JPH08104922A - 低温靱性の優れた高強度鋼管の製造方法 - Google Patents
低温靱性の優れた高強度鋼管の製造方法Info
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- JPH08104922A JPH08104922A JP24440394A JP24440394A JPH08104922A JP H08104922 A JPH08104922 A JP H08104922A JP 24440394 A JP24440394 A JP 24440394A JP 24440394 A JP24440394 A JP 24440394A JP H08104922 A JPH08104922 A JP H08104922A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 低温靱性、現地溶接性などの諸特性を同時に
達成できるAPI規格X100以上の高強度鋼管の製造
方法を提供する。 【構成】 0.9〜1.2%のCuを含有する極低S−
低C−Ni−Cu−Mo−Nb−Ti系鋼を圧延成形し
て製造した鋼管を誘導加熱で加熱して焼入処理し、続い
て焼戻処理を行うことからなる。 【効果】 低温靱性、現地溶接性が優れた高強度鋼管
(X100以上)の製造が可能となり、その結果、パイ
プラインの安全性が著しく向上するとともに、パイプラ
イン施工能率、輸送効率の向上がはかれる。
達成できるAPI規格X100以上の高強度鋼管の製造
方法を提供する。 【構成】 0.9〜1.2%のCuを含有する極低S−
低C−Ni−Cu−Mo−Nb−Ti系鋼を圧延成形し
て製造した鋼管を誘導加熱で加熱して焼入処理し、続い
て焼戻処理を行うことからなる。 【効果】 低温靱性、現地溶接性が優れた高強度鋼管
(X100以上)の製造が可能となり、その結果、パイ
プラインの安全性が著しく向上するとともに、パイプラ
イン施工能率、輸送効率の向上がはかれる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、米国石油協会(AP
I)規格でX100以上の高強度(降状強度で約689
N/mm2 以上)と優れた低温靱性、現地溶接性および
耐サワー性を有する鋼管の製造方法に関するものであ
り、UOE鋼管、シームレス鋼管、電縫鋼管の製造に適
用できる。
I)規格でX100以上の高強度(降状強度で約689
N/mm2 以上)と優れた低温靱性、現地溶接性および
耐サワー性を有する鋼管の製造方法に関するものであ
り、UOE鋼管、シームレス鋼管、電縫鋼管の製造に適
用できる。
【0002】
【従来の技術】原油・天然ガスを長距離輸送するパイプ
ラインに使用するラインパイプは、(1)高圧化による
輸送効率の向上や、(2)薄肉化による現地での溶接能
率向上のため、ますます高張力化する傾向がある。これ
までにAPI規格でX80までのラインパイプの実用化
が進行中であるが、さらに高強度のラインパイプに対す
るニーズが最近でてきた。
ラインに使用するラインパイプは、(1)高圧化による
輸送効率の向上や、(2)薄肉化による現地での溶接能
率向上のため、ますます高張力化する傾向がある。これ
までにAPI規格でX80までのラインパイプの実用化
が進行中であるが、さらに高強度のラインパイプに対す
るニーズが最近でてきた。
【0003】現在、X100以上の超高強度ラインパイ
プはX80級ラインパイプの製造法(NKK技法、N
o.138(1992)、pp24−31およびThe
7th Offshore Mechanics a
nd Arctic Engineering(198
8)、Volume V、pp179−185)を基本
に検討されているが、これらのラインパイプは低温靱
性、現地溶接性、継手軟化、耐サワー性(耐水素誘起割
れ性、耐硫化物応力腐食割れ性)などの点で多くの問題
を抱えており、これらを克服した画期的な超高強度鋼管
(ラインパイプ)の早期開発が要望されている。
プはX80級ラインパイプの製造法(NKK技法、N
o.138(1992)、pp24−31およびThe
7th Offshore Mechanics a
nd Arctic Engineering(198
8)、Volume V、pp179−185)を基本
に検討されているが、これらのラインパイプは低温靱
性、現地溶接性、継手軟化、耐サワー性(耐水素誘起割
れ性、耐硫化物応力腐食割れ性)などの点で多くの問題
を抱えており、これらを克服した画期的な超高強度鋼管
(ラインパイプ)の早期開発が要望されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、低温靱性、
現地溶接性、耐サワー性などの諸特性を同時に達成でき
るX100以上の超高強度鋼管の製造方法を提供するこ
とを目的とするものである。
現地溶接性、耐サワー性などの諸特性を同時に達成でき
るX100以上の超高強度鋼管の製造方法を提供するこ
とを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろは、重量%で、C:0.02〜0.09%、Si:
0.6%以下、Mn:1.3〜2.0%、P:0.01
5%以下、S:0.0010%以下、Ni:0.3〜
1.2%、Cu:0.9〜1.2%、Mo:0.1〜
0.5%、Nb:0.01〜0.06%、Ti:0.0
05〜0.03%、Al:0.06%以下、N:0.0
01〜0.006%を含有し、必要に応じて、さらにC
a:0.001〜0.005%、V:0.01〜0.1
0%、Cr:0.1〜0.5%の1種または2種以上を
含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる鋼片を
再加熱後、圧延成形して製造した鋼管を、500℃以下
の温度から誘導加熱でAc3 点〜1000℃の温度範囲
に加熱して焼入処理し、続いて450℃〜Ac1 点の温
度範囲で焼戻処理することを特徴とする低温靱性の優れ
た高強度鋼管の製造方法にある。
ろは、重量%で、C:0.02〜0.09%、Si:
0.6%以下、Mn:1.3〜2.0%、P:0.01
5%以下、S:0.0010%以下、Ni:0.3〜
1.2%、Cu:0.9〜1.2%、Mo:0.1〜
0.5%、Nb:0.01〜0.06%、Ti:0.0
05〜0.03%、Al:0.06%以下、N:0.0
01〜0.006%を含有し、必要に応じて、さらにC
a:0.001〜0.005%、V:0.01〜0.1
0%、Cr:0.1〜0.5%の1種または2種以上を
含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる鋼片を
再加熱後、圧延成形して製造した鋼管を、500℃以下
の温度から誘導加熱でAc3 点〜1000℃の温度範囲
に加熱して焼入処理し、続いて450℃〜Ac1 点の温
度範囲で焼戻処理することを特徴とする低温靱性の優れ
た高強度鋼管の製造方法にある。
【0006】以下に本発明の超高強度鋼管の製造方法に
ついて詳細に説明する。本発明の特徴は、(1)0.9
〜1.2%のCuを含有し、かつ極低S処理した低C−
Ni−Cu−Mo−Nb−Ti系鋼を圧延成形して製造
した鋼管を、(2)誘導加熱で一定の温度範囲に加熱し
て焼入処理し、続いて一定の温度範囲で焼戻処理すると
ころにあり、これによって超高強度と優れた低温靱性、
現地溶接性および耐サワー性を同時に達成している。
ついて詳細に説明する。本発明の特徴は、(1)0.9
〜1.2%のCuを含有し、かつ極低S処理した低C−
Ni−Cu−Mo−Nb−Ti系鋼を圧延成形して製造
した鋼管を、(2)誘導加熱で一定の温度範囲に加熱し
て焼入処理し、続いて一定の温度範囲で焼戻処理すると
ころにあり、これによって超高強度と優れた低温靱性、
現地溶接性および耐サワー性を同時に達成している。
【0007】従来、Cu析出鋼は圧力容器用高張力鋼
(引張強さ784N/mm2 級)などに利用されていた
が、X100以上の超高強度ラインパイプにおける開発
例は見当たらない。これは、Cu析出硬化鋼は強度は得
やすいが、低温靱性および耐サワー性(特に水素誘起割
れ(HIC)に対する抵抗、以下、耐HIC特性とい
う)がラインパイプとしては不十分であったことによる
と考えられる。
(引張強さ784N/mm2 級)などに利用されていた
が、X100以上の超高強度ラインパイプにおける開発
例は見当たらない。これは、Cu析出硬化鋼は強度は得
やすいが、低温靱性および耐サワー性(特に水素誘起割
れ(HIC)に対する抵抗、以下、耐HIC特性とい
う)がラインパイプとしては不十分であったことによる
と考えられる。
【0008】まず、低温靱性であるが、パイプラインで
は脆性破壊の発生特性とともに伝播停止特性が極めて重
要である。従来のCu析出硬化鋼は、シャルピー特性で
代表される脆性破壊の発生特性はまずまずであったが、
脆性破壊の停止特性は十分でなかった。これは(1)ミ
クロ組織の微細化が不十分なことと、(2)いわゆるシ
ャルピー衝撃試験などの試験片破面に発生するセパレー
ションの利用がなされていなかったことによる(セパレ
ーションは衝撃試験時生ずる板面に平行な層状剥離現象
で、脆性亀裂先端での3軸応力度を低下させることによ
って脆性亀裂の伝播停止特性を向上させると考えられて
いる)。
は脆性破壊の発生特性とともに伝播停止特性が極めて重
要である。従来のCu析出硬化鋼は、シャルピー特性で
代表される脆性破壊の発生特性はまずまずであったが、
脆性破壊の停止特性は十分でなかった。これは(1)ミ
クロ組織の微細化が不十分なことと、(2)いわゆるシ
ャルピー衝撃試験などの試験片破面に発生するセパレー
ションの利用がなされていなかったことによる(セパレ
ーションは衝撃試験時生ずる板面に平行な層状剥離現象
で、脆性亀裂先端での3軸応力度を低下させることによ
って脆性亀裂の伝播停止特性を向上させると考えられて
いる)。
【0009】次に耐HIC特性が十分でなかったことが
挙げられる。これは、0.9〜1.3%Cu添加は鋼表
面での腐食反応を抑制し、耐HIC性を向上させるにも
かかわらず、鋼の高純度化やCa処理がなされていない
結果、僅かに水素が侵入してもHICが発生するためと
考えられる。一般にX100以上の超高強度ラインパイ
プは硫化水素を含有しないドライでスイートな環境で使
用されるが、場合によっては海水などの侵入により少量
の硫化水素が発生することもあり、この対策は超高強度
ラインパイプの安全性にとって極めて重要である。
挙げられる。これは、0.9〜1.3%Cu添加は鋼表
面での腐食反応を抑制し、耐HIC性を向上させるにも
かかわらず、鋼の高純度化やCa処理がなされていない
結果、僅かに水素が侵入してもHICが発生するためと
考えられる。一般にX100以上の超高強度ラインパイ
プは硫化水素を含有しないドライでスイートな環境で使
用されるが、場合によっては海水などの侵入により少量
の硫化水素が発生することもあり、この対策は超高強度
ラインパイプの安全性にとって極めて重要である。
【0010】まず、本発明の製造条件の限定理由につい
て説明する。再加熱後、圧延成形して製造した鋼管を5
00℃以下の温度から誘導加熱でAc3 点〜1000℃
の温度範囲に加熱して焼入処理し、続いて450℃〜A
c1点の温度範囲で焼戻処理する必要がある。鋼管を5
00℃以下の温度から誘導加熱でAc3 点〜1000℃
の温度範囲に加熱する理由は、その後の焼入処理によっ
てベイナイト組織の形成などによる変態強化を活用する
ため、およびCuを十分に溶体化させて析出硬化に有効
な固溶Cuを確保するためである。しかし、加熱温度が
1000℃を超えると、再加熱時のオーステナイト粒が
成長し、結晶粒が大きくなって低温靱性や耐サワー性の
劣化を招く。このため、再加熱温度の上限を1000℃
とした。加熱温度の下限Ac3 点は、焼入時の変態強化
を活用するための最低温度である。加熱に際し、Ar1
点以下の温度から加熱する理由は、組織を均一に微細化
して、低温靱性の劣化を防止するためである。完全にオ
ーステナイト(γ)からフェライト(α)への変態が終
了する500℃以下から再加熱すると、αからγへの変
態後のγ組織が均一に微細化される。
て説明する。再加熱後、圧延成形して製造した鋼管を5
00℃以下の温度から誘導加熱でAc3 点〜1000℃
の温度範囲に加熱して焼入処理し、続いて450℃〜A
c1点の温度範囲で焼戻処理する必要がある。鋼管を5
00℃以下の温度から誘導加熱でAc3 点〜1000℃
の温度範囲に加熱する理由は、その後の焼入処理によっ
てベイナイト組織の形成などによる変態強化を活用する
ため、およびCuを十分に溶体化させて析出硬化に有効
な固溶Cuを確保するためである。しかし、加熱温度が
1000℃を超えると、再加熱時のオーステナイト粒が
成長し、結晶粒が大きくなって低温靱性や耐サワー性の
劣化を招く。このため、再加熱温度の上限を1000℃
とした。加熱温度の下限Ac3 点は、焼入時の変態強化
を活用するための最低温度である。加熱に際し、Ar1
点以下の温度から加熱する理由は、組織を均一に微細化
して、低温靱性の劣化を防止するためである。完全にオ
ーステナイト(γ)からフェライト(α)への変態が終
了する500℃以下から再加熱すると、αからγへの変
態後のγ組織が均一に微細化される。
【0011】鋼管は10℃/秒以上の冷却速度で焼入処
理することが望ましい。これはベイナイト組織の形成な
どによる変態強化、組織の微細化と冷却中の粗大なCu
析出を抑制するためである。冷却中にCuが析出する
と、時効処理後の析出硬化量が減少し、高強度が得られ
ない。Cu析出硬化(ε−Cuによる析出硬化)による
高強度化をはかるためには、適当な温度で時効処理を行
わなければならない。時効処理温度が450℃未満であ
るとCu析出が不十分で高強度が得られず、また時効処
理温度がAc1 点超ではCu析出物が粗大化して析出硬
化能が失われる。
理することが望ましい。これはベイナイト組織の形成な
どによる変態強化、組織の微細化と冷却中の粗大なCu
析出を抑制するためである。冷却中にCuが析出する
と、時効処理後の析出硬化量が減少し、高強度が得られ
ない。Cu析出硬化(ε−Cuによる析出硬化)による
高強度化をはかるためには、適当な温度で時効処理を行
わなければならない。時効処理温度が450℃未満であ
るとCu析出が不十分で高強度が得られず、また時効処
理温度がAc1 点超ではCu析出物が粗大化して析出硬
化能が失われる。
【0012】圧延成形して製造した鋼管は、圧延鋼板を
UOE成形、溶接する鋼管、圧延鋼板を電縫溶接する鋼
管および圧延工程において直接成形する鋼管を含むもの
である。次に成分元素の限定理由について説明する。C
の下限0.02%は、母材および溶接部の強度、低温靱
性の確保ならびにNb、V添加による析出硬化、結晶粒
の微細化効果を発揮させるための最小量である。しか
し、C量が多過ぎると低温靱性、現地溶接性や耐サワー
性の著しい劣化を招くので、上限を0.09%とした。
UOE成形、溶接する鋼管、圧延鋼板を電縫溶接する鋼
管および圧延工程において直接成形する鋼管を含むもの
である。次に成分元素の限定理由について説明する。C
の下限0.02%は、母材および溶接部の強度、低温靱
性の確保ならびにNb、V添加による析出硬化、結晶粒
の微細化効果を発揮させるための最小量である。しか
し、C量が多過ぎると低温靱性、現地溶接性や耐サワー
性の著しい劣化を招くので、上限を0.09%とした。
【0013】Siは脱酸や強度向上のために添加する元
素であるが、多量に添加すると現地溶接性、HAZ靱性
を劣化させるので、上限を0.6%とした。鋼の脱酸は
TiあるいはAlのみでも十分であり、Siは必ずしも
添加する必要はない。Mnは強度、低温靱性を確保する
上で不可欠な元素であり、その下限は1.3%である。
しかし、Mnが多過ぎると鋼の焼入性が増加して現地溶
接性、HAZ靱性を劣化させるだけでなく、連続鋳造鋼
片の中心偏析を助長し、耐サワー性、低温靱性も劣化さ
せるので、上限を2.0%とした。
素であるが、多量に添加すると現地溶接性、HAZ靱性
を劣化させるので、上限を0.6%とした。鋼の脱酸は
TiあるいはAlのみでも十分であり、Siは必ずしも
添加する必要はない。Mnは強度、低温靱性を確保する
上で不可欠な元素であり、その下限は1.3%である。
しかし、Mnが多過ぎると鋼の焼入性が増加して現地溶
接性、HAZ靱性を劣化させるだけでなく、連続鋳造鋼
片の中心偏析を助長し、耐サワー性、低温靱性も劣化さ
せるので、上限を2.0%とした。
【0014】Ni、Cuを添加する目的は、低Cの本発
明鋼の強度を低温靱性や耐サワー性を劣化させることな
く向上させるためである。Ni、Cu添加はMnやC
r、Mo添加に比較して圧延組織(特にスラブの中心偏
析帯)中に低温靱性、耐サワー性に有害な硬化組織を形
成することが少なく、強度を増加させることが判明し
た。Cu添加は主としてCu析出硬化によって強度を増
加させる。このため、Cu添加量は最低0.9%が必要
である。しかし、多く添加すると現地溶接性やHAZ靱
性などを劣化させるので、その上限を1.2%とした。
Niは連続鋳造時、熱間圧延時のCuクラックを防止す
るために添加するものであり、その下限は0.3%であ
る。しかし、1.2%を超えてNiを添加すると現地溶
接性などに好ましくないため、上限を1.2%とした。
明鋼の強度を低温靱性や耐サワー性を劣化させることな
く向上させるためである。Ni、Cu添加はMnやC
r、Mo添加に比較して圧延組織(特にスラブの中心偏
析帯)中に低温靱性、耐サワー性に有害な硬化組織を形
成することが少なく、強度を増加させることが判明し
た。Cu添加は主としてCu析出硬化によって強度を増
加させる。このため、Cu添加量は最低0.9%が必要
である。しかし、多く添加すると現地溶接性やHAZ靱
性などを劣化させるので、その上限を1.2%とした。
Niは連続鋳造時、熱間圧延時のCuクラックを防止す
るために添加するものであり、その下限は0.3%であ
る。しかし、1.2%を超えてNiを添加すると現地溶
接性などに好ましくないため、上限を1.2%とした。
【0015】また本発明鋼では、必須の元素として、N
b:0.01〜0.06%、Ti:0.005〜0.0
3%を含有する。Nbは制御圧延において結晶粒の微細
化や析出硬化に寄与し、鋼を強靱化する作用を有する。
しかし、Nbを0.06%超添加すると、現地溶接性や
HAZ靱性に悪影響をもたらすので、その上限を0.0
6%とした。また、Ti添加は微細なTiNを形成し、
スラブ再加熱時および溶接HAZのオーステナイト粒の
粗大化を抑制してミクロ組織を微細化し、母材およびH
AZの低温靱性を改善する。このようなTiNの効果を
発現させるためには、最低0.005%のTi添加が必
要である。しかし、Ti量が多過ぎると、TiNの粗大
化やTiCによる析出硬化が生じ、低温靱性が劣化する
ので、その上限は0.03%に限定しなければならな
い。
b:0.01〜0.06%、Ti:0.005〜0.0
3%を含有する。Nbは制御圧延において結晶粒の微細
化や析出硬化に寄与し、鋼を強靱化する作用を有する。
しかし、Nbを0.06%超添加すると、現地溶接性や
HAZ靱性に悪影響をもたらすので、その上限を0.0
6%とした。また、Ti添加は微細なTiNを形成し、
スラブ再加熱時および溶接HAZのオーステナイト粒の
粗大化を抑制してミクロ組織を微細化し、母材およびH
AZの低温靱性を改善する。このようなTiNの効果を
発現させるためには、最低0.005%のTi添加が必
要である。しかし、Ti量が多過ぎると、TiNの粗大
化やTiCによる析出硬化が生じ、低温靱性が劣化する
ので、その上限は0.03%に限定しなければならな
い。
【0016】Alは、通常脱酸剤として鋼に含まれる元
素であり、組織の微細化にも効果を有する。しかし、A
l量が0.06%を超えるとAl系非金属介在物が増加
して鋼の清浄度を害するので、上限を0.06%とし
た。脱酸はTiあるいはSiでも可能であり、Alは必
ずしも添加する必要はない。さらに本発明では、不純物
元素であるP、S量を、それぞれ0.015%以下、
0.0010%以下とする。その主たる理由は、耐サワ
ー性の改善と母材、HAZ靱性の低温靱性をより一層向
上させるためである。P量の低減は連続鋳造スラブの中
心偏析を低減し、耐サワー性を向上させるとともに、粒
界破壊を防止し、低温靱性を向上させる。また、S量の
低減は延伸化したMnSを低減して耐サワー性や延靱性
を向上させる効果がある。
素であり、組織の微細化にも効果を有する。しかし、A
l量が0.06%を超えるとAl系非金属介在物が増加
して鋼の清浄度を害するので、上限を0.06%とし
た。脱酸はTiあるいはSiでも可能であり、Alは必
ずしも添加する必要はない。さらに本発明では、不純物
元素であるP、S量を、それぞれ0.015%以下、
0.0010%以下とする。その主たる理由は、耐サワ
ー性の改善と母材、HAZ靱性の低温靱性をより一層向
上させるためである。P量の低減は連続鋳造スラブの中
心偏析を低減し、耐サワー性を向上させるとともに、粒
界破壊を防止し、低温靱性を向上させる。また、S量の
低減は延伸化したMnSを低減して耐サワー性や延靱性
を向上させる効果がある。
【0017】NはTiNを形成してスラブ再加熱時およ
び溶接HAZのオーステナイト粒の粗大化を抑制して母
材、HAZの低温靱性を向上させる。このために必要な
最小量は0.001%である。しかし、N量が多過ぎる
とスラブ表面疵や固溶NによるHAZ靱性の劣化の原因
となるので、その上限は0.006%に抑える必要があ
る。
び溶接HAZのオーステナイト粒の粗大化を抑制して母
材、HAZの低温靱性を向上させる。このために必要な
最小量は0.001%である。しかし、N量が多過ぎる
とスラブ表面疵や固溶NによるHAZ靱性の劣化の原因
となるので、その上限は0.006%に抑える必要があ
る。
【0018】次にCa、V、Crを添加する理由につい
て説明する。基本となる成分にさらにこれらの元素を添
加する主たる目的は、本発明鋼の優れた特徴を損なうこ
となく、製造可能な板厚の拡大や母材の強度・靱性など
の特性の向上をはかるためである。従って、その添加量
は自ら制限されるべき性質のものである。
て説明する。基本となる成分にさらにこれらの元素を添
加する主たる目的は、本発明鋼の優れた特徴を損なうこ
となく、製造可能な板厚の拡大や母材の強度・靱性など
の特性の向上をはかるためである。従って、その添加量
は自ら制限されるべき性質のものである。
【0019】Caは硫化物(MnS)の形態を制御し、
低温靱性を向上(シャルピー試験における吸収エネルギ
ーの増加など)させるほか、耐サワー性の向上にも著し
い効果を発揮する。特に衝撃試験でのセパレーションを
利用する本発明鋼では、シャルピー試験などの吸収エネ
ルギーは低下する傾向にあるので、Caの添加は必須で
ある。しかし、Ca量が0.001%未満では実用上効
果がなく、また、0.005%を超えて添加するとCa
O−CaSが大量に生成してクラスター、大型介在物と
なり、鋼の清浄度を害するだけでなく、現地溶接性にも
悪影響を及ぼす。このため、Ca添加量を0.001〜
0.005%に制限した。
低温靱性を向上(シャルピー試験における吸収エネルギ
ーの増加など)させるほか、耐サワー性の向上にも著し
い効果を発揮する。特に衝撃試験でのセパレーションを
利用する本発明鋼では、シャルピー試験などの吸収エネ
ルギーは低下する傾向にあるので、Caの添加は必須で
ある。しかし、Ca量が0.001%未満では実用上効
果がなく、また、0.005%を超えて添加するとCa
O−CaSが大量に生成してクラスター、大型介在物と
なり、鋼の清浄度を害するだけでなく、現地溶接性にも
悪影響を及ぼす。このため、Ca添加量を0.001〜
0.005%に制限した。
【0020】VはほぼNbと同様の効果を有するが、そ
の効果はNbに比較して格段に弱い。その上限は現地溶
接性、HAZ靱性の点から0.10%まで許容できる。
Crは母材、溶接部の強度を増加させるが、多過ぎると
現地溶接性やHAZ靱性を著しく劣化させる。このた
め、Cr量の上限は0.5%とする。V、Cr量の下限
0.01%、0.1%は、それぞれの元素添加による材
質上の効果が顕著になる最小量である。
の効果はNbに比較して格段に弱い。その上限は現地溶
接性、HAZ靱性の点から0.10%まで許容できる。
Crは母材、溶接部の強度を増加させるが、多過ぎると
現地溶接性やHAZ靱性を著しく劣化させる。このた
め、Cr量の上限は0.5%とする。V、Cr量の下限
0.01%、0.1%は、それぞれの元素添加による材
質上の効果が顕著になる最小量である。
【0021】
【実施例】本発明の実施例について述べる。転炉−連続
鋳造法で種々の鋼成分の鋼片から種々の製造法により鋼
管を製造した。これらを種々の条件で熱処理して、諸性
質を調査した。機械的性質は鋼管軸方向と直角方向で調
査した。Ca添加の鋼管については耐サワー性を調査し
た。耐サワー性はBP溶液(硫化水素飽和の人工海水、
pH4.8〜5.4)に96時間浸漬後、試験片表面よ
り超音波探傷し、試験片の割れ面積率(%)で評価し
た。
鋳造法で種々の鋼成分の鋼片から種々の製造法により鋼
管を製造した。これらを種々の条件で熱処理して、諸性
質を調査した。機械的性質は鋼管軸方向と直角方向で調
査した。Ca添加の鋼管については耐サワー性を調査し
た。耐サワー性はBP溶液(硫化水素飽和の人工海水、
pH4.8〜5.4)に96時間浸漬後、試験片表面よ
り超音波探傷し、試験片の割れ面積率(%)で評価し
た。
【0022】実施例を表1、表2(表1のつづき−
1)、表3(表1のつづき−2)に示す。
1)、表3(表1のつづき−2)に示す。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】
【表3】
【0026】本発明に従って製造した鋼管は優れた強度
・低温靱性、耐サワー性を有する。これに対して比較鋼
は化学成分または鋼管の熱処理条件が適切でなく、いず
れかの特性が劣る。鋼9はC量が多過ぎるため、低温靱
性(シャルピー吸収エネルギー、遷移温度)、耐HIC
性が劣る。鋼10はMo添加量が少なく、Mn量が多過
ぎるため、シャルピー吸収エネルギーが低く、かつ耐H
IC性が悪い。鋼11はNbが添加されていないため、
Nb添加鋼よりもやや強度が低く、シャルピー遷移温度
が高い(強度・低温靱性バランスが悪い)。鋼12はT
iが添加されていないため、シャルピー遷移温度が高
く、耐HIC性が劣る。鋼13はCu添加量が少な過ぎ
るため、目標とする強度が達成できていない。鋼14は
Ni量が少な過ぎるため、機械的性質はまずまずである
が、鋼管表面に微小な疵が多数発生し、ラインパイプと
して使えない。鋼15は化学成分は適当であるが、製造
条件中の加熱開始温度が高過ぎるため、シャルピー遷移
温度が高い。鋼16は加熱温度が低過ぎるため、強度が
低く、低温靱性が劣る。鋼17は加熱温度が高過ぎるた
め、低温靱性が悪い。鋼18は焼戻温度が低過ぎるた
め、Cu析出効果能が発揮されず、強度が低い。鋼19
は焼戻温度が高過ぎるため、Cu析出物が粗大化して析
出硬化能が失われ、強度が低い。
・低温靱性、耐サワー性を有する。これに対して比較鋼
は化学成分または鋼管の熱処理条件が適切でなく、いず
れかの特性が劣る。鋼9はC量が多過ぎるため、低温靱
性(シャルピー吸収エネルギー、遷移温度)、耐HIC
性が劣る。鋼10はMo添加量が少なく、Mn量が多過
ぎるため、シャルピー吸収エネルギーが低く、かつ耐H
IC性が悪い。鋼11はNbが添加されていないため、
Nb添加鋼よりもやや強度が低く、シャルピー遷移温度
が高い(強度・低温靱性バランスが悪い)。鋼12はT
iが添加されていないため、シャルピー遷移温度が高
く、耐HIC性が劣る。鋼13はCu添加量が少な過ぎ
るため、目標とする強度が達成できていない。鋼14は
Ni量が少な過ぎるため、機械的性質はまずまずである
が、鋼管表面に微小な疵が多数発生し、ラインパイプと
して使えない。鋼15は化学成分は適当であるが、製造
条件中の加熱開始温度が高過ぎるため、シャルピー遷移
温度が高い。鋼16は加熱温度が低過ぎるため、強度が
低く、低温靱性が劣る。鋼17は加熱温度が高過ぎるた
め、低温靱性が悪い。鋼18は焼戻温度が低過ぎるた
め、Cu析出効果能が発揮されず、強度が低い。鋼19
は焼戻温度が高過ぎるため、Cu析出物が粗大化して析
出硬化能が失われ、強度が低い。
【0027】
【発明の効果】本発明により低温靱性、現地溶接性およ
び耐サワー性が優れた超高強度ラインパイプ(API規
格X100以上)が安定して製造できるようになった。
その結果、パイプラインの安全性が著しく向上するとと
もに、パイプラインの施工能率、輸送効率の飛躍的な向
上が可能となった。
び耐サワー性が優れた超高強度ラインパイプ(API規
格X100以上)が安定して製造できるようになった。
その結果、パイプラインの安全性が著しく向上するとと
もに、パイプラインの施工能率、輸送効率の飛躍的な向
上が可能となった。
Claims (2)
- 【請求項1】重量%で、 C:0.02〜0.09%、 Si:0.6%以下、 Mn:1.3〜2.0%、 P:0.015%以下、 S:0.0010%以下、 Ni:0.3〜1.2%、 Cu:0.9〜1.2%、 Mo:0.1〜0.5%、 Nb:0.01〜0.06%、 Ti:0.005〜0.03%、 Al:0.06%以下、 N:0.001〜0.006% を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる鋼片
を再加熱後、圧延成形して製造した鋼管を、500℃以
下の温度から誘導加熱でAc3 点〜1000℃の温度範
囲に加熱して焼入処理し、続いて450℃〜Ac1 点の
温度範囲で焼戻処理することを特徴とする低温靱性の優
れた高強度鋼管の製造方法。 - 【請求項2】 出発鋼片はさらにCa:0.001〜
0.005%、V:0.01〜0.10%、Cr:0.
1〜0.5%の1種または2種以上を含有することを特
徴とする請求項1記載の低温靱性の優れた高強度鋼管の
製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP24440394A JPH08104922A (ja) | 1994-10-07 | 1994-10-07 | 低温靱性の優れた高強度鋼管の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP24440394A JPH08104922A (ja) | 1994-10-07 | 1994-10-07 | 低温靱性の優れた高強度鋼管の製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH08104922A true JPH08104922A (ja) | 1996-04-23 |
Family
ID=17118156
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP24440394A Withdrawn JPH08104922A (ja) | 1994-10-07 | 1994-10-07 | 低温靱性の優れた高強度鋼管の製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH08104922A (ja) |
Cited By (10)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US6045630A (en) * | 1997-02-25 | 2000-04-04 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | High-toughness, high-tensile-strength steel and method of manufacturing the same |
| US6188037B1 (en) | 1997-03-26 | 2001-02-13 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | Welded high-strength steel structures and method of manufacturing the same |
| US6224689B1 (en) | 1997-07-28 | 2001-05-01 | Exxonmobil Upstream Research Company | Ultra-high strength, weldable, essentially boron-free steels with superior toughness |
| US6228183B1 (en) | 1997-07-28 | 2001-05-08 | Exxonmobil Upstream Research Company | Ultra-high strength, weldable, boron-containing steels with superior toughness |
| US6248191B1 (en) | 1997-07-28 | 2001-06-19 | Exxonmobil Upstream Research Company | Method for producing ultra-high strength, weldable steels with superior toughness |
| US6264760B1 (en) | 1997-07-28 | 2001-07-24 | Exxonmobil Upstream Research Company | Ultra-high strength, weldable steels with excellent ultra-low temperature toughness |
| US6843237B2 (en) | 2001-11-27 | 2005-01-18 | Exxonmobil Upstream Research Company | CNG fuel storage and delivery systems for natural gas powered vehicles |
| WO2011021396A1 (ja) | 2009-08-21 | 2011-02-24 | 住友金属工業株式会社 | 厚肉継目無鋼管の製造方法 |
| EP1876254A4 (en) * | 2005-03-29 | 2012-08-01 | Sumitomo Metal Ind | THICK SEAMLESS STEEL TUBE FOR LINE TUBE AND MANUFACTURING METHOD THEREFOR |
| CN113441910A (zh) * | 2021-06-17 | 2021-09-28 | 大冶特殊钢有限公司 | 一种超厚壁调质管及其制备方法 |
-
1994
- 1994-10-07 JP JP24440394A patent/JPH08104922A/ja not_active Withdrawn
Cited By (13)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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| US6188037B1 (en) | 1997-03-26 | 2001-02-13 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | Welded high-strength steel structures and method of manufacturing the same |
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| US8845830B2 (en) | 2009-08-21 | 2014-09-30 | Nippon Steel & Sumitomo Metal Corporation | Method of manufacturing heavy-wall seamless steel pipe |
| CN113441910A (zh) * | 2021-06-17 | 2021-09-28 | 大冶特殊钢有限公司 | 一种超厚壁调质管及其制备方法 |
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