JPH0797535A - 紫外線遮断ガラス及びその製造方法 - Google Patents

紫外線遮断ガラス及びその製造方法

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JPH0797535A
JPH0797535A JP5243377A JP24337793A JPH0797535A JP H0797535 A JPH0797535 A JP H0797535A JP 5243377 A JP5243377 A JP 5243377A JP 24337793 A JP24337793 A JP 24337793A JP H0797535 A JPH0797535 A JP H0797535A
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和夫 戸島
Yasushi Yamazawa
靖 山沢
Takashi Ito
隆 伊東
Ai Kobayashi
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 自動車用や建築用窓ガラスに好適な、焼成温
度および焼成時間の許容範囲が広く、成形性、耐酸性の
うちの少なくとも一つの特性に優れ、かつ耐擦傷性およ
び耐摩耗性に優れた紫外線遮断ガラス及びその製造方法
の提供。 【構成】 SiO2からなり、かつ厚さ0.05〜0.
6μmのアンダーコート膜14がガラス基板12上に形
成され、さらに粒径が0.1μm以下の酸化亜鉛微粉末
と非晶質SiO2からなり、SiO2/ZnO=0.25
〜0.67(重量比)の割合であり、かつ厚さが0.2
〜1.5μmである紫外線遮断膜16が上記アンダーコ
ート膜14上に形成され、さらに非晶質SiO2からな
り、かつ厚さ0.1〜0.6μmの保護膜18が上記紫
外線遮断膜16上に形成されてなる紫外線遮断ガラス5
0。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車用や建築用窓ガ
ラスに好適な、焼成温度および焼成時間の許容範囲が広
く、成形性、耐酸性のうちの少なくとも一つの特性に優
れ、かつ耐擦傷性および耐摩耗性に優れた紫外線遮断ガ
ラス及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に紫外線遮断ガラスを製造する方法
としては、ガラス組成で行う方法、板ガラス上に有機紫
外線吸収剤を練り込んだ透明フィルムを貼着する方法、
及び板ガラス上に透明な紫外線遮断膜を形成する方法が
知られている。
【0003】ところで、前記方法においてガラス組成で
行う方法は、通常のガラスに酸化セリウム、酸化チタ
ン、酸化鉄あるいは酸化バナジウム等を添加し紫外線を
吸収するガラス組成とするものであるが、この方法では
特別なガラス組成であるため製造コストがかかり、また
組成を均一にすることが困難で紫外線吸収性能が不安定
であるといった不都合がある。板ガラス上に透明フィル
ムを貼着する方法では、有機紫外線吸収剤の耐久性に問
題があり、またフィルム強度が弱く実用的でない。ま
た、これを解決するため上記フィルムを2枚の板ガラス
間に挟み込み、合わせガラスとする方法も考えられる
が、コストがかかりすぎるため、安全性を重視する自動
車のフロントガラスや一部の建築用窓ガラスなどにしか
使用されていないのが実状である。
【0004】板ガラス上に紫外線遮断膜を形成する方法
としては、Ti−アルコキシド及びSi−アルコキシド
の加水分解物を交互に塗布し、焼成してTiO2−Si
2多層膜を形成する方法、亜鉛等の紫外線を吸収する
有機金属化合物を酸化熱分解する方法、ZnO、TiO
2、CeO等の粉末を分散した塗料を塗布する方法があ
る。しかし、TiO2−SiO2多層膜を形成する方法で
は正確に膜厚制御された5〜10層の多層膜が必要であ
り、製造にコストと時間がかかるといった不都合があ
る。また、熱分解法では均一できれいな膜を得るのが困
難であり、膜厚を厚くできないため紫外線吸収性能が劣
るといった不都合がある。また、ZnO、TiO2、C
eO等の微粉末を分散した塗料による方法では、最も容
易に紫外線吸収膜を得ることができるものの、塗膜硬度
が弱いといった問題がある。さらに、自動車用や建築用
の窓ガラスのように、特に耐擦傷性、耐摩耗性が要求さ
れる用途には、前述した方法で得られた紫外線遮断膜は
いずれも膜硬度が不十分であり不適であるといった問題
がある。
【0005】そこで、本願発明者らはこのような問題を
解決するために、酸化亜鉛の微粉末を分散した塗料を塗
布する方法において、粒径が0.1μm以下の酸化亜鉛
微粉末をオルガノポリシロキサン溶液にSiO2/Zn
O=0.25〜0.67(重量比)の割合となるよう混
合し、上記酸化亜鉛微粉末を分散させて得られた分散液
を乾燥時膜厚で0.2〜1.5μmの厚さになるように
ガラス基板上に塗布した後、該ガラス基板を580〜7
00℃で焼成して紫外線遮断膜を形成することにより、
耐擦傷性、耐摩耗性に優れた紫外線遮断ガラスを得てい
る(特願平4−294674号)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
製造方法により得られた紫外線遮断ガラスを自動車用窓
ガラスに使用する場合には、自重曲げ法、プレス法、ガ
ス炉法、新重力法等により成形する必要がある。しかし
ながら、上述の製造方法により得られた紫外線遮断ガラ
スは、成形時の加熱の際に異常な変形を生じるため、搬
送工程、急冷・強化工程において紫外線遮断ガラスが割
れてしまうことがあった。また、成形できた紫外線遮断
ガラスについても、保管中のガラス割れあるいは寸法不
良、表面歪み等の不良が生じてしまうという欠点があっ
た。
【0007】本願発明者は、紫外線遮断ガラスを用いる
自動車用窓ガラスの成形工程において成形不良が生じる
のは、加熱時間は数分から10分未満と短いが、ガラス
表面温度が710〜750℃と非常に高温となり、紫外
線遮断ガラスの紫外線遮断膜の焼成温度範囲580〜7
00℃を超えていることに起因するとの結論に至った。
すなわち、710〜750℃という高温ではガラス基板
は軟化し、紫外線遮断膜とガラス基板との熱膨張係数の
差によって、紫外線遮断膜側にガラス基板が大きく変形
するからである。通常、成形工程において設計形状を確
保するためには、例えば300mm角のガラス基板を用
いた場合、焼成温度範囲710〜750℃で10分間処
理後の反り量が1mm以下であることが必要である。
【0008】また、特願平4−294674号に開示さ
れている紫外線遮断ガラスの製造方法によると、分散液
の焼成温度は580〜700℃が好適とされ、また焼成
時間は10分以上60分以下が好適とされるが、640
℃以上の焼成において長時間焼成した場合、酸化亜鉛が
バインダーのオルガノポリシロキサン中のSiO2と反
応してガラス化し、紫外線吸収力が消失してしまう恐れ
がある。また、ガラス基板をなす材料がソーダ石灰ガラ
スである場合、酸化亜鉛がガラス基板中のSiO2と反
応してガラス化し、紫外線吸収力が消失してしまう恐れ
がある。なぜなら、酸化亜鉛の紫外線吸収性は、結晶構
造による半導性、すわわち、伝導帯と価電子帯のエネル
ギーギャップに起因するもので、結晶構造が崩れると紫
外線吸収性がなくなるからである。一方、紫外線遮断膜
を自動車用または建築用窓ガラスとして実用上問題のな
い表面硬度および耐摩耗性を有するものとするために
は、できるだけ高温度で焼成し、オルガノポリシロキサ
ンを無機化する必要がある。すなわち、焼成温度および
焼成時間の低温側の限界値は、オルガノポリシロキサン
の無機化、すなわち耐摩耗性により決定され、一方、焼
成温度および焼成時間の高温側の限界値は、酸化亜鉛の
ガラス化、すなわち紫外線吸収性により決定される。従
って、紫外線吸収力と表面硬度および耐摩耗性を満足さ
せるためには、焼成温度および焼成時間を非常に狭い範
囲でコントロールしなければならず、製造が困難である
という問題があった。
【0009】また、特願平4−294674号に開示さ
れている紫外線遮断ガラスの製造方法により得られる紫
外線遮断ガラスは、耐酸性が十分でなく、自動車用また
は建築用窓ガラスに用いられた場合、酸性雨や排気ガス
などで紫外線遮断膜が劣化する恐れがあった。それは、
紫外線遮断膜中の酸化亜鉛は、酸に容易に溶解するた
め、排気ガスが溶解した液や酸性雨が紫外線遮断膜に接
触した場合、酸化亜鉛が溶解し、紫外線遮断膜が白濁し
たり、さらには酸化亜鉛が完全に溶解し、紫外線吸収力
が消失してしまう恐れがあった。
【0010】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、焼成温度および焼成時間の許容範囲が広く、成形
性、耐酸性のうちの少なくとも一つの特性に優れ、かつ
耐擦傷性および耐摩耗性に優れた紫外線遮断ガラス及び
その製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは、耐
擦傷性、耐摩耗性だけでなく、成形性の優れた紫外線遮
断ガラスおよびその製造方法を鋭意検討したところ、紫
外線遮断膜の膜厚および焼成温度を選ぶこと、また、さ
らに紫外線遮断膜をガラス基板の両面に形成することに
より、成形性を向上させ得ることを見いだし本発明に至
った。すなわち、本発明の請求項2記載の紫外線遮断ガ
ラスの製造方法では、粒径が0.1μm以下の酸化亜鉛
微粉末をオルガノポリシロキサン溶液にSiO2/Zn
O=0.25〜0.67(重量比)の割合となるよう混
合し、上記酸化亜鉛微粉末を分散させて得られた分散液
を、乾燥時膜厚で0.2〜1.0μmの厚さになるよう
にガラス基板の片面に塗布した後、該ガラス基板を52
0〜700℃で焼成して紫外線遮断膜を形成すること、
また、請求項4記載の紫外線遮断ガラスの製造方法で
は、上記分散液を、乾燥時膜厚で0.1〜1.2μmの
厚さになるようにガラス基板の両面に塗布した後、該ガ
ラス基板を520〜700℃で焼成して紫外線遮断膜を
形成することを上記課題の解決手段とした。
【0012】また、本発明者らは、酸化亜鉛微粉末がオ
ルガノポリシロキサン中またはガラス基板中のSiO2
と反応してガラス化することによる紫外線吸収力の低下
につて鋭意検討したところ、ガラス基板がソーダ石灰等
からなる場合に該ガラス基板中のNa成分が高温焼成時
に紫外線遮断膜中にまでイオン拡散し、酸化亜鉛微粉末
のガラス化を促進していることを究明した。すなわち、
酸化亜鉛のガラス化速度を決定しているのは、焼成温度
とNaイオンであり、Naイオンの紫外線遮断膜への拡
散を抑制することにより、焼成温度の高温側の限界値を
上昇させることが可能であることを見いだした。そし
て、ガラス基板中のNaイオンのオルガノポリシロキサ
ンへの拡散を抑える方法を検討した結果、ガラス基板と
紫外線遮断膜との間にアンダーコート膜を形成すること
が効果的であることを見いだし本発明に至った。すなわ
ち、本発明の請求項6記載の紫外線遮断ガラスの製造方
法では、オルガノポリシロキサンを乾燥時の膜厚が0.
05〜0.6μmとなるようにガラス基板上に塗布した
後、該ガラス基板を120〜700℃で焼成してアンダ
ーコート膜を形成し、ついで上記分散液を乾燥時膜厚で
0.2〜1.5μmの厚さになるように上記アンダーコ
ート膜上に塗布した後、該ガラス基板を520〜700
℃で焼成して紫外線遮断膜を形成することを上記課題の
解決手段とした。
【0013】また、本発明者らは、耐擦傷性、耐摩耗性
だけでなく、耐酸性の優れた紫外線遮断ガラスおよびそ
の製造方法について鋭意検討したところ、紫外線遮断膜
上に保護膜を形成することにより、耐酸性を向上させ得
ることを見いだし本発明に至った。すなわち、本発明の
請求項8記載の紫外線遮断ガラスの製造方法では、上記
分散液を乾燥時膜厚で0.2〜1.5μmの厚さになる
ようにガラス基板上に塗布した後、該ガラス基板を12
0〜700℃で焼成して紫外線遮断膜を形成し、ついで
オルガノポリシロキサンを乾燥時の膜厚が0.1〜0.
6μmとなるように上記紫外線遮断膜上に塗布した後、
該ガラス基板を520〜700℃で焼成して保護膜を形
成することを上記課題の解決手段とした。
【0014】また、本発明者らは、耐擦傷性、耐摩耗性
だけでなく、焼成温度の高温側の限界値を上昇させるこ
とが可能で、耐酸性の優れた紫外線遮断ガラスおよびそ
の製造方法について鋭意検討したところ、ガラス基板と
紫外線遮断膜との間にアンダーコート膜を形成し、さら
に紫外線遮断膜上に保護膜を形成することにより、焼成
温度の高温側の限界値を上昇させることが可能であり、
かつ耐酸性を向上させ得ることを見いだし本発明に至っ
た。すなわち、本発明の請求項10記載の紫外線遮断ガ
ラスの製造方法では、請求項6記載の紫外線遮断ガラス
の製造方法と同様にしてアンダーコート膜を形成し、つ
いで、請求項8の紫外線遮断ガラスの製造方法と同様に
して紫外線遮断膜を形成した後、保護膜を形成すること
を上記課題の解決手段とした。
【0015】以下、本発明を詳しく説明する。まず、請
求項1記載の紫外線遮断ガラスについて説明する。図1
は、請求項1記載の紫外線遮断ガラス(以下、第一紫外
線遮断ガラスと略記する。)の例を示した概略構成図で
あり、図1中符号10は第一紫外線遮断ガラスである。
この第一紫外線遮断ガラス10は、ガラス基板12の片
面に紫外線遮断膜16が形成されてなるものであり、こ
の紫外線遮断膜16は粒径が0.1μm以下の酸化亜鉛
微粉末と非晶質SiO2からなり、SiO2/ZnO=
0.25〜0.67(重量比)の割合であり、かつ厚さ
が0.2〜1.0μmである。
【0016】このような第一紫外線遮断ガラス10を製
造するには、まず、酸化亜鉛微粉末をオルガノポリシロ
キサン溶液に混合、分散させて分散液を調製する。上記
酸化亜鉛微粉末としては、粒径が0.1μm以下のもの
を用いるのが好ましい。酸化亜鉛微粉末として粒径が
0.1μmのものを用いるのは、無機粉末の分散液から
なる分散膜は、一般に分散粒径が可視光の波長の1/
2、すなわち0.2μmより小さくなると透明性を帯
び、可視光の波長の1/4以下、すなわち0.1μm以
下ではほとんど透明になることが知られており、従っ
て、用いる酸化亜鉛微粉末の粒径は小さいほど、分散膜
の透明性が良くなることから、本発明では粒径0.1μ
m以下の酸化亜鉛微粉末を用いるのが好ましい。また、
このような粉末状態の酸化亜鉛は通常凝集しており、特
に粒径の小さなものは凝集力が強く分散が難しいため、
固く凝集した粒子を0.1μm以下に分散させるには、
後述するように酸化亜鉛と親和性のある溶媒で粒子表面
をぬらし、酸化亜鉛微粉末粒子間の凝集力より強い機械
的エネルギーを与えて粒子を引き離し、さらに分散を安
定化させればよい。
【0017】上記オルガノポリシロキサンとしては、製
造方法、分子量、分子構造等に特に制限はなく、加熱後
有機成分が分解、解離し、最終的に非晶質SiO2皮膜
となるものであれば良い。このようなオルガノポリシロ
キサンは、例えば一官能〜四官能性のオルガノクロロシ
ランまたはアルコキシシランと水とを反応させてシラノ
ールを得、次いで酸溶媒中で縮合反応を行うことにより
得ることができる。また、このオルガノポリシロキサン
は予め溶媒に溶解され溶液として用いられる。オルガノ
ポリシロキサンを溶解する溶媒としては、酸化亜鉛と親
和性があることが必要となり、具体的にはアルコール
系、エステル系の極性有機溶媒が好適とされる。しか
し、界面活性剤を添加するか、酸化亜鉛粒子表面を脂肪
酸等により改質することにより、酸化亜鉛との親和性
(ぬれ性)を高めることができることから、非極性溶液
や水も使用することができる。このような溶媒の選定に
ついては、前述したように酸化亜鉛とのぬれ性のほか
に、オルガノポリシロキサンの溶解性、粘度、蒸発速
度、価格等の条件があり、これらの条件を満たすべく例
えば2〜5種類の溶媒を組み合わせて使用することもで
きる。
【0018】酸化亜鉛微粉末をオルガノポリシロキサン
溶液に混合して分散液を調製するに際しては、オルガノ
ポリシロキサン中のSiO2と酸化亜鉛粉末であるZn
Oとの重量比(SiO2/ZnO)が0.25以上0.
67以下の範囲になるように調製し、配合する。すなわ
ち、重量比が0.25未満であると、酸化亜鉛微粉末の
分散が悪くなって成膜可能な分散液とならなかったり、
分散液を調製し得ても得られる紫外線遮断膜の屈折率が
大きくなるためその透明性が不十分となるからである。
一方、重量比が0.67を越えると得られる紫外線遮断
膜の紫外線吸収性能が低下し、さらに後の高温焼成工程
において形成される紫外線遮断膜に微細なクラックが発
生する恐れがあるからである。
【0019】また、オルガノポリシロキサン溶液に酸化
亜鉛微粉末を加え該微粉末を分散させるには、上述した
ように強く凝集した粒子(微粉末)を引き離すため、酸
化亜鉛微粉末の凝集エネルギーより大きなエネルギーを
与えることのできる分散機が用いられる。ただし、その
形式については特に限定されることなく、具体的にはサ
ンドミル、アトライター、ボールミル、ロールミル、ホ
モジナイザー、超音波分散機等を単独または組み合わせ
て用いることができる。さらに、分散機により分散され
た酸化亜鉛微粉末の分散状態を安定化させるため、たと
えば高分子吸着による立体障害を起こさせる方法や、吸
着イオンの反発力による方法、カップリング剤を用いる
方法等を採用することもできる。
【0020】ついで、このようにして調製した分散液を
ガラス基板12の片面に塗布する。ここでのガラス基板
12としては青板ガラスが好適に用いられるが、硬質ガ
ラスや石英ガラスでもよく、特にその材質については限
定されることはない。ガラス基板12への分散液の塗布
法については、スプレーコート、ロールコート、ディッ
プコート、フローコート、スピンコート等の各塗布法が
採用可能である。また、上記分散液の塗布量について
は、後の焼成工程で得られる乾燥時の膜厚で0.2μm
以上1.0μm以下の厚さとなるように塗布する。なぜ
なら、得られる膜厚が0.2μm未満であると紫外線透
過率が例えば360nmで15%以上と大きくなり、紫
外線遮断の効果が低くなるからである。一方、膜厚が
1.0μmを越える量塗布すると、後の焼成工程では問
題ないが、自動車用ガラスとして成形時の加熱の際に異
常な変形を起こし、ガラス割れ、寸法不良、表面歪み等
の不良が生じるからである。
【0021】ついで、分散液を塗布したガラス基板12
を520〜700℃で焼成してガラス基板12の片面に
紫外線遮断膜16を形成する。ここで分散液の焼成温度
を520℃以上700℃以下としたのは、520℃未満
ではオルガノポリシロキサンの熱分解が不十分で無機質
のSiO2にならず、高硬度な紫外線遮断膜16が得ら
れないため、自動車や建築用窓ガラスのように高度な耐
擦傷性、耐摩耗性を必要とする用途に適用できないから
である。一方、700℃を越えるとガラス基板12が自
動車用窓ガラスに一般に用いられているソーダ石灰ガラ
スからなる場合に、ガラス基板12中のNa成分が紫外
線遮断膜16中にまでイオン拡散し、酸化亜鉛のガラス
化速度が速く、紫外線吸収力を失う恐れがあるからであ
る。
【0022】ところで特願平4−29467号記載の紫
外線遮断ガラスの製造方法では、焼成温度範囲として5
80〜700℃を採用しているが、その後、焼成温度
(℃)とヘーズ変化(%)との関係を調べた結果、52
0〜700℃の焼成温度範囲でも高硬度な紫外線遮断膜
が得られ、耐擦傷性、耐摩耗性が実用上十分であること
を確認した。図2に焼成温度(℃)および焼成時間
(分)とヘーズ変化[ΔH(%)]との関係を示す。こ
こでは必要とする紫外線遮断ガラスの耐摩耗性をテーバ
ー式耐摩耗試験(摩耗輪CS−10F、500g荷重、
1000回転)前後のヘーズ変化が4%以内とすると、
焼成温度が520℃未満では焼成時間を長くしてもヘー
ズ変化が4%を超えてしまい、一方、520℃以上あれ
ば焼成時間をコントロールすることによりヘーズ変化を
4%以下とすることが可能である。従って、本発明の焼
成温度としては520℃を最低焼成温度とした。
【0023】また、焼成時間、すなわちガラス基板12
を520〜700℃に保持する時間としては、焼成温度
により10分以上120分以下の範囲が好適である。焼
成温度範囲内で低温度の場合は、長時間の焼成が必要で
あり、高温度の場合は短時間で高硬度の紫外線遮断膜1
6が得られ、耐擦傷性、耐摩耗性に優れた紫外線遮断ガ
ラスを得ることができる。ここで、焼成時間が10分未
満ではオルガノポリシロキサンの無機化が不十分で耐擦
傷性の良好な紫外線遮断膜が得られず、一方、120分
を超えて加熱しても紫外線遮断膜の硬度の改善に寄与す
ることはなく、逆に酸化亜鉛のガラス化が促進され、形
成される紫外線遮断膜16の紫外線吸収性能が低下する
恐れがあるからである。焼成したガラスの冷却について
は、徐冷、急冷のいずれでもよく、徐冷すれば通常の板
ガラスとなり、一方急冷すれば強化ガラスとなる。ま
た、軟化状態で成型することも可能であり、これらの工
程は紫外線遮断膜の性能に影響しない。このようにして
得られた第一紫外線遮断ガラス10は、耐擦傷性および
耐摩耗性に優れ、かつ成形性に優れたものとなる。
【0024】次に、本発明の請求項3記載の紫外線遮断
ガラスについて説明する。図3は、請求項3記載の紫外
線遮断ガラス(以下、第二紫外線遮断ガラスと略記す
る。)の例を示した概略構成図であり、図3中符号20
は第二紫外線遮断ガラスである。この第二紫外線遮断ガ
ラス20が、図1に示した第一紫外線遮断ガラス10と
異なるところは、ガラス基板12の両面に紫外線遮断膜
16,16が形成されており、各紫外線遮断膜の厚さが
0.1〜1.2μmである点ある。
【0025】このような第二紫外線遮断ガラス20を製
造するには、分散液を乾燥時膜厚で0.1〜1.2μm
の厚さになるようにガラス基板12の両面に塗布する以
外は、上述の第一紫外線遮断ガラス10を製造する方法
と同様にすればよい。ここで、分散液の乾燥膜厚を0.
1μm以上1.2μm以下としたのは、紫外線遮断膜1
6がガラス基板12の両面に形成されるため、それぞれ
の厚さが0.1μmでも合せると0.2μmに相当する
紫外線遮断効果が得られるためであり、逆に0.1μm
未満であると紫外線透過率が大きくなり、紫外線遮断の
効果が低くなるからである。また、ガラス基板の変形に
対してもガラス基板12に対して両側から作用するため
1.2μmを超えなければ問題がなく、逆に1.2μm
を越える量塗布すると、後の焼成工程では問題ないが、
自動車用ガラスとして成形時の加熱の際に異常な変形を
起こし、ガラス割れ、寸法不良、表面歪み等の不良が生
じるからである。このようにして得られた第二紫外線遮
断ガラス20は、耐擦傷性および耐摩耗性に優れ、かつ
成形性に優れたものとなる。
【0026】次に、本発明の請求項5記載の紫外線遮断
ガラスについて説明する。図4は、請求項5記載の紫外
線遮断ガラス(以下、第三紫外線遮断ガラスと略記す
る。)の例を示した概略構成図であり、図4中符号30
は第三紫外線遮断ガラスである。この第三紫外線遮断ガ
ラス30が、図1に示した第一紫外線遮断ガラス10と
異なるところは、ガラス基板12と紫外線遮断膜16と
の間に、SiO2からなり、かつ厚さが0.05〜0.
6μmのアンダーコート膜14が形成されており、紫外
線遮断膜16の厚さが0.2〜1.5μmである点あ
る。上記アンダーコート膜14をなすSiO2は結晶質
であっても非晶質であってもよい。
【0027】このような第三紫外線遮断ガラス30を製
造するには、まず、アンダーコート膜形成用のオルガノ
ポリシロキサンを乾燥時の膜厚が0.05〜0.6μm
となるようにガラス基板12上に塗布した後、該ガラス
基板12を120〜700℃で焼成してアンダーコート
膜14を形成する。このようなアンダーコート膜14を
形成するのは、後述する分散液を640度以上の高温度
で焼成して紫外線遮断膜16を形成する際、酸化亜鉛が
ガラス基板12中のSiO2と反応してガラス化するの
を防止し、また、ガラス基板12中にNaが含まれてい
る場合にこのNa成分に起因する酸化亜鉛のガラス化の
促進を抑制し、これによって紫外線遮断膜16を形成す
る際の焼成温度及び焼成時間の許容範囲を広げるためで
ある。ここでのガラス基板12としては、上述の第一紫
外線遮断ガラス10を製造する方法で用いるものと同様
のものが使用可能である。アンダコート膜形成用のオル
ガノポリシロキサンの塗布方法としては、スピンコート
法、デイップ法、スプレー法等の各塗布法が採用可能で
ある。アンダーコート膜形成用のオルガノポリシロキサ
ンとしては、製造方法、分子量、分子構造等に特に制限
はなく、加熱後有機成分が分解、解離し、最終的に非晶
質SiO2膜となるものであればよく、従ってアルキル
シリケートの加水分解液を用いたゾル−ゲル法で得られ
るものも含まれる。
【0028】ここでアンダーコート膜形成用のオルガノ
ポリシロキサンの塗布量を乾燥時の膜厚で0.05μm
以上0.6μm以下となるようにしたのは、得られるア
ンダーコート膜14の膜厚が0.05μm未満であると
薄すぎて、後述する分散液を塗布したガラス基板12を
640℃以上の高温で焼成して紫外線遮断膜16を形成
する際に、酸化亜鉛がガラス基板12中のSiO2と反
応してガラス化し易く、たガラス基板12中にNaが含
まれている場合にこのNa成分が紫外線遮断膜にまで拡
散してしまい、酸化亜鉛のガラス化の促進を抑制するこ
とができない。一方、膜厚が0.6μmを超える量塗布
すると焼成時にアンダーコート膜にクラックが入る恐れ
があるからである。
【0029】また、アンダーコート膜形成用のオルガノ
ポリシロキサンを塗布したガラス基板12の焼成温度を
120℃以上700℃以下としたのは、焼成温度が12
0℃未満では得られるアンダーコート膜14の硬度が不
充分で、後工程で紫外線遮断膜を形成するための分散液
を塗布する際に再溶解する恐れがある。一方、焼成温度
が700℃を超えるとガラス基板12が元の形状を保つ
のが難しく、変形する恐れがあるので好ましくない。
【0030】また、上述したようにアンダーコート膜1
4をなすSiO2は結晶質であっても非晶質であっても
よいことから、アンダーコート膜14を形成する方法と
しては、スパッタリング法、蒸着法等を採用することも
可能であるが、生産性、コストの点からオルガノポリシ
ロキサンを塗布、焼成する方法が好適である。
【0031】ついで、上述の第一紫外線遮断ガラス10
を製造する方法で用いるものと同様塗布液を乾燥時膜厚
で0.2〜1.5μmの厚さになるように上記アンダー
コート膜14上に塗布し、上述の第一紫外線遮断ガラス
10を製造する方法と同様にしてガラス基板12を52
0〜700℃で焼成して紫外線遮断膜16を形成する。
ここで分散液の塗布量を乾燥時膜厚で0.2μm以上
1.5μm以下となるようにしたのは、0.2μm未満
であると、上述の第一紫外線遮断ガラス10を製造する
方法と同様の理由から好ましくない。一方、1.5μm
を超える量塗布すると、焼成工程においてクラックが発
生する恐れがあるからである。
【0032】また、ガラス基板12の焼成温度を520
℃以上700℃以下としたのは、520℃未満である
と、上述の第一紫外線遮断ガラス10を製造する方法と
同様の理由から好ましくない。一方、700℃を超える
とガラスの軟化温度を超え、ガラス基板12が元の形状
を保つのが困難になるとともに、酸化亜鉛がバインダー
であるオルガノポリシロキサン中のSiO2に溶解し、
ガラス化する速度を速くし、十分な紫外線吸収力を有す
る紫外線遮断膜が得られない恐れがあるからである。
【0033】また、ガラス基板12の焼成時間として
は、特願平4−294674号においては、10〜60
分を好適な範囲としているが、本発明では上記アンダー
コート膜14を形成することから10分以上120分以
下とすることができる。ここで焼成時間を10分以上1
20分以下としたのは、上述の第一紫外線遮断ガラス1
0を製造する方法と同様の理由からである。焼成したガ
ラスの冷却については、徐冷、急冷のいずれでもよく、
徐冷すれば通常の板ガラスとなり、一方急冷すれば強化
ガラスとなる。また、軟化状態で成型することも可能で
あり、これらの工程はアンダーコート膜14および紫外
線遮断膜16の性能に影響しない。このようにして得ら
れた第三紫外線遮断ガラス30によれば、ガラス基板1
2と紫外線遮断膜16との間にアンダーコート膜14が
形成されたことにより、紫外線遮断膜16を形成する
際、酸化亜鉛がガラス基板12中のSiO2と反応して
ガラス化するのが防止され、また、ガラス基板12中に
Naが含まれている場合にこのNa成分に起因する酸化
亜鉛のガラス化の促進が抑制されるので、紫外線遮断膜
16を形成する際の焼成温度及び焼成時間の許容範囲が
広がる。
【0034】次に、本発明の請求項7記載の紫外線遮断
ガラスについて説明する。図5は、請求項7記載の紫外
線遮断ガラス(以下、第四紫外線遮断ガラスと略記す
る。)の例を示した概略構成図であり、図5中符号40
は第四紫外線遮断ガラス40である。この第四紫外線遮
断ガラスが、図1に示した第一紫外線遮断ガラス10と
異るところは、紫外線遮断膜16の膜厚が0.2〜1.
5μmであり、かつ非晶質SiO2からなり、かつ厚さ
0.1〜0.6μmの保護膜18が上記紫外線遮断膜1
6上に形成されている点である。
【0035】このような第四紫外線遮断ガラス40を製
造するには、まず、分散液を乾燥時の膜厚が0.2〜
1.5μmとなるようにガラス基板12上に塗布し、か
つ該ガラス基板12を120〜700℃、好ましくは5
20〜700℃で焼成する以外は上述の第一紫外線遮断
ガラス10を製造する方法と同様にして紫外線遮膜16
を形成する。ここで分散液の塗布量を乾燥時膜厚で0.
2μm以上1.5μm以下となるようにしたのは、上述
の第三紫外線遮断ガラス10を製造する方法と同様の理
由による。また、特願平4−294674号記載の紫外
線遮断ガラスの製造方法ではガラス基板の焼成温度範囲
として580〜700℃を採用しているが、本発明にお
いては、後工程において保護膜18を形成するとき高温
焼成を行うため、保護膜18を形成する前の紫外線遮断
膜16としては、保護膜18を形成するために用いるオ
ルガノポリシロキサン溶液が塗布できる程度に硬化して
いれば良く、従って120℃程度の焼成温度でもよい。
しかしながら、焼成温度が120℃未満では、紫外線遮
断膜を形成する分散液中のオルガノポリシロキサンの硬
化が十分でなく、保護膜形成用のオルガノポリシロキサ
ン溶液を塗布する際、溶剤により再溶解する恐れがある
からである。一方、焼成温度が700℃を超えると、上
述の第三紫外線遮断ガラス10を製造する方法と同様の
不都合が生じる恐れがあるからである。
【0036】また、特に焼成温度が520℃以上700
℃以下が好ましいのは、予め紫外線遮断膜16の硬度を
十分高くしておくと、後工程で保護膜形成用のオルガノ
ポリシロキサン溶液を紫外線遮断膜16上に塗布し、焼
成するとき、保護膜形成用のオルガノポリシロキサン溶
液を塗布したガラス基板12の焼成温度および焼成時間
を短くすることができるからである。さらには、下地の
紫外線遮断膜16を予め硬くしておくことにより、得ら
れる保護膜18の耐摩耗性がより高度になるからであ
る。しかし、紫外線遮断膜の焼成温度が520℃未満で
あっても、ガラス基板12の焼成温度および焼成時間に
より耐摩耗性の高い保護膜とすることができるので、分
散液を塗布したガラス基板12の焼成温度としては、1
20℃以上700℃以下が好適とすることができる。分
散液を塗布したガラス基板12の焼成時間としては、焼
成温度により10分以上120分以下の範囲が好適であ
る。ここで、焼成時間が10分未満では、オルガノポリ
シロキサンの無機化が不十分、すなわちオルガノポリシ
ロキサンの硬化が不十分で、耐擦傷性、耐摩耗性の良い
膜を得ることができず、一方、120分を超えても、膜
強度の改善に寄与することはなく、逆に酸化亜鉛のガラ
ス化が促進され、形成される膜の紫外線吸収性能が低下
する恐れがあるからである。
【0037】ついで、上記紫外線遮断膜16上に非晶質
SiO2からなる厚さ0.1〜0.6μmの保護膜18
を形成する。このような保護膜18を形成する方法とし
ては、スパッタリング、蒸着、シリコンアルコキシドの
ゾル−ゲル法、シリカゾル溶液、または保護膜形成用の
オルガノポリシロキサン溶液を塗布、焼成する方法等が
考えられるが、上述の厚さの保護膜18を形成するには
オルガノポリシロキサン溶液を紫外線遮断膜16上に塗
布後、ガラス基板12を焼成する方法が好適である。そ
の理由としては、他の方法では0.1μm以上の膜厚の
保護膜18を得るには、成膜に長時間を必要としたり、
一度の塗布で形成することができず、何層も塗り重ねな
ければならないからである。
【0038】保護膜形成用のオルガノポリシロキサン溶
液に用いるオルガノポリシロキサンとしては、上記紫外
線遮断膜16を形成するために用いたものと同じもので
あってもよく、また、異る分子量、分子構造のものでも
よい。ここでのオルガノポリシロキサンとしては、分子
量が500〜150000のものが好ましい。分子量が
500〜150000のポリシロキサンが好ましいの
は、分子量が500未満では、0.1μm以上の膜厚の
保護膜を得ることが困難で、たとえ成膜することができ
たとしても焼成工程でポリシロキサンが加熱重合する
際、膜の収縮によりクラックが生じる恐れがあるからで
ある。一方、分子量が150000を超えると、安定な
溶液状を保ために多量の有機基を結合する必要があり、
その場合、硬い保護膜が得られにくく、また焼成工程に
おいて多量の有機基が分解する際に膜にクラックが生じ
る恐れがあるからである。
【0039】また、通常、オルガノポリシロキサンで
は、シロキサン結合の末端基はメチル基かフェニル基が
用いられるが、本発明ではメチル基のものを用いるのが
望ましい。それは、シロキサン結合の末端基がフェニル
基の場合、熱分解しにくくオルガノポリシロキサンが完
全に無機化しないことが考えられ、その場合保護膜の硬
度が不充分となる恐れがある。また、分子量が大きいた
め熱分解した際、膜収縮が大きくクラックが発生するな
どの不都合が生じる恐れがある。また、シロキサン結合
の末端基は、すべてメチル基となっているものよりも、
一部水酸基になっているものが好ましい。末端基の一部
を水酸基とすることで加熱時に膜の縮重合を容易にし、
保護膜を硬くすることができるからである。しかし、ポ
リシロキサンの末端を全て水酸基にした場合、ポリシロ
キサンが重合し易くなり溶液としての安定性を維持でき
なくなる。
【0040】また、一般にポリシロキサンの分子構造と
しては、鎖状、環状、ハシゴ状、かご状、三次元編目状
のものがあるが、鎖状、環状構造のものでは硬い保護膜
が得られないため、本発明ではハシゴ状、カゴ状及び三
次元編目状のものが好ましい。このようなオルガノポリ
シロキサンは、塗布方法、塗布条件に応じて適宜濃度を
調製されて、保護膜形成用のオルガノポリシロキサン溶
液とされる。紫外線遮断膜14への保護膜形成用のオル
ガノポリシロキサン溶液の塗布法については、スピンコ
ート法、ディップコート法、スプレー法等の各塗布法が
採用可能である。
【0041】保護膜形成用のオルガノポリシロキサン溶
液の塗布量については、乾燥時の膜厚で0.1μm以上
0.6以下の厚さとなるように塗布する。なぜなら、得
られる膜厚が0.1μm未満であると十分な耐酸性を付
与することができず、保護膜としては不十分であるから
である。一方、膜厚が0.6を超える量塗布すると、後
の焼成工程において520℃以上で焼成した際クラック
が生じる恐れがあるからである。
【0042】保護膜形成用のオルガノポリシロキサン溶
液を紫外線遮断膜16上に塗布したガラス基板12の焼
成温度としては、520℃以上700℃以下が好適であ
る。焼成温度が520℃未満では、紫外線遮断膜16お
よび保護膜18を形成するために用いるオルガノポリシ
ロキサンの熱分解が不十分で無機質のSiO2になら
ず、高硬度な紫外線遮断膜16および保護膜18が得ら
れないため、自動車や建築用窓ガラスのように硬度な耐
擦傷性、耐摩耗性を必要とするガラスには適さないから
である。一方、700℃を超えるとガラスの軟化温度を
超え、ガラス基板12が元の形状を保つのが困難になる
とともに、下層の紫外線遮断膜16の酸化亜鉛がバイン
ダーであるオルガノポリシロキサン中のSiO2に溶解
し、ガラス化する速度を速くし、十分な紫外線吸収力を
有する紫外線遮断膜16が得られない恐れがあるからで
ある。
【0043】また、保護膜形成用のオルガノポリシロキ
サン溶液を紫外線遮断膜16上に塗布したガラス基板1
2の焼成時間としては、10分以上120以下の範囲と
される。なぜなら、10分未満では紫外線遮断膜16お
よび保護膜18の硬化が不十分で、耐擦傷性、耐摩耗性
の良好な紫外線遮断膜および保護膜が得られず、一方1
20分を超えて加熱しても紫外線遮断膜16および保護
膜18の硬度の改善に寄与することはなく、逆に紫外線
遮断膜16を形成するために用いるオルガノポリシロキ
サン中の酸化亜鉛のガラス化が促進され、形成される紫
外線遮断膜16の紫外線遮断性能が低下する恐れがある
からである。
【0044】焼成したガラスの冷却については、徐冷、
急冷のいずれでもよく、徐冷すれば通常の板ガラスとな
り、一方急冷すれば強化ガラスとなる。また、軟化状態
で成型することも可能であり、これらの工程は紫外線遮
断膜16および保護膜18の性能に影響しない。
【0045】このようにして得られた第四紫外線遮断ガ
ラス40によれば、紫外線遮断膜16上に保護膜18が
形成されたことにより、該第四紫外線遮断ガラス40が
酸性雨や排気ガスが溶解した液等に接触しても、紫外線
遮断膜16中の酸化亜鉛が溶解するのを防止できるた
め、耐酸性が改善され、また、表面硬度が十分な高硬度
を有し、耐擦傷性、耐摩耗性が優れたものとなる。
【0046】次に、本発明の請求項9記載の紫外線遮断
ガラスについて説明する。図6は、請求項9記載の紫外
線遮断ガラス(以下、第五紫外線遮断ガラスと略記す
る。)の例を示した概略構成図であり、図6中符号50
は第五紫外線遮断ガラスである。この第五紫外線遮断ガ
ラス50が、図5に示した第四紫外線遮断ガラス40と
異るところは、ガラス基板12と紫外線遮断膜16との
間にSiO2からなり、かつ厚さ0.05〜0.6μm
のアンダーコート膜14が形成されている点である。こ
のような第五紫外線遮断ガラス50を製造するには、上
述の第三紫外線遮断ガラス30を製造する方法と同様に
してアンダーコート膜14を形成し、ついで、上述の第
四紫外線遮断ガラス40を製造する方法と同様にして紫
外線遮断膜16を形成した後、保護膜18を形成すれば
よい。
【0047】このようにして得られた第五紫外線遮断ガ
ラス50によれば、ガラス基板12と紫外線遮断膜16
との間にアンダーコート膜14が形成されたことによ
り、紫外線遮断膜16を形成する際、酸化亜鉛がガラス
基板12中のSiO2と反応してガラス化するのが防止
され、また、ガラス基板12中にNaが含まれている場
合にこのNa成分に起因する酸化亜鉛のガラス化の促進
が抑制されるので、紫外線遮断膜16を形成する際の焼
成温度及び焼成時間の許容範囲を広げることが可能とな
る。また、ガラス基板12と紫外線遮断膜16上に保護
膜18が形成されたことにより、該第四紫外線遮断ガラ
ス40が酸性雨や排気ガス等に接触しても、紫外線遮断
膜16中の酸化亜鉛が溶解するのを防止できるため、耐
酸性が改善され、また、表面硬度が十分な高硬度を有
し、耐擦傷性、耐摩耗性が優れたものとなる。
【0048】
【実施例】本発明を実施例にて更に詳しく説明する。 (実施例1〜8)メチルトリエトラキシシラン100重
量部、イソプロピルアルコール100重量部、純水30
重量部、濃塩酸0.1重量部を、それぞれ攪拌機及び還
流器付きの500mlの丸底フラスコに入れ、オイルバ
スで150℃に維持しながら2時間反応させ、粘稠な透
明の液体を得た。次に、この液体を5〜20mmHgの
減圧下で蒸留し、37重量部の白色固体(オルガノポリ
シロキサン)を得た。得られた白色固体を30重量部、
粒径0.1μm以下の酸化亜鉛微粉末(住友セメント株
式会社製、商品名[ZnO−100])70重量部、酢
酸ブチル100重量部、イソプロパノール100重量
部、トルエン50重量部を混合し、サンドグラインダー
にて3時間分散して白色液体を得た。この白色液体を分
散液とした。次いで、ガラス基板として普通青板ガラス
を用意した。そして、上記分散液をスピンコーターによ
ってその回転数を変え、乾燥後の膜厚が0.2μmから
1.0μmになるように上記普通青板ガラスの片面に塗
布した。また、上記分散液を膜厚0.1μmから1.2
μmになるように上記普通青板ガラスの両面に塗布し
た。ついで、これら普通青板ガラスを520〜640℃
の間で設定した電気炉に入れ、ガラス温度が設定温度に
達してから10〜120分間焼成して紫外線遮断膜を形
成し、紫外線遮断ガラスを得た。そして、得られた紫外
線遮断ガラスの耐擦傷性、耐摩耗性、成形性について評
価した。その結果を下記表1に示す。ここでの耐擦傷性
および耐摩耗性の評価は、得られた紫外線遮断ガラス
を、テーバー式耐摩耗試験機(摩耗輪CS−10F、5
00g荷重、1000回転)により摩耗前後のヘーズ値
の変化(%)を測定することによって行った。成形性の
評価は、得られた紫外線遮断ガラスを730℃に設定し
た電気炉に入れ、10分間保持後、反り量(mm)を測
定することよって行った。
【0049】(比較例1〜4)上記実施例で用いたもの
と同様の普通青板ガラスを用意した。ついで、上記実施
例で得られた分散液をスピンコーターによってその回転
数を変え、膜厚0.2μm未満または1.0μmを超え
るように上記普通青板ガラスの片面に塗布した。また、
上記分散液を膜厚0.1μm未満または1.2μmを超
えるように上記普通青板ガラスの両面に塗布した。つい
で、これら普通青板ガラスを520〜640℃の間で設
定した電気炉に入れ、ガラス温度が設定温度に達してか
ら10〜120分間焼成して紫外線遮断膜を形成し、紫
外線遮断ガラスを得た。そして、得られた紫外線遮断ガ
ラスの耐擦傷性、耐摩耗性、成形性について上述の実施
例と同様にして評価した。その結果を下記表2に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】上記表1、表2中の○は、耐擦傷性、耐摩
耗性、成形性が良好であるものを示し、△は耐擦傷性、
耐摩耗性は良好であるが、成形性が不良であるものを示
す。
【0053】上記表1および表2に示した結果から明ら
かなように、比較例1〜2の紫外線遮断ガラスは、ヘー
ズの変化が4%以下であり自動車用窓ガラスとして十分
な耐擦傷性、耐摩耗性があるが、反り量が2.0〜5.
0mmと大きく成形性が不充分であることが。分る。こ
れに比べて実施例1〜8で得られた紫外線遮断膜は、ヘ
ーズの変化が4%以下であり自動車用窓ガラスとして十
分な耐擦傷性、耐摩耗性があるだけでなく、反り量が
1.0mm以下であり成形性が優れていることが分る。
【0054】(実施例9)上記実施例1〜8と同様にし
て分散液を調製した。また、上記実施例1〜8で得られ
た白色固体(オルガノポリシロキサン)を酢酸ブチルお
よびイソプロパノールの1:1混合溶液に溶解し、10
%の溶液とした。この溶液をアンダコート液とした。次
いで、ガラス基板として洗浄したソーダ石灰ガラスを用
意した。そして、上記アンダコート液をスピンコート法
により乾燥後の膜厚が0.2μmになるように上記ソー
ダ石灰ガラス上に塗布した後、350℃で焼成してアン
ダコート膜を形成した。次いで、上記分散液をスピンコ
ート法により乾燥後の膜厚が0.8μmになるように上
記アンダコート膜上に塗布した後、650℃で30分間
焼成して紫外線遮断膜を形成し、紫外線遮断ガラスを得
た。そして、得られた紫外線遮断ガラスの分光透過率
(%)を調べた。その結果を図7に示す。図7中、曲線
は実施例9の紫外線遮断ガラスに照射された紫外線の
波長(nm)とその透過率(%)との関係である。
【0055】(比較例5)上記実施例9で用いた分散液
を乾燥時膜厚0.8μmになるように直接ソーダ石灰ガ
ラス上に塗布し、上記実施例9と同様の焼成条件で焼成
して紫外線遮断膜を形成し、紫外線遮断ガラスを得た。
そして、得られた紫外線遮断ガラスの分光透過率(%)
を調べた。その結果を図7に示す。図7中、曲線は比
較例5の紫外線遮断ガラスに照射された光の波長(n
m)とその透過率(%)との関係である。
【0056】図7に示した結果から明らかなように、ア
ンダコート膜を有しない比較例5の紫外線遮断ガラスの
透過率は、300〜380nmの紫外線を約13%透過
するのに対し、アンダコート膜を有する実施例9の紫外
線遮断ガラスは380nm以下の紫外線はほとんど透過
していないことが分る。これは、650℃、30分の焼
成において、比較例5の紫外線遮断ガラスは、酸化亜鉛
がガラス化して紫外線吸収力が低下しているのに対し
て、実施例9の紫外線遮断ガラスは、酸化亜鉛のガラス
化が起こらず紫外線吸収力が優れていることが示してい
る。
【0057】(実施例10)紫外線遮断膜を形成する際
の焼成温度を520〜700℃の範囲にした以外は実施
例9と同様にして紫外線遮断ガラスを得た。そして、得
られた紫外線遮断ガラスの耐摩耗性および紫外線透過率
を調べた。その結果を図8に示す。ここでの耐摩耗性の
評価は、得られた紫外線遮断ガラスを、テーバー式耐摩
耗試験機(摩耗輪CS−10F、500g荷重、100
0回転)により摩耗前後のヘーズ値の変化[ΔH
(%)]を測定することによって行った。摩耗試験前の
ガラスのヘーズ値は0.2%であった。また、紫外線透
過率は、350nmの紫外線を照射したときの透過率
(%)で示した。図8中、曲線は紫外線遮断ガラスの
焼成温度(℃)とヘーズ値の変化(%)との関係であ
り、曲線は実施例10の紫外線遮断ガラスの焼成温度
(℃)と紫外線透過率(%)との関係である。
【0058】(比較例6)紫外線遮断膜を形成する際の
焼成温度を520〜700℃の範囲にした以外は比較例
5と同様にして紫外線遮断ガラスを得た。そして、得ら
れた紫外線遮断ガラスの耐摩耗性および紫外線透過率を
上記実施例10と同様にして調べた。その結果を図8に
示す。図8中、曲線は比較例6の紫外線遮断ガラスの
焼成温度(℃)と紫外線透過率(%)との関係である。
図8に示した結果から明かなように紫外線遮断ガラスに
実用上十分とされている性能、すなわちヘーズ値の変化
4%以下および紫外線透過率10%以下を満足する焼成
温度範囲は、焼成時間が30分間の場合、アンダコート
膜を有しない比較例6の紫外線遮断ガラスは、図8にお
いてABの範囲、すなわち575〜620℃の範囲であ
る。これに対して実施例10の紫外線遮断ガラスでは、
ACの範囲、すなわち575〜685℃の範囲であり、
比較例6のものと比べて約55℃焼成温度範囲が広いこ
とが分る。
【0059】(実施例11〜15)上記実施例1〜8と
同様にして分散液を調製した。また、実施例1〜8で得
られた白色固体(オルガノポリシロキサン)をイソプロ
パノールに溶解し不揮発分8%にした液を調製した。こ
の液を保護膜形成用液とした。そして、上記分散液をス
ピンコート法により乾燥時の膜厚が0.8μmになるよ
うに普通青板ガラスに塗布した。次いで、この分散液を
塗布した普通青板ガラスを120〜700℃の間で設定
した電気炉に入れ、ガラス温度が設定温度に達してから
40分間焼成して紫外線遮断膜を形成した。次いで、上
記保護膜形成用液をスピンコート法により乾燥時の膜厚
が0.1〜0.6μmになるように上記紫外線遮断膜上
に塗布した後、520〜700℃の間で設定した電気炉
に入れ、ガラス温度が設定温度に達してから40分間焼
成して保護膜を形成し、紫外線遮断ガラスを得た。そし
て、得られた紫外線遮断ガラスの耐摩耗性、耐酸性につ
いて評価した。その結果を下記表3に示す。ここでの耐
摩擦性の評価は、上記実施例1〜8と同様にして行っ
た。摩耗試験前の紫外線遮断ガラスのヘーズ値は0.2
%であった。耐酸性の評価は、硫酸水溶液(pH1.
0)を滴下し、70℃で蒸発乾固した後、滴下した場所
の360nmの透過率を測定した。耐酸性試験前の紫外
線遮断ガラスの透過率は3.5%であった。
【0060】(比較例7)保護膜を形成しない以外は、
上記実施例11〜15と同様にして紫外線遮断ガラスを
得た。ここで、紫外線遮断膜を形成する際の焼成温度は
580℃、焼成時間は40分であった。そして、得られ
た紫外線遮断ガラスの耐摩耗性、耐酸性について上記実
施例11〜15と同様にして評価した。その結果を下記
表3に示す。
【0061】(比較例8〜9)上記保護膜形成用液をス
ピンコート法により乾燥時の膜厚が0.08μm、また
は0.7μmとした以外は、上記実施例11〜15と同
様にして紫外線遮断ガラスを得た。そして、得られた紫
外線遮断ガラスの耐摩耗性、耐酸性について上記実施例
11〜15と同様にして評価した。その結果を下記表3
に示す。
【0062】
【表3】
【0063】表3中、○は耐摩耗性、耐酸性が良好であ
るものを示し、×は耐摩耗性は良好であるが、耐酸性が
不良であるもの示す。
【0064】上記表3に示した結果から明かなように、
比較例7の紫外線遮断ガラスは、耐摩耗性は十分である
が、保護膜を有しないため耐酸性は不十分であった。ま
た、比較例8の紫外線遮断ガラスは保護膜が薄すぎて耐
酸性が不十分であり、比較例9の紫外線遮断ガラスは保
護膜が厚すぎて、該膜にマイクロクラックが発生し、耐
酸性も低下していることが分る。これに比べて実施例1
1〜15の紫外線遮断ガラスは、耐摩耗性、耐酸性が共
に優れていることが分る。
【0065】
【発明の効果】以上説明したように請求項1記載の紫外
線遮断ガラスにあっては、紫外線遮断膜の膜厚および焼
成温度を上述の範囲に特定したことにより、成形時の加
熱の際に異常な変形を起こし、ガラス割れ、寸法不良、
表面歪み等の不良が生じるのを防止でき、耐擦傷性およ
び耐摩耗性に優れ、かつ成形性に優れたものとなる。従
って、この紫外線遮断ガラスを用いれば、成形時に不良
品が生じること少なく、歩留まりが向上する。また、請
求項3記載の紫外線遮断ガラスにあっては、紫外線遮断
膜の膜厚および焼成温度を上述の範囲に特定し、またさ
らに紫外線遮断ガラスをガラス基板の両面に形成したこ
とにより、請求項1記載の紫外線遮断ガラスと同様の効
果がある。
【0066】また、請求項5記載の紫外線遮断ガラスに
あっては、ガラス基板と紫外線遮断膜との間にアンダー
コート膜を形成したことにより、紫外線遮断膜を形成す
る際、酸化亜鉛がガラス基板中のSiO2と反応してガ
ラス化するのが防止され、また、ガラス基板中にNaが
含まれている場合にこのNa成分に起因する酸化亜鉛の
ガラス化の促進が抑制されるので、耐擦傷性および耐摩
耗性を損なうことなしに、紫外線遮断膜を形成する際の
焼成温度及び焼成時間を広く設定することができる。従
って、紫外線遮断ガラスの製造条件の変動に対し許容度
が大きくなり、生産上好都合で製造が容易であるという
利点がある。また、請求項7記載の紫外線遮断ガラスに
あっては、紫外線遮断膜上に保護膜が形成されたことに
より、該紫外線遮断ガラスが酸性雨や排気ガスが溶解し
た液等に接触しても、紫外線遮断膜16中の酸化亜鉛が
酸と接触して溶解するのを防止できるため、耐酸性が改
善され、また、表面硬度が十分な高硬度を有し、耐擦傷
性、耐摩耗性が優れる。
【0067】また、請求項9記載の紫外線遮断ガラスに
あっては、ガラス基板と紫外線遮断膜との間にアンダー
コート膜が形成されたことにより、紫外線遮断膜を形成
する際、酸化亜鉛がガラス基板中のSiO2と反応して
ガラス化するのが防止され、また、ガラス基板中にNa
が含まれている場合にこのNa成分に起因する酸化亜鉛
のガラス化の促進が抑制されるので、紫外線遮断膜を形
成する際の焼成温度及び焼成時間の許容範囲を広げるこ
とができる。また、ガラス基板と紫外線遮断膜上に保護
膜が形成されたことにより、該紫外線遮断ガラスが酸性
雨や排気ガスが溶解した液等に接触しても、紫外線遮断
膜中の酸化亜鉛が溶解するのを防止できるため、耐酸性
が改善され、また、表面硬度が十分な高硬度を有し、耐
擦傷性、耐摩耗性が優れる。
【0068】また、本発明の紫外線遮断ガラスの製造方
法によれば、焼成温度および焼成時間の許容範囲が広
く、成形性、耐酸性のうちの少なくとも一つの特性に優
れ、かつ耐擦傷性および耐摩耗性に優れた紫外線遮断ガ
ラスを容易にしかも経済的に製造することができる。こ
の紫外線遮断ガラスは、紫外線遮断効果が大きく、普通
板ガラスと同等の耐摩耗性を有し、さらに保護膜が形成
されたものは耐酸性を有しているため、乗り物内および
建物内の内装材、家具等の退色、劣化を防ぐ。従ってこ
のような紫外線遮断ガラスを自動車用や建築用窓ガラス
に用いることにより、紫外線による退色や劣化の恐れか
ら今まで使用できなかった材質、色彩のシート地や内装
材、家具等を自動車内が建物内に使用することができ
る。また、自動車用窓ガラスではその乗員の日焼け防止
に極めて効果的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 請求項1記載の紫外線遮断ガラスの例を示し
た概略構成図である。
【図2】 焼成温度(℃)および焼成時間(分)とヘー
ズ変化[ΔH(%)]との関係を示したグラフである。
【図3】 請求項3記載の紫外線遮断ガラスの例を示し
た概略構成図である。
【図4】 請求項5記載の紫外線遮断ガラスの例を示し
た概略構成図である。
【図5】 請求項7記載の紫外線遮断ガラスの例を示し
た概略構成図である。
【図6】 請求項9記載の紫外線遮断ガラスの例を示し
た概略構成図である。
【図7】 実施例9で得られた紫外線遮断ガラスと比較
例5で得られた紫外線遮断ガラスの分光透過率を示した
グラフである。
【図8】 実施例10で得られた紫外線遮断ガラスと比
較例6で得られた紫外線遮断ガラスについて焼成温度に
よる耐摩耗性および紫外線透過率を示したグラフであ
る。
【符号の説明】
10・・・第一紫外線遮断ガラス、12・・・ガラス基板、1
4・・・アンダーコート膜、16・・・紫外線遮断膜、18・・
・保護膜、20・・・第二紫外線遮断ガラス、30・・・第三
紫外線遮断ガラス、40・・・第四紫外線遮断ガラス、5
0・・・第五紫外線遮断ガラス。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 戸島 和夫 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 山沢 靖 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 伊東 隆 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 小林 愛 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粒径が0.1μm以下の酸化亜鉛微粉末
    と非晶質SiO2からなり、SiO2/ZnO=0.25
    〜0.67(重量比)の割合であり、かつ厚さが0.2
    〜1.0μmである紫外線遮断膜が、ガラス基板の片面
    に形成されてなる紫外線遮断ガラス。
  2. 【請求項2】 粒径が0.1μm以下の酸化亜鉛微粉末
    をオルガノポリシロキサン溶液にSiO2/ZnO=
    0.25〜0.67(重量比)の割合となるよう混合
    し、前記酸化亜鉛微粉末を分散させて得られた分散液
    を、乾燥時膜厚で0.2〜1.0μmの厚さになるよう
    にガラス基板の片面に塗布した後、該ガラス基板を52
    0〜700℃で焼成して紫外線遮断膜を形成することを
    特徴とする請求項1記載の紫外線遮断ガラスの製造方
    法。
  3. 【請求項3】 粒径が0.1μm以下の酸化亜鉛微粉末
    と非晶質SiO 2 からなり、SiO2/ZnO=0.25
    〜0.67(重量比)の割合であり、かつ厚さが0.1
    〜1.2μmである紫外線遮断膜が、ガラス基板の両面
    に形成されてなる紫外線遮断ガラス。
  4. 【請求項4】 粒径が0.1μm以下の酸化亜鉛微粉末
    をオルガノポリシロキサン溶液にSiO2/ZnO=
    0.25〜0.67(重量比)の割合となるよう混合
    し、前記酸化亜鉛微粉末を分散させて得られた分散液
    を、乾燥時膜厚で0.1〜1.2μmの厚さになるよう
    にガラス基板の両面に塗布した後、該ガラス基板を52
    0〜700℃で焼成して紫外線遮断膜を形成することを
    特徴とする請求項3記載の紫外線遮断ガラスの製造方
    法。
  5. 【請求項5】 SiO2からなり、かつ厚さ0.05〜
    0.6μmのアンダーコート膜がガラス基板上に形成さ
    れ、さらに粒径が0.1μm以下の酸化亜鉛微粉末と非
    晶質SiO2からなり、SiO2/ZnO=0.25〜
    0.67(重量比)の割合であり、かつ厚さが0.2〜
    1.5μmである紫外線遮断膜が前記アンダーコート膜
    上に形成されてなる紫外線遮断ガラス。
  6. 【請求項6】 オルガノポリシロキサンを乾燥時の膜厚
    が0.05〜0.6μmとなるようにガラス基板上に塗
    布した後、該ガラス基板を120〜700℃で焼成して
    アンダーコート膜を形成し、ついで粒径が0.1μm以
    下の酸化亜鉛微粉末をオルガノポリシロキサン溶液にS
    iO2/ZnO=0.25〜0.67(重量比)の割合
    となるよう混合し、前記酸化亜鉛微粉末を分散させて得
    られた分散液を乾燥時膜厚で0.2〜1.5μmの厚さ
    になるように前記アンダーコート膜上に塗布した後、該
    ガラス基板を520〜700℃で焼成して紫外線遮断膜
    を形成することを特徴とする請求項5記載の紫外線遮断
    ガラスの製造方法。
  7. 【請求項7】 粒径が0.1μm以下の酸化亜鉛微粉末
    と非晶質SiO2からなり、SiO2/ZnO=0.25
    〜0.67(重量比)の割合であり、かつ厚さが0.2
    〜1.5μmである紫外線遮断膜がガラス基板上に形成
    され、さらに非晶質SiO2からなり、かつ厚さ0.1
    〜0.6μmの保護膜が前記紫外線遮断膜上に形成され
    てなる紫外線遮断ガラス。
  8. 【請求項8】 粒径が0.1μm以下の酸化亜鉛微粉末
    をオルガノポリシロキサン溶液にSiO2/ZnO=
    0.25〜0.67(重量比)の割合となるよう混合
    し、前記酸化亜鉛微粉末を分散させて得られた分散液を
    乾燥時膜厚で0.2〜1.5μmの厚さになるようにガ
    ラス基板上に塗布した後、該ガラス基板を120〜70
    0℃で焼成して紫外線遮断膜を形成し、ついでオルガノ
    ポリシロキサンを乾燥時の膜厚が0.1〜0.6μmと
    なるように前記紫外線遮断膜上に塗布した後、該ガラス
    基板を520〜700℃で焼成して保護膜を形成するこ
    とを特徴とする請求項7記載の紫外線遮断ガラスの製造
    方法。
  9. 【請求項9】 SiO2からなり、かつ厚さ0.05〜
    0.6μmのアンダーコート膜がガラス基板上に形成さ
    れ、さらに粒径が0.1μm以下の酸化亜鉛微粉末と非
    晶質SiO2からなり、SiO2/ZnO=0.25〜
    0.67(重量比)の割合であり、かつ厚さが0.2〜
    1.5μmである紫外線遮断膜が前記アンダーコート膜
    上に形成され、さらに非晶質SiO2からなり、かつ厚
    さ0.1〜0.6μmの保護膜が前記紫外線遮断膜上に
    形成されてなる紫外線遮断ガラス。
  10. 【請求項10】 オルガノポリシロキサンを乾燥時の膜
    厚が0.05〜0.6μmとなるようにガラス基板上に
    塗布した後、該ガラス基板を120〜700℃で焼成し
    てアンダーコート膜を形成し、ついで粒径が0.1μm
    以下の酸化亜鉛微粉末をオルガノポリシロキサン溶液に
    SiO2/ZnO=0.25〜0.67(重量比)の割
    合となるよう混合し、前記酸化亜鉛微粉末を分散させて
    得られた分散液を乾燥時膜厚で0.2〜1.5μmの厚
    さになるように前記アンダーコート膜上に塗布した後、
    該ガラス基板を120〜700℃で焼成して紫外線遮断
    膜を形成し、ついでオルガノポリシロキサンを乾燥時の
    膜厚が0.1〜0.6μmとなるように前記紫外線遮断
    膜上に塗布した後、該ガラス基板を520〜700℃で
    焼成して保護膜を形成することを特徴とする請求項9記
    載の紫外線遮断ガラスの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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