JPH0776729A - Goss方位に集積した結晶方位を有する方向性珪素鋼板の製造方法 - Google Patents

Goss方位に集積した結晶方位を有する方向性珪素鋼板の製造方法

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JPH0776729A
JPH0776729A JP5161159A JP16115993A JPH0776729A JP H0776729 A JPH0776729 A JP H0776729A JP 5161159 A JP5161159 A JP 5161159A JP 16115993 A JP16115993 A JP 16115993A JP H0776729 A JPH0776729 A JP H0776729A
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annealing
temperature
less
rolling
steel sheet
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JP5161159A
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Inventor
Kenichi Arai
賢一 荒井
Kazuyuki Ishiyama
和志 石山
Misao Namikawa
操 浪川
Akira Hiura
昭 日裏
Yasushi Tanaka
靖 田中
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】安価な製造コストで、優れた磁気特性を安定し
て得ることができるGoss方位に集積した結晶方位を有す
る方向性珪素鋼板を製造する方法を提供することを目的
とする。 【構成】 C:0.01wt%以下、Si:2.5 〜7 wt
%、Cu:0.01wt%以下、S:0.01wt%以下、A
l:0.01wt%以下、N:0.01wt%以下を含む鋼材を
1000℃以上に保持した後、仕上温度が700 〜950 ℃にな
るような熱間圧延を施し、次いで、圧下率30〜85%の一
次冷間圧延を施した後、600 〜900 ℃の温度で一次焼鈍
を行い、さらに圧下率40〜80%の二次冷間圧延を施し、
その後600 〜900 ℃の温度で二次焼鈍を行い、さらに圧
下率50〜75%の三次冷間圧延を施し、引き続き、温度T
(℃)に対して雰囲気露点DP(℃)がDP<203.2-5.62T
+3.81T1.05なる関係を満たす還元性雰囲気中において10
00〜1300℃の温度で三次焼鈍を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、Goss 方位に集積し
た結晶方位を有する方向性珪素鋼板の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】方向性珪素鋼板は、無方向性珪素鋼板よ
りも良好な磁気特性を有しており、主としてトランスの
鉄心として使用されている。Gossによる{110}<0
01>方位に揃った結晶粒を持つ方向性珪素鋼板の製造
方法の発明以来、このようなGoss 組織を有する方向性
珪素鋼板の製造方法が数多く提案されている。これらの
提案を大別すると以下の2つに要約される。
【0003】第1の方法は、MnSやAlNの析出物を
インヒビターとして微細分散させて二次再結晶を起こさ
せる方法であり、その中には1回冷圧法と2回冷圧法が
ある。
【0004】2回冷圧法はGoss法を改良した方法であ
り、製鋼段階でMn,Sb,S,Se等を添加し、これ
らの元素およびその微細析出物による結晶粒成長抑制作
用を利用して2次再結晶を行わせるものである。具体的
には、C:0.02〜0.08wt%、Si:2.0〜
4.0wt%、Mn:0.2wt%程度、S:0.00
5〜0.05wt%の成分を持つ鋼塊を溶製し熱間圧延
によって板厚2.0〜3.0mmに圧延後、熱延板焼鈍
を施し、次いで圧下率70%程度の冷間圧延を施し、引
き続き850〜1050℃の中間焼鈍を施し、さらに圧
下率60〜70%で冷間圧延を施し、800〜850℃
で脱炭焼鈍後、1100℃以上の温度で5〜50時間焼
鈍して2次再結晶及びインヒビターの除去(純化焼鈍)
を行い、Goss粒を成長させる(例えば、特公昭51−1
3469号)。
【0005】1回冷圧法は冷間圧延回数を1回にした方
法で、2回冷圧法よりもGoss粒の集積度が高いことで知
られている。具体的には、C:0.02〜0.08wt
%、Si:2.0〜4.0wt%、Mn:0.2wt%
程度、N:0.01〜0.05wt%、Al:0.1w
t%程度の成分を持つ鋼塊を溶製し熱間圧延によって板
厚2.0〜3.0mmに圧延後、熱延板焼鈍を施してA
lN析出処理を施し、次いで圧下率80〜95%の冷間
圧延を行った後、脱炭焼鈍を施し、しかる後、1200
℃で20時間の高温焼鈍によって2次再結晶及びインヒ
ビターの除去(純化焼鈍)を行い、Goss粒を成長させる
(例えば、特公昭40−15644号)。
【0006】第2の方法は、インヒビターを用いずにGo
ss組織を形成する方法である(例えば、特開昭63−8
9622号、特開昭64−55339号、特開平2−5
7635号)。この方法は、単純に特定条件の圧延と熱
処理とを組み合わせることによりGoss粒を発達させるも
のである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述したように第1の
方法は脱炭焼鈍、純化焼鈍が必須であるため、高温長時
間の焼鈍が不可欠である。このため製造コスト、設備コ
ストが高くなることが避けられない。
【0008】また、鉄損を低減するために最終板厚を
0.20mm以下にしようとすると2次再結晶現象が不
安定となり、全面Goss粒で占めることは困難となる。こ
のため現状では板厚0.23mm程度のものが製造限界
となっている。
【0009】上記第2の方法では脱炭焼鈍、インヒビタ
ー除去のための純化焼鈍が不要であるために製造コスト
上は上記第1の方法に比べて有利である。しかしなが
ら、特開昭63−89622号に開示されている方法で
は、加工性向上のためTi及びVの炭化物を均一分散さ
せる必要性から熱延条件を限られた範囲で厳密に制御し
なければならない上、Ti及びVの炭化物は磁気特性を
劣化させるので脱炭焼鈍が必須であり、工程が複雑であ
る。その上、脱炭焼鈍による鋼板表面の酸化が起こるた
め、表面エネルギーによるGoss組織形成が困難になる
(例えば平成4年電気学会講演 山城ら)。このため、
所望のGoss組織集積度を得るための焼鈍に長時間(3時
間以上)を要する。
【0010】また、特開昭64−55339号に開示さ
れている方法では、2次冷間圧延のロールの脱脂、無潤
滑圧延など、特殊な冷間圧延条件が必要とされている
上、所望のGoss組織集積度を得るための最終焼鈍に長時
間(2時間以上)を要する。
【0011】さらに、特開平2−57635号に開示さ
れている方法では、無方向性珪素鋼帯を母材とするた
め、高温長時間の純化焼鈍が必須でありコストの上昇を
招き、しかも所望のGoSS組織集積度を得るための最終焼
鈍時間も1時間以上必要である。
【0012】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
ものであって、安価な製造コストで、優れた磁気特性を
安定して得ることができるGoss方位に集積した結晶方位
を有する方向性珪素鋼板を製造する方法を提供すること
を目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明は、C:
0.01wt%以下、Si:2.5〜7wt%、Cu:
0.01wt%以下、S:0.01wt%以下、Al:
0.01wt%以下、N:0.01wt%以下を含む鋼
材を準備し、この鋼材を1000℃以上に保持した後、
仕上温度が700〜950℃になるような熱間圧延を施
し、次いで、圧下率30〜85%の一次冷間又は温間圧
延を施した後、600〜900℃の温度で一次焼鈍を行
い、さらに圧下率40〜80%の二次冷間又は温間圧延
を施し、その後600〜900℃の温度で二次焼鈍を行
い、さらに圧下率50〜75%の三次冷間又は温間圧延
を施し、引き続き、温度T(℃)に対して雰囲気露点D
P(℃)が DP<203.2−5.62T+3.81T1.05 なる関係を満たすような還元ガスを含む還元性雰囲気又
は不活性ガスを主体とする非酸化性雰囲気又はこれら還
元ガス及び不活性ガスの混合ガスの雰囲気中において1
000〜1300℃の温度で三次焼鈍を行うことを特徴
とするGoss方位に集積した結晶方位を有する方向性珪素
鋼板の製造方法を提供する。
【0014】本願発明者らは、先に、2.5〜7wt%
Siで特定組成の鋼板に対して、インヒビターを用いず
に中間焼鈍を挟んで3回の冷間圧延を施し、最終焼鈍と
して雰囲気中の酸素濃度をコントロールし、結晶方位が
Goss方位に集積した方向性珪素鋼板を製造する方法につ
いて出願した(特願平4−185374号)。この方法
を用いることにより従来よりも安定してGoss組織を形成
することができるが、本願発明者らのその後の実験によ
れば、最終焼鈍を短時間で行った場合には必ずしもGoss
組織を安定して得ることができず、磁気特性がばらつく
ことが判明した。そこで、本願発明者らは、焼鈍時間が
短時間であっても安定して高い磁気特性を有する方向性
珪素鋼板を得るべく研究を重ねた。その結果、焼鈍雰囲
気の露点を一定範囲に規定することにより、短時間の焼
鈍でも製品の磁気特性のばらつきを小さくすることがで
きることを見出した。本願発明は、本願発明者らのこの
ような知見に基づいてなされたものである。
【0015】以下、本発明について詳細に説明する。ま
ず、化学成分の限定理由について説明する。Cは製鋼段
階でできるだけ低減しておくことが磁気特性上好まし
い。Cが0.01wt%を超えると磁気特性が著しく劣
化する。このためCの上限を0.01wt%に規定す
る。
【0016】Siは、電気抵抗を高める作用と、2.5
wt%以上の含有により金属学的変態点をなくし鋼をα
単相にする作用を有している。また、6.5wt%付近
では磁歪がゼロとなるため極めて優れた軟磁気特性が得
られる。しかし、7wt%を超えると磁歪が再び増大し
磁気特性が悪化するとともに、極めて脆くなるため実用
的ではない。このためSiの含有量を2.5〜7wt%
の範囲に規定する。
【0017】S,Nは通常の鋼中に含まれる代表的な元
素であるが、これらの元素は、固溶した状態でも析出物
の形態を採った状態でも粒成長性を阻害するため、でき
る限り低減することが好ましい。但し、製鋼段階で極端
な低減を行うとコスト増の原因となるため、粒成長性を
阻害しない範囲としてこれらの含有量の上限をそれぞれ
0.01wt%に規定する。
【0018】Alはα鉄への固溶度が広く、かつ酸素と
の親和力が強い元素である。従って、最終的な熱処理に
よりGoss組織を形成する際に、熱処理雰囲気中の微量酸
素と反応して鋼板表面に酸化物層を形成してしまうた
め、表面エネルギーによる結晶粒成長が阻害されてしま
う。このため、Alの含有量をこのような不都合が生じ
ない0.01wt%以下に規定する。Al含有量のさら
に好ましい範囲は0.005wt%以下である。Alは
脱酸剤として通常添加されるものであるため、特に厳密
に制御する必要がある。
【0019】Cuはα鉄への固溶度が小さな元素であ
り、最終的な熱処理によりGoss組織を形成する際の結晶
粒成長を著しく阻害する元素である。また、Cuは製鋼
段階で0.05wt%程度含有される。従って、その含
有量を上述のような不都合が生じない0.01wt%以
下に減じることが好ましく、0.005wt%以下にす
ることが一層好ましい。ただし、Cuは融点が1083
℃であり、1000℃程度以上の熱処理により揮発する
成分であるため、0.01wt%よりも多く含有されて
いても比較的長時間の熱処理により0.01wt%以下
にすることが可能である。しかし、工程の効率化の観点
からは熱処理時間の延長は好ましくない。
【0020】これら元素以外の不可避不純物元素は通常
の鋼に含有される程度の量は許容される。しかし、磁気
特性等をより向上させる観点からは少ないほうが好まし
い。特に、α鉄への固溶度が低いSn等は、Cuと同様
に最終的な熱処理によりGoss組織を形成する際の結晶粒
成長を著しく阻害するので、その含有量が0.01wt
%以下、好ましくは0.005wt%以下になるように
注意する必要がある。また、α鉄への固溶度が広く、か
つ酸素との親和力が強いV,Zn等は、Alと同様に表
面エネルギーによる結晶粒成長を阻害する作用を有する
ため、その含有量が0.01wt%以下、好ましくは
0.005wt%以下になるように注意する必要があ
る。さらに、鋼中のOは3次再結晶挙動に影響を与える
ため、極力低いことが望ましく0.008wt%以下で
あることが好ましい。
【0021】このようにして溶解された鋼は、インゴッ
トに鋳造されるか或いは連続鋳造法によりスラブとさ
れ、次いで、このインゴット又はスラブは1000℃以
上の温度に保持され、熱間圧延に供される。熱間圧延前
の保持温度を1000℃以上に規定したのは、粗圧延機
あるいは仕上げ熱間圧延機前段での熱延中の再結晶の促
進と、700〜950℃の熱延仕上げ温度を確保するた
めである。なお、熱間圧延は、インゴット又はスラブを
加熱炉にて1000℃以上に加熱してから行ってもよい
し、直接圧延により連続鋳造の後スラブ温度を1000
℃以上に保持したまま行ってもよい。
【0022】また、熱間圧延の仕上温度は700〜95
0℃の範囲であることが必要である。仕上温度が700
℃未満では熱間圧延の圧延負荷が大きくなり過ぎ製造上
好ましくない上に、最終的なGoss粒の成長にも悪影響を
及ぼす。また、仕上温度を950℃超にするにはインゴ
ット又はスラブの初期温度を高目に設定する必要があ
り、製造コスト上不利となる。
【0023】熱延板の板厚は最終製品の所望板厚によっ
て異なるが、概ね1.6mm程度から5.0mm程度と
なる。このようにして製造された熱延板は常法に従って
巻き取られるが、その巻取温度は560〜800℃とす
ることが好ましい。巻取温度が560℃未満では、熱延
終了後のランアウトテーブル上での冷却が実際上困難で
あるため実用性に欠け、一方、巻取温度が800℃を超
えると、巻取冷却中の表面酸化により酸洗性が悪化し、
実用的ではない。
【0024】なお、巻き取られた熱延コイルを、必要に
応じて連続炉或いはバッチ炉で熱延板焼鈍してもよい。
このときの熱延板焼鈍温度は700〜1100℃である
ことが好ましい。熱延板焼鈍温度が700℃未満では、
熱延時に形成された加工組織を消滅させることができな
いため、その効果が実質的に現われず、一方、熱延板焼
鈍温度が1100℃を超えると、操業上のコスト高の原
因となるために実用上問題となる。
【0025】このようにして作製された熱延板は常法に
従って一次冷間(又は温間)圧延される。このときの冷
間圧下率は30〜85%とする。圧下率が30%未満の
場合又は85%を超える場合には、三次焼鈍の際の結晶
粒の選択的粒成長によるGoss粒の成長に好ましい集合組
織が適切に形成されず、最終焼鈍(三次焼鈍)後に十分
成長したGoss粒が得られない。この際の高い磁束密度を
得るための最適冷間圧下率は、熱延板の仕上温度及び巻
取温度に応じて形成される熱延組織によって変化する。
例えば、仕上温度が低め(750℃程度)の場合には、
熱延による圧延加工組織が発達しているために、一次圧
延の圧下率は低めでよい。一方、仕上げ温度が高め(8
50℃程度)の場合には加工組織よりも再結晶組織のほ
うが発達しているために、一次圧延の圧下率は高く設定
される。なお、通常、冷間圧延は潤滑材を使用するが、
潤滑材を使用せず無潤滑で圧延を行っても同様の効果が
得られる。
【0026】一次冷延板は600〜900℃の温度で焼
鈍(一次焼鈍)される。焼鈍温度が600℃未満では、
焼鈍による完全再結晶を行わせることができない。一
方、焼鈍温度が900℃を超えると、再結晶は達成され
るが、焼鈍コストが不可避的に高くなってしまう。ま
た、短時間で再結晶を行わせ、かつ経済性をも確保する
には、特に680〜800℃の温度で焼鈍することが好
ましい。この焼鈍では、鋼板表面が若干酸化されたとし
ても、後に行われる冷間圧延前の酸洗によりその除去が
可能であるため、三次焼鈍(最終焼鈍)時の結晶方位の
Goss方位への集積を確保するという面では大きな問題は
ない。しかし、酸化膜を過度に生成しないようにすると
いう観点から、極力酸素分圧の低い非酸化性雰囲気また
は真空中で行うことが好ましい。また、焼鈍時間は通常
2分以上であれば問題はない。このような焼鈍処理は箱
型炉によるバッチ焼鈍又は連続焼鈍にて実施することが
できる。
【0027】焼鈍処理における加熱条件は、連続焼鈍で
は加熱速度200〜500℃/分、保持時間が2〜5分
間程度が適当であり、バッチ焼鈍では加熱速度4〜20
℃/分、保持時間が1〜10時間が適当である。冷却速
度は、熱収縮による歪みが鋼板内に残留しない限りにお
いて、通常採用される冷却速度で構わない。例えば、6
00℃まで13.5℃/秒、300℃まで12℃/秒の
冷却速度が採用される。
【0028】上記一次焼鈍が施された鋼板は、圧下率4
0〜80%で二次冷間(又は温間)圧延される。圧下率
が40%未満あるいは80%超では、上述した一次冷間
圧延の場合と同様な理由で最終的なGOSS 粒の集積が十
分でない。この冷間圧延は、一次冷間圧延と同様、無潤
滑、潤滑のいずれでも実施可能である。
【0029】このようにして得られた二次冷延板は、再
び600〜900℃の温度で焼鈍される(二次焼鈍)。
焼鈍温度が600℃未満では、焼鈍による完全再結晶を
行わせることができない。一方、焼鈍温度が900℃を
超えると、再結晶は達成されるが、焼鈍コストが不可避
的に高くなってしまう。また、短時間で再結晶を行わ
せ、かつ経済性をも確保するには、特に680〜800
℃の温度で焼鈍することが好ましい。この二次焼鈍でも
一次焼鈍と同様の理由で鋼板表面の若干の酸化が許容さ
れるが、この場合も酸化膜を過度に生成しないようにす
るという観点から、極力酸素分圧の低い非酸化性雰囲気
または真空中で行うことが好ましい。この二次焼鈍時間
も一次焼鈍と同様に通常2分以上であれば問題はない。
この二次焼鈍処理も箱型炉によるバッチ焼鈍又は連続焼
鈍にて実施することができる。
【0030】なお、一次冷間圧延及び二次冷間圧延の後
に夫々実施される上述のような中間焼鈍の温度は、後述
する三次焼鈍(最終焼鈍)後の鋼板の磁束密度特性に影
響を与える。従って、中間焼鈍としての一次焼鈍及び二
次焼鈍の温度を適切に規定する必要がある。
【0031】二次焼鈍が施された鋼板は、さらに圧下率
50〜75%で三次冷間(又は温間)圧延される。圧下
率が50%未満あるいは75%超では、上述した一次お
よび二次冷間圧延と同様な理由で最終的なGoss粒の集積
が十分でない。この冷間圧延も、一次および二次冷間圧
延と同様、無潤滑、潤滑のいずれでも実施可能である。
【0032】このようにして得られた三次冷延板は、さ
らに1000〜1300℃の温度で最終焼鈍される(三
次焼鈍)。焼鈍温度が1000℃未満では、表面エネル
ギーを利用した結晶粒成長の駆動力が十分でないため所
望のGoss組織を得ることはできない。一方、焼鈍温度が
1300℃を超えると、実質的にこのような高温加熱の
ために必要なエネルギーコストが大きくなり過ぎ、実用
上の問題を生じる。
【0033】また、この最終焼鈍は、還元ガスを含む還
元性雰囲気又は窒素、アルゴン等の不活性ガスを主体と
する非酸化性雰囲気又は還元性ガス及び不活性ガスの混
合雰囲気中で行われる。これは結晶方位のGoss方位への
集積を阻害する酸化膜が鋼板表面に形成することを防止
するためである。
【0034】本発明では、最終焼鈍について上述のよう
に温度及び雰囲気を規定する他に、焼鈍雰囲気の露点を
制御する。すなわち、温度T(℃)に対して雰囲気露点
DP(℃)が DP<203.2−5.62T+3.81T1.05 なる関係を満たすようにする。
【0035】本発明においてこのように規定した理由に
ついて以下に説明する。図1は表1に示す鋼種Aの鋼板
について酸素分圧0.5Pa以下の水素雰囲気中にて1
200℃で最終焼鈍した場合の焼鈍時間に対するB8
(磁界が800A/mのときの磁束密度)の値を示した
図であり、図2は図1の条件下でさらに露点を−35℃
以下に低下させた場合の焼鈍時間に対するB8 の値を示
した図である。これらの図から、最終焼鈍雰囲気の露点
を低く規定することにより、磁気特性のばらつきが小さ
くなることが理解される。
【0036】最終焼鈍雰囲気の露点についてさらに詳細
に検討した結果について図3〜図5に示す。図3〜図5
は、表1に示す鋼種Aの鋼板について、夫々最終焼鈍温
度が1050℃、1200℃、1300℃の場合におい
て、焼鈍時間を3分、10分、30分と変化させた際の
焼鈍雰囲気中の露点とB8 の値との関係を示すものであ
る。これらの図から、各焼鈍温度において、夫々特定の
露点以下になると、B8 が飛躍的に上昇すると共に、B
8 を高い値にするための焼鈍時間が短時間化することが
理解される。
【0037】図3〜図5の結果に基づいて、焼鈍温度及
び雰囲気露点と得られるB8 との関係を図6に示す。図
6は、横軸に焼鈍温度をとり、縦軸に雰囲気露点をとっ
て、焼鈍時間30分以内で得られるB8 が1.85T
(テスラ)以上である場合を○、1.85T未満の場合
を×で示したものである。この図において、○の領域と
×の領域との境界線を数式化すると、 DP=203.2−5.62T+3.81T1.05 となる。
【0038】従って、本発明では上述のように、 DP<203.2−5.62T+3.81T1.05 なる条件を導入したのである。
【0039】本発明で得られた鋼板はGoss粒が安定して
成長し、直流で800A/mの磁界を印加したときの磁
束密度B8 を安定的に1.85T以上にすることがで
き、平均的にはほぼ1.9T以上という極めて高い値と
することができる。
【0040】このように本発明によって優れた特性を有
する鋼板が製造できるのは、特定の組成の鋼に対し、一
次冷圧、一次焼鈍、二次冷圧、二次焼鈍、三次冷圧を特
定条件で行うことにより好ましい集合組織が形成され、
三次焼鈍による表面エネルギーを利用した結晶粒成長に
よりGoss粒の選択的粒成長が生じることによるものと推
察される。
【0041】
【実施例】
[実施例1]表1に示す化学成分を有する鋼種Aのスラ
ブを加熱し、仕上温度820℃、巻取温度600℃、仕
上板厚2.8mmの条件で熱間圧延を行った。
【0042】
【表1】
【0043】このようにして作製された熱延板を表面酸
化膜除去のため酸洗した後、82%の圧下率で一次冷間
圧延し、次いでこの鋼板に対して100%窒素雰囲気中
において800℃で2分間の一次焼鈍処理を施した。
【0044】次に、一次焼鈍後の鋼板に対して60%の
圧下率で二次冷間圧延を行い、引き続き一次焼鈍と同様
の条件にて二次焼鈍処理を施した。その後、二次焼鈍後
の鋼板に対して50%の圧下率で三次冷間圧延を行い、
最終板厚を0.1mmとした。次いでこれらの鋼板に対
して露点が−50〜0℃の100%水素雰囲気にて13
00℃で3〜60分間の三次焼鈍(最終焼鈍)を施し
た。
【0045】その結果、露点−20℃以下の雰囲気中で
焼鈍を行った場合に焼鈍時間30分間以内で粗大粒が鋼
板のほぼ全面を覆っていることが確認された。これらの
粗大粒のエッチピット観察の結果、結晶面が(110)
面であることが確認され、Goss方位集積度が高いことが
示された。このようにして得られた鋼板について、直流
磁気測定装置を用いて磁界800A/mのときの磁束密
度B8 を測定した。その結果を表2に示す。
【0046】
【表2】
【0047】表2に示すように、三次焼鈍の雰囲気露点
を−20℃以下にすれば、焼鈍時間が30分以下で安定
して1.85T以上の高いB8 が得られることが確認さ
れた。 [実施例2]表1に示す化学成分を有する鋼種Bのスラ
ブを加熱し、仕上温度820℃、巻取温度600℃、仕
上板厚2.5mmの条件で熱間圧延を行った。
【0048】このようにして作製された熱延板を表面酸
化膜除去のため酸洗した後、80%の圧下率で一次冷間
圧延し、次いでこの鋼板に対して100%窒素雰囲気中
において800℃で2分間の一次焼鈍処理を施した。
【0049】次に、一次焼鈍後の鋼板に対して40%の
圧下率で二次冷間圧延を行い、引き続き一次焼鈍と同様
の条件にて二次焼鈍処理を施した。その後、二次焼鈍後
の鋼板に対して66%の圧下率で三次冷間圧延を行い、
最終板厚を0.1mmとした。次いでこれらの鋼板に対
して露点が−50〜0℃の100%水素雰囲気にて12
00℃で3〜60分間の三次焼鈍(最終焼鈍)を施し
た。
【0050】その結果、露点−30℃以下の雰囲気中で
焼鈍を行った場合に焼鈍時間10分間以内で粗大粒が鋼
板のほぼ全面を覆っていることが確認された。これらの
粗大粒のエッチピット観察の結果、結晶面が(110)
面であることが確認され、Goss方位集積度が高いことが
示された。このようにして得られた鋼板について、直流
磁気測定装置を用いて磁界800A/mのときの磁束密
度B8 を測定した。その結果を表3に示す。
【0051】
【表3】
【0052】表3に示すように、三次焼鈍の雰囲気露点
を−30℃以下にすれば、焼鈍時間が10分以下で安定
して1.85T以上の高いB8 が得られることが確認さ
れた。 [実施例3]表1に示す化学成分を有する鋼種Bのスラ
ブを加熱し、仕上温度820℃、巻取温度600℃、仕
上板厚2.0mmの条件で熱間圧延を行った。
【0053】このようにして作製された熱延板を表面酸
化膜除去のため酸洗した後、75%の圧下率で一次冷間
圧延し、次いでこの鋼板に対して100%窒素雰囲気中
において800℃で2分間の一次焼鈍処理を施した。
【0054】次に、一次焼鈍後の鋼板に対して40%の
圧下率で二次冷間圧延を行い、引き続き一次焼鈍と同様
の条件にて二次焼鈍処理を施した。その後、二次焼鈍後
の鋼板に対して66%の圧下率で三次冷間圧延を行い、
最終板厚を0.1mmとした。次いでこれらの鋼板に対
して露点が−50〜0℃の100%水素雰囲気にて10
50℃で3〜60分間の三次焼鈍(最終焼鈍)を施し
た。
【0055】その結果、露点−35℃以下の雰囲気中で
焼鈍を行った場合に焼鈍時間30分間以内で粗大粒が鋼
板のほぼ全面を覆っていることが確認された。これらの
粗大粒のエッチピット観察の結果、結晶面が(110)
面であることが確認され、Goss方位集積度が高いことが
示された。このようにして得られた鋼板について、直流
磁気測定装置を用いて磁界800A/mのときの磁束密
度B8 を測定した。その結果を表4に示す。
【0056】
【表4】
【0057】表4に示すように、三次焼鈍の雰囲気露点
を−35℃以下にすれば、焼鈍時間が30分以下で安定
して1.85T以上の高いB8 が得られることが確認さ
れた。 [実施例4]表1に示す化学成分を有する鋼種Cのスラ
ブを加熱し、仕上温度750℃、巻取温度550℃、仕
上板厚2.0mmの条件で熱間圧延を行った。
【0058】このようにして作製された熱延板を表面酸
化膜除去のため酸洗した後、50%の圧下率で300℃
の一次温間圧延し、次いでこの鋼板に対して100%窒
素雰囲気中において750℃で60分間の一次焼鈍処理
を施した。
【0059】次に、一次焼鈍後の鋼板に対して75%の
圧下率で300℃の二次温間圧延を行い、引き続き一次
焼鈍と同様の条件にて二次焼鈍処理を施した。その後、
二次焼鈍後の鋼板に対して60%の圧下率で300℃の
三次温間圧延を行い、最終板厚を0.1mmとした。次
いでこれらの鋼板に対して露点が−50〜−10℃の1
00%水素雰囲気にて1200℃で10分間の三次焼鈍
(最終焼鈍)を施した。
【0060】その結果、露点−30℃以下の雰囲気中で
焼鈍を行った場合に粗大粒が鋼板のほぼ全面を覆ってい
ることが確認された。これらの粗大粒のエッチピット観
察の結果、結晶面が(110)面であることが確認さ
れ、Goss方位集積度が高いことが示された。このように
して得られた鋼板について、直流磁気測定装置を用いて
磁界800A/mのときの磁束密度B8 を測定した。そ
の結果を表5に示す。
【0061】
【表5】
【0062】表5に示すように、三次焼鈍の雰囲気露点
を−30℃以下にすれば、焼鈍時間が10分で安定して
1.85T以上の高いB8 が得られることが確認され
た。 [実施例5]表1に示す化学成分を有する鋼種Aのスラ
ブを加熱し、仕上温度820℃、巻取温度600℃で熱
間圧延を行い、板厚2.0mm、2.5mm、2.8m
mの3種類の熱延板を得た。
【0063】このようにして作製された熱延板を表面酸
化膜除去のため酸洗した後、表6に示す圧下率で一次冷
間圧延し、次いでこの鋼板に対して100%窒素雰囲気
中において800℃で2分間の一次焼鈍処理を施した。
【0064】次に、一次焼鈍後の鋼板に対して表6に示
す圧下率で二次冷間圧延を行い、引き続き一次焼鈍と同
様の条件にて二次焼鈍処理を施した。その後、二次焼鈍
後の鋼板に対して表6に示す圧下率で三次冷間圧延を行
い、最終板厚0.05mm、0.1mm、0.18mm
の3種類の鋼板を得た(サンプル名をS1,S2,S3
とする)。
【0065】
【表6】
【0066】次いでこれらS1,S2,S3に対して露
点が−30℃の100%水素雰囲気にて1200℃で3
〜30分間の三次焼鈍(最終焼鈍)を施した。このよう
にして得られた鋼板について、直流磁気測定装置を用い
て磁界800A/mのときの磁束密度B8 を測定した。
その結果を表7に示す。
【0067】
【表7】
【0068】表7に示すように、板厚0.05mmのサ
ンプルS1では3分間、0.1mmのサンプルS2では
10分間、0.18mmの場合でも30分間以内で安定
して1.85T以上の高いB8 が得られることが確認さ
れた。 [実施例6]表1に示す化学成分を有する鋼種Aのスラ
ブを加熱し、仕上温度820℃、巻取温度600℃、仕
上板厚2.5mmの条件で熱間圧延を行った。
【0069】このようにして作製された熱延板を表面酸
化膜除去のため酸洗した後、80%の圧下率で一次冷間
圧延し、次いでこの鋼板に対して100%窒素雰囲気中
において800℃で2分間の一次焼鈍処理を施した。
【0070】次に、一次焼鈍後の鋼板に対して40%の
圧下率で二次冷間圧延を行い、引き続き一次焼鈍と同様
の条件にて二次焼鈍処理を施した。その後、二次焼鈍後
の鋼板に対して66%の圧下率で三次冷間圧延を行い、
最終板厚を0.1mmとした。次いでこれらの鋼板に対
して露点を−50〜−10℃に設定した水素50%、窒
素50%の混合ガス、及び水素25%、窒素75%の混
合ガスの2種類の雰囲気中にて1200℃で10分間の
三次焼鈍(最終焼鈍)を施した。このようにして得られ
た鋼板について、直流磁気測定装置を用いて磁界800
A/mのときの磁束密度B8 を測定した。その結果を表
8に示す。
【0071】
【表8】
【0072】表8に示すように、三次焼鈍の雰囲気露点
を−30℃以下にすれば、いずれの混合ガス雰囲気中で
も安定して1.85T以上の高いB8 が得られることが
確認された。
【0073】なお、上記いずれの実施例から明らかなよ
うに、 DP<203.2−5.62T+3.81T1.05 を満足している場合に1.85T以上の高いB8 を示し
た。
【0074】
【発明の効果】この発明によれば、安価な製造コストで
優れた磁気特性を安定して得ることができるGoss方位に
集積した結晶方位を有する方向性珪素鋼板を製造する方
法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】酸素分圧0.5Pa以下の水素雰囲気中にて1
200℃で最終焼鈍した場合の焼鈍時間に対するB8
値を示した図。
【図2】図1の条件下でさらに露点を−35℃以下に低
下させた場合の焼鈍時間に対するB8 の値を示した図。
【図3】最終焼鈍温度が1050℃の場合の露点とB8
との関係を示す図。
【図4】最終焼鈍温度が1200℃の場合の雰囲気露点
とB8 との関係を示す図。
【図5】最終焼鈍温度が1300℃の場合の雰囲気露点
とB8 との関係を示す図。
【図6】焼鈍温度及び雰囲気露点と得られるB8 との関
係を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浪川 操 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 日裏 昭 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 田中 靖 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.01wt%以下、Si:2.5
    〜7wt%、Cu:0.01wt%以下、S:0.01
    wt%以下、Al:0.01wt%以下、N:0.01
    wt%以下を含む鋼材を準備し、この鋼材を1000℃
    以上に保持した後、仕上温度が700〜950℃になる
    ような熱間圧延を施し、次いで、圧下率30〜85%の
    一次冷間又は温間圧延を施した後、600〜900℃の
    温度で一次焼鈍を行い、さらに圧下率40〜80%の二
    次冷間又は温間圧延を施し、その後600〜900℃の
    温度で二次焼鈍を行い、さらに圧下率50〜75%の三
    次冷間又は温間圧延を施し、引き続き、温度T(℃)に
    対して雰囲気露点DP(℃)が DP<203.2−5.62T+3.81T1.05 なる関係を満たすような還元ガスを含む還元性雰囲気又
    は不活性ガスを主体とする非酸化性雰囲気又はこれら還
    元ガス及び不活性ガスの混合ガスの雰囲気中において1
    000〜1300℃の温度で三次焼鈍を行うことを特徴
    とするGoss方位に集積した結晶方位を有する方向性珪素
    鋼板の製造方法。
JP5161159A 1993-06-30 1993-06-30 Goss方位に集積した結晶方位を有する方向性珪素鋼板の製造方法 Pending JPH0776729A (ja)

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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006095649A (ja) * 2004-09-29 2006-04-13 Daido Steel Co Ltd 表面欠陥が少ないマグネシウム合金コイルの製造方法
JPWO2021261517A1 (ja) * 2020-06-24 2021-12-30
JPWO2021261515A1 (ja) * 2020-06-24 2021-12-30
JP2022022483A (ja) * 2020-06-24 2022-02-07 日本製鉄株式会社 方向性電磁鋼板の製造方法および方向性電磁鋼板
JP2022022481A (ja) * 2020-06-24 2022-02-07 日本製鉄株式会社 方向性電磁鋼板の製造方法

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JPWO2021261517A1 (ja) * 2020-06-24 2021-12-30
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JP2022022483A (ja) * 2020-06-24 2022-02-07 日本製鉄株式会社 方向性電磁鋼板の製造方法および方向性電磁鋼板
JP2022022481A (ja) * 2020-06-24 2022-02-07 日本製鉄株式会社 方向性電磁鋼板の製造方法

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