JPH08167513A - ボンド型永久磁石とその製造方法 - Google Patents

ボンド型永久磁石とその製造方法

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JPH08167513A
JPH08167513A JP6311874A JP31187494A JPH08167513A JP H08167513 A JPH08167513 A JP H08167513A JP 6311874 A JP6311874 A JP 6311874A JP 31187494 A JP31187494 A JP 31187494A JP H08167513 A JPH08167513 A JP H08167513A
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magnet
resin
magnet powder
powder
bond
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JP6311874A
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Hideki Matsunaga
秀樹 松永
Akio Kitagawa
晃朗 北川
Masahiro Asano
正宏 浅野
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Nippon Steel Corp
Proterial Ltd
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Sumitomo Metal Industries Ltd
Sumitomo Special Metals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 磁気特性、機械的強度、耐熱性、耐食性 (耐
酸化性) 、寸法精度に優れたボンド型磁石を製造する。 【構成】 磁気異方性を示すR−Fe−B系 (Rは、Yを
含む希土類元素から選ばれた1種もしくは2種以上、Fe
の一部はCoで置換されていてもよい) 磁石粉末を、軟化
温度が40〜100 ℃の熱硬化性樹脂で被覆した原料粉末
を、この熱硬化性樹脂の軟化温度以上であって、かつそ
の剪断速度10 sec-1での溶融粘度が10〜100,000 poise
となる温度に加熱し、磁場中でプレス成形した後、樹脂
を熱硬化させて、ボンド型磁石を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気特性、機械的強
度、耐熱性、耐食性 (耐酸化性) 、寸法精度に優れたボ
ンド型永久磁石の製造方法とこの方法で製造されたボン
ド型磁石とに関する。
【0002】
【従来の技術】ボンド型永久磁石(以下、ボンド型磁石
という)は、ハードフェライトや希土類合金などの磁石
粉末を、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル
樹脂などの熱硬化性樹脂、またはポリアミド樹脂、ポリ
プロピレン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂などの
熱可塑性樹脂をバインダーとして結合することにより、
成形を容易にした磁石である。
【0003】磁石粉末を焼結した従来の焼結型の永久磁
石に比べ、ボンド型磁石は、磁性を発現しない樹脂分を
含むため磁気特性は多少劣るが、焼結による収縮がない
ため、高い寸法精度で種々の形状の磁石が簡単に製造で
きるという特徴がある。そのため、一般家庭の各種電気
製品から大型コンピューターの周辺端末機器に至るまで
広く応用されており、特にスピンドルモーター、ステッ
ピングモーター等の小型モーターに近年多く用いられて
いる。
【0004】このボンド型磁石の成形方法としては、射
出成形、押出成形、圧縮成形(プレス成形)などが可能
である。射出成形と押出成形では、磁石粉末とバインダ
ーとの混合物が成形温度で流動しなければならないた
め、一般に熱可塑性樹脂をバインダーとして用い、バイ
ンダーの配合割合を比較的多くする必要がある。
【0005】一方、圧縮成形では流動性は必要ないた
め、バインダーとして熱硬化性樹脂が一般に使用され
る。圧縮成形によるボンド型磁石の一般的な製造におい
ては、まず原料磁石粉末と熱硬化性樹脂 (必要に応じて
硬化剤などの添加剤を含有する)とを混合して、コンパ
ウンドと呼ばれる磁石粉末と樹脂との混合物(樹脂で表
面被覆された磁石粉末)を得る。この混合物を必要であ
れば粉砕した後、金型に充填してプレス機で圧縮成形し
て所望の形状に賦形し、加熱して被覆樹脂を硬化させる
と、ボンド型磁石が得られる。
【0006】圧縮成形は、押出成形や射出成形に比べる
と工程が多少複雑でコストが高いという欠点はあるが、
成形時に流動する必要がないため、磁石粉末の充填率を
上げる (樹脂の割合を低くする) ことが可能であり、よ
り優れた磁気特性のボンド型磁石を得ることができる。
【0007】しかし、近年のコンピューター、通信機器
をはじめとする電気・電子製品の小型化、高性能化の進
展はめざましく、それに対応して、ボンド型磁石のさら
なる磁気特性の向上が望まれている。そのためには、
用いる原料磁石粉末の磁気特性を向上させる、磁石中
の磁石粉末の配向性を増大させる、磁石中の磁石粉末
の体積充填率を大きくする、磁石中の磁石粉末の酸化
劣化、熱劣化を抑える、磁石製造時の磁石粉末の損傷
を抑えるといった対策が考えられる。
【0008】の磁気特性の向上手段として、R−Co合
金系(Rは希土類金属)やR−Fe−B合金系の希土類磁
石粉末について、どの方向に磁化しても同じ磁気特性が
発現する従来の等方性磁石粉末とは異なり、特定方向に
磁気特性が向上した異方性磁石粉末が開発されている。
この磁石粉末は、ある決まった特定方向 (磁化容易方
向) にのみ磁気特性が高いので、磁石体の内部において
各磁石粉末の磁化容易方向が同一方向に揃っている (配
向している) ことが、磁気特性の向上を得る条件とな
る。この磁石中の磁石粉末の配向性を増大させることが
上記のに示した課題である。
【0009】この配向は、一般に、成形時に磁場を印加
して、各異方性磁石粉末をその磁化容易軸が磁場方向を
向くように回転させることにより行われる。したがっ
て、ボンド型磁石の場合には、成形時に個々の磁石粉末
が回転する (すなわち、粉末表面の摩擦抵抗が低くな
る) ような工夫が必要である。
【0010】一方、の単位体積中の磁石粉末の充填量
を多くするには、樹脂割合を減らすか、または、圧縮成
形で作製する成形体の空隙を少なくすることが必要とな
る。しかし、ボンド型磁石の成形性、機械的強度を考慮
すると、樹脂量を少なくすることには限界があるため、
必要最低限の樹脂割合のもとで、成形体の空隙を減少し
磁石粉末の充填率を向上させる方法が検討されてきた。
【0011】R−Fe−B系磁石は、酸素と結合しやすい
希土類元素と鉄が主体となるため、空気中において酸化
されやすく、そのまま熱硬化樹脂と混合して成形しても
所定の磁気特性を発揮しえず、磁気特性の安定化が困難
であることが経験されてきた。これには製造工程での外
気による磁石粉末の酸化の影響が関与しているものと推
測される。また、特に高温環境下で使用した場合に磁気
特性の劣化が顕著であった。この磁粉の酸化劣化、熱劣
化を抑制することが上記のの課題である。
【0012】の磁石製造時の磁石粉末の損傷を抑える
手段については、従来ほとんど考慮されてこなかった。
しかし、磁石粉末が損傷すると、得られたボンド型磁石
の磁気特性が劣化するので、磁石粉末の損傷抑制も磁気
特性の向上にとって必要であると考えられる。
【0013】〜に関しては、摩擦低減による充填率
および配向度の向上と、磁石粉末の酸化防止を図るため
に、シラン系カップリング剤や潤滑剤で磁石粉末表面を
被覆するか、あるいはこれらを熱硬化性樹脂成分に混入
しておく方法がこれまでに提案されている。
【0014】例えば、特開昭60−220920号公報では、磁
石粉末の表面を潤滑剤で被覆し、プレス成形中における
磁石粉末相互間および磁石粉末とバインダー樹脂間の摩
擦を低減させ、ボンド型磁石の密度と磁石粉末の配向度
を向上させ、磁気特性の向上を図っている。この方法で
得られたボンド型磁石は、潤滑剤を用いない場合と比較
して、磁石粉末の充填率が増大するため磁気特性には優
れているが、磁石粉末と樹脂との密着性が低下するた
め、機械的強度および耐食性 (耐酸化性) が低下すると
いう問題がある。
【0015】特開平3−74810 号公報には、表面にシラ
ン系カップリング剤を被覆した希土類・鉄系磁石粉末
と、硬化剤および潤滑剤を添加混合したエポキシ樹脂と
の混合物を、プレス成形後、加熱硬化させる方法が開示
されている。この方法によれば、空気中における希土類
・鉄系磁石粉末の酸化を抑制し、高温においてもこの作
用は持続することから、耐熱性をある程度付与すること
ができる。また、結合剤であるエポキシ樹脂中に潤滑剤
を添加混合させてあるため、成形時に磁石粉末相互間お
よびこの磁石粉末とエポキシ樹脂との間の摩擦を低減さ
せうる結果、成形性の向上と、磁石粉末の充填率の増大
による磁気特性の向上が可能となる。しかし、シラン系
カップリング剤等による磁石粉末の表面処理だけでは、
潤滑剤の添加による機械的強度の低下を抑えられず、ま
た耐熱性・耐食性 (耐酸化性) の向上は不十分である。
【0016】シラン系カップリング剤や潤滑剤等による
磁石粉末の表面処理では、圧縮成形により、磁石粉末の
十分な充填性、磁石粉末の高い配向性、熱劣化・酸化劣
化の抑制、および磁粉損傷の抑制を行うことができず、
また機械的強度が低下するなどの問題も生じるので、バ
インダー樹脂以外の添加剤による効果ではなく、バイン
ダー樹脂そのものによる磁石粉末同士間の潤滑効果に着
目した方法も提案されている。
【0017】例えば、特開平4−80901 号公報には、磁
石粉末の表面を室温固体の熱硬化性樹脂で被覆し、樹脂
の軟化温度〜硬化温度の間の温度に加温して、バインダ
ー樹脂の流動性を高めた状態で温間プレス成形すること
によって、磁石中の磁石粉末充填率を向上させ、磁気特
性、機械的強度および耐酸化劣化性の向上を図ってい
る。この方法で用いる磁石粉末はR−Fe−B系合金を超
急冷処理した磁気等方性の磁石粉末であり、無磁場でプ
レスするので、磁石粉末の配向性の向上については全く
考慮していない。また、磁石製造時の磁石粉末の損傷に
関する考察もなされていない。
【0018】特開昭60−194509号公報では、磁石粉末の
表面を室温固体の熱硬化性樹脂で被覆し、上記と同様に
樹脂軟化温度以上の温度の温間で磁場中にてプレス成形
し、磁石中の磁石粉末充填率を向上させ、磁気特性、機
械的強度、および寸法精度の向上を図っている。この方
法で用いる磁石粉末はR−Co系またはR−Fe系合金を熱
処理した磁気異方性の磁石粉末であるが、プレス時の磁
場による磁石粉末の配向性が向上したとの報告はない。
また、磁石製造時の磁粉の損傷に関する考察もない。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術に
存在する問題点を解消して、磁気特性、機械的強度、耐
熱性、耐食性 (耐酸化性) 、寸法精度に優れたボンド型
磁石を製造するための方法を提供することを目的とす
る。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる課
題を解決すべく、熱硬化性樹脂をバインダーとして圧縮
成形を行うボンド型磁石の製造において、樹脂の軟化温
度と硬化温度の測定、および溶融粘度の温度依存性を調
査した。また、磁場中温間プレス成形を温度を変えて行
い、得られたボンド型磁石の寸法精度、密度、磁気特
性、機械的強度、耐熱性、耐食性(耐酸化性)、さらに
は磁石粉末の充填率、配向性、損傷(割れ、歪み)の程
度を調べて、下記の知見を得た。
【0021】溶融した樹脂の流れ易さ(溶融粘度)は温
度に大きく依存し、圧縮成形中の樹脂の流れ易さが、圧
縮成形されたボンド型磁石における磁石粉末の充填率、
磁石粉末の配向性や損傷の程度に大きく影響する。従っ
て、圧縮成形時の樹脂の流れにより生ずる潤滑性の差
が、圧縮成形されたボンド型磁石の磁気特性、機械的強
度、耐熱性、耐食性(耐酸化性)、寸法精度、密度に大
きな影響を及ぼす。つまり、圧縮成形時に磁石粉末が流
動し易いほど、圧縮成形中の磁石粉末相互間の摩擦が低
減し、充填率と配向性が向上して、磁石粉末の損傷が抑
えられる結果、上記の各種特性が向上するのである。そ
して、この温間磁場中プレスによる上記効果は、特に磁
気異方性を示すR−Fe−B系(即ち、希土類・鉄系)磁
石粉末の場合に顕著である。
【0022】以上の知見に基づいて、本発明により、磁
気異方性を示す希土類・鉄系磁石材料の粉末を熱硬化性
樹脂で被覆してなる原料粉末をプレス成形した後、加熱
して熱硬化性樹脂を硬化させることによりボンド型永久
磁石を製造する方法であって、前記熱硬化性樹脂が軟化
温度40〜100 ℃のものであり、前記プレス成形を磁場中
において該熱硬化性樹脂の軟化温度以上の温間で行い、
この成形温度における前記熱硬化性樹脂の剪断速度10 s
ec-1での溶融粘度が10〜100,000 poise の範囲内である
ことを特徴とする、ボンド型永久磁石の製造方法が提供
される。
【0023】
【作用】本発明の方法で製造されるボンド型磁石は、空
隙率が8体積%以下、好ましくは5.0 体積%以下、特に
好ましくは2.0 体積%以下である。空隙率が8体積%を
超えると、高い残留磁束密度(Br)が得られず、また機械
的強度が減少する。さらに、空隙率が8体積%を超える
と、空隙中の酸素や、空隙を通路としてボンド型磁石内
に侵入する酸素と水に起因する磁石粉末の酸化劣化が生
じやすく、磁気特性の劣化を引き起こす。なお、本発明
において、空隙率は次式で表される。
【0024】
【数1】
【0025】上記範囲の空隙率は、以下に説明する本発
明の方法によりボンド型磁石を製造することによって達
成することができる。
【0026】本発明で使用する磁石粉末は、希土類・鉄
系、即ち、R (但し、RはYを含む希土類元素から選ば
れた1種または2種以上) と、FeまたはFeおよびCoと、
Bとを基本組成とするR−Fe−B系合金(Feの一部はCo
で置換されていてもよい)であって、磁気異方性を有す
る粉末を使用する。磁気異方性は、例えば、 700〜900
℃で水素化処理し、その後減圧下で脱水素化処理を行う
ことにより付与できる。別の手法として、熱間後方押出
加工により磁気異方性を発現させたR−Fe−B系磁石粉
末 (例えば、ゼネラルモーターズ社製のMQ-3粉末) も本
発明に使用できる。
【0027】磁石粉末の粒度は特に制限されないが、粒
径が20μm未満の磁石粉末を使用すると、保磁力、磁石
の減磁曲線の角型性等の磁気特性の劣化が見られ、さら
に比表面積の大きな微粉末は耐熱性と耐食性 (耐酸化
性) の面からも問題が生じる。従って、磁石粉末は20μ
m未満の微粒を含有しないのが望ましい。
【0028】この磁石粉末は、予めバインダーの熱硬化
性樹脂と混合して使用する。即ち、圧縮成形で金型に投
入するのは、磁石粉末を熱硬化性樹脂で被覆した原料粉
末であり、プレス成形をこの樹脂の軟化温度以上の温間
で磁場中にて行う。
【0029】熱硬化性樹脂の種類は特に制限されない
が、従来より圧縮成形によるボンド型磁石に使用されて
いるエポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂
などを用いることができる。好ましい熱硬化性樹脂はエ
ポキシ樹脂である。熱硬化性樹脂は、必要に応じて硬化
剤、硬化促進剤と一緒に使用する。
【0030】熱硬化性樹脂は、軟化温度が40〜100 ℃の
範囲内のものを使用する。樹脂の軟化温度は好ましくは
60〜90℃である。従って、この樹脂は室温では固体であ
る。樹脂の軟化温度が100 ℃より高くなると、金型に投
入した原料粉末を樹脂の軟化温度以上に加熱するのに時
間がかかり、また加熱時の温度調整と磁場印加のための
磁気回路の設計が難しくなるなどの問題が生ずる。
【0031】熱硬化性樹脂が上記のように軟化温度40℃
以上で、室温で固体であると、金型投入時に原料粉末を
流動性に富む粉体として取り扱える。つまり金型への充
填性が良くなり、均質な成形体が得られ、成形体中の局
部的な密度の変動が小さく、また、圧縮成形体の密度が
増大し、磁石粉末の充填率が向上する。また、成形体の
機械的強度も高いため、成形体の端面や角部の欠けが生
じにくい。
【0032】熱硬化性樹脂は、磁石粉末の表面を被覆す
るように磁石粉末と混合する。この樹脂被覆は、バイン
ダーの熱硬化性樹脂を低粘度液状 (例えば、適当な有機
溶媒に溶解した低粘度の樹脂溶液) の形態で磁石粉末と
混合することにより達成される。低粘度液状の形態と
は、樹脂溶液に限定されるものではなく、樹脂のエマル
ジョン、懸濁液などの形態であってもよく、熱硬化性樹
脂の溶融粘度が小さい場合には、樹脂の溶融液の形態で
あってもよい。また、樹脂の均一な被覆が可能であれ
ば、他の被覆方法も採用できる。磁石粉末を樹脂で被覆
した原料粉末を使用することにより、原料粉末中に樹脂
が常に均一に分布し、成形体の隅々まで確実に樹脂が均
一に行き渡るので、その端部や角部での磁石粉末の脱落
が極めて少なくなり、寸法精度が向上するという長所に
加えて、成形体の密度が高くなるという利点もある。
【0033】磁石粉末の被覆に使用する樹脂液には、所
望により、シラン系カップリング剤、潤滑剤などの添加
剤を少量配合することもできる。また、前述した従来技
術のように、磁石粉末を予めシラン系カップリング剤ま
たは潤滑剤で表面処理しておくこともできる。
【0034】熱硬化性樹脂 (硬化剤や硬化促進剤を含
む) の配合量は、磁石粉末に対して1〜10重量%、特に
1〜4重量%の範囲内とするのが好ましい。樹脂の配合
量が1重量%未満では、ボンド型磁石内の磁石粉末の結
合が不十分となり、成形性が悪く、かつ機械的強度が著
しく低下する。一方、樹脂の配合量が10重量%を超える
と、磁石粉末の充填率が小さくなり、所定の高磁気特性
を発揮できなくなる。
【0035】本発明においては、磁石粉末と熱硬化性樹
脂を含有する原料粉末を、樹脂の軟化温度以上に加熱し
て、磁場中で温間プレス成形する。原料粉末の加熱温度
は、樹脂の硬化温度より低温とすることが好ましい。磁
場中プレス成形時に樹脂が軟化し、溶融状態となってい
るため、磁石粉末相互間および磁石粉末と樹脂との間の
摩擦が低減する。その結果、ボンド型磁石の空隙が少な
く、密度が高くなって、磁石粉末充填率が増大すること
から、磁気特性、機械的強度、耐熱性および耐食性 (耐
酸化性) が向上する。
【0036】また、摩擦が低減すると、磁場中で磁化容
易方向に揃うための磁石粉末の回転が容易になり、ボン
ド型磁石中の磁石粉末の配向度が向上することによる磁
気特性の向上効果も大きくなる。
【0037】さらに、磁気異方性のR−Fe−B系磁石粉
末は、磁気異方性発現のために一般に熱処理を受けてい
ることから粉末の強度が低下しており、プレス圧力によ
り破砕・歪みを受けた場合に損傷して微粉化し易く、こ
の磁石粉末の損傷がボンド型磁石の磁気特性の低下につ
ながっていたことを本発明者らは究明した。上記のよう
に樹脂の軟化温度以上でプレス成形を行うことにより、
磁石粉末相互間および磁石粉末と樹脂間の摩擦が低減す
ると、プレス成形中の磁石粉末の損傷の抑制にも有効で
あり、これも磁気特性の向上に寄与する。
【0038】この温間プレス成形時に樹脂の溶融粘度が
10〜100,000 poise の範囲内となるように成形温度を選
択する。本発明において「溶融粘度」とは、剪断速度10
sec-1の場合の値を意味する。樹脂の溶融粘度が10 poi
seより小さいと、プレス金型内で磁石粉末と樹脂の分離
が起こり、均一に磁石粉末が分散した成形体が得にくく
なる。一方、樹脂の溶融粘度が100,000 poise より大き
いと、プレス成形時の磁石粉末相互間および磁石粉末と
樹脂との間の摩擦低減とそれによる上記効果が十分に発
揮されない。この溶融粘度は、より好ましくは10〜15,0
00 poiseの範囲内である。
【0039】本発明による磁場中温間プレス成形は、磁
石粉末と熱硬化性樹脂を含有する原料粉末をプレス金型
に充填し、金型内の原料粉末をバインダー樹脂の軟化温
度以上の温度に加熱し、次いで磁場の印加下に加圧して
圧縮することにより実施される。金型内の原料粉末の加
熱は金型を加熱して伝熱により行うことが簡便である。
このための金型の加熱手段としては、例えば、抵抗加
熱、油などの熱媒体による加熱、高周波誘導加熱などが
可能である。
【0040】磁場の印加方向は、プレス方向と平行な平
行磁場 (縦磁場ともいう) と、これと垂直な垂直磁場
(横磁場ともいう) のいずれでもよい。磁界強度は特に
制限されないが、通常は6〜20 kOeの範囲内である。プ
レス圧力 (加圧力) は2〜10ton/cm2 の範囲内が適当で
ある。
【0041】プレス成形後、脱型して成形体を加熱設備
に移してさらに加熱し、バインダー樹脂を熱硬化させる
と、ボンド型磁石が得られる。この加熱条件は、樹脂の
熱硬化が完全に起こるように、樹脂種や硬化剤、硬化促
進剤の種類に応じて選択する。加熱雰囲気は、磁石粉末
の酸化を避けるために、不活性雰囲気とすることが好ま
しい。得られたボンド型磁石は、必要により、常法に従
って塗装やメッキなどの表面処理を施す。
【0042】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。実施例中、%は特に指定のない限り重量%で
ある。
【0043】
【実施例1〜4】磁石粉末 本実施例で用いた磁石粉末は次のようにして作製した。
28%のNd、10%のCo、1%のGa、1%のB、残部がFeの
組成を有するNd−Fe−B系合金を 850℃の水素ガス中に
保持して、Ndの水素化物、Fe2B、Feに分解した後、この
温度領域で水素圧を下げ、Ndの水素化物から水素を解離
させ、微細なNd2Fe14B結晶体を主体とする磁石粉末を作
製した。得られた磁石粉末をさらに粉砕し、分級して、
粒度分布が38〜300 μmの範囲内 (平均粒径180 μm)
の磁気異方性を有する磁石粉末を得た。
【0044】磁石粉末の樹脂被覆 常温で固体のビスフェノールA型エポキシ樹脂 [油化シ
ェルエポキシ (株) 製、エピコート1001、軟化温度64
℃] 30%と硬化剤7%を有機溶媒のメチルエチルケトン
63%に溶解し、25℃での粘度が5cps の低粘度液状のエ
ポキシ樹脂液を得た。使用したエポキシ樹脂の各種温度
における溶融粘度 (剪断速度10 sec-1での値) をキャピ
ラリーレオメーター法により測定しておいた。
【0045】上記の磁石粉末とこのエポキシ樹脂液と
を、磁石粉末に対する樹脂固形分 (エポキシ樹脂+硬化
剤) の割合が3重量%となるように混合し、室温で放置
してメチルエチルケトンを蒸発させた後、乳鉢で解砕し
て、磁石粉末がエポキシ樹脂で被覆された成形用の原料
粉末を調製した。
【0046】プレス成形 上で得た原料粉末を金型に充填した後、熱媒油により金
型を表1に示す所定の樹脂温度になるまで加熱し、10 k
Oeの垂直磁場 (横磁場) の印加下に圧力6ton/cm2 で圧
縮成形した。脱型後、成形体をArガス中で150 ℃に60分
間加熱してエポキシ樹脂を硬化させ、ボンド型磁石サン
プルを得た。各実施例について、長さ100 mm、幅10 mm
、厚さ5mmの短冊形状と10 mm 立方の立方形状の2種
類のボンド型磁石サンプルをそれぞれ複数個作製した。
【0047】得られたボンド型磁石サンプルの特性を、
(1) 磁気特性測定、(2) 曲げ強度試験、(3) 耐熱試験、
(4) 耐湿試験、(5) 微粉発生量の測定、(6) 外観検査、
(7)寸法・形状測定、により評価した。試験方法を次に
述べる。
【0048】(1) 磁気特性測定 立方形状のボンド型磁石サンプルを用い、これを40 kOe
で着磁後、BHトレーサーにより残留磁束密度(Br)、保磁
力(iHc) 、減磁曲線の角型性(HK)ならびに最大エネルギ
ー積(BHmax) を測定した。また、磁石粉末の配向度を次
式により算出した。但し、 Br(//) は圧縮成形時の配向
方向と平行方向のBr、 Br(⊥) は圧縮成形時の配向方向
と垂直な方向のBrである。
【0049】
【数2】
【0050】(2) 曲げ強度試験 短冊形状のボンド型磁石サンプルを用いて、JIS K7203
の硬質プラスチックの曲げ試験方法に準じて行った。支
点間距離は75 mm 、試験速度は2mm/分で行い、測定結
果から曲げ破壊強度を算出した。
【0051】(3) 耐熱試験 立方形状のボンド型磁石サンプルを120 ℃の雰囲気内に
1000時間放置した後、試験片の磁気特性を(1) に述べた
ように測定し、減磁曲線の角型性Hkの低下率で評価し
た。
【0052】(4) 耐湿試験 立方形状のボンド型磁石サンプルを80℃に予熱した後、
80℃、90%の雰囲気内に24時間放置した。この放置後の
試験片表面の錆発生状況を目視により観察し、錆発生数
を計数して、次の基準で評価した。 ○:錆発生なし、 ×:錆発生数3〜5個/cm2
【0053】(5) 微粉発生量の測定 プレス成形した熱硬化前の10 mm 立方の成形体のバイン
ダー樹脂部分をメチルエチルケトンで溶解除去し、残っ
た磁石粉末をふるいにより粒度別に分級して、粒度<38
μmの微粉の発生量を測定した。この微粉発生量により
磁石粉末の損傷度を評価した。つまり、原料磁石粉末に
は含まれていなかった粒度<38μmの微粉の発生量が多
いほど、磁石粉末の損傷が大きいと評価される。
【0054】(6) 外観検査 短冊形状と立方形状の両方のボンド型磁石サンプルにつ
いて、欠けや割れなどがないかを外観検査し、次の基準
で評価した。 ○:割れ、欠けなし、 ×:割れ、欠けの存在する磁石あり。
【0055】(7) 寸法・形状測定 短冊形状と立方形状の両方のボンド型磁石サンプルにつ
いて、寸法・形状を測定し、次の基準で評価した。 ○:寸法精度±50μm以内で、かつ形状に歪みなし ×:寸法精度±50μm以上、または形状が歪んだ磁石あ
り これらの試験結果を、プレス成形時の樹脂温度での使用
エポキシ樹脂の溶融粘度 (剪断速度10 sec-1での値) と
ともに、表1および表2にまとめて示す。
【0056】
【比較例1】プレス成形を、金型を加熱することなく、
室温の樹脂温度で行った以外は、実施例1〜4と同様に
成形および加熱・硬化を行って、短冊形状および立方形
状の樹脂ボンド磁石サンプルを作製し、上と同様に各種
特性を評価した。
【0057】
【比較例2〜6】磁石粉末として、R−Fe−B系ではな
く、SmCo系合金からなる磁気異方性の磁石粉末を使用し
た。この磁石粉末の粒度分布は38〜212 μmの範囲内で
あった。実施例1〜4に記載の方法に準じて、この磁石
粉末をエポキシ樹脂で被覆し、各種温度に加熱した後プ
レス成形を行い、熱硬化させて、短冊形状および立方形
状の樹脂ボンド磁石サンプルを作製した (比較例2〜
5) 。また、比較例1と同様に室温でプレス成形したボ
ンド型磁石サンプルも同様に作製した (比較例6) 。以
上の比較例の試験結果も表1および表2に併せて示す。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】上に示した試験結果から明らかな通り、本
発明に従って磁場中温間プレス成形した磁気異方性のR
−Fe−B系ボンド型磁石は、磁石粉末の充填率が大き
く、空隙率が小さく、かつ、磁石粉末の配向度も大き
く、磁石粉末の損傷も抑えられているので、比較例1の
磁場中冷間プレス成形したボンド型磁石に比べて、磁気
特性、機械的強度、耐熱性、耐食性 (耐酸化性) 、寸法
精度がいずれも大きく向上した。
【0061】これに対し、磁石粉末がSmCoでは、同じよ
うに磁場中温間プレス成形しても、磁場中冷間プレス成
形した場合に比べて各種特性の向上幅が小さく、磁場中
温間プレス成形による特性の向上は、特に磁気異方性の
R−Fe−B系磁石粉末の場合に顕著であることがわか
る。
【0062】
【発明の効果】本発明によれば、好ましくは軟化温度が
40〜100 ℃の熱硬化性樹脂で被覆した磁気異方性の希土
類・鉄系磁石粉末を、樹脂の軟化温度以上の温間で磁場
中プレス成形してボンド型磁石を製造することで、下記
の効果を得ることができる。
【0063】(1) 金型充填時の磁石粉末の流動性が向上
し、金型に充填した時の充填密度が向上する。しかも、
圧縮成形中も磁石粉末相互間および磁石粉末/樹脂間の
摩擦が低減されるため、得られたボンド型永久磁石の密
度が増大し、磁場印加時の磁石粉末の回転も容易にな
る。また、圧縮成形時に磁石粉末に対して割れ、歪みな
どの損傷が生じにくくなる。その結果、磁石粉末間の空
隙が少なく、磁石粉末の充填率が高いボンド型永久磁石
が得られ、磁石粉末配向度も向上するので、磁気特性が
向上する。さらに磁石粉末の損傷の抑制も磁気特性の向
上につながる。
【0064】(2) 原料磁石粉末が完全に樹脂で結合さ
れ、しかも磁石粉末間の空隙が少なく、高密度で充填さ
れるため、ボンド型永久磁石の機械的強度が向上し、割
れ、カケも生じず寸法精度も向上する。
【0065】(3) 原料磁石粉末の表面が熱硬化性樹脂で
均一に被覆されているので、成形および加熱硬化中の磁
石粉末の酸化が防止され、磁石粉末の酸化による磁気特
性の低下を抑制できる。また、得られたボンド型永久磁
石においても、磁石粉末の表面が樹脂で均一に被覆され
ていることから、使用時に高温高湿の環境下に曝された
場合も磁石粉末の酸化防止作用が持続し、耐熱性および
耐食性が良好となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01F 1/053 H01F 1/04 H (72)発明者 浅野 正宏 大阪府三島郡島本町江川2丁目15番17号 住友特殊金属株式会社山崎製作所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁気異方性を示す希土類・鉄系磁石材料
    の粉末を熱硬化性樹脂で被覆してなる原料粉末をプレス
    成形した後、加熱して熱硬化性樹脂を硬化させることに
    よりボンド型永久磁石を製造する方法であって、前記熱
    硬化性樹脂が軟化温度40〜100 ℃のものであり、前記プ
    レス成形を磁場中において該熱硬化性樹脂の軟化温度以
    上の温間で行い、この成形温度における前記熱硬化性樹
    脂の剪断速度10 sec-1での溶融粘度が10〜100,000 pois
    e の範囲内であることを特徴とする、ボンド型永久磁石
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の方法で製造された、空隙
    率8体積%以下のボンド型磁石。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004105062A1 (ja) * 2003-05-20 2004-12-02 Aichi Steel Corporation ボンド磁石の製造方法
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JP2010262996A (ja) * 2009-04-30 2010-11-18 Hitachi Metals Ltd 希土類系永久磁石およびその製造方法
CN102784914A (zh) * 2012-09-11 2012-11-21 成都图南电子有限公司 一种粘接磁体温间压制系统及方法

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Effective date: 20021203