JPH078744B2 - 耐還元性を有する正特性半導体磁器 - Google Patents

耐還元性を有する正特性半導体磁器

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JPH078744B2
JPH078744B2 JP60183471A JP18347185A JPH078744B2 JP H078744 B2 JPH078744 B2 JP H078744B2 JP 60183471 A JP60183471 A JP 60183471A JP 18347185 A JP18347185 A JP 18347185A JP H078744 B2 JPH078744 B2 JP H078744B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、キュリー温度を越えると電気抵抗値が著しく
増大するPTC特性を有する正特性半導体磁器に関するも
のであり、主として還元性雰囲気下で使用される自己温
度制御型ヒータ、温度センサ等に利用される耐還元性を
有する正特性半導体磁器に関するものである。
[従来の技術] 従来チタン酸バリウムにY、La、Sm、Ce、Ga等の希土類
元素あるいはNb、Ta等の遷移元素を添加し、大気中、12
00〜1400℃で焼成した磁器において、キュリー点で電気
抵抗値が急に増加する、いわゆる正特性(PTC特性)を
示すことが知られている。そしてこの特性を利用し、ヒ
ータ、温度センサ等に使用されている。
従来の、チタン酸バリウム半導体を主成分とする正特性
半導体磁器を使用した半導体素子は、水素ガス、或はガ
ソリン等の還元性雰囲気中で使用された場合には、その
特徴であるPTC特性が劣化するという問題点があった。
例えば自己温度制御型ヒーターとして使用した場合に
は、PTC特性の劣化(以下R−T劣化と言う)により、
制御されるべき温度になっても抵抗値が上がらず、最悪
の場合には、通電によりPTC素子が溶損するという問題
があった。また、R−T劣化は還元性雰囲気中だけで生
じるものではなく、窒素又はアルゴンガス等の中性雰囲
気中においても、程度の差はあれ、R−T劣化が生じる
こともわかっている。
以上のことからチタン酸バリウム半導体を主成分とする
正特性半導体磁器を使用した半導体素子の使用環境は限
定されざるを得なかった。また上記還元性雰囲気の環境
にて使用される場合には、第4図に示すように、樹脂或
は金属等のケース4に該素子11を封入し、環境から遮蔽
して使用せざるを得なかった。その為に放熱性の悪化に
伴う性能の低下、部品点数及び組付工数の増加に伴うコ
スト高、等の問題点が生じていた。
[発明が解決しようとする問題点] 本発明は、上記問題点を克服するものであり、耐還元性
が良好で、かつ所定のケースに素子を封入する必要もな
い正特性半導体磁器を提供することを目的とする。
また本発明は、上記従来技術を克服するために本出願と
同一出願人が出願した未公知先出願に係わる耐還元性を
有する正特性半導体磁器(特許出願No.59-281418)の改
良に関する。該未公知先出願に係わる正特性半導体磁器
において、フラックス成分は、0.14〜2.88重量部のTiO2
と、0.1〜1.6重量部のAl2O3と、0.1〜1.6重量部のSiO2
と、から構成されている。本発明においては、この3成
分から成るフラックス成分に、さらに亜鉛化合物を追加
して、所望の目的を達成するものである。
[問題点を解決するための手段] 本発明の耐還元性を有する正特性半導体磁器はチタン酸
バリウム系組成物と、 該チタン酸バリウム系組成物100重量部に対し、0.2重量
部以上〜1.6重量部未満のアルミナ(Al2O3)、0.14〜2.88
重量部の二酸化チタン(TiO2)、0.1〜1.6重量部の二酸化
珪素(SiO2)、および上記チタン酸バリウム系組成物100
モルに対し、含まれる亜鉛に換算して該亜鉛含量が0.05
〜0.5モルである亜鉛化合物とから構成されるフラック
ス成分と、 からなることを特徴とする。
本発明の耐還元性を有する正特性半導体磁器に使用され
るチタン酸バリウムの主剤となる炭酸バリウム(BaCO3)
及び酸化チタン(TiO2)は、通常等モル配合される。しか
し使用目的によっては等モルである必要はなく、一般式
(1)あるいは(2)に示されるようなチタン酸バリウ
ム系組成物とすることもできる。
Ba1xM3 xTiO3 ……(1) BaTi1 yM5 yO3 ……(2) ここでM3及びM5は通常使用される希土類元素及び遷移元
素から選ばれる半導体化剤であり、M3としてはY、La、
Sm、Ce、Ga等の希土類元素の何れでもよく、M5として
は、Nb、Ta等の遷移元素の何れでもよい。またx及びy
の値はそれぞれ0.001〜0.005、0.0005〜0.005の範囲が
望ましい。
本発明の最大の特徴であるフラックス成分は、アルミナ
(Al2O3)、二酸化チタン(TiO2)、二酸化珪素(SiO2)およ
び亜鉛化合物とから構成され、各フラックス成分の添加
割合は、チタン酸バリウム系組成物100重量部に対し、A
l2O3が0.2〜1.6重量部、TiO2が0.14〜2.88重量部、SiO2
が0.1〜1.6重量部および亜鉛化合物がチタン酸バリウム
系組成物を100モルとする場合、含まれる亜鉛に換算し
て該亜鉛含量が0.05〜0.5モルである。該フラックス成
分は各成分とも該範囲内で添加されることが必要であ
り、添加量が該範囲より少なくなっても、また、多過ぎ
ても、好ましくない。さらに該フラックス成分の添加量
の増大に伴い、該正特性半導体磁器の比抵抗が大きくな
る傾向がある。この不具合を解決するには該フラックス
成分は、チタン酸バリウム系組成物100重量部に対し、A
l2O3が0.2〜0.4重量部、TiO2が0.14〜1.15重量部、及び
SiO2が0.2〜0.8重量部およびチタン酸バリウム系組成物
を100モルとする場合、含まれる亜鉛に換算して該亜鉛
含量が0.05〜0.2モル含まれていることが望ましい。各
成分がこの含量量の範囲にあれば得られる正特性半導体
磁器の比抵抗はその多くが100Ω・cm以下となり自動車
部品への応用に適している。
上記フラックス成分の一つである亜鉛化合物は、通常酸
化亜鉛(ZnO)であるが、これにより限定されるもので
はなく、所定の焼結条件下において亜鉛化合物として本
発明の正特性半導体磁器中に含まれるものであればよ
い。該亜鉛化合物の原料としては、ZnOでもよいし、炭
酸亜鉛(ZnCO3)、硝酸亜鉛(Zn(NO3)2)、塩化亜鉛(ZnC
l2)、シュウ酸亜鉛(Zn(C2O4))又は弗化亜鉛(ZnF2)等で
あってもよいし、またそれらの混合物であってもよい。
該原料は多くは仮焼又は焼成等の製造工程で多くは酸化
亜鉛になるが、原料の種類、焼成条件等によりZnOにな
らないもの(例えばZnF2等)でもよいし、その一部がZn
Oとならないものでもよい。
該原料としては、通常、ZnO又はZnCO3を用いる。
上記フラックス成分のAl2O3、TiO2又はSiO2において
も、焼成後の正特性半導体磁器中に含まれる成分が、各
々Al2O3、TiO2又はSiO2であればよく、その原料として
は酸化物に限定されない。従って、該原料としてはAl等
の各金属の水酸化物等であってもよい。
上記フラックス成分はチタン酸バリウムの主剤となるBa
CO3及びTiO2等と共に混合され、焼成される。上記フラ
ックス成分は、上記4成分を上記範囲内で添加する事に
よって極めて良好な耐還元性を有する正特性半導体磁器
を得ることができるものである。また、上記範囲内で上
記各成分の比率、又はフラックス全体としての添加量を
変化させることにより、正特性半導体磁器の結晶粒子の
成長度合等の調整が可能となり、種々の性能を有する正
特性半導体磁器を得ることが可能となる。
本発明の正特性半導体磁器には上記の成分以外に、チタ
ン酸ストロンチウム又はチタン酸鉛等のチタン酸塩、ジ
ルコン酸バリウム等のジルコン酸塩、錫酸バリウム等の
錫酸塩、等を含んでもよい。なお、鉛成分については、
仮焼後に添加して焼成時にBaTiO3と固溶させるよりも、
仮焼前に添加し、仮焼時に固溶させた方が、耐還元性に
有効である。
また、キュリー点制御剤としてPb、Sr、Zr、Sn等の元素
を添加することも好ましく、PTC特性を向上させる添加
剤としてMn、Fe、Co等の元素を微量添加することも好ま
しい。
本発明の正特性半導体磁器は従来と同様の方法で混合、
成形及び焼成して得られる。その半導体化の過程は次の
通りである。
まず800〜1100℃の温度にてチタン酸バリウムが生成す
るが、この状態ではまだ結晶格子が乱れている。1200〜
1280℃になるとフラックス成分の一部が溶融し始め、チ
タン酸バリウムは急激に成長しながら半導体化する。そ
してフラックス成分が完全に溶融し、チタン酸バリウム
粒子は該フラックス成分の液相内にて半導体化する。こ
のようにして焼成された後冷却行程に入ると、フラック
ス成分の液相はチタン酸バリウム半導体粒子を被覆しな
がら固化し、一体化する。
本発明の正特性半導体磁器が耐還元性を有する機構につ
いては明確ではないが、フラックス成分がチタン酸バリ
ウム半導体粒界を被覆し、還元性雰囲気から保護してい
る為であると推察される。また、従来の正特性半導体磁
器では吸水率が約0.5重量%であったのに対し、本発明
の正特性半導体磁器の吸水率は約0.01重量%以下とほと
んど0%に近く、吸水率が著しく低下している。この理
由によって還元性物質の侵入が少なくなっていることも
耐還元性を有する一因と考えられる。
[発明の効果] 本発明の正特性半導体磁器は還元性雰囲気中で使用され
てもR−T劣化がほとんど生じず、優れたPTC特性を有
している。従って窒素、炭酸ガス等の中性雰囲気のみな
らず水素ガス又はガソリン等の還元性雰囲気において
も、樹脂や金属で密封する必要はなく、露出構造にて使
用することが可能であるので、性能が向上するととも
に、製品設計の自由度が拡大する他、コストの低減等に
対し特に効果がある。
また、本発明の正特性半導体磁器は、不純物、焼成条
件、及び半導体化剤の添加量等の影響を受けにくい為、
安価な工業用原料が使用できるなど、従来に比べ製造が
はるかに容易となる。
以上により、本発明の耐還元性を有する正特性半導体磁
器は、例えば、自動車用部品として吸気加熱ヒータ、燃
料ヒータ又は温度センサ等種々の製品への応用が可能で
ある。
[試験例] 以下試験例により本発明の正特性半導体磁器の性能を説
明する。
(試験例1)−水素ガス中における耐還元性の検討 本試験例においてBaCO3、TiO2、Al2O3、SiO2、酸化イットリ
ウム(Y2O3)、ZnO又はZnCO3およびPbO又はPbTiO3を原料
とした。なおこれらは全て工業用原料を用いた。これら
の原料をそれぞれ第1〜3表に示した55種類の組成に配
合し、それぞれメノウ玉石と共にボールミルにて湿式で
20時間粉砕混合を行なった。そして、これらの混合物を
乾燥した後約1100℃の温度で4時間仮焼した。こうして
得られた仮焼物に耐電圧(R、T、特性)を向上させる
ため二酸化マンガン(MnO2)を微量添加し、再びメノウ玉
石とボールミルにて湿式で20時間粉砕混合を行なった。
乾燥後それぞれの混合粉末に結合剤として10%のポリビ
ニルアルコール水溶液を1重量%添加混合し、800kg/cm
2の圧力でプレス成形した。これらの成形物を空気中で
約1320℃にて約1時間焼成し、直径25mm、厚さ2.5mmの
円板状正特性半導体磁器を製造した。
なお試験例No.24に係わる正特性半導体磁器の比抵抗は4
2Ω・cm、キュリー点は200℃、耐電圧は150Vであり、
又、吸水率は0.01wt%とほとんど零に近く従来素子(0.
5wt%) に比べ極めて低くかった。
得られた55種類の正特性半導体磁器の特性を調べるた
め、各正特性半導体磁器の両面にNi-Ag電極(Ni無電解
メッキ、Agペースト)を付与し、大気中20℃における電
気抵抗値(比抵抗Ro)を測定し、結果を第1表、第2
表、第3表に示す。また水素ガス雰囲気中に各正特性半
導体磁器を投入し、300℃にて、各正特性半導体磁器の
投入直後の電気抵抗値(R1)及び30分後の電気抵抗値(R2)
を測定し、次式(3)より抵抗変化率(ΔR)を測定し
た。
ΔR=100×(R2-R1)/R1 …(3) ここでR2がR1に近い程、すなわちΔRが0に近い程、耐
還元性に優れている。
各正特性半導体磁器の評価はΔRが0〜−10%を
(○)、−10〜−50%を(△)、−50%〜を(×)とし
て第1表、第2表及び第3表に示す。
第1表において、チタン酸バリウム系組成物100重量部
に対しフラックス成分としてAl2O3が0.2〜1.6重量部
(以下重量%という。)TiO2が0.14〜2.88重量%、SiO2
が0.1〜1.6重量%、およびチタン酸バリウム系組成物10
0モルに対し亜鉛化合物が0.05〜0.3モル(以下モル%と
いう。)含まれる正特性半導体磁器(No19〜22、24〜2
7、29、30、34〜55)は、主剤成分が同一組成であるこ
れ以外の正特性半導体磁器(No.12、17、18、28、31〜3
3(上記のうち対応するNo.はNo.19〜22、29、30、34〜5
5)、No.16(同No.26、27))に比べΔRは−0.3〜−9.
5と小さく(比較例では−11〜−31)、明らかに耐還元
性に優れている。また、特に望ましい範囲であるAl2O3
が0.2〜0.4重量%、TiO2が0.14〜1.15重量%、SiO2が0.
2〜0.8重量%およびZn化合物が0.05〜0.2モル%含まれ
る正特性半導体磁器(No.19〜21、24〜27、29、35、3
6、39、40、43〜45、49〜51)は、比抵抗(Ro)が100Ω
・cm以下であり、かつΔRもさらに小さく(−0.3〜−
8.8、その多くは絶対値が6以下)耐還元性にさらに優
れているので、自動車用部品への応用に最適である。
(試験例2)−サワーガソリン中における耐還元性の検
討 次に試験例1に用いたものと同一の組成の原料を使用
し、試験例1と同様に混合、成形、焼成を行なって、直
径25mm、厚さ2.5mmの円板状正特性半導体磁器を製造し
た。得られた正特性半導体磁器は試験例1と同様に表面
にNi-Ag電極が付与され、大気中において、各正特性半
導体磁器の電気抵抗値を室温から300℃までの間ほぼ連
続的に測定して、第2図の概念図に示す実線(イ)のPT
C特性を表わす曲線を求めた。次に各正特性半導体磁器
をサワーガソリン中に浸漬し、30Vの電圧を200時間以上
付与する浸漬通電耐久試験を行なった。ここでサワーガ
ソリンとは、酸化が進んで過酸化物や酸が生成したガソ
リンのことであり、促進試験用として使用されるもので
ある。浸漬通電耐久試験後の正特性半導体磁器は大気中
において、電気抵抗値を室温から300℃までの間ほぼ連
続的に測定され、第2図の破線(ロ)のPTC特性を表わ
す曲線を得た。得られた2つの曲線の差から第2図に示
すR−T劣化(A)を求め、結果を第1〜3表に示す。
なお、R−T劣化(A)は次式により求められる。
log(R′max/R′min)−log(Rmax/Rmin)=R−T劣
化(A) (R…耐久試験前の抵抗値、R′…耐久試験後の抵抗
値、max…最大値、min…最小値) 第1〜3表において、測定結果の記載が無い箇所がある
が、これは比抵抗が100Ω・cm以上の正特性半導体磁器
については、浸漬通電耐久試験で十分な発熱が得られ
ず、信頼性のあるデータとならない為測定しなかったも
のである。また、結果の判定は(A)の度合が1以内を
(○)、1〜2を(△)、2以上を(×)とした。
第1〜3表において、本発明の正特性半導体磁器(No.1
9〜21、24〜27、29、35〜37、39、40、49〜51)はこれ
以外の正特性半導体磁器(例えばNo.12、16、32、33)
に比べR−T劣化は対数値で+0.2〜−0.7と小さく(比
較例では−0.9〜−3.2)明らかに耐還元性に優れてい
る。また特に望ましい範囲であるAl2O3が0.2〜0.4重量
%、TiO2が0.14〜1.15重量%、SiO2が0.2〜0.8重量%お
よびZn化合物が0.05〜0.2モル%含まれる正特性半導体
磁器(No.19〜21、24〜27、29、35、36、39、40、49〜5
1)は、R−T劣化が+0.2〜−0.6特にNo.49を除いて+
0.2〜−0.4であり、耐還元性に特に優れていることがわ
かる。
(試験例1および2の結果の検討) (1) 原料亜鉛化合物の検討 原料亜鉛化合物は、ZnOでもZnCO3でもほぼ同等の性能を
示した(No.24と25、No.26と27)。
(2) 各フラックス成分の組成割合の検討 亜鉛化合物(ZnO)は、チタン酸バリウム系組成物を100
モルとすると0.05、0.1、0.2、0.3、0.5モル%の場合
(各々No.19〜23)には、耐還元性に優れる。しかしそ
れが0.01、0.02モル%(各々No.17、18)の場合には、
水素およびサワーガソリン両者に対する性能判定は△と
なり、両者に対する耐還元性は不十分である。
Al2O3の組成割合は、0.1重量%の場合(No.31〜33)、
水素に対する耐還元性は△であり、サワーガソリンに対
する還元性は△又は×であり、耐還元性は良くない。
第1〜3表の試験例において、フラックス成分がAl2O3
TiO2、SiO2および亜鉛化合物の場合、本発明の正特性半
導体磁器における各フラックス成分の割合は、Al2O3
0.2〜1.6重量%、TiO2が0.14〜2.88重量%SiO2が0.1〜
1.6重量%およびZnO等が0.05〜0.5モル%のとき、水素
およびサワーガソリンに対する耐還元性は優れる。
(3) 鉛の添加方法 キューリー点の高い正特性半導体磁器については、仮焼
後にPbTiO3を添加する(No.10〜12、24、25)よりも、P
bOを仮焼前に添加し、仮焼時にBaTiO3と固溶させた方
(No.13〜15、26、27)がPbの飛散が少なく吸水率も低
くなり耐還元性に対し有効である。
(試験例3) 試験例1に使用した正特性半導体磁器のうち従来の組成
としてNo.12を、本発明の組成としてNo.24を選び、試験
例1と同様に混合、成形、焼成を行なって、直径25mm、
厚さ2.5mmの円板状正特性半導体磁器を製造した。得ら
れた2種類の正特性半導体磁器の両面にNi-Ag電極を付
与し、還元性雰囲気である水素ガス中において、300℃
で30分間放置した。その30分の間の各正特性半導体磁器
の電気抵抗値をほぼ連続的に測定し、還元性雰囲気へ投
入した直後の、電気抵抗値を基準として抵抗変化率を求
め、結果を第1図に示す。第1図より明らかに、従来の
組成の正特性半導体磁器No.12は水素ガス中において68
%の抵抗変化率(ΔR)の減少を示しているが、本発明
の正特性半導体磁器No.24は水素ガス中で抵抗変化率
(ΔR)は4.4%減少しているにすぎず、ほとんど変化
はなかった。すなわち、本発明の正特性半導体磁器は水
素ガスの還元性雰囲気中でも電気抵抗値がほとんど変化
せず、耐還元性に優れている。
尚、耐還元性が向上した機構については明確ではない
が、Al2O3、TiO2、SiO2及びZn化合物のフラックスの添加
により吸水率が著しく低下し、還元物質の侵入が減少し
たことも一因であると考えられる。
(試験例4) 本発明によりガソリン中にて露出構造で正特性半導体磁
器を使用することが可能となったため、従来の密封構造
(第4図)の吸気加熱ヒータ(ガソリンの混合気を加熱
するヒータ)と露出構造(第3図)のヒータについてエ
ンジンのトルク性能を比較した結果を第5図に示す。こ
の場合のエンジン条件は、1600rpm(1500cc)、4.5kg・
m、W/チョーク、A/F:11〜12とし、また正特性半導体磁
器はともにNo.24の組成のものを用いた。
この結果によれば本発明に係わる正特性半導体磁器を用
いれば、露出構造が可能となり、従来の密封構造と比べ
てエンジントルク性能は良好となった。
【図面の簡単な説明】
第1図は水素ガス中での電気抵抗値の変化を表わす線
図、第2図はサワーガソリン中でのR−T劣化を示す線
図である。 第3図は本発明の耐還元性を有する正特性半導体磁器
を、露出構造で吸気加熱ヒータに応用した説明図であ
る。第4図は本発明の耐還元性を有する正特性半導体磁
器を、密封構造で吸気加熱ヒータに応用した説明図であ
る。第5図は第3図および第4図に示した吸気加熱ヒー
タを用いた場合のエンジントルク性能を示す線図であ
る。 1、11……正特性半導体磁器 2、21……ガソリンエンジンのヒートインシュレータ 3、31……ばね 4……ケース (A)……R−T劣化 (イ)……初期状態 (ロ)……耐久試験後
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 丹羽 準 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本電 装株式会社内 (72)発明者 三輪 直人 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 日本電 装株式会社内 (56)参考文献 特開 昭55−95673(JP,A) 特開 昭54−105113(JP,A) 特公 昭52−12919(JP,B2) 米国特許4593670(US,A) 米国特許3586642(US,A)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】チタン酸バリウム系組成物と、 該チタン酸バリウム系組成物100重量部に対し、0.2重量
    部以上0.6重量部未満のアルミナ(Al2O3)、0.14〜2.88重
    量部の二酸化チタン(TiO2)、0.1〜1.6重量部の二酸化珪
    素(SiO2)、および上記チタン酸バリウム系組成物100モ
    ルに対し、含まれる亜鉛に換算して該亜鉛含量が0.05〜
    0.5モルである亜鉛化合物とから構成されるフラックス
    成分と、 からなることを特徴とする耐還元性を有する正特性半導
    体磁器。
  2. 【請求項2】フラックス成分は、チタン酸バリウム系組
    成物100重量部に対し、0.2〜0.4重量部のアルミナ(Al2O
    3)、0.14〜1.15重量部の二酸化チタン(TiO2)、0.2〜0.8
    重量部の二酸化珪素(SiO2)、および上記チタン酸バリウ
    ム系組成物100モルに対し、含まれる亜鉛に換算して該
    亜鉛含量が0.05〜0.2モルである亜鉛化合物とから構成
    される特許請求の範囲第1項記載の耐還元性を有する正
    特性半導体磁器。
  3. 【請求項3】亜鉛化合物は、酸化亜鉛(ZnO)である特
    許請求の範囲第1項記載の耐還元性を有する正特性半導
    体磁器。
  4. 【請求項4】チタン酸バリウム系組成物は一般式Ba1-xM
    3 xTiO3あるいはBaTi1-yM5 yO3(ただしM3はY、La、Sm、
    Ce、Ga等の希土類元素、M5はNb、Ta等の遷移元素、xは
    0.001〜0.005、yは0.0005〜0.005をそれぞれ示す)な
    る組成を有する特許請求の範囲第1項記載の耐還元性を
    有する正特性半導体磁器。
JP60183471A 1984-12-26 1985-08-21 耐還元性を有する正特性半導体磁器 Expired - Lifetime JPH078744B2 (ja)

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US3586642A (en) 1968-05-29 1971-06-22 Matsushita Electric Industrial Co Ltd Ptc thermistor of bati03,and other oxides
US4593670A (en) 1983-11-20 1986-06-10 Nippondenso Co., Ltd. Fuel evaporator for internal combustion engine
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