JPH0797101B2 - 対向移動キャピラリー電気泳動による核酸分別 - Google Patents

対向移動キャピラリー電気泳動による核酸分別

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Description

【発明の詳細な説明】 1.発明の技術分野 本発明はキャピラリー電気泳動による核酸フラグメント
の電気泳動分離に関するものである。
2.参考文献 カンター シーら、「バイオフィジカル ケミストリー
I、IIおよびIII巻」、ダブリュ エイチ フリーマ
ン アンド コーポレーション、ニューヨーク(198
0)。
コーヘン エイ エスら、アナリティカル ケミストリ
ー、59:1021(1987)。
コーヘン エイ エスら、ジャーナル オブ クロマト
グラフィ、458:323(1988)。
コンプトン エス ダブリュら、バイオテクニクス、6
(5)432(1988)。
カスパー ティ ジェイら、ジャーナル オブ クロマ
トグラフィー、458:303(1988)。
ラウエル エイチ エイチら、アナリティカル ケミス
トリィ、58(1):166(1986)。
マニアチス ティーら、「モレキュラー クローニン
グ:実験室操作」、コールド スプリング ハーバー
ラボラトリイス(1982)。
マキサム エイ エムら、メソッズ イン エンザイモ
ロジィ、65:499(1980)。
サンガー エフら、プロシーティングス オブ ザ ナ
ショナル アカデミィ オブ サイエンシイズ オブ
ザ ユナイテッド ステイツ オブ アメリカ、74:536
3(1977)。
スミス エル エムら、ネイチャー、321:674(198
6)。
3.発明の背景 一本鎖または二本鎖(duplex)核酸の混合物を大きさに
よって分離する方法は生物化学におけるいろいろの分析
的予備的技術に対して非常に重要である。重要な一例
は、二重鎖DNAを選ばれた単数または複数の制限酵素を
用いて消化し、消化フラグメントの大きさによって分離
し、次いでフラグメント位置を分析する制限分析であ
る。この方法は、クローニングベクターにおける制限部
位の数と配列を決定し、ベクターにおける挿入位置およ
び/または配向を確認するために分子クローニングにお
いて広く使用されている。
制限分析は、制限フラグメントの大きさと重複を基礎と
して、比較的長い染色体DNAをマッピングし最後には配
列させるので、さらに遺伝マッピング用の重要な手段で
ある。関連する応用では、ヒトの遺伝病の数と制限フラ
グメント長多形現象との間のリンケイジの発見はこれら
の遺伝病に対して固体をスクリーニングするための手段
を提供した。
一般に用いられる高速DNA配列法はまた、大きさを基礎
としてDNAフラグメント−−一般には一重鎖フラグメン
ト−−を分別する能力に依存する。ランダム終止フラグ
メントをジデオキシヌクレオチドの存在で酵素により発
生させる酵素配列方法(サンガー)と、ランダム終止フ
ラグメントを化学的に発生させる化学的方法(マキサ
ム)とは、フラグメントの大きさを基礎とするフラグメ
ントの分別および識別に依存する。特に、分別法はヌク
レオチドのみによって互いに異なるフラグメントを区別
できなければならない。
さらに、核酸フラグメントの大きさによる分別はDNAま
たはRNAフラグメントを単離精製するために価値ある。
分子クローニングでは、ベクター構築のため選ばれたフ
ラグメントを得るため制限フラグメントを分別すること
は一般的である。オリゴヌクレオチド合成では、一般に
所望のオリゴヌクレオチド配列とサブユニット数をもつ
フラグメントを精製することが望ましい。
今までは、核酸フラグメントを大きさによって分別する
ために有効な標準法は電気泳動フラグメント分離用の固
体または半固体ゲルマトリックスを使用していた。分子
量が大きいフラグメントの場合、一般的には約1,000塩
基よりも大きい場合には、好ましいゲル物質はアガロー
スであり、アガロースの濃度は5〜60キロ塩基の大きさ
の範囲でフラグメントを分離するための約0.3%から、1
00〜3,000塩基対の範囲でフラグメントを分離するため
の約2%までに変えることができる(マニアティス)。
さらに小さいフラグメント、一般的には約1,000塩基対
以下では、通常ポリアクリルアミドゲルで分離される。
アクリルアミドポリマーの濃度は、100〜1,000塩基対の
範囲でフラグメントを分離するための約3.5%から、10
〜100塩基対の大きさの範囲で分離するための約20%ま
で変化させることができる。
さらに最近では、キャピラリー電気泳動(CE)によるDN
Aフラグメントの分離が提案された(コーエン、1987、1
988、コンプトン、カスパー)。ひとつの方法では(カ
スパー)、フラグメントをチューブ内でゲル化ポリアク
リルアミド体で分離する。この方法は伝統的なアクリル
アミドまたはアガロース電気泳動の制限の多くを共有す
る。すなわち重合ゲルの処理に比較的長時間かかり、所
定の濃度のゲルで分割できるフラグメントの大きさの分
布が狭いという欠点がある。
また、分離媒体を使用しないで、緩衝溶液中でCEによっ
てフラグメント分離を行うことが提案された(コーエ
ン、1987、1988、およびコンプトン)。一般にこの方法
は首尾一貫したあるいは容易に解決できる結果は与えな
かった。
4.発明の概要 本発明の一般的な目的のひとつは、核酸フラグメントを
大きさで分別するために、核酸電気泳動分別法と関連す
る上記制約を実質的に解消あるいは少なくする方法にあ
る。
さらに本発明の特定の目的は、分離度が高く、短い分別
時間で完了することができ、必要なフラグメント試料物
質がピコグラムの分量でよいという方法を提供すること
である。
本発明のさらに別の目的は、選ばれた大きさのフラグメ
ント間の分離を最適にするため、電気泳動行程中に若干
調整でき、いろいろに変化できる電気泳動の条件下で行
うことができる方法を提供することである。
また本発明の別の目的は、一方向において、ポリマー溶
液中の核酸フラグメントの対向移動によって、反対方向
において電気浸透流によってキャピラリーチューブを通
って溶液が引き出されるので、電気泳動経路の有効な分
別の長さが分別のために使用されるキャピラリイチュー
ブの物理的長さよりも実質的に長い方法を提供すること
である。
本方法を実行する際に、核酸フラグメントの液体試料
を、流動電解溶液を充填したキャピラリーチューブの一
端に装填する。チューブの内側表面を溶液のpHにて負に
荷電する。チューブの一端をカソードの貯蔵器と流動連
絡して設置し、チューブの他端を、少なくとも約10,000
ダルトンの分子量をもつ、あるいは代わりに室温にて2
%溶液で少なくとも約15センチポイズの粘度に特徴があ
る、荷電していないかまたは僅かに荷電しているポリマ
ーのポリマー溶液を含むアノードの貯蔵器と連絡する。
好適なポリマーは約50〜200キロダルトンの分子量をも
つとヒドロキシル化ポリマーであり、室温にて2%溶液
で約200〜5,000センチポイズの粘度に特徴がある。
貯蔵器を横切って印加される電圧は電気浸透流によって
溶液をチューブ内に引き入れ、またチューブを通って引
き出す効果がある。カソードの貯蔵器の方向で、チュー
ブ内の流体の流速は、アノードの貯蔵器の方向での核酸
フラグメントの分子量依存の移動速度よりも大きい。そ
の結果、分子量の大きい核酸フラグメントは小さいフラ
グメントよりも迅速にカソードの貯蔵器に向かって移動
し、分離媒体(ポリマー流体)に関連するフラグメント
全体の全移動距離はキャピラリーチューブの全長よりも
実質的に大きい。
核酸フラグメントの分別の程度は、本発明の一面によれ
ば、電気浸透流速が分別すべき最も遅いフラグメントの
上流移動速度よりも大きいという条件で、選ばれた分子
量のフラグメントの流速と移動速度との間の差を減らす
ように、チューブを通るポリマー溶液の電気浸透流の速
度を選択的に調整することによって、高めることができ
る。向かい合った方向の電気浸透流の速度を差異的に減
らすか、あるいはフラグメント移動を増加させると、フ
ラグメントの電気泳動移動を生じさせる有効長を増加さ
せる効果がある。
チューブを通るポリマー溶液の電子浸透流の速度は、一
具体例では、チューブの内壁の負に荷電したグループの
密度を調整するように電解質とポリマーの溶液のpHを変
えることによって調整することができる。チューブ壁の
負の電荷密度が増加または減少すると、電気浸透流の速
度が、それぞれ、増加または減少する。また、さらに大
きい分子量のものの移動速度は溶液中のポリマーの濃度
を減らすことによって増やすことができる。
本方法の好適例では、ポリマーは水溶性ヒドロキシポリ
マー、例えばデキストラン、ポリビニルアルコール、お
よびメチルセルロースやヒドロキシエチルセルロースの
ような水溶性セルロース化合物である。このポリマーは
好ましくは少なくとも約50,000ダルトンの分子量をも
ち、あるいは代わりに、室温にて2%のポリマー溶液
で、少なくとも約200センチポイズの粘度であることを
特徴とする。
いろいろのポリマー溶液中の核酸種を電気泳動によって
分離する研究では、ヒドロキシル化ポリマー溶液を通る
核酸種の移動の速度は、少なくとも一部は、核酸とポリ
マーの相互作用に依存することを示している。特に、核
酸フラグメントのうち特に低分子量のものの分割は、高
濃度のポリマー溶液中での分別によって高めることがで
きる。移動速度曲線と理論モデル曲線を比較すると、篩
分けが移動速度を決定する役目を果しているのかも知れ
ないということを示している。
印加電圧は1またはそれ以上の選ばれた周波数のパルス
ですることができる。本発明の一面によれば、所定の周
波数のパルス電圧を印加すると一定電圧の電界で移動速
度に関して二つの発散タイプの移動速度の変化を生じる
ことが見出された。大きさが比較的大きいフラグメント
では、一定電圧の電界での移動時間に関して、フラグメ
ントの大きさが大きくなると共に、移動速度が段々減少
する。この性質は、より大きいフラグメントが、平均し
て、一定の電界速度を取り戻すためさらに遅くなる、慣
性効果に基づいたモデルと矛盾がない。
他方、比較的大きさの小さいフラグメントについては、
移動速度は、現実には一定電圧の電界での移動時間に関
して、フラグメントの大きさが小さくなると共に増加す
る。この性質は慣性効果のみによっては説明できない。
この現象は選ばれた大きさの核酸フラグメントの分離を
高めるため種々の方法で活用することができる。例え
ば、選ばれた大きさの範囲でフラグメントを単離するた
め、パルス電圧周波数を最初に分子量の大きいものから
所望のフラグメントを優先して分離するように設定する
ことができる。次いで周波数を分子量の小さいものから
所望のフラグメントを分離するように調整する。
本発明の他の面では、対向移動システム中のフラグメン
ト、特に小さい二本鎖フラグメントの分離は、臭化エチ
ジウムまたはアクリジンオレンジのような、挿入剤を用
いて分離されるフラグメントを結合することによって高
められる。
本発明のこれらの目的および特徴およびその他の目的お
よび特徴は、以下の本発明の詳細な説明を図面と共に読
むと一層完全に明らかとなるであろう。
図面の簡単な説明 図1は本発明の方法を実施する際に使用する対向移動キ
ャピラリー電気泳動システムの概略図であり; 図2はパルス電圧と一定電圧のモードを同時に操作する
ために設計されたキャピラリー電気泳動システムの概略
図であり; 図3はキャピラリイ電気泳動チューブの拡大断片図であ
り、右から左への方向に電気浸透流(e)を示し、左か
ら右への方向にフラグメント移動(m1、m2、m3)を示し
ており; 図4は本発明により分別された二本鎖DNAフラグメント
の、0.25重量パーセントのヒドロプロピルメチルセルロ
ース(HPMC)溶液中の電気泳動図であり; 図5はポリマーを含まない緩衝溶液において分別された
二本鎖DNAフラグメントの電気泳動図であり; 図6は本発明により分別された二本鎖DNAフラグメント
の、0.1重量パーセントのHPMC溶液中の電気泳動図であ
り; 図7は本発明により分離された二本鎖DNAフラグメント
の、0.25重量パーセントのヒドロキシエチルセルロース
(HEC)ポリマー溶液を含有する溶液中の電気泳動図で
あり; 図8は本発明により分別された二本鎖DNAフラグメント
の、1%デキストランポリマー溶液における電気泳動図
であり; 図9は本発明により分別された二本鎖DNAフラグメント
の、1.5%ポリビニルアルコール溶液における電気泳動
図であり; 図10は本発明により分別された二本鎖DNAフラグメント
の、臭化エチジウムの存在で、0.25重量パーセントのHP
MC溶液における電気泳動図であり; 図11A−11Dは臭化エチジウムの存在(AおよびC)で、
不存在(BおよびD)で、CMCEによって分別されたψX1
74/HaeIII(AおよびB)からの二本鎖フラグメントお
よびψX174/HaeIIIおよび161塩基対PCRフラグメント
(CおよびD)の電気泳動図であり; 図12はパルス方形波および対応する各電圧パルスの間の
比較的大きい(一点鎖線)核酸フラグメントと比較的小
さい(点線)核酸フラグメントの移動度を示し; 図13は定電圧電界における移動速度に対するフラグメン
トの大きさと移動度との間の期待値(点線)と実測値
(実線)との関係を示し; 図14は約650HZのパルス電界周波数にて、0.25重量パー
セントのHPMC溶液中の、本発明により分別された二本鎖
フラグメントの電気泳動図であり; 図15は標識プローブにハイブリッドするターゲット配列
をもつフラグメント(点線)を含む制限フラグメント
(実線)の例示的な電気泳動図であり; 図16は1重量%のHPMC溶液中の本発明により分別された
ポリデオキシアデニン酸(polyA)オリゴヌクレオチド
の電気泳動図であり; 図17A−17Dは本発明により行われたジデオキシチェイン
ターミネーションシーケンス法で得られたモデル電気泳
動図を示す。
発明の詳細な説明 A.キャピラリイ電気泳動システム 図1は本発明方法を実施するために適しているキャピラ
リー電気泳動システム20の概略図である。このシステム
は長さが好ましくは約10〜200cm、一般的には約100cm以
下、内径が好ましくは約25〜200μm(ミクロン)、一
般的には約50μmのキャピラリーチューブ22を含む。図
に示した例では、チューブを水平位置に支持し下方に端
部を曲げている。
チューブの内側表面は化学基が好ましくは約4〜9のpH
で負に荷電している化学基をもつ。表面の化学基は、表
面にシラン基を有する溶融シリカチューブの場合のよう
に、キャピラリー材料の固有の性質であってもよい。ま
た代わりに、あるいは加えて、キャピラリー壁を、酸基
のような、負の化学基の電子対共有アタッチメントのた
めの既知の誘導剤を用いて、または既知の負に荷電した
表面被覆剤を用いて処理することができる。ガラス類を
誘導または被覆するための方法は良く知られている。好
ましいキャピラリーチューブのひとつは内径が50μmの
溶融シリカチューブであり、ポリミクロ・テクノロジー
(フェニックス、AZ)から入手できる。
さらに一般的には、キャピラリーチューブはポリマー溶
液のカラムを支持できる任意のチューブまたは導管であ
ることができ、好ましくはカラム厚は200μm以下であ
る。例えば、チューブはガラススライド等の形をした導
管の形状をとり、負に荷電した表面基をもつことができ
る。
システム内のアノードの貯蔵器26は、セクションIIIで
述べるように、電気泳動の間に電気浸透流によってチュ
ーブを通って引き出される電解ポリマー溶液28(セクシ
ョンII)を含む。22aで示されたチューブのアノード端
部を、図に示すように、電気泳動の間、ポリマー溶液に
浸す。
システム内の試料貯蔵器30はチューブのアノード端部に
装填される核酸フラグメント混合物を含む。好ましくは
試料物質は電解溶液または水に溶解する。試料とアノー
ド貯蔵器は、チューブのアノード下端を貯蔵液に浸すこ
とができる位置に置くために、カルーセル等に支持する
ことができる。図には示していないが、カルーセルは電
気泳動の走行または異なるポリマー溶液の間でチューブ
を洗い流すための溶液を含む追加の貯蔵器を備えること
ができ、二種以上のポリマー溶液が単一電気泳動分別法
において用いられる。
22bで示される、チューブの反対側のカソード端部は、
カソード貯蔵器32内にシールされており、図に示すよう
に、貯蔵器に含まれるカソード電解溶液34に浸す。貯蔵
器内の第二のチューブ38は、例えば,洗浄溶液、電気泳
動ポリマー溶液のような液体をチューブを介して引き出
し、貯蔵器30の核酸試料物質をチューブに装填するため
に、微細に調整された真空装置(図には示していない)
に連結する。
システムの高圧電源40は、2つの貯蔵器間に選択された
電位を印加するために、図に示すようにカソードとアノ
ードの貯蔵器に連結する。電力供給導線を、それぞれ、
アノード貯蔵器とカソード貯蔵器の白金電極41、42に連
結する。電源は電極を通る定電圧(DC)を、好ましくは
5〜50KVに設定した電圧で、印加するように設計するこ
とができる。また代わりに、あるいは加えて、電源を貯
蔵器間に選択周波数のパルス電圧を印加するように設計
することができる。一般に、キャピラリーチューブが短
いほど、印加できる電界強度が高くなり、電気泳動分離
が迅速になる。パルス電圧モードで操作すると、電源は
好ましくは約50HzからKHzの範囲まで調整できる周波数
で、また約10〜30KVのrms電圧出力で方形波パルスを出
力する。MHzの範囲でも、さらに高いパルス周波数を、
いくつかの応用に合わせることができる。例示的なDCと
パルス電圧電源を、それぞれ実施例1と実施例8で述べ
る。
図1に示したシステムの説明を完成させるには、システ
ムの検出器44を、チューブの光学検出ゾーン46を通って
移動する核酸フラグメントを光学的にモニターするた
め、チューブのカソード端部付近に設置する。検出器は
UV吸収検出用および/または蛍光発光検出用に設計する
ことができる。UV吸収は、例えば、アプライド・バイオ
システムス(フォスター市、カリフォルニア)によっ
て、フローセルをキャピラリーホルダーと置き換えて、
改良されたクラトス783UV吸収検出器を用いて、240〜28
0nmで一般に行うことができる。蛍光発光検出は好まし
くは、下記に述べるように、核酸フラグメントと関連す
る蛍光種によって、約240〜500nmに調整できる選ばれた
励起波長で行われる。蛍光検出器の一例は、ヒューレー
ト・パッカード(パロ・アルト、カリフォルニア)から
入手でき、キャピラリーチューブ検出用に上述のように
改良されたHP1046A検出器である。この検出器は電気泳
動ピークを記録するため積分器/プロッタ45に連結す
る。
操作においては、実施例1に詳述したように、貯蔵器32
を真空にしてキャピラリーチューブに適当な洗浄とすす
ぎの溶液を引き出しこのチューブを完全に洗浄する。次
いでチューブに若干量の電解ポリマー溶液を流し、少量
の、一般には1〜10ナノリットルの試料物質をカソード
チューブ端部に装填する。フラグメントのピーク全部が
検出ゾーンを通過するまでカソードとアノードの貯蔵器
の間に電圧をかける。
本方法の一実施例では、以下のセクションCで記述する
が、核酸フラグメントの電気泳動分離を高めるには選ば
れた周波数、例えば300〜1,000Hzでパルス電圧を用いて
電気泳動行程を駆動することによって達成される。好ま
しい一の方法は、リーディング(最下流)バンドが検出
ゾーンの上流になるまで電圧をかけ、次いでシステムを
DCモードに切り換え、バンド全部が記録されるまで、検
出器のノイズを減らす。
図2はパルス電界下に電気泳動行程の端部まで操作でき
る電気泳動システム50の断面図を示す。システムのキャ
ピラリーチューブ52は、56で示した検出ゾーンの付近で
上流の小さいクリアランスブレーク54を有する。ブレー
クの両側のチューブ部はチューブの内外に電気泳動によ
り移動する有孔のガラススリーブ58によって連結されて
いる。チューブの連結部は適当な電気泳動溶液62を充填
した貯蔵器60内に密封する。貯蔵器の接地電極64は負の
側が適当なカソード貯蔵器の連結されているパルス電圧
電源66の高圧側に連結する。接地電極64は負の側が適当
なアノード貯蔵器と連結されているDC電源68の高圧側に
連結する。
操作する際、チューブのアノード端に試料物質を充填し
た後、バルス電圧電源を所望の電圧と周波数レベルに調
整し、DC電源を所望の電圧レベルに調整する。試料中の
核酸フラグメントをブレーク54の上流内のパルス電場下
に分離する。その後に、フラグメントをパルス周波数ノ
イズ効果なしに光学的に検出できる、検出ゾーンを通っ
て一定電圧の電界にフラグメントを運搬する。
ここでは示していないが、予備の電気泳動用の核酸フラ
グメントを収集するためにも電気泳動システムを容易に
改変できることは高く評価される。試料収集は、例えば
フラグメントを溶出できる一連のカソード貯蔵器を用い
ることによって行われる。
B.ポリマー溶液 本方法で用いられる電気泳動ポリマー溶液は電解液とチ
ューブ内に流体分別マトリックスを形成するために有効
なポリマーからなる。さらに、溶液はチューブ内壁の荷
電表面基がその脱陽子状態で少なくとも部分的にイオン
化されているpHを有する。溶液のpHは4〜9が好まし
い。pHは次のセクションCで論述するような所定のチュ
ーブ壁荷電密度を達成するように調整できる。
溶液中の電解液は、一般に10mM緩衝液濃度で緩衝液成分
と、一般に5〜10mM濃度で塩と、好ましくはEDTAのよう
な重金属キレーターとを含むことができる。さらに、溶
液は、フラグメント間およびフラグメントとチューブ壁
との間の相互作用を最少にするように働く、尿素のよう
な、変性剤を含むことができる。実施例1〜8に記述し
た、好ましいポリマー溶液のひとつは、緩衝液成分とし
て10mMのトリス−ボレート緩衝液、pH8.3、5mM NaCl、
0.1mM EDTA、および7Mの尿素を含む。また溶液は、以下
のセクションCで記述するため、臭化エチジウムのよう
な挿入剤を含むことができる。
溶液中のポリマーは、フラグメントが電界の影響下でマ
トリックスを通って移動する際に、大きさによって区別
をつけて遅延する核酸フラグメントのゲル化してしない
流動状態で有効である。ポリマーは荷電しておらず、分
子量が少なくとも約10キロダルトンであり、粘度が室温
で2%(重量パーセント)溶液中で少なくとも約15セン
チポイズであることを特徴とする。荷電していないポリ
マーとは、ポリマー溶液のpHで正味の正または負の荷電
を含まないポリマー、またはポリマーのサブユニットに
つき1よりも実質的に小さい正味の負または正の荷電を
含むポリマーを意味する。
好ましいポリマーは、ヒドロキシル化ポリマー、例えば
ポリビニルアルコール、ヒドロキシル−メタクリレート
ポリマーおよび多糖類、例えばデキストランおよび水溶
性セルロース誘導体、例えばヒドロキシプロピルメチル
セルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HE
C)、およびメチルセルロース(MC)である。ここに定
義すると、「ヒドロキシル化ポリマー」はビニルアルコ
ール、2−ヒドロキシエチレンメタクリレート、または
単糖のようなヒドロキシル含有サブユニットから成るポ
リマーを意味する。好ましいポリマーは分子量が約50〜
200キロダルトンであり、室温で2%溶液中、約200〜5,
000センチポイズの粘度によって特徴づけられる。
以下に示すように、種々の濃度で得られるヒドロキシル
化ポリマーの電気泳動パターンは、核酸フラグメントの
移動速度がポリマー濃度が増加すると連続して減少する
ことを示している。これらの結果はヒドロキシル化ポリ
マーの溶液を通る核酸の移動速度が、少なくとも一部、
ポリマーの水酸基とのフラグメント相互作用によって決
定されることを示している。上述のように、移動速度曲
線と理論モデル曲線との比較はポリマーもまた篩機構に
よって移動速度に影響を与えることができることを示し
ている。
溶液中のポリマーの重量パーセントは、分別されるフラ
グメントの大きさに依存して、パルス電界を使用する場
合は、以下のセクションDに示されるように、印加され
た電界の周波数に依存して、約0.1から1%またはそれ
以上まで変えることができる。
C.電気浸透流 本発明の重要な一面によれば、キャピラリーチューブ内
の核酸フラグメントの分別はチューブ内のポリマー溶液
のバルク電気浸透流に対してフラグメントの大きさに依
存した移動によって生ずる。この現象は、ここではポリ
マー溶液マトリックス中の対向移動キャピラリー電気泳
動(CMCE)と称され、図3に示されており、この図はキ
ャピラリー電気泳動チューブ70の拡大断面図を示す。
図に見られるように、「−」の符号で示した、チューブ
内壁の負に荷電した基が、チューブ内の流体カラムの周
りに正に荷電したシェルを基本的に形成する、ポリマー
溶液中で正に荷電したイオンによって遮蔽されている。
壁面で比較的動かない正のイオンのシェルの厚さは剪断
距離として知られている。正の電荷と内側バルク相の電
荷が分布するこの外側シェルは、電気二重層と呼ばれ、
正の荷電の外側シェルとバルク媒体との間の電位の基準
であるゼータ電位を特徴とする。
電界の影響下で、(正の電荷のシェルによって囲まれて
いる)媒体中のポリマー溶液のこのカラムは負または低
い電位の方向に電気浸透で引き出される。チューブ内の
電気浸透流の速度は図中の矢印eで示される(矢印eは
大きさeのベクトル及びチューブの軸に沿った方向と考
えることができる)。キャピラリーチューブ内の電気泳
動流の速度eは次式で表される: 式中のε、η、ξ、およびEはそれぞれ、流体の誘電
率、その粘度、ゼータ電位、および電界強度である。実
施例1に述べたような一般の電気泳動条件下で、チュー
ブ内の電気浸透流の速度は約0.01〜0.5cm/秒である。
チューブ内のポリマー溶液は電気浸透流によって(カソ
ード貯蔵着に対して)下流に移動すると同時に、負に荷
電した核酸フラグメントは溶液に関してアノードの貯蔵
器に対し反対方向に移動している。図3は、例えば、そ
れぞれ、1,000、300および50塩基対と大きさが小さくな
っている三種類の大きさの二本鎖核酸フラグメントF1
F2およびF3の移動速度を示す。フラグメントとポリマー
分子との分子相互作用のため、図中m1、m2およびm3で示
されるアノードの貯蔵器に対するフラグメント移動の速
度は大きさに依存し、小さいフラグメントはアノード方
向に速く移動する。
カソードの方向にチューブの中を移動する3つのフラグ
メントの正味の移動速度は、電気浸透流eと大きさに依
存する移動度mのベクトル合計であり、図3において
u1、u2およびu3で示した。図に見られるように、これら
粒子の正味移動損度u1は大きさに依存し、大きいフラグ
メントは小さいフラグメントよりもカソード方向にさら
に迅速に移動する。
図4は1kb DNAラダーフラグメント(1kbフラグメントの
集まり)およびより小さいHin fIフラグメントを含むDN
A制限フラグメントの電気泳動図を示す。電気泳動図の
左側の大きいスパイクは最初チューブに装填されたサン
プルの水の立ち上がり縁である。移動時間(電気泳動の
始まりと検出ゾーンでの検出との間の時間)は各ピーク
上に示した。フラグメントの大きさ(塩基の数)は図中
の肉太の数字である。図に見られるように、フラグメン
トが大きい程移動時間は短い。また用いたポリマーと電
界の条件下では、システム約3k塩基までフラグメントを
分離でき、ベースラインは決まらないが、より大きいフ
ラグメントを区別することができることは注目される。
CMCE条件の詳細は実施例1に与えられる。
有効な分別距離−−フラグメントがポリマーマトリック
スを通過する距離−−を選択的に増加させ、電気泳動中
の電気浸透流と上記フラグメントの移動の相対速度を変
えることによって、フラグメントの分別を高めることが
できる。特に、電気浸透流の速度eとフラグメントF1
上流移動m1の速度は普通の値になるので、一層長い分離
時間(そして有効な分別長さ)を与える場合には、実際
のフラグメント移動速度u1は全く小さくなり、その間に
フラグメントF1がよく分離されることになる、すなわ
ち、次に一番近い大きさのフラグメントから分離される
ことになる。
本発明を支持して行われる実験では荷電していない流体
ポリマーマトリックスを通る核酸フラグメントの移動速
度はフラグメントの大きさ、ポリマーの濃度およびタイ
プに関連した多くの変数の支配下にあり、電界がパルス
電圧によって生じる場合は電界のパルス周期数の支配下
にある。後者の現象はセクションDで記述する。
キャピラリーチューブ内にポリマーがない場合の核酸ポ
リマーの移動速度は図5に示す。電気泳動の条件は、キ
ャピラー媒体中にポリマーがないことを除いては、図4
に示した電気泳動分離で使用した条件と同じである(実
施例2)。2つの図を比較すると第一に、一番早く移動
するものは一番小さい分子量のフラグメントであり(ピ
ークは4.047分付近に集中した)。一番遅く移動するも
のは一番大きいフラグメントである(ピークは4.381分
付近に集中した)。従って、恐らく全電荷がより大きい
ために、より大きいフラグメントはより小さいフラグメ
ントよりも早く電気浸透流の方向に対して移動すること
が明白である。第二に本システムによって与えられる分
離のみが幅広い大きさの分級間で、大きさによる移動速
度において明らかに著しい差を示す。
核酸フラグメントの相対移動速度のポリマー濃度効果は
図6から認められ、この図は0.1重量パーセントのHPMC
ポリマー中で分別された核酸制限フラグメントの電気泳
動図である。使用したフラグメントと分離の条件は、図
6の電気泳動におけるポリマー濃度が図4の電気泳動に
おけるそれよりも約2.5倍低かったことを除いては、図
4の方法で使用したものと同じである(実施例3)。2
つの図を比較すると、より高い分子量のフラグメントは
より低いポリマー濃度で良く分離されるが、大きさが約
1キロ塩基よりも小さい範囲のフラグメントは、より高
いポリマー濃度で良く分離される。
図7は、実施例4に詳述したように、0.25重量パーセン
トのヒドロキシエチルセルロース(HEC)ポリマー溶液
中でCMCEによって分離された二本鎖フラグメントの電気
泳動図を示す。ポリマーは0.1および0.25重量パーセン
トのHPMCを用いて認められたものとの中間に分別の特徴
を与え、特に、高分子量のものの分離は0.25%と0.1%
のHPCMのそれの中間で、約1キロ塩基よりも大きいフラ
グメントの分離に最良であり、0.1%と2.5%のHPMCのそ
れの中間では、約1キロ塩基よりも小さいフラグメント
の分離に最良である。
図8は、実施例5に記述したように、1重量パーセント
のデキストラン(MW=150,000)の中でCMCEによって分
離された二本鎖フラグメントの電気泳動図を示す。明ら
かにポリマーは約1kb以下の大きさの範囲でフラグメン
トを分離するが、この範囲を超えるフラグメントは分離
されなかった。1キロ塩基以上の大きさの範囲での分離
を改善するためにより低い濃度のデキストランが必要で
あるかも知れない。
図9は1.5重量パーセントのポリビニルアルコール(PV
A、MW約125,000)、非多糖ヒドロキシル化ポリマーによ
って分別した二本鎖フラグメントの電気泳動図を示す。
CMCE法の詳細は実施例6に示す。1%デキストランを使
用するシステムのように、1.5%PVAは明らかに約1kb以
下の大きさの範囲でフラグメントを分離するが、この大
きさの範囲を超えると分離能力が小さいことを示してい
る。より低い濃度のPVAは1キロ塩基を超える大きさの
範囲で分離を改善するために必要であるかも知れない。
従って選択された大きさのフラグメントの分離は使用し
たポリマー、およびポリマーの濃度によって高められる
ことが認められる。即ち、CMCE法でポリマーを通る核酸
フラグメントの移動速度はヒドロキシル化ポリマーのタ
イプ、およびポリマーの濃度の両者に依存する。
本発明の他の面によると、大きさがより小さいフラグメ
ント間の分離はフラグメントを好ましくは二本鎖の形
で、挿入剤とコンプレックスにすることによって選択的
に高められることを見出した。例示的な挿入剤には臭化
エチジウム、アクリジンオレンジおよびチアゾールオレ
ンジを含む。これらの挿入剤は核酸の近接塩基の間に化
合物を挿入させる平らな、共鳴分子構造をもつ(カンタ
ー)。遊離およびDNA結合の形態の間で挿入剤を平衡に
保つように、この挿入剤は好ましくはチューブを通して
引き出されるポリマー溶液に含まれる。
図10は、実施例7に与えられた方法によって、10μモル
の臭化エチジウムの存在で0.25重量パーセントのHPMC中
のCMCEによって分別された上記二本鎖ラダーフラグメン
トの電気泳動図を示す。この図と図4の比較から見られ
るように、挿入剤は大きさが約500塩基対よりも小さい
フラグメントの分離を促進する。この効果は挿入剤とコ
ンプレックスした場合のフラグメントのコンホメーショ
ンにおける大きさによる変化のためかも知れない。同様
の小さいフラグメントの分離の促進はアクリジンオレン
ジ、その他の非イオン性挿入剤に対して認められた。
図11A−11Dは臭化エチジウムの存在で(11Aと11C)およ
び不在で(11Bと11D)CMCEによって分別される核酸フラ
グメント混合物の電気泳動図を示す。このフラグメント
混合物は、ここでφX174/HaeIII混合物と呼ばれるφX17
4ファージのHaeIII消化によって形成されたフラグメン
ト混合物(11Aと11B)およびここで611塩基対PCRフラグ
メント(11Cと11D)と呼ばれるM13ファージ配列フラグ
メントのPCR(ポリメラーゼ鎖反応)増幅によって生成
したフラグメントと前記と同じフラグメントを加えたも
のを含む。図11Aと11Bから判るように、φX174/HaeIII
混合物は臭化エチジウムの存在でのみ分離される271と2
81フラグメントを含む。図11Cと11Dを参照すると、臭化
エチジウムの存在は分離効率(ピークの鮮明さ)および
感度(ピークの高さ)を高める。
上述の種々の要素に加えて、電気浸透流の速度とフラグ
メント移動速度との相対速度を次の方法によって選択的
に調整することができる: a.電界力の変化。理論的には、電界Eは直接、200v/cm
以下の電界力に対して、バルク流速eと非ポリマー溶液
を通る小さい荷電粒子の移動速度の両者の大きさに比例
している。しかし、ポリマーの存在でのフラグメントの
溶出順(図4)はポリマーの不在でのそれ(図5)とは
正反対であるという事実から、ポリマー溶液を通るDNA
の移動は明らかにこのモデルよりも複雑である。このこ
とから、正味の移動速度での大きさの選択的変化は電界
力を、特に200v/cmを超える範囲に調整することによっ
て達成される。
b.チューブ壁の電荷密度の変化。チューブ内のポリマー
溶液のカラムの電気的二重層のゼータ電位とポリマー溶
液中のフラグメントのそれとは、例えば電荷グループを
マスクするようにチューブの表面を処理することによっ
て、あるいはチューブ壁の電荷または核酸フラグメント
の電荷に選択的に陽子を加えるようにポリマー溶液のpH
を調整することによって、独立して変えることができ
る。
c.溶液粘度の変化。理論では粘度の変化が電気浸透流と
粒子移動速度に同じ程度まで影響することが予測される
が、この予測は核酸フラグメントのような大きいアニオ
ン溶質に当てはまらないようだ。溶液粘度は(フラグメ
ント移動速度を選択的に変えることを示した)ポリマー
濃度を変えることによって、核酸フラグメントと相互に
作用しないポリマーまたは他の溶質種を添加することに
よって、および/または溶液温度を変えることによって
調整することができる。
上記をまとめると、本発明は、カソード貯蔵器の方向に
電気浸透流の速度を選択的に変えることによって、また
は分離されるフラグメントの上流移動速度を差異的に変
えることによって、選択された大きさの該酸分離を高め
るように選択的に変えることができる種々のパラメータ
ーを与える。上述したように、核酸フラグメントの対向
移動に関して、電気浸透流の速度をキャピラリー内壁の
負に荷電したグループの荷電密度を変えることによって
変化させることができる。アノード方向のフラグメント
の移動速度は、大きいフラグメントに対して、ポリマー
濃度を減らすことによっておよび/またはポリマーの種
類によって選択的に減らすことができる。より短いフラ
グメントに対しては、対向移動の速度をフラグメントと
非イオン性挿入剤のコンプレックスを作ることによって
選択的に増加させることができる。流速および移動速度
のこのような変動は、電気浸透流が分別される最小のフ
ラグメントの上流フラグメント移動速度よりも速いとい
う制約を受けやすい。
D.パルス電界分離 上述の電気泳動法を定電圧電界で行った。本発明の他の
面によれば、核酸フラグメントの分別は、所定の大きさ
のフラグメントの範囲内で選択的に分離を高めるために
有効な周波数にて、パルス電圧電界の下に電気泳動分離
を行うことによって高められる。
理論では、パルス電界における核酸フラグメントの移動
速度の挙動は2つの大きさに関連した効果によって支配
されているのかも知れない。最初の効果はフラグメント
の回転モードと電界の周波数を含む共鳴効果である。以
下の表Iは100、1,000、および10,000塩基対の二本鎖DN
Aフラグメントについて計算した回転および延伸の共鳴
周波数を示す。Hzで表した回転共鳴周波数は二本鎖分子
の扁長・長円モデルを基礎として計算した(カンタ
ー)。
強力な回転共鳴効果は、電界との共鳴でのフラグメント
の移動速度が時間不変の電界での移動速度に関連して遅
くなることを予言している。これは電界と回転共鳴する
分子が、平均して、電界が最大になるとき電界方向に移
動するために最も少なく有利に配向することが期待され
るためである。より遅い回転時間のため、より大きい分
子は、各電圧−パルスサイクルで電界配向位置からそん
なに揺動しないことが期待される;より小さい分子は、
より速い応答時間をもち、電界方向に一層迅速に再配向
する。従って、回転共鳴効果が支配的であるならば、電
気浸透流速および非共鳴種の移動速度に比例して電気泳
動中に共鳴種の移動を遅くすることが可能でなければな
らない。
パルス電界で期待される第二の大きさによる効果は各電
圧パルスと共に流体中のフラグメントの加速と減速によ
る慣性効果である。この効果は図12に示されており、こ
の図はパルス幅と最大電圧Vmaxを有する印加方形波電圧
に関して、比較的小さい核酸フラグメント(点線)と比
較的大きい核酸フラグメント(一点鎖線)に対する仮定
的な速度曲線を示す。フラグメントが達しなければなら
ない最大速度は電位Vmaxの定電圧電界におけるフラグメ
ントの終端または定常状態の速度、すなわち100%の一
定電界移動速度である。
図から見られるように、より小さいフラグメントは電圧
パルスの印加後は大きいフラグメントよりも速く終端速
度に達することが期待されるが、電圧パルスが終わると
きに同じ速度で実質的にゼロ電圧に減速することが期待
される。電圧パルスの間に各フラグメントによって移動
される全距離はまさに速度曲線の積分であるから、より
大きいフラグメントの移動速度はパルス−電圧電界で優
先的に減少することが期待される。また、速度曲線での
遅延の効果が短いパルスで目立つようになるので、パル
ス周波数が高くパルス持続時間が短い程、移動速度にお
いて優先的に遅らせることができるフラグメントの大き
さが小さくなることは高く評価できる。
図13の鎖線プロットは、定電圧電界での移動速度のパー
セントとして表した移動速度と所定のパルス周波数での
フラグメントの分子量との間の期待された有効関係を示
す図である。プロットはパルス電界でのrms電圧に対し
定電圧パルスを補正するように正規化した。鎖線プロッ
トは、上記慣性モデルによって予言したように、粒子の
大きさが小さくなると共に増加する移動速度を示してい
る。若干大きさが小さいフラグメントでは、フラグメン
トの速度曲線が普通の上限に向かう傾向があり、移動速
度は定電圧電界で100%の移動量に達する。図13の曲線
は従って、鎖線で示したように、この地点で安定水準に
達することが期待される。
図14は650Hzでのパルス電場において分別した二本鎖フ
ラグメントの混合物の電気泳動図である。試料物質およ
び分離条件は、実施例9で詳述するように、印加した電
界の性質を除いては、図4に示した分別に使用したもの
と似ている。同じ大きさのフラグメントの移動速度は2
つ図のピーク時間から測定して比較し、その結果を以下
の表IIに示した。表のA欄は、比較したフラグメントの
大きさを塩基対で示し、B欄は、定電圧電界での速度v
(一定)と、パルス電界での速度v(パルス)との間
の、二つのランの前縁の相対的走行時間に対して補正し
た、検出ゾーンに対する移動時間における差を示す。対
応するフラグメント間の速度差はcm/分×10-4で表され
る。欄Bの正の値はフラグメントがパルス電界における
よりも定電圧電界において移動速度が小さいことを意味
する。1キロ塩基以上の大きさのフラグメントに対して
は、v(パルス)は、図13のプロットで示したように、
大きさが小さくなると共にv(一定)に達する。
しかし、フラグメントの大きさが小さくなるとv(一
定)とv(パルス)との差は、最初のモデルから期待さ
れるような、ゼロの値で安定水準状態に達しないが、引
き続いてフラグメントが小さくなると共に次第にさらに
負の値になる。パルス電界でのより大きい移動速度は10
0%の交差点の上では、より小さいフラグメントとポリ
マーとの間の誘引相互作用を実際に減らし、ポリマーマ
トリックスを通るフラグメントの移動を容易にする。い
ずれの場合も、この特徴は一定電圧電界での同じような
条件下で行うことができるよりも「交差」点の上でのよ
り小さいフラグメントの分離を大きくする。
表II A B フラグメントの大きさ v(一定)−v(パルス) (塩基対) 2036 4.0E−04 b 4.1E−04 a 1.5E−04 1018 0.71E−04 396 −3.8E−04 344 −3.9E−04 298 −4.5E−04 220 −5.1E−04 201 −5.2E−04 154 −5.6E−04 134 −5.5E−04 75 −6.9E−04 上記のことからより小さいフラグメント間の分離は、よ
り大きいフラグメントの移動速度を選択的に遅らせ、よ
り小さいフラグメントの移動速度を増加させる周波数
で、パルス電圧電界下に電気泳動分離を行うことによっ
て選択的に高められることが認められる。
いくつかの核酸フラグメントの混合物において、特に大
きさが異なる種を分別しようとする場合、上記の変数は
−−溶液のpH、ポリマーの種類および濃度、電界周波数
を含めて−−電気泳動の走行中にフラグメントの分離を
促進するように選択的に変えることができる。例えば、
電気泳動分離は、大きさがより大きいフラグメントを分
離するために、最初に一定の電界または低い周波数で行
い、次に大きさがより小さいフラグメントの分離を進め
るためにより大きい周波数にスイッチを切り替える。別
の例として、キャピラリーチューブに引き出される連続
的な溶液勾配を生み出すために標準二室混合装置を用
い、ポリマー溶液のpHまたはポリマー濃度を電気泳動走
行中に継続して変えることができる。
E.応用 本発明の分離法は一本鎖または二本鎖核酸の大きさによ
る分離を必要とする上述の種々の応用の何れかに有用性
を見出す。これらの応用は、遺伝子スクリーニング用の
制限フラグメント長の多形現象の分析を含み、制限分析
のための電気泳動分離を含め、ベクトル構造を確認し、
核酸プローブに対する大きさおよび/またはハイブリッ
ド形成に基づく特定の核酸フラグメントを同定し、化学
的または酵素的配列に対する一重鎖フラグメントを分別
する。
次の二つの応用は制限フラグメント分析のため、および
自動化した連続実験の一部として、本方法はどのように
利用するかを説明している。制限分析の例では、ゲノム
フラグメントの混合物から、関係のあるターゲット配列
を含む制限フラグメントを固定することが望ましい。選
ばれた一種またはそれ以上の制限酵素を用いてゲノム混
合物を消化した後、フラグメント混合物をターゲット配
列とハイブリッド形成することができるリポーター標識
プローブとハイブリッド形成条件下に混合する。このプ
ローブは好ましくは相補的ターゲットおよび蛍光プロー
ブ検出器によって容易に検出できる共有結合した蛍光プ
ローブを含む。このプローブは、例えば、一本鎖種を含
む標準変性/再結合条件によってフラグメントとハイブ
リッド形成し、または三本鎖形成を生じさせるRecAによ
って二本鎖の形でフラグメントに結合することができ
る。
プローブをフラグメントに結合した後、試料は本CMCE法
によって分離する。検出器は好ましくは二重波長モード
で操作し、UV吸収と蛍光放出検出を同時に行う。図15は
フラグメント混合物の具体例の電気泳動図を示し、実線
はUV吸収を、点線は蛍光放出を表す。選ばれたターゲッ
ト配列を含む制限フラグメントは結合した蛍光信号によ
って容易に同定される。
代わりに、関係するフラグメントをビオチニル化プロー
ブにハイブリッド形成し、アビジン固体支持体に結合す
ることによって選択的に単離し、次いでCMCE分別前に支
持体から放出することができる。
DNA配列分析に対して、一つヌクレオチド塩基の他のも
のから区別する一本鎖オリゴマーを分離する必要があ
る。このタイプの分離を達成する本方法の有効性は図16
で示され、この図は40と60の間の塩基対の全塩基対の長
さを含むポリAオリゴヌクレオチドの混合物に対する電
気泳動図を示している。この図は全部で20の異なる大き
さのオリゴマーが良く分離されることを示している。実
施例10で詳述するように、19〜20塩基対の範囲の同様の
オリゴマーの分離が達成された。
配列するために用いられるオリゴマーはジデオキシ酵素
法(サンガー)または化学分割法(マクサム−ギルバー
ド法)によって調製できる。4種の反応混合物からのオ
リゴヌクレオチドフラグメントを、好ましくは平行して
分離し、四本のチューブの各々からフラグメントピーク
を記録する。図17A−17Dは図の上部に示したヌクレオチ
ド配列について観察されるようなA、T、G、C−末端
フラグメントからのオリゴヌクレオチド電気泳動図を示
している。ピークの位置と配列構造の自動化または半自
動化分析は標準のプログラムシステムを用いて行うこと
ができる。
代わりに、オリゴヌクレオチド分離を、例えば、スミス
によって記述されている蛍光標識法を用いる一本のチュ
ーブで行うことができる。
以下の実施例は本発明による種々の分離法と応用を示す
が、これらの範囲に制限されるものではない。
実施例1 0.25%HPMCポリマーにおける一定電界CMCE 対向移動キャピラリー電気泳動(CMCE)はABIモデル270
キャピラリー電気泳動システムを用いて行った。このシ
ステムは電圧を300KVまでセットできる組込み高電圧DC
電源を含む。システムに使用したキャピラリーチューブ
はポリミクロテクノロジー(フェニックス、AZ)から入
手した長さ72cm、内径50μm、外径350μmの溶融シリ
カキャピラリーチューブである。
アースしたカソード貯蔵器に、pH8.3の10mMトリスボレ
ート、5mM Nacl、0.1mM EDTAおよび7M尿素を含有するト
リスボレート−EDTA緩衝液(TBE緩衝液)を充填する。
アノード貯蔵器はTBE緩衝液中に0.25重量パーセントの
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を含むポ
リマー溶液を含有していた。室温で2重量%の溶液中約
4,000センチポイズの粘度を特徴とするポリマーを、ダ
ウケミカルから入手した(ミドランド、MI)。
チューブをカラム容積の数倍量の1M NaOH、次に100mM N
aOHで洗浄し、最後に数倍量のポリマー溶液で洗い出
し、洗浄液と洗出液をチューブのカソード端に取り付け
た真空装置によってチューブから引き出した。BRL(ベ
テスダ、MD)から入手したDNA制限フラグメント混合物
は1kbのラダー部分制限フラグメント(約1kBの倍数)お
よび約50〜1,000塩基対の範囲の大きさのより小さいHin
fI消化フラグメントを含んでいた。フラグメント混合
物を最終DNA濃度が約250μg/mlまで水でうすめた。約2
ナノリットルのDNA溶液をカソードチューブ端に取り付
けた真空装置によってチューブのアノード端に引き入れ
た。次にチューブをポリマー溶液に再び浸した。
電気泳動システムを走行の間ずっと約20kV(約400V/c
m)の電圧にセットして走行させた。UV検出はキャピラ
リーチューブ検出のためにデザインされたクラトス783
UV検出器を用いた。検出器出力信号をHPモデル3396A積
分器/プロッターで積分しプロットした。
得られた電気泳動図を第4図に示す。主ピークの上の数
は電気泳動時間を分で示した。全走行時間は約11分であ
った。塩基対の数で表した分別混合物のフラグメントの
大きさは肉太活字印刷である。図に見られるように、本
方法は75ないし約3,000塩基対の範囲でフラグメントを
有効に分離し、3,000ないし6,000塩基対の範囲のフラグ
メントに対して明確なピークを与えた。フラグメントの
分子量は既知の標準値で確認した。
実施例2 ポリマーのない一定電界CMCE フラグメント分離のために使用したTBE緩衝溶液にポリ
マーを含まず、電圧を約800V/cmにセットした以外は、
実施例1に記載した電気泳動法に従った。分別したDNA
物質の電気泳動図を図5に示す。図4の電気泳動図と比
較して、最小のフラグメント(約4.047分の移動時間で
集中している)はカソードに向かって最大に走行してお
り、最小のフラグメントは実際にはカソードに向かって
上流方向に最も遅く走行していたことを示している。幅
広い大きさの範囲以外はフラグメント間の分離は意味が
なく、フラグメント全体の流出ピークは間隔が接近して
いた。
実施例3 0.1%HMPCにおける一定電界CMCE フラグメント分離のために使用したポリマー溶液が0.1
重量%のHPMCポリマーを含んでいた以外は、実施例1に
記載した電気泳動法を用いた。分離したDNA物質の電気
泳動図を第6図に示す。この図からより小さいポリマー
濃度では約10kbフラグメントの大きさまで良くピークの
分割ができ、約500塩基対の大きさの範囲以下のフラグ
メントの分離には若干ロスがあることが明らかである。
実施例4 0.25%HECポリマーにおける一定電界のCMCE フラグメント分離のために使用したTBEポリマー溶液が
0.25重量パーセントのヒドロキシエチルセルロース(HE
C)ポリマーを含んでいたことを除いては、実施例1に
記載した電気泳動法を用いた。HECポリマーはダウケミ
カル(ミドランド、MI)から入手し、粘度は室温で2%
溶液中で約300センチポイズであった。分別したDNA物質
の電気泳動図を図7に示す。面白いことには、電気泳動
図は2,000〜8,000キロ塩基の大きさの範囲でラダーピー
クの分離を示し、図4に示した0.25%HMPC分離と比較す
ると、最小のピークの分離があまり明確でない。同じよ
うな結果は0.1%HECにおけるCMCE分別によって得られた
が、高分子量と低分子量の種の分割はポリマー濃度が高
い程一層良くなった。0.25重量パーセントのMCを含有す
る、メチルセルロースのポリマー溶液は、大きさがより
小さいフラグメント(500bp以下)の分離に非常に良か
った。
実施例5 1%デキストランポリマーにおける一定電界CMCE フラグメント分離のために使用したTBEポリマー溶液が
1%デキストランポリマーを含んでいた以外は、実施例
1に記載した電気泳動法を用いた。ポリマーはシグマ
(セントルイス、MO)から入手し、平均分子量は約150,
000であった。分別したDNA物質の電気泳動図を図8に示
す。フラクメントはこのポリマー溶液ではHMPCまたはHE
Cポリマーよりもあまり良く分離されなかった。
実施例6 1.5%PVAポリマーにおける一定電界CMCE フラグメント分離のために使用したTBEポリマー溶液が
1.5%ポリビニルアルコール(PVA)を含んでいた以外
は、実施例1に記載した電気泳動法を用いた。約125キ
ロダルトンの平均分子量、および88%のヒドロキシル化
を特徴とするポリマーを、サイアンティフィック・ポリ
マー・プロダクツ(オンタリオ、ニューヨーク)から入
手した。分別したDNA物質の電気泳動図を図9に示す。
約1キロ塩基より小さい範囲のフラグメントの大きさで
行った分離はCMCE0.1%HMPC(図6)で観察されたもの
と殆ど同じであった。大きさが1036塩基およびこれより
大きいフラグメントの分離は意味がなかった。
実施例7 0.25%HMPCと臭化エチジウムにおける一定電界CMCE 実施例1のDNAラダーフラグメント混合物に、最終臭化
エチジウム濃度が10μMになるように臭化エチジウムを
混合した。CMCEポリマー溶液は0.25%HPMCポリマーと10
μM臭化エチジウムを含むTBE緩衝液であった。CMCE分
別は実施例1と同じに行い、その結果を図10に示した。
この図と図4を比較すると約1〜2キロ塩基までの大き
さの範囲で実質的にフラグメントの分離が大きく、挿入
剤のないCMCE分別については、より高い分子量での分離
は若干ロスがあることを示している。
同様の電気泳動分離を2.6μMアクリジンオレンジを含
むポリマー溶液で調製した同じ部分消化フラグメントで
行った。その結果は、より低い分子量の種の分離が促進
されておらず、臭化エチジウムで得られた結果と似てい
た。
実施例8 0.25%の臭化エチジウムの有無による分離の比較 0.5μMの臭化エチジウムの存在(A)と不在(B)に
おけるφX174/HaeIII、および0.5μMの臭化エチジウム
の存在(C)と不在(D)におけるφX174/HaeIIIZと61
1塩基対PCRフラグメントを含有するDNAラダーフラグメ
ント混合物の部分標本を調製した。CMCEポリマー溶液は
0.5%HECポリマーと0.5μm臭化エチジウムを含むTBE緩
衝液であった。
CMCE分別を、部分標本A−Dを用いて、実施例1と同様
に行い、その結果を各々図11A−11Dに示した。図11Aの
電気泳動図は臭化エチジウムの不在で分別された同じフ
ラグメント(図11B)と比べてフラグメント281bpおよび
271pbの明確な分離を示している。同様に、図11Cの電気
泳動図は、臭化エチジウムの不在で分別された同じフラ
グメント(図11D)と比べて、フラグメント281bpおよび
271pb(phiX174ラダー混合物中)および611と603フラグ
メント(PCRフラグメント混合物中)の明確な分離を示
している。
実施例9 パルス電界電気泳動分離 実施例1から部分消化DNAラダーフラグメントおよびHin
fIフラグメントを実施例1と同様にキャピラリーチュ
ーブのカソード端に装填した。パルス電圧はHP 3314A関
数発生器(方形波を発生するため)、クローン−ハイト
モデル7500増幅器、およびジェファーソン・エレクトリ
ック高電圧変圧器を用いて発生させた。印加電圧のピー
ク電圧は約25kV、約170V/cmの印加RMS電圧を与えて、RM
S電圧は約12.5kV、パルス周波数は650Hzであった。電源
を約45分間パルス電圧モードで操作し、その時点では分
別混合物の前縁は検出ゾーンのちょうど上流であった。
次に電源を、電気泳動分離の最後まで、約12.5V/cmに
て、一定電圧モードに切り替えた。
本方法によって得られた電気泳動図は図14に示す。主ピ
ークの上の数字は、DCモードに切り替えた後の分で示し
た電気泳動時間である。塩基対で現した分別混合物のフ
ラグメントの大きさは肉太活字印刷で示した。得られた
ピーク位置は、一定電界電気泳動条件下に同じピークに
対するピークフラグメント移動を与える図4のものと比
較した。大きさの関数として、ピーク移動速度の変化
は、表2に関連して上に述べてある。簡単にいうと約2,
000塩基対よりも大きいフラグメントはパルス電界で一
層ゆっくりと移動したが、より小さいフラグメントは定
電圧電界で通常の移動速度に関連してさらに迅速に移動
した。
実施例10 一本鎖DNAの一定電界CMCE 40〜60ヌクレチオチド間に含有するポリAオリゴヌクレ
オチドの混合物はファーマシア(ウップサラ、スウェー
デン)から入手した。オリゴヌクレオチド混合物を水に
350μg/mlで溶解した。約2ナノリットルの試料溶液を
カソードチューブ端に取り付けた真空装置によってチュ
ーブのアノード端に引き入れ、その物質を約140V/cmの
一定電圧にて0.25%HPMCポリマー中で分別した。全走行
時間は約30分であった。得られた電気泳動図は図16に示
される。CMCE分別により混合物中の20オリゴマーの各々
が有効に分離されたことを示している。19〜22塩基対の
大きさの範囲で、より小さいオリゴヌクレオチドの混合
物は、この方法によって同様に分離された。
本発明は特定の具体例、方法および応用に関して記載さ
れているが、核酸分別の含む他の使用に対し本方法の変
更、本方法の応用を本発明から離脱することなく行うこ
とができることは当業者の認めるところであろう。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G01N 33/50 P

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】チューブの内側壁表面が負に荷電した基を
    含み、チューブの一端が少なくとも約10,000ダルトンの
    分子量をもつ非荷電ポリマーのポリマー溶液を含むアノ
    ードの貯蔵器と流体連絡して設けられ、他のチューブ端
    がカソードの貯蔵器と連絡して設けられている、流体電
    解質溶液で充填されたマイクロキャピラリーチューブの
    一端に核酸フラグメントを含む流体試料を装填し、 カソード貯蔵器の方向で、アノード貯蔵器の方向での核
    酸フラグメントの分子量依存の移動速度よりも大きく、
    より大きい分子量の核酸フラグメントがカソード貯蔵器
    に向かって一層迅速に移動するようなチューブ内の流体
    流速にて、電気浸透流によってチューブ内を通って前記
    ポリマー溶液を引き出すために有効な電圧をアノードと
    カソードの貯蔵器の間に印加する 各工程から成る、異なる分子量の核酸フラグメントの混
    合物を分別する方法。
  2. 【請求項2】選ばれた分子量の核酸フラグメントの分別
    を高めるのに使用するため、さらに、選ばれた分子量の
    フラグメントの流速と移動速度との間の差を減らし、こ
    れによってフラグメントの電気泳動移動が起ることがで
    きる実効チューブ長を増加するように、カソード貯蔵器
    の方向でのポリマー溶液の電気浸透流の速度またはアノ
    ード貯蔵器の方向でのポリマー溶液を通るフラグメント
    移動の速度を調整する工程を含む、請求項1記載の方
    法。
  3. 【請求項3】前記調整する工程が、ポリマー溶液を通る
    比較的大きなポリマーの示差フラグメント移動速度を優
    先的に増加するように、ポリマー溶液の濃度を減少させ
    ることを含む、請求項2記載の方法。
  4. 【請求項4】フラグメントが二本鎖であり、ポリマー溶
    液を通るより小さい分子量のフラグメントの移動速度を
    優先的に増加するように、前記調整する工程が挿入剤を
    フラグメントに添加することを含む、請求項2記載の方
    法。
  5. 【請求項5】挿入剤が臭化エチジウムおよびアクリジン
    オレンジから成る群から選ばれる、請求項4記載の方
    法。
  6. 【請求項6】前記貯蔵器間に印加する電圧がパルス電圧
    であり、前記調整する工程が、選ばれた分子量のフラグ
    メントの移動速度を同じ電界力の一定電界中の速度に関
    連して増加するパルス電圧周波数を選択することを含
    む、請求項2記載の方法。
  7. 【請求項7】核酸フラグメントが100ないし2,000塩基対
    の大きさの範囲にあり、印加したパルス電圧の周波数が
    約100〜500Hzの間にある、請求項6記載の方法。
  8. 【請求項8】ポリマーが少なくとも約50,000ダルトンの
    分子量を有するヒドロキシル化ポリマーである、請求項
    1記載の方法。
  9. 【請求項9】ヒドロキシル化ポリマーが少なくとも約5
    0,000ダルトンの分子量の多糖類である、請求項8記載
    の方法。
  10. 【請求項10】前記ポリマーが水溶性セルロース誘導体
    である、請求項9記載の方法。
  11. 【請求項11】約20ないし5,000塩基対の大きさの範囲
    で二本鎖核酸フラグメントを分別するのに使用するた
    め、さらに挿入剤を前記装填する工程の前にフラグメン
    トに添加することを含む、請求項1記載の方法。
  12. 【請求項12】さらに、チューブ内のフラグメントの光
    学的性質を測定することによって、チューブのカソード
    端付近の所定位置にてフラグメントバンドの存在を検出
    することを含む、請求項1記載の方法。
  13. 【請求項13】DNA試料の制限消化分析を行うのに使用
    するため、さらに1種またはそれ以上の選ばれた制限エ
    ンドヌクレアーゼを用いて試料を消化することから成
    る、請求項12記載の方法。
  14. 【請求項14】DNAフラグメントの混合物において、選
    ばれたターゲット塩基対配列をもつフラグメントを同定
    するのに使用するため、さらにターゲット配列に相補的
    である配列を含む一本鎖核酸プロープを用いてフラグメ
    ントをハイブリッド形成すること、およびプローブへの
    結合を基礎としてターゲット配列をもつフラグメントを
    検出することを含む、請求項12記載の方法。
  15. 【請求項15】一本鎖核酸フラグメントの配列を決定す
    るのに使用するため、さらに核酸塩基のひとつで終わら
    せる4組のランダム終結フラグメントを発生するように
    フラグメントを処理すること、および前記検出によっ
    て、4組のフラグメントの各々において各フラグメント
    の移動速度を決定することを含む、請求項12記載の方
    法。
  16. 【請求項16】チューブの内側壁表面が負に荷電した基
    を含み、チューブの一端が少なくとも約50,000ダルトン
    の分子量を有する非荷電、ヒドロキシル化ポリマーのポ
    リマー溶液を含むアノードの貯蔵器と流体連絡して設け
    られ、他のチューブ端がカソードの貯蔵器と連絡して設
    けられている、流体電解質溶液で充填されたマイクロキ
    ャピラリーチューブの一端に核酸フラグメントを含む流
    体試料を装填し、 カソード貯蔵器の方向で、アノード貯蔵器の方向での核
    酸フラグメントの分子量依存の移動速度よりも大きく、
    より大きい分子量の核酸フラグメントがカソード貯蔵器
    に向かって一層迅速に移動するようなチューブ内の流体
    流速にて、電気浸透流によってチューブ内を通って前記
    ポリマー溶液を引き出すために有効なパルス電圧をアノ
    ードとカソードの貯蔵器の間に印加する工程、および 同じ電界力の一定電界での速度に関連して選ばれた分子
    量のフラグメントの移動速度を増加するようにパルス電
    圧の周波数を調整する、 各工程から成る、異なる分子量の核酸フラグメントの混
    合物を分別する方法。
  17. 【請求項17】前記調整する工程がより大きいフラグメ
    ントから選ばれた大きさのフラグメントの分離を高める
    一つの選ばれた周波数にてパルス電圧を印加すること、
    およびパルス電圧、およびより小さいフラグメントから
    選ばれたサイズのフラグメントの分離を高める第二の、
    異なる選ばれた周波数を印加することを含む、請求項16
    記載の方法。
  18. 【請求項18】チューブの内側壁表面が負に荷電した基
    を含み、チューブの一端が挿入剤および少なくとも約5
    0,000ダルトンの分子量を有する非荷電ヒドロキシル化
    ポリマーを含有するポリマー溶液を含むアノードの貯蔵
    器と流体連絡して設けられ、他のチューブ端がカソード
    の貯蔵器と連絡して設けられている、流体電解質溶液で
    充填されたマイクロキャピラリーチューブの一端に核酸
    フラグメントを含む流体試料を装填し、 カソード貯蔵器の方向で、アノード貯蔵器の方向での核
    酸フラグメントの分子量依存の移動速度よりも大きく、
    より大きい分子量の核酸フラグメントがカソード貯蔵器
    に向かって一層迅速に移動するようなチューブ内の流体
    流速にて、電気浸透流によってチューブ内を通って前記
    ポリマー溶液を引き出すために有効な電圧をアノードと
    カソードの貯蔵器の間に印加する 各工程から成る、異なる分子量の核酸フラグメントの混
    合物を分別する方法。
  19. 【請求項19】挿入剤が臭化エチジウム、アクリジンオ
    レンジおよびチアゾールオレンジから成る群から選ばれ
    る、請求項18記載の方法。
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