JPH08143855A - 表面処理用組成物 - Google Patents

表面処理用組成物

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JPH08143855A
JPH08143855A JP20613195A JP20613195A JPH08143855A JP H08143855 A JPH08143855 A JP H08143855A JP 20613195 A JP20613195 A JP 20613195A JP 20613195 A JP20613195 A JP 20613195A JP H08143855 A JPH08143855 A JP H08143855A
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solvent
compound
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organic group
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Takashige Yoneda
貴重 米田
Fumiaki Gunji
文明 郡司
Takeshi Morimoto
剛 森本
Yukiko Ono
由紀子 小野
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Asahi Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】各種の基材に、常温で処理するたけで優れた防
汚性を付与可能な新規な表面処理用組成物を得る。 【解決手段】(I)、(II)、および(III)を必須成分
として含む表面処理用組成物。(I)水に対する接触角
値が70度以上である被膜を形成しうる化合物の少なく
とも1種。(II)(I)を溶解する溶剤。(III) (II)
より低蒸発速度を有する溶剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規な表面処理用組
成物に関する。詳しくは、ガラス、プラスチックス、セ
ラミックス、金属等の各種の基材に、防汚性に優れた被
膜を形成しうる表面処理用組成物に関する。また、本発
明は該表面処理用組成物で処理された基材および物品、
さらに該表面処理用組成物の塗布方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ガラス、プラスチックス、セラミック
ス、金属等の各種の基材、また、表面処理層を有する各
種基材は、各種分野で使用されているが、基材表面への
ほこり、油汚れ等の吸着あるいは、表面での水のもたら
す悪影響が問題となっている。
【0003】例えば、電車、自動車、船舶、航空機等の
輸送機器における外板、窓ガラス、鏡、表示機器表面材
等の外層部材、計器盤表面材等の内層部材、その他の物
品の表面は常に清浄であることが好ましい。なぜなら、
輸送機器物品の表面に、雨滴、ほこり、汚れ等が付着し
たり、大気中の湿度、温度の影響で水分が凝縮すると、
その外観が損なわれる。また、人の目に直接触れる表面
であったり、人が直接接する表面であると、不快感や衛
生上の問題も生じる。さらには、輸送機器用物品が有す
る本来の機能を著しく低下させることにもなる。特に、
輸送機器用物品が透明性、透視性を要求される物品(例
えば、窓ガラス、鏡等)である場合には、透明性、透視
性の減少はその物品の本来の目的を達成できないことに
なり、重大事故を誘発する原因となる可能性もある。
【0004】ほこり、油汚れ、水を除去するための手段
(例えば、拭き取り、ワイパーによる除去)は、表面に
微細な傷を付けることがある。また、ほこり、油汚れ、
水等に伴われる異物粒子が、傷を一層著しいものにする
こともある。さらに、ガラス表面に水分が付着した場合
には水分中にガラス成分が溶出し、表面が浸食される
(いわゆる焼けを生じる)ことはよく知られている。こ
の焼けを除去するために強く摩擦することは、表面に微
細な凸凹を生じさせることにつながる。また、焼けが激
しく生じたガラスや、表面に微細な凸凹を生じたガラス
からなる透視部は、本来の機能が低下し、また、その表
面で光の散乱が激しく、視野確保の点で不都合が生じる
ため安全性の点でも問題がある。
【0005】その他にも、ほこり、汚れ、水は輸送機器
物品の表面に有害な影響を与えて、損傷、汚染、着色、
腐食等を促進させ、また、輸送機器用物品の電気特性、
機械的特性、光学的特性等の変化を誘発することもあ
る。この種の悪影響は輸送機器用物品に限らず、建築・
建装用物品、電気・電子機器用物品等各種分野で問題と
なっている。
【0006】こうした問題を解決するために、従来よ
り、ほこり、汚れ、水滴の付着を少なくする性質、ある
いは付着したこれらの除去を容易にさせる性質(以下こ
れらを単に防汚性という)を基材表面に付与することが
強く求められている。例えば、シリコーン系ワックスや
オルガノポリシロキサンからなるシリコーン油、界面活
性剤等を直接塗布して防汚性を付与する提案が、従来よ
りなされている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の表面処
理用組成物は塗布に伴う前処理を必要とするものが多
く、かつ塗布時に塗布ムラが発生しやすいという問題が
あった。また、処理剤自身の基材への付着性が低いため
に、防汚性を長期間持続させられず、適用範囲が限定さ
れていた。
【0008】また、既に使用されている物品に防汚性を
付与する場合には、各物品に常温で直接処理するだけで
防汚性を付与する必要がある。例えば、既に市販されて
いる自動車用フロントガラスに処理を行う場合、各自動
車のフロントガラスを全て入れ替えることは、経済的な
理由からできない。また、塗布後に自動車全体を焼成す
ることは、現実的に不可能である。しかし、従来提案さ
れた処理剤においては、常温で直接処理するだけの防汚
処理では、性能の点から問題があった。
【0009】本発明は、上記の従来の処理剤が有する欠
点を解消し、多種類の基材に対して優れた防汚性を付与
できる表面処理用組成物を提供する。
【0010】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、下
記(I)、(II)、および(III) を必須成分として含む
ことを特徴とする表面処理用組成物を提供する。 (I)水に対する接触角値が70度以上である被膜を形
成しうる化合物の少なくとも1種。 (II)(I)を溶解する溶剤。 (III) (II)より低蒸発速度を有する溶剤。
【0011】本発明の表面処理用組成物は、(I)、
(II)、および(III) を必須成分として含むことが最大
の特徴である。必須成分のうち、(I)(以下化合物I
と記す)は、水に対する接触角値が70度以上である被
膜を形成しうる化合物の少なくとも1種である。化合物
Iは、撥水性、防汚性を発揮する成分である。
【0012】化合物Iの構造に関しては特に限定はな
く、水に対する接触角値が70度以上である被膜を形成
しうる化合物が採用される。例えば、シリコーン樹脂、
シリコーンオイル、フッ素樹脂、フッ素オイル、ポリエ
チレン樹脂、ポリエステル樹脂等として知られる公知な
いしは周知の化合物が挙げられる。
【0013】化合物Iは、水に対する接触角値が70度
以上である被膜を形成しうる化合物であることから、少
なくとも1個の疎水性基を有する化合物であるのが好ま
しい。疎水性基としては、長鎖炭化水素基またはポリフ
ルオロ有機基等が好ましく、特にポリフルオロ有機基が
好ましい。
【0014】なお、本発明の炭化水素基としては、芳香
族炭化水素基、脂肪族炭化水素基のいずれでもよく、脂
肪族炭化水素基が好ましい。脂肪族炭化水素基は、飽和
脂肪族炭化水素基でも不飽和の脂肪族炭化水素基でもよ
く、特に飽和の脂肪族炭化水素基が好ましい。脂肪族炭
化水素基としては、直鎖、分岐、または環構造が挙げら
れ、直鎖、または分岐の構造が好ましい。脂肪族炭化水
素基としては、アルキル基、アルケニル基、シクロアル
キル基、アルキレン基、アルケニレン基、シクロアルケ
ニレン基、またはこれらを部分構造として含む基等が挙
げられる。芳香族炭化水素基としては、アリール基等が
挙げられる。
【0015】本発明の疎水性基の1つとして好ましい長
鎖炭化水素基は、上記の炭化水素基のうち、炭素数が7
以上のものをいい、炭素数が7〜30程度のものが好ま
しい。長鎖炭化水素基は直鎖または分岐の構造である場
合が好ましく、分岐の構造の場合には、分岐部分が炭素
数1〜3程度の短鎖である場合が好ましい。
【0016】長鎖炭化水素基としては、長鎖のアルキル
基、アルキレン基、アルケニル基、またはアルケニレン
基が好ましく、長鎖のアルキル基、アルキレン基が好ま
しい。長鎖アルキル基は炭素数7〜30が好ましく、ア
ルキレン基は炭素数7〜16が好ましい。また、長鎖炭
化水素基としては、前記の長鎖のアルキル基またはアル
キレン基を部分構造として有する基であってもよく、そ
の場合のアルキル基またはアルキレン基の好ましい炭素
数も同様である。
【0017】本発明の疎水性基の他の1つとして好まし
いポリフルオロ有機基は、有機基の水素原子の2個以上
がフッ素原子に置換された基を意味する。ポリフルオロ
有機基の炭素数は、3〜21程度が好ましい。ポリフル
オロ有機基としては、上記の炭化水素基の水素原子の2
個以上がフッ素原子に置換されたポリフルオロ炭化水素
基が好ましく、特に、ポリフルオロアルキル基またはポ
リフルオロアルキレン基が好ましい。
【0018】ポリフルオロ有機基中のフッ素原子の数
は、(ポリフルオロ有機基中のフッ素原子数)/(未置
換の有機基中の水素原子数)で表現した場合に、60%
以上、特に80%以上、であるものが好ましい。
【0019】ポリフルオロ有機基がポリフルオロ炭化水
素基である場合、酸素原子を有するポリフルオロ炭化水
素基、硫黄原子を有するポリフルオロ炭化水素基であっ
てもよい。例えば、酸素原子を有するポリフルオロ炭化
水素基としては、ポリフルオロ炭化水素基の炭素原子の
1個以上がエーテル性の酸素原子に置換された基が好ま
しく、特に、ポリフルオロアルキルオキシ基、ポリフル
オロアルキレンオキシ基、またはポリフルオロアルキル
オキシ部分を有する基、ポリフルオロアルキレンオキシ
部分を有する基等が好ましい。また、硫黄原子を有する
ポリフルオロ炭化水素基としては、ポリフルオロ炭化水
素基の炭素原子の1個以上がチオエーテル性の硫黄原子
に置換された基が好ましく、特に、ポリフルオロアルキ
ルチオ基、ポリフルオロアルキレンチオ基、またはポリ
フルオロアルキルチオ部分を有する基、ポリフルオロア
ルキレンチオ部分を有する基等が好ましい。
【0020】さらに、ポリフルオロ有機基は、有機基中
の水素原子の全てがフッ素原子に置換されたパーフルオ
ロ有機基、またはパーフルオロ有機基を部分構造として
含む基が好ましい。特に、上記のポリフルオロ炭化水素
基の水素原子の全てがフッ素原子に置換されたパーフル
オロアルキル基、パーフルオロアルキレン基、パーフル
オロアルキルオキシ基、パーフルオロアルキレンオキシ
基、パーフルオロアルキルチオ基、パーフルオロアルキ
レンチオ基、またこれらのパーフルオロの基を部分構造
として有する基が好ましい。これらのうち、パーフルオ
ロアルキル基、パーフルオロアルキレン基、パーフルオ
ロアルキル部分、またはパーフルオロアルキレン部分を
有する基が好ましく、特に炭素数3〜21のパーフルオ
ロアルキル部分を有する基、炭素数2〜16のパーフル
オロアルキレン部分を有する基が好ましい。
【0021】さらに、化合物Iは、表面処理用組成物か
ら形成される膜と基材との密着性の点から、基材に対す
る反応性基を有している構造であるものが好ましい。反
応性基としては、加水分解性基またはイソシアネート基
が好ましい。
【0022】なお、本明細書においては、イソシアネー
ト基と加水分解性基は、区別して用いる。すなわち、イ
ソシアネート基が加水分解性基としての性質を有すると
しても、両者の基は異なるものとして記載する。
【0023】加水分解性基の具体例としては、ハロゲン
原子、アルコキシル基、アシルオキシ基、アルコキシ置
換アルコキシル基、アミノキシル基、アミノ基、−C=
N−OH、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エ
ポキシ基、グリシジル基、ビニル基およびアリル基等の
不飽和炭化水素基、または、酸素原子や窒素原子を含む
官能基等が挙げられる。
【0024】これらのうち、加水分解性基としては、ハ
ロゲン原子、アルコキシル基、アシルオキシ基、アルコ
キシ置換アルコキシル基、オキシアミノ基(−ONH
2 )、アミノ基、−C=N−OHなどが好ましく、特に
酸素原子でケイ素原子と結合することが可能な加水分解
性基であるアルコキシル基、アルコキシ置換アルコキシ
ル基、アシル基等が好ましい。アルコキシル基、アルコ
キシ置換アルコキシル基、およびアシル基の炭素数は1
〜8、特に1〜4、が好ましい。さらに、加水分解性基
としては、炭素数1〜4のアルコキシル基、特にメトキ
シル基、エトキシル基、プロポキシル基、ブトキシル基
等、が好ましい。
【0025】さらに、化合物Iは、シラン化合物である
場合が好ましく、特に上記の反応性基がケイ素原子に直
接結合したシラン化合物が好ましい。
【0026】なお、以下において、ケイ素原子に直接結
合した少なくとも1つのイソシアネート基を有するシラ
ン化合物を「イソシアネートシラン化合物」と記す。す
なわち、「イソシアネートシラン化合物」とは、イソシ
アネート基がケイ素原子に直接結合した構造(Si−N
CO)を少なくとも1つ有するシラン化合物である。ま
た、ケイ素原子に直接結合した少なくとも1つの加水分
解性基を有するシラン化合物を「加水分解性シラン化合
物」と記す。ここで、「加水分解性シラン化合物」と
は、加水分解性基がケイ素原子に結合している構造(S
i−X、Xは上記の加水分解性基)を少なくとも1つ有
するシラン化合物である。また、「ケイ素原子に結合し
た加水分解性基」と「ケイ素原子に結合したイソシアネ
ート基」の両者を総称して「反応性シラン基」と記載
し、「加水分解性シラン化合物」と「イソシアネートシ
ラン化合物」の両者を総称して「反応性シラン化合物」
と記載する。
【0027】本発明の化合物Iとしては、疎水性基の少
なくとも1個、および、イソシアネート基または加水分
解性基が直接結合したケイ素原子の少なくとも1個を有
する反応性シラン化合物が好ましい。さらに、化合物I
は、反応性シラン基を複数個有する化合物が好ましい。
【0028】本発明の化合物Iは、下式(A)で表され
るシラン化合物(以下、化合物Aと記す。)、下式
(B)で表されるシラン化合物(以下、化合物Bと記
す。)、および式(C)で表されるシラン化合物(以
下、化合物Cと記す。)からなる群から選ばれる少なく
とも1種のシラン化合物であるのが好ましい。
【0029】
【化4】(A)(Z1)3-a-b(R1)a(R2)bSi-Y-Si(R3)c(R4)d
(Z2)3-c-d
【0030】ただし、式(A)において、R1 〜R4
は、独立に、水素原子または炭素数1〜30の1価の有
機基を示す。Yは、2価の有機基を示す。さらに、R1
〜R4およびYの少なくとも1つは、疎水性の有機基を
示す。Z1 およびZ2 は、独立に、イソシアネート基、
または、加水分解性基を示す。aおよびbは、独立に、
0、1、または2であり、かつ、0≦a+b≦2であ
る。cおよびdは、独立に、0、1、または2であり、
かつ、0≦c+d≦2である。
【0031】
【化5】(B)(R5)e(R6)g(R7)hSi
(Z3)4−e−g−h
【0032】ただし、式(B)において、R5 〜R7
は、独立に、水素原子または炭素数1〜30の1価の有
機基であり、少なくとも1つは疎水性の有機基を示す。
Z3 は、イソシアネート基、または、加水分解性基を示
す。e、g、およびhは、独立に、0、1、または2で
あり、かつ、1≦e+g+h≦3である。
【0033】
【化6】(C)(R8)i(R9)j(Z4)3-i-jSiO[(R10)k(R11)
m(Z5)2-k-mSiO]n--Si(R12)p(R13)q(Z6)3-p-q
【0034】ただし、式(C)において、R8 〜R
13は、独立に、水素原子または炭素数1〜30の1価の
有機基であり、少なくとも1つは疎水性の有機基を示
す。Z4 〜Z6 は、独立に、イソシアネート基、また
は、加水分解性基を示す。i、j、k、m、p、および
qは、独立に、0、1、または2であり、かつ、1≦i
+j≦3、0≦k+m≦2、1≦p+q≦3であり、2
≦i+j+k+m+p+q≦7である。nは、0または
1以上の整数である。
【0035】以下に化合物A〜Cについて説明する。上
記の化合物A〜Cにおいて、R1 〜R13は、独立に、水
素原子、または炭素数1〜30の1価の有機基を示す。
1価の有機基としては、アルキル基、アルケニル基、シ
クロアルキル基、およびアリール基等の炭化水素基、ク
ロロアルキル基、ポリフルオロアルキル基等のハロゲン
化炭化水素基、水酸基、エポキシ基、アミノ基、メルカ
プト基、カルボキシル基等の官能基を有する炭化水素基
およびハロゲン化炭化水素基、エステル結合、エーテル
結合、チオエーテル結合、イミノ結合、アミド結合、ウ
レタン結合等の結合基を有する炭化水素基またはハロゲ
ン化炭化水素基が好ましい。
【0036】また、化合物A〜CにおけるR1 〜R13が
疎水性の有機基を含む場合、疎水性の有機基としては、
長鎖の炭化水素基、またはポリフルオロ有機基が好まし
い。長鎖炭化水素基の炭素数は、7〜30程度が好まし
い。長鎖炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル
基、およびこれらの基を部分構造として含む基が好まし
い。これらのうち、炭素数7〜30、好ましくは7〜2
0のアルキル基またはアルキル部分を含む基を含む基が
好ましい。アルキル部分を含む基である場合にはアルキ
ル部分が、エステル結合、エーテル結合、チオエーテル
結合、イミノ結合、アミド結合、ウレタン結合等を含む
2価の結合基と連結した構造であり、かつ、ケイ素原子
と結合する部分がアルキレン基である構造が好ましい。
長鎖の炭化水素基の具体例としては、化合物A〜Cの具
体例中に記載するものが挙げられる。
【0037】また、化合物A〜CにおけるR1 〜R13の
いずれかがポリフルオロ有機基である場合、ポリフルオ
ロ炭化水素基またはポリフルオロ炭化水素基を部分構造
として含む基が好ましく、ポリフルオロアルキル基、ポ
リフルオロアルキルオキシ基、ポリフルオロアルキルチ
オ基、またはこれらの基を部分構造として含む基等が挙
げられる。
【0038】さらに、R1 〜R13は、パーフルオロ炭化
水素基またはパーフルオロ炭化水素基を部分構造として
含む基が好ましく、特にパーフルオロアルキル基、パー
フルオロアルキルオキシ基、パーフルオロアルキルチオ
基、またはこれらの基を部分構造として含む基が好まし
い。これらのうち、R1 〜R13は、パーフルオロアルキ
ル基を部分構造として含む基が好ましく、特にパーフル
オロアルキル部分の炭素数が3〜16である場合が好ま
しい。
【0039】パーフルオロアルキル基を部分構造として
含む基としては、パーフルオロアルキル基と2価の連結
基が結合した構造である場合が好ましい。2価の連結基
としては、アルキレン基等の2価の炭化水素基、エステ
ル結合を含む2価の炭化水素基等が好ましく、特に炭素
数1〜3のアルキレン基、例えばメチレン、エチレン、
プロピレン等の基が好ましい。
【0040】R1 〜R13がポリフルオロ有機基である場
合の具体例としては、化合物A〜Cの具体例中に記載す
るものが挙げられる。
【0041】また、R1 〜R13において疎水性でない有
機基が存在する場合には、低級アルキル基、ハロゲン原
子、フェニル基等が好ましく、特にメチル基、エチル基
等の低級アルキル基が好ましい。
【0042】また、化合物A〜CにおけるZ1 〜Z5
は、独立に、加水分解性基またはイソシアネート基を示
す。加水分解性基としては、上記の加水分解性基の具体
例のうち、酸素原子でケイ素原子と結合する基が好まし
く、特に、アルコキシル基、アルコキシ置換アルコキシ
ル基、アシル基等が好ましい。加水分解性基が炭素原子
を含む場合、炭素原子数は8以下が好ましく、特に4以
下が好ましい。これらのうち、加水分解性基としては、
炭素数1〜4のアルコキシル基が好ましい。
【0043】化合物A〜Cにおいては、各々の分子内に
加水分解性基とイソシアネート基が共存していてもよ
い。例えば、イソシアネート基と塩素原子の両者が存在
していてもよい。しかし、通常は、合成しやすさの点か
ら、同一分子内の反応性シラン基としては、イソシアネ
ート基のみ、または、加水分解性基のみのいずれかであ
るのが好ましい。
【0044】つぎに、化合物Aについて詳細に説明す
る。化合物Aにおいて、R1 〜R4 は、独立に、水素原
子または炭素数1〜30の1価の有機基を示す。Yは、
2価の有機基を示す。2価の有機基は、上記の1価の有
機基の水素原子の1つが結合手に置き換わった基を意味
する。
【0045】さらに、R1 〜R4 およびYの少なくとも
1つは、疎水性の有機基を示す。R1 〜R4 の少なくと
も1つが疎水性の有機基である場合には、Yは疎水性の
2価の有機基でも疎水性でない2価の有機基でもよい。
また、R1 〜R4 が疎水性の有機基を含まない場合に
は、Yは疎水性の2価の有機基である。また、R1 〜R
4 およびYは、全てが疎水性の有機基であってもよい。
【0046】R1 〜R4 が疎水性の有機基である場合に
は、長鎖炭化水素基、またはポリフルオロ有機基が好ま
しい。また、R1 〜R4 が疎水性の有機基以外の基であ
る場合は、低級アルキル基、特に炭素数1〜4のアルキ
ル基、が好ましい。
【0047】また、化合物IのYが疎水性の有機基であ
る場合、2価のポリフルオロ有機基が好ましい。
【0048】Yが2価のポリフルオロ有機基である場合
の炭素数は6〜30が好ましく、特に6〜16、が好ま
しい。2価のポリフルオロ有機基としては、ポリフルオ
ロアルキレン基、ポリフルオロアルキレンオキシ基、お
よびポリフルオロアルキレンチオ基、また、これらの基
を部分構造として含む基が好ましく、特に、パーフルオ
ロアルキレン基およびパーフルオロアルキレンオキシ基
の両末端のケイ素原子に結合する部分が、ともにアルキ
レン基、特にエチレン基、である基が好ましい。
【0049】また、Yが、2価のポリフルオロ有機基以
外の基である場合には、アルキレン基、アルキレンオキ
シ基、およびアルキレンチオ基、またはこれらの基を部
分構造として含む基が好ましい。これらの炭素数は2〜
30、特に2〜12が好ましい。また、化合物AのR1
〜R4 が、いずれも疎水性でない有機基であり、かつ、
Yがポリフルオロ有機基以外の基である場合には、Yの
炭素数は7以上であるのが好ましい。Yの具体例として
は、化合物Aの具体例中に記載されるものが挙げられ
る。
【0050】また、化合物AのZ1 およびZ2 は、加水
分解性基またはイソシアネート基を示す。加水分解性基
としては、炭素数1〜4のアルコキシル基、特にメトキ
シル基、エトキシル基、が好ましい。
【0051】Z1 およびZ2 は、いずれも被膜と各種基
材との密着性を高めるうえで非常に重要な構造単位であ
るため、その数が多いほど基材に強固に結合すると考え
られる。したがって、これらの基はケイ素原子の1個に
対して2個以上結合するのが好ましい。すなわち、化合
物Aにおけるa+bおよびc+dは、いずれも0または
1が好ましい。
【0052】本発明の化合物Aとして特に好ましいの
は、疎水性の有機基としてポリフルオロ有機基を、反応
性シラン基としてイソシアネート基を有する化合物であ
る。
【0053】すなわち、化合物Aとしては、Z1 および
Z2 のいずれかがイソシアネート基であり、かつ、Yお
よびR1 〜R4 の少なくとも1つがポリフルオロ有機基
であるのが好ましい。特に化合物Aは、Z1 およびZ2
の両方がイソシアネート基であり、かつ、YおよびR1
〜R4 の少なくとも1つの疎水性の有機基がポリフルオ
ロ有機基である化合物であるのが好ましい。
【0054】化合物Aの具体例を以下に挙げるがこれら
に限定されない。また、以下の化学式において、n、m
はそれぞれ1以上の整数を示し、Rはアルキル基を示
し、炭素数1〜12のアルキル基が好ましい。Rf はポ
リフルオロアルキル基を示し、Cr F2r+1(CH2 )s
−(ここで、rは3〜12の整数、sは2〜4の整数を
示す。)で表されるパーフルオロアルキル基部分を有す
るポリフルオロアルキル基が好ましく、特にsが2であ
る場合が好ましい。また、RF はパーフルオロアルキル
基を示し、Ct F2t+1−(ただし、tは3〜16の整数
を示す。)で表されるパーフルオロアルキル基が好まし
い。Zは、イソシアネート基、または加水分解性基を示
し、イソシアネート基またはアルコキシル基が好まし
い。Rf およびRF は、いずれも直鎖の基が好ましい。
【0055】
【化7】
【0056】
【化8】
【0057】
【化9】
【0058】
【化10】
【0059】
【化11】
【0060】
【化12】
【0061】
【化13】
【0062】
【化14】
【0063】
【化15】
【0064】さらに、化合物Bについて説明する。化合
物BのR5 〜R7 は、独立に、水素原子または炭素数1
〜30の1価の有機基であり、少なくとも1つは疎水性
の有機基を示す。1価の有機基、および、疎水性の有機
基の好ましい態様は、化合物Aと同じである。
【0065】化合物BのZ3 は、イソシアネート基また
は加水分解性基を示し、イソシアネート基が好ましい。
e、g、およびhは、独立に、0、1、または2であ
り、かつ、1≦e+g+h≦3である。化合物Bにおい
ても、1個のケイ素原子に結合する反応性シラン基は2
個以上であるのが好ましい。したがって、e+g+h
は、1または2であるのが好ましい。
【0066】化合物Bは、R5 〜R7 の少なくとも1つ
が1価のポリフルオロ有機基であり、かつ、Z3 がイソ
シアネート基である化合物が好ましい。また、R5 〜R
7 が1価のポリフルオロ有機基以外の基を含む場合に
は、前記の疎水性の有機基でない炭化水素基が好まし
い。R5 〜R7 は、全てが疎水性の有機基であってもよ
い。R5 〜R7 が1価のポリフルオロ有機基である場
合、2価の炭化水素基を介してケイ素原子と結合するこ
とが好ましい。2価の炭化水素基としては、アルキレン
基、特にメチレン基、が好ましい。
【0067】本発明の化合物Bの具体例を以下に挙げる
がこれらに限定されない。下記化学式において、n、
m、R、Rf 、RF 、およびZは、上記と同じ意味を示
す。
【0068】
【化16】
【0069】
【化17】
【0070】さらに、化合物Cについて説明する。化合
物CのR8 〜R13は、独立に、水素原子または炭素数1
〜30の1価の有機基であり、少なくとも1つは疎水性
の有機基を示す。1価の有機基、疎水性の有機基の好ま
しい態様は、化合物Aと同じである。化合物Cは、R8
〜R13の少なくとも1つが1価のポリフルオロ有機基で
ある化合物が好ましい。また、R8 〜R13の全てが疎水
性の有機基であってもよい。R8 〜R13が1価のポリフ
ルオロ有機基以外の基を含む場合には、前記の疎水性の
有機基でない炭化水素基が好ましい。1価のポリフルオ
ロ有機基は、2価の炭化水素基、好ましくはアルキレン
基、特に好ましくはメチレン基、を介してケイ素原子に
結合することが好ましい。
【0071】また、化合物Cは、n、すなわち繰返し構
造単位数、を増やすことによって膜の緻密性・架橋性を
高めうる。また、化合物C内に存在するイソシアネート
基が直結したケイ素原子数を増やすこと、すなわち、n
を増やすことは、基材への密着性を高めることにもな
る。しかし、nを大きくしすぎると処理時の作業性が悪
くなり、実用性が低下する。したがってnは、目的に応
じて適宜変更され、通常は、0〜5が好適である。
【0072】また、化合物Cのi、j、k、m、p、お
よびqは、独立に、0、1、または2であり、かつ、1
≦i+j≦3、0≦k+m≦2、1≦p+q≦3であ
り、2≦i+j+k+m+p+q≦7である。化合物C
の基材に対する結合性を高めるために、1個のケイ素原
子に結合した反応性シラン基、好ましくはイソシアネー
ト基は、2以上であることが望ましい。すなわち、化合
物Cのi+jおよびp+qは、0または1が好ましく、
k+mは0が好ましい。
【0073】本発明の化合物Cの具体例を以下に挙げる
がこれらに限定されない。下記化学式において、n、
m、R、Rf 、RF 、およびZは、上記と同じ意味を示
す。
【0074】
【化18】
【0075】
【化19】
【0076】
【化20】
【0077】
【化21】
【0078】
【化22】
【0079】
【化23】
【0080】
【化24】
【0081】
【化25】
【0082】
【化26】
【0083】
【化27】
【0084】
【化28】
【0085】
【化29】
【0086】上記の化合物A〜Cがイソシアネート基を
含む化合物である場合、化合物A〜Cで処理された表面
とはイソシアネートシラン化合物が化学的に、物理的に
結合した基材表面をいう。また、基材に対する結合性の
点から1個のケイ素原子に結合したイソシアネート基は
2以上であることが望ましい。
【0087】イソシアネート基は反応性の基であるの
で、イソシアネートシラン化合物は主として化学的反応
により基材表面に結合するものと考えられる。すなわ
ち、結合状態において、イソシアネート基は変化してい
るものと考えられる。例えば、イソシアネート基はガラ
ス表面のシラノール基と反応すると考えられ、またケイ
素原子に結合したイソシアネート基が脱離して生成する
シラノール基が反応するとも考えられる。イソシアネー
トシラン化合物は、イソシアネート基の反応性により、
またイソシアネート基が直接結合したケイ素原子の効果
により表面の優れた撥水性、耐摩耗性、耐薬品性、耐候
性等の性能を発現するものと考えられる。
【0088】また、上記の化合物A〜Cが加水分解性基
を含む化合物である場合、化合物A〜Cで処理された表
面とは、加水分解性シラン化合物が化学的に、物理的に
結合した表面をいう。加水分解性基が反応性であるので
加水分解性シラン化合物は主として化学的反応により基
材の表面に結合するものと考えられる。すなわち、結合
状態において、加水分解性基は変化しているものと考え
られる。
【0089】加水分解性シラン化合物はこの加水分解性
基の反応性により、また加水分解性基が直接結合したケ
イ素原子の効果により表面の優れた撥水性、耐摩耗性、
耐薬品性、耐候性等の性能を発現するものと考えられ
る。また、後述するように、有機基の選択によりこれら
の性能をさらに向上させうる。また、基材に対する結合
性の点から、1個のケイ素原子に結合した加水分解性基
は2つ以上であることが望ましい。
【0090】化合物A〜Cが加水分解性シラン化合物で
ある場合、これらの化合物はそのまま用いてもよく、水
や酸性水溶液中で加水分解した部分加水分解生成物とし
てもよい。加水分解性シラン化合物の部分加水分解生成
物とは、これらのシラン化合物を部分的に加水分解して
生成する化合物、あるいはその加水分解性シラン化合物
の加水分解により生成するシラノール基が反応して、2
以上の分子が縮合した化合物をいう。加水分解の酸とし
ては、例えば、塩酸、酢酸、硫酸、リン酸、スルホン酸
等が好ましい。
【0091】上記の化合物A〜Cは、各々を単独で用い
てもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。本発
明においては、2種以上の混合物として用いるのが好ま
しく、特に化合物A〜Cの3種の混合物として用いるの
が好ましい。
【0092】混合物として用いた場合、化合物Aおよび
Bは、分子間でのイソシアネート基(あるいは加水分解
性基)同士の反応により、処理時にシロキサン結合を形
成するため、得られる膜の架橋性、緻密性は高く、膜の
機械的強度、化学的安定性を高めうる。また、化合物C
は分子内に少なくとも2つのシロキサン結合を有する化
合物であり、処理時には、化合物Cの分子間でのイソシ
アネート基(あるいは加水分解性基)同士の反応により
シロキサン結合を形成できる。したがって、形成される
膜の架橋性、緻密性は飛躍的に高くなり、膜の高い機械
的強度、化学的安定性を発現できる。
【0093】本発明の表面処理用組成物は、上記化合物
Iとともに、(II)化合物Iを溶解する溶剤(以下、溶
剤IIと記す)、および(III) (II)より低蒸発速度を有
する溶剤(以下、溶剤III と記す)を含むことが特徴で
ある。
【0094】溶剤IIは化合物Iを溶解する溶剤である。
溶剤IIとしては、公知ないしは周知の溶剤のうち、化合
物Iを溶解するものであれば特に限定されない。例え
ば、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化
炭化水素類、ケトン類、エステル類、エーテル類、アル
コール類、アルコールエステル類、ケトンエステル類、
ケトンアルコール類、エーテルアルコール類、ケトンエ
ーテル類、エステルエーテル類等の有機溶剤が挙げられ
る。ただし、化合物Iがイソシアネート基を有するシラ
ン化合物である場合は、反応性の水素原子を有するもの
は望ましくない。イソシアネート基を有しない他の化合
物Iの場合には特に限定はない。
【0095】これらのうち、溶剤IIとしては、極性溶剤
が好ましく、ケトン類、ハロゲン化炭化水素類、アルコ
ール類、エステル類等の有機溶剤が好ましい。溶剤II
は、1種または必要に応じて2種以上を用いることがで
きる。
【0096】溶剤IIの具体例としては、アセトン、メチ
ルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、ジエチル
ケトン、メチルイソブチルケトン、ヒドロクロロフルオ
ロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、α,α,α,
α’,α’,α’−ヘキサフルオロメタキシレン、α,
α,α−トリフルオロトルエン、トリクロロメタン(ク
ロロホルム)、ジクロロメタン(塩化メチレン)、トリ
クロロエタン、トリクロロエチレン、メタノール、エタ
ノール、1−プロパノール、2−プロパノール、アリル
アルコール、2−メチル−1−プロパノール(i−ブタ
ノール)、2−メチル−2−プロパノール(t−ブタノ
ール)、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸ブチル、酢酸メ
チル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル等が
挙げられる。
【0097】本発明の溶剤III は、溶剤IIよりも低蒸発
速度の溶剤である。「蒸発速度」とは、同重量の溶剤
を、同一時間室温に放置したときに、減少した重量によ
って表される値を意味する。蒸発速度の値は、溶剤の種
類、放置時間、温度、溶剤を入れる容器の形状や材質に
よって異なるため、本明細書においては、実施例に示す
条件で測定して得られる値から後記の数1によって算出
した値[単位:mg/(cm2 ×min)]で表す。ま
た、溶剤IIおよび溶剤III は、それぞれ、1種または2
種以上であり、2種以上の場合には、該2種以上の溶剤
を使用時の割合で混合したものを、同様の測定条件で測
定した値を、蒸発速度とする。
【0098】そして、低蒸発速度とは、上記に定義され
る蒸発速度が、相対的に小さいことをいう。溶剤III の
蒸発速度値は、溶剤IIよりも2.0mg/(cm2 ×m
in)以上、特に3.5mg/(cm2 ×min)以
上、少ないのが好ましい。溶剤III と溶剤IIの蒸発速度
値の差が2.0未満であると、分子の配向が小さく、得
られた表面の膜の耐久性に劣る恐れがある。
【0099】溶剤IIの蒸発速度の絶対値としては、目的
とする処理物の材質や処理条件等によって適宜変更され
うるものであり、特に限定されない。通常の場合、2.
5〜60mg/(cm2 ×min)程度、特に3.0〜
50mg/(cm2 ×min)程度、が好ましい。
【0100】以下に、溶剤III と溶剤IIの好ましい具体
例を示す。溶剤III と溶剤IIは、相対的な蒸発速度値で
区別されるため、溶剤IIとして例示したものであっても
溶剤III としても使用できる。
【0101】溶剤III としては、脂肪族炭化水素類、芳
香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、ケトン類、エ
ステル類、エーテル類、アルコール類、アルコールエス
テル類、ケトンエステル類、ケトンアルコール類、エー
テルアルコール類、ケトンエーテル類、エステルエーテ
ル類等の各種有機溶剤が挙げられる。ただし、化合物I
がイソシアネート基を有する場合は、反応性水素原子を
有するものは望ましくない。イソシアネート基を有しな
い他の化合物Iに関しては特に限定はない。
【0102】溶剤III としては、炭化水素類、フルオロ
炭化水素等のハロゲン化炭化水素類、ケトン類、エステ
ル類、エーテル類、アルコール類等の有機溶剤が好まし
い。具体的には以下のものなどが例示できる。
【0103】キシレン、トルエン、アミルナフタレン、
テトラヒドロナフタレン、重鉱油スピリット、灯油、ウ
ッドテレピン、ピネン、ジペンテン、テルペン類、松根
油、ジテルペン、ソルベントナフタ、n−デカン、n−
ドデカン、n−テトラデカン、n−ヘキサデカン、n−
オクタデカン、ClCH2 CH2 OCH2 CH2 OCH
2 CH2 Cl、(C4 F9 )3 N、(C5 F11)3 Nな
どのパーフルオロトリアルキルアミン、その他のフッ素
系不活性流体(例えば旭硝子社製商品名:アフルード、
3M社製商品名:フロリナート)、1−ヘキサノール、
2−エチル−1−ヘキサノール、2,6−ジメチル−4
−ヘプタノール、シクロヘキサノール、1−オクタノー
ル、2−フェノキシエタノール、クレゾール、ジアセト
ンアルコール、アセチルアセトン、フェニルメチルカル
ビトール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、
2−メチル−2,4−ペンタンジオール、ジエチレング
リコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリ
コール、グリセリン、C6H5 COCH=C(CH3 )
C6 H5 、ジヘキシルエーテル、ジ(2−エチルヘキシ
ル)エーテル、エチレングリコールモノメチルエーテ
ル、メチルセロソルブアセテート、エチレングリコール
モノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニル
エーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、
ジエチレングリコールジエチルエーテル、CH3 CH2
OCH2 CH2 OCH2 CH2 OCH2CH2 OH、テト
ラエチレングリコールジブチルエーテル、テルペングリ
コールエーテル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジ
ル、酢酸ノニル、酢酸ジエチレングリコールモノエチル
エーテル、酢酸ジエチレングリコールモノブチルエーテ
ル、マレイン酸ジブチル、シュウ酸ジブチル、酪酸ブチ
ル、乳酸エチル、乳酸ブチル。
【0104】これらのうち、溶剤III としては、化合物
Iを溶解しにくい溶剤が好ましく、特に溶解しない溶剤
が好ましい。さらに溶剤III は非極性溶剤が好ましく、
特に上記の溶剤のうち、含フッ素の溶剤、脂肪族炭化水
素系の溶剤、芳香族炭化水素系の溶剤、エーテル系の溶
剤等が好ましい。さらに、フッ素系不活性流体、高級脂
肪族炭化水素系の溶剤、芳香族炭化水素系の溶剤が好ま
しい。
【0105】溶剤II、溶剤III は、それぞれ、1種に限
定されず、2種以上を混合してもよい。
【0106】本発明の処理剤を基材に処理する場合、溶
剤IIおよび溶剤III が蒸発する速度は、処理対象基材の
面積(厳密には塗布に要する時間)により変化する。す
なわち、処理対象基材の面積が小さい(塗布時間が短
い)場合には、溶剤IIおよび溶剤III の蒸発する速度は
小さくなるが、反対に処理対象基材の面積が大きい(塗
布時間が長い)場合には溶剤IIおよび溶剤III の蒸発す
る速度は大きくなる。
【0107】本発明において、溶剤IIおよび溶剤III の
2種の溶剤を用いるのは、以下の理由による。まず、化
合物Iが有する防汚性を効果的に発現するには、化合物
Iを高濃度に処理する必要がある。化合物Iを処理する
際に、蒸発速度の異なる溶剤の組合せである溶剤III お
よび溶剤IIを存在させることは、化合物Iの付着量の高
濃度化を可能にする。
【0108】このメカニズムは必ずしも明確ではない
が、塗布初期には、基材表面に化合物I、溶剤IIおよび
溶剤III とが共存し、つぎに溶剤III よりも相対的に蒸
発速度の大きい溶剤IIが揮発し、溶剤IIの蒸発の進行に
したがい、基材表面に形成される液膜中の化合物Iの濃
度が高くなり、高濃度化が達成されると考えられる。
【0109】同様の効果をうる目的で、単一溶剤で化合
物Iを高濃度化することも考えられるが、溶剤等のコス
トおよび作業性の点で不利である。また、予め化合物I
を高濃度化した液では、化合物I間での相互作用が大き
くなるため、基材表面に化合物Iを効率よく配向させに
くい問題がある。
【0110】化合物Iをさらに高濃度に処理するために
は、溶剤III は、化合物Iを溶解しないか、または化合
物Iの溶解度が溶剤IIより小さいことが望ましい。なぜ
なら、溶剤IIが蒸発したときに、化合物Iは基材表面と
溶剤III との界面、または溶剤III 中に存在すると推測
され、ここで、溶剤III が化合物Iを溶解しないか、ま
たは化合物Iに対する溶解度が小さければ、化合物Iが
より基材表面と溶剤III との界面に高濃度に集まると考
えられるからである。
【0111】また、化合物Iとして疎水性の有機基を有
し、かつ、反応性シラン基を有するものを用いた場合に
は、溶剤IIおよび、溶剤III の2種を用いることにより
化合物Iに存在する疎水性の有機基を空気側に高濃度に
配向させるような構造制御を行うことができる。
【0112】このメカニズムも必ずしも明確ではない
が、つぎのように考えられる。溶剤IIが蒸発し始める段
階には、化合物I中の反応性シラン基と基材との間に化
学結合が形成し始める。しかし、この段階ではまだ基材
表面には蒸発速度の小さい溶剤III が残存しているた
め、化合物Iの分子運動の自由度は大きく、化合物Iは
エネルギー的に安定な構造に配向する。エネルギー的に
安定な構造とは、基材側に反応性シラン基が配向し、か
つ疎水性の有機基を空気側に配向した構造である。この
構造は、化合物Iが、基材との高い反応性を有する反応
性シラン基を有しており、かつ、基材との反応が始まる
と推測されること、および、化合物Iの疎水性の有機基
は表面エネルギーの小さい基であることから推察でき
る。したがって、化合物Iの疎水性の有機基は、空気側
に高濃度に配向できると推測される。また、本発明の処
理剤が、ポリフルオロ有機基を含む化合物Iを含む場
合、得られる被膜はフッ素濃度が高く、かつ高配向性を
有するため、水滴と被膜との相互作用が小さくなる結
果、水滴の転がり性が向上する。これは、従来の処理剤
には認められなかった利点である。
【0113】溶剤IIおよび溶剤III の組合せは、上記の
効果に加え、本発明の処理剤の作業性を高める効果もあ
る。例えば、化合物Iに溶剤IIおよび溶剤III を加えて
溶液状にすることで取扱いが容易になる。また、化合物
Iが反応性シラン基を有する場合には、溶剤の蒸発速度
が大きいと塗布ムラが発生しやすいが、蒸発速度の小さ
い溶剤III の存在により塗布ムラを防止でき、非常に優
れた外観品質が得られる。したがって、処理基材の面積
が大きくても、また、強風の屋外で作業においても優れ
た外観品質が得られる。
【0114】化合物Iの表面処理用組成物中における濃
度は被膜の成形性(作業性)、安定性、被膜厚さ、経済
性を考慮して決定され、処理剤中に0.1〜30重量%
であるのが好ましい。また、溶剤IIと溶剤III との混合
比率は目的に応じて決定すればよい。通常は溶剤IIおよ
び溶剤III の合計に対して、溶剤III が5〜70重量%
であるのが好ましい。溶剤III の比率が5重量%未満で
は本発明の効果が得にくく、70重量%超では作業性が
悪くなりやすい。
【0115】本発明における表面処理用組成物は、目的
や用途に応じて他の化合物や添加剤等を加えてもよい。
添加剤は各成分との反応性、相溶性を考慮して選択すれ
ばよく、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタ
ニア等の各種金属酸化物の超微粒子、各種樹脂等が挙げ
られる。着色が必要であれば、染料、顔料等を加えても
よい。添加剤の添加量は、表面処理用組成物の全重量に
対して0.01〜20重量%程度が好ましい。過剰な添
加は本発明の撥水性、耐摩耗性等を低下させる。
【0116】また、導電性を付与したい場合には、目的
に応じた抵抗値の得られる材料[酸化錫、ITO(In
2 O3 −SnO2 )、酸化亜鉛等]の添加もできる。こ
れら添加剤の添加量は目的とする抵抗値および材料に応
じて決定すればよく、特に限定されない。
【0117】本発明の表面処理用組成物は、通常、基材
に塗布し、溶剤を蒸発除去することによって処理され
る。該処理にあたっては、特別な前処理は必要ないが、
目的に応じて行うことは別段問題なく、例えば、希釈し
たフッ酸、塩酸等による酸処理、水酸化ナトリウム、水
酸化カリウム水溶液等によるアルカリ処理、あるいはプ
ラズマ照射等による放電処理を行うことができる。
【0118】表面処理用組成物は通常の方法、例えば、
はけ塗り、流し塗り、回転塗布、浸漬塗布、スプレー塗
布等の方法によって、基材表面に処理できる。さらに、
大気中あるいは窒素気流中で乾燥させればよい。本処理
剤は、常温の大気中での乾燥のみで優れた性能を発現す
るが、乾燥速度を高める等の目的で加熱してもよい。加
熱する場合の温度は50〜250℃程度が好ましく、加
熱時間は5〜60分程度が適当である。乾燥の条件は、
基材の耐熱性等により適宜変更されうる。
【0119】表面処理用組成物によって生成する被膜の
厚さは特に限定されず、極力薄いものであることが望ま
しい。膜厚は単分子層厚以上2μm以下が好ましい。被
膜の厚さは、表面処理用組成物の成分濃度、塗布条件、
加熱条件などによって適宜制御しうる。
【0120】また、表面処理用組成物によって得られる
被膜は屈折率が低いために低反射性も付与できる。低反
射性を期待する場合には、特に被膜の膜厚を光学干渉が
生じる膜厚に制御すればよい。
【0121】表面処理用組成物が適用可能な基材は特に
限定はなく、例えば、金属、プラスチックス、セラミッ
クス、ガラス、その他の無機質材料や有機質材料あるい
はその組合せ(複合材料、積層材料等)等が挙げられ
る。また、基材の表面は基材そのものの表面であっても
よく、塗装金属等の塗膜表面や表面処理ガラスの表面処
理層表面(例えば、ゾルゲル膜、スパッタ膜、CVD
膜、蒸着膜等が設けられた表面)など、基材表面に存在
する基材とは異なる材質の表面であってもよい。基材の
形状としては平面に限られず、全面にあるいは部分的に
曲率を有するものなど目的に応じた任意な形状でもよ
い。
【0122】本発明の表面処理用組成物は常温の処理で
あっても性能を発現するため、既になんらかの用途に使
用されている基材に関しても処理ができ防汚性等の機能
付与できる。したがって、これまでにない幅広い範囲で
の応用ができる。
【0123】本発明において特に有効な基材は、ガラス
等の透明な材料からなる基材であり、適当な物品とはそ
れらを装着した物品である。したがって、本発明の処理
剤で処理された基材は、輸送機器用物品、建築・建装用
の物品に用いられるのが特に望ましい。
【0124】輸送機器用物品としては、電車、バス、ト
ラック、自動車、船舶、航空機等の輸送機器における外
板、窓ガラス、鏡、表示機器表面材等の外装部材、計器
盤表面材等の内装部材、その他の輸送機器に使用される
物品、あるいは使用された部品、構成部材等が挙げられ
る。該物品は表面処理された基材のみからなるものでも
よく、表面処理された基材が組み込まれたものでもよ
い。例えば、前者として自動車用の窓ガラス等が、後者
としてガラス鏡が組み込まれた自動車用バックミラー部
材等が挙げられる。
【0125】輸送機器用物品としては、電車のボディ、
窓ガラス、パンタグラフ等、自動車、バス、トラック等
のボディ、フロントガラス、サイドガラス、リアガラ
ス、ミラー、バンパー等、船舶等のボディ、窓ガラス
等、航空機等のボディ、窓ガラス等が例示できる。
【0126】本表面処理用組成物が処理された基材や物
品においては、撥水性により表面に付着する水滴がはじ
かれ、特に、運行に伴って、受ける風圧との相互作用に
よって表面上を急速に移動し、水滴として溜ることな
く、水分が誘発する悪影響を排除できる。特に、各種窓
ガラス等の透視野部での用途では水滴の飛散により視野
確保が非常に容易となり車両の安全性向上に通じる。ま
た、水滴が氷結するような環境下でも氷結せず、仮に、
氷結したとしても解凍は著しく速い。さらには、水滴の
付着がほとんどないため定期的清浄作業回数を低減で
き、しかも、清浄は容易で、美観保護の点からも非常に
有利である。
【0127】また、建築、建装用物品としては、建築物
に取り付けられる物品、すでに建築物に取り付けられた
物品、あるいは建築物に取り付けられていなくてもそれ
とともに使用される建築用物品、例えば、家具、什器な
どの建装用物品およびそれらの物品の構成要素である基
材(ガラス板等)等が挙げられる。
【0128】具体的には、窓ガラス板、窓ガラス、屋根
用ガラス板やガラス屋根等の各種屋根、ドア用ガラス板
やそれがはめ込まれたドア、間仕切り用ガラス板、温室
用ガラス板や温室、ガラスの代わりに使用される透明プ
ラスチック板やそれを有する上記のような建築用物品
(窓材、屋根材など)、セラミックス、セメント、金属
その他の材料からなる壁材、鏡やそれを有する家具、陳
列棚やショーケース用のガラス等が挙げられる。
【0129】また、建築、建装用物品は表面処理された
基材のみからなるものでもよく、表面処理された基材が
組み込まれたものでもよい。例えば、前者として窓用ガ
ラス板があり、後者としてガラス鏡が組み込まれた家具
がある。
【0130】表面処理された基材においては、撥水性に
より表面に接触した水滴がはじかれて付着し難く、たと
え付着してもその量は少なく、また、付着した水滴の除
去も容易である。また、水滴が氷結するような環境下で
も氷結せず、仮に氷結したとしても、解凍は著しく速
い。さらには、水滴の付着がほとんどないため、定期的
清浄作業回数を低減でき、しかも、清浄は容易であり、
美観保護の点からも非常に有利である。
【0131】
【実施例】以下に、本発明を実施例により具体的に説明
するが本発明はこれらに限定されない。実施例における
各種評価方法はつぎの通りである。
【0132】1.防汚性評価 イ)水の接触角およびヘキサデカンC16H34の接触角の
測定。 ロ)指紋除去性:手の指紋を処理表面に付着し、綿布で
20往復拭き取りその後の外観を検査して、A:完全に
油汚れが拭き取れる、B:すこし油汚れが残る、C:か
なり油汚れが残る、の基準で評価した。 ハ)水滴残存性:試料から20cmの距離に保持したノ
ズルから水を全面に約1時間スプレーした後に表面に残
存する水滴を肉眼で観察し、A:試料表面に全く水が残
らない、B:試料表面に少し水が残る、C:試料表面に
かなり水滴が残る、D:試料表面で水が濡れ広がる、の
基準で評価した。
【0133】2.耐摩耗性評価 試験機としてケイエヌテー社製の往復式摩耗試験機を用
い、ネル布、荷重1kg、30000回の試験条件で摩
耗試験を実施し、試験後の指紋除去性および水滴残存性
を評価した。
【0134】3.耐候性試験方法 紫外線照射を8時間(70℃)、湿潤曝露を4時間(5
0℃)とする工程を1サイクルとして、250サイクル
実施した。
【0135】4.蒸発速度の測定方法 上部開放系のアルミニウム皿(開放部直径4cm、深さ
1cm)に溶剤を5.0g入れ、35℃の雰囲気に5分
間放置し、放置前後の減少重量を測定した。ただし、蒸
発速度が大きく、5分後の残存溶剤がアルミニウム皿の
底部分を完全に覆うだけの量に満たない場合には、放置
時間を3分として放置前後の減少重量を測定した。該減
少重量から数1により蒸発速度[単位:mg/(cm2
・min)]を算出した結果を表1に示す。
【0136】
【数1】蒸発速度[mg/(cm2・min)]=溶剤減少重量(mg)/
[アルミニウム皿の表面積(cm2) ×放置時間(min) ]
【0137】
【表1】
【0138】5.水滴転がり性の測定方法 水平に保持したサンプル基板に50μlの水滴を滴下し
た後、サンプル基板を一定の角速度で傾けていき、水滴
が移動し始めたときの傾斜角を測定した。
【0139】[処理剤1〜10の調製]撹拌子および温
度計がセットされたフラスコに、表2に示す種類と量の
化合物I、溶剤II、溶剤III を加えた。この溶液の液温
を25℃に維持しながら1昼夜撹拌を継続し各処理剤を
得た。表2には溶剤IIと溶剤III の蒸発速度差[単位:
mg/(cm2 ・min)]も示す。
【0140】
【表2】
【0141】なお、表1、表2に略号で表示した各化合
物は表3に示すものである。
【0142】
【表3】
【0143】[実施例1〜6、比較例1〜4]予め酸化
セリウム研磨した厚さ6mm、200cm×200cm
のソーダライムガラスに表4に示す各処理剤を30cc
滴下し、JKワイパー(十條キンバリー社製品)で自動
車のワックスがけの要領で塗り広げ、1昼夜放置した。
塗布および放置は屋外にて実施した。塗布時の気象条件
は気温29℃、相対湿度65%、風速6mの南風であっ
た。作成したサンプルガラスの外観品質(塗布ムラの有
無)を肉眼観察した結果、および、サンプルガラスの一
部を切取り防汚性能を評価した結果を表4に示す。
【0144】
【表4】
【0145】[実施例7]実施例1のサンプルガラスの
一部を切取り、表5に示す薬品に24時間浸漬し、取り
出して直ちに水で洗浄した後、このサンプルの外観変化
および防汚性の効果を評価した。結果を表5に示す。
【0146】
【表5】
【0147】[実施例8]実施例1で作成したサンプル
ガラスの一部を切取り、耐候性試験を実施した。試験後
のサンプルの外観変化および防汚性能を評価したとこ
ろ、外観は変化なく、指紋除去性は評価A、水滴残存性
は評価Aであった。
【0148】[実施例9〜10、比較例5〜6]実施例
1のソーダライムガラスのかわりに、実施例9ではアク
リル板(AC)を、実施例10ではアルミニウム板(A
L)を、用いた。比較例5ではアクリル板を何も処理せ
ずに、比較例6ではアルミニウム板を何も処理せずに、
用いた。同様に評価した結果を表6に示す。
【0149】[実施例11〜13]実施例1のサンプル
ガラスを、それぞれ、100℃、200℃、300℃で
焼成して同様の評価を行った。結果を表6に示す。
【0150】
【表6】
【0151】[実施例14〜18]実施例1、2、4、
7で得られたサンプルガラス、および、実施例9で得ら
れたアクリル板をそれぞれサンプル基板に用いて、水滴
転がり性を調べた。その結果を表7に示す。
【0152】
【表7】
【0153】
【発明の効果】本発明の表面処理用組成物は、以下の優
れた特徴を有する。 1.常温処理で優れた防汚性を有する。 2.優れた耐薬品性、耐摩耗性、耐候性を有し、かつ、
防汚性の持続性にも優れるため、半永久的にこれらの性
能が維持できる。 3.広範囲の基材に対して連続的に処理が可能である。
また、特殊な前処理の必要性もなく経済的効果も高い。 4.処理環境を選ばず、強風の吹く屋外でも処理でき
る。 5.従来では処理できなかった各種基材にも処理でき
る。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C07F 7/10 W H C09K 3/18 104 (72)発明者 小野 由紀子 神奈川県横浜市神奈川区三枚町543 旭硝 子羽沢アパート254

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記(I)、(II)、および(III) を必須
    成分として含むことを特徴とする表面処理用組成物。 (I)水に対する接触角値が70度以上である被膜を形
    成しうる化合物の少なくとも1種。 (II)(I)を溶解する溶剤。 (III) (II)より低蒸発速度を有する溶剤。
  2. 【請求項2】(I)が、疎水性の有機基の少なくとも1
    個、および、イソシアネート基または加水分解性基が直
    接結合したケイ素原子の少なくとも1個を有するシラン
    化合物である請求項1の表面処理用組成物。
  3. 【請求項3】(I)が、下式(A)で表されるシラン化
    合物、(B)で表されるシラン化合物、および(C)で
    表されるシラン化合物からなる群から選ばれる少なくと
    も1種である請求項1の表面処理用組成物。 【化1】(A)(Z1)3-a-b(R1)a(R2)bSi-Y-Si(R3)c(R4)d
    (Z2)3-c-d ただし、式(A)において、R1 〜R4 は、独立に、水
    素原子または炭素数1〜30の1価の有機基を示す。Y
    は、2価の有機基を示す。さらに、R1 〜R4およびY
    の少なくとも1つは、疎水性の有機基を示す。Z1 およ
    びZ2 は、独立に、イソシアネート基、または、加水分
    解性基を示す。aおよびbは、独立に、0、1、または
    2であり、かつ、0≦a+b≦2である。cおよびd
    は、独立に、0、1、または2であり、かつ、0≦c+
    d≦2である。 【化2】(B)(R5)e(R6)g(R7)hSi(Z3)4-e-g-h ただし、式(B)において、R5 〜R7 は、独立に、水
    素原子または炭素数1〜30の1価の有機基であり、少
    なくとも1つは疎水性の有機基を示す。Z3 は、イソシ
    アネート基、または、加水分解性基を示す。e、g、お
    よびhは、独立に、0、1、または2であり、かつ、1
    ≦e+g+h≦3である。 【化3】(C)(R8)i(R9)j(Z4)3-i-jSiO[(R10)k(R11)
    m(Z5)2-k-mSiO]n--Si(R12)p(R13)q(Z6)3-p-q ただし、式(C)において、R8 〜R13は、独立に、水
    素原子または炭素数1〜30の1価の有機基であり、少
    なくとも1つは疎水性の有機基を示す。Z4 〜Z6 は、
    独立に、イソシアネート基、または、加水分解性基を示
    す。i、j、k、m、p、およびqは、独立に、0、
    1、または2であり、かつ、1≦i+j≦3、0≦k+
    m≦2、1≦p+q≦3であり、2≦i+j+k+m+
    p+q≦7である。nは、0または1以上の整数であ
    る。
  4. 【請求項4】疎水性の有機基が、ポリフルオロ有機基ま
    たは長鎖炭化水素基である請求項2または3の表面処理
    用組成物。
  5. 【請求項5】疎水性の有機基が、炭素数3〜21のパー
    フルオロアルキル部分あるいは炭素数2〜16のパーフ
    ルオロアルキレン部分を有する有機基である請求項2ま
    たは3の表面処理用組成物。
  6. 【請求項6】疎水性の有機基が、炭素数7〜30のアル
    キル部分または炭素数7〜16のアルキレン部分を有す
    る炭化水素基である請求項2または3の表面処理用組成
    物。
  7. 【請求項7】加水分解性基が、ハロゲン原子、アルコキ
    シ基、アシルオキシ基、アルコキシ置換アルコキシ基、
    オキシアミノ基、アミノ基、または−C=N−OHであ
    る請求項2〜6のいずれかの表面処理用組成物。
  8. 【請求項8】シラン化合物が、少なくとも1つのイソシ
    アネート基を有する化合物である請求項2〜7のいずれ
    かの表面処理用組成物。
  9. 【請求項9】Z1 〜Z6 の全てがイソシアネート基であ
    る、請求項3〜6のいずれかの表面処理用組成物。
  10. 【請求項10】(II)と (III)との本文中で定義する蒸発
    速度の差が2.0mg/(cm2 ・min)以上である
    請求項1〜9のいずれかの表面処理用組成物。
  11. 【請求項11】(III) が、(I)を溶解しない溶剤、ま
    たは、(II)よりも(I)の溶解性が小さい溶剤である
    請求項1〜10のいずれかの表面処理用組成物。
  12. 【請求項12】(III) が、非極性の溶剤である請求項1
    〜11のいずれかの表面処理用組成物。
  13. 【請求項13】請求項1〜12のいずれかの表面処理用
    組成物が処理された基材。
  14. 【請求項14】基材が透明性の材料である請求項13の
    基材。
  15. 【請求項15】基材がガラスである請求項13または1
    4の基材。
  16. 【請求項16】請求項13〜15のいずれかの基材を用
    いた物品。
  17. 【請求項17】物品が、輸送機器用物品または建築・建
    装用の物品である請求項16の物品。
  18. 【請求項18】請求項1〜12のいずれかの表面処理用
    組成物を基材に塗布し、溶剤を蒸発除去することを特徴
    とする表面処理用組成物の処理方法。
  19. 【請求項19】請求項1〜12のいずれかの表面処理用
    組成物を常温で基材に塗布することを特徴とする表面処
    理用組成物の処理方法。
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