JPH0797159B2 - 軟x線・真空紫外線用多層膜反射鏡 - Google Patents

軟x線・真空紫外線用多層膜反射鏡

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JPH0797159B2
JPH0797159B2 JP23124786A JP23124786A JPH0797159B2 JP H0797159 B2 JPH0797159 B2 JP H0797159B2 JP 23124786 A JP23124786 A JP 23124786A JP 23124786 A JP23124786 A JP 23124786A JP H0797159 B2 JPH0797159 B2 JP H0797159B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は光学装置、特に軟X線から真空紫外線と称され
る波長2000Å以下の光を対象とし、入射角が鏡面に対し
垂直に近い正入射にも好適に使用できる軟X線・真空紫
外線用多層膜反射鏡に関するものである。
〔従来の技術〕
従来、真空紫外と称される領域より短波長側の光に対し
ては、面に垂直もしくはそれに近い角度で入射したとき
に高い反射率を有するような反射鏡は存在せず、垂直入
射に近い入射角では1%以下の反射率しか得られていな
かった。一方比較的高い反射率を有する斜入射反射鏡で
は、入射角を鏡面から1゜以下もしくは2〜3゜の範囲
に調整する必要があった。また面に対し小さい角度で入
射させるために細い光束に対しても非常に大きな形状を
必要とし、その使用は困難かつ限定されていた。また光
学系の設計の自由度が少なく反射鏡の作製に関しても大
面積にわたり高精度の平面度を有するように研磨し、保
持するなど実際の使用にあたっては困難が少なくなかっ
た。
近年では、真空蒸着技術の発展に伴ない超薄膜を多層構
造に多数積層した多層膜反射鏡が作製されるようにな
り、干渉の利用により高反射率化した実用に供し得るも
のができつつある。
ところで、X線及び真空紫外光の領域では、ほとんどの
物質の屈折率は吸収を表わす虚数部分kをもつ複素屈折
率(n+ik、以下屈折率と呼ぶ)で表わされ、実数部分
nはほぼ1.0(n=1−δ,δ〜10-1〜10-3となるため
真空と物質薄膜との境界におけるフレネルの反射率は非
常に小さく0.1%のオーダである。また、異種材料の積
層薄膜の境界においても反射率は単一の境界面あたり数
%を越えることがない。しかるに異種材料を交互に多層
積層構造とし、各々の層境界からの反射光が干渉により
強め合い、多層膜全体としての反射率が最大となるよう
な膜厚構成をとることにより、高反射率化が可能とな
る。さらに隣接する層間での屈折率の差が大きくなるよ
うな異種材料の組合わせを選択し、先の膜厚構成とあわ
せて、高反射率化を図ることにより、正入射に近い入射
角で高反射率の得られる反射鏡が実現できることが知ら
れている。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかしながら、これらの反射鏡は吸収の大きい材料を用
いており、使用時の光照射により過熱され膜が損傷を受
けることが多く、実際の使用状況では長期安定に使用す
ることができないという欠点があった。
この欠点を除去するために、高融点金属を高吸収体とす
るものが提案されているが、金属単体では融点が2500℃
前後のものが多く、また3000℃を越えるものがあって
も、その金属を用いた場合は反射率が高くならないとい
う欠点があった。
本発明は上記問題点に鑑み成されたものであり、その目
的は上記従来の欠点を除去し、高い反射率を保持しつ
つ、耐久性に優れた反射鏡を提供することを目的とす
る。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明の上記目的は、軟X線・真空紫外線の高吸収層と
低吸収層の交互層よりなる多層薄膜構造を有する軟X線
・真空紫外線用多層膜反射鏡において、該高吸収層は遷
移金属のホウ化物,炭化物,ケイ化物,窒化物又は酸化
物のうちの一種以上を主成分として有してなり、該低吸
収層は炭素,ケイ素,ホウ素もしくはベリリウムの単体
またはそれらの各々の化合物のうちの一種以上を主成分
として有してなる軟X線・真空紫外線用多層膜反射鏡に
よって達成される。
第1図は本発明の軟X線・真空紫外線用多層膜反射鏡の
一実施態様の模式図である。
第1図に示す本発明の軟X線・真空紫外線用多層膜反射
鏡は,使用波長に比べて充分滑らかに研磨された平面も
しくは曲面の基板1上に高吸収層である第1の層2,4,6
…、および低吸収層である第2の層3,5,7…が交互に積
層されて構成されている。
本発明の高吸収層は遷移金属のホウ化物,炭化物,ケイ
化物,窒化物又は酸化物のうちの一種以上を主成分とし
て有してなる。
本発明で用いる遷移金属は、3d、4d、5d軌道に電子の空
席をもつ元素であるスカンジウム(Sc)、チタン(T
i)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、ニ
ッケル(Ni)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、
ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、テクネチウム(T
c)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、ハフニウム
(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウ
ム(Re)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金
(Pt)、及び3d、4d、5d軌道が電子で満たされている銅
(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)であ
る。
上記遷移金属な化合物として、具体的にはホウ化物とし
てはホウ化タンタル、ホウ化ハフニウム、ホウ化タング
ステン、ホウ化ニオブ等、また炭化物としては炭化タン
タル、炭化ハフニウム、炭化タングステン 炭化ニオブ
等、またケイ化物としては、ケイ化タンタル、ケイ化タ
ングステン、ケイ化パラジウム等、また窒化物として
は、窒化タンタル、窒化ハフニウム、窒化タングステ
ン、窒化ニオブ等、また酸化物としては、酸化窒化タン
タル等が好ましく使用される。
本発明の高吸収層は前記しているように例えば遷移金属
の炭化物、窒化物、ホウ化物のどれか一種を含むものの
他、二種以上の物質、例えば窒化タンタル(TaN)と窒
化ニオブ(NbN)が任意の成分比で含まれる材料のよう
なものであってもよいことはいうまでもない。
また低吸収層は、炭素,ケイ素,ホウ素もしくはベリリ
ウムの単体またはそれらの各々の化合物、例えば炭化ケ
イ素、炭化ホウ素等の化合物のうちの一種以上を主成分
として有してなる。
各々の層の膜厚d1、d2、…はすべて使用波長のほぼ1/4
以上であり、交互に同一の材質よりなる積層膜であっ
て、その膜厚は、各層間の境界における反射光がすべて
強め合うように干渉する条件を満たすか、もしくは吸収
体による吸収損と位相のずれによる反射率低下を比較し
たときに全反射率の低下がより少なくなる条件を満たす
かのいずれかにより決まるものとする。例えばその際、
膜厚は同一材料層についてはすべて等しくするか、もし
くは膜厚を各層毎に変化させ反射率が最大となるような
必ずしも等しくない厚さとしてもよい。
積層の構成としては、空気に面する層である最終層の屈
折率と空気の屈折率の差が大きくなる材料を選択するこ
とが望ましい。このように最終層を形成するには高吸収
層を最終物層とすることが望ましい。
また本発明の反射鏡は高吸収層1層と低吸収層1層から
なる2層構造のものも含むが、交互層の層数が大きいほ
ど反射率が増大するため、層数は10以上あることが好ま
しい。しかし、層数が余り多くなると吸収の影響が顕著
となるため、作製の容易さも考慮するならば200層程度
までがよい。
また最終層の上には吸収の少ない安定な材料による保護
層を設けてもよい。
本発明の軟X線・真空紫外線用多層膜反射鏡の作成に
は、好ましくは超高真空中における真空蒸着が用いられ
るが、高融点材料を使用する場合はスパッタリング法も
有効な手段であり、その他抵抗加熱、CVD、反応性スパ
ッタリング等の様々の薄膜を形成する方法を用いること
ができる。
本発明の軟X線・真空紫外線用多層膜反射鏡は通常はガ
ラス、溶融石英、シリコン単結晶、ケイ化炭素等の基板
であってその表面が使用波長に比べて充分に滑らかにな
るように研磨されたものの上に作成される。
〔実施例〕
以下に本発明の実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明
する。
実施例1 面精度λ/20(λ=6328Å)、面粗さ10Å(rms値)に光
学研磨したシリコン単結晶基板1に高吸収層2としてホ
ウ化ハフニウム(HfB2)を22.4Å厚に、低吸収層3とし
てベリリウム(Be)を33.5Å厚に41層(HfB2:21層、Be:
20層)積層した。交互層の最終層はホウ化ハフニウムで
あり、更にその上に保護膜10として炭素(C)を10Å積
層して本発明の軟X線・真空紫外線用多層膜反射鏡を得
た。
上記の成膜はホウ化ハフニウムはその融点が3250℃と高
いため超高真空中(1×10-7Pa以下)での電子ビーム蒸
着によって成膜した。またベリリウム(Be)は融点が比
較的低い(〜1300℃)ため抵抗加熱法によって蒸着せし
めた。蒸着速度は両材料とも0.2Å/sを保持した。保護
層は電子ビーム法によった。
この軟X線・真空紫外線用多層膜反射鏡に波長112.7Å
の光を垂直に入射したところ31.3%の反射率を得た。ま
た、ホウ化ハフニウムの厚さを23.2Å、ベリリウムを3
6.2Åの厚さの交互層とし、合計41層を積層し10Å炭素
保護膜を披着せしめて同様の軟X線・真空紫外線用多層
膜反射鏡を得た。これに法線よりの入射角20度で入射し
たところ34.3%の反射率を得た。
実施例2 実施例1と同様に研磨したシリコン基板に高吸収層2と
して窒化タンタル(TaN)を20.2Å厚に、低吸収層3と
してシリコン(Si)を40.8Å厚にを41層(TaN:21層、S
i:20層)積層した。交互層の最終層は吸収体の窒化タン
タルであり、更にその上に保護膜10として炭素膜を10Å
積層して、本発明の軟X線・真空紫外線用多層膜反射鏡
を得た。
高融点材料である窒化タンタルは超高真空中(1×10-7
Pa以下)での電子ビーム蒸着によって成膜した。また低
吸収体のシリコンも同様な方法によって成膜した。蒸着
速度は両材料とも0.2Å/sであった。
この軟X線・真空紫外線用多層膜反射鏡に124.0Åの光
を垂直に入射したところ42.5%の反射率を得た。
また高吸収層、低吸収層の厚さをそれぞれ20.5Å、44.0
Åずつ交互に計41層積層したものに法線よりの入射角20
度で波長124.0Åの光を入射したところ44.7%の反射率
を得た。
実施例3 実施例1と同様に研磨したシリコン基板に高吸収層2と
して炭化タングステン(W2C)を21.1Å厚に、低吸収層
3としてシリコン(Si)を39.8Å厚に41層(W2C:21層、
Si:20層)積層した。交互層の最終層は高吸収体の炭化
タングステンである。更にその上に保護膜10として炭素
膜を10Å積層して、本発明の軟X線・真空紫外線用多層
膜反射鏡を得た。
高融点材料である炭化タングステンは超高真空中(1×
10-7Pa以下)での電子ビーム蒸着によって成膜した。ま
た低吸収体のシリコンも同様な方法によって成膜した。
蒸着速度は両材料とも0.2Å/sであった。
この軟X線・真空紫外線用多層膜反射鏡に124.0Åの光
を垂直に入射したところ42.8%の反射率を得た。
また、高吸収層、低吸収層の厚さをそれぞれ21.7Å、4
2.9Åずつ交互に計41層積層したものに法線よりの入射
角20度で波長124.0Åの光を入射したところ45.1%の反
射率を得た。
参考例 高吸収層に金(Au)を用い、低吸収層に炭素(C)を用
いた以外は実施例1と同様にして、電子ビーム蒸着法を
用いて軟X線・真空紫外線用多層膜反射鏡を得た。
この反射鏡をシンクロトロン軌道放射光(SR)を使用す
る軟X線分光装置に装着して、SR光を合計5時間照射し
たところ膜のヒビ割れ、剥離という劣化が生じていた。
また実施例1,2,3で得られた本発明の軟X線・真空紫外
線用多層膜反射鏡をこの装置に装着して同じ時間照射を
行ったが、全く損傷が発生しなかった。
〔発明の効果〕
以上説明したように、本発明のX線用多層膜反射鏡は軟
X線・真空紫外線領域の光に対しても高い反射率を有す
るのみならず、従来シンクロトロン軌道放射光(SR)の
照射等により著しい損傷を短時間に生じていたものが、
充分長時間の耐久性が得られるようになった。
とりわけ複数枚の平面ないし曲面を有する反射鏡を組み
合わせることにより、X線領域における縮小、拡大光学
系、軟X線・真空紫外線領域におけるレーザ用共振器の
反射鏡、さらには反射鏡が格子の構造を有する反射型分
散素子など、従来なかったX線光学の領域における新規
光学部品として使用されるものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は多層膜反射鏡の原理を示す断面図である。 1:基板 2,4:第1の層(高吸収層) 3,5:第2の層(低吸収層) A:保護層 d1、d2、d3:層の厚さ

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】軟X線・真空紫外線の高吸収層と低吸収層
    の交互層よりなる多層薄膜構造を有する軟X線・真空紫
    外線用多層膜反射鏡において、該高吸収層は遷移金属の
    ホウ化物,炭化物,ケイ化物,窒化物又は酸化物のうち
    の一種以上を主成分として有してなり、該低吸収層は炭
    素,ケイ素,ホウ素もしくはベリリウムの単体またはそ
    れらの各々の化合物のうちの一種以上を主成分として有
    してなることを特徴とする軟X線・真空紫外線用多層膜
    反射鏡。
JP23124786A 1986-10-01 1986-10-01 軟x線・真空紫外線用多層膜反射鏡 Expired - Lifetime JPH0797159B2 (ja)

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