JPH0797154B2 - 直接サイクル型原子力プラント及びその運転方法 - Google Patents

直接サイクル型原子力プラント及びその運転方法

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JPH0797154B2
JPH0797154B2 JP1063753A JP6375389A JPH0797154B2 JP H0797154 B2 JPH0797154 B2 JP H0797154B2 JP 1063753 A JP1063753 A JP 1063753A JP 6375389 A JP6375389 A JP 6375389A JP H0797154 B2 JPH0797154 B2 JP H0797154B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は放射性窒素原子16Nのキヤリーオーバーに起因
する主蒸気系及びタービン系における線量率の低減に寄
与する直接サイクル型原子力プラント及びその運転方法
に関する。
〔従来の技術〕
沸騰水型原子力プラント(BWR)、新型転換炉を有する
原子力プラント(ATR)などのような直接サイクル型原
子力プラントでは炉心の核分裂反応熱により原子炉で発
生した水蒸気により直接タービンを駆動するが、炉心で
原子炉炉水(以下、炉水と称す)の水分子中の酸素原子
が中性子照射により放射化される結果生成する放射性の
窒素原子16Nのキヤリーオーバーがタービン系線量率の
原因となる。16Nによるタービン系の線量率は主蒸気配
管の表面線量率にして数R/hになるが、以下の2つの点
で更に低減が必要である。
(1)原子炉運転中における点検作業時の放射線被曝低
減。
(2)原子力発電所敷地境界における線量率規制。(ス
カイシヤイン規制) 上記の目的のため、従来は主蒸気配管の両側及び上部を
鉄板により遮蔽してきたが、原子炉における16Nの発生
及び放出を抑制する面からの対策は現象そのものの理解
が進んでいなかつたために行なわれていなかつた。
我が国の原子炉で適用されているような応力,材料面で
の鋭敏化ステンレス鋼の応力腐食割れ抑制策が施されて
いないプラントでは、水素注入により原子炉炉水中の酸
素濃度の低減策が広く適用されつつあるが、その場合、
水素注入量を増すにつれ、主蒸気中の16N濃度が増加す
るという問題が注入試験をしたプラントで確認されてお
り、上記のスカイシヤインとの関連で水素注入が実施で
きないプラントもある。このために例えば特開昭57−19
4399号公報あるいは特開昭62−151797号公報に記載され
た原子力プラントが提案されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記従来技術のうち、特開昭57−194399号公報記載のも
のは、N2を除去する装置を設けたものである。しかし、
実質的に16NはN2の化学形態では存在せず、NOXの形態で
水蒸気中に随伴してくる。従つて、N2除去装置では該16
Nを効果的に除去することは到底不可能である。又、特
開昭62−151797号公報記載のN2ガス注入装置の場合は、
14NH316NH3の同位体交換反応効率が悪いという欠点が
ある。
本発明の目的は、プラントの線量率と炉内の腐食環境に
悪影響を与えずに、タービン系のN−16による線量上昇
を抑制することを特徴とした直接サイクル型原子力プラ
ント及びその運転方法を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的は、炉内へ窒素酸化物を注入すると共に、ナト
リウムイオンのようなアルカリ物質を注入することによ
つて達成することができる。
〔作用〕
本発明は第一には、16Nが半減期7.2秒で非放射性の酸素
原子に変換するという性質を用いる。即ち、16Nを半減
期に相当する時間あるいはそれ以上の時間,圧力容器内
の液相に保持することができれば、それだけで主蒸気中
16Nを半分以下の濃度にすることができる。液相への
保持手段は以下の発見に基づいている。即ち、 (i) 16Nは16NOの化学形態で主蒸気中に放出され
る。
(ii) 水素原子濃度が増加すると16NO放出量が増え
る。
従つて、16Nの低減は水素原子濃度を減らすか、OHラジ
カル濃度を増やし16NOの水中平衡濃度を低減する手段に
より達成される。
このためには、原子炉炉水中に放射性窒素酸化物を陰イ
オンに変換するために、水素原子と反応して水素原子濃
度を低減させる作用を有する水素ラジカル捕捉剤を原子
炉炉水中に注入すればよい。原子炉炉水への注入は必ず
しも原子炉内の水に直接挿入する必要はなく、給水域は
復水系統から注入してもよい。また、水素原子濃度の低
減あるいはOH濃度の増加という点から考えられる対策の
有効性をNOを例として解析により16NO低減効果を評価す
る。第3図は注入量を変えた時の水蒸気中の16NO濃度、
炉水中の酸素,過酸化水素,硝酸,亜硝酸濃度の計算値
を示したものである。炉心入口濃度にして の濃度に保持すれば約一桁16NO濃度が低減できることが
わかる。さらに、酸化,過酸化水素の低減効果も期待で
きることが分かる。
以上の結果は次のように解釈できる。即ち、注入した成
分が水の放射線生成物と反応する結果、NOの濃度が増加
する過程で、例えば、 などの反応により水素原子の平衡濃度が低下し H+OH→H2O …(3) などの反応も進行しにくくなり相対的にOHラジカルの濃
度も増加する。したがつて炉心で生成した16Nが16NOに
なつても、 によつて亜硝酸の形態をとりやすく、一度亜硝酸になる
と、 の反応は水素原子濃度が低いので進行しにくくなる。以
上のようにして16NOの平衡濃度が低くなるので主蒸気中
16NO濃度も低減することになる。一方、過酸化水素や
酸素濃度が減るのは、 などの反応によると考えられる。
一方、 程度まで注入すると硝酸,亜硫酸が高濃度になり、また
酸素の濃度も増加するので、あまり大量の注入には問題
があることが分かる。炉水中のNO−と イオン濃度を増加させることは、炉水pHと導電率に影響
するものである。炉水のpHの低下や導電率の上昇は一般
的には、材料腐食性や放射能挙動へ影響すると考えられ
ている。このためプラントの線量レベルを上昇させるな
ど悪影響の要因になることが予想されるため、これらの
点に留意して水質をコントロールする必要がある。
本発明では、さらに窒素酸化物を注入する際、ナトリウ
ムイオンのようなアルカリ物質を添加することにより炉
水pHを常に中性〜アルカリ側にあるように水質を制御す
る。
又、硝酸イオンと亜硝酸イオンが不純物として存在する
系では当量導電率が高い水素イオン濃度が高いことによ
り、炉水の導電率が高くなる。しかしながら、ナトリウ
ムイオンを添加して、弱アルカリ側に水質をコントロー
ルした場合には、解離定数の関係により水素イオン濃度
が低下することより、相対的に導電率の変動は少なくな
る。
以上のことより、炉水のpHと導電率は窒素酸化物を注入
しても極力変化しないように管理される。これにより、
材料の腐食抑制を図ると共に、炉水の放射能濃度の上昇
抑制を図る。
アルカリ物質の注入量は炉水pHと導電率を極力一定に維
持するようにコントロールされるので窒素酸化物の注入
が中断する場合でも炉水のpHと導電率の変動は少ない。
以上の点を以下の図面とデータにより説明する。
第2図はタービン系の16Nの生成メカニズムの考え方を
示す。通常運転時においてタービン系の16Nは一酸化窒
素(NO)として炉水から主蒸気中に移行していると考え
られている。又、窒素化合物は、炉内において亜硝酸イ
オンや硝酸イオンとして存在し、第2図に示すようにバ
ランスしているものと考えられる。水素注入、等により
炉水が還元状態になつた場合には、相対的に揮発性NOが
増大し、主蒸気中のNO濃度が増えるものと考えられてい
る。NOは16NOも髄伴するため、タービン系の線量率も上
昇するものと考えられている。炉水中にNO2,NO, N2O、 等の窒素酸化物を注入することにより、NOの主蒸気中へ
の移動量を抑えることが考えられている。第3図に示す
ようにNOの注入により主蒸気中16NO濃度が低減される。
一方、NOの注入に伴い、炉水中の の濃度が増加することが示されている。注入量としては
炉心入口のNO濃度を とした場合、生成するNO2−は約90ppb、 は約30ppbであることが示されている。このことによ
り、アルカリ物質の注入量は、これら、 濃度に対し、少なくとも化学量論的に中和できる量とす
る。例えばNaNO3(分子量85)の場合にはNa:NO3=23:62
を注入量の目安とすることができる。
次に、炉水放射能濃度抑制の観点より、アルカリ物質の
注入効果を示す。第4図は炉水pHを変えた場合の燃料棒
表面クラツドからのコバルト溶出速度に関する実験結果
を示す。本図に示すように炉水のpHをアルカリ側に管理
することによりコバルトフエライトからのコバルト溶出
速度は低下する。言い換えると炉水のpHが6のような酸
性側であるとコバルト溶出速度が増大し、炉水の放射能
濃度の上昇をもたらすが、アルカリ側にすることにより
それを防ぐことが可能となる。
さらに材料の腐食環境の面での硝酸イオンの影響を評価
した例を説明する。
第5図はCORROSION Vol44,No.11,1988,p791〜799でW.E.
Rutherらの報告している水中不純物濃度と材料試験の結
果より、硝酸イオンに関連した結果のみ抜粋したものを
示す。本図に示されるように炉水中に、 がHNO3の形で存在すると純水に対して材料の応力腐食割
れの感受性が増す。しかしながら がNaNO3のようにナトリウムイオンとの塩の形で存在し
た場合には応力腐食割れの感受性はむしろ低下し、純水
と同レベルで不純物としての影響は無視できることが判
る。本実験では の影響性を評価しているが、 についても同様の効果があるものと考えられる。
以上のことより、窒素酸化物を注入と併せて、それによ
つて生成する と中和するだけのアルカリ物質、例えばNaOHを注入する
ことにより、燃料棒表面に付着しているクラツドからの
放射性核種の溶出による炉水放射能の濃度上昇、更に
は、プラントの線量上昇を抑制できる共に、応力腐食割
れの感受性を抑制することができる。又、材料の全面腐
食に関しても水質が中性よりもむしろアルカリ側である
方が材料表面に不働態膜が形成され、腐食が抑えられ、
この面からも望ましいと言える。又、このことは原子炉
一次系の炭素鋼配管等への放射性核種の蓄積を抑制する
効果を期待できるものである。
次に炉水中の溶存酸素濃度を水素原子と結合させ低減す
る方法において、一次冷却水中に水素を注入する方法が
考えられている。水素注入量を増すにつれ、主蒸気中の
放射性窒素16N濃度が増加し、タービン系線量率が増加
するという問題が生じることが知られている。この問題
を回避するために、16Nを原子炉炉水中に保持し気相中
への移行量を減らすことが必要となる。16Nは16NOの形
態で気相中へ移行しタービン系線量率を増加させると考
えられる。そこで16NOを陰イオン成分に変化させ、16N
を原子炉炉水中に保持し気相への移行量を減らすことが
有効な手段となる。炉水中に水素と窒素化合物を同時注
入した場合の炉心出口における各成分濃度と蒸気中16NO
濃度をシミユレーシヨンした。1例として、炉水中に水
素を100ppb注入し、同時に窒素化合物として、NO,NO2, 注入した場合のシミユレーシヨン結果を第1表に示す。
これより、いずれの窒素化合物を注入した場合において
も、注入しなかった場合に比べて蒸気中16NO濃度を低減
できることがわかる。さらにこの場合には、水素のみを
注入する場合よりも溶存酸素濃度は1桁以上低減できる
ことがわかる。以上の結果は次のように解釈できる。す
なわち、注入した窒素化合物が、例えば、 などの反応により水素原子の濃度を低下させ H+OH→H2O などの反応が進行しにくくなり相対的にOHラジカルの濃
度が増加する。水素と酸素はOHラジカルを介して水とな
るので、炉水中の溶存酸素と注入水素の結合反応が加速
され、溶存酸素濃度が低下すると考えられる。また、こ
の場合においても窒素化合物を注入した場合に生成する による炉水のpH変化は、給水中にアルカリイオンを添加
して中和することにより調整することができる。
〔実施例〕
以下、図面により本発明の実施例を説明する。
第1図はBWRの概略図である。第1図では、沸騰水型原
子力プラントの概略構成を示したもので、窒素酸化物注
入装置2は給水系に接続され、アルカリ物質注入装置は
原子炉浄化系7に接続される。窒素酸化物注入装置の注
入点は給水系の他に原子炉浄化系7,制御棒駆動装置,炉
内計装管、等が考えられる。一方、アルカリ物質注入装
置1は、原子炉炉水水質に対応して注入量制御を行なう
ため原子炉水の存在する系統、即ち、原子炉再循環系6
や原子炉冷却材浄化系7に接続される。本実施例ではア
ルカリ物質の注入量は、炉水のpHモニタ等の水質モニタ
3で水質を計測しながら、炉水のpHを7.0〜8.5の範囲内
になるように制御される。本実施例では炉水水質のモニ
タリングをpHで行なつているがその他に導電率を計測し
ながら注入量を制御することも考えられる。又、その他
に材料腐食電位やき裂進展速度をモニタしながら注入量
を制御することも考えられる。さらに、炉水サンプリン
グ系でのオンラインイオンクロマトグラフによる硝酸イ
オン濃度の実測値に基づく注入量の制御方式も考えられ
る。又、アルカリ物質の注入点を給水系にすると給水水
質を変化させる心配があるため、原子炉水の存在する系
統での注入が特に有効である。
次に本発明を実施した場合の炉水pH,導電率に対する効
果を第6図により説明する。本図に示すように無注入時
水質のケース,窒素酸化物のみ注入したケース,窒素酸
化物とアルカリ物質を同時注入したケースの3ケースに
ついてのpHと導電率の評価例を示す。本図に示すように
ケース2のように窒素酸化物のみの注入では、pHの酸側
への移行と導電率の増大をもたらすが、ナトリウムイオ
ンのようなアルカリ物質を添加しておくことによりこれ
を抑えることができる。ただし第6図は不純物が含まれ
ないケースをベースとしているが一般的には炉水中には
SO4 2−イオン、等の不純物イオンが共存しているケース
が一般的であるのでそれらの影響によりプラントにより
注入量に対する水質変化量は多少バラつくと考えられ
る。
従つて、炉水水質を直接モニタリングしながら注入量を
制御することが適格な制御に有効である。
第7図には、窒素酸化物の注入量に対するpHと導電率の
効果を説明する評価例示す。上図はアルカリ物質を添加
しないケース、下図はアルカリ物質をあらかじめ添加し
ておき、窒素酸化物の注入量を変えたケースである。本
図でも判るようにアルカリ物質を添加していないケース
では窒素酸化物の注入により水質は悪い方向に変化する
が、アルカリイオンの存在下で窒素酸化物を注入するケ
ースの方は導電率、pHへの影響がむしろ緩和され、変化
が少なくなることが示される。BWRの原子炉水は水質基
準により、pHと導電率の基準値が各々5.6〜8.6、<1μ
S/cmと決められており、基本的にはこの基準を逸脱する
ことなく、十分に満足する方向となるのが特徴となる。
第8図には、炉水水質条件での粒界型応力腐食割れ(IG
SCC)の発生有無に関して導電率と腐食電位との関係を
示す。本図に示されるように一般的には導電率が高くな
ると応力腐食割れ発生例は増すことが判る。このことか
ら、アルカリイオンの添加による導電率の低減は、応力
腐食割れ対策の観点からも有効な処置であると考えられ
る。
注入するアルカリ物質についてはNaOHやKOH,LiOHのよう
なアルカリ金属水酸化物,Ca(OH)のようなアルカリ
土類金属酸化物、等が考えられる。この中でもアルカリ
金属水酸化物はより一般的であり、その中でも通常のBW
R炉水中に微量に確認されている イオンが有望と考えられる。
イオンは放射線照射下で放射化によつて23Na(半減期15
hr)を生成するため、炉水中の濃度が増えると主蒸気中
への23Naのキヤリーオーバーも増大してしまう。しかし
ながら、本発明によれば、炉水Na濃度は を中和する程度で数十ppbオーダであるため、23Naのキ
ヤリーオーバーによるタービン系線量率の増大は無視で
きる。従つて、窒素酸化物注入そのものにより期待され
ているタービン系線量率の低減効果に悪影響を与えるこ
とはない。上記実施例によれば、原子炉水中への窒素酸
化物の注入により直接サイクル型原子力プラントの運転
中において、炉水の水分子中の酸素原子が中性子照射に
よつて放射化されて生成する放射性窒素原子16Nの原子
炉から主蒸気系、更にはタービン系へのキヤリーオーバ
ーを著しく抑制することができ、線量率の大幅な低減が
可能である。又、炉水中へのアルカリ物質の同時注入に
より、炉水のpHは、中性〜弱アルカリ側での管理がなさ
れ、燃料棒表面からの放射性クラツドからの核種溶出の
抑制を図ることができる。更に、タービン建屋内の空間
線量率が低減できるのでタービン建屋全体の縮小化が可
能となる。
本発明においては、窒素酸化物の注入はタービン系線量
率の一時的低減を目的として、注入を一時的に実施され
る運用も考えられているがこの際、炉水の水質変化、も
しくは注入量の増減に応じてアルカリ物質の注入量が制
御されるため、炉水pH,導電率が大きく変動することは
ない。その結果として炉水水質のトランジエントな変
動、例えばCrイオンの増加等を抑制することが可能とな
る。この他に、アルカリ物質の注入質コントロールにお
いて炉水のpHは弱アルカリ側pH7.0〜8.5に管理すること
が考えられておりこの場合には必ずしもpHを常に一定値
に維持するような高い注入精度は要求されない。従つ
て、このような炉水水質の弱アルカリ化のための水質管
理法として、復水脱塩装置14もしくは原子炉冷却材浄化
系ろ過脱塩装置11内のイオン交換樹脂にあらかじめアル
カリイオンを負荷しておいて、プラント運転時の通水状
態において、樹脂よりアルカリイオンをリークさせなが
ら炉水水質を管理する方法が考えられる。この方法によ
れば設備面でも簡素化が図られる。又、さらに原子炉冷
却材浄化系ろ過脱塩装置の入口側に注入装置を設け樹脂
にアルカリイオンを供給できる注入装置を設けることに
より、容易に樹脂アルカリイオンを負荷する運転操作を
行なうことができる。
第9図はこのような方法により炉水の水質を管理した場
合の水質の変化を説明するものである。本図に示すよう
に窒素酸化物の注入量をステツプ状に変えながら水質を
制御することも可能となる。
次に本発明の他の実施例を第10図,第11図及び第12図に
示す。
第10図は、あらかじめ窒素酸化物の注入量と炉水水質の
変化と相互関係を評価しておき、窒素酸化物の注入量に
応じて、アルカリ物質の注入量をこれに応じてコントロ
ールするものである。これにより、炉水pHや導電率を変
動させる他の要因、例えば樹脂リークによる不純物の炉
内への流入や復水器チユーブのリークによる海水中塩素
イオンの炉内への流入によるpHや導電率の変動が生じた
としてもこれに対して、アルカリ物質の注入量が必要以
上に増すような誤動作は生じない。
第11図は、窒素酸化物の注入点を原子炉冷却浄化系とし
た場合のシステム構成を示す。これにより、窒素酸化物
とアルカリ物質の注入点は一箇所とすることも可能であ
り、システムの簡素化が可能となる。又、窒素酸化物が
給水系統で材料や水質に影響を与える可能性もなくな
る。同様の注入点としてはこの他に制御棒駆動装置(CR
D)冷却水系や原子炉計装配管、等が考えられる。
第12図は、炉水の溶存酸素低減を目的とした水素注入を
行なつているケースのプラントでの応用例を示す。これ
により水素注入と窒素酸化物により炉水溶存酸素濃度を
下げ、炉内の腐食環境をより緩和した状態を維持した上
生成する硝酸,亜硝酸イオンの影響を受けないでさらに
タービン系の線量率を低減することが可能となる。
次に水素と窒素酸化物を同時に注入する場合を述べる。
この場合次の技術的な課題への対応が必要である。
窒素酸化物が水素および水の分解生成物と反応する
ため、例えば給水系から両者を注入する場合には相対的
に線量率の高いダウンカマーで放射線化学反応が進行
し、注入した亜硝酸が別の化学形態に変わつてしまう。
注入した窒素酸化物は一部は揮発性のNOxガス、残
りは不揮発性の亜硝酸,硝酸、その他N/H系のラジカル
になる。不揮発性の成分は再循環系を循環する間に炉水
中に蓄積する。揮発性の成分はほぼ全量が炉心の沸騰チ
ヤンネル,上部プレナム、上昇管部で蒸気相へ移行され
るためその放出量と、注入量のバランスで定常濃度が定
まる。
揮発性の成分である例えばNOは窒素酸化物が水素に
よつて還元されてできるので、その放出量は水素注入量
によつて決まる。
第13図はこれを示す計算例である。計算は注入する窒素
酸化物を亜硝酸としてBWR一次冷却系を循環する過程の
中で進行する化学反応を数値的に解析したものである。
横軸は一次冷却系を回る循環数であつて、縦軸は炉心出
口亜硝酸濃度である。表1に示した計算結果によれば炉
心入口ないしは炉心出口濃度にして を確保する必要がある。計算結果は給水中硝酸濃度 の場合であるが水素注入率が大きい場合 には水素の還元作用により注入した亜硝酸の大部分はNO
ガスに置換され主蒸気系に放出される。すなわち、この
場合には水素,亜硝酸とも給水から注入した全量が炉心
およびその近傍で気相に放出され系統全体がワンスルー
システムに等しくなるため、比較的少ない循環数で定常
濃度に達する。ところが、水素注入量が少ない場合、
(第13図中、水素注入無し、および給水中水素濃度 には不揮発性成分濃度が相対的に高いため循環毎に炉水
に蓄積する。以上述べたごとく、水素と16NOの低減剤を
同時に注入する場合も最も技術的に困難なのは水素注入
による溶存酸素濃度の制御と添加剤から生成する成分の
濃度制御およびモニタ手法である。添加成分は炉心部近
傍のみで存在すれば良いが、水素はダウンカマ,再循環
配管,圧力容器下部プレナムの溶存酸素低減がねらいで
あるため、給水ノズル近傍からの注入が理想的である。
したがつて、水素は給水配管から、16N低減のための添
加物はダウンカマ下流,炉心入口までの範囲で注入する
ことが望ましい。特に、16N低減は炉心の沸騰チヤンネ
ル内でのみ効果があれば良い。窒素酸化物は炉心の沸騰
チヤンネルに直接、水素はダウンカマ、再循環配管、圧
力容器下部プレナムの腐食環境改善に用いるという分離
注入システムが理想的である。
注入する窒素酸化物としてはNOの他に、NO2, N2O,等が考えられるが、いずれのケースにおいても注入
により炉水中には亜硫酸イオンと硝酸イオンが増加する
ことになり、いずれも同様の課題を有している。従つ
て、いずれのケースに対しても以上の手法が応用でき
る。
〔発明の効果〕
本発明によれば、原子炉水中への窒素酸化物の注入によ
り直接サイクル型原子力プラントの運転中において、炉
水の水分子中の酸素原子が中性子照射によつて放射化さ
れて生成する放射性窒素原子16Nが原子炉から主蒸気
系、更にはタービン系へキヤリーオーバするのを著しく
抑制することができ、線量率の大幅な低減が可能であ
る。
又、材料の腐食および応力腐食割れ性への悪影響を抑制
することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例になる窒素化合物注入装置と
アルカリ物質注入装置から成る水質管理システムを備え
たBWRの概略図、第2図は炉内の窒素酸化物の挙動メカ
ニズムを示す反応式、第3図は窒素酸化物注入による主
蒸気系16N低減効果と炉水水質の変化を示すグラフ、第
4図はコバルトフエライトからのコバルト溶出速度のpH
依存性を示すグラフ、第5図は硝酸又は硝酸ナトリウム
存在下での材料耐食性を示すグラフ、第6図は窒素酸化
物及びアルカリ物質注入時のpH及び導電率を示すグラ
フ、第7図は窒素酸化物注入量をパラメータとしたpHと
導電率との関係を示すグラフ、第8図は腐食電位,導電
率及びIGSCC発生有無の関係を示すグラフ、第9図は炉
水アルカリ注入後の窒素酸化物注入時間に対するpH及び
導電率の変化を示すグラフ、第10図〜第12図は本発明の
応用例であり、窒素酸化物の注入量に応じてアルカリ物
質の注入を制御するBWRの概略図、第11図は注入点を原
子炉浄化系としたBWRの概略図、第12図は水素注入と併
用したBWRの概略図である。第13図は水素と窒素酸化物
を同時注入した場合の炉水水質変化を示す図である。 1……アルカリ物質注入装置、2……窒素酸化物注入装
置、3……炉水水質モニタ(pHモニター、他)、4……
炉水水質制御用コントローラ、5……原子炉、6……原
子炉再循環系、7……原子炉冷却材浄化系、8……原子
炉冷却浄化ポンプ、9……再生熱交換器、10……非再生
熱交換器、11……原子炉冷却材浄化系ろ過脱塩装置、12
……タービン復水器、13……復水ポンプ、14……復水脱
塩器、15……給水加熱器、16……給水ポンプ、17……給
復水ライン、18……水素注入設備。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 久雄 茨城県日立市幸町3丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内 (72)発明者 伊部 英史 茨城県日立市森山町1168番地 株式会社日 立製作所エネルギー研究所内 (72)発明者 唐沢 英年 茨城県日立市森山町1168番地 株式会社日 立製作所エネルギー研究所内 (72)発明者 田川 久人 茨城県日立市森山町1168番地 株式会社日 立製作所エネルギー研究所内 (72)発明者 長瀬 誠 茨城県日立市森山町1168番地 株式会社日 立製作所エネルギー研究所内 (72)発明者 内田 俊介 茨城県日立市森山町1168番地 株式会社日 立製作所エネルギー研究所内 (72)発明者 菊池 英二 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社日 立製作所日立研究所内 (56)参考文献 特開 昭63−103999(JP,A) 特開 平1−102396(JP,A)

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】直接サイクル型原子力プラントにおける原
    子炉内で核反応によって生じた放射性窒素化合物が炉水
    から主蒸気中へ移行するのを抑制するための窒素酸化物
    を注入する装置及びアルカリ物質を注入する装置を設け
    たことを特徴とする直接サイクル型原子力プラント。
  2. 【請求項2】直接サイクル型原子力プラントにおける原
    子炉で核反応によって生じた放射性窒素化合物が炉水か
    ら主蒸気中へ移行するのを抑制するための窒素酸化物を
    注入する装置、アルカリ物質を注入する装置及び原子炉
    水の水質をモニタリングしながら、炉水のpHが7.0〜8.5
    の範囲になるように、前記アルカリ物質の注入量を制御
    する装置を設けたことを特徴とする直接サイクル型原子
    力プラント。
  3. 【請求項3】直接サイクル型原子力プラントにおける原
    子炉内で核反応によって生じた放射性窒素化合物が炉水
    から主蒸気中へ移行するのを抑制するための窒素酸化物
    を注入する装置及び原子炉水が循環する原子炉一次系に
    設けられたアルカリ物質を注入する装置とを設けたこと
    を特徴とする直接サイクル型原子力プラント。
  4. 【請求項4】直接サイクル型原子力プラントにおける原
    子炉内で核反応によって生じた放射性窒素化合物が炉水
    から主蒸気中へ移行するのを抑制するための窒素酸化物
    を注入する装置及び不揮発性アルカリ物質を注入する装
    置を設けたことを特徴とする直接サイクル型原子力プラ
    ント。
  5. 【請求項5】直接サイクル型原子力プラントにおける原
    子炉内で核反応によって生じた放射性窒素化合物が炉水
    から主蒸気中へ移行するのを抑制するための窒素酸化物
    を注入する装置及び原子炉水が循環する原子炉一次系に
    設けられた不揮発性アルカリ物質を注入する装置とを設
    けたことを特徴とする直接サイクル型原子力プラント。
  6. 【請求項6】直接サイクル型原子力プラントにおける原
    子炉内で核反応によつて生じた放射性窒素化合物が炉水
    から主蒸気中へ移行するのを抑制するための窒素酸化物
    を注入する装置及びイオン交換樹脂に充填したカチオン
    交換樹脂の一部を予めアルカリ金属型にしておくことに
    よって復水又は炉水浄化時、該水中のカチオンとのイオ
    ン交換反応によりアルカリイオンを生成せしめるように
    構成してなるアルカリ物質を注入する装置を設けたこと
    を特徴とする直接サイクル型原子力プラント。
  7. 【請求項7】直接サイクル型原子力プラントにおける原
    子炉内で核反応によって生じた放射性窒素化合物が炉水
    から主蒸気中へ移行するのを抑制するための窒素酸化物
    を注入する装置及び原子炉水が循環する原子炉一次系に
    設けられ、イオン交換樹脂に充填したカチオン交換樹脂
    の一部を予めアルカリ金属型にしておくことによって炉
    水浄化時、該水中のカチオンとのイオン交換反応により
    アルカリイオンを生成せしめるように構成してなるアル
    カリ物質を注入する装置とを設けたことを特徴とする直
    接サイクル型原子力プラント。
  8. 【請求項8】直接サイクル型原子力プラントにおける原
    子炉内で核反応によって生じた放射性窒素化合物が炉水
    から主蒸気中へ移行するのを抑制するための窒素酸化物
    を注入する装置及び原子炉水が循環する原子炉一次系に
    設けられ、イオン交換樹脂に充したカチオン交換樹脂の
    一部を予めアルカリ金属型にしておくことによって炉水
    浄化時、該水中のカチオンとのイオン交換反応によりア
    ルカリイオンを生成せしめるように構成してなる不揮発
    性アルカリ物質を注入する装置とを設けたことを特徴と
    する直接サイクル型原子力プラント。
  9. 【請求項9】直接サイクル型原子力プラントの炉水中に
    窒素酸化物及びアルカリ物質を注入しながら運転するこ
    とを特徴とする直接サイクル型原子力プラントの運転方
    法。
  10. 【請求項10】直接サイクル型原子力プラントにおける
    原子炉内で核反応によって生じた放射性窒素化合物が炉
    水から主蒸気中へ移行するのを抑制するための窒素酸化
    物を注入すると共に、アルカリ物質を注入し、原子炉水
    の水質をモニタリングしながら、炉水のpHが7.0〜8.5の
    範囲になるように、前記アルカリ物質の注入量を制御し
    ながら運転することを特徴とする直接サイクル原子力プ
    ラントの運転方法。
  11. 【請求項11】直接サイクル型原子力プラントにおける
    原子炉内の溶存酸素濃度を水素原子と結合させて低減す
    るための水素注入設備、及び該反応によって生じた放射
    性窒素化合物が炉水から主蒸気中へ移行するのを抑制す
    るための窒素酸化物を注入する装置を設けたことを特徴
    とする直接サイクル型原子力プラント
  12. 【請求項12】直接サイクル型原子力プラントにおける
    原子炉内の溶存酸素濃度を水素原子と結合させて低減す
    るための水素注入設備、及び該反応によって生じた放射
    性窒素化合物が炉水から主蒸気中へ移行するのを抑制す
    るための窒素酸化物を注入する装置及びアルカリ物質を
    注入する装置を設けたことを特徴とする直接サイクル型
    原子力プラント。
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