酵母エキス 0.2g FeC6 H5 O7 ・xH2 O 60 mg ZnSO4 ・7H2 O 20 mg MnCl2 ・4H2 O 10 mg CaCl2 ・2H2 O 40 mg CuSO4 ・5H2 O 1 mg KI 1 mg ( NH4)6 Mo7 O24・4H2 O 1 mg CoCl2 ・6H2 O 1 mg H3 BO3 1 mg NaCl 50 mg
【0021】3L容培養槽に、この培地Aを1.5L張
り込み、120℃で20分間加熱滅菌し、冷却後、アン
モニア水でpH6.5に調整し、これに別に調製された
種母200mlを植菌し、空気を通気しつつ32℃で回
分培養を行った。回分培養時のpHは、25%アンモニ
ア水で6.5に自動制御した。培養液中のメタノール濃
度は、ガスクロマトグラフィにより連続的に測定し、5
00〜1500ppmの範囲になるように自動的にメタ
ノールを供給した。なお、攪拌機回転数を1000rp
m、通気量を1vvmとした。菌体濃度が約15g/l
に達した時点で、pH調節用の25%アンモニア水を、
25%苛性ソーダ液に切り替え、メタノールの供給を停
止するとともに、別に調製された連続用培地(培地B)
の連続供給と培養液の連続排出とを開始し、連続培養に
移行した。
り込み、120℃で20分間加熱滅菌し、冷却後、アン
モニア水でpH6.5に調整し、これに別に調製された
種母200mlを植菌し、空気を通気しつつ32℃で回
分培養を行った。回分培養時のpHは、25%アンモニ
ア水で6.5に自動制御した。培養液中のメタノール濃
度は、ガスクロマトグラフィにより連続的に測定し、5
00〜1500ppmの範囲になるように自動的にメタ
ノールを供給した。なお、攪拌機回転数を1000rp
m、通気量を1vvmとした。菌体濃度が約15g/l
に達した時点で、pH調節用の25%アンモニア水を、
25%苛性ソーダ液に切り替え、メタノールの供給を停
止するとともに、別に調製された連続用培地(培地B)
の連続供給と培養液の連続排出とを開始し、連続培養に
移行した。
【0022】連続用培地の組成は、下記のごとくであ
り、120℃で20分間加熱滅菌し、冷却後使用した。
ただしメタノールは、ミクロフィルターで除菌濾過して
注入した。 連続培養用培地組成 (培地B) 工業用水1L当り メタノール 120 g KH2 PO4 6 g MgSO4 ・7H2 O 2 g (NH4 )2 SO4 1 g FeC6 H5 O7 ・xH2 O 120 mg ZnSO4 ・7H2 O 40 mg MnCl2 ・4H2 O 20 mg CaCl2 ・2H2 O 80 mg CuSO4 ・5H2 O 2 mg KI 2 mg ( NH4)6 Mo7 O24・4H2 O 2 mg CoCl2 ・6H2 O 2 mg H3 BO3 2 mg NaCl 100 mg 消泡剤(Silicone KM-75) 2 g
り、120℃で20分間加熱滅菌し、冷却後使用した。
ただしメタノールは、ミクロフィルターで除菌濾過して
注入した。 連続培養用培地組成 (培地B) 工業用水1L当り メタノール 120 g KH2 PO4 6 g MgSO4 ・7H2 O 2 g (NH4 )2 SO4 1 g FeC6 H5 O7 ・xH2 O 120 mg ZnSO4 ・7H2 O 40 mg MnCl2 ・4H2 O 20 mg CaCl2 ・2H2 O 80 mg CuSO4 ・5H2 O 2 mg KI 2 mg ( NH4)6 Mo7 O24・4H2 O 2 mg CoCl2 ・6H2 O 2 mg H3 BO3 2 mg NaCl 100 mg 消泡剤(Silicone KM-75) 2 g
【0023】連続用培地の供給と並行して25%アンモ
ニア水を連続的に供給した。アンモニア水の供給速度
は、連続用培地として供給されるメタノールの供給速度
に連動して、すなわちメタノールとアンモニアの供給モ
ル比(以下C/N比と記す)が25となるように供給し
た。培養液中のメタノール濃度は、メタノールの損失を
少なくするため、可能な限り低くし、300〜500p
pmに制御した。イオンクロマトグラフィで培養液中の
アンモニウムイオン濃度を連続的に測定したが、連続培
養へ移行後、アンモニウムイオン濃度は次第に低下し、
まもなく検出限界(1ppm)以下となった。平均滞留
時間が約40時間で定常状態となった。この条件で10
日間培養を継続したが、培養結果は安定していた。この
時の培養液中には約57%のPHBを含んだ菌体が1L
当り42g存在した。メタノール1g当りの菌体収量は
0.35gであり、PHBの収量は0.20gであっ
た。その後、アンモニア供給速度を変更することにより
平均滞留時間を変更し、平均滞留時間とPHB含有量と
の関係を調べた。結果を表1に示した。
ニア水を連続的に供給した。アンモニア水の供給速度
は、連続用培地として供給されるメタノールの供給速度
に連動して、すなわちメタノールとアンモニアの供給モ
ル比(以下C/N比と記す)が25となるように供給し
た。培養液中のメタノール濃度は、メタノールの損失を
少なくするため、可能な限り低くし、300〜500p
pmに制御した。イオンクロマトグラフィで培養液中の
アンモニウムイオン濃度を連続的に測定したが、連続培
養へ移行後、アンモニウムイオン濃度は次第に低下し、
まもなく検出限界(1ppm)以下となった。平均滞留
時間が約40時間で定常状態となった。この条件で10
日間培養を継続したが、培養結果は安定していた。この
時の培養液中には約57%のPHBを含んだ菌体が1L
当り42g存在した。メタノール1g当りの菌体収量は
0.35gであり、PHBの収量は0.20gであっ
た。その後、アンモニア供給速度を変更することにより
平均滞留時間を変更し、平均滞留時間とPHB含有量と
の関係を調べた。結果を表1に示した。
【0024】PHBの分析は以下により行った。菌体を
遠心分離機で集菌した後、純水で2回洗浄し、これを熱
風乾燥(100℃)して乾燥菌体を得た。約80mgの乾
燥菌体をスクリューキャップ付き試験管にとり、クロロ
ホルム1ml、内部標準入りメタノール−硫酸溶液(内
部標準:安息香酸200mg/100ml、硫酸3.5
容量%)1mlを加え、120℃で90分加熱処理し、
菌体に含まれているポリマーの分解およびメチルエステ
ル化を行った。反応終了後純水を1ml加え、激しく攪
拌した後、遠心分離を行い有機溶媒層を得た。この有機
溶媒層をガスクロマトグラフィーで分析することによ
り、PHB成分含量を算出した。 ガスクロマトグラフィー分析条件 装置:島津GC−7AG カラム:Reoplex 400 chromosor
b G AW−DMCS 10% (60〜80mesh) カラム温度: 160℃ 注入口温度: 250℃
遠心分離機で集菌した後、純水で2回洗浄し、これを熱
風乾燥(100℃)して乾燥菌体を得た。約80mgの乾
燥菌体をスクリューキャップ付き試験管にとり、クロロ
ホルム1ml、内部標準入りメタノール−硫酸溶液(内
部標準:安息香酸200mg/100ml、硫酸3.5
容量%)1mlを加え、120℃で90分加熱処理し、
菌体に含まれているポリマーの分解およびメチルエステ
ル化を行った。反応終了後純水を1ml加え、激しく攪
拌した後、遠心分離を行い有機溶媒層を得た。この有機
溶媒層をガスクロマトグラフィーで分析することによ
り、PHB成分含量を算出した。 ガスクロマトグラフィー分析条件 装置:島津GC−7AG カラム:Reoplex 400 chromosor
b G AW−DMCS 10% (60〜80mesh) カラム温度: 160℃ 注入口温度: 250℃
【0025】
【表1】 表1 平均滞留時間 PHB含有量 対メタノール 菌体収率 対メタノール PHB収率 (hr) (%) (g/g) (g/g) 10 14 0.36 0.05 15 32 0.36 0.12 20 40 0.35 0.14 40 57 0.35 0.20 65 65 0.36 0.23
【0026】表1は平均滞留時間と、菌体中のPHB含
有量、対メタノール菌体収率及び対メタノールPHB収
率のそれぞれとの関係を示している。表1から本発明の
窒素律速連続培養においては平均滞留時間が長くなるに
伴ない菌体中のPHB含有量が増加し、平均滞留時間を
15時間以上としたときにPHB含有量の顕著な増加が
認められることがわかる。
有量、対メタノール菌体収率及び対メタノールPHB収
率のそれぞれとの関係を示している。表1から本発明の
窒素律速連続培養においては平均滞留時間が長くなるに
伴ない菌体中のPHB含有量が増加し、平均滞留時間を
15時間以上としたときにPHB含有量の顕著な増加が
認められることがわかる。
【0027】比較例1 窒素律速連続培養を基質律速連続培養に変えたほかは、
実施例1と同様にして菌を培養した。連続培養時のpH
制御用の苛性ソーダをアンモニア水に変更することによ
り、供給窒素量を制限せずに行った。培地の供給速度を
変更することにより平均滞留時間を変更した。平均滞留
時間を40時間としたときのPHB含有量は0%であっ
た。この時の培養液中のアンモニウムイオン濃度は80
0〜1000ppmであった。培養液中にメタノールは
検出されなかった。培地の供給速度を変更することによ
り平均滞留時間を変更し、滞留時間とPHB含有量との
関係を見たが、いずれの条件においてもPHB含有量は
0〜7%と非常に低いものであった。
実施例1と同様にして菌を培養した。連続培養時のpH
制御用の苛性ソーダをアンモニア水に変更することによ
り、供給窒素量を制限せずに行った。培地の供給速度を
変更することにより平均滞留時間を変更した。平均滞留
時間を40時間としたときのPHB含有量は0%であっ
た。この時の培養液中のアンモニウムイオン濃度は80
0〜1000ppmであった。培養液中にメタノールは
検出されなかった。培地の供給速度を変更することによ
り平均滞留時間を変更し、滞留時間とPHB含有量との
関係を見たが、いずれの条件においてもPHB含有量は
0〜7%と非常に低いものであった。
【0028】実施例2 プロトモナス エクストルクエンス(Protomonas extor
quens )K(微工研菌寄第8395号)を使用した。3
L容培養槽に、培地Aを1.5L張り込み、120℃で
20分間加熱滅菌し、冷却後、アンモニア水でpH6.
5に調整し、これに別に調製された種母 200mlを
植菌し、空気を通気しつつ33℃で回分培養を行った。
回分培養時のpHは、25%アンモニア水で6.5に自
動制御した。培養液中のメタノール濃度は、ガスクロマ
トグラフィにより連続的に測定し、500〜1500p
pmの範囲になるように自動的にメタノールを供給し
た。攪拌機回転数を1450rpm、通気量を1vvm
とした。菌体濃度が約10g/lに達した時点で、pH
調節用の25%アンモニア水を、25%苛性ソーダ液に
切り替え、別に調製された(NH4 )2 SO4 添加量を
10g/lとした連続用培地(培地C)の連続供給と培
養液の連続排出とを開始し、連続培養に移行した。メタ
ノールは回分培養に引き続き、培地Cとは別途に、自動
的に供給された。消泡剤としてPPG(ポリプロピレン
グリコール)をメタノール中へ1%添加して使用した。
quens )K(微工研菌寄第8395号)を使用した。3
L容培養槽に、培地Aを1.5L張り込み、120℃で
20分間加熱滅菌し、冷却後、アンモニア水でpH6.
5に調整し、これに別に調製された種母 200mlを
植菌し、空気を通気しつつ33℃で回分培養を行った。
回分培養時のpHは、25%アンモニア水で6.5に自
動制御した。培養液中のメタノール濃度は、ガスクロマ
トグラフィにより連続的に測定し、500〜1500p
pmの範囲になるように自動的にメタノールを供給し
た。攪拌機回転数を1450rpm、通気量を1vvm
とした。菌体濃度が約10g/lに達した時点で、pH
調節用の25%アンモニア水を、25%苛性ソーダ液に
切り替え、別に調製された(NH4 )2 SO4 添加量を
10g/lとした連続用培地(培地C)の連続供給と培
養液の連続排出とを開始し、連続培養に移行した。メタ
ノールは回分培養に引き続き、培地Cとは別途に、自動
的に供給された。消泡剤としてPPG(ポリプロピレン
グリコール)をメタノール中へ1%添加して使用した。
【0029】 連続培養用培地組成 (培地C) 工業用水1L当り KH2 PO4 6 g MgSO4 ・7H2 O 2 g (NH4 )2 SO4 10 g FeC6 H5 O7 ・xH2 O 120 mg ZnSO4 ・7H2 O 40 mg MnCl2 ・4H2 O 20 mg CaCl2 ・2H2 O 80 mg CuSO4 ・5H2 O 2 mg KI 2 mg ( NH4)6 Mo7 O24・4H2 O 2 mg CoCl2 ・6H2 O 2 mg H3 BO3 2 mg NaCl 100 mg
【0030】培地の供給速度は、平均滞留時間が、40
時間となるように調製した。培養液中のメタノール濃度
は、メタノールの損失を少なくするため、可能な限り低
くし、300〜500ppmに制御した。イオンクロマ
トグラフィで培養液中のアンモニウムイオン濃度を連続
的に測定したが、連続培養へ移行後、アンモニウムイオ
ン濃度は次第に低下し、まもなく検出限界(1ppm)
以下となった。平均滞留時間が約40時間で定常状態と
なった。この時のメタノール供給速度と連続用培地とし
て供給されるアンモニウムイオンの供給速度は、C/N
比として25であった。この条件で10日間培養を継続
したが、培養結果は安定していた。この時の培養液中に
は約60%のPHBを含んだ菌体が1L当り43.2g
存在した。メタノール1g当りの菌体収量は0.36g
であり、PHBの収量は0.22gであった。
時間となるように調製した。培養液中のメタノール濃度
は、メタノールの損失を少なくするため、可能な限り低
くし、300〜500ppmに制御した。イオンクロマ
トグラフィで培養液中のアンモニウムイオン濃度を連続
的に測定したが、連続培養へ移行後、アンモニウムイオ
ン濃度は次第に低下し、まもなく検出限界(1ppm)
以下となった。平均滞留時間が約40時間で定常状態と
なった。この時のメタノール供給速度と連続用培地とし
て供給されるアンモニウムイオンの供給速度は、C/N
比として25であった。この条件で10日間培養を継続
したが、培養結果は安定していた。この時の培養液中に
は約60%のPHBを含んだ菌体が1L当り43.2g
存在した。メタノール1g当りの菌体収量は0.36g
であり、PHBの収量は0.22gであった。
【0031】実施例3 菌株としてハイホミクロビウム メチロボラム(Hyphom
icrobium methylovorum )IFO 14180を用いた
ほかは、実施例1と同様に行った。結果を表2に示し
た。
icrobium methylovorum )IFO 14180を用いた
ほかは、実施例1と同様に行った。結果を表2に示し
た。
【0032】実施例4 菌株としてハイホミクロビウム ホウランディカム(Hy
phomicrobium hollandicum)ATCC 27498を用
いたほかは、実施例1と同様に行った。結果を表2に示
した。
phomicrobium hollandicum)ATCC 27498を用
いたほかは、実施例1と同様に行った。結果を表2に示
した。
【0033】実施例5 菌株としてメチロバチルス グリコゲネス(Methylobac
illus glycogenes)ATCC 29475を用いたほか
は、実施例1と同様に行った。結果を表2に示した。
illus glycogenes)ATCC 29475を用いたほか
は、実施例1と同様に行った。結果を表2に示した。
【0034】
【表2】 表2 平均 対メタノール 対メタノール 菌 株 滞留時間 菌体濃度 PHB 収率 菌体収率 PHB 収率 (hr) (g/l ) (%) (g/g ) (g/g ) IFO-14180 37.2 45.1 48.8 0.38 0.18 ATCC-27498 39.7 40.6 56.7 0.34 0.19 ATCC-29475 43.3 40.3 60.0 0.34 0.20 微工研菌寄-8395 40.3 42.0 57.5 0.35 0.20
【0035】実施例6 プロトモナス エクストルクエンス(Protomonas extor
quens )K(微工研菌寄第8395号)を使用した。3
0L容培養槽に、実施例1と同様の培地Aを15L張り
込み、120℃で20分間加熱滅菌し、冷却後、アンモ
ニア水でpH6.5に調整し、これに別に調製された種
母200mlを植菌し、空気を通気しつつ33℃で回分
培養を行った。回分培養時のpHは、25%アンモニア
水で6.5に自動制御した。培養液中のメタノール濃度
は、廃ガス中のメタノール濃度を炭化水素計により連続
的に測定し、500〜1500ppmの範囲になるよう
に自動的にメタノールを供給した。攪拌機回転数を80
0rpm、通気量を1vvmとした。菌体濃度が約15
g/lに達した時点で、pH調節用の25%アンモニア
水を、25%苛性ソーダ液に切り替え、メタノールの供
給を停止するとともに、実施例1と同様の連続用培地
(培地B)の連続供給と培養液の連続排出とを開始し、
連続培養に移行した。連続用培地の供給と並行して25
%アンモニア水を連続的に供給した。アンモニア水の供
給速度は、連続用培地として供給されるメタノールの供
給速度に連動して、すなわちC/N比が25となるよう
に供給した。培養液中のメタノール濃度は、メタノール
の損失を少なくするため、可能な限り低くし、300〜
500ppmに制御した。イオンクロマトグラフィで培
養液中のアンモニウムイオン濃度を連続的に測定した
が、連続培養へ移行後、アンモニウムイオン濃度は次第
に低下し、まもなく検出限界(1ppm)以下となっ
た。平均滞留時間が約40時間で定常状態となった。
quens )K(微工研菌寄第8395号)を使用した。3
0L容培養槽に、実施例1と同様の培地Aを15L張り
込み、120℃で20分間加熱滅菌し、冷却後、アンモ
ニア水でpH6.5に調整し、これに別に調製された種
母200mlを植菌し、空気を通気しつつ33℃で回分
培養を行った。回分培養時のpHは、25%アンモニア
水で6.5に自動制御した。培養液中のメタノール濃度
は、廃ガス中のメタノール濃度を炭化水素計により連続
的に測定し、500〜1500ppmの範囲になるよう
に自動的にメタノールを供給した。攪拌機回転数を80
0rpm、通気量を1vvmとした。菌体濃度が約15
g/lに達した時点で、pH調節用の25%アンモニア
水を、25%苛性ソーダ液に切り替え、メタノールの供
給を停止するとともに、実施例1と同様の連続用培地
(培地B)の連続供給と培養液の連続排出とを開始し、
連続培養に移行した。連続用培地の供給と並行して25
%アンモニア水を連続的に供給した。アンモニア水の供
給速度は、連続用培地として供給されるメタノールの供
給速度に連動して、すなわちC/N比が25となるよう
に供給した。培養液中のメタノール濃度は、メタノール
の損失を少なくするため、可能な限り低くし、300〜
500ppmに制御した。イオンクロマトグラフィで培
養液中のアンモニウムイオン濃度を連続的に測定した
が、連続培養へ移行後、アンモニウムイオン濃度は次第
に低下し、まもなく検出限界(1ppm)以下となっ
た。平均滞留時間が約40時間で定常状態となった。
【0036】この時の培養液中には約55%のPHBを
含んだ菌体が1L当り40g存在した。この条件で40
日間培養を継続したが、培養経過に伴ないPHB含有
量、菌体濃度が徐々に増加する傾向を見せた。20日間
経過後にはPHB含有量62%、菌体濃度45g/lと
なり、40日間経過後にはPHB含有量65%、菌体濃
度47g/lとなった。この時のメタノール1g当りの
菌体収量は0.39gであり、PHBの収量は0.25
gであった。
含んだ菌体が1L当り40g存在した。この条件で40
日間培養を継続したが、培養経過に伴ないPHB含有
量、菌体濃度が徐々に増加する傾向を見せた。20日間
経過後にはPHB含有量62%、菌体濃度45g/lと
なり、40日間経過後にはPHB含有量65%、菌体濃
度47g/lとなった。この時のメタノール1g当りの
菌体収量は0.39gであり、PHBの収量は0.25
gであった。
【0037】
【発明の効果】本発明によりPHBを、大規模に、しか
も経済的かつ安定的に生産することが可能となった。本
発明によるPHB生産は、連続培養プロセスであるので
最適条件に設定した後の運転管理が容易であり、従来の
回分培養の繰り返しで行うプロセスに比べ、滅菌作業、
種母の調製等の作業の簡素化が可能であり、飛躍的な省
力化がはかれる。更に原料(基質)がメタノールである
ので、原料コストが非常に安価となるが、基質がメタノ
ールである更によい点は、非常に限定された基質である
ため、一般性細菌による雑菌汚染がなく、長期間の安定
した連続培養が容易に継続できることにある。
も経済的かつ安定的に生産することが可能となった。本
発明によるPHB生産は、連続培養プロセスであるので
最適条件に設定した後の運転管理が容易であり、従来の
回分培養の繰り返しで行うプロセスに比べ、滅菌作業、
種母の調製等の作業の簡素化が可能であり、飛躍的な省
力化がはかれる。更に原料(基質)がメタノールである
ので、原料コストが非常に安価となるが、基質がメタノ
ールである更によい点は、非常に限定された基質である
ため、一般性細菌による雑菌汚染がなく、長期間の安定
した連続培養が容易に継続できることにある。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年2月22日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 ポリ−3−ヒドロキシ酪酸の製造法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリ−3−ヒドロキシ酪
酸(以下PHBと記す)の製造法に関するものである。
酸(以下PHBと記す)の製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】PHBは、エネルギー貯蔵物質として数
多くの微生物の菌体内に生成、蓄積され、優れた生物分
解性と生体適合性とを示す熱可塑性高分子であることか
ら、環境にやさしい“クリーン”プラスチックとして注
目され、手術糸や骨折固定用材などの医用材料および医
薬や農薬を徐々に放出する徐放性システムなどの多方面
への応用が永年にわたり期待されてきた。特に、近年、
合成プラスチックが環境汚染や資源環境の観点から深刻
な社会問題になるに至り、PHBは石油に依存しないバ
イオポリマーとして注目され、これまでにもPHBの製
造法がいくつか報告されている(特開昭60−2148
88、特開昭60−251889、特公平02−202
38、特公平03−65154)。これらの公報には、
炭素源(以後、基質ともいう)としてグルコースを用い
て、アルカリゲネス属の菌体を、窒素あるいはリンを制
限するなどの方法による増殖制限条件下で連続培養する
ことによりPHBを製造する方法(特公平02−202
38)や、アゾトバクター属、プロトモナス属の菌体を
アルカリゲネス属の菌体の場合と同様に増殖制限条件下
で回分培養することによりPHBを製造する方法(特開
昭60−214888、特公平03−65154)など
が記載されているが、これらの方法は生産コストが高い
など工業的生産には不十分である。
多くの微生物の菌体内に生成、蓄積され、優れた生物分
解性と生体適合性とを示す熱可塑性高分子であることか
ら、環境にやさしい“クリーン”プラスチックとして注
目され、手術糸や骨折固定用材などの医用材料および医
薬や農薬を徐々に放出する徐放性システムなどの多方面
への応用が永年にわたり期待されてきた。特に、近年、
合成プラスチックが環境汚染や資源環境の観点から深刻
な社会問題になるに至り、PHBは石油に依存しないバ
イオポリマーとして注目され、これまでにもPHBの製
造法がいくつか報告されている(特開昭60−2148
88、特開昭60−251889、特公平02−202
38、特公平03−65154)。これらの公報には、
炭素源(以後、基質ともいう)としてグルコースを用い
て、アルカリゲネス属の菌体を、窒素あるいはリンを制
限するなどの方法による増殖制限条件下で連続培養する
ことによりPHBを製造する方法(特公平02−202
38)や、アゾトバクター属、プロトモナス属の菌体を
アルカリゲネス属の菌体の場合と同様に増殖制限条件下
で回分培養することによりPHBを製造する方法(特開
昭60−214888、特公平03−65154)など
が記載されているが、これらの方法は生産コストが高い
など工業的生産には不十分である。
【0003】即ち、上記の発明では、菌体を増殖させる
ための主栄養素、すなわち炭素源が高価でPHBの製造
コストを低く抑えることができなかったり、連続培養に
よるPHBの蓄積が不十分であったり、二段階培養を行
うなど製造プロセスが複雑であるなどの欠点がある。
ための主栄養素、すなわち炭素源が高価でPHBの製造
コストを低く抑えることができなかったり、連続培養に
よるPHBの蓄積が不十分であったり、二段階培養を行
うなど製造プロセスが複雑であるなどの欠点がある。
【0004】原料(すなわち基質)のコストは、PHB
生産の全体コストにおいて重要な要素である。グルコー
ス、蔗糖等を原料とするPHBの生産法についての記載
が特公平02−20238、特開昭60−214888
にあるが、これらの方法ではPHB生産コストの上昇が
さけられない。安価なメタノールを基質とした培養法に
ついては、例えば特開昭56−117793号明細書の
記載によれば、メタノールを基質としてメチロバクテリ
ウム オルガノフィラム種の微生物を第一の培養槽にお
いて栄養素を制限せずに連続的に培養する。この際、細
胞内にはPHBの蓄積が生じない。次いで、第二の培養
槽へ連続的に移送し第二の培養槽において窒素またはリ
ンを増殖の律速因子として培養する。この際に初めて細
胞内にPHBの蓄積が生じる。明細書中の記載によれば
この方法で得られるPHB含有量は細胞乾燥重量の25
〜47重量%にすぎない。培養槽をシリーズで2槽用い
て二段階培養を行う方法は、プロセスが複雑であること
と満足のいくPHB含量を得られないことの欠点を有し
ている。
生産の全体コストにおいて重要な要素である。グルコー
ス、蔗糖等を原料とするPHBの生産法についての記載
が特公平02−20238、特開昭60−214888
にあるが、これらの方法ではPHB生産コストの上昇が
さけられない。安価なメタノールを基質とした培養法に
ついては、例えば特開昭56−117793号明細書の
記載によれば、メタノールを基質としてメチロバクテリ
ウム オルガノフィラム種の微生物を第一の培養槽にお
いて栄養素を制限せずに連続的に培養する。この際、細
胞内にはPHBの蓄積が生じない。次いで、第二の培養
槽へ連続的に移送し第二の培養槽において窒素またはリ
ンを増殖の律速因子として培養する。この際に初めて細
胞内にPHBの蓄積が生じる。明細書中の記載によれば
この方法で得られるPHB含有量は細胞乾燥重量の25
〜47重量%にすぎない。培養槽をシリーズで2槽用い
て二段階培養を行う方法は、プロセスが複雑であること
と満足のいくPHB含量を得られないことの欠点を有し
ている。
【0005】また、特公平02−20238号明細書中
に、窒素制限下でメタノール基質でメチロバクテリウム
オルガノフィラム NCIB 11483菌株を連続
培養した記載があるが、この条件で達成された最高のP
HB含有量は約11%と低いものである。
に、窒素制限下でメタノール基質でメチロバクテリウム
オルガノフィラム NCIB 11483菌株を連続
培養した記載があるが、この条件で達成された最高のP
HB含有量は約11%と低いものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
技術における上記したような課題を解決し、安価なメタ
ノールを資化し得る細菌を用いてPHBをより安定に、
大量にかつ安価に製造できる連続培養による生産方法を
提供することにある。
技術における上記したような課題を解決し、安価なメタ
ノールを資化し得る細菌を用いてPHBをより安定に、
大量にかつ安価に製造できる連続培養による生産方法を
提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、PHBを
生産する能力を有するメタノール資化性細菌を用いて、
安価にPHBを生産する方法を鋭意検討したところ、こ
れらの細菌を単一の培養槽で窒素の供給速度により増殖
を制限する、いいかえれば増殖速度の制限因子が窒素で
ある窒素律速条件下で連続培養する(以下窒素律速培養
という)に際して、増殖速度の制限因子がない場合の細
菌の世代時間に比較して増殖速度を非常に遅くすること
により、即ち平均滞留時間を非常に長くすることにより
細胞の増殖と並行して多量にPHBを蓄積させ得ること
を見いだし、本発明に到達した。すなわち、本発明はP
HBを生産する能力を有するメタノール資化性細菌を、
メタノールを炭素源として連続培養し、該菌体中にPH
Bを合成蓄積させ、当該菌体からPHBを取得するPH
Bの製造法において、単一の培養槽で平均滞留時間が1
5時間以上になるように窒素の供給速度を制限した連続
培養をすることを特徴とするPHBの製造法である。
生産する能力を有するメタノール資化性細菌を用いて、
安価にPHBを生産する方法を鋭意検討したところ、こ
れらの細菌を単一の培養槽で窒素の供給速度により増殖
を制限する、いいかえれば増殖速度の制限因子が窒素で
ある窒素律速条件下で連続培養する(以下窒素律速培養
という)に際して、増殖速度の制限因子がない場合の細
菌の世代時間に比較して増殖速度を非常に遅くすること
により、即ち平均滞留時間を非常に長くすることにより
細胞の増殖と並行して多量にPHBを蓄積させ得ること
を見いだし、本発明に到達した。すなわち、本発明はP
HBを生産する能力を有するメタノール資化性細菌を、
メタノールを炭素源として連続培養し、該菌体中にPH
Bを合成蓄積させ、当該菌体からPHBを取得するPH
Bの製造法において、単一の培養槽で平均滞留時間が1
5時間以上になるように窒素の供給速度を制限した連続
培養をすることを特徴とするPHBの製造法である。
【0008】本発明において、PHBは −OCH
(CH3 )CH2 CO− なる繰り返し単位から構成
されるポリエステル物質である。本発明に使用される細
菌は、PHBを生産する能力を有し、メタノール資化性
を持つ細菌であればよく、たとえば、メチロバクテリウ
ム属、キサントバクター属、ハイホミクロビウム属、パ
ラコッカス属、メチロバチルス属およびアンキロバクタ
ー属の細菌などが挙げられる。
(CH3 )CH2 CO− なる繰り返し単位から構成
されるポリエステル物質である。本発明に使用される細
菌は、PHBを生産する能力を有し、メタノール資化性
を持つ細菌であればよく、たとえば、メチロバクテリウ
ム属、キサントバクター属、ハイホミクロビウム属、パ
ラコッカス属、メチロバチルス属およびアンキロバクタ
ー属の細菌などが挙げられる。
【0009】培養の窒素源としては、使用する細菌が資
化しうる物質であれば特に制限はなく、例えばアンモニ
ア、尿素、硝酸あるいは酵母エキス、麦芽エキスなどの
有機窒素含有物が用いられる。無機塩類としてリン酸
塩、カリウム塩、ナトリウム塩、硝酸塩およびマグネシ
ウム、鉄、カルシウム、亜鉛、マンガン、コバルト、
銅、モリブデン等の金属塩が用いられる。
化しうる物質であれば特に制限はなく、例えばアンモニ
ア、尿素、硝酸あるいは酵母エキス、麦芽エキスなどの
有機窒素含有物が用いられる。無機塩類としてリン酸
塩、カリウム塩、ナトリウム塩、硝酸塩およびマグネシ
ウム、鉄、カルシウム、亜鉛、マンガン、コバルト、
銅、モリブデン等の金属塩が用いられる。
【0010】培養条件は、使用する菌株により異なる
が、一般的には、温度は25〜40℃、好ましくは30
〜38℃とされる。良好なPHB生産性を得る最適温度
は、菌株により異なることが多い。また、pHは5〜
8、好ましくは6.0〜7.5が用いられる。このよう
な条件で好気的に培養されるが、そのために空気、又は
酸素を通気し、かつ酸素を培養液に有効に溶け込ませる
ために必要に応じて攪拌する。一般的には培養液中の溶
存酸素濃度は0.3ppm以上が望ましい。
が、一般的には、温度は25〜40℃、好ましくは30
〜38℃とされる。良好なPHB生産性を得る最適温度
は、菌株により異なることが多い。また、pHは5〜
8、好ましくは6.0〜7.5が用いられる。このよう
な条件で好気的に培養されるが、そのために空気、又は
酸素を通気し、かつ酸素を培養液に有効に溶け込ませる
ために必要に応じて攪拌する。一般的には培養液中の溶
存酸素濃度は0.3ppm以上が望ましい。
【0011】培養槽の形式は、通気攪拌槽であればいず
れでも使用可能であり、例えば機械的攪拌槽、エアーリ
フト式培養槽および気泡塔型培養槽などを利用すること
ができる。培地の供給方法は、炭素源、窒素源、各種無
機塩類、各種添加剤などが、一括してあるいは個別に連
続的あるいは間欠的に供給される。たとえば、メタノー
ルは他の培地成分との混合物として培養槽に供給しても
よく、また他の培地成分とは別に独立して培養槽に供給
することもできる。培養液のpH制御は、窒素律速培養
によらない場合は、アンモニアを用いてpHを制御でき
る。本発明による窒素律速培養条件を用いる場合には、
非窒素系塩基、例えば苛性ソーダ、苛性カリなどを用い
てpHを制御するのが望ましい。
れでも使用可能であり、例えば機械的攪拌槽、エアーリ
フト式培養槽および気泡塔型培養槽などを利用すること
ができる。培地の供給方法は、炭素源、窒素源、各種無
機塩類、各種添加剤などが、一括してあるいは個別に連
続的あるいは間欠的に供給される。たとえば、メタノー
ルは他の培地成分との混合物として培養槽に供給しても
よく、また他の培地成分とは別に独立して培養槽に供給
することもできる。培養液のpH制御は、窒素律速培養
によらない場合は、アンモニアを用いてpHを制御でき
る。本発明による窒素律速培養条件を用いる場合には、
非窒素系塩基、例えば苛性ソーダ、苛性カリなどを用い
てpHを制御するのが望ましい。
【0012】PHBの蓄積には通常、炭素源以外の培地
成分を制限する方法が用いられる。窒素、リン、イオ
ウ、カリ、あるいは微量元素、例えばマンガン、亜鉛、
銅などの成分を制限するのが好ましい。本発明の場合に
は窒素が制限される。窒素は、アンモニウム塩、又はア
ンモニアガス、あるいはアンモニア水で供給するのが便
利である。例えば、アンモニアガス、又はアンモニア水
を窒素源として供給する場合、連続的に供給する他の培
地成分とは別にアンモニアガス又はアンモニア水を一定
量連続的に供給する方法が用いられる。アンモニウム塩
として供給する場合は、連続的に供給する培地成分とと
もに培地に溶解して用いることができる。このようにし
て供給する窒素源を菌体が活発に増殖するうえで必要と
される量より減少させ、すなわち窒素供給速度を菌体増
殖の制限因子になるように制限して行う培養法が用いら
れる。
成分を制限する方法が用いられる。窒素、リン、イオ
ウ、カリ、あるいは微量元素、例えばマンガン、亜鉛、
銅などの成分を制限するのが好ましい。本発明の場合に
は窒素が制限される。窒素は、アンモニウム塩、又はア
ンモニアガス、あるいはアンモニア水で供給するのが便
利である。例えば、アンモニアガス、又はアンモニア水
を窒素源として供給する場合、連続的に供給する他の培
地成分とは別にアンモニアガス又はアンモニア水を一定
量連続的に供給する方法が用いられる。アンモニウム塩
として供給する場合は、連続的に供給する培地成分とと
もに培地に溶解して用いることができる。このようにし
て供給する窒素源を菌体が活発に増殖するうえで必要と
される量より減少させ、すなわち窒素供給速度を菌体増
殖の制限因子になるように制限して行う培養法が用いら
れる。
【0013】培養液中の残存窒素濃度の測定は、窒素源
としてアンモニアあるいはアンモニア化物を用いた場合
には、常法によりアンモニウムイオン電極、又はイオン
クロマトグラフィ(1ppmまで測定可能)によりアン
モニウムイオン濃度として連続的に測定されるが、本発
明の培養法によれば、実質的にアンモニウムイオンが検
出できない程度となる。ただし混合特性の悪いときは、
培養液中の残存アンモニウムイオンは、部分的に数pp
mを示すことがあり得る。
としてアンモニアあるいはアンモニア化物を用いた場合
には、常法によりアンモニウムイオン電極、又はイオン
クロマトグラフィ(1ppmまで測定可能)によりアン
モニウムイオン濃度として連続的に測定されるが、本発
明の培養法によれば、実質的にアンモニウムイオンが検
出できない程度となる。ただし混合特性の悪いときは、
培養液中の残存アンモニウムイオンは、部分的に数pp
mを示すことがあり得る。
【0014】連続培養系で定常状態を保つ方法として
は、基質の節約という立場から基質の供給速度を制限し
ながら培養する、いわゆる基質律速培養によるものが一
般的であるが、本発明における培養法は前記の基質律速
培養とは異なり、培養槽への窒素供給速度を制限するこ
とにより定常状態を保ちながら培養を行う、すなわち増
殖を制限する因子が唯一窒素のみである窒素律速培養法
である。
は、基質の節約という立場から基質の供給速度を制限し
ながら培養する、いわゆる基質律速培養によるものが一
般的であるが、本発明における培養法は前記の基質律速
培養とは異なり、培養槽への窒素供給速度を制限するこ
とにより定常状態を保ちながら培養を行う、すなわち増
殖を制限する因子が唯一窒素のみである窒素律速培養法
である。
【0015】本発明の連続培養に切り替えられた後は、
窒素源の供給を調節して培養液中の残存アンモニウム濃
度を通常使用されるイオン分析計では検出できない程に
低くすると同時に、培養液中の残存メタノール濃度が一
定となるように培地供給量、又はメタノール供給量を制
御する。工業的にはメタノール供給量および培地供給量
は、残存メタノール濃度をガスクロマトグラフィなどの
分析計により経時的に測定し、その信号により自動的に
調節される。培養液中のメタノール濃度は通常は10〜
3000ppm程度、好ましくは200〜2000pp
m程度に維持される。残存メタノール濃度は、培養廃ガ
ス中のメタノールを炭化水素計あるいは、ガスクロマト
グラフィ等の分析計により測定することによっても知る
ことができる。このようにして、一定の通気条件下で一
定の定常状態が得られ、この定常状態においては菌の増
殖を制限しているのは窒素のみである。
窒素源の供給を調節して培養液中の残存アンモニウム濃
度を通常使用されるイオン分析計では検出できない程に
低くすると同時に、培養液中の残存メタノール濃度が一
定となるように培地供給量、又はメタノール供給量を制
御する。工業的にはメタノール供給量および培地供給量
は、残存メタノール濃度をガスクロマトグラフィなどの
分析計により経時的に測定し、その信号により自動的に
調節される。培養液中のメタノール濃度は通常は10〜
3000ppm程度、好ましくは200〜2000pp
m程度に維持される。残存メタノール濃度は、培養廃ガ
ス中のメタノールを炭化水素計あるいは、ガスクロマト
グラフィ等の分析計により測定することによっても知る
ことができる。このようにして、一定の通気条件下で一
定の定常状態が得られ、この定常状態においては菌の増
殖を制限しているのは窒素のみである。
【0016】本発明における連続培養初期における培養
液中の菌体濃度(乾燥菌体基準、以下同様)は特に制限
はないが、通常は本発明の定常状態時の菌体濃度と同程
度か、やや低い濃度に到達したのち本連続培養へ移行す
ることが望ましい。また、本発明における連続培養中に
おける培養液中の菌体濃度は通常10〜100g/lで
ある。菌の増殖速度を変えるには、窒素供給速度を調節
することにより任意に変更できる。即ち、増殖速度を速
くする(平均滞留時間を短くする)には窒素供給速度を
大きくするように条件を選択すればよく、逆に増殖速度
を遅くする(平均滞留時間を長くする)には窒素供給速
度を小さくするように条件を選択すればよい。
液中の菌体濃度(乾燥菌体基準、以下同様)は特に制限
はないが、通常は本発明の定常状態時の菌体濃度と同程
度か、やや低い濃度に到達したのち本連続培養へ移行す
ることが望ましい。また、本発明における連続培養中に
おける培養液中の菌体濃度は通常10〜100g/lで
ある。菌の増殖速度を変えるには、窒素供給速度を調節
することにより任意に変更できる。即ち、増殖速度を速
くする(平均滞留時間を短くする)には窒素供給速度を
大きくするように条件を選択すればよく、逆に増殖速度
を遅くする(平均滞留時間を長くする)には窒素供給速
度を小さくするように条件を選択すればよい。
【0017】本発明の窒素供給速度制限下での連続培養
に先立って、菌を活発に増殖させて培養液中の菌濃度が
所定値となるまで予備培養が行われる。予備培養とし
て、たとえば基質およびその他の培地成分ならびに酸素
を十分に供給しつつ行われる回分培養、もしくは窒素の
みを制限して行われる回分培養、またはこれらの回分培
養に引き続いて基質およびその他の培地成分ならびに窒
素を十分に供給しつつ行われる連続培養などがある。予
備培養は通常の方法により行われ、培養温度、pH、基
質および培地成分ならびに培地もしくは培養液中の基質
濃度などは前記の本発明の連続培養におけるものと同様
である。予備培養に引き続き、前記の窒素供給速度を制
限した連続培養が行われる。窒素の供給速度を小さく
し、培養槽での平均滞留時間を長くするに伴ない菌体中
のPHB含有量は増加し、平均滞留時間を15時間以上
とした時に飛躍的なPHB含有量の増加が認められる。
に先立って、菌を活発に増殖させて培養液中の菌濃度が
所定値となるまで予備培養が行われる。予備培養とし
て、たとえば基質およびその他の培地成分ならびに酸素
を十分に供給しつつ行われる回分培養、もしくは窒素の
みを制限して行われる回分培養、またはこれらの回分培
養に引き続いて基質およびその他の培地成分ならびに窒
素を十分に供給しつつ行われる連続培養などがある。予
備培養は通常の方法により行われ、培養温度、pH、基
質および培地成分ならびに培地もしくは培養液中の基質
濃度などは前記の本発明の連続培養におけるものと同様
である。予備培養に引き続き、前記の窒素供給速度を制
限した連続培養が行われる。窒素の供給速度を小さく
し、培養槽での平均滞留時間を長くするに伴ない菌体中
のPHB含有量は増加し、平均滞留時間を15時間以上
とした時に飛躍的なPHB含有量の増加が認められる。
【0018】このようにして得られた培養液から、濾過
または遠心分離などの通常の固液分離によって菌体を分
離回収し、必要に応じて水などで洗浄して菌体を得る。
このようにして得られた菌体から、又は、さらに所望に
より超音波処理などで破壊された菌体から、たとえばク
ロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化
炭化水素を抽出剤として抽出して得られたPHB抽出液
から、これと貧溶媒とを混合するなどにより凝固沈澱さ
せるなどのそれ自体公知の手段で処理してPHBを分離
する。必要に応じてさらに精製して高純度のPHBを得
ることができる。
または遠心分離などの通常の固液分離によって菌体を分
離回収し、必要に応じて水などで洗浄して菌体を得る。
このようにして得られた菌体から、又は、さらに所望に
より超音波処理などで破壊された菌体から、たとえばク
ロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化
炭化水素を抽出剤として抽出して得られたPHB抽出液
から、これと貧溶媒とを混合するなどにより凝固沈澱さ
せるなどのそれ自体公知の手段で処理してPHBを分離
する。必要に応じてさらに精製して高純度のPHBを得
ることができる。
【0019】
【実施例】次に本発明を実施例によりさらに具体的に説
明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるもの
ではない。 実施例1 プロトモナス エクストルクエンス(Protomonas extor
quens )K(微工研菌寄第8395号)を使用した。な
お、最近の文献によれば本菌は、メチロバクテリウム
(Methylobacterium)属に属するとされている(I.J.Bo
usfield and P.N.Green;Int.J.Syst.Bacteriol.,35,209
(1985)、T.Urakami et al.;Int.J.Syst.Bacteriol., 4
3,504-513(1993))。
明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるもの
ではない。 実施例1 プロトモナス エクストルクエンス(Protomonas extor
quens )K(微工研菌寄第8395号)を使用した。な
お、最近の文献によれば本菌は、メチロバクテリウム
(Methylobacterium)属に属するとされている(I.J.Bo
usfield and P.N.Green;Int.J.Syst.Bacteriol.,35,209
(1985)、T.Urakami et al.;Int.J.Syst.Bacteriol., 4
3,504-513(1993))。
【0020】工業用水1L当たり、つぎの組成を有する
回分培養用培地(培地A)を調製した。 回分培養用培地の組成 (培地A) メタノール 5 g KH2 PO4 3 g (NH4 )2 SO4 1 g MgSO4 ・7H2 O 1 g 酵母エキス 0.2g FeC6 H5 O7 ・xH2 O 60 mg ZnSO4 ・7H2 O 20 mg MnCl2 ・4H2 O 10 mg CaCl2 ・2H2 O 40 mg CuSO4 ・5H2 O 1 mg KI 1 mg ( NH4)6 Mo7 O24・4H2 O 1 mg CoCl2 ・6H2 O 1 mg H3 BO3 1 mg NaCl 50 mg
回分培養用培地(培地A)を調製した。 回分培養用培地の組成 (培地A) メタノール 5 g KH2 PO4 3 g (NH4 )2 SO4 1 g MgSO4 ・7H2 O 1 g 酵母エキス 0.2g FeC6 H5 O7 ・xH2 O 60 mg ZnSO4 ・7H2 O 20 mg MnCl2 ・4H2 O 10 mg CaCl2 ・2H2 O 40 mg CuSO4 ・5H2 O 1 mg KI 1 mg ( NH4)6 Mo7 O24・4H2 O 1 mg CoCl2 ・6H2 O 1 mg H3 BO3 1 mg NaCl 50 mg
【0021】3L容培養槽に、この培地Aを1.5L張
り込み、120℃で20分間加熱滅菌し、冷却後、アン
モニア水でpH6.5に調整し、これに別に調製された
種母200mlを植菌し、空気を通気しつつ32℃で回
分培養を行った。回分培養時のpHは、25%アンモニ
ア水で6.5に自動制御した。培養液中のメタノール濃
度は、ガスクロマトグラフィにより連続的に測定し、5
00〜1500ppmの範囲になるように自動的にメタ
ノールを供給した。なお、攪拌機回転数を1000rp
m、通気量を1vvmとした。菌体濃度が約15g/l
に達した時点で、pH調節用の25%アンモニア水を、
25%苛性ソーダ液に切り替え、メタノールの供給を停
止するとともに、別に調製された連続用培地(培地B)
の連続供給と培養液の連続排出とを開始し、連続培養に
移行した。
り込み、120℃で20分間加熱滅菌し、冷却後、アン
モニア水でpH6.5に調整し、これに別に調製された
種母200mlを植菌し、空気を通気しつつ32℃で回
分培養を行った。回分培養時のpHは、25%アンモニ
ア水で6.5に自動制御した。培養液中のメタノール濃
度は、ガスクロマトグラフィにより連続的に測定し、5
00〜1500ppmの範囲になるように自動的にメタ
ノールを供給した。なお、攪拌機回転数を1000rp
m、通気量を1vvmとした。菌体濃度が約15g/l
に達した時点で、pH調節用の25%アンモニア水を、
25%苛性ソーダ液に切り替え、メタノールの供給を停
止するとともに、別に調製された連続用培地(培地B)
の連続供給と培養液の連続排出とを開始し、連続培養に
移行した。
【0022】連続用培地の組成は、下記のごとくであ
り、120℃で20分間加熱滅菌し、冷却後使用した。
ただしメタノールは、ミクロフィルターで除菌濾過して
注入した。 連続培養用培地組成 (培地B) 工業用水1L当り メタノール 120 g KH2 PO4 6 g MgSO4 ・7H2 O 2 g (NH4 )2 SO4 1 g FeC6 H5 O7 ・xH2 O 120 mg ZnSO4 ・7H2 O 40 mg MnCl2 ・4H2 O 20 mg CaCl2 ・2H2 O 80 mg CuSO4 ・5H2 O 2 mg KI 2 mg ( NH4)6 Mo7 O24・4H2 O 2 mg CoCl2 ・6H2 O 2 mg H3 BO3 2 mg NaCl 100 mg 消泡剤(Silicone KM-75) 2 g
り、120℃で20分間加熱滅菌し、冷却後使用した。
ただしメタノールは、ミクロフィルターで除菌濾過して
注入した。 連続培養用培地組成 (培地B) 工業用水1L当り メタノール 120 g KH2 PO4 6 g MgSO4 ・7H2 O 2 g (NH4 )2 SO4 1 g FeC6 H5 O7 ・xH2 O 120 mg ZnSO4 ・7H2 O 40 mg MnCl2 ・4H2 O 20 mg CaCl2 ・2H2 O 80 mg CuSO4 ・5H2 O 2 mg KI 2 mg ( NH4)6 Mo7 O24・4H2 O 2 mg CoCl2 ・6H2 O 2 mg H3 BO3 2 mg NaCl 100 mg 消泡剤(Silicone KM-75) 2 g
【0023】連続用培地の供給と並行して25%アンモ
ニア水を連続的に供給した。アンモニア水の供給速度
は、連続用培地として供給されるメタノールの供給速度
に連動して、すなわちメタノールとアンモニアの供給モ
ル比(以下C/N比と記す)が25となるように供給し
た。培養液中のメタノール濃度は、メタノールの損失を
少なくするため、可能な限り低くし、300〜500p
pmに制御した。イオンクロマトグラフィで培養液中の
アンモニウムイオン濃度を連続的に測定したが、連続培
養へ移行後、アンモニウムイオン濃度は次第に低下し、
まもなく検出限界(1ppm)以下となった。この条件
では平均滞留時間が約40時間で定常状態となった。こ
の条件で10日間培養を継続したが、培養結果は安定し
ていた。この時の培養液中には約57%のPHBを含ん
だ菌体が1L当り42g存在した。メタノール1g当り
の菌体収量は0.35gであり、PHBの収量は0.2
0gであった。その後、アンモニア供給速度を変更する
ことにより平均滞留時間を変更し、平均滞留時間とPH
B含有量との関係を調べた。結果を表1に示した。
ニア水を連続的に供給した。アンモニア水の供給速度
は、連続用培地として供給されるメタノールの供給速度
に連動して、すなわちメタノールとアンモニアの供給モ
ル比(以下C/N比と記す)が25となるように供給し
た。培養液中のメタノール濃度は、メタノールの損失を
少なくするため、可能な限り低くし、300〜500p
pmに制御した。イオンクロマトグラフィで培養液中の
アンモニウムイオン濃度を連続的に測定したが、連続培
養へ移行後、アンモニウムイオン濃度は次第に低下し、
まもなく検出限界(1ppm)以下となった。この条件
では平均滞留時間が約40時間で定常状態となった。こ
の条件で10日間培養を継続したが、培養結果は安定し
ていた。この時の培養液中には約57%のPHBを含ん
だ菌体が1L当り42g存在した。メタノール1g当り
の菌体収量は0.35gであり、PHBの収量は0.2
0gであった。その後、アンモニア供給速度を変更する
ことにより平均滞留時間を変更し、平均滞留時間とPH
B含有量との関係を調べた。結果を表1に示した。
【0024】PHBの分析は以下により行った。菌体を
遠心分離機で集菌した後、純水で2回洗浄し、これを熱
風乾燥(100℃)して乾燥菌体を得た。約80mgの乾
燥菌体をスクリューキャップ付き試験管にとり、クロロ
ホルム1ml、内部標準入りメタノール−硫酸溶液(内
部標準:安息香酸200mg/100ml、硫酸3.5
容量%)1mlを加え、120℃で90分加熱処理し、
菌体に含まれているポリマーの分解およびメチルエステ
ル化を行った。反応終了後純水を1ml加え、激しく攪
拌した後、遠心分離を行い有機溶媒層を得た。この有機
溶媒層をガスクロマトグラフィーで分析することによ
り、PHB成分含量を算出した。 ガスクロマトグラフィー分析条件 装置:島津GC−7AG カラム:Reoplex 400 chromosor
b G AW−DMCS 10% (60〜80mesh) カラム温度: 160℃ 注入口温度: 250℃
遠心分離機で集菌した後、純水で2回洗浄し、これを熱
風乾燥(100℃)して乾燥菌体を得た。約80mgの乾
燥菌体をスクリューキャップ付き試験管にとり、クロロ
ホルム1ml、内部標準入りメタノール−硫酸溶液(内
部標準:安息香酸200mg/100ml、硫酸3.5
容量%)1mlを加え、120℃で90分加熱処理し、
菌体に含まれているポリマーの分解およびメチルエステ
ル化を行った。反応終了後純水を1ml加え、激しく攪
拌した後、遠心分離を行い有機溶媒層を得た。この有機
溶媒層をガスクロマトグラフィーで分析することによ
り、PHB成分含量を算出した。 ガスクロマトグラフィー分析条件 装置:島津GC−7AG カラム:Reoplex 400 chromosor
b G AW−DMCS 10% (60〜80mesh) カラム温度: 160℃ 注入口温度: 250℃
【0025】
【表1】 表1 平均滞留時間 PHB含有量 対メタノール 菌体収率 対メタノール PHB収率 (hr) (%) (g/g) (g/g) 10 14 0.36 0.05 15 32 0.36 0.12 20 40 0.35 0.14 40 57 0.35 0.20 65 65 0.36 0.23
【0026】表1は平均滞留時間と、菌体中のPHB含
有量、対メタノール菌体収率及び対メタノールPHB収
率のそれぞれとの関係を示している。表1から本発明の
窒素律速連続培養においては平均滞留時間が長くなるに
伴ない菌体中のPHB含有量が増加し、平均滞留時間を
15時間以上としたときにPHB含有量の顕著な増加が
認められることがわかる。
有量、対メタノール菌体収率及び対メタノールPHB収
率のそれぞれとの関係を示している。表1から本発明の
窒素律速連続培養においては平均滞留時間が長くなるに
伴ない菌体中のPHB含有量が増加し、平均滞留時間を
15時間以上としたときにPHB含有量の顕著な増加が
認められることがわかる。
【0027】比較例1 窒素律速連続培養を基質律速連続培養に変えたほかは、
実施例1と同様にして菌を培養した。連続培養時のpH
制御用の苛性ソーダをアンモニア水に変更することによ
り、供給窒素量を制限せずに行った。培地の供給速度を
変更することにより平均滞留時間を変更した。平均滞留
時間を40時間としたときのPHB含有量は0%であっ
た。この時の培養液中のアンモニウムイオン濃度は80
0〜1000ppmであった。培養液中にメタノールは
検出されなかった。培地の供給速度を変更することによ
り平均滞留時間を変更し、滞留時間とPHB含有量との
関係を見たが、いずれの条件においてもPHB含有量は
0〜7%と非常に低いものであった。
実施例1と同様にして菌を培養した。連続培養時のpH
制御用の苛性ソーダをアンモニア水に変更することによ
り、供給窒素量を制限せずに行った。培地の供給速度を
変更することにより平均滞留時間を変更した。平均滞留
時間を40時間としたときのPHB含有量は0%であっ
た。この時の培養液中のアンモニウムイオン濃度は80
0〜1000ppmであった。培養液中にメタノールは
検出されなかった。培地の供給速度を変更することによ
り平均滞留時間を変更し、滞留時間とPHB含有量との
関係を見たが、いずれの条件においてもPHB含有量は
0〜7%と非常に低いものであった。
【0028】実施例2 プロトモナス エクストルクエンス(Protomonas extor
quens )K(微工研菌寄第8395号)を使用した。3
L容培養槽に、培地Aを1.5L張り込み、120℃で
20分間加熱滅菌し、冷却後、アンモニア水でpH6.
5に調整し、これに別に調製された種母 200mlを
植菌し、空気を通気しつつ33℃で回分培養を行った。
回分培養時のpHは、25%アンモニア水で6.5に自
動制御した。培養液中のメタノール濃度は、ガスクロマ
トグラフィにより連続的に測定し、500〜1500p
pmの範囲になるように自動的にメタノールを供給し
た。攪拌機回転数を1450rpm、通気量を1vvm
とした。菌体濃度が約10g/lに達した時点で、pH
調節用の25%アンモニア水を、25%苛性ソーダ液に
切り替え、別に調製された(NH4 )2 SO4 添加量を
10g/lとした連続用培地(培地C)の連続供給と培
養液の連続排出とを開始し、連続培養に移行した。メタ
ノールは回分培養に引き続き、培地Cとは別途に、自動
的に供給された。消泡剤としてPPG(ポリプロピレン
グリコール)をメタノール中へ1%添加して使用した。
quens )K(微工研菌寄第8395号)を使用した。3
L容培養槽に、培地Aを1.5L張り込み、120℃で
20分間加熱滅菌し、冷却後、アンモニア水でpH6.
5に調整し、これに別に調製された種母 200mlを
植菌し、空気を通気しつつ33℃で回分培養を行った。
回分培養時のpHは、25%アンモニア水で6.5に自
動制御した。培養液中のメタノール濃度は、ガスクロマ
トグラフィにより連続的に測定し、500〜1500p
pmの範囲になるように自動的にメタノールを供給し
た。攪拌機回転数を1450rpm、通気量を1vvm
とした。菌体濃度が約10g/lに達した時点で、pH
調節用の25%アンモニア水を、25%苛性ソーダ液に
切り替え、別に調製された(NH4 )2 SO4 添加量を
10g/lとした連続用培地(培地C)の連続供給と培
養液の連続排出とを開始し、連続培養に移行した。メタ
ノールは回分培養に引き続き、培地Cとは別途に、自動
的に供給された。消泡剤としてPPG(ポリプロピレン
グリコール)をメタノール中へ1%添加して使用した。
【0029】 連続培養用培地組成 (培地C) 工業用水1L当り KH2 PO4 6 g MgSO4 ・7H2 O 2 g (NH4 )2 SO4 10 g FeC6 H5 O7 ・xH2 O 120 mg ZnSO4 ・7H2 O 40 mg MnCl2 ・4H2 O 20 mg CaCl2 ・2H2 O 80 mg CuSO4 ・5H2 O 2 mg KI 2 mg ( NH4)6 Mo7 O24・4H2 O 2 mg CoCl2 ・6H2 O 2 mg H3 BO3 2 mg NaCl 100 mg
【0030】培地の供給速度は、平均滞留時間が、40
時間となるように調整した。培養液中のメタノール濃度
は、メタノールの損失を少なくするため、可能な限り低
くし、300〜500ppmに制御した。イオンクロマ
トグラフィで培養液中のアンモニウムイオン濃度を連続
的に測定したが、連続培養へ移行後、アンモニウムイオ
ン濃度は次第に低下し、まもなく検出限界(1ppm)
以下となった。平均滞留時間が約40時間で定常状態と
なった。この時のメタノール供給速度と連続用培地とし
て供給されるアンモニウムイオンの供給速度は、C/N
比として25であった。この条件で10日間培養を継続
したが、培養結果は安定していた。この時の培養液中に
は約60%のPHBを含んだ菌体が1L当り43.2g
存在した。メタノール1g当りの菌体収量は0.36g
であり、PHBの収量は0.22gであった。
時間となるように調整した。培養液中のメタノール濃度
は、メタノールの損失を少なくするため、可能な限り低
くし、300〜500ppmに制御した。イオンクロマ
トグラフィで培養液中のアンモニウムイオン濃度を連続
的に測定したが、連続培養へ移行後、アンモニウムイオ
ン濃度は次第に低下し、まもなく検出限界(1ppm)
以下となった。平均滞留時間が約40時間で定常状態と
なった。この時のメタノール供給速度と連続用培地とし
て供給されるアンモニウムイオンの供給速度は、C/N
比として25であった。この条件で10日間培養を継続
したが、培養結果は安定していた。この時の培養液中に
は約60%のPHBを含んだ菌体が1L当り43.2g
存在した。メタノール1g当りの菌体収量は0.36g
であり、PHBの収量は0.22gであった。
【0031】実施例3 菌株としてハイホミクロビウム メチロボラム(Hyphom
icrobium methylovorum )IFO 14180を用いた
ほかは、実施例1と同様に行った。結果を表2に示し
た。
icrobium methylovorum )IFO 14180を用いた
ほかは、実施例1と同様に行った。結果を表2に示し
た。
【0032】実施例4 菌株としてハイホミクロビウム ホウランディカム(Hy
phomicrobium hollandicum)ATCC 27498を用
いたほかは、実施例1と同様に行った。結果を表2に示
した。
phomicrobium hollandicum)ATCC 27498を用
いたほかは、実施例1と同様に行った。結果を表2に示
した。
【0033】実施例5 菌株としてメチロバチルス グリコゲネス(Methylobac
illus glycogenes)ATCC 29475を用いたほか
は、実施例1と同様に行った。結果を表2に示した。
illus glycogenes)ATCC 29475を用いたほか
は、実施例1と同様に行った。結果を表2に示した。
【0034】
【表2】 表2 平均 対メタノール 対メタノール 菌 株 滞留時間 菌体濃度 PHB 含有量 菌体収率 PHB 収率 (hr) (g/l ) (%) (g/g ) (g/g ) IFO-14180 37.2 45.1 48.8 0.38 0.18 ATCC-27498 39.7 40.6 56.7 0.34 0.19 ATCC-29475 43.3 40.3 60.0 0.34 0.20
【0035】実施例6 プロトモナス エクストルクエンス(Protomonas extor
quens )K(微工研菌寄第8395号)を使用した。3
0L容培養槽に、実施例1と同様の培地Aを15L張り
込み、120℃で20分間加熱滅菌し、冷却後、アンモ
ニア水でpH6.5に調整し、これに別に調製された種
母200mlを植菌し、空気を通気しつつ33℃で回分
培養を行った。回分培養時のpHは、25%アンモニア
水で6.5に自動制御した。培養液中のメタノール濃度
は、廃ガス中のメタノール濃度を炭化水素計により連続
的に測定し、500〜1500ppmの範囲になるよう
に自動的にメタノールを供給した。攪拌機回転数を80
0rpm、通気量を1vvmとした。菌体濃度が約15
g/lに達した時点で、pH調節用の25%アンモニア
水を、25%苛性ソーダ液に切り替え、メタノールの供
給を停止するとともに、実施例1と同様の連続用培地
(培地B)の連続供給と培養液の連続排出とを開始し、
連続培養に移行した。連続用培地の供給と並行して25
%アンモニア水を連続的に供給した。アンモニア水の供
給速度は、連続用培地として供給されるメタノールの供
給速度に連動して、すなわちC/N比が25となるよう
に供給した。培養液中のメタノール濃度は、メタノール
の損失を少なくするため、可能な限り低くし、300〜
500ppmに制御した。イオンクロマトグラフィで培
養液中のアンモニウムイオン濃度を連続的に測定した
が、連続培養へ移行後、アンモニウムイオン濃度は次第
に低下し、まもなく検出限界(1ppm)以下となっ
た。平均滞留時間が約40時間で定常状態となった。
quens )K(微工研菌寄第8395号)を使用した。3
0L容培養槽に、実施例1と同様の培地Aを15L張り
込み、120℃で20分間加熱滅菌し、冷却後、アンモ
ニア水でpH6.5に調整し、これに別に調製された種
母200mlを植菌し、空気を通気しつつ33℃で回分
培養を行った。回分培養時のpHは、25%アンモニア
水で6.5に自動制御した。培養液中のメタノール濃度
は、廃ガス中のメタノール濃度を炭化水素計により連続
的に測定し、500〜1500ppmの範囲になるよう
に自動的にメタノールを供給した。攪拌機回転数を80
0rpm、通気量を1vvmとした。菌体濃度が約15
g/lに達した時点で、pH調節用の25%アンモニア
水を、25%苛性ソーダ液に切り替え、メタノールの供
給を停止するとともに、実施例1と同様の連続用培地
(培地B)の連続供給と培養液の連続排出とを開始し、
連続培養に移行した。連続用培地の供給と並行して25
%アンモニア水を連続的に供給した。アンモニア水の供
給速度は、連続用培地として供給されるメタノールの供
給速度に連動して、すなわちC/N比が25となるよう
に供給した。培養液中のメタノール濃度は、メタノール
の損失を少なくするため、可能な限り低くし、300〜
500ppmに制御した。イオンクロマトグラフィで培
養液中のアンモニウムイオン濃度を連続的に測定した
が、連続培養へ移行後、アンモニウムイオン濃度は次第
に低下し、まもなく検出限界(1ppm)以下となっ
た。平均滞留時間が約40時間で定常状態となった。
【0036】この時の培養液中には約55%のPHBを
含んだ菌体が1L当り40g存在した。この条件で40
日間培養を継続したが、培養経過に伴ないPHB含有
量、菌体濃度が徐々に増加する傾向を見せた。20日間
経過後にはPHB含有量62%、菌体濃度45g/lと
なり、40日間経過後にはPHB含有量65%、菌体濃
度47g/lとなった。この時のメタノール1g当りの
菌体収量は0.39gであり、PHBの収量は0.25
gであった。
含んだ菌体が1L当り40g存在した。この条件で40
日間培養を継続したが、培養経過に伴ないPHB含有
量、菌体濃度が徐々に増加する傾向を見せた。20日間
経過後にはPHB含有量62%、菌体濃度45g/lと
なり、40日間経過後にはPHB含有量65%、菌体濃
度47g/lとなった。この時のメタノール1g当りの
菌体収量は0.39gであり、PHBの収量は0.25
gであった。
【0037】
【発明の効果】本発明によりPHBを、大規模に、しか
も経済的かつ安定的に生産することが可能となった。本
発明によるPHB生産は、連続培養プロセスであるので
最適条件に設定した後の運転管理が容易であり、従来の
回分培養の繰り返しで行うプロセスに比べ、滅菌作業、
種母の調製等の作業の簡素化が可能であり、飛躍的な省
力化がはかれる。更に原料(基質)がメタノールである
ので、原料コストが非常に安価となるが、基質がメタノ
ールである更によい点は、非常に限定された基質である
ため、一般性細菌による雑菌汚染がなく、長期間の安定
した連続培養が容易に継続できることにある。 ─────────────────────────────────────────────────────
も経済的かつ安定的に生産することが可能となった。本
発明によるPHB生産は、連続培養プロセスであるので
最適条件に設定した後の運転管理が容易であり、従来の
回分培養の繰り返しで行うプロセスに比べ、滅菌作業、
種母の調製等の作業の簡素化が可能であり、飛躍的な省
力化がはかれる。更に原料(基質)がメタノールである
ので、原料コストが非常に安価となるが、基質がメタノ
ールである更によい点は、非常に限定された基質である
ため、一般性細菌による雑菌汚染がなく、長期間の安定
した連続培養が容易に継続できることにある。 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年12月8日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 ポリ−3−ヒドロキシ酪酸の製造法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリ−3−ヒドロキシ酪
酸(以下PHBと記す)の製造法に関するものである。
酸(以下PHBと記す)の製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】PHBは、エネルギー貯蔵物質として数
多くの微生物の菌体内に生成、蓄積され、優れた生物分
解性と生体適合性とを示す熱可塑性高分子であることか
ら、環境にやさしい“クリーン”プラスチックとして注
目され、手術糸や骨折固定用材などの医用材料および医
薬や農薬を徐々に放出する徐放性システムなどの多方面
への応用が永年にわたり期待されてきた。特に、近年、
合成プラスチックが環境汚染や資源環境の観点から深刻
な社会問題になるに至り、PHBは石油に依存しないバ
イオポリマーとして注目され、これまでにもPHBの製
造法がいくつか報告されている(特開昭60−2148
88、特開昭60−251889、特公平02−202
38、特公平03−65154)。これらの公報には、
炭素源(以後、基質ともいう)としてグルコースを用い
て、アルカリゲネス属の菌体を、窒素あるいはリンを制
限するなどの方法による増殖制限条件下で連続培養する
ことによりPHBを製造する方法(特公平02−202
38)や、アゾトバクター属、プロトモナス属の菌体を
アルカリゲネス属の菌体の場合と同様に増殖制限条件下
で回分培養することによりPHBを製造する方法(特開
昭60−214888、特公平03−65154)など
が記載されているが、これらの方法は生産コストが高い
など工業的生産には不十分である。
多くの微生物の菌体内に生成、蓄積され、優れた生物分
解性と生体適合性とを示す熱可塑性高分子であることか
ら、環境にやさしい“クリーン”プラスチックとして注
目され、手術糸や骨折固定用材などの医用材料および医
薬や農薬を徐々に放出する徐放性システムなどの多方面
への応用が永年にわたり期待されてきた。特に、近年、
合成プラスチックが環境汚染や資源環境の観点から深刻
な社会問題になるに至り、PHBは石油に依存しないバ
イオポリマーとして注目され、これまでにもPHBの製
造法がいくつか報告されている(特開昭60−2148
88、特開昭60−251889、特公平02−202
38、特公平03−65154)。これらの公報には、
炭素源(以後、基質ともいう)としてグルコースを用い
て、アルカリゲネス属の菌体を、窒素あるいはリンを制
限するなどの方法による増殖制限条件下で連続培養する
ことによりPHBを製造する方法(特公平02−202
38)や、アゾトバクター属、プロトモナス属の菌体を
アルカリゲネス属の菌体の場合と同様に増殖制限条件下
で回分培養することによりPHBを製造する方法(特開
昭60−214888、特公平03−65154)など
が記載されているが、これらの方法は生産コストが高い
など工業的生産には不十分である。
【0003】即ち、上記の発明では、菌体を増殖させる
ための主栄養素、すなわち炭素源が高価でPHBの製造
コストを低く抑えることができなかったり、連続培養に
よるPHBの蓄積が不十分であったり、二段階培養を行
うなど製造プロセスが複雑であるなどの欠点がある。
ための主栄養素、すなわち炭素源が高価でPHBの製造
コストを低く抑えることができなかったり、連続培養に
よるPHBの蓄積が不十分であったり、二段階培養を行
うなど製造プロセスが複雑であるなどの欠点がある。
【0004】原料(すなわち基質)のコストは、PHB
生産の全体コストにおいて重要な要素である。グルコー
ス、蔗糖等を原料とするPHBの生産法についての記載
が特公平02−20238、特開昭60−214888
にあるが、これらの方法ではPHB生産コストの上昇が
さけられない。安価なメタノールを基質とした培養法に
ついては、例えば特開昭56−117793号明細書の
記載によれば、メタノールを基質としてメチロバクテリ
ウム オルガノフィラム種の微生物を第一の培養槽にお
いて栄養素を制限せずに連続的に培養する。この際、細
胞内にはPHBの蓄積が生じない。次いで、第二の培養
槽へ連続的に移送し第二の培養槽において窒素またはリ
ンを増殖の律速因子として培養する。この際に初めて細
胞内にPHBの蓄積が生じる。明細書中の記載によれば
この方法で得られるPHB含有量は細胞乾燥重量の25
〜47重量%にすぎない。培養槽をシリーズで2槽用い
て二段階培養を行う方法は、プロセスが複雑であること
と満足のいくPHB含量を得られないことの欠点を有し
ている。
生産の全体コストにおいて重要な要素である。グルコー
ス、蔗糖等を原料とするPHBの生産法についての記載
が特公平02−20238、特開昭60−214888
にあるが、これらの方法ではPHB生産コストの上昇が
さけられない。安価なメタノールを基質とした培養法に
ついては、例えば特開昭56−117793号明細書の
記載によれば、メタノールを基質としてメチロバクテリ
ウム オルガノフィラム種の微生物を第一の培養槽にお
いて栄養素を制限せずに連続的に培養する。この際、細
胞内にはPHBの蓄積が生じない。次いで、第二の培養
槽へ連続的に移送し第二の培養槽において窒素またはリ
ンを増殖の律速因子として培養する。この際に初めて細
胞内にPHBの蓄積が生じる。明細書中の記載によれば
この方法で得られるPHB含有量は細胞乾燥重量の25
〜47重量%にすぎない。培養槽をシリーズで2槽用い
て二段階培養を行う方法は、プロセスが複雑であること
と満足のいくPHB含量を得られないことの欠点を有し
ている。
【0005】また、特公平02−20238号明細書中
に、窒素制限下でメタノール基質でメチロバクテリウム
オルガノフィラム NCIB 11483菌株を連続
培養した記載があるが、この条件で達成された最高のP
HB含有量は約11%と低いものである。
に、窒素制限下でメタノール基質でメチロバクテリウム
オルガノフィラム NCIB 11483菌株を連続
培養した記載があるが、この条件で達成された最高のP
HB含有量は約11%と低いものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
技術における上記したような課題を解決し、安価なメタ
ノールを資化し得る細菌を用いてPHBをより安定に、
大量にかつ安価に製造できる連続培養による生産方法を
提供することにある。
技術における上記したような課題を解決し、安価なメタ
ノールを資化し得る細菌を用いてPHBをより安定に、
大量にかつ安価に製造できる連続培養による生産方法を
提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、PHBを
生産する能力を有するメタノール資化性細菌を用いて、
安価にPHBを生産する方法を鋭意検討したところ、こ
れらの細菌を単一の培養槽で窒素の供給速度により増殖
を制限する、いいかえれば増殖速度の制限因子が窒素で
ある窒素律速条件下で連続培養する(以下窒素律速培養
という)に際して、増殖速度の制限因子がない場合の細
菌の世代時間に比較して増殖速度を非常に遅くすること
により、即ち平均滞留時間を非常に長くすることにより
細胞の増殖と並行して多量にPHBを蓄積させ得ること
を見いだし、本発明に到達した。すなわち、本発明はP
HBを生産する能力を有するメタノール資化性細菌を、
メタノールを炭素源として連続培養し、該菌体中にPH
Bを合成蓄積させ、当該菌体からPHBを取得するPH
Bの製造法において、単一の培養槽で平均滞留時間が1
5時間以上になるように窒素の供給速度を制限した連続
培養をすることを特徴とするPHBの製造法である。
生産する能力を有するメタノール資化性細菌を用いて、
安価にPHBを生産する方法を鋭意検討したところ、こ
れらの細菌を単一の培養槽で窒素の供給速度により増殖
を制限する、いいかえれば増殖速度の制限因子が窒素で
ある窒素律速条件下で連続培養する(以下窒素律速培養
という)に際して、増殖速度の制限因子がない場合の細
菌の世代時間に比較して増殖速度を非常に遅くすること
により、即ち平均滞留時間を非常に長くすることにより
細胞の増殖と並行して多量にPHBを蓄積させ得ること
を見いだし、本発明に到達した。すなわち、本発明はP
HBを生産する能力を有するメタノール資化性細菌を、
メタノールを炭素源として連続培養し、該菌体中にPH
Bを合成蓄積させ、当該菌体からPHBを取得するPH
Bの製造法において、単一の培養槽で平均滞留時間が1
5時間以上になるように窒素の供給速度を制限した連続
培養をすることを特徴とするPHBの製造法である。
【0008】本発明において、PHBは −OCH
(CH3 )CH2 CO− なる繰り返し単位から構成
されるポリエステル物質である。本発明に使用される細
菌は、PHBを生産する能力を有し、メタノール資化性
を持つ細菌であればよく、たとえば、メチロバクテリウ
ム属、キサントバクター属、ハイホミクロビウム属、パ
ラコッカス属、メチロバチルス属およびアンキロバクタ
ー属の細菌などが挙げられる。
(CH3 )CH2 CO− なる繰り返し単位から構成
されるポリエステル物質である。本発明に使用される細
菌は、PHBを生産する能力を有し、メタノール資化性
を持つ細菌であればよく、たとえば、メチロバクテリウ
ム属、キサントバクター属、ハイホミクロビウム属、パ
ラコッカス属、メチロバチルス属およびアンキロバクタ
ー属の細菌などが挙げられる。
【0009】培養の窒素源としては、使用する細菌が資
化しうる物質であれば特に制限はなく、例えばアンモニ
ア、尿素、硝酸あるいは酵母エキス、麦芽エキスなどの
有機窒素含有物が用いられる。無機塩類としてリン酸
塩、カリウム塩、ナトリウム塩、硝酸塩およびマグネシ
ウム、鉄、カルシウム、亜鉛、マンガン、コバルト、
銅、モリブデン等の金属塩が用いられる。
化しうる物質であれば特に制限はなく、例えばアンモニ
ア、尿素、硝酸あるいは酵母エキス、麦芽エキスなどの
有機窒素含有物が用いられる。無機塩類としてリン酸
塩、カリウム塩、ナトリウム塩、硝酸塩およびマグネシ
ウム、鉄、カルシウム、亜鉛、マンガン、コバルト、
銅、モリブデン等の金属塩が用いられる。
【0010】培養条件は、使用する菌株により異なる
が、一般的には、温度は25〜40℃、好ましくは30
〜38℃とされる。良好なPHB生産性を得る最適温度
は、菌株により異なることが多い。また、pHは5〜
8、好ましくは6.0〜7.5が用いられる。このよう
な条件で好気的に培養されるが、そのために空気、又は
酸素を通気し、かつ酸素を培養液に有効に溶け込ませる
ために必要に応じて攪拌する。一般的には培養液中の溶
存酸素濃度は0.3ppm以上が望ましい。
が、一般的には、温度は25〜40℃、好ましくは30
〜38℃とされる。良好なPHB生産性を得る最適温度
は、菌株により異なることが多い。また、pHは5〜
8、好ましくは6.0〜7.5が用いられる。このよう
な条件で好気的に培養されるが、そのために空気、又は
酸素を通気し、かつ酸素を培養液に有効に溶け込ませる
ために必要に応じて攪拌する。一般的には培養液中の溶
存酸素濃度は0.3ppm以上が望ましい。
【0011】培養槽の形式は、通気攪拌槽であればいず
れでも使用可能であり、例えば機械的攪拌槽、エアーリ
フト式培養槽および気泡塔型培養槽などを利用すること
ができる。培地の供給方法は、炭素源、窒素源、各種無
機塩類、各種添加剤などが、一括してあるいは個別に連
続的あるいは間欠的に供給される。たとえば、メタノー
ルは他の培地成分との混合物として培養槽に供給しても
よく、また他の培地成分とは別に独立して培養槽に供給
することもできる。培養液のpH制御は、窒素律速培養
によらない場合は、アンモニアを用いてpHを制御でき
る。本発明による窒素律速培養条件を用いる場合には、
非窒素系塩基、例えば苛性ソーダ、苛性カリなどを用い
てpHを制御するのが望ましい。
れでも使用可能であり、例えば機械的攪拌槽、エアーリ
フト式培養槽および気泡塔型培養槽などを利用すること
ができる。培地の供給方法は、炭素源、窒素源、各種無
機塩類、各種添加剤などが、一括してあるいは個別に連
続的あるいは間欠的に供給される。たとえば、メタノー
ルは他の培地成分との混合物として培養槽に供給しても
よく、また他の培地成分とは別に独立して培養槽に供給
することもできる。培養液のpH制御は、窒素律速培養
によらない場合は、アンモニアを用いてpHを制御でき
る。本発明による窒素律速培養条件を用いる場合には、
非窒素系塩基、例えば苛性ソーダ、苛性カリなどを用い
てpHを制御するのが望ましい。
【0012】PHBの蓄積には通常、炭素源以外の培地
成分を制限する方法が用いられる。窒素、リン、イオ
ウ、カリ、あるいは微量元素、例えばマンガン、亜鉛、
銅などの成分を制限するのが好ましい。本発明の場合に
は窒素が制限される。窒素は、アンモニウム塩、又はア
ンモニアガス、あるいはアンモニア水で供給するのが便
利である。例えば、アンモニアガス、又はアンモニア水
を窒素源として供給する場合、連続的に供給する他の培
地成分とは別にアンモニアガス又はアンモニア水を一定
量連続的に供給する方法が用いられる。アンモニウム塩
として供給する場合は、連続的に供給する培地成分とと
もに培地に溶解して用いることができる。このようにし
て供給する窒素源を菌体が活発に増殖するうえで必要と
される量より減少させ、すなわち窒素供給速度を菌体増
殖の制限因子になるように制限して行う培養法が用いら
れる。
成分を制限する方法が用いられる。窒素、リン、イオ
ウ、カリ、あるいは微量元素、例えばマンガン、亜鉛、
銅などの成分を制限するのが好ましい。本発明の場合に
は窒素が制限される。窒素は、アンモニウム塩、又はア
ンモニアガス、あるいはアンモニア水で供給するのが便
利である。例えば、アンモニアガス、又はアンモニア水
を窒素源として供給する場合、連続的に供給する他の培
地成分とは別にアンモニアガス又はアンモニア水を一定
量連続的に供給する方法が用いられる。アンモニウム塩
として供給する場合は、連続的に供給する培地成分とと
もに培地に溶解して用いることができる。このようにし
て供給する窒素源を菌体が活発に増殖するうえで必要と
される量より減少させ、すなわち窒素供給速度を菌体増
殖の制限因子になるように制限して行う培養法が用いら
れる。
【0013】培養液中の残存窒素濃度の測定は、窒素源
としてアンモニアあるいはアンモニア化物を用いた場合
には、常法によりアンモニウムイオン電極、又はイオン
クロマトグラフィ(1ppmまで測定可能)によりアン
モニウムイオン濃度として連続的に測定されるが、本発
明の培養法によれば、実質的にアンモニウムイオンが検
出できない程度となる。ただし混合特性の悪いときは、
培養液中の残存アンモニウムイオンは、部分的に数pp
mを示すことがあり得る。
としてアンモニアあるいはアンモニア化物を用いた場合
には、常法によりアンモニウムイオン電極、又はイオン
クロマトグラフィ(1ppmまで測定可能)によりアン
モニウムイオン濃度として連続的に測定されるが、本発
明の培養法によれば、実質的にアンモニウムイオンが検
出できない程度となる。ただし混合特性の悪いときは、
培養液中の残存アンモニウムイオンは、部分的に数pp
mを示すことがあり得る。
【0014】連続培養系で定常状態を保つ方法として
は、基質の節約という立場から基質の供給速度を制限し
ながら培養する、いわゆる基質律速培養によるものが一
般的であるが、本発明における培養法は前記の基質律速
培養とは異なり、培養槽への窒素供給速度を制限するこ
とにより定常状態を保ちながら培養を行う、すなわち増
殖を制限する因子が唯一窒素のみである窒素律速培養法
である。
は、基質の節約という立場から基質の供給速度を制限し
ながら培養する、いわゆる基質律速培養によるものが一
般的であるが、本発明における培養法は前記の基質律速
培養とは異なり、培養槽への窒素供給速度を制限するこ
とにより定常状態を保ちながら培養を行う、すなわち増
殖を制限する因子が唯一窒素のみである窒素律速培養法
である。
【0015】本発明の連続培養に切り替えられた後は、
窒素源の供給を調節して培養液中の残存アンモニウム濃
度を通常使用されるイオン分析計では検出できない程に
低くすると同時に、培養液中の残存メタノール濃度が一
定となるように培地供給量、又はメタノール供給量を制
御する。工業的にはメタノール供給量および培地供給量
は、残存メタノール濃度をガスクロマトグラフィなどの
分析計により経時的に測定し、その信号により自動的に
調節される。培養液中のメタノール濃度は通常は10〜
3000ppm程度、好ましくは200〜2000pp
m程度に維持される。残存メタノール濃度は、培養廃ガ
ス中のメタノールを炭化水素計あるいは、ガスクロマト
グラフィ等の分析計により測定することによっても知る
ことができる。このようにして、一定の通気条件下で一
定の定常状態が得られ、この定常状態においては菌の増
殖を制限しているのは窒素のみである。
窒素源の供給を調節して培養液中の残存アンモニウム濃
度を通常使用されるイオン分析計では検出できない程に
低くすると同時に、培養液中の残存メタノール濃度が一
定となるように培地供給量、又はメタノール供給量を制
御する。工業的にはメタノール供給量および培地供給量
は、残存メタノール濃度をガスクロマトグラフィなどの
分析計により経時的に測定し、その信号により自動的に
調節される。培養液中のメタノール濃度は通常は10〜
3000ppm程度、好ましくは200〜2000pp
m程度に維持される。残存メタノール濃度は、培養廃ガ
ス中のメタノールを炭化水素計あるいは、ガスクロマト
グラフィ等の分析計により測定することによっても知る
ことができる。このようにして、一定の通気条件下で一
定の定常状態が得られ、この定常状態においては菌の増
殖を制限しているのは窒素のみである。
【0016】本発明における連続培養初期における培養
液中の菌体濃度(乾燥菌体基準、以下同様)は特に制限
はないが、通常は本発明の定常状態時の菌体濃度と同程
度か、やや低い濃度に到達したのち本連続培養へ移行す
ることが望ましい。また、本発明における連続培養中に
おける培養液中の菌体濃度は通常10〜100g/lで
ある。菌の増殖速度を変えるには、窒素供給速度を調節
することにより任意に変更できる。即ち、増殖速度を速
くする(平均滞留時間を短くする)には窒素供給速度を
大きくするように条件を選択すればよく、逆に増殖速度
を遅くする(平均滞留時間を長くする)には窒素供給速
度を小さくするように条件を選択すればよい。
液中の菌体濃度(乾燥菌体基準、以下同様)は特に制限
はないが、通常は本発明の定常状態時の菌体濃度と同程
度か、やや低い濃度に到達したのち本連続培養へ移行す
ることが望ましい。また、本発明における連続培養中に
おける培養液中の菌体濃度は通常10〜100g/lで
ある。菌の増殖速度を変えるには、窒素供給速度を調節
することにより任意に変更できる。即ち、増殖速度を速
くする(平均滞留時間を短くする)には窒素供給速度を
大きくするように条件を選択すればよく、逆に増殖速度
を遅くする(平均滞留時間を長くする)には窒素供給速
度を小さくするように条件を選択すればよい。
【0017】本発明の窒素供給速度制限下での連続培養
に先立って、菌を活発に増殖させて培養液中の菌濃度が
所定値となるまで予備培養が行われる。予備培養とし
て、たとえば基質およびその他の培地成分ならびに酸素
を十分に供給しつつ行われる回分培養、もしくは窒素の
みを制限して行われる回分培養、またはこれらの回分培
養に引き続いて基質およびその他の培地成分ならびに窒
素を十分に供給しつつ行われる連続培養などがある。予
備培養は通常の方法により行われ、培養温度、pH、基
質および培地成分ならびに培地もしくは培養液中の基質
濃度などは前記の本発明の連続培養におけるものと同様
である。予備培養に引き続き、前記の窒素供給速度を制
限した連続培養が行われる。窒素の供給速度を小さく
し、培養槽での平均滞留時間を長くするに伴ない菌体中
のPHB含有量は増加し、平均滞留時間を15時間以上
とした時に飛躍的なPHB含有量の増加が認められる。
に先立って、菌を活発に増殖させて培養液中の菌濃度が
所定値となるまで予備培養が行われる。予備培養とし
て、たとえば基質およびその他の培地成分ならびに酸素
を十分に供給しつつ行われる回分培養、もしくは窒素の
みを制限して行われる回分培養、またはこれらの回分培
養に引き続いて基質およびその他の培地成分ならびに窒
素を十分に供給しつつ行われる連続培養などがある。予
備培養は通常の方法により行われ、培養温度、pH、基
質および培地成分ならびに培地もしくは培養液中の基質
濃度などは前記の本発明の連続培養におけるものと同様
である。予備培養に引き続き、前記の窒素供給速度を制
限した連続培養が行われる。窒素の供給速度を小さく
し、培養槽での平均滞留時間を長くするに伴ない菌体中
のPHB含有量は増加し、平均滞留時間を15時間以上
とした時に飛躍的なPHB含有量の増加が認められる。
【0018】このようにして得られた培養液から、濾過
または遠心分離などの通常の固液分離によって菌体を分
離回収し、必要に応じて水などで洗浄して菌体を得る。
このようにして得られた菌体から、又は、さらに所望に
より超音波処理などで破壊された菌体から、たとえばク
ロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化
炭化水素を抽出剤として抽出して得られたPHB抽出液
から、これと貧溶媒とを混合するなどにより凝固沈澱さ
せるなどのそれ自体公知の手段で処理してPHBを分離
する。必要に応じてさらに精製して高純度のPHBを得
ることができる。
または遠心分離などの通常の固液分離によって菌体を分
離回収し、必要に応じて水などで洗浄して菌体を得る。
このようにして得られた菌体から、又は、さらに所望に
より超音波処理などで破壊された菌体から、たとえばク
ロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化
炭化水素を抽出剤として抽出して得られたPHB抽出液
から、これと貧溶媒とを混合するなどにより凝固沈澱さ
せるなどのそれ自体公知の手段で処理してPHBを分離
する。必要に応じてさらに精製して高純度のPHBを得
ることができる。
【0019】
【実施例】次に本発明を実施例によりさらに具体的に説
明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるもの
ではない。 実施例1 工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託してある細
菌、プロトモナス エクストルクエンス(Protomonas e
xtorquens )K(受託番号:FERM BP−354
8)を使用した。なお、最近の文献によれば本菌は、メ
チロバクテリウム(Methylobacterium)属に属するとさ
れている(I.J.Bousfield and P.N.Green;Int.J.Syst.B
acteriol.,35,209(1985)、T.Urakami et al.;Int.J.Sys
t.Bacteriol., 43,504-513(1993))。
明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるもの
ではない。 実施例1 工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託してある細
菌、プロトモナス エクストルクエンス(Protomonas e
xtorquens )K(受託番号:FERM BP−354
8)を使用した。なお、最近の文献によれば本菌は、メ
チロバクテリウム(Methylobacterium)属に属するとさ
れている(I.J.Bousfield and P.N.Green;Int.J.Syst.B
acteriol.,35,209(1985)、T.Urakami et al.;Int.J.Sys
t.Bacteriol., 43,504-513(1993))。
【0020】工業用水1L当たり、つぎの組成を有する
回分培養用培地(培地A)を調製した。 回分培養用培地の組成 (培地A) メタノール 5 g KH2 PO4 3 g (NH4 )2 SO4 1 g MgSO4 ・7H2 O 1 g 酵母エキス 0.2g FeC6 H5 O7 ・xH2 O 60 mg ZnSO4 ・7H2 O 20 mg MnCl2 ・4H2 O 10 mg CaCl2 ・2H2 O 40 mg CuSO4 ・5H2 O 1 mg KI 1 mg ( NH4)6 Mo7 O24・4H2 O 1 mg CoCl2 ・6H2 O 1 mg H3 BO3 1 mg NaCl 50 mg
回分培養用培地(培地A)を調製した。 回分培養用培地の組成 (培地A) メタノール 5 g KH2 PO4 3 g (NH4 )2 SO4 1 g MgSO4 ・7H2 O 1 g 酵母エキス 0.2g FeC6 H5 O7 ・xH2 O 60 mg ZnSO4 ・7H2 O 20 mg MnCl2 ・4H2 O 10 mg CaCl2 ・2H2 O 40 mg CuSO4 ・5H2 O 1 mg KI 1 mg ( NH4)6 Mo7 O24・4H2 O 1 mg CoCl2 ・6H2 O 1 mg H3 BO3 1 mg NaCl 50 mg
【0021】3L容培養槽に、この培地Aを1.5L張
り込み、120℃で20分間加熱滅菌し、冷却後、アン
モニア水でpH6.5に調整し、これに別に調製された
種母200mlを植菌し、空気を通気しつつ32℃で回
分培養を行った。回分培養時のpHは、25%アンモニ
ア水で6.5に自動制御した。培養液中のメタノール濃
度は、ガスクロマトグラフィにより連続的に測定し、5
00〜1500ppmの範囲になるように自動的にメタ
ノールを供給した。なお、攪拌機回転数を1000rp
m、通気量を1vvmとした。菌体濃度が約15g/l
に達した時点で、pH調節用の25%アンモニア水を、
25%苛性ソーダ液に切り替え、メタノールの供給を停
止するとともに、別に調製された連続用培地(培地B)
の連続供給と培養液の連続排出とを開始し、連続培養に
移行した。
り込み、120℃で20分間加熱滅菌し、冷却後、アン
モニア水でpH6.5に調整し、これに別に調製された
種母200mlを植菌し、空気を通気しつつ32℃で回
分培養を行った。回分培養時のpHは、25%アンモニ
ア水で6.5に自動制御した。培養液中のメタノール濃
度は、ガスクロマトグラフィにより連続的に測定し、5
00〜1500ppmの範囲になるように自動的にメタ
ノールを供給した。なお、攪拌機回転数を1000rp
m、通気量を1vvmとした。菌体濃度が約15g/l
に達した時点で、pH調節用の25%アンモニア水を、
25%苛性ソーダ液に切り替え、メタノールの供給を停
止するとともに、別に調製された連続用培地(培地B)
の連続供給と培養液の連続排出とを開始し、連続培養に
移行した。
【0022】連続用培地の組成は、下記のごとくであ
り、120℃で20分間加熱滅菌し、冷却後使用した。
ただしメタノールは、ミクロフィルターで除菌濾過して
注入した。 連続培養用培地組成 (培地B) 工業用水1L当り メタノール 120 g KH2 PO4 6 g MgSO4 ・7H2 O 2 g (NH4 )2 SO4 1 g FeC6 H5 O7 ・xH2 O 120 mg ZnSO4 ・7H2 O 40 mg MnCl2 ・4H2 O 20 mg CaCl2 ・2H2 O 80 mg CuSO4 ・5H2 O 2 mg KI 2 mg ( NH4)6 Mo7 O24・4H2 O 2 mg CoCl2 ・6H2 O 2 mg H3 BO3 2 mg NaCl 100 mg 消泡剤(Silicone KM-75) 2 g
り、120℃で20分間加熱滅菌し、冷却後使用した。
ただしメタノールは、ミクロフィルターで除菌濾過して
注入した。 連続培養用培地組成 (培地B) 工業用水1L当り メタノール 120 g KH2 PO4 6 g MgSO4 ・7H2 O 2 g (NH4 )2 SO4 1 g FeC6 H5 O7 ・xH2 O 120 mg ZnSO4 ・7H2 O 40 mg MnCl2 ・4H2 O 20 mg CaCl2 ・2H2 O 80 mg CuSO4 ・5H2 O 2 mg KI 2 mg ( NH4)6 Mo7 O24・4H2 O 2 mg CoCl2 ・6H2 O 2 mg H3 BO3 2 mg NaCl 100 mg 消泡剤(Silicone KM-75) 2 g
【0023】連続用培地の供給と並行して25%アンモ
ニア水を連続的に供給した。アンモニア水の供給速度
は、連続用培地として供給されるメタノールの供給速度
に連動して、すなわちメタノールとアンモニアの供給モ
ル比(以下C/N比と記す)が25となるように供給し
た。培養液中のメタノール濃度は、メタノールの損失を
少なくするため、可能な限り低くし、300〜500p
pmに制御した。イオンクロマトグラフィで培養液中の
アンモニウムイオン濃度を連続的に測定したが、連続培
養へ移行後、アンモニウムイオン濃度は次第に低下し、
まもなく検出限界(1ppm)以下となった。この条件
では平均滞留時間が約40時間で定常状態となった。こ
の条件で10日間培養を継続したが、培養結果は安定し
ていた。この時の培養液中には約57%のPHBを含ん
だ菌体が1L当り42g存在した。メタノール1g当り
の菌体収量は0.35gであり、PHBの収量は0.2
0gであった。その後、アンモニア供給速度を変更する
ことにより平均滞留時間を変更し、平均滞留時間とPH
B含有量との関係を調べた。結果を表1に示した。
ニア水を連続的に供給した。アンモニア水の供給速度
は、連続用培地として供給されるメタノールの供給速度
に連動して、すなわちメタノールとアンモニアの供給モ
ル比(以下C/N比と記す)が25となるように供給し
た。培養液中のメタノール濃度は、メタノールの損失を
少なくするため、可能な限り低くし、300〜500p
pmに制御した。イオンクロマトグラフィで培養液中の
アンモニウムイオン濃度を連続的に測定したが、連続培
養へ移行後、アンモニウムイオン濃度は次第に低下し、
まもなく検出限界(1ppm)以下となった。この条件
では平均滞留時間が約40時間で定常状態となった。こ
の条件で10日間培養を継続したが、培養結果は安定し
ていた。この時の培養液中には約57%のPHBを含ん
だ菌体が1L当り42g存在した。メタノール1g当り
の菌体収量は0.35gであり、PHBの収量は0.2
0gであった。その後、アンモニア供給速度を変更する
ことにより平均滞留時間を変更し、平均滞留時間とPH
B含有量との関係を調べた。結果を表1に示した。
【0024】PHBの分析は以下により行った。菌体を
遠心分離機で集菌した後、純水で2回洗浄し、これを熱
風乾燥(100℃)して乾燥菌体を得た。約80mgの乾
燥菌体をスクリューキャップ付き試験管にとり、クロロ
ホルム1ml、内部標準入りメタノール−硫酸溶液(内
部標準:安息香酸200mg/100ml、硫酸3.5
容量%)1mlを加え、120℃で90分加熱処理し、
菌体に含まれているポリマーの分解およびメチルエステ
ル化を行った。反応終了後純水を1ml加え、激しく攪
拌した後、遠心分離を行い有機溶媒層を得た。この有機
溶媒層をガスクロマトグラフィーで分析することによ
り、PHB成分含量を算出した。 ガスクロマトグラフィー分析条件 装置:島津GC−7AG カラム:Reoplex 400 chromosor
b G AW−DMCS 10% (60〜80mesh) カラム温度: 160℃ 注入口温度: 250℃
遠心分離機で集菌した後、純水で2回洗浄し、これを熱
風乾燥(100℃)して乾燥菌体を得た。約80mgの乾
燥菌体をスクリューキャップ付き試験管にとり、クロロ
ホルム1ml、内部標準入りメタノール−硫酸溶液(内
部標準:安息香酸200mg/100ml、硫酸3.5
容量%)1mlを加え、120℃で90分加熱処理し、
菌体に含まれているポリマーの分解およびメチルエステ
ル化を行った。反応終了後純水を1ml加え、激しく攪
拌した後、遠心分離を行い有機溶媒層を得た。この有機
溶媒層をガスクロマトグラフィーで分析することによ
り、PHB成分含量を算出した。 ガスクロマトグラフィー分析条件 装置:島津GC−7AG カラム:Reoplex 400 chromosor
b G AW−DMCS 10% (60〜80mesh) カラム温度: 160℃ 注入口温度: 250℃
【0025】
【表1】 表1 平均滞留時間 PHB含有量 対メタノール 菌体収率 対メタノール PHB収率 (hr) (%) (g/g) (g/g) 10 14 0.36 0.05 15 32 0.36 0.12 20 40 0.35 0.14 40 57 0.35 0.20 65 65 0.36 0.23
【0026】表1は平均滞留時間と、菌体中のPHB含
有量、対メタノール菌体収率及び対メタノールPHB収
率のそれぞれとの関係を示している。表1から本発明の
窒素律速連続培養においては平均滞留時間が長くなるに
伴ない菌体中のPHB含有量が増加し、平均滞留時間を
15時間以上としたときにPHB含有量の顕著な増加が
認められることがわかる。
有量、対メタノール菌体収率及び対メタノールPHB収
率のそれぞれとの関係を示している。表1から本発明の
窒素律速連続培養においては平均滞留時間が長くなるに
伴ない菌体中のPHB含有量が増加し、平均滞留時間を
15時間以上としたときにPHB含有量の顕著な増加が
認められることがわかる。
【0027】比較例1 窒素律速連続培養を基質律速連続培養に変えたほかは、
実施例1と同様にして菌を培養した。連続培養時のpH
制御用の苛性ソーダをアンモニア水に変更することによ
り、供給窒素量を制限せずに行った。培地の供給速度を
変更することにより平均滞留時間を変更した。平均滞留
時間を40時間としたときのPHB含有量は0%であっ
た。この時の培養液中のアンモニウムイオン濃度は80
0〜1000ppmであった。培養液中にメタノールは
検出されなかった。培地の供給速度を変更することによ
り平均滞留時間を変更し、滞留時間とPHB含有量との
関係を見たが、いずれの条件においてもPHB含有量は
0〜7%と非常に低いものであった。
実施例1と同様にして菌を培養した。連続培養時のpH
制御用の苛性ソーダをアンモニア水に変更することによ
り、供給窒素量を制限せずに行った。培地の供給速度を
変更することにより平均滞留時間を変更した。平均滞留
時間を40時間としたときのPHB含有量は0%であっ
た。この時の培養液中のアンモニウムイオン濃度は80
0〜1000ppmであった。培養液中にメタノールは
検出されなかった。培地の供給速度を変更することによ
り平均滞留時間を変更し、滞留時間とPHB含有量との
関係を見たが、いずれの条件においてもPHB含有量は
0〜7%と非常に低いものであった。
【0028】実施例2 実施例1で用いたプロトモナス エクストルクエンス
(Protomonas extorquens )K(FERM BP−35
48)を使用した。3L容培養槽に、培地Aを1.5L
張り込み、120℃で20分間加熱滅菌し、冷却後、ア
ンモニア水でpH6.5に調整し、これに別に調製され
た種母 200mlを植菌し、空気を通気しつつ33℃
で回分培養を行った。回分培養時のpHは、25%アン
モニア水で6.5に自動制御した。培養液中のメタノー
ル濃度は、ガスクロマトグラフィにより連続的に測定
し、500〜1500ppmの範囲になるように自動的
にメタノールを供給した。攪拌機回転数を1450rp
m、通気量を1vvmとした。菌体濃度が約10g/l
に達した時点で、pH調節用の25%アンモニア水を、
25%苛性ソーダ液に切り替え、別に調製された(NH
4 )2 SO4 添加量を10g/lとした連続用培地(培
地C)の連続供給と培養液の連続排出とを開始し、連続
培養に移行した。メタノールは回分培養に引き続き、培
地Cとは別途に、自動的に供給された。消泡剤としてP
PG(ポリプロピレングリコール)をメタノール中へ1
%添加して使用した。
(Protomonas extorquens )K(FERM BP−35
48)を使用した。3L容培養槽に、培地Aを1.5L
張り込み、120℃で20分間加熱滅菌し、冷却後、ア
ンモニア水でpH6.5に調整し、これに別に調製され
た種母 200mlを植菌し、空気を通気しつつ33℃
で回分培養を行った。回分培養時のpHは、25%アン
モニア水で6.5に自動制御した。培養液中のメタノー
ル濃度は、ガスクロマトグラフィにより連続的に測定
し、500〜1500ppmの範囲になるように自動的
にメタノールを供給した。攪拌機回転数を1450rp
m、通気量を1vvmとした。菌体濃度が約10g/l
に達した時点で、pH調節用の25%アンモニア水を、
25%苛性ソーダ液に切り替え、別に調製された(NH
4 )2 SO4 添加量を10g/lとした連続用培地(培
地C)の連続供給と培養液の連続排出とを開始し、連続
培養に移行した。メタノールは回分培養に引き続き、培
地Cとは別途に、自動的に供給された。消泡剤としてP
PG(ポリプロピレングリコール)をメタノール中へ1
%添加して使用した。
【0029】 連続培養用培地組成 (培地C) 工業用水1L当り KH2 PO4 6 g MgSO4 ・7H2 O 2 g (NH4 )2 SO4 10 g FeC6 H5 O7 ・xH2 O 120 mg ZnSO4 ・7H2 O 40 mg MnCl2 ・4H2 O 20 mg CaCl2 ・2H2 O 80 mg CuSO4 ・5H2 O 2 mg KI 2 mg ( NH4)6 Mo7 O24・4H2 O 2 mg CoCl2 ・6H2 O 2 mg H3 BO3 2 mg NaCl 100 mg
【0030】培地の供給速度は、平均滞留時間が、40
時間となるように調整した。培養液中のメタノール濃度
は、メタノールの損失を少なくするため、可能な限り低
くし、300〜500ppmに制御した。イオンクロマ
トグラフィで培養液中のアンモニウムイオン濃度を連続
的に測定したが、連続培養へ移行後、アンモニウムイオ
ン濃度は次第に低下し、まもなく検出限界(1ppm)
以下となった。平均滞留時間が約40時間で定常状態と
なった。この時のメタノール供給速度と連続用培地とし
て供給されるアンモニウムイオンの供給速度は、C/N
比として25であった。この条件で10日間培養を継続
したが、培養結果は安定していた。この時の培養液中に
は約60%のPHBを含んだ菌体が1L当り43.2g
存在した。メタノール1g当りの菌体収量は0.36g
であり、PHBの収量は0.22gであった。
時間となるように調整した。培養液中のメタノール濃度
は、メタノールの損失を少なくするため、可能な限り低
くし、300〜500ppmに制御した。イオンクロマ
トグラフィで培養液中のアンモニウムイオン濃度を連続
的に測定したが、連続培養へ移行後、アンモニウムイオ
ン濃度は次第に低下し、まもなく検出限界(1ppm)
以下となった。平均滞留時間が約40時間で定常状態と
なった。この時のメタノール供給速度と連続用培地とし
て供給されるアンモニウムイオンの供給速度は、C/N
比として25であった。この条件で10日間培養を継続
したが、培養結果は安定していた。この時の培養液中に
は約60%のPHBを含んだ菌体が1L当り43.2g
存在した。メタノール1g当りの菌体収量は0.36g
であり、PHBの収量は0.22gであった。
【0031】実施例3 菌株としてハイホミクロビウム メチロボラム(Hyphom
icrobium methylovorum )IFO 14180を用いた
ほかは、実施例1と同様に行った。結果を表2に示し
た。
icrobium methylovorum )IFO 14180を用いた
ほかは、実施例1と同様に行った。結果を表2に示し
た。
【0032】実施例4 菌株としてハイホミクロビウム ホウランディカム(Hy
phomicrobium hollandicum)ATCC 27498を用
いたほかは、実施例1と同様に行った。結果を表2に示
した。
phomicrobium hollandicum)ATCC 27498を用
いたほかは、実施例1と同様に行った。結果を表2に示
した。
【0033】実施例5 菌株としてメチロバチルス グリコゲネス(Methylobac
illus glycogenes)ATCC 29475を用いたほか
は、実施例1と同様に行った。結果を表2に示した。
illus glycogenes)ATCC 29475を用いたほか
は、実施例1と同様に行った。結果を表2に示した。
【0034】
【表2】 表2 平均 対メタノール 対メタノール 菌 株 滞留時間 菌体濃度 PHB 含有量 菌体収率 PHB 収率 (hr) (g/l ) (%) (g/g ) (g/g ) IFO-14180 37.2 45.1 48.8 0.38 0.18 ATCC-27498 39.7 40.6 56.7 0.34 0.19 ATCC-29475 43.3 40.3 60.0 0.34 0.20
【0035】実施例6 実施例1で用いたプロトモナス エクストルクエンス
(Protomonas extorquens )K(FERM BP−35
48)を使用した。30L容培養槽に、実施例1と同様
の培地Aを15L張り込み、120℃で20分間加熱滅
菌し、冷却後、アンモニア水でpH6.5に調整し、こ
れに別に調製された種母200mlを植菌し、空気を通
気しつつ33℃で回分培養を行った。回分培養時のpH
は、25%アンモニア水で6.5に自動制御した。培養
液中のメタノール濃度は、廃ガス中のメタノール濃度を
炭化水素計により連続的に測定し、500〜1500p
pmの範囲になるように自動的にメタノールを供給し
た。攪拌機回転数を800rpm、通気量を1vvmと
した。菌体濃度が約15g/lに達した時点で、pH調
節用の25%アンモニア水を、25%苛性ソーダ液に切
り替え、メタノールの供給を停止するとともに、実施例
1と同様の連続用培地(培地B)の連続供給と培養液の
連続排出とを開始し、連続培養に移行した。連続用培地
の供給と並行して25%アンモニア水を連続的に供給し
た。アンモニア水の供給速度は、連続用培地として供給
されるメタノールの供給速度に連動して、すなわちC/
N比が25となるように供給した。培養液中のメタノー
ル濃度は、メタノールの損失を少なくするため、可能な
限り低くし、300〜500ppmに制御した。イオン
クロマトグラフィで培養液中のアンモニウムイオン濃度
を連続的に測定したが、連続培養へ移行後、アンモニウ
ムイオン濃度は次第に低下し、まもなく検出限界(1p
pm)以下となった。平均滞留時間が約40時間で定常
状態となった。
(Protomonas extorquens )K(FERM BP−35
48)を使用した。30L容培養槽に、実施例1と同様
の培地Aを15L張り込み、120℃で20分間加熱滅
菌し、冷却後、アンモニア水でpH6.5に調整し、こ
れに別に調製された種母200mlを植菌し、空気を通
気しつつ33℃で回分培養を行った。回分培養時のpH
は、25%アンモニア水で6.5に自動制御した。培養
液中のメタノール濃度は、廃ガス中のメタノール濃度を
炭化水素計により連続的に測定し、500〜1500p
pmの範囲になるように自動的にメタノールを供給し
た。攪拌機回転数を800rpm、通気量を1vvmと
した。菌体濃度が約15g/lに達した時点で、pH調
節用の25%アンモニア水を、25%苛性ソーダ液に切
り替え、メタノールの供給を停止するとともに、実施例
1と同様の連続用培地(培地B)の連続供給と培養液の
連続排出とを開始し、連続培養に移行した。連続用培地
の供給と並行して25%アンモニア水を連続的に供給し
た。アンモニア水の供給速度は、連続用培地として供給
されるメタノールの供給速度に連動して、すなわちC/
N比が25となるように供給した。培養液中のメタノー
ル濃度は、メタノールの損失を少なくするため、可能な
限り低くし、300〜500ppmに制御した。イオン
クロマトグラフィで培養液中のアンモニウムイオン濃度
を連続的に測定したが、連続培養へ移行後、アンモニウ
ムイオン濃度は次第に低下し、まもなく検出限界(1p
pm)以下となった。平均滞留時間が約40時間で定常
状態となった。
【0036】この時の培養液中には約55%のPHBを
含んだ菌体が1L当り40g存在した。この条件で40
日間培養を継続したが、培養経過に伴ないPHB含有
量、菌体濃度が徐々に増加する傾向を見せた。20日間
経過後にはPHB含有量62%、菌体濃度45g/lと
なり、40日間経過後にはPHB含有量65%、菌体濃
度47g/lとなった。この時のメタノール1g当りの
菌体収量は0.39gであり、PHBの収量は0.25
gであった。
含んだ菌体が1L当り40g存在した。この条件で40
日間培養を継続したが、培養経過に伴ないPHB含有
量、菌体濃度が徐々に増加する傾向を見せた。20日間
経過後にはPHB含有量62%、菌体濃度45g/lと
なり、40日間経過後にはPHB含有量65%、菌体濃
度47g/lとなった。この時のメタノール1g当りの
菌体収量は0.39gであり、PHBの収量は0.25
gであった。
【0037】
【発明の効果】本発明によりPHBを、大規模に、しか
も経済的かつ安定的に生産することが可能となった。本
発明によるPHB生産は、連続培養プロセスであるので
最適条件に設定した後の運転管理が容易であり、従来の
回分培養の繰り返しで行うプロセスに比べ、滅菌作業、
種母の調製等の作業の簡素化が可能であり、飛躍的な省
力化がはかれる。更に原料(基質)がメタノールである
ので、原料コストが非常に安価となるが、基質がメタノ
ールである更によい点は、非常に限定された基質である
ため、一般性細菌による雑菌汚染がなく、長期間の安定
した連続培養が容易に継続できることにある。
も経済的かつ安定的に生産することが可能となった。本
発明によるPHB生産は、連続培養プロセスであるので
最適条件に設定した後の運転管理が容易であり、従来の
回分培養の繰り返しで行うプロセスに比べ、滅菌作業、
種母の調製等の作業の簡素化が可能であり、飛躍的な省
力化がはかれる。更に原料(基質)がメタノールである
ので、原料コストが非常に安価となるが、基質がメタノ
ールである更によい点は、非常に限定された基質である
ため、一般性細菌による雑菌汚染がなく、長期間の安定
した連続培養が容易に継続できることにある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田原 寅一 新潟県新潟市太夫浜字新割182番地 三菱 瓦斯化学株式会社新潟研究所内
Claims (1)
- 【請求項1】 ポリ−3−ヒドロキシ酪酸を生産する能
力を有するメタノール資化性細菌を、メタノールを炭素
源として培養することにより、該菌体内にポリ−3−ヒ
ドロキシ酪酸を合成蓄積させ、当該菌体からポリ−3−
ヒドロキシ酪酸を取得するポリ−3−ヒドロキシ酪酸の
製造法において、単一の培養槽で平均滞留時間が15時
間以上になるように窒素の供給速度を制限した連続培養
をすることを特徴とするポリ−3−ヒドロキシ酪酸の製
造法。
Priority Applications (4)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP5225899A JPH0775590A (ja) | 1993-09-10 | 1993-09-10 | ポリ−3−ヒドロキシ酪酸の製造法 |
| EP19940114108 EP0643138B1 (en) | 1993-09-10 | 1994-09-08 | Process for production of bacterial cells containing poly-3-hydroxybutyric acid |
| DE1994632240 DE69432240T2 (de) | 1993-09-10 | 1994-09-08 | Verfahren zur Herstellung von bakterien Zellen, welche poly-3-hydroxy Buttersäure enthalten |
| US08/507,576 US5667996A (en) | 1993-09-10 | 1995-07-26 | Process for production of bacterial cells containing poly-3-hydroxy butyric acid |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP5225899A JPH0775590A (ja) | 1993-09-10 | 1993-09-10 | ポリ−3−ヒドロキシ酪酸の製造法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH0775590A true JPH0775590A (ja) | 1995-03-20 |
Family
ID=16836633
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP5225899A Pending JPH0775590A (ja) | 1993-09-10 | 1993-09-10 | ポリ−3−ヒドロキシ酪酸の製造法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH0775590A (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2002017380A (ja) * | 2000-07-06 | 2002-01-22 | Mitsubishi Gas Chem Co Inc | ポリ−3−ヒドロキシ酪酸の製造法 |
| JP2016504911A (ja) * | 2012-12-27 | 2016-02-18 | ヴェオリア・ウォーター・ソリューションズ・アンド・テクノロジーズ・サポート | 微生物によってポリヒドロキシアルカノエートを生成する方法 |
-
1993
- 1993-09-10 JP JP5225899A patent/JPH0775590A/ja active Pending
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2002017380A (ja) * | 2000-07-06 | 2002-01-22 | Mitsubishi Gas Chem Co Inc | ポリ−3−ヒドロキシ酪酸の製造法 |
| JP2016504911A (ja) * | 2012-12-27 | 2016-02-18 | ヴェオリア・ウォーター・ソリューションズ・アンド・テクノロジーズ・サポート | 微生物によってポリヒドロキシアルカノエートを生成する方法 |
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20031210 |
|
| A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20040209 |
|
| A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20040303 |