JPH0798740B2 - 薬物担体 - Google Patents

薬物担体

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JPH0798740B2
JPH0798740B2 JP24952688A JP24952688A JPH0798740B2 JP H0798740 B2 JPH0798740 B2 JP H0798740B2 JP 24952688 A JP24952688 A JP 24952688A JP 24952688 A JP24952688 A JP 24952688A JP H0798740 B2 JPH0798740 B2 JP H0798740B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】
本発明は、その中に含有する薬物の血液中又は適用部位
から病変組織への移行性を改善するために改良された非
経口用薬物担体に関する。
【従来の技術】
含有する薬物の血液中又は適用部位から病変組織への移
行性を改善するための薬物担体に関する研究は、これま
で種々行われてきていた。例えば、リン脂質で調製した
リポソームに薬物を包含させて利用する方法がある
(「Drug Carriers in Biology and Medicine」(197
9),Ed.by G.Gregoriadeis,Academic Press)。 しかしながら、この方法では、水層を脂質二重層で包
含するリポソームには保存時の安定性に問題が多いこ
と、血液中に投与した場合に、ほとんどが肝臓及び脾
臓等の細網内皮系(RES)の発達した組織に取り込まれ
てその他の細胞や組織に分配されにくいこと、等の欠点
を有していた。これは、リポソームがリン脂質二分子膜
によって内外の水層を隔てる構造を有しているため種々
の力に対して安定ではないためであると考えられ、凝集
による粒子径の増大も又、保存時の欠点として知られて
いた。 近年の研究によれば、従来より高カロリー輸液として栄
養補給のために臨床的に用いられている大豆油と卵黄レ
シチンからなる粒子径0.2μmの脂肪乳剤に種々の薬物
を溶解して用いる技術があり、上記目的のために良好な
結果をえている(最新医学。40,1806〜1813(198
0))。このものは、内部に水層を持たずリポソームに
比べて極めて安定に保存することができる特徴を有して
いる。 しかしながら、このものは、上述した肝臓等の細網内皮
系に速やかに取り込まれる性質を有している。このよう
に代謝が速やかであることは、高カロリー輸液としては
望ましいものであっても、上記目的に適う薬物担体とし
ては、他の組織への薬物の分配が低くなることなどの問
題点を有し、必ずしも望ましいものではなかった。 また公表特許公報(特表昭63-500456号公報)におい
て、90%が10±30nmの脂肪乳剤を薬物の担体とする技術
が知られている。このものもその特徴として肝臓や脾臓
等の細網内皮系への集積性を有するものであり、前述の
ごとく他の組織への薬物分配に問題点を有していた。 上記の問題点を解決する手段として、単純脂質(ステロ
ール類を含む。本明細書において同じ)、複合脂質、及
びアポリポ蛋白からなる血清リポ蛋白を薬物担体として
応用する技術が知られていた(特開昭60-163824号公
報)。しかしながら、このものは、リポ蛋白の生理的で
特異的な認識能により薬物を細胞へ導くものであるから
レセプターを介して速やかに組織へ移行するために、血
中からの消失が比較的速やかであり、そのためにレセプ
ター活性の低い組織への移行は必ずしも充分ではなく、
またアポリポ蛋白がその構成成分として不可欠なため製
造コストが高くなるという工業技術上の欠点を有してい
た。 更に粒子径200nmの脂肪乳剤を更に微細化する試み(特
開昭62-029511号公報)が知られるが、このものは用い
る卵黄レシチンが少ないため生成する微細粒子が時間と
ともに再凝集するため、安定性に問題を有していた。ま
た、生体内での安定性にも欠点を有し、他の組織への移
行性に関して望ましいものではなかった。
【発明が解決しようとする課題】
通常、投与された薬物は、その薬物分子の持つ固有の性
質により生体内を移動分布する。そして作用部位に到達
し薬効を発現する。このとき薬効発現に必要な部位にの
み薬物が集中することが好ましいが、一般には身体全体
に薬物は分布し、不要な部位にも薬物が移動する。時に
これが副作用の原因となる。そこで、薬物の体内動態を
改善することの重要性及び必要性が生じる。 本発明者らは、上記の事情に鑑み、薬物の薬理作用そ
のものに影響を与えることなく、薬物の効率的な病巣
組織内への選択的移行を可能たらしめ、しかも細網内
皮系による取り込みを低下させ、薬物の血中濃度を持
続させ、必要とされる薬物投与量を減じることができ
る、新しい薬物担体を検討し続けた結果、ようやく本発
明を完成させることに成功したものである。
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、以下の諸点にある。 (1) 薬物担体が、核となる脂溶性物質及びその表面
を覆う脂溶性物質の二つにより構成される脂肪乳剤であ
り、リポソームのように内部に水層を持った形態でない
こと。 (2) 薬物担体中において、薬物が分散、溶解、混合
ミセル形成、又は脂質と化学的に結合した状態で存在し
ていること。 (3) 粒子径が、5nm以上100nm未満の範囲内にあるこ
と。 以下、これらについて詳述する。 本発明の薬物担体は、安定な脂肪乳剤としての形態を有
する。その粒子径は、5nm以上200nm未満の範囲内にある
ことが細網内皮系による取り込み回避のため望ましい。
この超微細化により、0.2μm程度の直径を有する脂肪
乳剤に比べ血中濃度が高く維持できる。 また特に、100nm以下がより望ましい。これは、血管透
過性の亢進した部位から血管外に容易に漏出するからで
ある。 血管には種々のポアシステム(pore systems,直径9nmま
での小さなポアシステムと直径25〜70nmの大きなポアシ
ステムとが存在するといわれ、新生血管を含め種々の病
変部位では更に透過性が増すことが知られている。)と
呼ばれる部位や、その他の細胞間隙が存在し、炎症、腫
瘍、アテローマをはじめとする種々の病変部位では、血
管透過性が亢進していることが知られ、このような部位
では、血管より多くの本発明薬物担体が選択的に漏出
し、病変組織内に移行する。これと同時に、この薬物担
体に包含されている薬物も病巣内に移行する。このこと
により、薬物が容易にそして選択的に病変部に移行する
から、病変部位での薬物濃度が高まりその効果を増大さ
せることができる。また、本発明薬物担体を適応するこ
とで、脂質と同時に薬物が投与されるため、薬物の徐放
性及び薬物のリンパ指向性も改善される。本発明薬物担
体は、貧食細胞に対する被貧食性をも有している。 本発明の特徴は、超微粒子化した脂質(脂肪乳剤粒子)
を薬物担体として用いることにある。この超微粒子化に
より、上述の効果だけでなく、細網内皮系組織による取
り込みを抑制することなど前記の問題を一挙に解決す
る。これにより、薬物の血中濃度が持続する効果をも得
られる。 本発明に係る薬物担体は、従来技術である大豆油と卵黄
レシインからなる高カロリー輸液を応用したものに比
べ、核(例えば単純脂質)に対して表層(例えば複合脂
質)をその比率において多量に使用することにより超微
粒子化を実現したことが特徴的である。 本発明の薬物担体における超微粒子化のためには、表層
(例えば複合脂質)の含量比率が15パーセント以上、70
パーセント以下であることが望ましい。これは、超微粒
子化により、薬物担体の核の表面積が増大するため、表
層として核を覆い安定化するために複合脂質の量を増加
させることが必要となるからである。15パーセント未満
の複合脂質を用いた場合は、直径0.2μm以上の粒子の
混入が避けられず、70パーセントを越える複合脂質を用
いた場合は、リポソーム粒子の混入が避けられない。こ
の成分構成により、安定な超微粒子化乳剤が得られ、こ
のものがきわめて優れた薬物担体として利用できること
が本発明により初めて明かとなった。 即ち、本発明薬物担体は、核となる物質と表層となる物
質からなる脂肪乳剤としての形態を有すると考えられ、
脂肪乳剤の核を構成する物質が、単純脂質、誘導脂
質、若しくは薬物そのもの自体、又はこれらの混合物で
あり、薬物担体中のその含有比率が30〜85%であり、
脂肪乳剤の表層を構成する物質が、複合脂質、誘導脂
質、若しくは薬物そのもの自体、又はこれらの混合物で
あり、薬物担体中のその含有比率が15〜70%であり、上
記ととの性質を同時に有することで、平均粒子径10
0nm未満の薬物を含有する薬物担体(脂肪乳剤粒子)が
得られる。 本発明において、適用した薬物が容易に薬物担体から遊
離しないように、その含有形態は、薬物担体中に分散、
溶解、薬物担体構成成分との混合ミセル形成、または薬
物担体構成成分との化学的結合であることが要求され
る。 本発明の薬物担体に使用される脂質としては、天然動植
鉱物由来の単純脂質、誘導脂質及び複合脂質又はこれら
の混合物があげられる。例えば、卵黄、大豆、綿花、菜
種、トウモロコシ、胡麻、落花生、紅花、牛組織、豚組
織、羊組織等由来の単純脂質、誘導脂質、若しくは複合
脂質、又は、純合成的に製造された単純脂質、誘導脂
質、若しくは複合脂質のいずれでもよい。 単純脂質としては、例えば、精製大豆油、綿実油、菜種
油、胡麻油、コーン油、落花生油、サフラワー油、トリ
オレイン、トリリノレイン、トリパルミチン、トリステ
アリン、トリミリスチン、トリアラキドニン等の中性脂
質を挙げることができる。また、コレステリルオレー
ト、コレテリルリノレート、コレステリルミリステー
ト、コレステリルパルミテート、コレステリルアラキデ
ート等のステロール誘導体をも挙げることができる。こ
れは、血管内皮等に存在する種々のリパーゼ類により中
性脂質は比較的容易に分解されるのに対し、コレステロ
ール誘導体はこれらの酵素による分解を受けにくいた
め、体内での安定性が更に増すからである。 誘導脂質としては、例えば、コレステロールおよびステ
アリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、リ
ノレン酸、エイコサペンタエン酸等の脂肪酸やその誘導
体、スクワレン等が挙げられる。これらは、乳化補助剤
としての目的でも使用される。また、アゾン等の油状化
合物も挙げられる。 複合脂質としては、例えば、卵黄、大豆、牛組織、豚組
織等由来のリン脂質または、純合成的に得られるリン脂
質及び糖脂質が挙げられる。リン脂質としてホスファチ
ジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスフ
ァチジルセリン、ホスファチジルイノシトール等が挙げ
られる。例えば、卵黄ホスファチジルコリン、大豆ホス
ファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリ
ン、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジステアロ
イルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジ
ルコリン、ジパルミトイルホスファチジルイノシトール
等が挙げられる。それらの水素添加物も用いることがで
きる。なかでも好ましい代表例として、卵黄ホスファチ
ジルコリンを挙げることができる。糖脂質としては、セ
レブロシド等が挙げられる。ステリルグルコシド類例え
ばβ−シトステリル−β−D−グルコシド等も挙げられ
る。また、薬物担体に表面荷電を賦与するためにステア
リルアミン、ジセチルホスフェート、ホスファチジン酸
等の荷電を有する脂質をも用いることができる。 本発明を適応することができる薬物としては、医薬上許
容されるものであればよく、特に限定されることはな
い。水に不溶又は難溶の薬物であっても使用することが
できる。本発明においては、薬物は容易に担体と複合体
を形成することとなる。 水溶性の薬物においては、担体の構成成分(例えば、脂
質等)に化学的に結合させて使用することにより、本発
明薬物担体を形成させることができる。 薬物が、生体内では不安定なため、これまで投与ができ
なかった薬物であっても、本発明薬物担体を使用するこ
とにより、容易に投与することができる。本発明薬物担
体により包含された薬物は、脂質の油滴中にあり、周囲
の環境から遮断された状態で存在するので、酵素的又は
非酵素的な分解を抑制することができる。 本発明薬物担体を適応することができる薬物としては、
上述のように、特に限定を受けない。例えば、抗炎症
剤、鎮痛剤、抗アレルギー剤、抗生物質、化学療法剤、
抗癌剤、抗ウイルス剤、抗動脈硬化剤、抗脂血症剤、抗
潰瘍剤、免疫調節剤、ワクチン類、ラジカル除去剤、気
管支拡張剤、催眠剤、トランキライザー、局所麻酔剤、
診断薬等が挙げられる。これらの例として、例えば、ア
ンシタビン、フルオロウラシル、マイトマイシンC、マ
イトマイシンCファルネシル酸アミド、マイトマイシン
Cファルネシル酢酸アミド、カルモフール、フトラフー
ルパルミチン酸エステル、5−フルオロウラシルミリス
チン酸エステル、アドリアマイシン、ダウノマイシン、
アクラルビシン、マクラルビシン、ビンブラスチン、ビ
ンクリスチン、シタラビン脂肪酸エステル、ミトタン、
エストラムスチンなどの抗癌剤や、ジクロロフラバン等
の抗ウイルス剤、ステロイド剤(例えばデキサメタゾン
パルミチン酸エステル、ハイドロコーチゾンパルミチン
酸エステル、プレドニゾロンパルミチン酸エステル、デ
キサメタゾンステアリン酸エステル、メチルプレドニゾ
ロン、パラメタゾン、フルオシノロンアセトニド、ベク
タメタゾンプロピオン酸エステル、ハイドロコーチゾン
脂肪酸エステル、アルドステロン、スピロノラクトンな
ど)、及び非ステロイド剤(例えばイブプロフェン、フ
ルフェナム酸、ケトプロフェン、フェナセチン、アンチ
ピリン、アミノピリン、フェニルブタゾンインドール酢
酸エステル、ビフェニリルプロピオン酸誘導体、インド
メタシン、インドメサシンエトキシカルボニルメチルエ
ステル、インドメタシンステアリルエステル、金チオリ
ンゴ酸セチルエステル、ジクロフェナク、アセチルサリ
チル酸及びその誘導体など)が挙げられる。トラニラス
ト、ケトチフェン、アゼラスチン等の抗アレルギー剤も
用いることできる。抗生物質及び化学療法剤としては、
例えば、テトラサイクリン類、エリスロマイシン、ミデ
カマイシン、アムホテリシン、ナリジクス酸、グリセオ
フルビン、ミノサイクリンなどが挙げられる。プロスタ
グランディン剤の例として、PGE1、PGA1、PGA1アルキル
エステル、PGE1アルキルエステル,PGE1誘導体、PGI2誘
導体、PGD2誘導体などを用いることができる。ジフェン
ヒドラミン、オルフェナジリン、クロルフェノキサミ
ン、クロルフェニラミン、プロメタジン、メクリジン、
シプロヘプタジン、ロキサチジンアセテートなどの抗ヒ
スタミン剤も挙げられる。また、リドカイン、ベンゾカ
イン、ダントロレン、コカイン、テトラカイン、ピペロ
カイン、メピラカイン等およびこれらの誘導体等の局所
麻酔剤も挙げられる。肝障害改善剤(例えば、マロチラ
ート、グリチルレチン酸、アセチルグリチルレチン酸エ
チルエステル、グリチルレチン酸メチルエステルなど)
や抗潰瘍剤(例えば、ファルネソール、ゲラニオール、
ゲファルネート、テプレノン、プラウノトール、ソファ
ルコン等)が挙げられる。中枢神経作用薬(例えば、フ
ェノバルビタール、メタクァロン、ヘロイン、ジアゼパ
ム、メダゼパム、フラゼパム、クロチアゼパム、エチゾ
ラム、メクリジン、ブクリジン、アジフェニン、メタン
フェタミン、イミプラミン、クロルイミプラミン、アミ
トリプチリン、ミアンセリン、トリメタジオン、フェン
スキシミド、テトラベンザミド、ベンズキナミド、カン
フル、ジモルホラミン、ストリキニーネ、クロルプロマ
ジン、プロメタジン、プロクロルペラジン、メキタジ
ン、トリフルプロマジン、レボメプロマジン、ジフェニ
ドール等およびこれらの誘導体)が挙げられる。能血管
拡張剤(例えば、シンナリジン等)も挙げることができ
る。気管支拡張剤として、ベストフィリンやその他のテ
オフィリン誘導体、メチルエフェドリン等を挙げること
ができる。抗コリン剤(例えば、ベンズトロピン、フィ
ゾスチグミン、アトロピン、スコポラミン等)、副交換
神経遮断剤(例えば、オキシフェンシクリミン、ピレン
ゼピン、エトミドリン等)、カルシウムブロッカー(例
えば、ジルチアゼム、ニフェジピン、ベラパミル等)、
α−ブロッカー(例えば、ジベンザミン、フェノキシベ
ンザミン等)、鎮咳剤(例えば、ノスカピン、デキスト
ロメトルファン、ペントキシベリン、ベンプロペリンな
ど)、前立腺肥大治療剤(例えば、ガストロン、オキセ
ンデロン等)、緑内障治療剤(例えば、ピロカルピン
等)、平滑筋作用薬(例えば、スパルテイン、パパベリ
ン等)、抗脂血症治療薬(例えば、クロフィブレート、
シムフィブレート、プロブコール等)なども挙げられ
る。その他、例えば、アミノ酸、ビタミン類、ジラゼッ
プ、ユビデカレノン、フラボキセート、サイクロスポリ
ン、インフルエンザ等のワクチン、ジベンズチオン、ジ
フェニルピラリン、フェノバリニューム、メタジオン、
トフィソパム、リモネンなど)も挙げられる。 抗酸化剤(例えば、トコフェロール、フラボン誘導体、
没食子酸誘導体、コーヒー酸誘導体、ゴシポール、セザ
モール、オキシ脂肪酸類、カンフェン、シネオール、ロ
スマノール、オイゲノール、フィロズルシン類、カテキ
ン類、リグナン類縁体、p−クマリン酸、ステロール
類、テルペン類、ブロモフェノールなど)も本薬物担体
の構成要素の一つとして本発明薬物担体を形成させるこ
とができる。 また、グアイアズレンや精油性生薬(例えば、キョウニ
ン油、ウイキョウ油、タイム油、テレピン油、ユーカリ
油、パーム油、ケシ油、ツバキ油、ハッカ油、チョウジ
油、ミント油、セージ油、その他の香辛用生薬成分な
ど)等も、本薬物担体の構成要素の一つとして本発明薬
物担体を形成させることができる。 診断薬としては、例えば、放射性同位元素で標識された
化合物、放射性医薬品やヨウ素系X線造影剤であるヨー
ド化ケシ油脂肪酸エステルなどが挙げられる。 本発明薬物担体を適応することができる薬物としては、
上述のごとく、特に限定を受けないが、薬物担体として
持つ性質の特徴から判断するとき、炎症、腫瘍、血管、
或いは免疫・リンパ系に関与する薬物が一般に望まし
い。 本発明薬物担体における薬物濃度は、この薬物の生物学
的活性に従って、薬物担体中含量比率が85%を越えない
範囲で適宜増減することができる。また、本発明薬物担
体を用いた製剤中の本発明薬物担体の濃度は所望に応じ
て適宜増減することができ任意である。 本発明薬物担体及びこれを使用した製剤の製造にあたっ
ては、従来から行われてきた種々の乳剤製造法を応用す
ることができる。例えば、薬物を含めた全構成成分をマ
ントン−ウガリン型ホモジナイザー、ミクロフルイダイ
ザー、超音波ホモジナイザー等により充分に微細化して
形成せしめる方法や、界面活性剤(例えば胆汁酸)、水
溶性溶媒(例えばエタノール、ポリエチレングリコー
ル)等で可溶化した後に透析やゲル濾過により界面活性
剤や水溶性溶媒等を除去して形成せしめる方法等で製造
することができる。この時、乳化補助剤として脂肪酸あ
るいはその誘導体等を加えることもできる。また、予め
上述の方法で作製した直径200nm以上の粒子を含まない
脂肪乳剤に薬物を添加して得ることもできる。 本発明薬物担体の形状や粒子径は、電子顕微鏡、光散乱
方式の粒子径分析装置、メンブレンフィルターによる濾
過等により容易に確認することができる。本発明薬物担
体の製剤の任意の成分として、一般注射剤に用いられる
添加剤及び補助物質などを挙げることができる。例え
ば、酸化防止剤、防腐剤、安定化剤、等張化剤、緩衝剤
等を挙げることができる。これらの添加剤、補助物質等
の要求量及び最適量は、その目的に応じて変化させるこ
とができる。 上記のようにして得られる本発明薬物担体は、必要に応
じて滅菌(例えば濾過滅菌や高圧蒸気滅菌)し、窒素ガ
スとともにアンプル中に封入することができる。又、必
要に応じて凍結乾燥することができる。凍結乾燥させた
本発明薬物担体は、適当な溶液の添加によって復元する
ことができる。 本発明薬物担体は、人又は動物の静脈内に投与するのが
一般的であるが、必要に応じて動脈内、筋肉内、及び皮
下等に投与することもできる。 また、本発明薬物担体は、点眼剤、点鼻剤、経口投与
剤、または坐剤等としても使用することができる。この
場合においては、医薬上許容される基剤、賦形剤等の添
加剤を任意の成分として挙げることができる。
【効果】
本発明によれば、薬物の利用価値を著しく高めることが
できる。本発明薬物担体の効果は、従来の問題点を克服
し、病巣への薬物移行性を改善したこと、細網内皮
系による取り込みを抑制したこと、包含する薬物の血
中濃度の持続を可能としたこと、保存時の安定性を確
保したこと、製造コストを低減させたこと、等に集約
することができる。これらの効果は、本発明により初め
て成されたものである。 本発明薬物担体の構成成分は、従来から医療現場におい
て医療用として用いられてきた医療上許容される脂質を
主とするため、極めて安全に使用することができること
も特徴である。
【実施例】
以下に本発明薬物担体の製造に関する実施例を揚げて本
発明を更に詳しく説明するが本発明がこれらのみに限定
されるものではないことは明白である。 実施例1 トリオレイン27mgに卵黄レシチン38mg及びグアイアズレ
ン(抗炎症剤)10mgを加え、これに生理食塩水10mlを加
えてプローブ型超音波ホモジナイザー(ブランソン ソ
ニファイアー モデル 185)を用いて、氷冷下、60分
間超音波処理を施す。生成するグアイアズレンを含有し
た薬物担体は、青色で澄明である。このものの光散乱粒
子径測定装置による平均粒子径は、26.4nmであった。ま
た電子顕微鏡により形態観察では、均一な球形の超微粒
子として認められた。リポソームのような脂質二分子膜
は認められなかった。また、0.2μmの濾過メンブレン
を100%通過し、0.2μm以上の粒子を含まないことが判
った。 実施例2 卵黄レシチン2.5mg、及びグアイアズレン10mgを加え、
これに生理食塩水10mlを加えてプローブ型超音波ホモジ
ナイザー(ブランソン ソニファイアー モデル 18
5)を用いて、氷冷下に60分間超音波処理を施す。生成
するグアイアズレンを含有した薬物担体の光散乱粒子径
測定装置による平均粒子径は、48.4nmであった。また、
0.2μmの濾過メンブレンを100%通過し、0.2μm以上
の粒子を含まないことが判った。 実施例3 トリオレイン100mgに卵黄レシチン100mg及びデキサメタ
ゾン(抗炎症剤)に脂肪酸を化学的に結合させた化合物
(デキサメタゾンパルミチン酸エステル)4mgを加え、
これに0.24Mのグリセリン水溶液10mlを加えてプローブ
型超音波ホモジナイザー(ブランソン ソニファイアー
モデル 185)を用いて、氷冷下、60分間超音波処理
を施す。生成するデキサメタゾンパルミチン酸エステル
を含有した薬物担体は、僅かに青白色で澄明である。こ
のものの光散乱粒子径測定装置による平均粒子径は、2
9.9nmであった。 また、0.2μmの濾過メンブレンを100%通過し、0.2μ
m以上の粒子を含まないことが判った。 実施例4 トリオレイン80mgに、コレステリルリノレート20mg、卵
黄レシチン100mg、及びデキサメタゾンパルミチン酸エ
ステル4mgを加えた後、これに0.24Mのグリセリン水溶液
10mlを加えてプローブ型超音波ホモジナイザー(ブラン
ソン ソニファイアー モデル 185)を用いて、氷冷
下、60分間超音波処理を施す。生成するデキサメタゾン
パルミチン酸エステルを含有した薬物担体は、僅かに青
白色で澄明である。このものの光散乱粒子径測定装置に
よる平均粒子径は、30.6nmであった。また、0.2μmの
濾過メンブレンを100%通過し、0.2μm以上の粒子を含
まないことが判った。 実施例5 コレステリルリノレート100mg、卵黄レシチン100mg及び
デキサメタゾンパルミチン酸エステル4mgを加え、これ
に0.24Mのグリセリン水溶液10mlを加えてプローブ型超
音波ホモジナイザー(ブランソン ソニファイアー モ
デル 185)を用いて、60℃に加温しながら60分間超音
波処理を施す。生成するデキサメタゾンパルミチン酸エ
ステルを含有した薬物担体は、僅かに青白色で澄明であ
る。このものの光散乱粒子径測定装置による平均粒子径
は、22.7nmであった。また、0.2μmの濾過メンブレン
を100%通過し、0.2μm以上の粒子を含まないことが判
った。 実施例6 トリオレイン100mgに卵黄レシチン100mg、及びジフェン
ヒドラミン(抗ヒスタミン剤)10mgを加え、これに0.24
Mのグリセリン水溶液10mlを加えてプローブ型超音波ホ
モジナイザー(ブランソン ソニファイアー モデル
185)を用いて、氷冷下、60分間超音波処理を施す。生
成するジフェンヒドラミンを含有した薬物担体は、僅か
に青白色で澄明である。このものの光散乱粒子径測定装
置による平均粒子径は、31.6nmであった。また、0.2μ
mの濾過メンブレンを100%通過し、0.2μm以上の粒子
を含まないことが判った。 実施例7 トリオレイン100mgに卵黄レシチン100mgを加え、これに
0.24Mのグリセリン水溶液10mlを加えてプローブ型超音
波ホモジナイザー(ブランソン ソニファイアー モデ
ル 185)を用いて、氷冷下、60分間超音波処理を施
す。生成する薬物担体は、僅かに青白色で澄明である。
このものの光散乱粒子径測定装置による平均粒子径は、
47.2nmであった。また、0.2μmの濾過メンブレンを100
%通過し、0.2μm以上の粒子を含まないことが判っ
た。 ビンブラスチン(抗癌剤)に脂肪酸を化学的に結合させ
た化合物(ビンブラスチンパルミチン酸エステル)500
μgを、上で得られた薬物担体に加え、穏やかに6時間
混合、攪拌して薬物担体内に薬物を取り込ませた。この
ようにして、薬物を含有した薬物担体を得た。 5−フルオロウラシル(抗癌剤)に脂肪酸を化学的に結
合させた化合物(5−フルオロウラシルパルミチン酸エ
ステル)500μgを、上で得られた薬物担体に加え、穏
やかに6時間混合、攪拌して薬物担体内に薬物を取り込
ませた。このようにして、薬物を含有した薬物担体を得
た。 シタラビン(抗癌剤)に脂肪酸を化学的に結合させた化
合物(シタラビンレブリン酸エステル)500μgを、上
で得られた薬物担体に加え、穏やかに6時間混合、攪拌
して薬物担体内に薬物を取り込ませた。このようにし
て、薬物を含有した薬物担体を得た。 実施例8 トリオレイン80mgに、コレステリルリノレート20mg、及
び卵黄レシチン100mgに0.24Mのグリセリン水溶液10mlを
加えてプローブ型超音波ホモジナイザー(ブランソン
ソニファイアー モデル 185)を用いて、氷冷下、60
分間超音波処理を施す。生成する薬物担体は、僅かに青
白色で澄明である。このものの光散乱粒子径測定装置に
よる平均粒子径は、19.1nmであった。第1図にはその分
析結果を示した。また0.2μmの濾過メンブレンを100%
通過し、0.2μm以上の粒子を含まないことが判った。 実施例9 精製大豆油20mgに卵黄レシチン20mgを加え、これに0.24
Mのグリセリン水溶液10mlを加えてプローブ型超音波ホ
モジナイザー(ブランソン ソニファイアー モデル
185)を用いて、氷冷下、60分間超音波処理を施す。生
成する薬物担体は、僅かに青白色で澄明である。このも
のの光散乱粒子径測定装置による平均粒子径は、16.1nm
であった。また、0.2μmの濾過メンブレンを100%通過
し、0.2μm以上の粒子を含まないことが判った。 また、上記と同様に精製大豆油40mgを使用して薬物担体
を製造した。生成する薬物担体は、僅かに青白色で澄明
である。このものの光散乱粒子径測定装置による平均粒
子径は、37.7nmであった。また、0.2μmの濾過メンブ
レンを100%通過し、0.2μm以上の粒子を含まないこと
が判った。 実施例10 大豆油10gに卵黄レシチン10gを加え、これに0.24Mのグ
リセリン水溶液1を加えてミクロフルイダイザーを用
いて乳化する。このものの光散乱粒子径測定装置による
平均粒子径は、33.7nmであった。生成する薬物担体は、
0.2μmの濾過メンブレンを100%通過し、0.2μm以上
の粒子を含まないことが判った。 [本発明薬物担体の安定性試験] 試験例1−1 実施例1で得た試料を窒素ガスとともに容量1mlの褐色
のアンプルに封入し、常法に従い60℃で4週間の虐待試
験を行った。グアイアズレンの残存率は98.3%以上であ
り、本発明薬物担体は薬物安定性に効果を有することが
確認された。 試験例1−2 上記実施例1、実施例3及び実施例4で得た試料を窒素
ガスとともに容量1mlの褐色のアンプルに封入した。こ
れをオートクレーブにより高圧蒸気滅菌処理した後、試
料の粒子径を光散乱粒子径測定装置で測定したところ、
それぞれ処理前と有意な差はなく、凝集や粒子径の増大
は認められなかった。また、このものを4℃で6カ月保
存しておいたところ、凝集等の変化を認めなかった。 試験例1−3 上記実施例3で得た試料を常法に従い凍結乾燥した。そ
の結果、注射用蒸留水を加えて攪拌、復元したのち、試
料の粒子径を光散乱粒子径測定装置で測定したところ、
平均粒子径28.3nmであり、有意な凝集や粒子径の増大は
認められず均一に分散していた。 [本発明の有用性試験] 試験例2−1 実施例3と同様に作製した3H標識デキサメタゾンパル
ミチン酸エステルを含有する本発明薬物担体を検体試料
とした。対照試料として、従来技術である直径0.2μm
の脂肪乳剤を用いた。この対照試料は3H標識デキサメ
タゾンパルミチン酸エステル4mg、精製大豆油100mg、卵
黄レシチン12mgに0.24Mグリセリン水溶液10mlを加えて
乳化したものである。 検体試料及び対照試料をラットに静脈内投与した後に血
中濃度推移を検討した。 第2図に検体試料及び対照試料をデキサメタゾン換算で
0.05mg/kgの投与量でSD系雄性ラット(体重約210g)の
尾静脈に静脈内投与したときの血漿中総放射能の推移を
デキサメタゾン換算で示した。対照試料は速やかに血漿
中より消失したが、検体試料の血漿からの消失は緩やか
であり、分布相における消失半減期は、それぞれ10.5
分、及び5.5分である。 試験例2−2 実施例4と同様に作製した3H標識デキサメタゾンパル
ミチン酸エステルを含有する本発明薬物担体を検体試料
と、試験例2−1で用いたと同じ対照試料を用いて、カ
ラゲニン浮腫による炎症部位への薬物移行を検体試料と
対照試料とを比較した。 SD系雄性ラット(体重約195g)の片側足蹠に0.5%λ−
カラゲニン0.1mlを皮下投与し、カラゲニン浮腫を作成
した。カラゲニン投与2時間後、尾静脈内にデキサメタ
ゾン換算で0.5mg/kgの用量で検体試料と対照試料を静脈
内投与した。静脈内投与後、60分で腹部大動脈から採血
し血漿を得るとともに、炎症足及び反対足(対照足)を
足首関節より切断した。各々の放射能は、試料燃焼装置
で処理した後に測定した。 第1表において、検体試料は対照試料に比べて、多量の
薬物が炎症部位(浮腫部分)に移行し、炎症部位への強
い集積性が認められた。炎症により生じた浮腫部分に
は、対照試料の5.7倍の薬物濃度が認められた。 試験例2−3 第2表は、上記の試験例2−2で用いたと同じ検体試料
と対照試料を用い、ラット胸膜炎モデルにおける胸水中
への薬物移行と主要組織への移行を比較検討したもので
ある。 SD系雄性ラット(体重約300g)の胸腔内に2%λ−カラ
ゲニン0.1mlを注入した。カラゲニン投与2.5時間後、尾
静脈内にデキサメタゾン換算で1.25mg/kgの投与量で検
体試料及び対照試料を静脈内投与した。静脈内投与後30
分で腹部大動脈より脱血した後、胸水を生理食塩液で洗
いだして10mlとし放射能を測定した。同時に主要臓器も
摘出し、各々の放射能は、試料燃焼装置で処理した後に
測定した。 第2表において、検体試料は対照試料に比べて多量の薬
物が炎症部位(胸水)に移行し炎症部位への強い集積性
が認められた。胸水中には対照試料の3.9倍の薬物が認
められた。主要臓器への分布において、肝臓及び脾臓と
いう細網内皮系の発達した組織への移行は、検体試料が
きわめて低い値を示した。 試験例2−4 上記の試験例2−2で用いたと同じ検体試料と対照試料
を、BALB/C系雄性マウス(体重約25g)に静脈内投与
し、30分後の血漿中及び肝臓中の未変化体濃度と代謝物
であるデキサメタゾン濃度を測定した。投与量は、デキ
サメタゾン換算で5mg/kgとした。 第3表には薄層クロマトグラフィーにより未変化体(デ
キサメタゾンパルミチン酸エステル、濃度はデキアメタ
ゾン換算で表示)と代謝物(デキサメタゾン)を分離定
量した後の各々の濃度を示した。 検体試料の場合、血漿中濃度は高く、肝臓への分布は低
かった。また、血漿中では大半が未変化体として存在し
た。本発明薬物担体を用いた場合、薬物の血中濃度維持
と細網内皮系への取り込みの抑制効果が明白である。 試験例2−5 試験例2−2で用いたと同じ検体試料と対照試料、及び
リン酸デキサメタゾン生理食塩水溶液について、カラゲ
ニン浮腫抑制を指標として薬理効果を検討した。 SD系雄性ラット(体重約160g)の片側足蹠に、λ−カラ
ゲニン(0.5%,0.1ml)を皮下投与し、30分後に検体試
料、対照試料及びリン酸デキサメタゾンを尾静脈より静
脈内投与した。コントロール群には生理食塩水を投与し
た。カラゲニン投与前及び投与5時間後に足容積を常法
にて測定し、浮腫抑制率を求めた。 第3図にその用量作用曲線(デキサメタゾン換算で表
示)を示した。50%浮腫抑制用量(ED50)を第4表に示
した。 検体試料は、従来技術である対照試料では改善されなか
ったこの種の炎症においても、他の二つの試料に比べて
約二倍の抗炎症活性を有することが明白である。すなわ
ち、本発明薬物担体の効果が薬物効果の増強作用として
確認された。これは本発明薬物担体を用いることで薬物
が効率的に病巣へ移行した結果によることが明確であ
る。 試験例2−6 試験例2−2で用いたと同じ検体試料と対照試料、及び
リン酸デキサメタゾン生理食塩水溶液について、カラゲ
ニン肉芽腫抑制を指標として薬理効果を、また、胸腺と
副腎重量を検討した。 SD系雄性ラット(体重約160g)の背部皮下に、λ−カラ
ゲニン(2.0%,4.0ml)を皮下投与し、5日後より3日
間、各々の試料を1日1回、計3回尾静脈より静脈内投
与した。薬物投与量は、デキサメタゾン換算で1回当り
0.05mg/kgとした。コントロール群には生理食塩水を投
与した。8日後肉芽腫、胸腺及び副腎を摘出し重量を測
定した。 第5表より、検体試料は対照試料及びリン酸デキサメタ
ゾンに比べて、明らかに肉芽腫形成抑制作用が強く、ま
た胸腺や副腎の萎縮作用が少ないことがわかる。すなわ
ち、検体試料は薬理効果が強く副作用が少ないことが示
された。 試験例2−7 腫瘍部位への移行性を確認する試験を行った。 P388白血病細胞をCDF1計雄性マウス(体重約25g)の右
前足趾部皮下に、106個移植した。6日後、右前足を切
除し、この5日後実験に用いた。この処理により、右上
腕及び右腋窩リンパ節への転移癌モデルが得られる。検
体試料として3H標識したコレステリルリノレートを用
いて作製した実施例8における本発明薬物担体を用い
た。対照試料としては、試験例2−1でも用いた従来か
ら知られる直径0.2μmの精製大豆油と卵黄レシチンか
らなる脂肪乳剤に3H標識したコレステリルリノレート
を取り込ませたものを用いた。検体試料及び対照試料を
尾静脈内に投与し、60分後腫瘍転移の認められる右上腕
及び右腋窩リンパ節を摘出した。また、非転移リンパ節
として、左上腕及び左腋窩リンパ節も同時に摘出し、各
々の放射能濃度を測定した。 第6表に示すように、本発明薬物担体は、2倍以上の高
濃度で腫瘍部に移行した。対照試料には、このような高
濃度の選択的移行は認められなかった。 試験例2−8 腫瘍部位への移行性を確認する試験を行った。 S−180腫瘍細胞をddY系雄性マウス(体重約25g)の腹
部皮下に106個移植した。6日後、腫瘍の直径が約1cmと
なり実験に供した。 検体試料として3H標識したコレステリルリノレートを
用いて作製した実施例8における本発明薬物担体を用い
た。対照試料として従来から知られる直径0.2μの大豆
油と卵黄レシチンからなる脂肪乳剤に3H標識したコレ
ステリルリノレートを取り込ませたものを用いた。 検体試料及び対照試料を尾静脈内に投与し、15分、1時
間及び24時間後に腫瘍を摘出し、放射能濃度を測定し
た。 第7表に示すように、本発明薬物担体は、各時間におい
て対照試料の3倍程度の高濃度で腫瘍部に移行した。 試験例2−9 コレステリルリノレートを核とした本発明薬物担体の体
内安定性を確認する目的で実施例5で得た本発明薬物担
体を検体試料とし、実施例4で得た本発明薬物担体を比
較用試料としてそれぞれラットに静脈内投与した後の血
中濃度推移を検討した。各々の試料は、3H標識デキサ
メタゾンパルミチン酸エステルを用いて作製したものを
用いた。 第4図に検体試料及び対照試料をデキサメタゾン換算で
0.05mg/kgの投与量でSD系雄性ラット(体重約250g)の
尾静脈に静脈内投与したときの血漿中総放射能の推移を
デキサメタゾン換算で示した。検体試料は比較用試料に
比べ更に緩やかに血漿中より消失した。分布相における
消失半減期は、それぞれ21.6分、及び11.5分である。 試験例2−10 実施例3、実施例4、及び実施例5で得た検体試料およ
び試験例2−1で用いた対照試料をそれぞれラットの血
漿と混合しその安定性について検討した。血漿中での試
料の濃度、デキサメタゾン換算で23μg/mlとした。第8
表に示すように、90分間37℃でインキュベートした後の
未変化体(デキサメタゾンパルミチン酸エステル)の残
存量、すなわち血漿中での安定性は対照試料に比べ本発
明薬物担体が優れることが明確である。 加えて、本発明薬物担体の核にコレステリルリノレート
を用いるとその含量に依存して安定性が増すことも確か
められた。 試験例2−11 ddY系マウス(体重約30g)を用いてペントバルビタール
麻酔下、被検製剤を点眼後に眼球中の薬物濃度を測定
し、眼球への移行性を検討した。 被検製剤は、以下の4つである。 検体試料−(1) 抗炎症薬であるグアイアズレンを含
有する実施例1で得た本発明薬物担体。 検体試料−(2) 抗炎症薬であるグアイアズレンを含
有する実施例2で得た本発明薬物担体。 対照試料−(1) 従来技術である直径0.2μmの大豆
油と卵黄レシチンからなる脂肪乳剤にグアイアズレンを
取り込ませたもの。 対照試料−(2) 従来技術である直径0.2μmの大豆
油と卵黄レシチンからなる脂肪乳剤にグアイアズレンの
水溶性誘導体であるアズレンスルホン酸ナトリウムを混
合溶解させたもの。 用量はグアイアズレン換算で5μg/眼とした。点眼後、
一定時間で眼球を摘出し、生理食塩水で素早く洗浄後、
ホモジナイズし、高速液体クロマトグラフィーにより薬
物を定量した。 眼球中薬物濃度推移を、第5図に示す。検体試料はいず
れも対照試料より良好な眼球移行を示し、本発明薬物担
体を用いた場合には、眼球への薬物移行が改善されるこ
とが明白である。 試験例2−12 実施例1で得たグアイアズレンを含有する薬物担体を検
体試料とし、グアイアズレンの水溶性誘導体アズレンス
ルホン酸ナトリウムを対照試料として、日本白色家兎
(体重約3kg)に点眼し、前房水中への薬物移行を検討
した。点眼後30分で、前房水を採取し、薬物濃度を測定
した。結果を第9表に示す。本発明薬物担体を用いた場
合にのみ前房水中への薬物移行が認められた。 試験例2−13 実施例6で得た抗ヒスタミン剤であるジフェンヒドラミ
ンを含有する本発明薬物担体を検体試料とし、塩酸ジフ
ェンヒドラミン生理食塩液溶液を対照試料として、ヒス
タミン皮内投与により誘発される血管透過性の亢進に対
する抑制作用について検討した。 SD系雄性ラット(体重約300g)に検体試料または対照試
料を静脈内投与し、一定時間後エバンスブルー10mgを静
脈内投与すると共に腹部皮内に塩酸ヒスタミン(1μg/
50μl)を注入した。さらに30分後、皮内に漏出したエ
バンスブルーを定量するため皮膚を剥離した。濃塩酸3m
lで皮膚を可溶化した後、10%塩化ベンザルコニウム3ml
を加え、クロロホルム5mlでエバンスブルーを抽出し
た。クロロホルム層の620nmの吸光度より皮内に漏出し
たエバンスブルー量を求めた。 第6図は、両試料の投与量を、ジフェンヒドラミン換算
で2mg/kgとし、投与後15分、30分、120分後にヒスタミ
ンを皮内に注入して得た血管透過性抑制効果の時間的変
化を示している。検体試料は、投与後15分で既に最大効
果を示し、2時間までその効果は持続した。一方、対照
試料は検体試料に比べて抑制率は低く、投与後30分で最
大効果を示しその後低下した。投与後2時間では、検体
試料が対照試料の3倍以上の血管透過性抑制効果を示し
た。これより、検体試料は、薬物効果の増強のみなら
ず、薬物作用の持続化にも効果を有することが示され
た。 第7図は、試料投与30分で得た血管透過性の抑制効果の
用量作用曲線を示している。検体試料は、対照試料に比
べ血管透過性抑制効果に優れることが明確である。
【図面の簡単な説明】
第1図は、実施例8で製造した本発明薬物担体の粒子径
を、光散乱粒子径測定装置で測定した結果を示す。縦軸
は粒子数、横軸は粒子径を対数目盛りで表している。 第2図は、試験例2−1で検討した検体試料と対照試料
をラットに静脈内投与したとこの血漿中総放射能の推移
を表す。縦軸は、放射能より換算したデキサメタゾン濃
度(ng/ml)を、横軸は投与後の経過時間(時間)を表
す。 ●印線は検体試料を、○印線は対照試料をそれそれ表
す。 第3図は、試験例2−3で検討した検体試料と対照試料
をラットに静脈内投与したときの抗炎症活性をカラゲニ
ン浮腫の抑制率を指標にして得た用量作用曲線である。
縦軸はカラゲニン浮腫の抑制率を%表示で、横軸は薬物
投与量をデキサメタゾン換算で対数目盛りで表す。 ●印線は検体試料を、△印線はリン酸デキサメタゾン
を、○印線は対照試料をそれぞれ表す。 第4図は、試験例2−9で検討した検体試料と比較用試
料をラットに静脈内投与したときの血漿中総放射能の推
移を表す。縦軸は、放射能より換算したデキサメタゾン
濃度(ng/ml)を、横軸は投与後の経過時間(時間)を
表す。▲印線は検体試料を、●印線は比較用試料をそれ
ぞれ表す。 第5図は、試験例2−11で検討した2種の検体試料と2
腫の対照試料をマウスに点眼した後の眼球中への薬物移
行量を表す。縦軸は、眼球中の薬物濃度(ng/g,グアイ
アズレン換算)を、横軸は点眼後の時間経過(時間)を
表す。▲印線は、検体試料−(1)を、△印線は検体試
料−(2)を、■印線は対照試料−(1)を、○印線は
対照試料−(2)をそれぞれ表す。 第6図は、試験例2−13で検討した検体試料と対照試料
をラットに投与したときの血管透過性抑制効果の時間推
移を示したものである。縦軸は、血管透過性の抑制率を
パーセント表示で、横軸は、試料投与後の時間経過(時
間)を表す。 ●印線は検体試料を、○印線は対照試料をそれぞれ表
す。 第7図は、試験例2−13で検討した検体試料と対照試料
をラットに投与したときの血管透過性抑制効果の用量作
用曲線を示したものである。縦軸は、血管透過性の抑制
率をパーセント表示で、横軸は薬物投与量を塩酸ジフェ
ンヒドラミン換算で対数目盛りで表す。 ●印線は検体試料を、○印線は対照試料をそれぞれ表
す。

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】非リポソーム性脂肪乳剤を構成する薬物担
    体(乳剤粒子)であって、 単純脂質を主成分とする核とリン脂質を主成分とす
    る表層からなり、 薬物担体中の核を構成する物質の含有比率が30〜65
    %、表層を構成する物質の含有比率が35〜70%であり、 粒子径が5nm以上70nm未満の範囲である、 上記〜の特徴を同時に有する非経口投与用の薬物担
    体。
  2. 【請求項2】核及び/又は表層に有効成分として薬物を
    含有する請求項1記載の薬物担体。
  3. 【請求項3】核及び/又は表層に誘導脂質を含有する請
    求項1又は2記載の薬物担体。
  4. 【請求項4】血管透過性が亢進している部位に選択的に
    取り込まれる請求項1〜3のいずれかに記載の薬物担
    体。
  5. 【請求項5】細網内皮系への取り込みが抑制されている
    請求項1〜3のいずれかに記載の薬物担体。
  6. 【請求項6】単純脂質が中性脂質又はステロールエステ
    ルである請求項1〜5のいずれかに記載の薬物担体。
  7. 【請求項7】誘導脂質がコレステロール、脂肪酸若しく
    はその誘導体又はスクワレンである請求項3〜6のいず
    れかに記載の薬物担体。
  8. 【請求項8】単純脂質が精製大豆油;綿実油;菜種油;
    胡麻油;コーン油;落花生油;サフラワー油;トリオレ
    イン;トリリノレイン;トリパルミチン;トリステアリ
    ン;トリミリスチン;トリアラキドニン;コレステリル
    オレート;コレステリルリノレート;コレステリルミリ
    ステート;コレステリルパルミテート又はコレステリル
    アラキデートであり、リン脂質が卵黄ホスファチジルコ
    リン(卵黄レシチン)、大豆ホスファチジルコリン(大
    豆レシチン)、ジパルミトイルホスファチジルコリン、
    ジミリストイルホスファチジルコリン、ジステアロイル
    ホスファチジルコリン及びジオレオイルホスファチジル
    コリンから選択されるホスファチジルコリン(レシチ
    ン);ホスファチジルエタノールアミン;ホスファチジ
    ルセリン;又はホスファチジルイノシトールである請求
    項1〜7のいずれかに記載の薬物担体。
  9. 【請求項9】単純脂質が精製大豆油であり、リン脂質が
    卵黄ホスファチジルコリン(卵黄レシチン)である請求
    項8記載の薬物担体。
  10. 【請求項10】薬物が抗癌剤、抗ウイルス剤、ステロイ
    ド系抗炎症剤、非ステロイド系抗炎症剤、抗アレルギー
    剤、抗生物質、化学療法剤、プロスタグランディン剤、
    抗ヒスタミン剤、局所麻酔剤、肝障害改善剤、中枢神経
    作用薬、脳血管拡張剤、気管支拡張剤、抗コリン剤、副
    交換神経遮断剤、鎮咳剤、前立腺肥大治療剤、緑内障治
    療剤、平滑筋治療剤、高脂血症剤、抗酸化剤、診断薬、
    抗動脈硬化剤、抗潰瘍剤、免疫調節剤、ワクチン類、ラ
    ジカル除去剤、アミノ酸、ビタミン類、グアイアズレン
    及び精油性生薬からなる群から選択されるものである請
    求項2〜9のいずれかに記載の薬物担体。
  11. 【請求項11】 単純脂質を主成分とする核とリン脂
    質を主成分とする表層からなり、 薬物担体中の核を構成する物質の含有比率が30〜65
    %、表層を構成する物質の含有比率が35〜70%であり、 平均粒子径が5nm以上70nm未満の範囲である、 上記〜の特徴を同時に有する非経口投与用の薬物担
    体(乳剤粒子)から構成される非経口投与のための非リ
    ポソーム性脂肪乳剤又はその凍結乾燥製剤。
  12. 【請求項12】薬物担体の核及び/又は表層に有効成分
    として薬物を含有する請求項11記載の非リポソーム性脂
    肪乳剤又はその凍結乾燥製剤。
  13. 【請求項13】薬物担体の核及び/又は表層に誘導脂質
    を含有する請求項11又は12記載の非リポソーム性脂肪乳
    剤又はその凍結乾燥製剤。
  14. 【請求項14】血管透過性が亢進している部位に選択的
    に取り込まれる請求項11〜13のいずれかに記載の非リポ
    ソーム性脂肪乳剤又はその凍結乾燥製剤。
  15. 【請求項15】細網内皮系への取り込みが抑制されてい
    る請求項11〜13のいずれかに記載の非リポソーム性脂肪
    乳剤又はその凍結乾燥製剤。
  16. 【請求項16】単純脂質が中性脂質又はステロールエス
    テルである請求項11〜15のいずれかに記載の非リポソー
    ム性脂肪乳剤又はその凍結乾燥製剤。
  17. 【請求項17】誘導脂質がコレステロール、脂肪酸若し
    くはその誘導体又はスクワレンである請求項13〜16のい
    ずれかに記載の非リポソーム性脂肪乳剤又はその凍結乾
    燥製剤。
  18. 【請求項18】単純脂質が精製大豆油;綿実油;菜種
    油;胡麻油;コーン油;落花生油;サフラワー油;トリ
    オレイン;トリリノレイン;トリパルミチン;トリステ
    アリン;トリミリスチン;トリアラキドニン;コレステ
    リルオレート;コレステリルリノレート;コレステリル
    ミリステート;コレステリルパルミテート又はコレステ
    リルアラキデートであり、リン脂質が卵黄ホスファチジ
    ルコリン(卵黄レシチン)、大豆ホスファチジルコリン
    (大豆レシチン)、ジパルミトイルホスファチジルコリ
    ン、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジステアロ
    イルホスファチジルコリン及びジオレオイルホスファチ
    ジルコリンから選択されるホスファチジルコリン(レシ
    チン);ホスファチジルエタノールアミン;ホスファチ
    ジルセリン;又はホスファチジルイノシトールである請
    求項11〜17のいずれかに記載の非リポソーム性脂肪乳剤
    又はその凍結乾燥製剤。
  19. 【請求項19】単純脂質が精製大豆油であり、リン脂質
    が卵黄ホスファチジルコリン(卵黄レシチン)である請
    求項18記載の非リポソーム性脂肪乳剤又はその凍結乾燥
    製剤。
  20. 【請求項20】薬物が抗癌剤、抗ウイルス剤、ステロイ
    ド系抗炎症剤、非ステロイド系抗炎症剤、抗アレルギー
    剤、抗生物質、化学療法剤、プロスタグランディン剤、
    抗ヒスタミン剤、局所麻酔剤、肝障害改善剤、中枢神経
    作用薬、脳血管拡張剤、気管支拡張剤、抗コリン剤、副
    交換神経遮断剤、鎮咳剤、前立腺肥大治療剤、緑内障治
    療剤、平滑筋治療剤、高脂血症剤、抗酸化剤、診断薬、
    抗動脈硬化剤、抗潰瘍剤、免疫調節剤、ワクチン類、ラ
    ジカル除去剤、アミノ酸、ビタミン類、グアイアズレン
    及び精油性生薬からなる群から選択されるものである請
    求項12〜19のいずれかに記載の非リポソーム性脂肪乳剤
    又はその凍結乾燥製剤。
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