JPH0777505B2 - 鋳物の製造方法及び装置 - Google Patents

鋳物の製造方法及び装置

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JPH0777505B2
JPH0777505B2 JP1296829A JP29682989A JPH0777505B2 JP H0777505 B2 JPH0777505 B2 JP H0777505B2 JP 1296829 A JP1296829 A JP 1296829A JP 29682989 A JP29682989 A JP 29682989A JP H0777505 B2 JPH0777505 B2 JP H0777505B2
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幹生 山下
憲治 川口
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は鋳物の製造方法及び装置に関し、特にキャビ
ティ内に溶融した金属を加圧充填して加圧凝固させ、所
望の高精度鋳物を得る溶湯鍛造法に関するものである。
〔従来の技術〕
以下、かご形回転子を例にとり従来技術の説明をする。
第8図(a),(b)は一般的な鋳込み前のかご形回転
子、即ち回転子鉄心を示すもので、(a)は一部切り欠
いて断面を表わす正面図、(b)は側面図である。図中
(1)は回転子鉄心で、円形状鋼板(1a)を積層して形
成され、積層方向に貫通するスロット(1b)と回転軸挿
入部(1c)を有している。従来、このかご形回転子は、
スロット(1b)と回転軸挿入部(1c)とを打ち抜いた円
形状鋼板(1a)を必要枚数積層して回転子鉄心(1)を
形成し、次にアルミニウムダイカストにより回転子導体
(スロット導体及びエンドリングで構成される)を形成
した後、回転軸を挿入して製造される。
第9図は例えば特開昭56−47555号公報に示された従来
のかご形回転子の鋳込み装置を示す断面図である。図中
(2)は仮軸、(3)はカラー、(4)はナットであ
り、前記回転子鉄心(1)は仮軸(2)及びカラー
(3)を介してナット(4)により締め付けられて一体
化されている。(5)は成形後製品を取り出すための押
出棒、(6)は溶融導体材料、(7)は溶融導体材料
(6)を注入するスリーブ、(8)は鋳込み圧力を加え
るプランジャ(9)は固定金型、(10)は中間金型、
(11)は移動金型である。矢印は溶融導体材料(6)の
流れを表わす。
従来のかご形回転子のダイカスト法は仮軸(2)、カラ
ー(3)及びナット(4)で一体化した回転子鉄心
(1)を、中間金型(10)の円筒状の空孔に挿入し、中
間金型(10)及び移動金型(11)を固定金型(9)に加
圧して型締めを行う。しかる後、スリーブ(7)に注入
された溶融導体材料(6)がプランジャ(8)によって
加圧され、回転子鉄心(1)のスロット(1b)の中を流
れ、スロット部及びエンドリング部に高速で充填され、
急速冷却された後、固定金型(9)と中間金型(10)と
の間で金型を開き、押出棒(5)によりスロット導体と
エンドリングが形成された回転子鉄心(1)を押し出
す。
第10図(a),(b)はこのようにして得られた従来の
かご形回転子を示すもので、(a)は断面図、(b)は
側面図である。図中(1d)はエンドリング、(1e)はス
ロット導体、(6a)は収縮巣(引け巣)である。ダイカ
スト法では、溶融した導体材料(6)を高速で充填する
ので、空気やガスを巻込むと共に、凝固が完了するまで
高圧力を維持しておらず、スロット導体(1e)、エンド
リング(1d)に収縮巣(引け巣)(6a)が生じ、密度の
低下につながっていた。例えば、純アルミニウムの密度
は2.7g/cm3であるが、この従来の回転子導体のアルミニ
ウム密度はせいぜい2.6g/cm3前後と低かった。この密度
低下が回転子に誘起された二次電流の導通を妨げ、ひい
ては回転トルクを低下させていた。従って、現状では密
度低下(収縮巣による導通低下)を考慮して、回転子導
体の材料特性を十二分に発揮させる設計がなされていな
い。そこで、所望のモータ特性を得るために、回転子の
厚さを増したり、一時側の固定子の巻線を太くする等の
手段が取られている。そのため、モータ自身が大きくな
り、小型軽量化のための支障となるばかりでなく、余分
な材料が必要でコストアップにつながっていた。更に、
スロット導体(1e)内に生じた巣により回転子の強度低
下が生じ、高速回転時の断線及び破壊につながる危険性
があった。
上記のような問題点を解決するため、最近ではスロット
及びエンドリングが形成される空間(以下エンドリング
部と記す)内に、溶融導体材料、例えば溶融アルミニウ
ムを遅い流動速度で充填させ、上記溶融アルミニウムを
400kg/cm2以上の高圧下で凝固させる溶湯鍛造法(高圧
凝固鋳造法)が導入されている。
第11図は例えば特開昭62−12357号公報に示された従来
のかご形回転子の鋳込み装置を示す断面図である。図中
(5)は押出棒、(12)はノックアウトポンチで、押出
棒(5)を連動して上昇させる。(13)はポンチ、(1
4)はプレス等の移動テーブル、(15)は支柱、(11)
は上型で、支柱(15)により移動テーブル(14)と連結
されている。(9)は下型で、溶融アルミニウム(6)
を収容する湯溜り(9a)が設けられ、押出棒(5)を備
えている。上型(11)と下型(9)で回転子鉄心(1)
を嵌合挿入できるキャビティ(9c)とキャビティ(9c)
へ溶融アルミニウム(6)を導入するゲート(9b)が構
成されている。(16)はプレスのボルスタ、(17)はノ
ックアウト用下型で、ノックアウトポンチ(12)にネジ
止めされている。(18)はキャビティ(9c)上端のゲー
ト(9b)と対向する位置に設けられたガス排出口であ
る。なお、第12図は第11図におけるポンチ(13)が下降
し、下型(9)の湯溜り(9a)に押し込まれた充填、加
圧状態を示す拡大断面図である。
まず、円周方向に均等に設けた多数のスロット(1b)及
び回転軸挿入部(1c)を打ち抜いた円形の薄鉄板(1a)
をスロット(1b)が積層方向に貫通するように多数積み
重ねて回転子鉄心とする。次いで、上型(11)及び下型
(9)を約250℃に予熱しておき、下型(9)のキャビ
ティ(9c)内に上記多数個のスロット(1b)を有するか
ご形回転子鉄心(1)をそのスロット(1b)が重力方向
となるように嵌合挿入し、移動テーブル(14)を下降
し、支柱(15)により連結した上型(11)を下型(9)
に加圧して型締めを行う。その後、上型(11)の注入口
(11a)より溶融アルミニウム(6)を下型(9)の湯
溜り(9a)にその液面がゲート(9b)以下であるように
注入し、速やかに上ポンチ(13)を下降させ、湯溜り
(9a)に溜った溶融アルミニウム(6)を押出し、キャ
ビティ(9c)内に回転子鉄心(1)のスロット(1b)と
エンドリング部に遅い流動速度で溶融アルミニウム
(6)を流し込む。溶融アルミニウム(6)の流動速度
は、上ポンチ(13)のスピードを制御しながら行う。溶
融アルミニウム(6)はゲート(9a)近傍のスロットか
ら順に上方へ満たされ、ゲート(9a)近傍の上端エンド
リング部からガス排出口(18)に到達する。溶融アルミ
ニウム(6)充填後、溶融または半溶融状態で約400Kg/
cm2以上の高圧力を加えて凝固させる。上型(11)と下
型(9)を開き、押出棒(5)により回転子導体が形成
された回転子鉄心(1)を押出す。
第13図(a),(b)は溶湯鍛造で得られたかご形回転
子の例を示すもので、(a)は断面図、(b)は側面図
である。このように溶湯鍛造では溶融アルミニウムを低
速で充填するため、空気やガスの巻き込みが少なく、更
に凝固完了まで高圧力を維持するので、収縮巣が生ずる
ことなく高密度の電気導体を得ることができる。
第14図は溶湯鍛造で得られたアルミニウム密度が2.67g/
cm3のかご形回転子のトルク特性及び効率を、2.57g/cm3
のダイカスト品と対比して示す特性図である。縦軸はト
ルク(kg・cm)及び効率(%)をそれぞれ表わし、横軸
は回転数(rpm)を表わしており、(イ)は溶湯鍛造品
のトルク特性曲線、(ロ)はダイカスト品のトルク特性
曲線、(ハ)は溶湯鍛造品の効率特性曲線、(ニ)はダ
イカスト品の効率特性曲線である。図から明らかなよう
に、溶湯鍛造によるアルミニウムが高密度のものの方が
モータのトルク特性も効率も向上している。
このように、溶湯鍛造によればモータ特性をダイカスト
性に比べ向上させることができ、そのため回転子導体の
材料特性を十二分に発揮させる回転子の限界設計がなさ
れ、モータの小型軽量化、省資材あるいはコストダウン
が可能となる。
しかしながら、上記溶湯鍛造法による場合でも、例えば
エンドリングの断面積に比べ個々のスロットの断面積が
比較的小さい場合には、溶融アルミニウムが下エンドリ
ング部からスロット、更に上エンドリング部へと充填さ
れ、凝固する過程において、上エンドリング部よりスロ
ット部が先に凝固する。その際、加圧力も下エンドリン
グ部からスロット、上エンドリング部の順に伝えられる
が、スロットが先に凝固すれば、その圧力は上エンドリ
ング部には伝わらない。そのため上エンドリングには凝
固が完了するまで高圧力をかけることができず、収縮巣
が発生する。
〔発明が解決しようとする課題〕
以上のように、従来のダイカスト法では例えばかご形回
転子の場合、回転子導体全体に収縮巣が発生する。また
溶湯鍛造法では溶融導体材料の凝固にばらつきが生じ、
例えば上エンドリング部よりスロット部が先に凝固する
場合には上エンドリング部に収縮巣が発生する。そのた
め電気導通の低下をきたして、モータのトルク、効率に
悪影響を及ぼすという問題点があった。
この発明は上記のような問題点を解消するためになされ
たもので、加圧凝固時にその加圧力を利用して、キャビ
ティを構成する型の一部を鋳物に対して相対的に移動さ
せ、凝固が遅れて引け巣が生じてしまう部分を選択的に
狙って加圧凝固させ、鋳物全域を完全に加圧することに
より収縮巣の全くない無欠陥鋳物の製造が可能となる鋳
物の製造方法及び装置を提供することを目的とするもの
である。
〔課題を解決するための手段〕
この発明の鋳物の製造方法は、キャビティ内に溶融金属
を加圧充填して加工凝固させ、所望の高精度鋳物を得る
溶湯鍛造法において、加圧凝固時にその加圧力を利用し
て、キャビティを構成する型の一部を鋳物に対して相対
的に移動させ、移動しろを型間で吸収することにより、
凝固が遅れて引け巣が生じてしまう部分を選択的に狙っ
て加圧凝固させ、鋳物全域を完全に加圧できるようにし
たものである。
また、鋳物と同一材料から成る部品を鋳物の一部である
移動部分に設け、移動しろを鋳物・型間で吸収できるよ
うにして、移動しろ吸収部品の回収を行わなくても済む
ようにしたものである。
また、中子があるような複雑な型構造の場合に、移動し
ろを中子・型間で吸収するようにしたものである。
更に、ゲートを意識的に小さくすることにより、加圧凝
固時に、そのゲートを含む型を移動可能とすると共に、
鋳物の切断を容易にするようにしている。
そして、複数の指向性凝固領域を持つ複雑形状鋳物に対
しては、移動部分を複数個持たせるようにした。
この発明の鋳物の製造装置は、キャビティ内に溶融金属
を加圧充填して加圧凝固させ、所望の高精度鋳物を得る
溶湯鍛造装置において、加圧凝固時にその加圧力を利用
して、キャビティを構成する型の一部を鋳物に対して相
対的に移動可能に構成し、移動しろを型間で吸収するこ
とにより、凝固が遅れて引け巣が生じてしまう部分を選
択的に狙って加圧凝固させ、鋳物全域を完全に加圧でき
るようにしたものである。
また、鋳物と同一材料から成る部品を鋳物の一部である
移動部分に設け、移動しろを鋳物・型間で吸収可能に構
成して、移動しろ吸収部品の回収を行わなくても済むよ
うにしたものである。
また、中子があるような複雑な型構造の場合に、移動し
ろを中子・型間で吸収可能なように、移動しろを吸収部
品を設けたものである。
〔作用〕
この発明においては、加圧凝固時にその加圧力を利用し
て、キャビティを構成する型の一部を鋳物に対して相対
的に移動させ、移動しろを型間で吸収できるようにして
おり、凝固が遅れて引け巣が生じてしまう部分を選択的
に狙って加圧凝固させ、鋳物全域を完全に加圧できるの
で、収縮巣の発生を防止できる。
また、鋳物と同一材料から成る部品を鋳物の一部である
移動部分に設け、移動しろを鋳物・型間で吸収できるよ
うにしているので、移動しろ吸収部品の回収を行うこと
なく、吸収巣の発生を防止できる。
また、中子があるような複雑な型構造の場合でも、移動
しろを中子・型間で吸収できるようにしているので、収
縮巣の発生を防止できる。
更に、ゲートを意識的に小さくすることにより、加圧凝
固時に、そのゲートを含む型を移動可能とすると共に、
鋳物の切断を容易にするようにしているので、収縮巣の
発生を防止できる上、鋳物の品質向上が図れる。
そして、複数の指向性凝固領域を持つ複雑形状鋳物に対
しても、移動部分を複数個設けることにより、収縮巣の
発生を防止できる。
〔実施例〕
以下、この発明の実施例を図について説明する。但し、
第1図〜第4図に示す実施例1から4はかご形回転子を
例にとって説明し、第5図〜第7図に示す実施例5から
7はVTRドラムを例にとって説明する。
第1図はこの発明の実施例1に係わるかご形回転子の製
造装置を示す断面構成図で、左右の図は角度の異なる切
断面を表す。図中従来のものと同一または相当部分には
同一符号を付して説明を省略する。(20)は上型、(20
e)は上エンドリング部、(20f)は上フィン、(20k)
は上型嵌合部、(20s)は加圧プランジャ(8)による
加圧力を受ける部分を示す上型上端部、(21)は下型、
(25y)は湯溜り、(21g)はゲート、(21e)は下エン
ドリング部、(21f)は下フィンで、本図ではゲート(2
1g)をこの先端に設けた。(21k)は下型嵌合部、(2
2)は上下型を嵌合させ適度な力で締め付ける上下型止
め金具、(23)は仮軸(2)を釣り下げる釣り下げリン
グ、(24)は上定盤、(24f)は仮軸(2)を釣り下げ
る部分のフック、(25)は下定盤、(26)は加圧凝固時
に下型移動量を吸収する働きをもつ移動しろ吸収部品、
(27)はガス排出口、(28)は上定盤の型締めリングで
ある。
まず、下型(21)に仮軸(2)を下から通し、回転子鉄
心(1)を上からはめ込み、カラー(3)で締め込み固
定する。更に、下型嵌合部(21k)内に製品寸法と凝固
収縮量を考慮した寸法精度を有する移動しろ吸収部品
(26)(例えばアルミニウムリング等)を入れ、上型
(20)を取り付け下型と嵌合させ、上下型止め金具(2
2)により適度の力で締め付け固定する。次に、仮軸
(2)の先に釣り下げリング(23)をつけ、上定盤(2
4)のフック(24f)にひっかけ釣り下げる。次いで、湯
溜り(25y)にアルミニウム等の溶融金属材料である溶
融導体材料(6)を所定量注いだ後上定盤(24)を下降
させ、下型を湯溜り(25y)に挿入し、所定の位置で型
締めリング(28)を介して加圧した後、加圧プランジャ
(8)により下から加圧する。
この過程で溶融導体材料(6)がゲート(21g)、下フ
ィン(21f)、下エンドリング部(21e)、スロット(1
b)を経て上エンドリング部(20e)に到達する。この
際、溶融導体材料(6)の流速は過度にガスや空気を巻
き込むことのないよう、比較的低速(レイノルズ数が2
万以下)にするのがよい。
予め、型内やスロット内にあったガスや空気は大部分が
ガス排出口(27)で排出され、溶融導体材料(6)がこ
のガス排出口(27)に達すると、この部分の導体材料
(6)は急速に冷却されて凝固する。
この時点より、上型(20)を上部に押し上げる力が作用
し上型上端部(20s)及び製品に、湯溜り(25y)、ゲー
ト(21g)を介して、400kg/cm2以上の高圧力が加わる。
この際、スロット(1b)の断面積が小さいために、この
部分が最初に凝固し、回転子鉄心(1)の両端間の差圧
または下型下面と回転子鉄心(1)上面の差圧(ゲート
(21g)が先に凝固した場合)により、回転子鉄心
(1)、仮軸(2)、下型(21)が軸方向上方へ移動
(浮上)し、上エンドリング部(20e)を同様に400kg/c
m2以上の高圧力で加圧する。この時の上エンドリング部
(20e)の凝固収縮量は、純アルミニウムで約6.6%即ち
エンドリング厚みが20mmなら1.32mmであるから、移動し
ろ吸収部品(26)はこの加圧状態で約1.32mmつぶれる。
更に下型(21)の下面と下エンドリング部(21e)の下
面との差圧により、下型(21)のみが上昇し、下エンド
リング部(21e)が加圧凝固し、移動しろ吸収部品(2
6)が更に約1.32mmつぶれる。従って、両エンドリング
のどちらか一方がスロットより遅れて凝固しさえすれば
鋳物全域を加圧することができ、収縮巣のない無欠陥鋳
物ができる。
第2図はこの発明の実施例2に係わるかご形回転子の製
造装置を示す断面構成図で、左右の図は角度の異なる切
断面を表す。図において、(29a),(29b)は鋳物と同
一材料から成る移動しろ吸収部品である。
この実施例の作用・動作は上記実施例1とほぼ等しい
が、異なる点は鋳物と同一材料から成る部品を鋳物の一
部である移動部分に設け、移動しろを鋳物・型間で吸収
可能とすることにより、移動しろ吸収部品(29a),(2
9b)の回収を行うことなく、収縮巣の全くない無欠陥鋳
物の製造を可能にした点である。具体的には、上エンド
リング部(20e)の凝固収縮量は上エンドリング部(20
e)内にセットした移動しろ吸収部品(29a)でカバー
し、下エンドリング部(21e)の凝固収縮量は下エンド
リング部(21e)内にセットした移動しろ吸収部品(29
b)でカバーし、なお且つ鋳物と同一材料を用いること
により鋳物の中に鋳ぐるまれても製品としては何等悪影
響を及ぼすことはなく、製品ができた後で移動しろ吸収
部品(29a),(29b)を取り出す必要がないという特徴
がある。
第3図はこの発明の実施例3に係わる二重かご形回転子
の製造装置を示す断面構成図で、左右の図は角度の異な
る切断面を表す。図において、(30)は中子、(31)は
中子(30)と上型(20)との間に設けた上型移動しろ吸
収部品、(32)は中子(30)と下型(21)との間に設け
た下型移動しろ吸収部品、(20n)は中子・上型嵌合
部、(21n)は中子・下型嵌合部である。この実施例の
二重かご形回転子の場合、フィンとフィンとの間のエン
ドリングが分割されているため、この部分に中子(30)
が必要となり、実施例1の方法では対応できなくなる。
そこで、移動しろ吸収部品(31),(32)を中子・型間
に設ける方法を採用した。
まず、上型(20)の中子・上型嵌合部(20n)内及び下
型(21)の中子・下型嵌合部(21n)内に製品寸法と凝
固収縮量を考慮した寸法精度を有する移動しろ吸収部品
(31)及び(32)(例えばアルミニウムリング等)を入
れ、中子(30)を入れたものを用意する。次に、仮軸
(2)に回転子鉄心(1)を上からはめ込み、カラー
(3)で締め込み固定したものを先に用意した下型には
め込み、上型(20)を上からかぶせ、上下型止め金具
(22)により適度の力で締め付け固定する。更に、仮軸
(2)の先に釣り下げリング(23)をつけ、上定盤(2
4)のフック(24f)にひっかけ釣り下げる。次いで、湯
溜り(25y)にアルミニウム等の溶融導体材料(6)を
所定量注いだ後上定盤(24)を下降させ、下型を湯溜り
(25y)に挿入し、所定の位置で型締めリング(28)を
介して加圧した後、加圧プランジャ(8)により下から
加圧する。
実施例1と同様、予め型内やスロット内にあったガスや
空気は大部分がガス排出口(27)で排出され、溶融導体
材料(6)がこのガス排出口(27)に到達すると、この
部分の導体材料(6)は急速に冷却されて凝固する。
この時点より、上型(20)を上部に押し上げる力が作用
し、上型上端部(20s)及び製品に湯溜り(25y)、ゲー
ト(21g)を介して400kg/cm2以上の高圧力が加わる。こ
の際、スロット(1b)の断面積が小さいために、この部
分が最初に凝固し、回転子鉄心(1)両端間の差圧また
は下型下面と回転子鉄心(1)上面の差圧(ゲート(21
g)が先に凝固した場合)により、回転子鉄心(1)、
仮軸(2)、下型(21)が軸方向上方へ移動(浮上)
し、上エンドリング部(20e)を同様に400kg/cm2以上の
高圧力で加圧する。この時の上エンドリング部(20e)
の凝固収縮量は 純アルミニウムで約6.6%即ちエンド
リング厚みが20mmなら1.32mmであるから、上型移動しろ
吸収部品(31)はこの加圧状態で約1.32mmつぶれる。更
に下型(21)の下面と下エンドリング部(21e)の下面
との差圧により下型(21)のみが上昇し、下エンドリン
グ部(21e)が加圧凝固し、下型移動しろ吸収部品(3
2)が約1.32mmつぶれる。従って、両エンドリングのど
ちらか一方がスロットより遅れて凝固しさえすれば鋳物
全域を加圧することができ、収縮巣のない無欠陥鋳物が
できる。
第4図はこの発明の実施例4に係わる二重かご形回転子
の製造装置を示す断面構成図で、左右の図は角度の異な
る切断面を表す。図において、(33)は内側ゲートであ
る。この実施例の二重かご形回転子の場合、移動しろ吸
収部品(31)を中子(30)と上型(20)との間に設け、
下型は溶湯鍛造法で一般的に用いる上部からの指向性凝
固を達成できる内側ゲート(33)を採用したものであ
る。これにより、移動しろ吸収部品(31)は上型(20)
に要するだけとなり、部品点数の削減と金型組立の簡略
化が達成できる。
まず、上型(20)の中子・上型嵌合部(20n)内に製品
寸法と凝固収縮量を考慮した寸法精度を有する上型移動
しろ吸収部品(31)(例えばアルミニウムリング等)を
入れ、中子(30)を入れたものを用意する。次に、仮軸
(2)に回転子鉄心(1)を上からはめ込み、カラー
(3)で締め込み固定したものを下型(21)にはめ込
み、先に用意した上型(20)を上からかぶせ、上下型止
め金具(22)により適度の力で締め付け固定する。更
に、仮軸(2)の先に釣り下げリング(23)をつけ、上
定盤(24)のフック(24f)にひっかけ釣り下げる。次
いで、湯溜り(25y)にアルミニウム等の溶融導体材料
(6)を所定量注いだ後上定盤(24)を下降させ、下型
(21)を湯溜り(25y)に挿入し、所定の位置で型締め
リング(28)を介して加圧した後、加圧プランジャ
(8)により下から加圧する。
実施例1と同様、予め型内やスロット内にあったガスや
空気は大部分がガス排出口(27)で排出され、溶融導体
材料(6)がこのガス排出口(27)に到達すると、この
部分の導体材料(6)は急速に冷却されて凝固する。
この時点より、上型(20)を上部に押し上げる力が作用
し上型上端部(20s)及び製品に湯溜り(25y)、ゲート
(21g)を介して400kg/cm2以上の高圧力が加わる。この
際、スロット(1b)の断面積が小さいために、この部分
が最初に凝固し、回転子鉄心(1)両端間の差圧によ
り、回転子鉄心(1)、仮軸(2)、下型(21)が軸方
向上方へ移動(浮上)し、上エンドリング部(20e)を
同様に400kg/cm2以上の高圧力で加圧する。この時の上
エンドリング部(20e)の凝固収縮量は純アルミニウム
で約6.6%即ちエンドリング厚みが20mmなら1.32mmであ
るから、上型移動しろ吸収部品(31)はこの加圧状態で
約1.32mmつぶれる。下エンドリング部(21e)は溶湯鍛
造法で一般的に用いる上部からの指向性凝固を達成でき
る内側ゲート(33)を採用しているため鋳物全域を加圧
することができ、収縮巣のない無欠陥鋳物ができる。
第5図はこの発明の実施例5に係わるVTRドラムの製造
装置を示す断面構成図である。図において、(40)は上
型、(41)は中型、(42)は下型、(42g)は下型(4
2)に設けた細くて小さなゲート、(43)は製品寸法と
凝固収縮量を考慮した寸法精度を有する下型移動しろ吸
収部品(例えばアルミニウムリング等)、(44)はキャ
ビティ、(44a)はキャビティa部、(44b)はキャビテ
ィb部、(44c)はキャビティc部、(45)は上定盤、
(46)は下定盤、(46y)は湯溜り、(47)は溶融金
属、(48)は加圧プランジャ、(49)はガス排出口であ
る。
まず、湯溜り(46y)にアルミニウム等の溶融金属(4
7)を所定量注いだ後、下定盤(46)に下型移動しろ吸
収部品(43)を介して下型(42)をセットする。次に、
上定盤(45)を下げて上型(40)および中型(41)を型
締めし、加圧プランジャ(48)を上昇させて加圧する。
予め型内やスロット内にあったガスや空気は大部分がガ
ス排出口(49)で排出され、溶融金属(47)がこのガス
排出口(49)に到達すると、この部分の溶融金属(47)
は急速に冷却されて凝固する。
この時点より、任意的に細く小さく作ったゲート部の溶
融金属が急激に凝固し始める。すると下型両端間に差圧
が生じ下型(42)を上部に押し上げる力が作用し、キャ
ビティ(44)を下型(42)を介して400Kg/cm2以上の高
圧力で加圧することになる。この時のキャビティ(44)
内の凝固収縮量は純アルミニウムで約6.6%であるから
それに相当する分だけ下型(42)が上昇し、下型移動し
ろ吸収部品(46)はこの加圧状態でつぶれる。従って、
必ず最初に凝固するようなゲートを下型(42)に設けれ
ば鋳物全域を加圧することができ、収縮巣のない無欠陥
鋳物ができる。さらにこの方法の利点は製品を取り出す
時にゲートを細くしているため切断しやすいことであ
り、製品の品質向上を図ることができる。
第6図はこの発明の実施例6に係わるVTRドラムの製造
装置を示す断面構成図である。図において、(61)は型
1、(62)は型2、(63)は型3、(63g)は型3(6
3)に設けた細くて小さなゲート、(64)は型4、(6
5)は型1(61)・型2(62)の位置決め及び型2(6
2)に対して釣り下げるためのピン、(66)は製品寸法
と凝固収縮量を考慮した寸法精度を有する型移動しろ吸
収部品a(例えばアルミニウムリング等)、(67)は同
じく型移動しろ吸収部品b、(68)は型締めリングであ
る。
まず、上定盤(45)に型1(61)を引っかけた型4(6
4)を固定する。次に、型移動しろ吸収部品b(67)を
介して型3(63)を取り付けた型2(62)を、型移動し
ろ吸収部品a(66)を介してピン(65)で型1(61)及
び型4(64)に固定する。次いで、湯溜り(46y)にア
ルミニウム等の溶融金属(47)を所定量注いだ後、上定
盤(45)を下降させ、型2(62)を湯溜り(46y)に挿
入し、所定の位置で型締めリング(68)を介して加圧し
た後、加圧プランジャ(48)により下から加圧する。
予め型内やスロット内にあったガスや空気は大部分がガ
ス排出口(49)で排出され、溶融金属(47)がこのガス
排出口(49)に到達すると、この部分の溶融金属(47)
は急速に冷却されて凝固する。
この時点より、作意的に細く小さく作ったゲート(63
g)の溶融金属(47)が急激に凝固し始める。すると型
3(63)の両端間に差圧が生じ型3(63)を上部に押し
上げる力が作用し、キャビティ(44)を型3(63)を介
して400Kg/cm2以上の高圧力で加圧することになる。と
ころが、この実施例の場合はキャビティb部(44b)の
方がキャビティa部(44a)より狭いので、ゲート(63
g)の次にキャビティb部(44b)が凝固し初め、凝固部
分の上面と下面との間に差圧が生じ型1(61)と型2
(62)とを上部に押し上げる力が作用し、キャビティa
部(44a)の溶融金属を加圧することになる。この時の
凝固収縮量は型移動しろ吸収部品a(66)で吸収され
る。又同様にその後凝固するキャビティc部(44c)の
凝固収縮量は型移動しろ吸収部品b(67)で吸収され
る。凝固収縮量は純アルミニウムで約6.6%であるから
それに相当する分の寸法を考慮した型設計を行えばよ
い。
以上のように、複数の指向性凝固領域を持つ複雑形状鋳
物に対しても、移動部分を複数個設けることにより鋳物
全域を加圧することができ、収縮巣の全くない無欠陥鋳
物の製造が可能となる。
第7図はこの発明の実施例7に係わるVTRドラムの製造
装置を示す断面構成図である。図において、(69)は油
圧等を用いた機械的移動しろ吸収部品である。
本装置は基本的に第6図の実施例のものと同じ構造であ
るが、移動しろ吸収部品に油圧等を用いた機械的移動機
構が採用しており、溶融金属(47)が充填された時を見
計らって引き抜くという手法を採ることにより同様の効
果が得られる。又、本実施例においては移動部を直接油
圧等で動かす方法も含む。
なお、以上の実施例においては、移動しろ吸収部品にア
ルミニウムリング及び油圧等の機械的移動機構を用いた
が、その他はめあいによる摩擦、バネ等、溶湯が充填さ
れるまでは移動せず、400Kg/cm2以上の圧力に対しては
容易に移動する状態が得られるものであれば何であって
もかまわない。
また、以上の発明は、FDD用スピンドルモータハブ、そ
の他のダイカスト法や溶湯鍛造法などによる鋳造品すべ
てに応用可能である。
〔発明の効果〕
以上のように、この発明によればキャビティ内に溶融金
属を加圧充填して加圧凝固させ、所望の高精度鋳物を得
る溶湯鍛造法において、加圧凝固時にその加圧力を利用
して、キャビティを構成する型の一部を鋳物に対して相
対的に移動させ、移動しろを型間で吸収する型構造を採
用することにより、凝固が遅れて引け巣が生じてしまう
部分を選択的に狙って加圧凝固させることができ、鋳物
全域の完全加圧が達成され、収縮巣の全くない無欠陥鋳
物の製造が可能となる効果がある。
また、鋳物と同一材料から成る部品を、鋳物の一部であ
る移動部分に設け、移動しろを鋳物・型間で吸収可能と
することにより、移動しろ吸収部品の回収を行うことな
く、収縮巣の全くない無欠陥鋳物の製造が可能となる。
また、中子があるように複雑な型構造の場合でも、移動
しろを中子・型間で吸収する方法を採用することによ
り、収縮巣の全くない無欠陥鋳物の製造が可能となる。
更に、ゲートを意識的に小さくすることにより、加圧凝
固時に、そのゲートを含む型を移動可能とすると共に、
鋳物の切断を容易にしているので、収縮巣の発生を防止
できる上、鋳物の品質向上を図れる。
そして、複数の指向性凝固領域を持つ複雑形状鋳物に対
しても、移動部分を複数個設けることにより、収縮巣の
全くない無欠陥鋳物の製造が可能となる効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の実施例1に係わるかご形回転子の製
造装置を示す断面構成図、第2図はこの発明の実施例2
に係わるかご形回転子の製造装置を示す断面構成図、第
3図はこの発明の実施例3に係わるかご形回転子の製造
装置を示す断面構成図、第4図はこの発明の実施例4に
係わるかご形回転子の製造装置を示す断面構成図、第5
図はこの発明の実施例5に係わるVTRドラムの製造装置
を示す断面構成図、第6図はこの発明の実施例6に係わ
るVTRドラムの製造装置を示す断面構成図、第7図はこ
の発明の実施例6に係わるVTRドラムの製造装置を示す
断面構成図、第8図(a),(b)は一般的な回転子鉄
心を示し、(a)は一部切り欠いて断面を表わす正面
図、(b)は側面図、第9図は従来のかご形回転子の鋳
込み装置を示す断面図、第10図(a)、(b)は従来の
かご形回転子を示し、(a)は断面図、(b)は側面
図、第11図は従来の溶湯鍛造法によるかご形回転子の鋳
込み装置を示す断面図、第12図は第11図の部分拡大断面
図、第13図(a),(b)は溶湯鍛造法で得られたかご
形回転子を示し、(a)は断面図、(b)は側面図、第
14図は溶湯鍛造法によるかご形回転子のトルク特性及び
効率をダイカスト品と対比して示す特性図である。 図において、(1)は回転子鉄心、(1b)はスロット、
(1c)は回転軸挿入部、(2)は仮軸、(3)はカラ
ー、(6)は溶融導体材料、(8)は加圧プランジャ、
(20)は上型、(20e)は上エンドリング部、(20f)は
上フィン、(20k)は上型嵌合部、(20s)は上型上端
部、(21)は下型、(25y)は湯溜り、(21g)はゲー
ト、(21e)は下エンドリング部、(21f)は下フィン、
(21k)は下型嵌合部、(22)は上下型止め金具、(2
3)は釣り下げリング、(24)は上定盤、(24f)はフッ
ク、(25)は下定盤、(26),(29a),(29b),(3
1),(32)は移動しろ吸収部品、(27)はガス排出
口、(28)は型締めリング、(30)は中子、(33)は内
側ゲートを示す。 なお、図中同一符号は同一または相当部分を示す。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】キャビティ内に溶融金属を加圧充填して加
    圧凝固させ、所望の高精度鋳物を得る製造方法におい
    て、加圧凝固時にその加圧力を利用して、キャビティを
    構成する型の一部を鋳物に対して相対的に移動させ、移
    動しろを型間で吸収することにより、凝固が遅れて引け
    巣が生じてしまう部分を選択的に狙って加圧凝固させ、
    鋳物全域を完全に加圧できることを特徴とする鋳物の製
    造方法。
  2. 【請求項2】鋳物と同一材料から成る部品を、鋳物の一
    部である移動部分に設け、移動しろを鋳物・型間で吸収
    できるようにしていることと、移動しろ吸収部品の回収
    を行う必要がないことを特徴とする請求項1記載の鋳物
    の製造方法。
  3. 【請求項3】中子があるような複雑な型構造の場合に、
    移動しろを中子・型間で吸収することを特徴とする請求
    項1記載の鋳物の製造方法。
  4. 【請求項4】ゲートを意識的に小さくすることにより、
    加圧凝固時に、そのゲートを含む型を移動可能とすると
    共に、鋳物の切断を容易にすることを特徴とする請求項
    1記載の鋳物の製造方法。
  5. 【請求項5】キャビティ内に溶融金属を加圧充填して加
    圧凝固させ、所望の高精度鋳物を得る製造装置におい
    て、加圧凝固時にその加圧力を利用して、キャビティを
    構成する型の一部を鋳物に対して相対的に移動可能に構
    成し、移動しろを型間で吸収することにより、凝固が遅
    れて引け巣が生じてしまう部分を選択的に狙って加圧凝
    固させ、鋳物全域を完全に加圧できることを特徴とする
    鋳物の製造装置。
  6. 【請求項6】鋳物と同一材料から成る部品を、鋳物の一
    部である移動部分に設け、移動しろを鋳物・型間で吸収
    可能に構成していることと、移動しろ吸収部品の回収を
    行う必要がないことを特徴とする請求項5記載の鋳物の
    製造装置。
  7. 【請求項7】中子があるような複雑な型構造の場合に、
    移動しろを中子・型間で吸収可能なように、移動しろ吸
    収部品を設けることを特徴とする請求項5記載の鋳物の
    製造装置。
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