JPH08127034A - ポリカーボネートフィルムの製造方法 - Google Patents

ポリカーボネートフィルムの製造方法

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JPH08127034A
JPH08127034A JP26876694A JP26876694A JPH08127034A JP H08127034 A JPH08127034 A JP H08127034A JP 26876694 A JP26876694 A JP 26876694A JP 26876694 A JP26876694 A JP 26876694A JP H08127034 A JPH08127034 A JP H08127034A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 安全に経済的に、使用する溶媒の化学的変化
を伴わずに透明性等に優れたポリカーボネートフィルム
を製造する。 【構成】 本発明は、ドープを支持体上に流延し、フィ
ルムを製造する工程において、該溶媒としてジオキソラ
ンを主成分とする溶媒を用い、キャストしたドープを不
活性ガス雰囲気中で乾燥し、該雰囲気から排出された該
溶媒を含む不活性ガスを冷却された凝縮器に導き該溶媒
を不活性ガス雰囲気中で凝縮、回収する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,ポリカーボネートフィ
ルムの製造方法に関し、さらに詳しくは流延法により、
光学用途に適したポリカーボネートフィルムを製造する
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリカーボネートフィルムは包装用途、
光学装置、表示装置その他各種産業用途に使用されてい
るが、最近液晶表示装置など光電子装置において位相差
板、偏光板、プラスチック基板等の材料として注目さ
れ、その実用化が進められている。とりわけ、近年の液
晶デイスプレーなかでも、進歩が著しいSTN型液晶デ
イスプレー素子においては画像の視認性を向上させるた
めに液晶層と偏光板との間で使用する位相差フイルムと
して注目される。この位相差フイルムは、液晶層を透過
した楕円偏光を直線偏光に変換する役割を担っている。
そして、その材質は主としてビスフェノール−Aからな
るポリカーボネートの一軸延伸フイルムが用いられてい
る。その理由は、(1)透明性が高い、(2)屈折率異
方性を制御することが比較的容易である、(3)耐熱性
が比較的高い、(4)均質性が高い、など位相差板に要
求される性質が優れているからである。このフイルムは
均質性の面から、一般にはビスフェノール−Aからなる
ポリカーボネートの塩化メチレン溶液からキャスト製膜
される。位相差板用や液晶基板用フイルムは厚膜である
ため高濃度ドープからキャストする必要がある。このポ
リマーの溶解度は、ポリマーの重合度により異なるが通
常20重量%程度であり、十分に高いとは言えない。し
かも、ドープではポリマーは安定に存在せず、時間と共
に結晶化に伴う白濁化やゲル化が、特に、製膜過程で結
晶化(白濁化)が生じる場合が多い。
【0003】このような、ポリカーボネートフィルムの
製造にはその均一性を維持するため溶融押出し成形では
なく,溶液状態からの塗膜を乾燥させるキャスト法が使
用される。この溶液(ドープ)を作成する場合、これま
でポリカーボネートに対しては、主として塩化メチレン
等のハロゲン化炭化水素が溶媒として頻度高く使われて
いる。しかしながら、これらの溶媒は、ハロゲンを含有
しているので、その溶媒成分を蒸発、揮散させるに際し
て,空気中の水蒸気成分と反応して,例えば,塩化水素
で代表されるハロゲン化水素の副生が起こり、設備の腐
食、あるいは作業環境の劣化等、環境上の問題を生じる
可能性が多いと言われている。また塩化メチレンはその
沸点が室温に近く低いので、乾燥時の気化熱のためキャ
スト物表面の温度低下が大きく空気中の水分が表面で結
露する現象が起こりやすい。逆にその防止のため雰囲気
温度を上昇させるとキャスト膜中に急激な気化に伴う気
泡が発生しやすい。また得られたフィルムの残留溶媒量
をできるだけ少なくするためかなりの長時間の加熱乾燥
が必要であった。これはこの溶媒の沸点が低いため乾燥
の初期に表面の乾燥が急激に進み厚いスキン層を形成し
この層が後の乾燥速度低下に貢献するためではないかと
推定される。
【0004】一方ハロゲン元素を含有しない溶媒、テト
ラヒドロフランにポリカーボネートを溶解させ、ドープ
を作成する事も可能で、これを適当な基板に塗布、溶媒
の蒸発乾燥で、ポリカーボネートの薄膜を得る方法が考
えられる。しかしながら、テトラヒドロフランはポリカ
ーボネートの溶媒として良好とは言えない。例えば、ポ
リカーボネートのテトラヒドロフラン溶液の場合、ポリ
カーボネート樹脂濃度が10重量%を越すと、ポリカー
ボネートの分子量に依存する傾向があるものの、樹脂液
組成物を調製した後、時間と共に、該液組成物がゲル状
態に変化し、まず見かけの溶液粘度の上昇が認められ、
にごりの発生と共に、完全白濁状態のゲルとなり、最終
的には流動性が欠落する状態となるので、ドープとして
実用上に大きな問題がある。またテトラヒドロフラン溶
液をキャストした膜厚の大きいフィルムは乾燥途中で特
に白濁が発生し易い。
【0005】本発明者は先にこれらの問題の解決のため
ポリカーボネートの溶媒としてジオキソランを主成分と
する溶媒を使用する方法を提案した。
【0006】このジオキソランを含めて可燃性の有機溶
媒を含むフィルムの乾燥では爆発の危険があるため、通
常乾燥炉に多量の熱空気を導入し炉内の溶媒ガス濃度を
爆発限界の50%以下に押さえる方法が採られている。
しかしこの方法は乾燥初期の蒸発量が多くスキン層の発
達を抑えて均一なフィルムを効率的に得ることは困難
で、結果として乾燥にかなりに時間がかかる欠点があ
る。またこれらの方法は多量の空気を乾燥温度まで上昇
させるため多量の熱エネルギーを必要とし、経済的に有
利とはいえない。
【0007】また環状のエーテルであるジオキソランや
THF等は高温空気中では酸化されやすく過酸化物の生
成が懸念される。
【0008】さらに乾燥装置の排気ガスから溶媒を回収
する工程においては、通常多量の希薄ガスから有機物を
回収する場合には排気ガスを活性炭に吸着させ、そのよ
うにして吸着された有機溶媒を水蒸気等により脱着し、
その脱着物の蒸留精製が一般に工業的に行われる方法で
ある。しかしジオキソランはその特性として水と任意に
割合に混合可能であり、ジオキソランの脱着に水蒸気を
使用すると水分を多量に含有する共沸混合物が先ず得ら
れるのでその脱水精製が必要である。加えて前記のよう
にジオキソラン等の過酸化物を生成しやすい化合物であ
るのでこの回収の場合特に慎重な取り扱いが要求され
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は,ジオキソラ
ンを主成分とする溶媒にポリカーボネートを溶解しキャ
スト製膜することにより、特に光学用途に適したポリカ
ーボネートフィルムを製造するとともに、化学的に安定
にジオキソランを回収する方法の提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意研究し
た結果、ポリカーボネート樹脂を有機溶媒に溶解したド
ープを支持体上に流延し、これを加熱して該溶媒を蒸発
させフィルムを製造するに際し、流延したドープを不活
性ガス雰囲気中で乾燥し、その際使用した不活性ガス
を、冷却された凝縮器に導入して該溶媒を回収すること
により上記課題を解決し、経済的に有利に、化学的に安
全に且つ効率的な乾燥度で透明で均一なポリカーボネー
トフィルムが得られることを見い出した。
【0011】すなわち本発明は、溶媒にポリカーボネー
ト樹脂を溶解させた溶液組成物を基板上にキャストして
フィルムを製造する工程において、該溶媒がジオキソラ
ンまたはジオキソランを主成分とする有機溶媒であっ
て、該フィルムを実質的に密閉された不活性ガス雰囲気
中で乾燥し、かかる雰囲気から排出された該溶媒を含む
不活性ガスを冷却された凝縮器に導き、該溶媒を不活性
ガス雰囲気中で凝縮し回収することを特徴とするポリカ
ーボネートフィルムの製造方法である。
【0012】本発明は、ポリカーボネートフィルムをキ
ャスト法により製造するに際し、ジオキソランを主成分
とする溶媒を用い、特定の乾燥条件下で乾燥するもので
ある。このように特定の条件下で乾燥する結果、容易に
残存溶媒量の少ない透明性に優れたポリカーボネートフ
ィルムを得ることが出来るとともにジオキソランの化学
的変化を防止し安定な使用を可能にするものである。
【0013】本発明によれば、ジオキソランを主成分と
する有機溶媒にポリカーボネート樹脂を溶解させた溶液
組成物(ドープ)を用いてポリカーボネートフィルムを
製造する。ポリカーボネートの溶解に使用する溶媒は、
ジオキソランのみまたは60重量%以上がジオキソラン
である有機溶媒からなる。かかる溶媒が60重量%未満
になるとジオキソランとしての性能を有する溶媒として
は、機能することが少なく、好ましくない。かかる溶媒
はジオキソラン80重量%以上含むことが好ましく、ジ
オキソラン100重量%であることが特に好ましい。
【0014】40重量%以下の量で共存する溶媒として
は、例えば、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン,
ジオキサン等の環状エーテルからなる群より選ばれる少
なくとも1種のジオキソランと混和性のある溶媒であれ
ば,本発明のキャストフィルム用の安定なポリカーボネ
ートドープを作製することができる。これらの添加量や
種類は,例えばキャスト成形物表面の平滑性の向上(レ
ベリング効果)、蒸発速度や系の粘度調節などその溶媒
の添加目的およびその効果により決定することができ
る。
【0015】また本発明においてジオキソランと混合し
て使用する他の溶媒として,場合により塩化メチレンや
ジクロロエタンその他のハロゲン系溶媒、またはアセト
ン等のケトン系溶媒を使用することも可能である。
【0016】一般にドープから透明且つ平滑なフィルム
を成膜するにあたり溶液粘度は重要な因子である。溶液
粘度は樹脂濃度、分子量及び溶媒の種類に依存するが、
本発明に用いるポリカーボネート溶液の粘度は、好まし
くは500〜50,000cps、より好ましくは1,
000〜40,000cpsである。これを越えると溶
液の流動性が下がるため平滑なフィルムが得られないこ
とがある。また、これ未満では流動性が高すぎ、外部擾
乱のため表面の乱れが生じ、均質、平滑なフィルムが得
られないことがある。
【0017】本発明に用いるドープの溶液濃度はポリカ
ーボネートの分子量にも依存するが、一般には10〜3
5重量%、好ましくは12〜30重量%の範囲が用いら
れる。それを越えると溶液安定性が低下したり、溶液粘
度が高くなりすぎて、均一な膜を得ることが困難になる
ため好ましくない。また、それ未満では実行濃度が低下
するばかりかキャスト工程で外部擾乱による影響が受け
やすく、そのために表面均一性が低下して好ましくな
い。
【0018】上記ドープの粘度は樹脂の分子量によって
も影響を受ける。ポリカーボネートの分子量の表示方法
として、濃度0.5g/dlの塩化メチレン溶液中20
℃で測定した粘度平均分子量で表すと、本発明の実施で
好ましい分子量は10,000以上200,000以
下、さらに好ましい分子量は20,000以上120,
000以下である。
【0019】本発明で使用するポリカーボネートについ
て特に制約はない。希望するフィルムの諸特性が得られ
るポリカーボネートであれば特に制約はない。一般に、
ポリカーボネートと総称される高分子材料は、その合成
手法において重縮合反応が用いられて、主鎖が炭酸結合
で結ばれているものを総称するが、これらの内でも、一
般に、フェノール誘導体と、ホスゲン、ジフェニルカー
ボネート等からの重縮合で得られるものを意味する。通
常、ビスフェノール−Aと呼称されている2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパンをビスフェノール
成分とするポリカーボネートが好ましく選ばれるが、適
宜各種ビスフェノール誘導体を選択する事で,ポリカー
ボネート共重合体を構成することができる。かかる共重
合成分としてこのビスフェノール−A以外に、ビス(4
−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)シクロヘキサン(以下ビスフェノー
ル−Zと略記)、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)フルオレン(以下ビスフェノールFLと略記)、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5
−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒド
ロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)−2−フェニルエタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,
1,3,3,3−ヘキサフロロプロパン、ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)サルファイド、ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)スルフォン等をあげることができる。このよ
うな構成単位をビスフェノール−Aからなるポリカーボ
ネートの構成成分の一部に使用することによりポリカー
ボネートの性質、例えば耐熱性、溶解性を改良すること
ができることは周知の事実である。
【0020】本発明により、残存溶媒量の低いポリカー
ボネートのキャストフィルムを容易に得ることができ
る。例えば、塩化メチレンの沸点40℃に対して本発明
のジオキソランの沸点は76℃であるが、同様の乾燥条
件下で処理した場合の残存溶媒量に有意な差はない。
【0021】本発明においてキャスト法によりポリカー
ボネートフィルムを製膜する方法について、以下に詳細
に説明する。まず本発明によるポリカーボネートのジオ
キソランを主成分とする溶液を、20℃以上から溶媒の
沸点近く(ジオキソラン単独使用の場合には約60℃)
まで、即ち急激な溶媒の蒸発による発泡が起きない程度
に加熱された、ガラス、ステンレス、フェロタイプ板ま
たは場合によりポリエチレンテレフタレート、ポリエチ
レン2,6−ナフタレート等のプラスチックフィルム基
板の支持体上に流延した後、加熱し、溶媒を蒸発させる
ことによりおこなわれる。キャストに使用する溶液の温
度もキャスト支持体に近い温度であることが好ましく、
本発明の場合20℃以上溶媒の沸点近辺(沸点の約10
℃以下程度)が好適である。
【0022】キャスト工程ではダイから押し出す方法、
ドクターブレードによる方法、ロールコーターによる方
法等が用いられる。工業的にはエンドレスベルトまたは
ドラムのような金属の支持体の上にダイから溶液を押し
出す方法が一般的である。溶液から製膜し高度に平滑な
塗膜を目的とする場合、溶液の流動性による整形(レベ
リング)効果を有効に利用する必要がある。このためキ
ャスト後、ある程度の時間以内は乾燥を出来るだけ抑制
し、膜表面に於ける溶液の流動性を確保することが望ま
しい。この時間は使用する溶媒、乾燥条件、膜厚などに
より大きく変動する。通常このレベリング時間は数分程
度とされる。この時間が長過ぎるとこの間に周囲の埃を
拾ったり、不必要な流動を惹起したりして好ましくな
く、逆にこの時間が非常に短い場合にはレベリングが十
分に行われない恐れがある。
【0023】基板上にキャストされ、レベリングにより
十分平滑になった液膜は次に乾燥工程に入る。この乾燥
工程は、初期乾燥工程および後乾燥工程の二つの行程か
らなる。初期乾燥の目的は、出来るだけ短時間内に出来
るだけ多量の溶媒をレベリングされたフィルムの形態を
変化させること無く、蒸発させることにある。急激な蒸
発を行うと膜面が発泡による変形を受けるなど好ましく
ないことが多いので乾燥温度、風量など乾燥速度を制御
する要因には細心の注意を払う必要がある。
【0024】本発明に於ける初期乾燥の温度は、具体的
には好ましくは30〜130℃、より好ましくは40〜
120℃の範囲で実施される。この際、この温度の範囲
で逐次または連続的に昇温乾燥を行うと、高度に平滑性
を保持したフィルムを効率的に得ることが出来る。通常
初期乾燥工程では、キャスト支持体と共に加熱乾燥する
が、ある程度溶媒が揮散しフィルム形状保持能が十分に
なった後、支持体よりフィルムを引き剥し、後述する後
乾燥工程に入り、両面から十分な蒸発をおこなう。この
初期乾燥工程終了時、すなわち支持体からフィルムを剥
離する時のフィルム中の残留溶媒量は約35wt%〜1
0wt%が好ましい。かかる残留溶媒量が35wt%よ
り多い場合にはフィルム強度が十分でなく変形、傷等を
生じやすくまた10wt%より残留溶媒量が少ない場合
には剥離困難になる場合もあり好ましくない。
【0025】位相差フィルム、液晶用プラスチック基板
用フィルム等、特に均一性が要求されるフィルムを製造
する際には支持体から剥離されたフィルムの乾燥(以下
本発明では後乾燥と略記する)は特に慎重に行われる必
要がある。この工程では、一般にピンテンター方式やロ
ール懸垂方式でフィルムを搬送しながら乾燥する方式が
採られる。ピンテンター方式では、フィルムの自重、溶
媒蒸発による収縮、あるいは風圧等のためフィルムに不
均一に力が加わる。またロール懸垂方式でも巻き取りの
ために加わるMD方向の力、風圧等により加わる力は避
けられない。これらの力は僅かのようでもあるが、高度
に光学的均一性を備えたフィルムの製造工程に於いては
重要な問題である。しかもこの後乾燥工程の初期に於い
てはフィルムが大量の残留溶媒を含むために、特にこれ
らの力の影響を受け変形しやすい状況にあるからであ
る。本発明に於いてこの後乾燥工程を
【0026】
【数1】(Tg’−50℃)≦T≦Tg’ [但し,Tg’(℃)は残留溶媒を含むフィルムのガラ
ス転移温度である。]の温度(T)でTg’の乾燥に伴
う推移に合わせて連続的又は逐次的に昇温して乾燥する
のが有利である。通常は大略100〜150℃で後乾燥
することが望ましい。
【0027】このようにキャスト製膜法により得られる
フィルムは一般に外観(均質性)に優れるが、溶媒の残
存を避けることが難しいとされている。かかるフィルム
中の残留溶媒量が多いとその揮散による寸法の変動を無
視することが困難で、加工時の収縮や長期の使用時に変
形が発生するなど好ましくなく、液晶表示装置などの用
途には適さないとされている。本発明により製造される
ポリカーボネートフィルム中の残留溶媒量は好ましくは
3重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下であ
る。
【0028】本発明によれば、支持基板上にキャストさ
れた上記溶液組成物(ドープ)は、不活性ガス雰囲気中
で(初期)乾燥され、目的のポリカーボネートフィルム
が形成される。乾燥は、かかる雰囲気の状態を保つた
め、実質的に密閉された乾燥炉等で行う必要がある。
【0029】上記不活性ガスは窒素または炭酸ガスを主
成分とするガスが好ましい。その他ヘリュウムガス、ア
ルゴンガスあるいはフロンなどがあるがその特性や経済
的に有利ではない。
【0030】上記不活性ガスは、乾燥工程で行われる温
度に加熱されて乾燥炉等の実質的に密閉された乾燥炉等
の空間へ導入される。
【0031】上記不活性ガス中の酸素濃度は好ましくは
10(vol)%以下、より好ましくは8(vol)%以下、さら
に好ましくは5(vol)%以下である。酸素濃度が10(vo
l)%より高い場合には爆発的燃焼が起こる可能性が高く
なる。酸素濃度は上記条件を充足すればよく技術的に下
限は無く、経済的に適宜決定する。
【0032】本発明においては、上記不活性ガス雰囲気
中では、ジオキソラン溶媒の空気中における爆発限界で
ある2vol%を超えても爆発の危険がないため、該溶媒
ガスをより高濃度にすることが可能である。該溶媒ガス
濃度は、3vol%以上、より好ましくは10%以上であ
ることが、後述の実施例で示すように、フィルムの乾燥
工程全体からみた乾燥速度が大きく、また溶媒の回収効
率等の面から望ましい。かかるガス濃度は3(vol)%よ
り低い場合には、そのガス濃度のバランスを保つため大
量の加熱された気体を導入するか、または塗工速度を極
端に押さえる必要がありいずれにしても本発明の主旨か
らは好ましい方向ではない。またかかるガス濃度の上限
は積極的に規制する要因はないが、溶媒ガスの露点など
回収操作を考慮して決定することができるが、乾燥温度
における飽和蒸気濃度の50%が好ましい。それ以上で
は乾燥速度が低下することがある。かかる溶媒ガス濃度
は、不活性ガスの乾燥炉等への導入量、あるいは乾燥炉
等からの排出量によって適宜調整することができる。
【0033】通常ガス濃度は低くすることにより移動速
度を高く保つことができると信じられていたが、驚くべ
きことに、溶媒の蒸発は、それのガス濃度が20(vol)
%のように高いガス濃度においても爆発の危険がないた
めにスムースに進行し、結果として通常の場合より全体
としては早い乾燥速度を有することが示された。
【0034】このような独特の乾燥条件で乾燥すること
により初期の乾燥速度が抑えられ、それに付随してフィ
ルムのスキン層の発達が抑制された結果、トータルとし
て乾燥速度を高く維持できるためと推定される。
【0035】上記乾燥に使用した不活性ガスは、乾燥炉
等の不活性ガス雰囲気中から排出され、冷却された凝縮
器へと導かれる。この導入された不活性ガスは冷却され
ると、含有するジオキソランを主成分とする溶媒ガスが
凝縮されて溶媒を回収することができる。このようにし
て得られた溶媒は、従来の方法により得た溶媒に比べて
水分の含有率が低いので、脱水精製する必要がない。ま
た不活性ガス雰囲気中で行うことで、過酸化物の生成を
低く抑え、酸化されやすいジオキソラン溶媒を安定に得
ることが可能になる。
【0036】本発明の実施には通常の乾燥機の空気導入
部に流量調整装置を付けた窒素等の不活性ガス源を連結
し、排気口に冷却凝縮方式の溶媒回収装置を接続するこ
とにより実質的に不活性ガス雰囲気中で溶媒を回収する
ことが可能である。このような装置についてはすでに技
術的に整備されている(特公昭55−36389号公
報、特公昭59−21656号公報)。
【0037】本発明により得られるフィルムの膜厚は、
溶液製膜法の特徴を活かせる範囲で有れば特に制約はな
いが、通常キャスト法が有利に実施できるのは、その膜
厚500μm以下、好ましくは200μm以下である。但
し、多段キャスト法やラミネート法等の活用により所望
の大きい膜厚の製品を得ることは可能である。
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、ジオキソランを主成分
とする溶媒にポリカーボネートを溶解して得られるポリ
カーボネートドープを使用し、不活性ガス雰囲気中で乾
燥することにより、均一なポリカーボネートのキャスト
フィルムを得ることができる。特に、酸素濃度が低いか
かる雰囲気中では爆発の危険がないために、溶媒のガス
濃度を高くでき、そのため該フィルムの乾燥速度が大き
くなり、該フィルムを効率的に製造することができる。
また乾燥炉の排気ガスを凝縮器に導入することにより、
溶媒に由来する過酸化物の生成を抑えることができ、同
時に水分率の低い溶媒を回収することが出来る。さらに
多量の加熱空気を送り込むのに必要な多大の熱エネルギ
ーが不要であり、経済的に有利である。
【0039】
【実施例】以下に、実施例により本発明を詳述する。各
項目の測定方法は次の通りである。 残留溶媒量:サンプリング試料を150℃で16時間乾
燥し、該乾燥前後の重量測定から求めた。 Haze値 :(株)島津製作所製紫外可視分光器(UV
−240)を使用して測定した。 複屈折値 :神崎製紙(株)製自動複屈折計(KOBR
A−21AD)を使用、590nmの可視光における複
屈折値を測定した。 ガス分析 :乾燥炉内のガス2mlを採取し熱電対型の
ガスクロマト装((株)島津製作所GC−14A装置)
を使用した。 酸素濃度 :NEWTRONICS社(米)製ガルバニ
ー電池方式酸素濃度計"31-669-123000-1"型を使用して
測定した。 水分量 :1H−NMR法により水分量を求めた。 過酸化物量:1H−NMR法により過酸化物量を求め
た。
【0040】[実施例1〜3および比較例1]ビスフェ
ノールAとホスゲンとから得られたポリカーボネート樹
脂(粘度平均分子量:3.7×104)をジオキソラン(DXLと
略)に加えて50℃で十分撹拌を行い、20重量%溶液
を作成した。このドープをコンマコーターを使用し、1
00μmのポリエステルフィルム基板上にギャップを
0.4〜0.8mmになるように調節して塗工した。基板
上の塗布物は、全長6mあり各2mづつ3セクションよ
り構成されている乾燥炉にて初期乾燥し、そのときの乾
燥条件を違えることにより3種のフィルムを製膜した。
3種類の各フィルムの各セクションにおける乾燥条件は
表1の通りである。塗工速度は2m/minに設定した。
【0041】
【表1】
【0042】乾燥炉から出てきた塗布物を支持体である
ポリエステルフィルム基板からそれぞれ剥離した。この
ときの各フィルムの膜厚を表1に併記した。
【0043】続いて後乾燥として、得られた各フィルム
を通常の空気中の乾燥炉中で130℃、風速1m/se
cの条件下にて乾燥を行った。その際、所定時間におけ
るフィルムの重量から、そのフィルム中の残留溶媒量を
測定し、それぞれのフィルムの乾燥速度を比較した。結
果を表2に示す。比較のため、空気中で初期乾燥して得
たフィルムについてもその乾燥速度を測定した(比較例
1;初期乾燥条件は表1に示した)。
【0044】この結果、初期乾燥終了時でのフィルム中
の残留溶媒量が多いにも拘わらず、その後の乾燥速度は
不活性ガス雰囲気で初期乾燥をしたフィルムの方が大き
いことが明らかである。こうして透明なフィルム(ヘー
ズ値0.6)が得られた。これらのフィルムのリターデ
ーション値は4nmであった。
【0045】
【表2】
【0046】[実施例4および比較例2]実施例1〜3
の初期乾燥を行ったその不活性ガス雰囲気の排気成分
を、液体窒素を冷熱源に使用した凝縮器に導き、抽気中
の有機成分を凝縮させた(大阪酸素工業(株)ASRS
−120S装置使用)。このようにして回収したジオキ
ソランのNMR測定を行い、ジオキソラン中に含まれる
有機過酸化物、及び水分量の定量を試みた。その結果を
表3に記す。表に示されたように本発明の方法によれば
ジオキソランの酸化を実質的に伴うこと無く塗布乾燥、
回収を行うことができた。
【0047】溶媒の回収に関しては比較例2において、
50℃に加熱したジオキソランを含むフラスコに底部か
ら空気を吹き込み、ガス排出口に粒状の活性炭を充填し
たガラス管を装着し30分以上ジオキソランを含むガス
を流してジオキソランを吸着させた。次にフラスコから
ジオキソランを抜き取り、水と置換し加熱して沸騰させ
るとともに活性炭を装着したガラス管の周囲に巻いたリ
ボンヒーターに通電し、130〜150℃に活性炭を加
熱し、管の出口にはジムロート型のコンデンサーをつな
ぎ排出物を凝縮させた。得られた混合物を蒸留し得られ
た共沸物は便宜的にモレキュラーシーブで脱水した。こ
のジオキソランについて含有される過酸化物量および水
分量を測定した。その結果を、未使用のジオキソランの
データとともに表3に併記した。
【0048】
【表3】
【0049】この結果から、本発明により回収されたジ
オキソランは、従来に比べ水分量が大幅に抑えられてい
ることがわかった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩田 薫 東京都日野市旭が丘4丁目3番2号 帝人 株式会社東京研究センター内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶媒にポリカーボネート樹脂を溶解させ
    た溶液組成物を基板上にキャストしてフィルムを製造す
    る工程において、該溶媒としてジオキソランまたはジオ
    キソランを主成分とする有機溶媒を用い、かつフィルム
    状にキャストした溶液組成物を実質的に密閉された不活
    性ガス雰囲気中で乾燥し、かかる雰囲気から排出された
    該溶媒を含む不活性ガスを冷却された凝縮器に導き、該
    溶媒を不活性ガス雰囲気中で凝縮し回収することを特徴
    とするポリカーボネートフィルムの製造方法。
  2. 【請求項2】 不活性ガス雰囲気中で乾燥を行うに際
    し、該雰囲気中の溶媒ガス濃度が3vol%以上であるこ
    とを特徴とする請求項1記載のポリカーボネートフィル
    ムの製造方法。
  3. 【請求項3】 溶媒としてジオキソランまたはジオキソ
    ランを60重量%以上含有し、残りの成分がシクロヘキ
    サノン、テトラヒドロフランおよびジオキサンからなる
    群より選ばれる少なくとも一種の有機溶媒を用いる請求
    項1記載のポリカーボネートフィルムの製造方法。
  4. 【請求項4】 不活性ガスが、酸素濃度10vol%以下
    である窒素ガスまたは炭酸ガスを主成分とするガスより
    なることを特徴とする請求項1記載のポリカーボネート
    フィルムの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
AT510134A1 (de) * 2010-07-08 2012-01-15 Schneller Llc Lösungsmittel-gegossene flammhemmende polycarbonat-beschichtungen, - filme und -laminate

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