JPH08165523A - 冷延表面品質の優れたオーステナイト系ステンレス鋼薄鋳片の製造方法 - Google Patents
冷延表面品質の優れたオーステナイト系ステンレス鋼薄鋳片の製造方法Info
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- JPH08165523A JPH08165523A JP30931594A JP30931594A JPH08165523A JP H08165523 A JPH08165523 A JP H08165523A JP 30931594 A JP30931594 A JP 30931594A JP 30931594 A JP30931594 A JP 30931594A JP H08165523 A JPH08165523 A JP H08165523A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 鋳片と鋳型内壁面の間に相対速度差のない、
所謂同期式連続鋳造プロセスによって鋳造した製品厚さ
に近い厚さのステンレス鋼薄帯状鋳片を冷間圧延して光
沢むらのない表面品質の優れたオーステナイト系ステン
レス鋼薄板を提供することを目的とする。 【構成】 ショットブラスト法によってランダムなディ
ンブルを多数散在させた冷却ドラムの壁面に同期して鋳
片が移動する双ロール等の連続鋳造機により、重量%
で、Cr+Mo+1.5Siで定義されるCr当量とN
i+30(C+N)+0.5(Mn+Cu)で定義され
るNi当量によって、下記(1)式を満足する成分組成
としたオーステナイト系ステンレス鋼を鋳造し、引き続
いて10%以上の圧延率の熱間圧延により鋳片に転写し
たディンブルを圧下・消滅せしめるとともに、表層を再
結晶させて等軸粒とした薄板状鋳片を巻取る。 Ni当量≦0.63×Cr当量−1.29・・・・・(1)
所謂同期式連続鋳造プロセスによって鋳造した製品厚さ
に近い厚さのステンレス鋼薄帯状鋳片を冷間圧延して光
沢むらのない表面品質の優れたオーステナイト系ステン
レス鋼薄板を提供することを目的とする。 【構成】 ショットブラスト法によってランダムなディ
ンブルを多数散在させた冷却ドラムの壁面に同期して鋳
片が移動する双ロール等の連続鋳造機により、重量%
で、Cr+Mo+1.5Siで定義されるCr当量とN
i+30(C+N)+0.5(Mn+Cu)で定義され
るNi当量によって、下記(1)式を満足する成分組成
としたオーステナイト系ステンレス鋼を鋳造し、引き続
いて10%以上の圧延率の熱間圧延により鋳片に転写し
たディンブルを圧下・消滅せしめるとともに、表層を再
結晶させて等軸粒とした薄板状鋳片を巻取る。 Ni当量≦0.63×Cr当量−1.29・・・・・(1)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鋳片と鋳型内壁面の間
に相対速度差のない、所謂、同期式連続鋳造プロセスに
よって鋳造した製品厚さに近い厚さのステンレス鋼薄帯
状鋳片を冷間圧延することによって、光沢むらのない表
面品質の優れたオーステナイト系ステンレス鋼薄板を製
造する方法に関するものである。
に相対速度差のない、所謂、同期式連続鋳造プロセスに
よって鋳造した製品厚さに近い厚さのステンレス鋼薄帯
状鋳片を冷間圧延することによって、光沢むらのない表
面品質の優れたオーステナイト系ステンレス鋼薄板を製
造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】同期式連続鋳造プロセスとは、例えば
「鉄と鋼」’85−A197〜A256に特集された論
文に紹介されているような、双ロール法、双ベルト法、
単ロール法等、鋳片と鋳型内壁面の間に相対速度差のな
い同期式連続鋳造プロセスである。これら同期式連続鋳
造プロセスの一つである双ロール式連続鋳造法は、平行
または傾斜配置した一対の同径あるいは異径冷却ドラム
と、その両端面をシールするサイド堰とによって構成さ
れた連続鋳造鋳型内に溶鋼を注入し、両冷却ドラムの円
周面上にそれぞれ凝固殻を生成させ、回転する両冷却ド
ラムの最接近位置(所謂「キッシングポイント」)付近
で凝固殻同士を合体させて、一体の薄帯状鋳片とする連
続鋳造法である。
「鉄と鋼」’85−A197〜A256に特集された論
文に紹介されているような、双ロール法、双ベルト法、
単ロール法等、鋳片と鋳型内壁面の間に相対速度差のな
い同期式連続鋳造プロセスである。これら同期式連続鋳
造プロセスの一つである双ロール式連続鋳造法は、平行
または傾斜配置した一対の同径あるいは異径冷却ドラム
と、その両端面をシールするサイド堰とによって構成さ
れた連続鋳造鋳型内に溶鋼を注入し、両冷却ドラムの円
周面上にそれぞれ凝固殻を生成させ、回転する両冷却ド
ラムの最接近位置(所謂「キッシングポイント」)付近
で凝固殻同士を合体させて、一体の薄帯状鋳片とする連
続鋳造法である。
【0003】例えば、双ロール式連続鋳造法により鋳造
される薄帯状鋳片は、厚さ数mm(通常2〜5mm程
度)であり、従来の熱間圧延を経ずに冷間圧延を行って
薄板製品を製造することができる。このため、振動鋳型
等を用いる連続鋳造により厚さ100mm超の熱間圧延
用スラブを鋳造し、これを熱間圧延してから冷間圧延す
る従来の製造方法(スラブ鋳造−熱間圧延プロセス)に
比べて、生産効率およびコストが格段に有利となる。
される薄帯状鋳片は、厚さ数mm(通常2〜5mm程
度)であり、従来の熱間圧延を経ずに冷間圧延を行って
薄板製品を製造することができる。このため、振動鋳型
等を用いる連続鋳造により厚さ100mm超の熱間圧延
用スラブを鋳造し、これを熱間圧延してから冷間圧延す
る従来の製造方法(スラブ鋳造−熱間圧延プロセス)に
比べて、生産効率およびコストが格段に有利となる。
【0004】しかし、ディンプルを形成させた冷却ドラ
ムを用いた双ロール式連続鋳造法等により鋳造した薄帯
状鋳片を熱間圧延を経ずに冷間圧延した製品には、表面
に種々の光沢むらが発生する。代表的な光沢むらとして
は、(1)鋳造組織の粗粒・細粒部が酸洗時にミクログ
ルーブとなり、冷間圧延後に網目模様の疎密として発生
する光沢むら、(2)鋳造組織のδフェライト残存むら
に対応する最終焼鈍後の粗粒・細粒組織が色調むらとし
て発生する光沢むら、(3)ディンプルの凹凸自身が冷
間圧延時のロールバイト中での油膜厚さの不均一を助長
して発生する光沢むら、等がある。
ムを用いた双ロール式連続鋳造法等により鋳造した薄帯
状鋳片を熱間圧延を経ずに冷間圧延した製品には、表面
に種々の光沢むらが発生する。代表的な光沢むらとして
は、(1)鋳造組織の粗粒・細粒部が酸洗時にミクログ
ルーブとなり、冷間圧延後に網目模様の疎密として発生
する光沢むら、(2)鋳造組織のδフェライト残存むら
に対応する最終焼鈍後の粗粒・細粒組織が色調むらとし
て発生する光沢むら、(3)ディンプルの凹凸自身が冷
間圧延時のロールバイト中での油膜厚さの不均一を助長
して発生する光沢むら、等がある。
【0005】これらの対策として、まず(1)の課題に
対しては、本発明者らは、特開平3−66460号公報
において、酸洗時に発生するミクログルーブが冷間圧延
後に光沢むらとなる鋳造組織の粗粒・細粒部を、大きさ
が0.1〜1.0mmのディンプルをランダムに配置し
たディンプルパターンの冷却ドラムによって結晶粒界の
粗粒・細粒をランダム化する方法を提案した。
対しては、本発明者らは、特開平3−66460号公報
において、酸洗時に発生するミクログルーブが冷間圧延
後に光沢むらとなる鋳造組織の粗粒・細粒部を、大きさ
が0.1〜1.0mmのディンプルをランダムに配置し
たディンプルパターンの冷却ドラムによって結晶粒界の
粗粒・細粒をランダム化する方法を提案した。
【0006】また、(2)の課題に対しては、本発明者
らは、特開平4−158957号公報において、冷却ド
ラム壁面に設けたディンプル全ての隣接間隔を0.35
mm以下とすることにより、ディンプル凹凸に対応する
不均一冷却を緩和して凝固組織を均一化するとともに、
δ−Fecal.(%)を5〜9%にすることにより、凝固
組織むら感受性を下げる方法を提案した。
らは、特開平4−158957号公報において、冷却ド
ラム壁面に設けたディンプル全ての隣接間隔を0.35
mm以下とすることにより、ディンプル凹凸に対応する
不均一冷却を緩和して凝固組織を均一化するとともに、
δ−Fecal.(%)を5〜9%にすることにより、凝固
組織むら感受性を下げる方法を提案した。
【0007】前記の発明では、所定のディンプルを加工
するための方法が高価なフォトエッチ法等に限定され、
安価なショットブラスト等の加工方法を用いることがで
きず、さらに(3)の課題に対しては、これらの発明は
完全な対策とは成り得ないという問題があった。特に、
冷間圧延前のコイル研削工程を省略した場合には、光輝
焼鈍仕上製品(BA製品)としては表面品質が問題であ
り、新たな対策が必要であった。
するための方法が高価なフォトエッチ法等に限定され、
安価なショットブラスト等の加工方法を用いることがで
きず、さらに(3)の課題に対しては、これらの発明は
完全な対策とは成り得ないという問題があった。特に、
冷間圧延前のコイル研削工程を省略した場合には、光輝
焼鈍仕上製品(BA製品)としては表面品質が問題であ
り、新たな対策が必要であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ディンプル
を形成させた冷却ドラムを用いた双ロール法等の、所
謂、同期式連続鋳造プロセスにより、光沢むらを改善し
た表面品質の優れたオーステナイト系ステンレス鋼薄板
の製造方法を提供することを目的とする。
を形成させた冷却ドラムを用いた双ロール法等の、所
謂、同期式連続鋳造プロセスにより、光沢むらを改善し
た表面品質の優れたオーステナイト系ステンレス鋼薄板
の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の要旨
とするところは、ショットブラスト法によってランダム
なディンプルを多数散在させた冷却ドラムの壁面に同期
して鋳片が移動する双ロール等の連続鋳造機により、重
量%で、Cr+Mo+1.5Siで定義されるCr当量
とNi+30(C+N)+0.5(Mn+Cu)で定義
されるNi当量が下記(1)式を満足する成分組成とし
たオーステナイト系ステンレス鋼を鋳造し、引き続い
て、鋳片に転写したディンプルを10%以上の圧延率の
熱間圧延により圧下・消滅させるとともに、表層を再結
晶させて等軸粒とした薄板状鋳片を巻取ることを特徴と
する冷延表面品質の優れたオーステナイト系ステンレス
鋼薄鋳片の製造方法にある。
とするところは、ショットブラスト法によってランダム
なディンプルを多数散在させた冷却ドラムの壁面に同期
して鋳片が移動する双ロール等の連続鋳造機により、重
量%で、Cr+Mo+1.5Siで定義されるCr当量
とNi+30(C+N)+0.5(Mn+Cu)で定義
されるNi当量が下記(1)式を満足する成分組成とし
たオーステナイト系ステンレス鋼を鋳造し、引き続い
て、鋳片に転写したディンプルを10%以上の圧延率の
熱間圧延により圧下・消滅させるとともに、表層を再結
晶させて等軸粒とした薄板状鋳片を巻取ることを特徴と
する冷延表面品質の優れたオーステナイト系ステンレス
鋼薄鋳片の製造方法にある。
【0010】 Ni当量≦0.63×Cr当量−1.29 ……(1)
【0011】
【作用】双ロール法等の連続鋳造法において、冷却ドラ
ムにディンプルをランダムに散在させる目的は、エヤー
ギャップによって緩冷された未だ剛性の低い状態にある
部分(ディンプル中央部)を冷却ドラムと直接接触させ
ることによって十分に冷却された剛性の高い部分(ディ
ンプルエッジ部)が取り囲むときの熱応力をディンプル
の分散によって小さくし、かつ凝固シェルの収縮に伴う
割れが複数の剛性低下部にまたがって発生することを防
止することである。
ムにディンプルをランダムに散在させる目的は、エヤー
ギャップによって緩冷された未だ剛性の低い状態にある
部分(ディンプル中央部)を冷却ドラムと直接接触させ
ることによって十分に冷却された剛性の高い部分(ディ
ンプルエッジ部)が取り囲むときの熱応力をディンプル
の分散によって小さくし、かつ凝固シェルの収縮に伴う
割れが複数の剛性低下部にまたがって発生することを防
止することである。
【0012】しかしながら、このディンプルの形成によ
って生じる不均一冷却が凝固組織の均一性に大きく影響
し、ディンプル凹凸に対応した結晶粒や残留δフェライ
トのむらが発生する。また、鋳片表層には転写ディンプ
ルの凹凸が残り、表面および直下の内質がスラブ鋳造−
熱間圧延プロセス材とは大きく異なる状態で冷延工程に
供され、これらが冷間圧延後に光沢むらの原因となる。
って生じる不均一冷却が凝固組織の均一性に大きく影響
し、ディンプル凹凸に対応した結晶粒や残留δフェライ
トのむらが発生する。また、鋳片表層には転写ディンプ
ルの凹凸が残り、表面および直下の内質がスラブ鋳造−
熱間圧延プロセス材とは大きく異なる状態で冷延工程に
供され、これらが冷間圧延後に光沢むらの原因となる。
【0013】特に、残留δフェライトむらの発生は、オ
ーステナイト系ステンレス鋼特有の現象である。本発明
者らは、ショットブラスト法によってディンプル間隔、
大きさ等を規制することなく、ランダムな配置のディン
プルを形成させた冷却ドラムを用いた双ロール鋳造機か
ら、種々の成分に調整したオーステナイト系ステンレス
鋼を鋳造し、約1100℃の温度から鋳造機後面に配置
した2Hiの圧延機により5〜35%の1パス圧延を行
い、約850℃で巻取ることにより薄帯状鋳片を製造し
た。その後、焼鈍・酸洗、冷間圧延、最終焼鈍・酸洗を
行って0.6mm厚さの薄板を製造し、光沢むらを評価
した。
ーステナイト系ステンレス鋼特有の現象である。本発明
者らは、ショットブラスト法によってディンプル間隔、
大きさ等を規制することなく、ランダムな配置のディン
プルを形成させた冷却ドラムを用いた双ロール鋳造機か
ら、種々の成分に調整したオーステナイト系ステンレス
鋼を鋳造し、約1100℃の温度から鋳造機後面に配置
した2Hiの圧延機により5〜35%の1パス圧延を行
い、約850℃で巻取ることにより薄帯状鋳片を製造し
た。その後、焼鈍・酸洗、冷間圧延、最終焼鈍・酸洗を
行って0.6mm厚さの薄板を製造し、光沢むらを評価
した。
【0014】その結果、図1に示すように、重量%で、
Cr+Mo+1.5Siで定義されるCr当量とNi+
30(C+N)+0.5(Mn+Cu)で定義されるN
i当量の関係において、Ni当量≦0.63×Cr当量
−1.29を満足する成分限定によって、残存δフェラ
イト起因の光沢むらは全く発生しないことが確認され
た。
Cr+Mo+1.5Siで定義されるCr当量とNi+
30(C+N)+0.5(Mn+Cu)で定義されるN
i当量の関係において、Ni当量≦0.63×Cr当量
−1.29を満足する成分限定によって、残存δフェラ
イト起因の光沢むらは全く発生しないことが確認され
た。
【0015】上記の関係を満足する成分では、鋳造後の
凝固組織はアシュキュラー状δ組織(アシュキュラー状
δが主体で一部レーシー状δも存在)であることから、
溶接金属において呼称されるFモード凝固であると推定
される。本発明者らは、δフェライト起因の光沢むら
は、凝固時のδ+γ相の共晶組織で発生するバーミキュ
ラーδよりもδ単相で完全凝固し、γに変態した場合に
発生するアシュキュラー状δは凝固組織の残留フェライ
トむらが小さいことを多くの双ロール鋳造材の凝固組織
観察から見出しているが、従来知見からはディンプル間
隔を小さくすることが必要であった。しかし、今回の結
果から、ディンプル間隔が必ずしも必要十分条件ではな
いことが明らかになった。その理由は、図2に示すよう
に、以下のように考えられる。
凝固組織はアシュキュラー状δ組織(アシュキュラー状
δが主体で一部レーシー状δも存在)であることから、
溶接金属において呼称されるFモード凝固であると推定
される。本発明者らは、δフェライト起因の光沢むら
は、凝固時のδ+γ相の共晶組織で発生するバーミキュ
ラーδよりもδ単相で完全凝固し、γに変態した場合に
発生するアシュキュラー状δは凝固組織の残留フェライ
トむらが小さいことを多くの双ロール鋳造材の凝固組織
観察から見出しているが、従来知見からはディンプル間
隔を小さくすることが必要であった。しかし、今回の結
果から、ディンプル間隔が必ずしも必要十分条件ではな
いことが明らかになった。その理由は、図2に示すよう
に、以下のように考えられる。
【0016】フォトエッチ加工のディンプルエッジは、
ほぼ直角であることから表面張力によってディンプル中
央部まで溶鋼が入らず、その部分のエアギャップ層が厚
くなるのに対して、ショット加工で形成されたディンプ
ルはエッジの傾斜が緩やかなため、エッジ部の傾斜に沿
って溶鋼がディンプル中央部まで入る結果、エアギャッ
プ層が薄く、ディンプル中央部とディンプル−ディンプ
ル間の部分の凝固冷速差が軽減される。さらに、ショッ
トディンプルでは大きなディンプルの中に小さなディン
プルが存在し、冷却ドラムとの直接接触が面から点へと
変化する効果がディンプルの各部位における凝固冷速差
を分散させる。これらの効果が、フォトエッチディンプ
ルで言うところのディンプル間隔を狭くすることの作用
を少なからず代替し、特定の成分を限定するのみで実質
上製品の光沢むらが改善されたとみられる。
ほぼ直角であることから表面張力によってディンプル中
央部まで溶鋼が入らず、その部分のエアギャップ層が厚
くなるのに対して、ショット加工で形成されたディンプ
ルはエッジの傾斜が緩やかなため、エッジ部の傾斜に沿
って溶鋼がディンプル中央部まで入る結果、エアギャッ
プ層が薄く、ディンプル中央部とディンプル−ディンプ
ル間の部分の凝固冷速差が軽減される。さらに、ショッ
トディンプルでは大きなディンプルの中に小さなディン
プルが存在し、冷却ドラムとの直接接触が面から点へと
変化する効果がディンプルの各部位における凝固冷速差
を分散させる。これらの効果が、フォトエッチディンプ
ルで言うところのディンプル間隔を狭くすることの作用
を少なからず代替し、特定の成分を限定するのみで実質
上製品の光沢むらが改善されたとみられる。
【0017】次に、凝固時の不均一結晶粒は圧延・再結
晶により改善できる。図3に示すように、光沢むらに影
響する表層のみの再結晶は、10%以上の圧下率で熱間
圧延することにより、再結晶・整粒組織となることが明
らかになった。10%以上の圧下率で表層が完全に再結
晶する理由は、付与される剪断歪成分が表層では中心層
に比べて大きく再結晶に必要な蓄積歪が高いこと、およ
びFモード凝固でのδフェライトによるピンニング効果
や表層の急冷効果による初期粒径の微細化が有効に作用
したものと考えられる。
晶により改善できる。図3に示すように、光沢むらに影
響する表層のみの再結晶は、10%以上の圧下率で熱間
圧延することにより、再結晶・整粒組織となることが明
らかになった。10%以上の圧下率で表層が完全に再結
晶する理由は、付与される剪断歪成分が表層では中心層
に比べて大きく再結晶に必要な蓄積歪が高いこと、およ
びFモード凝固でのδフェライトによるピンニング効果
や表層の急冷効果による初期粒径の微細化が有効に作用
したものと考えられる。
【0018】さらに、鋳片表層部の転写ディンプルは圧
延により消滅させることができる。図4に、転写ディン
プル凹凸の深さに及ぼす圧下率の影響を示す。スラブ鋳
造−熱間圧延プロセス材とほぼ同等の表面粗さにするに
は、転写ディンプル凹凸の深さが平均値で約70〜80
μmの場合、10%以上の圧延率が必要である。本発明
では、フォトエッチ加工法等によらず、ディンプル加工
および補修等が容易であるショットブラスト法による冷
却ドラムのディンプル形成とともに、成分を特定の範囲
に限定することによって凝固組織を均一化し、かつ結晶
粒の不均一性や転写ディンプルの凹凸をインライン圧延
で改善することで、種々の光沢むらを一挙に解決でき
る。
延により消滅させることができる。図4に、転写ディン
プル凹凸の深さに及ぼす圧下率の影響を示す。スラブ鋳
造−熱間圧延プロセス材とほぼ同等の表面粗さにするに
は、転写ディンプル凹凸の深さが平均値で約70〜80
μmの場合、10%以上の圧延率が必要である。本発明
では、フォトエッチ加工法等によらず、ディンプル加工
および補修等が容易であるショットブラスト法による冷
却ドラムのディンプル形成とともに、成分を特定の範囲
に限定することによって凝固組織を均一化し、かつ結晶
粒の不均一性や転写ディンプルの凹凸をインライン圧延
で改善することで、種々の光沢むらを一挙に解決でき
る。
【0019】
【実施例】表1および表2(表1のつづき)に示すオー
ステナイト系ステンレス鋼を、ショットブラスト法によ
りランダムな配置のディンプルを形成させた冷却ドラム
を用いた双ロール鋳造機で、鋳造板厚3〜5mmで鋳造
し、約1030〜1100℃の温度範囲で鋳造機後面に
配置した2Hiの圧延機により5〜35%の1パス圧延
を行い、約850℃で巻取ることにより薄帯状鋳片を製
造した。圧延は途中でミル圧下力を調整して鋳造中に圧
下率を変化させ、また冷却ドラムから圧延機の間を保温
カバーをして可能な限り圧延前温度を高くするようにし
た。その後、焼鈍・酸洗、冷間圧延、最終焼鈍・酸洗を
行って0.6mm厚さの薄板を製造し、光沢むらを評価
した。さらに、鋳片の凝固組織、表層の再結晶状況およ
び転写ディンプル凹凸を粗さ計によって測定した。結果
を表3、表4(表3のつづき−1)および表5(表3の
つづき−2)に示す。
ステナイト系ステンレス鋼を、ショットブラスト法によ
りランダムな配置のディンプルを形成させた冷却ドラム
を用いた双ロール鋳造機で、鋳造板厚3〜5mmで鋳造
し、約1030〜1100℃の温度範囲で鋳造機後面に
配置した2Hiの圧延機により5〜35%の1パス圧延
を行い、約850℃で巻取ることにより薄帯状鋳片を製
造した。圧延は途中でミル圧下力を調整して鋳造中に圧
下率を変化させ、また冷却ドラムから圧延機の間を保温
カバーをして可能な限り圧延前温度を高くするようにし
た。その後、焼鈍・酸洗、冷間圧延、最終焼鈍・酸洗を
行って0.6mm厚さの薄板を製造し、光沢むらを評価
した。さらに、鋳片の凝固組織、表層の再結晶状況およ
び転写ディンプル凹凸を粗さ計によって測定した。結果
を表3、表4(表3のつづき−1)および表5(表3の
つづき−2)に示す。
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】
【0022】
【表3】
【0023】
【表4】
【0024】
【表5】
【0025】本発明による製造方法(No.1〜No.
12)によって得られた鋳片の凝固組織むら、表層の再
結晶状況および表面粗さは良好であり、薄板製品の各光
沢むらはなく良好であった。一方、比較例No.13と
No.14によって得られたものは、適正な成分であ
り、残留フェライト起因の光沢むらは発生しなかった
が、圧延が不十分なため混粒起因およびディンプル起因
の光沢むらが発生した。さらに、比較例No.15〜N
o.24によって得られたものは、混粒あるいはディン
プル起因の光沢むらが良好な場合も本発明の成分外であ
ったため、残留フェライト起因の光沢むらが発生し、総
合的には不良であった。なお、比較例No.17とN
o.20によって得られたものは、本発明から全く外れ
た製造方法であったため、いずれの光沢むらも発生し、
不良であった。
12)によって得られた鋳片の凝固組織むら、表層の再
結晶状況および表面粗さは良好であり、薄板製品の各光
沢むらはなく良好であった。一方、比較例No.13と
No.14によって得られたものは、適正な成分であ
り、残留フェライト起因の光沢むらは発生しなかった
が、圧延が不十分なため混粒起因およびディンプル起因
の光沢むらが発生した。さらに、比較例No.15〜N
o.24によって得られたものは、混粒あるいはディン
プル起因の光沢むらが良好な場合も本発明の成分外であ
ったため、残留フェライト起因の光沢むらが発生し、総
合的には不良であった。なお、比較例No.17とN
o.20によって得られたものは、本発明から全く外れ
た製造方法であったため、いずれの光沢むらも発生し、
不良であった。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
スラブ鋳造−熱間圧延プロセスによる従来の製造方法と
同等の表面品質のオーステナイト系ステンレス鋼薄帯状
冷延鋼板を、安価にしてかつ短納期で製造することがで
きる。
スラブ鋳造−熱間圧延プロセスによる従来の製造方法と
同等の表面品質のオーステナイト系ステンレス鋼薄帯状
冷延鋼板を、安価にしてかつ短納期で製造することがで
きる。
【図1】残留フェライト起因の光沢むらに及ぼすCr当
量とNi当量の影響を示す図である。
量とNi当量の影響を示す図である。
【図2】フォトエッチおよびショットディンプル形状と
溶鋼の入込み状況を示した模式図である。
溶鋼の入込み状況を示した模式図である。
【図3】鋳片の未圧下および10%圧下後を比較した表
層γ粒トレース図である。
層γ粒トレース図である。
【図4】転写ディンプルの圧延による表面粗さと圧下率
の関係を示した図である。
の関係を示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 寺岡 慎一 山口県光市大字島田3434番地 新日本製鐵 株式会社光製鐵所内
Claims (1)
- 【請求項1】 ショットブラスト法によってランダムな
ディンプルを多数散在させた冷却ドラムの壁面に同期し
て鋳片が移動する双ロール等の連続鋳造機により、重量
%で、Cr+Mo+1.5Siで定義されるCr当量と
Ni+30(C+N)+0.5(Mn+Cu)で定義さ
れるNi当量が下記(1)式を満足する成分組成とした
オーステナイト系ステンレス鋼を鋳造し、引き続いて、
鋳片に転写したディンプルを10%以上の圧延率の熱間
圧延により圧下・消滅させるとともに、表層を再結晶さ
せて等軸粒とした薄板状鋳片を巻取ることを特徴とする
冷延表面品質の優れたオーステナイト系ステンレス鋼薄
鋳片の製造方法。 Ni当量≦0.63×Cr当量−1.29 ……(1)
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP30931594A JPH08165523A (ja) | 1994-12-13 | 1994-12-13 | 冷延表面品質の優れたオーステナイト系ステンレス鋼薄鋳片の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP30931594A JPH08165523A (ja) | 1994-12-13 | 1994-12-13 | 冷延表面品質の優れたオーステナイト系ステンレス鋼薄鋳片の製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH08165523A true JPH08165523A (ja) | 1996-06-25 |
Family
ID=17991542
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP30931594A Pending JPH08165523A (ja) | 1994-12-13 | 1994-12-13 | 冷延表面品質の優れたオーステナイト系ステンレス鋼薄鋳片の製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH08165523A (ja) |
Cited By (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| KR100650560B1 (ko) * | 2005-12-20 | 2006-11-30 | 주식회사 포스코 | 쌍롤식 박판주조공정의 델타페라이트 제어 방법 |
| KR100770338B1 (ko) * | 2006-07-07 | 2007-10-25 | 주식회사 포스코 | 쌍롤형 박판주조공정에 의한 고망간강의 제조방법 |
| US7604039B2 (en) | 1999-02-05 | 2009-10-20 | Castrip, Llc | Casting steel strip |
| EP1029617B2 (en) † | 1999-02-05 | 2017-01-04 | Castrip, LLC | Continuous casting steel strip method |
| CN108348990A (zh) * | 2015-11-12 | 2018-07-31 | 株式会社Posco | 具有优异耐桔皮性的奥氏体不锈钢及其制造方法 |
-
1994
- 1994-12-13 JP JP30931594A patent/JPH08165523A/ja active Pending
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| KR100770338B1 (ko) * | 2006-07-07 | 2007-10-25 | 주식회사 포스코 | 쌍롤형 박판주조공정에 의한 고망간강의 제조방법 |
| CN108348990A (zh) * | 2015-11-12 | 2018-07-31 | 株式会社Posco | 具有优异耐桔皮性的奥氏体不锈钢及其制造方法 |
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