JPH0814009B2 - 極低酸素チタンの製造方法 - Google Patents

極低酸素チタンの製造方法

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JPH0814009B2
JPH0814009B2 JP21365890A JP21365890A JPH0814009B2 JP H0814009 B2 JPH0814009 B2 JP H0814009B2 JP 21365890 A JP21365890 A JP 21365890A JP 21365890 A JP21365890 A JP 21365890A JP H0814009 B2 JPH0814009 B2 JP H0814009B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、チタンの熱力学的考察に基づいてチタンの
脱酸反応に生じる種々の問題点を解決することにより、
極低酸素のチタンの製造、及びチタン成形品の量産型直
接脱酸方法を開発したものである。
本発明の方法によると、酸素を多く固溶するチタン成
形品の形状を変えずに直接に脱酸し、極低酸素のチタン
製品を製造することが可能である。製造される多量の極
低酸素のチタンは延性に優れているため、これを使用す
ることにより、チタン極細線、チタン極薄膜やチタンシ
ート等の製造が可能になる。これ等はアルミ箔、アルミ
缶、アルミ線等、従来アルミニウムが占めていた適応分
野におき代わり得る製品である。本発明によるとアルミ
ニウムより耐食性、耐熱性に優れたチタン製品が広く産
業界に利用され新材料技術の進展に寄与し得る。
(従来の技術) チタンは靱性が大きく、軽量で、しかも耐食性が優れ
ているという特質から航空機等の構造用材料、化学工業
における耐食性容器材料として利用されている。市販さ
れている工業用純チタンの純度は99〜99.5mass%の程度
で、不純物は侵入型と置換型の不純物に大別される。侵
入型の不純物は、酸素・窒素及び水素等のガス成分や炭
素をさし、置換型の不純物には鉄・マンガン・シリコン
などの金属元素があげられる。置換型不純物はチタンの
機械的特性を向上させるものが多いか、侵入型不純物は
チタンの硬さや引張り強度に悪影響を及ぼす効果があ
る。特に酸素が不純物として含有されると低温に於ける
靱性が劣化し、チタンの塑性加工を阻害するので酸素は
極めて注意を要する不純物元素である。
チタンは、酸素との親和力が非常に強いため、マグネ
シウムやカルシウム等の還元剤を作用させても、直接に
チタン中の酸素を除去し100mass ppmを下回るチタンを
得ることは不可能であった。
現在量産されているチタンは、金属マグネシウムやナ
トリウム等の還元剤を用いて、四塩化チタン(TiCl4
を還元することによって製造されている。酸素が関与し
ない還元反応を利用しているため、原理的には酸素を含
まないチタンの製造が可能であるが、原料や反応容器等
からの汚染は避けられず、通常500mass ppm以上の酸素
を含有するチタンが製造されている。チタン中に溶解し
た不純物の酸素を取り除く手段はこれ等の工業プロセス
にはない。このため汚染源を管理することによって、極
力侵入型不純物量を少なくしたELI(Extra Low Inrters
titial)品位のチタンとして低酸素濃度(200mass pp
m)の高品位チタンが工業的に生産されているが、この
チタンより更に高純度のチタンの量産は従来の方法では
不可能であった。
沃素法を用いて量産チタンを精製し、さらに高純度の
(数10mass ppm)のチタンを製造することができるが、
沃素化チタンガスの熱分解を利用しているため反応速度
が遅く量産に適していない。
(発明が解決しようとする課題) 以上の従来方法では、以下に列記するいくつかの解決
すべき問題点が存在していた。
(1) チタン中に固溶した不純物酸素を直接取り除く
効果的な脱酸剤がなかったため、汚染源を管理し不純物
の混入を除去するためにコストがかかっていた。
(2) 100ppmを下回るチタンを製造する場合、沃素法
を用いるしかなく原料チタンを再度ガス化するため、原
料の形状を変えずに極低酸素のチタンを得ることは不可
能であった。
(3) 酸素を多く含んだチタンスクラップは、上記量
産方法のチタンの原料として再びハロゲン化して精製し
還元する以外には、効果的に酸素を取り除く方法がなか
った。
(4) 従来の方法は、プロセスが複雑なため、大型化
・連続量産化に適していなかった。
(課題を解決するための手段) 本発明者等は極低酸素チタンの製造方法として、 (A)カルシウムによるチタン中の酸素の脱酸、 (B)ハライド系フラックスを用いた脱酸反応の促進、
及び (C)副生成物のカルシアの活量がフラックスによって
減少することに起因する脱酸限界の低下等の相乗効果の
結果として、極低酸素チタンの製造が可能になるとの知
見を得、鋭意研究の結果、大略以下のような工程の組合
せに基づく製造方法を発明するに至った。
本発明は、以下の製造原理、各々の方法の最適な適用
条件と新規な作製装置、それらの組合せ方法についての
詳細を解明し達成したもので、本発明は極低酸素のチタ
ンを原料の形状を変えずに多量に製造する方法に関する
ものである。
本発明は、酸素に関して純度の高い塩化カルシウム、
塩化バリウム、塩化マグネシウム、フッ化カルシウムの
何れか一種または二種以上の混合物よりなるフラックス
を真空排気中で加熱保持し、水分及び炭酸ガスより成る
不純物を充分に除去した後、チタン原料と共に容器に入
れる第1工程と、これを750℃〜1200℃の温度範囲に加
熱し、カルシウムを気体液体状でチタンに作用させてチ
タン中の酸素を脱酸する第2工程と、脱酸されたチタン
から、副生成するCaOを含む塩化カルシウム、塩化バリ
ウム、塩化マグネシウム、フッ化カルシウムの何れか一
種または二種以上の混合物よりなるフラックスを鉱酸、
有機酸、塩化アンモニウム水溶液、アンモニウム塩水溶
液、ショ糖水溶液より選択した何れか一種または二種以
上により溶解除去し、脱酸した純粋チタンのみを取り出
す第3工程とよりなることを特徴とする極低酸素チタン
の製造方法の工程である。
(作 用) 本発明の工程の概略を工程順に説明すると次の通りで
ある。
第1工程 フラックスの準備 酸素に関し純度の高い無水塩化カルシウム、塩化バリ
ウム、塩化マグネシウム、フッ化カルシウム又は塩化カ
ルシウム等に酸化イットリウムを加えた混合フラックス
は真空排気中で約1日間227℃で加熱保持し、水分及び
炭酸ガスより成る不純物を充分に除去して容器中に入れ
ることが必要である。
ただし、この工程は原料の純度により省略可能であ
る。
第2工程 脱 酸 反応容器を750℃〜1200℃の温度範囲に加熱し、高温
下でカルシウムを気体又は液体状でチタンに作用させ
て、チタン中の酸素を脱酸する工程で、カルシアの活量
が低いフラックス中に浸したチタンにカルシウム蒸気が
フラックス中に溶け込んで作用したチタン中の酸素を取
り除くのである。
第3工程 精 製 脱酸されたチタンから副生成するCaOを含む塩化カル
シウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、フッ化カル
シウムの何れか一種または二種以上の混合物よりなるフ
ラックスを鉱酸又は酢酸水溶液等の有機酸或いは塩化ア
ンモニウム水溶液、アンモニウム塩水溶液、ショ糖水溶
液より選択された何れか一種または二種以上により溶解
除去し、フラックスをチタンから溶解分離し、脱酸した
純粋チタンのみを取り出す第3工程である。
本発明の原理は、カルシウムによるチタン中の酸素の
除去の際に副生成するカルシア(CaO)をハライド系フ
ラックスに溶解させることにより、酸素量低減の妨害と
なるカルシアの影響を極力少なく抑え込むことが重要で
ある。このために選択されるべきフラックスは、金属カ
ルシウムの存在下でも分解せず安定な液体であり、かつ
カルシアを溶解又はカルシアと安定な化合物を形成する
ことによりカルシアの活量を下げ得るものであり、かつ
金属カルシウムの活量を低下させることがないフラック
スでなければならない。本発明の工程を適用できるフラ
ックスは、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、フッ化
カルシウム等のアルカリ土類ハライドであり、反応温度
で液体状態となるよう設定すればこれ等を単体で使用す
ることも、所定の割合で混合して用いることも可能であ
る。さらにこれ等のフラックスに酸化イットリウムを添
加することも可能である。
このようなフラックス中に浸漬した原料チタンはフラ
ックス及びチタンと分離して設置された金属カルシウム
液体より蒸発する蒸気により脱酸されるが、副生成する
カルシアはフラックスに溶解し脱酸反応を阻害しない。
より効果的に脱酸するためにはフラックス中の水分、炭
酸ガス等を除去する前処理が必要である。また、脱酸後
にフラックス中に埋まっているチタンを回収するための
湿式処理が必要である。これ等に加えて脱酸反応中に雰
囲気ガスからの酸素が混入しないような容器、手法を組
み合わせることによって数10mass ppmという極低酸素チ
タンを製造することが可能となる。
本発明の極低酸素チタンの製造方法は密閉容器内で行
われる。この容器内に脱酸剤である金属カルシウムと極
低酸素濃度実現に不可欠なフラックス、及び原料である
高酸素濃度チタンを封じ込める。ここで脱酸剤として金
属カルシウムを用いるのは、酸素と強い親和力を持つチ
タンを脱酸するためである。金属カルシウムは800℃以
上で実用レベルの反応速度で脱酸反応に寄与し得る。こ
のような脱酸温度で、以下に述べる条件を満足するよう
なフラックスを適用する。
(1) 金属カルシウムの存在下で分解せず安定な液体
であること。
(2) カルシアを溶解すること、もしくは、カルシア
と安定な化合物をつくること。すなわち、カルシアの活
量を低下させる働きがあること。
(3) 金属カルシウム中にフラックスの成分が多く溶
解しないこと。すなわち、金属カルシウムの活量を低下
させないこと。
本発明では次の材料よりなるフラックスを使用する。
塩化カルシウム(CaCl2) 塩化バリウム、(BaCl2) 塩化マグネシウム(MgCl2) フッ化カルシウム(CaF2) これ等は単体で使用することができるが、融点、蒸気
圧を制御するためにこれ等を混合して用いてもよい。こ
れ等は、反応できる温度で液体となり、カルシアをその
液体に溶解させることができる。また、上記のフラック
スに酸化イットリウムを添加する方法も有効である。こ
れは、酸化イットリウムはカルシアと反応して安定な複
合酸化物を形成し、カルシアの活量を著しく低減できる
からである。
(実施例) 本発明の実施例では、高純度の無水塩化カルシウムと
無水塩化バリウムのアルカリ土類ハライド系フラックス
を本発明に使用した。また、無水塩化カルシウムと酸化
イットリウムを混合したフラックスの例について述べ
る。
以上の脱酸剤及びフラックスを用いる場合、それ等の
化学的安定性、反応性を考慮し、反応温度は750℃〜130
0℃とする。
密閉された容器内の化学反応は以下のようである。す
なわち、750℃〜1300℃の下ではカルシウムは液体とな
って蒸気を発生し、容器内にその飽和蒸気が充満する。
このカルシウム蒸気は、フラックスに溶解し、チタンに
作用してチタン中の酸素と反応し、極低酸素チタンまで
脱酸し、自らはカルシア(CaO)に変化してフラックス
中に溶解する。
O(inTi)+Ca(1iq.in flux) =CaO(1iq.in flux) …(1) 以上、説明いた反応は、フラックスを利用し副生成物
のカルシアの活量を低下させ効果的な脱酸を狙ったもの
である。フラックス中のカルシアの飽和溶解度と、実際
に溶解しているカルシアの溶解度の比が、カルシアの活
量を決めることになり、このカルシアの活量によってチ
タン中の酸素脱酸限界がきまる。フラックスを用いずに
カルシウムのみでチタンを脱酸した場合、約500mass pp
m程度まで脱酸が可能であるが、これ以下の脱酸は原理
的に不可能である。本発明による方法では、フラックス
を利用してカルシアの活量を1/10以下に低下させ、約10
0mass ppmを下回る酸素含有量のチタンを製造すること
が可能である。
実施例1 脱酸剤である金属カルシウムは市販の塊状のものを用
いる。フラックスは真空中で約1日間227℃程度の温度
で保持し、水分や炭酸ガス等の不純物を除去しておく。
この操作は脱酸を効果的に行うために必要なものであ
る。第1図に示すように、100gのフラックス1と、種々
の酸素濃度を含むチタン2のワイヤーや塊片等を10〜20
個(各0.1ないし2g程度)チタン製の容器3の中にい
れ、これ等をステンレス容器4の中に入れ密封した。還
元剤のカルシウム7は、ステンレス容器4とチタン製の
容器3の間に設置した。フラックス1と還元剤7をチタ
ン製容器3を隔てて設置することによって、カルシウム
中の不純物のカルシアがフラックス中に混入するのを防
ぐと同時に、昇温時にフラックス中の揮発性不純物であ
る水分や炭酸ガスをカルシウムと化合させフラックスを
効果的に用いることができる。しかしながら、不純物の
少ないカルシウムを用いる場合、上記チタン容器中にフ
ラックス、チタンと共にカルシウムを設置してもよい。
これ等を、ステンレス製の上蓋6及び底蓋5を施して
アルミナ製反応管10内に収めた。次に、反応管10内の空
気をアルゴンガス11で置換後、加熱し、これを750℃〜1
200℃の温度範囲で、24時間程度保持した後、冷却し
た。空気を排気するのは、空気中の酸素及び試料中の水
分による脱酸剤の消耗を防止するためと、窒素によるチ
タン窒化物の形成を防止するためである。
脱酸反応を完全に実施させるためには、脱酸剤・フラ
ックス及び原料のチタンを内蔵する反応容器の密閉性を
高めることが必要かつ重要であり、特に留意する必要が
ある。
密閉するためには空気を排気した後、ステンレス容器
を溶接等の接合の方法によって外気と遮断する方法が一
般的であり、本発明に対してもこの方法を用いることが
できる。しかしながら、この方法では脱酸反応終了後に
容器内部の試料等を取り出すためには容器を破壊しなく
てはならない。
従って、ステンレス容器の再利用を目的として、本発
明では、第1図に示した方法を開発したものである。た
とえば第1図で説明した方法では、容器4とステンレス
製の薄い底板18を挟むように上蓋6と底蓋5をボルト16
とナット17で上下から圧着することによって、脱酸剤の
流出と外部からの酸素ガス等の流入を防いでいる。脱酸
反応終了後にはボルトを緩めることによって簡単に容器
内の試料等を回収できる。
過剰に存在するカルシウムは反応温度では液体となっ
てステンレス製の板18とコップ状ステンレス容器4の空
隙を埋め、シール剤の役割を果たす。なお、ステンレス
製反応容器中のチタン製の容器3は、ステンレスと反応
しないようモリブデン製の箔13で隔絶されている。原料
のチタン2と接触する可能性のある容器3はチタン製で
あるが、反応容器4及び板18は金属カルシウムと反応し
ない材質のもので反応温度で耐熱性を有するものであれ
ばステンレス鋼以外のものでもよい。
実施例2 横型の電気炉を使用して多量に極低酸素チタンを得る
実施例を第2図に示す。反応容器として一端閉じステン
レス製パイプ20を用いた。容器内には原料チタン21及び
フラックス22をチタン製ルツボ23に入れて設置した。ル
ツボ23が直接ステンレス製パイプ20と接触すると反応し
化合するので、両者と反応しないモリブデン製の箔24で
ルツボはパイプと絶縁されている。脱酸剤の金属カルシ
ウム25はパイプ内にチタン及びフラックスと接触しない
よう設置した。ステンレス容器は、空気を排したのち溶
接されるので、容器内は真空あるいは不活性ガス雰囲気
26であり、外気と遮断される。ステンレス容器20は、真
空中あるいは不活性ガス雰囲気27下で電気炉によって所
定温度に加熱される。
所定時間保持の後、発熱体28と炉芯管29等よりなる電
気炉を冷却し、ステンレス製パイプ20を炉より取り出
し、切断して管内の試料を取り出す。この方法は、脱酸
剤の漏洩を防ぐことができるので、第1図に示し方法に
比べ脱酸反応を完全にすることができる長所がある。
湿式分離 以上の脱酸反応の結果、原料チタン中の酸素濃度は著
しく低下する。冷却後のチタンはフラックス中に浸漬さ
れているので、このチタンとフラックスの混合物からチ
タンのみを取り出すために湿式分離を行う。フラックス
として塩化カルシウムを用いた場合、酢酸水溶液に得ら
れた混合物を投入し、カルシアを固溶しているフラック
スを溶解分離し、極低酸素チタンを回収した。
また、フラックスとして塩化バリウムを用いた場合に
は、酸性水溶液、たとえば希塩酸水溶液内でチタンとフ
ラックスを溶解分離し、チタンを回収した。塩化カルシ
ウム+酸化イットリウム混合フラックスを用いた場合、
酢酸水溶液を用いてフラックスを溶解し、溶け残った酸
化イットリウムやカルシアとの複合酸化物等の粉末から
金属チタンを機械的に分離した。
ここで精製のための湿式分離試薬としてフラックス、
金属カルシウムの分離には工業的には第1段階の処理と
して水の使用が有効である。しかしながら水のみでは完
全な除去精製が不可能であるために、第1段階の処理と
して、水で大まかな湿式分離を行った後、さらに以上に
説明したように第2段階の処理として残留する不純物を
除去する必要がある。このためには鉱酸の他、酢酸やシ
ュウ酸等の有機酸も使用が可能である。CaOの分離には
上記の酸性水溶液、及び塩化アンモニウム水溶液の他に
アンモニウム塩水溶液やショ糖水溶液等の使用が可能で
ある。
含有される酸素の分析例 上記の化学反応(脱酸反応)の結果得られたチタンの
酸素分析の結果を第1表に示した。
フラックスとして塩化カルシウムを用いカルシウム蒸
気で脱酸した場合、初期酸素濃度がそれぞれ1200,720,2
00mass ppmの酸素を含有するチタンは全て酸素含量40〜
70mass ppmまで脱酸された。塩化バリウムフラックスを
用いて脱酸した場合、約230mass ppmの酸素を含有する
チタンが得られ、また、塩化カルシウムと酸化イットリ
ウムとの混合フラックスを用いた場合、約180mass ppm
の酸素を含有するチタンが得られた。第1表の結果よ
り、チタン中の酸素の脱酸限界は初期酸素濃度に影響さ
れずフラックスの種類によって変化することがわかる。
なお、1000℃でフラックスを用いず金属カルシウムの
みでチタンを脱酸した場合、初期酸素濃度に関係なく約
500mass ppm程度までしか脱酸できなかった。500mass p
pm以下の酸素を含有するチタンをフラックスを用いない
で処理した場合はその酸素濃度は増加した。また、フラ
ックスを用いた場合でも、フラックスの脱水処理等が不
充分であったり、不純物としてカルシアを多く含む場合
等のように、過剰のカルシアがフラックス中に当初より
存在していた場合、同様の結果が得られ、数100mass pp
mの酸素を含有するチタンしか得られなかった。
出発原料としたチタンの形状には変化はなく、40〜70
mass ppmの場合、ビッカース硬さは、60〜105Hv(300g
荷重、15秒間)程度と極めて低い値を示した。
(発明の効果) 本発明による極低酸素チタンはチタン本来の軽量で優
れた耐熱性、耐食性のみならず、低酸素含有量に起因す
る高い靱性・展延性及び加工性を有している。本発明は
従来量産が困難でかつ製造コストが高かった極低酸素チ
タンを安価にしかも多量に提供でき、工業上大なる利益
がある。また、酸素を多く含有したチタンを再処理し低
酸素濃度チタンに転換できるのでチタンスクラップの再
利用方法にも応用できる。
本発明の製造方法により任意の酸素濃度の金属チタン
を形状を変えずに脱酸し、極低酸素の靱性・展延性に富
むチタンを製造することができる。本発明の方法により
脱酸されたチタンは、ミクロンオーダーの極細線、フォ
イル、シート、板、棒、チューブ等に加工が容易になる
ため、食品用アルミ箔やアルミ缶等に利用できる。化学
プラント等耐食性の要求が厳しい分野にも軽量で耐熱性
に優れたチタン薄板等が使用できる。また、本発明の製
造方法により酸素を含有するチタン成型品を局所的に脱
酸し、部分的に機械的性質を変えることも可能である。
たとえば、永年の使用後に酸素を多く含有して脆くなり
使用不可能になったチタン線や板、あるいはそれ等の複
合体等を、本発明の方法により処理し、もとの形状を崩
さず、そのまま再利用することができる等工業上大なる
利益がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例1に使用した反応容器の構成装置の一部
断面を示した説明図、 第2図は実施例2に使用した反応容器の構成を示した説
明図である。 1……フラックス 2……種々の酸素濃度を含むチタンのワイヤーや塊片等 3……チタン製のコップ状容器 4……カップ状のステンレス容器 5……ステンレス製の底蓋 6……ステンレス製の上蓋 7……脱酸・還元剤である金属カルシウム 8……測温用熱電対 9……熱電対の保護用アルミナ管 10……丸底一端閉管のアルミナ製反応管 11……高純度アルゴンガス 12……ムライト製炉芯管 13……モリブデン製の箔 14……ムライト製の耐火レンガ 15……SiC発熱体 16……ボルト 17……ナット 18……ステンレス製の薄い底板 20……一端閉じステンレス製パイプ 21……種々の酸素濃度を含むチタンのワイヤーや塊片等 22……フラックス 23……チタン製ルツボ 24……モリブデン製の箔 25……脱酸・還元剤である金属カルシウム 26……真空あるいは不活性ガス雰囲気 27……真空あるいは不活性ガス雰囲気 28……SiC発熱体 29……アルミナ製炉芯管 30……熱電対の保護用アルミナ管 31……測温用熱電対 32……ゴムキャップ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸素に関して純度の高い塩化カルシウム、
    塩化バリウム、塩化マグネシウム、フッ化カルシウムの
    何れか一種または二種以上の混合物よりなるフラックス
    を真空排気中で加熱保持し、水分及び炭酸ガスより成る
    不純物を充分に除去した後、チタン原料と共に容器に入
    れる第1工程と、 これを750℃〜1200℃の温度範囲に加熱し、カルシウム
    を気体液体状でチタンに作用させてチタン中の酸素を脱
    酸する第2工程と、 脱酸されたチタンから、副生成するCaOを含む塩化カル
    シウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、フッ化カル
    シウムの何れか一種または二種以上の混合物よりなるフ
    ラックスを鉱酸、有機酸、塩化アンモニウム水溶液、ア
    ンモニウム塩水溶液、ショ糖水溶液より選択した何れか
    一種または二種以上により溶解除去し、脱酸した純粋チ
    タンのみを取り出す第3工程とよりなることを特徴とす
    る極低酸素チタンの製造方法。
  2. 【請求項2】前記フラックスは酸化イットリウムを含む
    混合物である請求項1記載の極低酸素チタンの製造方
    法。
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