JPH08166579A - 液晶パネル体、液晶パネル体の階調発現方法及び液晶パネル体の製造方法 - Google Patents

液晶パネル体、液晶パネル体の階調発現方法及び液晶パネル体の製造方法

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JPH08166579A
JPH08166579A JP6336538A JP33653894A JPH08166579A JP H08166579 A JPH08166579 A JP H08166579A JP 6336538 A JP6336538 A JP 6336538A JP 33653894 A JP33653894 A JP 33653894A JP H08166579 A JPH08166579 A JP H08166579A
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crystal panel
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JP6336538A
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Takao Minato
孝夫 湊
Katsuhiro Suzuki
克宏 鈴木
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Toppan Inc
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Toppan Printing Co Ltd
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Publication date
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    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02FOPTICAL DEVICES OR ARRANGEMENTS FOR THE CONTROL OF LIGHT BY MODIFICATION OF THE OPTICAL PROPERTIES OF THE MEDIA OF THE ELEMENTS INVOLVED THEREIN; NON-LINEAR OPTICS; FREQUENCY-CHANGING OF LIGHT; OPTICAL LOGIC ELEMENTS; OPTICAL ANALOGUE/DIGITAL CONVERTERS
    • G02F1/00Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics
    • G02F1/01Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics for the control of the intensity, phase, polarisation or colour 
    • G02F1/13Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics for the control of the intensity, phase, polarisation or colour  based on liquid crystals, e.g. single liquid crystal display cells
    • G02F1/133Constructional arrangements; Operation of liquid crystal cells; Circuit arrangements
    • G02F1/1333Constructional arrangements; Manufacturing methods
    • G02F1/1337Surface-induced orientation of the liquid crystal molecules, e.g. by alignment layers
    • G02F1/133753Surface-induced orientation of the liquid crystal molecules, e.g. by alignment layers with different alignment orientations or pretilt angles on a same surface, e.g. for grey scale or improved viewing angle
    • G02F1/133757Surface-induced orientation of the liquid crystal molecules, e.g. by alignment layers with different alignment orientations or pretilt angles on a same surface, e.g. for grey scale or improved viewing angle with different alignment orientations

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 強誘電性液晶を用いた液晶パネル体のセルギ
ャップを一定に保持した状態で、1画素内に4階調以上
の表示ができるようにする。 【構成】 一対の対向基板に形成された対向電極4,5
と、少なくとも一方の基板に形成されていてラビング処
理が施された配向膜と、対向電極4,5によって形成さ
れる画素電極間に挟持される強誘電性液晶を有する液晶
パネル体である。強誘電性液晶はカイラルスメクチック
相に設定される。また、対向電極4,5の交差位置に形
成される1画素領域内に、液晶分子層Eの折れ曲がり方
向が同じか略同じであって且つその層内の液晶分子30
4の凝集状態が互いに異なる複数の配向ドメイン50
3,504を形成する。ドメイン503及び504の明
暗スイッチング閾値の相違を利用して灰色表示、つまり
階調表示を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、産業用、OA用及び家
庭用の液晶ディスプレイに用いられる液晶パネル体、特
に、強誘電性液晶又は反強誘電性液晶が封入された液晶
パネル体に関する。また、その液晶パネル体を製造する
ための製造方法に関する。また、その液晶パネル体を用
いて階調表示を行うための階調発現方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、コンピュータ等のための表示装置
として液晶ディスプレイが用いられるようになってき
た。液晶ディスプレイの主要構成部材は、主として一対
のガラス基板から成る液晶パネル枠に液晶を浸透させる
ことによって構成される液晶パネル体である。各ガラス
基板にはストライプ状の透明電極が形成され、これらの
透明電極上には必要に応じて、絶縁膜及びポリイミド等
の有機薄膜又は珪素酸化物等の無機薄膜が順次に積層さ
れる。カラーディスプレイでは、透明電極の下部又は上
部にカラーフィルタが形成される。上記ポリイミド膜等
には、そのポリイミド膜が液晶に対して一軸配向性を持
つように一軸配向処理、例えばラビング処理が施され
る。上記珪素酸化物等は、一軸配向性があるように蒸着
される。液晶パネル枠に関しては、一対のストライプ状
透明電極が互いに直交して互いに対向するように一対の
ガラス基板が接着される。そしてその際、スペーサと呼
ばれる隙間支持体を両基板の間に多数個介在させること
により、両基板の間を一定の微小間隔にを保持する。
【0003】液晶ディスプレイは、通常、上記のような
液晶パネル枠に液晶を封入して液晶パネル体を作製した
後、その液晶パネル体にさらに偏光板、駆動用IC及び
バックライト等の付帯機器を実装し、出来上がった組立
体をキャビネットに収納することによって作製される。
近年では、特に液晶として強誘電性又は反強誘電性を示
す液晶を用いた液晶ディスプレイの実用化の研究が行わ
れている。例えば、 (1)”強誘電性液晶の構造と物性” −福田、竹添共著、コロナ社、1990年− (2)”次世代液晶ディスプレイと液晶材料” −福田監修、シーエムシー、1992年− 等の文献にそのような研究が開示されている。
【0004】このように強誘電性液晶又は反強誘電性液
晶について研究が行われるのは、これらの液晶が、いわ
ゆる記憶効果を有し、さらに高速応答性、例えば数十μ
sの応答性を有するので、TFT(Thin Film Transist
or)や、MIM(Metal Insulator Metal )等の能動素
子を必要としない単純マトリックス駆動で、高精細な大
容量表示が期待されるからである。
【0005】これらの液晶は、高温側の状態である液体
相(等方相)から温度を下げるに従って、例えば、カイ
ラルネマチック(N* )相→スメクチックA(SmA)
相→カイラルスメクチックC(SmC* )相→カイラル
スメクチックCA (SmCA *)相と複雑多様な相変化を
示す。なお、液晶によっては発現しない相もある。例え
ば、反強誘電性液晶ではカイラルネマチック相が見い出
されていない。実際の製造工程では、液晶パネル枠に液
体相の液晶を浸透させた後にその液晶を冷却して、電場
に応答する相であるカイラルスメクチック相を形成す
る。この相状態は、カイラルネマチック相よりも低温側
に位置していて対称性が低い状態であり、より結晶に近
い層構造を有している。具体的には、強誘電性液晶では
カイラルスメクチックC相(F,H,I相も含む)、反
強誘電性液晶ではカイラルスメクチックCA相(Cα,
Cβ,Cγ等の副次相も含む)である。これら2つの液
晶は、互いに類似の層構造を有しており、反強誘電性液
晶は強誘電性液晶に対して、単に、層ごとに安定な分子
軸の方向が入れ替わる構造である。以下では、カイラル
スメクチックC相を例に挙げて説明を行うが、その説明
は反強誘電性液晶にもあてはまる。
【0006】これらの液晶では、まず第一に、高速応答
性を示すと共に安定した記憶効果を発現させるために、
SmC* 相の厚みを2.5μm以下、より好ましくは
1.4μm〜1.6μm程度で均一にする必要がある。
仮に、電極間のこの微小な間隙、すなわちセルギャップ
にムラがあると、液晶の複屈折性に起因して透過光に濃
度ムラや着色が生じる。
【0007】第二に、電極間のSmC* 相は結晶固有の
配向欠陥のない単結晶相、すなわちモノドメイン相であ
ることが必要である。モノドメイン相の形成法として
は、ラビング法、斜方蒸着法、シアリング法及び温度勾
配法等が公知である。例えば、液晶素子内部に加熱用電
極を設けて通電して液晶に温度勾配を与え、ポリエチレ
ンテレフタレート等の有機フィルムの切断面を起点とし
てモノドメイン相を析出する方法が特開昭60−235
118号公報に開示されている。これは、上下の基板に
はラビング処理等の一軸配向性は付与されておらず、種
結晶を開始点とする単結晶成長法である。また、シアリ
ング法によれば、基板間の液晶層を上下の基板それ自身
でこすり合わせることによって、配向したSmA相の層
が形成される。しかしながらいずれの方法も、容易に推
察されるように、学術研究的なものであって工業的に有
効な配向制御手段ではない。一方、ラビング法は、配向
制御技術として実用に供されている唯一のものであっ
て、強誘電性液晶が用いられるパネル体が大面積であっ
ても、モノドメイン相の液晶分子層を形成することが可
能な配向制御法である。
【0008】しかしながら、単に一軸配向処理を施した
液晶パネル枠に液晶を浸透させて単に冷却するだけで
は、SmC* 相の液晶分子層に固有のジグザグ欠陥や擬
直線状欠陥の発生を抑止できない。その理由は、SmC
* 相の層は、従来考えられていた図1に示すようなブッ
クシェルフ構造ではなく、図2に示すように液晶分子層
Eの中心部が”《”の形状に屈曲したシェブロン構造、
あるいは、まれに図3に示すような傾いたブックシェル
フ構造をとるからである。上記のシェブロン構造に関し
ては、その屈曲方向が”》”と”《”の2方向をとり得
るが、単なるラビング処理ではその屈曲方向を一方向に
固定することは不可能であり、通常は図4に示すよう
に、異なる屈曲方向を持つ領域が併存する。また、傾い
たブックシェルフ構造(図3)に関しても、同様に、傾
く方向が異なる領域が発現する。
【0009】ジグザグ欠陥は、上記のように液晶分子層
の傾斜状態が異なる複数の領域が互いに接合する部分に
発生するものであり、例えば図4においては、屈曲方向
の異なる配向ドメインの境界にジグザグ欠陥203が発
生する。傾いたブックシェルフ構造の場合には、傾き方
向の異なる配向ドメインの境界にジグザグ欠陥が発生す
る。擬直線状欠陥204の発生原因は明確ではないが、
同じ屈曲方向を有する複数の配向ドメインが成長して、
それらが互いに合体した境界が消失せずに残存した部分
と考えられる。法則性に基づいて配向欠陥の全く存在し
ないモノドメイン相の層を得る技術は、本発明等によっ
て既に提案されているが、これは本発明の目的である階
調表示に密接に関わっているので、後述する。
【0010】強誘電性液晶を用いる液晶ディスプレイに
関して残された技術的問題は、多階調表示である。強誘
電性液晶の電気的応答はネマチック液晶の実効値応答と
は異なる直流応答であり、本来、「明」と「暗」の2状
態しかないので、このままでは3階調以上の表示は原理
的に困難である。モノクロディスプレイならばこれでも
よいが、一般的なOA用途なら8階調が必要であり、マ
ルチメディアで使用するならば32階調以上が望まし
く、さらに、製版やグラフィックで使用するフルカラー
(1677万色)では256階調が必要である。
【0011】これまでの所、実用的な多階調表示の方法
としては、時分割階調と面積階調が知られている。時分
割階調とは、単位時間に占める黒表示のための時間と白
表示のための時間との比で灰色を表示するものである。
面積階調とは、新聞の白黒写真の原理と同じ考え方であ
り、単位面積あたりを占める黒の量と白の量との割合で
灰色を表現するものである。しかしながら、これらの方
法に関しては、それぞれ、以下に述べるような欠点があ
る。
【0012】時分割階調の欠点は、多階調の階調数を多
くするに従って、1画素あたりの液晶の応答速度を上げ
る必要があることである。電極数が500本の線順次走
査駆動をした場合、1画面を走査するのに要する時間は
30ms以下でなければちらつきが出るので、電極1本
が走査される時間は、およそ60μsである。従って、
60μ以内で複数回走査して「明」と「暗」に時間を割
り当てなければならない。しかし、ネマチック液晶より
速いと言われる強誘電性液晶でも、その応答速度は数1
0μsのものがほとんどである。よって時分割階調で
は、せいぜい、2〜4階調が期待できるに過ぎない。
【0013】これに比べ、液晶の物性、駆動回路の構成
及び駆動波形の構成等を考慮すれば、多階調表示を実現
するための方法としては面積階調の方が扱いやすい。こ
の面積階調では、1ドットを複数の画素で構成して個別
に駆動する。最も簡単な分割の仕方を例に採ってその面
積階調を説明する。今、8階調を表示したい場合、1ド
ットは3画素から成る。面積を大きい順に、それぞれ、
A、B、Cとする。A≠B≠C且つA≠B+Cである。
面積比は、人間の視覚特性に合わせて設定されるが、こ
こでは単純にA:B:C=4:2:1としておく。この
ため、このドットの階調表示は、表面積の組み合わせ
(0)、(C)、(B)、(A)、(A+B)、(B+
C)、(A+C)、(A+B+C)で8階調となる。
【0014】この面積階調の欠点は、多階調を進めるに
従って、より小さい電極がより多数必要になるというこ
とである。現在のディスプレイの1ドットの大きさは約
0.3mm×0.3mmであり、カラー表示の場合には
これをRGBで分割するから、RGBそれぞれの1ドッ
トの大きさは約0.3mm×0.1mmとなる。電極本
数はVGA規格640×480ドットで1920+48
0本であるから、上記の分割例では、最小の画素の大き
さは約0.043mm×0.1mm、電極本数は192
0+1440本になる。256階調フルカラー表示の場
合、1ドットは8分割され、電極の集積度と本数は飛躍
的に増大する。このため面積階調を用いる場合は、電極
形成の歩留まりの低下等が発生して、技術的にも、そし
て費用的にも問題が大きくなる。また、走査電極が増え
れば、それだけ短時間で画面を走査しなければならない
ので、液晶応答速度や記憶効果等に対する要求も厳しく
なる。しかしながら、これらの問題があるにしても、強
誘電性液晶ディスプレイの主要な対象である20インチ
以上の大型パネルでは、1ドットの許容面積も相対的に
大きくなるので、4又は8階調程度はそれほどの困難な
く実現できる。
【0015】上記以外の階調表示方法として、特公昭6
2−49608号公報では、選択時の印加電圧波形を調
節して、画素内の明暗領域の面積比を制御して階調を発
現する方法が開示されている。これによれば、基板表面
に自然発生的に生じる基板表面状態のばらつきや、人為
的に形成した微小モザイクパターンにより安定した
「明」と「暗」のドメインを誘導してそれらを混在させ
ることが可能であると記載されている。本発明者等の実
験では、こうした方法では非選択時に加えられる電圧に
よって混在状態が破壊されてしまい、安定した階調表示
は全く得られなかった。
【0016】また、特開平5−150244号公報によ
れば、電極基板表面にストライプ状の畝を設けて、場所
ごとにセルギャップを増減させて液晶のスイッチングに
伴う閾値特性を変化させて階調表示を行うという技術が
開示されている。しかしながらこの方法では、まず、畝
を形成するのが技術的に難しいので、畝による高低差が
不十分となり、その結果、希望通りの階調表示を行うこ
とができない。また、高低差が有り過ぎると既述した配
向欠陥を引き起こしてしまい、それと同時に、液晶層の
厚さの変化は表示の色付きを起こすこと等から、この方
法を実際に用いることは困難である。以上のことから明
らかなように、現段階では、SmC* 相の液晶分子層の
構造をシェブロン構造又は傾いたブックシェルフ構造に
保持し、さらに電極間隔を略一定に保持した状態で、液
晶をスイッチング制御するための閾値を分布させる実用
的な方法は未だ知られていない。
【0017】いずれにしても、画素上で閾値を分布させ
る従来技術では3階調を実現することも困難である。従
って、画素上の閾値をより確実で信頼性のある別の方法
によって分布させることが望まれる。最低4階調、より
好ましくは8階調を表示すれば、さらに面積階調又は時
分割階調と組み合わせることによって16階調以上の表
示が期待できる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
点を解消するためになされたものであって、強誘電性液
晶を用いた液晶パネル体のセルギャップを一定に保持し
た状態で、1画素上に4階調以上の表示ができる液晶パ
ネル体を提供することを目的とする。また、その液晶パ
ネル体を再現性高くしかも簡単に製造できる製造方法を
提供することを目的とする。さらに、上記液晶パネル体
を階調表示させることに関して好適である液晶パネル体
の階調発現方法を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明に係る第1の液晶パネル体は、一対の対向基
板に形成された対向電極と、少なくとも一方の基板に形
成されていて一軸配向処理が施された配向膜と、上記対
向電極によって形成される画素電極間に挟持される強誘
電性液晶又は反強誘電性液晶とを有する液晶パネル体に
おいて、上記強誘電性液晶又は反強誘電性液晶は、カイ
ラルスメクチック相に設定されると共に、そのカイラル
スメクチック相の液晶分子層の折れ曲がり方向が同じか
略同じであって且つその層内の液晶分子の凝集状態が互
いに異なる複数の配向ドメインを含むことを特徴とす
る。これは、液晶分子層がシェブロン構造をとる液晶パ
ネル体(図2)に対して本発明を適用したものである。
また、本発明に係る第2の液晶パネル体は、傾いたブッ
クシェルフ構造の液晶分子層を有する液晶パネル体(図
3)を想定したものであり、特に、カイラルスメクチッ
ク相の層の傾き方向が同じか略同じであって且つ層内の
液晶分子の凝集状態が互いに異なる複数の配向ドメイン
がカイラルスメクチック相に含まれることを特徴とす
る。
【0020】カイラルスメクチック相は、例えば、強誘
電性液晶ではカイラルスメクチックC相であり、反強誘
電性液晶ではカイラルスメクチックCA 相である。
【0021】異なる複数の配向ドメインを含むように形
成される画素電極は、図23に”○”印で示すように、
対向電極E1及びE2の交差位置に形成される画素電極
の全てとすることができるし、あるいは図24に示すよ
うに、対向電極E1及びE2の間に形成される複数の画
素電極のうちからいくつかの画素電極を選択し(”○”
印)、その選択した画素電極が複数の配向ドメインを含
むようにすることもできる。図24において、選択され
なかった残りの画素電極(”×”印)は単一ドメインに
よって構成される。また、図24に示す例では複数ドメ
インの画素電極(”○”印)を周期的に選択している
が、それらを非周期的に選択しても良い。
【0022】液晶分子の異なる凝集状態は、例えば、
(1)液晶分子が液晶分子層の傾斜方向にプレチルトす
る凝集状態(=C1状態)、(2)液晶分子が液晶分子
層の傾斜方向と反対方向にプレチルトする凝集状態(=
C2状態)、(3)液晶分子層の傾斜方向と同じ方向に
プレチルトする液晶分子と、液晶分子層の傾斜方向と反
対方向にプレチルトする液晶分子との両方を含む状態
(=C1/C2ハイブリッド状態)、(4)片側の液晶
分子が液晶分子層の傾斜方向と同じ方向へプレチルトす
る凝集状態(=片側C1状態)、又は(5)片側の液晶
分子が液晶分子層の傾斜方向と反対方向へプレチルトす
る凝集状態(=片側C2状態)のうちから選択される。
【0023】液晶分子に関して異なる凝集状態を得るた
めには、例えば、上記一軸配向処理の方向を液晶の場所
に応じて変化させる。具体的には、対向する一対の配向
膜間で同じか略同じ方向に一軸配向処理を行うか、対向
する一対の配向膜間で逆方向か略逆方向に一軸配向処理
を行うか又はいずれか一方の配向膜に関して一方向に一
軸配向処理を行う。また、液晶に関して異なる凝集状態
を得るための別の方法として、一軸配向処理を行う配向
膜の種類を液晶の場所に応じて変化させるという方法も
採用できる。この場合にも、一軸配向処理の方向は隣接
する異なる種類の配向膜同士、又は対向する配向膜間で
先述したように変えることが可能である。
【0024】本発明に係る液晶パネル体の階調発現方法
は、上記の構成から成る液晶パネル体の対向電極間に印
加する印加電圧の大きさ及びパルス幅の少なくとも一方
を調節することにより、異なる複数の配向ドメイン間で
光透過量を制御することを特徴とする。
【0025】本発明に係る液晶パネル体の製造方法は、
基板の特定部分に対応した孔を持つマスクでその基板を
覆い、そのマスクの上から一軸配向処理を施す工程を複
数回繰り返すことにより、配向膜の特定部分に特定方向
の一軸配向処理を施し、これにより、強誘電性液晶又は
反強誘電性液晶の中に凝集状態の異なる複数の配向ドメ
インを形成することを特徴とする。
【0026】強誘電性液晶又は反強誘電性液晶をカイラ
ルスメクチック相に設定するためのそれらの液晶に対す
る冷却方法として、一軸配向処理の方向に対して平行又
は略平行に上記表示用画素電極の一方の端部から他方の
端部へ向かって温度勾配を保持しながら、液晶を高温状
態相からカイラルスメクチック相へと冷却するような冷
却方法を採用することが望ましい。この冷却方法によ
り、カイラルスメクチック相内にジグザグ欠陥等の欠陥
を生じること無しに、異なる配向ドメインを共存させる
ことができる。
【0027】
【作用】本発明は次の事実、すなわち(1)透明電極間
に挟持されたSmC* 相内の液晶分子にはプレチルト角
があるために液晶分子の凝集の仕方が異なる複数のシェ
ブロン構造があって、それらの電気光学的応答に差があ
ること、及び(2)ジグザグ欠陥を生ずること無しに、
凝集の仕方が異なる複数のシェブロン構造を電極上に共
存させることが可能であることに基づいている。このこ
とは、傾いたブックシェルフ構造に関してもそのまま言
えることなので、以下の説明ではそれらを代表して、主
に、シェブロン構造についてだけ述べることにする。
【0028】まず、上記の(1)の事項に関して、図5
を用いて説明する。なお同図では、一軸配向処理として
ラビング処理を用いている。同図において、ポリイミド
等の有機薄膜、すなわち配向膜を布で一定方向、例えば
A方向に擦るラビング処理を行うと、この配向膜に接触
する液晶分子層E内の液層分子304は、図示のよう
に、ラビングの進んだ側が浮くようにして配向膜上に配
座する。この浮き上がった角度をプレチルト角αとい
う。このプレチルト角αは2゜〜10゜程度、通常は概
ね2゜〜3゜程度であって、液晶の種類や、配向膜の種
類や、それらの作製条件に依存するようである。スメク
チック相の層内の液晶分子もこのプレチルト角αの影響
を受けて傾く。従って、シェブロン構造における液晶分
子層の折れ曲がり方向と上下のラビング方向との組合せ
を変えることによって、スメクチック相の層内での区別
できる液晶分子の凝集の仕方は5種類となる。図5はこ
れらの凝集の仕方を模式的に示している。
【0029】これら5つの配置に関して、特に、(a)
に示す配置がC1状態と呼ばれ、(b)に示す配置がC
2状態と呼ばれている(J.Kanbe他、Ferroelectrics、1
14、3 (1991))。これらは、ラビングの進行方向が同じ
か略同じになるように上下の基板を対向させたラビング
方法、すなわち平行ラビングによって得られる液晶分子
の凝集状態である。C1状態では、液晶分子304が液
晶分子層Eの傾斜方向と同じ方向にプレチルトする。ま
た、C2状態では、液晶分子304が液晶分子層Eの傾
斜方向と反対方向にプレチルトする。
【0030】(c)、(d)及び(e)の各配置に関し
ては、従来、特に名称が付けられてはいないが、本明細
書では、(c)に示す状態をC1/C2のハイブリッド
状態と呼び、(d)に示す状態を片側C2状態と呼び、
そして(e)に示す状態を片側C1状態と呼ぶことにす
る。
【0031】(c)の状態は、ラビングの進行方向が上
下で正反対になるように両基板を組み合わせたラビング
方向、すなわち反平行ラビングによって得られる液晶分
子の凝集状態である。この状態では、C1状態とC2状
態とが半分づつを占めている。(d)の状態及び(e)
の状態は、片側の基板に対してはラビング処理を行わな
い場合である。このようにラビング処理を行わないと、
液晶分子は基板に対して平行か、あるいはプレチルト角
αは小さい。このときのαは、例えば、α=0〜3゜で
ある。以上の凝集状態では、上下の膜材料やその膜の作
製条件を変えることで、折れ曲がる位置やその形状につ
いて、種々のバリエーションが考えられる。
【0032】図6の(f)及び(g)は、傾いたブック
シェルフ構造に関しての区別可能な凝集状態の一例を示
している。これらの状態は、一軸配向処理が反平行で且
つプレチルト角αが大きな場合に発現することが期待さ
れる。(f)に示す状態がC1状態であり、(g)に示
す状態がC2状態である。
【0033】図5及び図6において、液晶分子層Eの折
れ曲がりの角度δは、数度〜20゜程度である。また、
層内の液晶分子304はユニフォーム状態でなく、スプ
レイ状態をとっている場合もある。
【0034】液晶を用いた表示において階調を発現する
上で最も重要なことは、上記の各凝集状態に関しては、
光学的に差があるだけでなく、電気的応答についても相
当の違いがあるということである(例えば、玉井他、応
用物理、第63巻、548ページ(1994年))。す
なわち、同じセルギャップのそれぞれの凝集状態におけ
る2つの明暗のメモリー状態のスイッチングに必要な最
低のパルス幅τ(電圧一定)には差が存在、すなわちス
イッチングの閾値が異なる。つまり、対電場特性が異な
るということである。
【0035】典型的な場合を記すと、セルギャップ=
1.5μmで印加電圧=10VPPで一定とした場合、ス
イッチング時間τは、τ(c1 )=1300μs、τ
(c2 )=600μs、τ(c1c2)=850μs、τ
(片側c1 )=1300μs、τ(片側c2 )=600
μsであった。なお、τ(**)は、**の凝集状態で
の明暗2状態のスイッチング時間を示している。この結
果から明らかなように、C1状態とC2状態との間で
は、約2倍の差がある。また、C1/C2ハイブリッド
状態はC1状態とC2状態との中間的性質を持ち、片側
C1状態はC1状態との差が少なく、さらに片側C2状
態はC2状態との差が少なかった。応答の違いはプレチ
ルト角δの大きさに依存するが、一般的な傾向として、
プレチルト角δが大きくなるに従って、各状態間でのス
イッチング時間の差が小さくなる。仮に、1つの画素電
極間に応答性が明確に異なる液晶凝集状態を配向ドメイ
ンとして複数形成できれば、印加する電場のエネルギー
を調整することによってスイッチングする配向ドメイン
を選択できる。
【0036】電圧印加に対する応答性が明確に異なる液
晶凝集状態は、同じ配向膜から成るC1状態とC2状態
である必要はない。実際に製造するには手間がかかる
が、異なる配向膜材料によって配向膜を形成することに
よって、そのような異なる液晶の凝集状態を形成するよ
うにしてもよい。すなわち、1つの画素電極上に異なる
液晶の凝集状態を形成するときに、その1つの画素電極
に対応する一対の配向膜間で配向膜材料の組み合わせを
異ならせることである。一対の配向膜が違うと液晶分子
層が折れ曲がる位置なども図5及び図6等に示す状態と
は異なると考えられる。電圧印加に対する液晶の応答の
違いは、定性的には、配向膜の違いによるプレチルト角
の違いに起因すると考えられるが、より詳しい原因は不
明である。
【0037】配向膜の種類を異ならせることによって1
画素内における液晶の凝集状態を異ならせるという方法
は、同一種類の配向膜ではC1状態とC2状態の間で閾
値に差が無いか又はその差が離れ過ぎる場合や、C1状
態とC2状態の一方の状態に記憶効果が無い場合等に有
利である。
【0038】一対のマトリックス電極間の1画素が図7
に示すようなC1状態の配向ドメイン503と、C2状
態の配向ドメイン504との2つの配向ドメインから成
っている場合を例に挙げて説明する。各ドメインの面積
比は、C1:C2=2:1とする。C1状態とC2状態
との境界部分の断面は、図7(b)に示す状態になる。
【0039】初期状態を図8(a)に示すように「明」
として、τ(c1 )>τ>τ(c2)のパルス幅τを有
するパルス波形を印加すると、図8(b)に示すよう
に、C2領域のみが反転する。τ>τ(c1 )のパルス
幅を有する電圧波形を印加すると、図8(c)に示すよ
うに、画素全体が反転する。図8(d)に示すように、
(a)の状態からC1領域のみを反転させることは直接
にはできない。これを行うには、まず、画素全体を一度
「暗」にしてからC2領域のみを反転させる。つまり、
図8において、(a)状態から(d)状態へ応答させる
には、(c)状態を経なければならない。(b)状態か
ら(d)状態への応答に関しても同様である。以上のよ
うな反転表示制御により、4階調表示ができる。駆動時
のリセットの問題から(b)状態又は(d)状態のいず
れかを表示しないようにするのであれば、3階調表示と
なる。
【0040】スイッチングすべきドメインの選択をパル
ス幅ではなくてパルスの電圧値としても良い。対電場特
性が異なる3つのドメインが利用できれば最大で8階調
の発現が可能であり、また、5つのドメインが利用でき
れば32階調の発現が可能である。相違する凝集状態の
メモリ状態のコントラストが異なる場合は、視覚特性を
考慮して好ましい面積比を決める必要がある。同じ凝集
状態の配向ドメインを1つでなく複数に分割して分散さ
せても良い。
【0041】次に上記(2)の事項、すなわち異なる凝
集状態を1つの画素電極間に欠陥を生じることなく共存
させるための方法について説明する。既に述べたよう
に、液晶分子層の折れ曲がり方向が異なる配向ドメイン
が共存すれば、それらの境界が必然的にジグザグ欠陥と
なる。従って、凝集状態の異なる複数のドメインをジグ
ザグ欠陥無しに共存させるためには、それらのドメイン
の層の折れ曲がり方向を同じか、ほぼ同じにする必要が
ある。従って、まず、上下のラビング方向の組み合わせ
を図5のように変えなければならない。ラビングする場
合、1つの画素を構成する同一配向膜面内では擦る方向
は同じか略同じ、又は正反対か略正反対であって、上下
ではその方向が揃うように対向させる必要がある。より
正確には、ラビングで決まるスメクチック相の層法線方
向が、隣接する配向ドメインで一致するようにするとい
うことである。この層法線方向は必ずしも上下一対のラ
ビング方向と一致せず、若干、例えば4゜よりも小さい
角度(<4゜)ずれることもある。これらに留意してラ
ビングする方向を調節するのは当然である。スメクチッ
ク相の層法線方向が、隣接する配向ドメインで一致して
いないと、層の折れ曲がり方向に大きな食い違いが生じ
て欠陥を生じる確率が増大する。上下のラビング方向の
組み合わせの異なる領域を設けることはTFTディスプ
レイの視野角を改善する手段として知られている(日経
マイクロデバイス編、”フラットディスプレイ199
4”、166ページ、日経BP社、1993年)。問題
は、この条件で液晶分子層の折れ曲がり方向を一方向に
制御することである。
【0042】液晶分子層の折れ曲がり方向を一方向に制
御する技術として、本発明者等は、液晶パネル体を均一
に冷却、つまり時間的に同時に冷却するのではなくて、
ラビング方向に沿って一端側から他端側へ向けて順次に
冷却する方法、つまり液晶パネル体を温度勾配を保持し
ながら冷却する方法を提案した。これは、一軸配向処理
方向に沿って温度勾配があると、時間的に先に温度が低
下した方に液晶分子層が折れ曲がるという経験的法則性
を見い出したことに基づくものである。
【0043】この法則性を、平行ラビングの場合を例に
挙げて、図9に基づいて説明すると以下の通りである。
液晶は、温度が低下するに従ってその体積が大きく収縮
する。このとき、配向膜近傍の液晶は液晶分子層の中心
部に比べて相対的に動きにくいので、この収縮力は、液
晶分子層の中心部を時間的に先に温度が低下した側に引
っ張る力として作用し、その結果として層構造を維持し
たまま層の中心部をその方向に移動させる。これによ
り、液晶分子層に折れ曲がりが発生するものと考えられ
る。このため、SmA相で既に冷却点方向に液晶分子層
が撓んでいる可能性が高い(図9(b)及び(c))。
従って、おそらくC2状態側から冷却されると、SmA
相自身がC2状態に類似の構造をとっており、C1状態
を経ずにC2状態へと直接転移するものと考えられる。
C1状態側から冷却する場合も同様である。温度勾配の
ために液晶全体が強制的にそのような状態変化を引き起
こすので、ジグザグ欠陥が発生する余地は全くない。つ
まり、一軸配向処理は層の法線方向を決めるが、層の折
れ曲がる方向は冷却によるラビング方向に沿った体積収
縮力が決めるということである。実際、C2状態側から
冷却すると、どのような配向欠陥も生じない。ところが
特別興味あることは、液晶の種類によっては、C1状態
側から冷却した場合にジグザグ欠陥が発生し、且つ、C
2状態のドメイン内部にだけ擬線状欠陥が見られる場合
がある。これは逆方向に折れ曲がったC2状態ドメイン
がC1状態ドメイン中に発生したことを示している(図
9(b))。
【0044】一方、画素間の強誘電性液晶を液体層又は
* から単純に冷却、つまり全体にわたって均一に冷却
すると、SmA相からSmC* 相に転移するが、SmC
* 相は厳密には、まず、C1状態に変化して、次いで2
〜6゜低温でC2状態に変化する(図9(a))。本発
明者の詳細な観察によれば、欠陥は高温側のC1状態か
ら低温側のC2状態への転移があるために生じる。Sm
A相からC1状態への転移に際しては、どのような欠陥
も発生しない。ジグザグ欠陥は、C1状態からC2状態
への転移が全領域で生じないために発生するものであ
る。C2状態への転移が完了した後に、残存するC1状
態との境界がジグザグ欠陥となる。
【0045】さらに、全領域で一応完全なC2状態への
転移が起こっても欠陥が発生する場合があり、これが擬
直線状の欠陥である。これは、C1状態ドメインの内部
に発生する複数のC2状態ドメインが成長してそれらが
互いに合体した会合部分が消失せずに残存した部分であ
る。この状況は、温度勾配下でC1状態側から冷却した
場合と全く同じである(図9(b))。このことから推
察できることは、液晶分子層の中心部が基板に平行にず
れてC1状態からC2状態へ転移が生じるのではないと
いうことである。引っ張られているので、逆方向に移動
するとは考えられない。温度が下がって図9(b)の実
線のようにC1状態での折れ曲がり量が所定の臨界値に
達すると、この構造が不安定になって破線で示すよう
な、より安定なC2凝集状態に再配向が生じるためであ
る。C2状態への折れ曲がり量が増してC1状態へ変化
することも考えられるが、実験的には見い出されていな
い。C2状態の方が安定なのは層内の隣接液晶分子がず
れて、より近接可能になるためと推察される。
【0046】従って、液晶内に欠陥を全く生じさせない
ためには、(1)高温側のSmC*相(C1状態)から
低温側のSmC* 相(C2状態)の変化を起こさずに高
温側を低温まで延長するか、(2)SmA相から直接に
低温側のSmC* 相の変化を誘導することである。この
(2)の方法は、温度勾配を用いた液晶の冷却によって
C2状態を誘導する場合に実現されている(図9
(c))。また、反平行ラビングでは、層の折れ曲がる
方向が異なる2つのドメインは区別ができない(図5
(c))。実際、このときには、SmC* 相に転移して
も再び転移することはない。このため、ドメインの発生
が引き続いて発生したことを示す擬直線状の欠陥は全く
見られなかった。単純に冷却するとジグザグ欠陥は生じ
るが、温度勾配を用いた冷却によればラビング方向に平
行にどちらの方向から冷却しても無欠陥で同じ配向状態
が得られる。
【0047】C1状態方向から冷却されるとC1状態が
全体として完全に生じるが、層が撓み過ぎると部分的に
C2状態方向へ転移する可能性はある。上記(1)のよ
うに状態変化がC1状態で止まる液晶があるかどうかに
ついては、いくつかのものが見い出された。こうした液
晶を使えば、欠陥を発生することなく、異なる凝集状態
のドメインを画素上に共存させることが可能である。ま
た、撓み量を制御することでも可能である。
【0048】SmC* 相に発生する欠陥は既述したもの
だけではない。液晶パネル枠内への液晶の浸透時やそれ
に引き続く液晶の冷却時において、N* 相や、SmA相
でも生じる。このような欠陥の発生を避けて、液晶パネ
ル体内の液晶に温度勾配をより有効に作用させることの
できるマトリックス駆動用液晶パネル体の構造として、
図10に示す構造のものが考えられる。この液晶パネル
体1では、一方のガラス基板3の上に形成されたストラ
イプ状の透明電極5の間に、セルギャップGに対応する
厚さを有する直線状の隔壁部材8が形成されている。隔
壁部材8には、適当な手段によって他のガラス基板2が
接着され、これにより、一対の基板が完全に接着してい
て、さらにセルギャップGが正確に規定された液晶封入
用の液晶パネル枠が構成される。
【0049】符号9及び符号7はポリイミド配向膜であ
る。符号4は、一方の透明電極5に対向していてその透
明電極5に対して直角方向にストライプ状に延びる対向
透明電極である。符号6は絶縁膜である。絶縁膜として
は、アルミナやシリカの1000Å程度の薄膜を用いる
ことができる。カラーフィルタはいずれか一方の透明電
極の下側又は上側に設けることができる。この構成によ
り、各隔壁部材8の間に直線状の空間Rが形成されてい
る。これらの空間Rの中に強誘電性液晶又は反強誘電性
液晶を封入することにより、液晶パネル体1が作製され
る。
【0050】ストライプ状電極5の上の直線状空間Rは
隔壁部材8によって相互に隔たっており、図11に示す
ように、先端部分22の開口部及び後端部分23の開口
部を除いて、完全な閉空間を成している。すなわち、開
口以外の部分は液体に対して密閉されている。後端部分
23は、シール部21と接着して閉じることもできる。
直線状空間Rの断面形状は、偏平な四辺形状、すなわち
長方形状になる。この場合、長方形の長辺Lの最小の幅
は、ストライプ状電極5の線幅と同程度、例えば約50
〜500μmに自動的に設定される。長方形の短辺S
は、セルギャップGと同程度、例えば1〜3μmに設定
する。直線状空間Rの断面形状は、厳密には透明電極5
の厚さによる段差や、透明電極5の表面の多少の凹凸
や、隔壁部材8の側面の撓みや、あるいは四隅の丸み等
の影響によって完全な四辺形とはならない。
【0051】直線状空間Rを区切る隔壁としての隔壁部
材8の幅Wは、隣接する電極5の間の長さ程度以下、例
えば10〜100μmに設定する。直線状空間Rの長さ
R(図11)は、液晶ディスプレイの表示部Dとして
露出する電極の長さ、例えば10〜40cmよりも長く
設定する。このように直線状空間Rの長さを表示部より
も長く設定するのは、直線状空間Rの液晶出入口では5
〜10mm程度の長さで配向異常Eが見られるからであ
る。
【0052】ここに示した液晶パネル体1は、一方の基
板のストライプ状電極の間に直線状の隔壁部材を満遍な
く形成してあり、これにより、上下の基板が接着されて
いる。隔壁部材8の延びる方向は、一軸配向処理として
のラビング処理の方向と平行か略平行である。スメクチ
ック相の層法線がラビング方向からずれる場合は、ラビ
ング方向と隔壁の伸びる方向は若干の角度をもっても良
い。層法線と隔壁の方向が一致するのが望ましい。層法
線方向と隔壁の成す角度が増大すると、液晶の移動が円
滑にいかず、配向異常が生じる確率が増大する。この角
度は±5〜6゜以内が安全である。液晶は、直線状に仕
切られた狭い空間Rの中を直進移動するので蛇行するこ
とがなく、よって、液晶内に歪みの蓄積や空隙が生じな
い。この構造の結果、SmA相が成長する場合も、ドメ
イン同士の会合回数が少なくなる。液晶の冷却時に発生
する液晶の収縮は、空間Rが延びる方向に制限されて集
中され空間相互間で干渉することはない。従って、液晶
を選択して温度勾配を与えながらその液晶を冷却する
と、欠陥の発生は著しく減少する。セルギャップの精密
な制御も可能である。
【0053】液晶パネル体に温度勾配を与えるための望
ましい方法は、例えば図12に示すように、高温状態の
液体33中、好ましくは水中から液晶パネル体1をラビ
ング方向に対して平行に引き上げることである。又はト
ンネル型の炉を通過させるのでも良い。液体33の温度
は、液晶の液体相、N* 相、SmA相を呈する温度のう
ちから選択する。引き上げ速度は5cm/分以下、好ま
しくは2〜20mm/分である。ラビング方向に対して
平行に液晶パネル体1を引き上げる仕方は、その液晶パ
ネル体の先端と後端を入れ替えることによって2通りが
実現でき、これらのうちから好ましい冷却方向を選択す
る。なお、図12において、符号32は、液体33の液
面Pに設けられた断熱部材を示し、符号34は液体33
を貯留する容器を示している。断熱部材32には、液晶
パネル体1を通過させるためのスリットが形成されてい
る。
【0054】配向状態の異なる領域の配置は、図13
(a)のように各領域A1,A2,A3を一軸配向処理
方向に沿って並べるものと、図13(b)のように各領
域A1,A2,A3を一軸配向処理に対して横に並べる
ものがある。但し、図13(b)のような領域の配置
は、領域の境目Bに欠陥が生じやすい。どちらかといえ
ば図13(a)のような配置が望ましい。このような領
域配置は面積階調の一種であるとも考えられるが、通常
の面積階調と異なり、1ドットあたり複数の電極を必要
としない。従って、電極の集積度を高くする必要はな
い。また、電極同士の間隙による境目が無いので、高精
細で高画質の表示を行うことが可能になる。さらに、一
軸配向処理方向の異なる領域の大きさを肉眼で判別し難
いほど小さくすれば、CRTとほぼ同等の階調表示がで
きる。なお、図13において、符号4及び5はストライ
プ状の対向電極を示し、符号8は上下の基板の間に互い
に一定間隔で設けられる接着用隔壁部材を示している。
【0055】
【実施例】(実施例1) 表面に線幅270μm、ピッチ300μm
で厚み2000Åのストライプ状透明電極を有するA4
サイズのガラス基板を用意した。そしてそのガラス基板
に濃度2%のポリイミド樹脂HL1110(日立化成株
式会社製)を1000rpmで20秒間スピンコート
し、次いで、180℃で1時間の焼成を行った。これに
よりガラス基板上に、厚さ1000Åのポリイミド配向
膜を形成した。
【0056】この配向膜上に、ポジ型フォトレジストM
P−S1400(シプレイ・ファーイースト株式会社
製)を2μmの厚さにスピンコートし、さらに90℃で
乾燥した。そしてまず、図14(a)に斜線で示すスト
ライプ状のパターンを有するマスクを用いてフォトレジ
ストを露光し、所定の現像液でアルカリ現像を行った。
この現像によって露出した斜線部以外のポリイミド部分
を図14(a)に矢印Cで示す方向にラビング処理を行
った。そしてその後、残ったフォトレジストを除去し
た。符号5は、ガラス基板上に形成したストライプ状透
明電極を示している。
【0057】さらにその後、再び同じフォトレジストを
塗布乾燥した後、図14(b)の斜線で示すストライプ
状のパターンを有するマスクを用いて露光現像を行い、
ラビング処理が施されていないポリイミド部を露出し
た。そして今度は、図14(a)の場合のラビング方向
に対して逆方向(C’方向)にラビング処理を行った。
そしてその後、フォトレジストを全て除去した。
【0058】図15に示すように、もう一方の電極付き
基板にも、上記と同じ工程を繰り返してポリイミド配向
膜の所定位置に正反対のラビング方向を付与した。そし
て、こちらの基板には、同じレジストでフォトリソグラ
フィにより透明電極間に満遍なく図11の隔壁部材8に
相当する、長さLR =180mm、線幅25μm、厚さ
1.7μmのストライプ状のレジストパターン8を形成
した。また、その周囲にシール部21に相当するレジス
トパターンを形成した。符号4は、ガラス基板上に形成
したストライプ状透明電極を示している。
【0059】上記のようにして形成した一対の基板を、
図16に示すように、(1)上側のラビング方向Eと下
側のラビング方向Fとが一致し、さらに(2)ストライ
プ状透明電極4及び5が上下で互いに直交するように、
互いに位置合わせしてそのまま重ねた。そしてその後、
両基板内を減圧してそれらの基板を密着させ、そのまま
の状態で170℃まで加熱してその温度に1時間保持
し、さらに冷却した。これにより、完全に接着したセル
ギャップ1.5μmの液晶パネル枠を得た。この液晶パ
ネル体の画素電極1つを拡大して示したものが図7であ
る。ラビング方向の異なる領域の比は、ほぼ2:1とし
た。
【0060】この液晶パネル枠に強誘電性液晶SCE8
(BDH株式会社製)を液体状態で浸透させた。この液
晶は液体相→100℃→N* →79℃→SmA→59℃
→SmC* の相転移を経る。既述した5つの凝集状態に
関するこの液晶の電圧印加に対する応答速度は次の表1
に示す通りである。
【表1】 なお、セルギャップ=1.5μm、印加電圧=10VPP
である。正確なプレチルト角は不明であるが、この実施
例で用いたポリイミドHL1110は低プレチルト用で
あって、プレチルト角は2〜3゜と推察される。
【0061】作製した液晶パネル体の断面は図10に示
す通りである。この液晶パネル体の液晶封入口10(図
11)及び周囲をエポキシ樹脂で封止した。ラビング方
向に温度勾配を与えて液晶を冷却するために温水中から
ラビング方向に液晶パネル体を引き上げた。すなわち、
液晶パネル体を液晶の液体相温度である85℃の水槽中
に浸漬した後、液晶パネル体を一端からラビング方向と
平行に他端に向かって、約2mm/分の速度で引き上げ
た。その結果、図7で示すように、1画素上にC1状態
とC2状態とが共存する無欠陥凝集状態が得られた。C
1状態とC2状態との間でメモリ状態の分子の位置が若
干異なっているので、コントラストが異なっていたが、
欠陥は見い出されなかった。液晶パネル体を先端と後端
とを入れ替えて逆方向に引き上げると、C1状態の配向
ドメインとC2状態の配向ドメインとが入れ替わった。
【0062】直交する適当な電極を選択して1画素に図
19に示す交流パルス波形を印加した。書き込み部パル
ス幅τ(W)=600μs、書き込み部電圧値V(W)=
10VPP、非書き込み部のバイアス信号のパルス幅τ
(b) =60μs、そして非書き込み部の電圧値V
(b) =10VPPとしたところ、画素中のC2状態の領
域のみに明暗のスイッチングが起こった。書き込み部の
パルス幅τ(W) だけを1300μsに増すと画素全体
のスイッチングも生じた。いずれの場合も、非書き込み
部の電圧値V(b) を下げると明暗のコントラストは向
上し、0VPPで最大となった。これは、バイアス信号に
よる状態の揺らぎが低下するためである。書き込み部の
パルス幅τ(W) を500μsとした場合は、明暗のス
イッチングは認められなかった。以上の結果は、駆動波
形を工夫することにより、図8で示した4階調表示が可
能であることを示している。
【0063】(実施例2)実施例1と同じ透明電極付き
の一対の基板を用意して、それらの基板上にポリイミド
樹脂HL1110の配向膜を形成した。図17(a)の
斜線部に対応する部分以外が孔であるアルミマスクを一
方の基板のポリイミド膜上に密着させて、その上からラ
ビング処理を行った。そして次に、残りの部分に対応す
るアルミマスクを用いて逆方向に同様なラビング処理を
行った。次いで、ポジ型フォトレジストMP−S140
0レジストでフォトリソグラフィにより透明電極間に満
遍なく図11の隔壁部材8に相当する、長さLR =18
0mm、線幅25μm、厚さ1.7μmのストライプ状
のレジストパターンを形成した。他方の基板には、図1
7(b)に斜線で示すの形状のアルミマスクを使用して
ラビング処理を行い、この工程を繰り返して所定の箇所
に矢印で示す所定のラビングを行った。
【0064】その後、実施例1と同じ手順により上記の
各基板を互いに接合して、セルギャップ1.5μmの液
晶パネル枠を得た。この液晶パネル枠に強誘電性液晶C
S1014(チッソ株式会社製)を液体相で浸透させ
た。この液晶は、液体相→81℃→N* →69℃→Sm
A→55℃→SmC* の相転移を経る。既述した5つの
凝集状態に関するこの液晶の電圧印加に対する応答速度
は次の表2に示す通りである。
【表2】 なお、セルギャップ=1.5μm、印加電圧=10VPP
である。この液晶−配向膜の系は、X線回折測定によれ
ばシェブロン構造をとっており、液晶分子層の折れ曲が
り角度は約19゜であった。
【0065】実施例1と全く同じ手順により、ラビング
方向に温度勾配を印加しながら冷却することにより、無
欠陥のSmC* 相を有する液晶パネル体を得た。この液
晶パネル体の1画素の上下のラビング方向の組み合わせ
と凝集状態は、図18に示す通りである。この液晶パネ
ル体は、C1状態、C2状態及びC1C2ハイブリッド
状態の3種類の状態の配向ドメインから成っており、そ
の面積比は4:2:1である。逆方向から冷却すると、
2:4:1になる。
【0066】直交する適当な電極を選択して1画素に図
19に示す交流パルス波形を印加した。書き込みパルス
幅τ(W) を180μs、書き込みパルス電圧値V
(W) を20VPP、非書き込み部パルス幅τ(b) を3
0μs、そして非書き込み部パルス電圧値V(b) を2
0VPPとしたところ、画素中のC2状態の領域のみ明暗
のスイッチングが起こった。書き込みパルス幅τ(W)
だけを210μsにすると、さらにC1C2ハイブリッ
ド状態の配向ドメインのスイッチングも生じた。さらに
書き込みパルス幅τ(W) を240μsに増加すると、
画素全体のスイッチングが生じた。いずれの場合も、非
書き込み部パルス電圧値V(b) を下げると明暗のコン
トラストは向上し、0VPPで最大となった。書き込みパ
ルス幅τ(W)を170μsとしたところ、スイッチン
グは認められなかった。以上の結果は、駆動波形を工夫
することにより、8階調表示が可能であることを示して
いる。
【0067】(実施例3)実施例2と同様な手順で一対
の基板を作製したが、基板サイズは10cm×10cm
とし、一軸配向処理の方法は斜方蒸着とした。所定アル
ミマスクを使用してその上から直接、酸化珪素を蒸着し
た。蒸着源と基板の成す角度は80゜とした。液晶分子
は蒸着方向に向いて配向するので、基板面内の配向方向
の設定を変えるにあたっては、基板の方向を180゜変
えて蒸着した。上下の配向方向の組み合わせは図14
(a),(b)及び図13(a),(b)のようにし
た。
【0068】実施例1及び実施例2と同様な手順で上下
の基板が接着した液晶パネル枠を得た。この液晶パネル
枠に強誘電性液晶SCE8(BDH株式会社製)を浸透
させた後、温水中から引き上げて欠陥のない配向ドメイ
ンを得た。X線回折測定によれば、この液晶−配向膜の
系は、傾いたブックシェルフ構造と考えられ、この系の
中には、図6(f)と図6(g)の凝集状態が欠陥無し
に共存している。温度勾配を用いた液晶の冷却法を用い
たため若干中心部が撓んでいる可能性がある。応答速度
はτ(c1 )=2400μs、τ(c2 )=2200μ
sであった。この実施例の場合にも4階調の表示が可能
であった。
【0069】(実施例4)実施例1と全く同じ液晶パネ
ル枠を作製した。この液晶パネル枠に次の化学構造式の
反強誘電性液晶を浸透した。
【0070】
【化1】 この液晶は、液体相→96゜→SmA→67゜→SmC
A *の相転移を経る。その後、温水中からの引き上げ法に
より、C1状態の配向ドメインとC2状態の配向ドメイ
ンとが液晶の1画素中において共存する状態の液晶パネ
ル体を得た。
【0071】この液晶に関しては、35℃の室温で結晶
化の始まる前の過冷却状態での応答速度はτ(c1 )=
500μs、τ(c2 )=450μsであった。この液
晶パネル体に関しては、図20で示すように非選択信号
として直流バイアスVdc部が存在するパルス波形を印加
した。τ(W )=450μs、V(W )=30VPP、τ
(b )=45μs、V(b )=10VPP、Vdc=10V
とすると、C2状態領域では完全なスイッチングが見ら
れ、C1状態領域でもわずかにスイッチングが生じる領
域が見られた。パルス幅τ(W )を600μsとする
と、画素全体で完全なスイッチングが生じた。
【0072】(比較例)実施例1〜実施例4に用いた液
晶パネル体を、水中で全体を同時に一様に液体相温度か
ら冷却した。その結果、画素上にはジグザグ欠陥が発生
し、また、C2状態領域内には擬直線状の欠陥が発生し
た。このため、評価に値する配向状態は得られなかっ
た。
【0073】(実施例5)表面に線幅270μm、ピッ
チ300μm、厚さ2000Åのストライプ状透明電極
を有するA4サイズのガラス基板を作製し、そのガラス
基板上にポリイミド樹脂濃度2%の配向膜用溶液HL1
110(日立化成株式会社製)を1000rpmで20
秒間スピンコートした。その後、280℃で1時間の焼
成を行って厚さ1000Åのポリイミド膜A、すなわち
配向膜を形成した。この膜上に、ポジ型フォトレジスト
MP−S1400(シプレイ・ファーイースト株式会社
製)を2μmの厚さにスピンコートし、さらに90℃で
乾燥した。
【0074】その後、まず、図14(a)において斜線
で示すストライプ状のパターンを有するマスクを通して
上記ガラス基板を露光し、さらに所定の現像液でアルカ
リ現像を行った。これにより、図14(a)の非斜線部
が露出した。その基板上にポリイミド樹脂濃度1%の配
向膜用溶液SP610(日産化学株式会社製)を100
0rpmで20秒間スピンコートした。次いで、250
℃で1時間の乾燥を行って、厚さ約500Åのポリイミ
ド膜B、すなわちポリイミド膜Aと異なる種類の配向膜
を形成した。
【0075】その後、リフトオフ法によりフォトレジス
ト及び余分なポリイミドBを除去した。このようにし
て、図14(a)の斜線部にポリイミド膜Aを形成し、
さらに非斜線部にポリイミド膜Bを形成した。そして最
後に、図14(a)に矢印Cで示す1方向だけにラビン
グ処理を行って一軸配向性を付与した。
【0076】上記のガラス基板に対向するもう一方の電
極付きガラス基板にも上述した工程と同じ工程を繰り返
してポリイミド膜A及びポリイミド膜Bを所定位置に形
成した。この基板に対しても、一定方向にラビング処理
を行って配向膜に一軸配向性を付与した。また、この基
板には実施例1と同様にして透明電極間にストライプ状
のレジストパターンを形成した。
【0077】以上のようにして作製した一対のガラス基
板を互いに貼り合わせて接着して、セルギャップが1.
5μmの液晶パネル枠を得た。これら一対の基板を対向
させると、同じ種類のポリイミド膜が対向するようにし
てある。対向する一対の基板のそれぞれに設ける配向膜
を異なる複数種類のポリイミドによって形成したが、そ
れらの配向膜に対するラビング方向は個々の配向膜の面
内で同一方向であり、しかも上下一対の配向膜間でも同
一方向である。ポリイミドA,Bとも層法線方向はラビ
ング方向より角度2゜程同じ方向に傾いていた。このた
め、同一方向にラビングした。仮に、傾く方向と角度に
差がある場合、ラビングする方向を調整して層法線方向
が一致するように且つ隔壁と±5〜6゜の角度範囲以内
に収まるようにするのは当然である。つまり、いわゆる
平行ラビングによるラビング処理を施した。こうして作
製した液晶パネル枠の1つの画素電極を拡大して示すと
図21に示す通りである。本実施例では、異なる種類の
ポリイミド膜B及びポリイミド膜Aの領域の比は、ほぼ
2:1とした。
【0078】以上のようにして作製した液晶パネル枠に
強誘電性液晶SCE8(BDH株式会社製)を液体状態
で浸透させた。ポリイミド膜A(HL1110)及びポ
リイミド膜B(SP610)に対するこの液晶の応答速
度は次表の通りであった。
【表3】 但し、セルギャップ=1.5μm、印加電圧=10VPP
である。上表から明らかなように、同じ液晶でも応答速
度は配向膜によって異なる。これは主として、プレチル
ト角の違いに起因すると考えられるが、ポリイミド膜と
液晶との間の相互作用等にも依存しており、詳細は必ず
しも明らかではない。
【0079】液晶を浸透させた液晶パネル枠、すなわち
液晶パネル体を、一端から他端へ向かってラビング方向
に対して平行に、約2mm/分の速度で引き上げて冷却
した。引き上げ方向を入れ替えれるだけで、無欠陥のC
1状態とC2状態のいずれでも得られた。この方法で
は、ポリイミド膜Aとポリイミド膜Bとの間の接続部の
段差の所で欠陥が発生することは無かった。
【0080】C2状態に配向した液晶を挟んで直交する
適当な電極を選択して1画素に図19に示す交流パルス
信号を印加した。電圧印加条件を次の条件、すなわち 書込み部: パルス幅τ(W)=600μs 印加電圧V(W)=10VPP 非書込み部:バイアス信号のパルス幅τ(b)=60μ
s 印加電圧V(b)=10VPP としたところ、画素中のポリイミド膜Aの領域のみ明暗
のスイッチングが起こった。また、書込み部のパルス幅
τ(W)だけを800μsに増すと、画素全体のスイッ
チングも生じた。いずれの場合も、 V(b)を下げると
明暗のコントラストは向上した。また、書込み部のパル
ス幅 τ(W)を500μsとしたところ、スイッチング
は認められなかった。
【0081】なお、この実施例のように、配向膜の種類
を変化させることによって液晶分子の凝集状態を異なら
せるようにする場合には、1つの基板内で配向膜の種類
を変えるだけでなく、上下一対の基板間で対向する部分
の配向膜を変えることも可能である。また、ラビング方
向に関しても、上記の実施例のように1個の配向膜内又
は対向する一対の配向膜間で同じ方向にする必要はな
く、互いに隣接していて種類の異なる配向膜の間で逆方
向にすることも可能である。要は、必要とする階調数や
採用する駆動条件等に応じて、応答速度の差、すなわち
閾値の差が発現するように、配向膜の種類とラビング条
件を組み合わせればよい。また、製造上のことを考えれ
ば、配向膜の材料として感光性のポリイミド樹脂を使用
することにより、フォトレジストを使用しなくても、1
つの配向膜内に異なる種類の配向膜領域を形成できる。
また、一軸配向処理の手法としても、ラビング処理と斜
方蒸着処理との併用も考えられる。
【0082】
【発明の効果】本発明によれば、液晶の1画素内に対電
場特性の異なる無欠陥の配向ドメインを極めて容易に形
成できる。従って、1画素あたり3階調から最大32階
調の表示ができる可能性が初めて開かれた。この階調表
示方法を時分割階調、面積階調等と組み合わせれば、さ
らに多階調の表示が可能である。本発明によれば、大き
さが20インチ以上であり、階調表示が可能であり、高
精細であり、しかも大容量である液晶ディスプレイを安
定して安価に提供できる。
【0083】
【図面の簡単な説明】
【図1】スメクチック相の液晶構造、特にブックシェル
フ構造を模式的に示す図である。
【図2】スメクチック相の液晶構造、特にシェブロン構
造を模式的に示す図である。
【図3】スメクチック相の液晶構造、特に傾いたブック
シェルフ構造を模式的に示す図である。
【図4】液晶内に発生するジグザグ欠陥の構造を模式的
に示す図である。
【図5】シェブロン構造内の液晶分子の配置を示す図で
ある。特に、(a)はC1状態の配置を示し、(b)は
C2状態の配置を示し、(c)はC1/C2のハイブリ
ッド状態の配置を示し、(d)は片側C2状態の配置を
示し、そして(e)は片側C1状態の配置を示してい
る。
【図6】傾いたブックシェルフ構造内の液晶分子の配置
を示す図である。特に、(a)はC1状態の配置を示
し、(b)はC2状態の配置を示している。
【図7】本発明に係る液晶パネル体の1画素部分を拡大
して示す図である。特に、(a)はその平面図を示し、
(b)はその断面であって異なる配向ドメイン同士が互
いに接合する部分を模式的に示す図である。
【図8】図7に示す液晶の1画素部分に関する明暗のス
イッチング状態を示す図である。
【図9】液晶パネル体を一軸配向処理方向に沿って温度
勾配を持たせて冷却する場合の液晶分子層の折れ曲がり
状態(b),(c)及び液晶パネル体の全体を同時に単
純に冷却する場合の液晶分子層の折れ曲がり状態と
(a)を模式的に示す図である。
【図10】本発明に係る液晶パネル体の一実施例の要部
を一部破断して示す斜視図である。
【図11】図10に示す液晶パネル体の平面断面図であ
る。
【図12】本発明に係る液晶パネル体の製造方法の一実
施例を模式的に示す正面断面図である。
【図13】液晶分子の凝集状態の異なる配向ドメインの
一軸配向処理方向に対する配置の仕方を示す平面図であ
る。特に、(a)は一軸配向処理方向に沿って配列する
場合を示し、(b)は一軸配向処理方向に対して直角方
向に配列する場合を示している。
【図14】本発明に係る液晶パネル体の製造方法の一工
程、特に1つの基板上の配向膜の異なった特定部分にそ
れぞれ特定方向のラビング処理を行う方法を模式的に示
す図である。
【図15】図14に示す基板に対向するもう1つの基板
に関するラビング処理方法を模式的に示す図である。
【図16】図14に示す基板と図15に示す基板とを貼
り合わせて形成した液晶パネル体の一部を示す平面図で
ある。
【図17】本発明に係る液晶パネル体の他の製造方法の
一工程を示す図である。特に、(a)は1つの基板上の
配向膜の異なった特定部分にそれぞれ特定方向のラビン
グ処理を行う状態を示し、(b)はもう一方の基板に対
して行うラビング処理を示している。
【図18】図17に示す一対の基板を貼り合わせて形成
した液晶パネル体の一部を拡大して示す平面図である。
【図19】本発明に係る液晶パネル体の階調発現方法の
一実施例であって、液晶パネル体の対向電極に印加する
電圧波形を示す図である。
【図20】本発明に係る液晶パネル体の階調発現方法の
他の実施例であって、液晶パネル体の対向電極に印加す
る電圧波形の他の例を示す図である。
【図21】本発明に係る液晶パネル体の他の一実施例の
1画素部分を拡大して示す図である。
【図22】図21の画素部分の断面状態を示す断面図で
あって、特に2種類の異なる配向膜によって挟持された
C2凝集状態の液晶を模式的に示す断面図である。
【図23】複数の配向ドメインを含む画素電極の配列の
仕方の一例を模式的に示す平面図である。
【図24】複数の配向ドメインを含む画素電極の配列の
仕方の他の一例を模式的に示す平面図である。
【符号の説明】
1 液晶パネル体 2 ガラス基板 3 ガラス基板 4 透明電極 5 透明電極 6 絶縁膜 7 ポリイミド配向膜 8 隔壁部材 9 ポリイミド配向膜 10 液晶封入口 21 シール部 22 隔壁部材の先端部分 23 隔壁部材の後端部分 33 液晶パネル体冷却用液体 203 ジグザグ欠陥 204 擬直線状欠陥 304 液晶分子 503 C1状態の凝集状態にある配向ドメイン
領域 504 C2状態の凝集状態にある配向ドメイン
領域 A ラビング方向 D 液晶ディスプレイの表示部 E 液晶分子層 R 液晶浸透用の直線状空間

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対の対向基板に形成された対向電極
    と、少なくとも一方の基板に形成されていて一軸配向処
    理が施された配向膜と、上記対向電極によって形成され
    る画素電極間に挟持される強誘電性液晶又は反強誘電性
    液晶とを有する液晶パネル体において、上記強誘電性液
    晶又は反強誘電性液晶は、カイラルスメクチック相に設
    定されると共に、そのカイラルスメクチック相内の液晶
    分子層の折れ曲がり方向が同じか略同じであって且つそ
    の層内の液晶分子の凝集状態が互いに異なる複数の配向
    ドメインを含むことを特徴とする液晶パネル体。
  2. 【請求項2】 一対の対向基板に形成された対向電極
    と、少なくとも一方の基板に形成されていて一軸配向処
    理が施された配向膜と、上記対向電極によって形成され
    る画素電極間に挟持される強誘電性液晶又は反強誘電性
    液晶とを有する液晶パネル体において、上記強誘電性液
    晶又は反強誘電性液晶は、カイラルスメクチック相に設
    定されると共に、そのカイラルスメクチック相内の液晶
    分子層の傾き方向が同じか略同じであって且つその層内
    の液晶分子の凝集状態が互いに異なる複数の配向ドメイ
    ンを含むことを特徴とする液晶パネル体。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2記載の液晶パネル
    体において、対向電極間に形成される複数の画素電極の
    全てに関して、液晶分子の凝集状態が互いに異なる複数
    の配向ドメインを含むことを特徴とする液晶パネル体。
  4. 【請求項4】 請求項1又は請求項2記載の液晶パネル
    体において、対向電極間に形成される複数の画素電極の
    うちから周期的又は非周期的に選択されるいくつかの画
    素電極に関して、液晶分子の凝集状態が互いに異なる複
    数の配向ドメインを含むことを特徴とする液晶パネル
    体。
  5. 【請求項5】 請求項1から請求項4のうちのいずれか
    1つに記載の液晶パネル体において、カイラルスメクチ
    ック相は、強誘電性液晶ではカイラルスメクチックC相
    であり、反強誘電性液晶ではカイラルスメクチックCA
    相であることを特徴とする液晶パネル体。
  6. 【請求項6】 請求項1から請求項5のうちのいずれか
    1つに記載の液晶パネル体において、上記液晶分子の凝
    集状態が、次の各状態 (1)液晶分子が液晶分子層の傾斜方向にプレチルトす
    る凝集状態、 (2)液晶分子が液晶分子層の傾斜方向と反対方向にプ
    レチルトする凝集状態、 (3)液晶分子層の傾斜方向と同じ方向にプレチルトす
    る液晶分子と、液晶分子層の傾斜方向と反対方向にプレ
    チルトする液晶分子との両方を含む状態、 (4)片側の液晶分子が液晶分子層の傾斜方向と同じ方
    向へプレチルトする凝集状態、又は (5)片側の液晶分子が液晶分子層の傾斜方向と反対方
    向へプレチルトする凝集状態 のうちから選択されることを特徴とする液晶パネル体。
  7. 【請求項7】 請求項1から請求項6のうちのいずれか
    1つに記載の液晶パネル体において、上記一軸配向処理
    は、対向する一対の配向膜間で同じか略同じ方向に、対
    向する一対の配向膜間で逆方向か略逆方向に又はいずれ
    か一方の配向膜に関して一方向に行われることを特徴と
    する液晶パネル体。
  8. 【請求項8】 請求項1から請求項7のうちのいずれか
    1つに記載の液晶パネル体において、一軸配向処理が施
    される配向膜の種類が、上記液晶分子の複数の凝集状態
    に対応して、少なくとも一方の基板内又は一対の基板間
    で異なることを特徴とする液晶パネル体。
  9. 【請求項9】 請求項1から請求項8のうちのいずれか
    1つに記載の液晶パネル体の対向電極間に印加する印加
    電圧の大きさ及びパルス幅の少なくとも一方を調節する
    ことにより、異なる複数の配向ドメイン間で光透過量を
    制御することを特徴とする液晶パネル体の階調発現方
    法。
  10. 【請求項10】 請求項1から請求項8のうちのいずれ
    か1つに記載の液晶パネル体を製造する製造方法におい
    て、基板の特定部分に対応した孔を持つマスクでその基
    板を覆い、そのマスクの上から一軸配向処理を施す工程
    を複数回繰り返すことにより、配向膜の特定部分に特定
    方向の一軸配向処理を施し、これにより、強誘電性液晶
    又は反強誘電性液晶の中に凝集状態の異なる複数の配向
    ドメインを形成することを特徴とする液晶パネル体の製
    造方法。
  11. 【請求項11】 請求項10記載の液晶パネル体の製造
    方法において、一軸配向処理の方向に対して平行又は略
    平行に上記表示用画素電極の一方の端部から他方の端部
    へ向かって温度勾配を保持しながら、液晶を高温状態相
    からカイラルスメクチック相へ冷却することを特徴とす
    る液晶パネル体の製造方法。
  12. 【請求項12】 請求項10又は請求項11記載の液晶
    パネル体の製造方法において、一軸配向処理はラビング
    法又は斜方蒸着法であることを特徴とする液晶パネル体
    の製造方法。
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