JPH08104985A - 鉄系部材に撥水性被覆膜を形成する方法 - Google Patents

鉄系部材に撥水性被覆膜を形成する方法

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JPH08104985A
JPH08104985A JP6243859A JP24385994A JPH08104985A JP H08104985 A JPH08104985 A JP H08104985A JP 6243859 A JP6243859 A JP 6243859A JP 24385994 A JP24385994 A JP 24385994A JP H08104985 A JPH08104985 A JP H08104985A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 鉄系部材に撥水性及び耐久性の高い被覆膜を
形成する方法を提供する。 【構成】 鉄系部材に水酸基を付加し又は特定の金属の
酸化物層を形成した後、撥水性被覆層を形成すること、
あるいは特定の金属をマトリックス内に入れた撥水性被
覆層を形成すること、又は長鎖アルキルの硫酸塩を鉄系
部材表面に固定することを特徴とする、鉄系部材に撥水
性被覆膜を形成する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鉄系部材に撥水性の高
い被覆層を形成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】鉄系部材、例えば鋼板の耐久性を向上さ
せるため、各種の表面処理方法が用いられている。しか
しながら、従来の方法、例えばクロメート処理は防錆作
用が一時的であり、長期間の防錆付与には適さない。ま
た、有機樹脂被覆法はある程度の期間の防錆作用を有す
るが、有機樹脂被覆膜にはピンホールが存在し、このピ
ンホールから水分が侵入して鉄系部材が腐食することが
ある。さらに、有機樹脂被覆膜は耐熱性が低く、従って
高熱環境において用いられる鉄系部材、例えば内燃機関
の部材に用いることはできない。
【0003】このような問題を解決するため、特開昭64
−68477 号公報において、フルオロアルキルシランとA
l、Zr、Ti、Si、W、Ce、Sn、Yのアルコキ
シドより形成された無機酸化物被膜を形成することによ
り鋼板の耐久性、耐熱性を高めることが提案された。こ
の被膜は、上記金属が脱水縮合して架橋した複合無機酸
化物被膜であるため耐久性及び耐熱性に優れ、かつフル
オロアルキル基に由来する撥水性をも有している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記鋼
板に代表される鉄系部材は、上記のような無機酸化物の
被膜を形成する場合、表面活性が低いため密着性が低
い。また、鉄元素は拡散し易く、被膜の表面に析出し、
撥水作用を示すフルオロアルキル基を覆ってしまう。ま
た加熱過程において鉄酸化物が生成するため被膜の撥水
性が低下し、被膜と鉄系部材との密着性が低下してしま
う。
【0005】本発明は、前記のような被膜の欠点を解消
し、鉄系部材との密着性が高く、かつ撥水性の低下が抑
制された耐熱劣化性を有する撥水性被覆膜の形成方法を
提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、鉄系部材に撥
水性被覆膜を形成する方法であって、鉄系部材の表面に
水酸基を付加する工程、金属アルコキシドとアルコキシ
ル基の一部がフルオロアルキル基により置換されたフル
オロアルキル基置換アルコキシドとの混合溶液を前記水
酸基を付加した鉄系部材表面上に塗布し塗膜を形成する
工程、及び前記塗膜を焼成し、被覆膜を形成する工程か
らなることを特徴とするものである。
【0007】また、本発明は、鉄系部材に撥水性被覆膜
を形成する方法であって、鉄系部材の表面にMn、Z
n、Ni、Cu、Mg、Co、Fe、Ti、Zr、V、
Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Y
b、Lu、Y、Ba、Sr、及びPbから選ばれた少な
くとも1種の金属の酸化物の被覆膜を形成する工程、金
属アルコキシドとアルコキシル基の一部がフルオロアル
キル基により置換されたフルオロアルキル基置換アルコ
キシドとの混合溶液を前記金属酸化物の被覆膜上に塗布
し塗膜を形成する工程、及び前記塗膜を焼成し、被覆膜
を形成する工程からなることを特徴とするものである。
【0008】また、本発明は、鉄系部材に撥水性被覆膜
を形成する方法であって金属アルコキシドと、アルコキ
シル基の一部がフルオロアルキル基により置換されたフ
ルオロアルキル基置換アルコキシドと、Mn、Zn、N
i、Cu、Mg、Co、Fe、V、Sm、Eu、Gd、
Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Ba、S
r、及びPbから選ばれた少なくとも1種の金属のアル
コキシドとの混合溶液を鉄系部材の表面に塗布し塗膜を
形成する工程、及び前記塗膜を焼成し、被覆膜を形成す
る工程からなることを特徴とするものである。
【0009】さらに、本発明は、鉄系部材に撥水性被覆
膜を形成する方法であって、pH3〜5の硫酸水溶液に
下式 Cn 2n+1SO4 - ・Na+ (上式中、nは7〜15である)で表される塩を2×10
-1〜10-3M/L溶解した溶液を鉄系部材に塗布し、乾燥
することを特徴とするものである。
【0010】
【作用】請求項1記載の発明では、撥水性被覆膜を形成
する前処理として、鉄系部材上にOH基を付与すること
により、鉄系部材の表面を活性化し、被覆膜との密着性
を向上させる。また、このOH基の存在は、被覆膜の形
成における焼成時に分解、消失するフルオロアルキル基
を減少させ、焼成後に被覆膜内に残留するフッ素濃度を
向上させ、被覆膜の初期撥水性を向上させる。さらに、
鉄系部材表面に均一かつ緻密に生成した安定な酸化鉄被
膜層により、以後生成する酸化鉄の被覆膜表面への析出
を抑制し、その結果、被覆膜の耐熱性を向上させる。
【0011】請求項2記載の発明では、撥水性被覆膜を
形成する前処理として、鉄系部材上に上記金属から選ば
れた少なくとも1種の金属の酸化物を被覆することによ
り、この金属酸化物がその後形成される被覆膜と鉄系部
材表面とのなじみを向上させる。さらに、鉄系部材から
生成する酸化鉄と金属酸化物被覆層内の金属が、スピネ
ル、イルメナイト、ペロブスカイト、ガーネット、もし
くはマグネトプランバイト等の安定な複合酸化物を形成
することにより、鉄系部材からの酸化鉄を撥水性被覆層
の下の金属酸化物層内でトラップし、撥水性被覆層への
析出を抑制する。その結果、耐熱性が向上する。
【0012】請求項3記載の発明では、撥水性被覆層内
に上記のような鉄系部材からの酸化鉄と安定な複合酸化
物を形成する金属が存在しているため、この酸化鉄を撥
水性被覆層内でトラップし、表面への析出を抑制する。
その結果、耐熱性が向上する。
【0013】請求項4記載の発明では、上記式で表され
る界面活性剤は鉄系部材の清浄表面に吸着され、SO4
Feの塩を形成し、鉄系部材と結合を形成する。上記界
面活性剤の硫酸溶液を塗布し、乾燥すると、吸着された
硫酸根に結合しているアルキル基が配列し、鉄系部材の
表面上に並ぶ。このアルキル基は一般に撥水性であり、
前記のように鉄系部材表面上に強固に固定されるため、
乾燥後安定な撥水性を示す。
【0014】
【課題を解決するための手段の補足説明】鉄系部材へ水
酸基を付加する方法は特に制限はなく、どのような方法
を用いてもよいが、例えば以下の方法が例示される。 1.鉄系部材を大気中において200 ℃以上、かつ再熱処
理を要しない温度、すなわち変態点以下で十分に加熱し
た後、水中で冷却する。 2.鉄系部材を高温の水蒸気に曝す。 3.鉄系部材を酸化性の酸、例えば硝酸に短時間浸漬
し、次いで蒸留水で十分に洗浄する。 上記の方法を数回繰り返すことにより多量の水酸基を鉄
系部材の表面上に付加することができる。
【0015】上記のような方法によって鉄系部材に水酸
基を付加した後、撥水性被覆膜を被覆する。この撥水性
被覆膜はいわゆるゾルゲル法によって形成される。この
ゾルゲル法とは、金属の有機もしくは無機化合物を溶液
とし、溶液中で該化合物の加水分解・重縮合反応を進ま
せてゾルをゲルとして固化し、ゲルの加熱によって酸化
物固体を製造する方法である。本発明においては、原料
として、金属アルコキシドとアルコキシル基の一部がフ
ルオロアルキル基により置換されたフルオロアルキル基
置換金属アルコキシドを用いる。
【0016】金属アルコキシドとは、下式 M(OR)n で表されるものであり、上式中、Mは金属であり、Rは
アルキルであり、nは金属Mの酸化数である。金属Mと
しては種々のものを用いることができ、目的とする金属
酸化物に対応するものを用いる。金属の例としては、限
定するものではないが、Li、Na、Cu、Ca、S
r、Ba、Zn、B、Al、Ga、Y、Si、Ge、P
b、P、Sb、V、Ta、W、La、Nd等を挙げるこ
とができる。アルキルとしては、メチル、エチル、プロ
ピル、ブチル等を用いることができる。従って、金属ア
ルコキシドとしては、LiOCH3、NaOCH3、Cu(OCH3)2 、Ca
(OCH3) 2 、Sr(OCH3)2 、Ba(OCH3)2 、Zn(OCH3)2 、B(OC
H3)3、Al(i-OC3H7)3、Ga(OC2H5)3、Y(OC4H9)3 、Si(OC2
H5)4、Ge(OC2H5)4、Pb(OC4H9)3、PO(OCH3)3 、Sb(OC
2H5)3、VO(OC2H5)3、Ta(OC3H7)5、W(OC2H5)6 、La(OC3H
7)3、Nd((OC2H5)3 が例示される。
【0017】フルオロアルキル基置換金属アルコキシド
は、上記金属アルコキシドのアルコキシル基の一部がフ
ルオロアルキル基で置換されているものである。このフ
ルオロアルキル基の存在により、得られた被膜に撥水性
が付与される。フルオロアルキル基置換金属アルコキシ
ドの量は多いほどその効果は高いが、逆に多くなると被
膜の強度が低下する。従って、その量は金属アルコキシ
ドの量の0.3 〜30モル%であることが好ましい。
【0018】これらの金属アルコキシドに水(加水分解
用)、アルコール(均質溶液調製用)、酸もしくは塩基
(触媒作用)を加え、溶液を調製する。アルコールとし
ては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノー
ル、ブタノール等が用いられる。触媒として用いられる
酸としては、塩酸、硫酸、酢酸、フッ酸が例示される。
塩基としては、処理後に揮発によって除去できるアンモ
ニアが用いられる。また、この溶液にゾルゲル法におい
て公知の添加剤、例えばアセチルアセトン等を加えても
よい。
【0019】こうして製造した金属アルコキシド溶液
を、鉄系部材表面に塗布する。塗布法は、ディッピン
グ、スピンコート、スプレー等の公知の塗布方法を用い
ることができる。塗布膜の厚さは特に制限はなく、通常
50〜1000nmである。
【0020】次いでこの塗布膜を焼成する。焼成工程は
ゾルゲル法における一般的な方法によって行ってよく、
大気中もしくは非酸化性雰囲気中で200 〜500 ℃におい
て行われる。大気中で焼成を行う場合は、フルオロアル
キル基の分解を防ぐため350℃以下で行うことが好まし
い。
【0021】鉄系部材へMn、Zn、Ni、Cu、M
g、Co、Fe、Ti、Zr、V、Sm、Eu、Gd、
Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Y、B
a、Sr、及びPbから選ばれた少なくとも1種の金属
の酸化物の被覆膜を形成する方法は特に制限はなく、ど
のような方法も用いることができ、上記のようなゾルゲ
ル法によっても形成することができる。
【0022】上記の金属は、鉄系部材から生成する酸化
鉄と反応し、安定な複酸化物を形成する。例えばMn、
Zn、Ni、Cu、Mg、Co、Feはスピネル型(セ
ン晶石型)構造の酸化物(MFe2 4)を形成する。T
i、Zr、Vはイルメナイト型(チタン鉄鉱型)構造の
酸化物(MFeO3)を形成する。Sm、Eu、Gd、T
b、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Yはペロブ
スカイト型(灰チタン石型)構造の酸化物(MFeO3)
又はガーネット型(ザクロ石型)構造の酸化物(M3
5 12) を形成する。さらに、Ba、Sr、Pbはマ
グネトプランバイト型構造の酸化物(MFe1219)を
形成する。
【0023】こうして上記の金属の酸化物被覆層を形成
した後、この上に上記と同様にして撥水性被覆層を形成
する。この金属酸化物被覆層の厚さは好ましくは50〜10
0nmである。
【0024】上記方法では、撥水性被覆膜の下層とし
て、安定な複酸化物を形成する金属の酸化物の層を形成
したが、この金属を撥水性被覆膜のマトリックス内に入
れてもよい。すなわち、撥水性被覆膜形成材料として、
上記の材料に加え、上記の安定な複酸化物を形成する金
属のアルコキシドを用い、上記のようにゾルゲル法によ
り鉄系部材上に被覆膜を形成する。
【0025】上記式Cn 2n+1SO4 - ・Na+ で表さ
れる界面活性剤は、pH3〜5の硫酸水溶液に、2×10
-1〜10-3M/Lの濃度で溶解して用いられる。硫酸のp
Hが3未満では硫酸塩(硫酸鉄)の形成が過度になり、
鉄系部材が過度の腐食をうけ好ましくない。またpH5
より高いと硫酸鉄の形成が十分でない。
【0026】上記界面活性剤の濃度が2×10-1/Lより
高いと、この界面活性剤はミセルを形成し、凝集してし
まうため、鉄系部材表面に配列せず、被覆膜を形成する
ことができない。この濃度が10-3M/Lより低いと、形
成された被覆膜に十分な撥水性が得られない。
【0027】この撥水性被覆膜は、硫酸根が塩を形成す
るものであれば、鉄に限らず他の物質、例えばニッケ
ル、アルミニウムに対しても同様に結合を形成し、界面
活性剤の長鎖アルキルに由来する撥水性を付与すること
ができる。
【0028】
【実施例】実施例1 マルテンサイト系ステンレス鋼板を空気中で300 ℃に加
熱後、水中に浸漬し冷却した。この処理を3回繰り返
し、鋼板表面に水酸基を付加した。次いで、1モルのテ
トラエトキシシランに1モルの水、0.01モルの塩酸、及
び21モルのエタノールを加え、70℃において1時間還流
した。この溶液に、2/9 モルのフルオロアルキルシラン
(CF3(CF2)7C2H4Si(OCH3)3)及び8モルのメトキシエタノ
ールを加え、室温において30分間攪拌した。得られた混
合物に11モルの水及び8モルのメトキシエタノールを加
え、室温において24時間放置した。こうして得られた溶
液を上記鋼板表面に塗布し、ウェット塗膜を形成した。
次いでこの塗膜を250 ℃において1時間焼成し、被覆膜
を形成した。こうしてサンプル1を製造した。
【0029】実施例2 マルテンサイト系ステンレス鋼板を200 ℃の水蒸気に30
分間暴露し、この処理を3回繰り返して鋼板表面に水酸
基を付加した。次いでこの鋼板表面に上記と同様にして
被覆膜を形成し、サンプル2を得た。
【0030】実施例3 マルテンサイト系ステンレス鋼板を1N以上の濃硝酸に
数秒浸漬した後、蒸留水で十分に洗浄した。この処理を
3回繰り返して鋼板表面に水酸基を付加した。次いでこ
の鋼板表面に上記と同様にして被覆膜を形成し、サンプ
ル3を得た。
【0031】以上のようにして製造したサンプル1〜3
と、マルテンサイト系ステンレス鋼板に水酸基を付加せ
ず直接上記と同様にして被覆膜を形成して製造した未処
理サンプルについて。その撥水性のめやすである接触角
を測定し、さらにこれらのサンプルを350 ℃の炉内に入
れ、等温加熱を行い、接触角の変化を調べた。この結果
を図1に示す。各サンプルについて、初期接触角はサン
プル1〜3の方が未処理サンプルよりも大きく、さらに
350 ℃での等温加熱により接触角の低下に差がみられ、
サンプル1〜3の方が未処理サンプルに比較してその低
下が小さく、耐熱性も本発明の方法により著しく向上し
ていることが明らかである。
【0032】実施例4 1モルの鉄テトライソプロポキシド、5モルのメトキシ
エタノール及び0.2 モルの2,4-ペンタンジオンを混合
し、この混合物を80℃において1時間還流した。次いで
この溶液に1モルの水及び5モルのメトキシエタノール
を加え、25℃において24時間放置した。こうして得られ
た鉄アルコキシド溶液をマルテンサイト系ステンレス鋼
板に塗布し、表面に酸化鉄被覆膜を形成した。次いでこ
の酸化鉄被覆膜上に実施例1と同様にしてテトラエトキ
シシラン及びフルオロアルキルシランを用いて撥水性被
覆膜を形成した。こうしてサンプル4を得た。
【0033】実施例5 鉄テトライソプロポキシドの代わりにマンガンジイソプ
ロポキシドを用いることを除き、実施例4と同様にし
て、MnO被覆膜上に撥水性被覆膜を有するマルテンサ
イト系ステンレス鋼板のサンプル5を得た。
【0034】実施例6 1モルのテトラエトキシシランに1モルの水、0.01モル
の塩酸、及び21モルのエタノールを加え、70℃において
1時間還流し、テトラエトキシシランの溶液を製造し
た。また、1モルのマンガンジイソプロポキシド、5モ
ルのメトキシエタノール及び0.2 モルの2,4-ペンタンジ
オンを混合し、80℃において1時間還流し、ジイソプロ
ポキシマンガンの溶液を製造した。これらの溶液を混合
し、80℃において1時間還流した。次いで2/9 モルのフ
ルオロアルキルシラン(CF3(CF2)7C2H4Si(OCH3)3)及び8
モルのメトキシエタノールを加え、室温において30分間
攪拌した後、さらに11モルの水及び8モルのメトキシエ
タノールを加え、室温において24時間放置した。こうし
て得られた溶液を上記鋼板表面に塗布し、ウェット塗膜
を形成した。次いでこの塗膜を250 ℃において1時間焼
成し、被覆膜を形成した。こうしてサンプル6を製造し
た。
【0035】以上のようにして製造したサンプル4〜6
と、マルテンサイト系ステンレス鋼板に撥水性被覆膜の
みを形成して製造した未処理サンプルについて。その撥
水性のめやすである接触角を測定し、さらにこれらのサ
ンプルを350 ℃の炉内に入れ、等温加熱を行い、接触角
の変化を調べた。この結果を図2に示す。各サンプルに
ついて、初期接触角はサンプル4〜6の方が未処理サン
プルよりも大きく、さらに350 ℃での等温加熱により接
触角の低下に差がみられ、サンプル4〜6の方が未処理
サンプルに比較してその低下が小さく、耐熱性も本発明
の方法により著しく向上していることが明らかである。
【0036】実施例7 pH 4.5の硫酸水溶液にC1123SO4 - ・Na+ を溶
解し、この3.2 ×10-2モル/リットル溶液を製造した。
この溶液に、表面を脱脂したSUS 340 基板を1分間浸漬
し、超音波をかけ引き上げた後、蒸留水で洗浄し、室温
において乾燥した。得られたサンプルについてその接触
角を測定し、結果を図3に示す。このサンプルは乾燥状
態において100 °程度の接触角を示し、水中に浸漬して
測定してもほぼ同レベルの接触角を示した。また、この
サンプルについて500g/cm2の面圧で乾布によって擦り、
接触角の低下について調べた。この結果を図4に示す。
2000回程度の摩擦では90°程度の接触角を維持してお
り、耐久性が高いことがわかる。
【0037】
【発明の効果】本発明の方法により、鉄系部材表面に水
酸基を付加させるもしくは酸化鉄被覆膜を形成する前処
理を施した後に撥水性被覆膜を形成すると、撥水性及び
耐久性が向上する。また、撥水性被覆層のマトリックス
内に特定の金属をいれることによっても得られる被覆膜
の撥水性及び耐久性が向上する。さらに、長鎖アルキル
の硫酸塩を被覆させることにより、撥水性及び耐久性が
向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜3において製造したサンプル1〜3
の撥水性及びその耐久性を示すグラフである。
【図2】実施例4〜6において製造したサンプル4〜6
の撥水性及びその耐久性を示すグラフである。
【図3】実施例7において製造したサンプルの撥水性を
示すグラフである。
【図4】実施例7において製造したサンプルの耐久性を
示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 横石 章司 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉄系部材の表面に水酸基を付加する工
    程、 金属アルコキシドとアルコキシル基の一部がフルオロア
    ルキル基により置換されたフルオロアルキル基置換アル
    コキシドとの混合溶液を前記水酸基を付加した鉄系部材
    表面上に塗布し塗膜を形成する工程、及び前記塗膜を焼
    成し、被覆膜を形成する工程からなる、鉄系部材に撥水
    性被覆膜を形成する方法。
  2. 【請求項2】 鉄系部材の表面にMn、Zn、Ni、C
    u、Mg、Co、Fe、Ti、Zr、V、Sm、Eu、
    Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、
    Y、Ba、Sr、及びPbから選ばれた少なくとも1種
    の金属の酸化物の被覆膜を形成する工程、 金属アルコキシドとアルコキシル基の一部がフルオロア
    ルキル基により置換されたフルオロアルキル基置換アル
    コキシドとの混合溶液を前記金属酸化物の被覆膜上に塗
    布し塗膜を形成する工程、及び前記塗膜を焼成し、被覆
    膜を形成する工程からなる、鉄系部材に撥水性被覆膜を
    形成する方法。
  3. 【請求項3】 金属アルコキシドと、アルコキシル基の
    一部がフルオロアルキル基により置換されたフルオロア
    ルキル基置換アルコキシドと、Mn、Zn、Ni、C
    u、Mg、Co、Fe、V、Sm、Eu、Gd、Tb、
    Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Ba、Sr、及
    びPbから選ばれた少なくとも1種の金属のアルコキシ
    ドとの混合溶液を鉄系部材の表面に塗布し塗膜を形成す
    る工程、及び前記塗膜を焼成し、被覆膜を形成する工程
    からなる、鉄系部材に撥水性被覆膜を形成する方法。
  4. 【請求項4】 pH3〜5の硫酸水溶液に下式 Cn 2n+1SO4 - ・Na+ (上式中、nは7〜15である)で表される界面活性剤を
    2×10-1〜10-3M/L溶解した溶液を鉄系部材に塗布
    し、乾燥することからなる、鉄系部材に撥水性被覆膜を
    形成する方法。
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