JPH08173032A - トランスグルタミナーゼを用いるチーズの製造方法 - Google Patents

トランスグルタミナーゼを用いるチーズの製造方法

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JPH08173032A
JPH08173032A JP7134947A JP13494795A JPH08173032A JP H08173032 A JPH08173032 A JP H08173032A JP 7134947 A JP7134947 A JP 7134947A JP 13494795 A JP13494795 A JP 13494795A JP H08173032 A JPH08173032 A JP H08173032A
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次郎 坂本
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    • C12Y203/02Aminoacyltransferases (2.3.2)
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    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23CDAIRY PRODUCTS, e.g. MILK, BUTTER OR CHEESE; MILK OR CHEESE SUBSTITUTES; PREPARATION THEREOF
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    • A23C19/02Making cheese curd
    • A23C19/032Making cheese curd characterised by the use of specific microorganisms, or enzymes of microbial origin
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 本発明はトランスグルタミナーゼを添加、作
用させる工程を含むことを特徴とするナチュラルチーズ
の製造方法である。 【効果】 本発明の方法を用いれば、従来の方法を用い
る場合に比較して、多くのチーズカードを得ることがで
き、叉原料乳の有効活用が図られる。更に、得られたチ
ーズは風味、味、外観とも優れたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はチーズの製造方法、より
詳しくはトランスグルタミナーゼ(以下、TGと略す
る)を用いたチーズの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】ナチュラルチーズ(以下、特
に拘らない限りチーズと記せばナチュラルチーズを意味
するものとする。)はかつては、日本人にとって馴染み
の薄い食材であったが、近年では様々な種類のチーズが
身近で手にはいるようになってきている。また、日本で
はあまり知られていなくても、海外にはそれぞれの国で
日常的に食べられているチーズが多くあり、その種類は
主なものでも400種程度あるといわれている。
【0003】さて、チーズ製造において、工業的には一
定量の原料乳から出来るだけ多くのカードを形成させた
方が、製造コスト、乳資源の有効活用の点で、又、消費
者により安価に製品を供給できるという点でも好まし
い。しかし、従来のチーズの製造方法では、多くの場合
カード収率が多いということは即ち、ホエーの排出が十
分でないことを示し、硬さ、弾力、組織化などのチーズ
の特性が失われてしまい、チーズとしての品質は低いも
のとなってしまっている。
【0004】また、ホエータンパク質をチーズ製造に利
用して歩留まりを良くしようとする試みがいくつか行わ
れている。例えば、米国特許4205090号には、限
外ろ過によって1/3容量程度に濃縮し、これを原料と
してチーズを製造する方法が記載されている。また、特
表昭57−501810では、乳を選択的に限外ろ過で
濃縮させ、濃縮物のイオン強度を増加させてからこれを
発酵させ、水を除去したものを原料としてチーズを製造
する方法が記載されている。更に、特開平2−3087
56には、チーズ製造時に副生するホエーを濃縮して、
この濃縮ホエータンパク質と、濃縮原料乳とを用いて、
チーズを製造すると、得られたチーズカード中にはホエ
ータンパク質が高濃度に含有されており、結果として副
生するホエータンパク質を有効利用できる、とする記述
がある。しかし、これらの方法は、原料乳又は再利用す
るホエーに前処理(限外ろ過による濃縮など)を施す必
要があり、工業的に簡便な方法とは言い難く、又製造さ
れたチーズの品質も消費者を充分満足させているとは言
い難いのが現実である。
【0005】また、TGを利用した乳製品について、い
くつかの報告がある。特開昭64−27471によれ
ば、製造工程中にTGを加える工程を含むチーズの製造
に関する記述がある。しかし、この特開昭64−274
71の記載されたチーズとは、凝乳酵素のレンネットを
使用せず、グルコノデルタラクトンとTG、若くはTG
のみを用いて形成したカードから製造されるものであ
り、本発明の凝乳酵素を用いたチーズの製造法とは全く
異なるものである。また、特開平2−131537で
は、TGを用いてチーズフードを製造する方法に関する
記述があるが、ここで対象となるチーズフードとは、ナ
チュラルチーズ又はプロセスチーズを原料として加熱融
解してつくられるもので、本発明が対象としているナチ
ュラルチーズとは製造法も違う、全く異なる食品として
分類されるものである。
【0006】WO93/19610ではヨーグルトスタ
ーターを用いてpHを酸性領域にした乳タンパク質溶液に
TGを作用させる方法が記述されている。しかし、この
発明には凝乳酵素の添加工程は含まれておらず、又最終
生成物も厳密に言うとMILK LIKE PRODUCTと規定されて
いて、本発明でいうチーズではない。また、WO94/
21129でも乳ベースの酸性可食ゲルの製造、及びこ
の方法により製造された可食ゲルのチーズとしての利用
について記述されている。しかし、この発明にも凝乳酵
素の添加についての記載はない。従って、凝乳酵素を添
加、作用させる本発明のチーズの製造方法とは全く異な
るものであり、また可食ゲルを利用したチーズとは、本
発明で対象とするいわゆるナチュラルチーズとは全く異
なる製品である。
【0007】一方、TGを利用し、かつ凝乳酵素を添加
したような乳製品に関する報告もある。WO93/22
930においては、乳蛋白を含む溶液にTGを作用させ
MILK LIKE PRODUCTを製造する方法について記述されて
おり、凝乳酵素のレンネットの併用についても記載があ
るが、チーズそのものの製造については、全く言及され
ていない。また、実施例の記載のMILK LIKE PRODUCTの
製造法も本発明の凝乳酵素を用いたチーズの製造方法と
は全く異なるものであり、最終生成物もチーズそのもの
ではない。更に、本発明のようなTGと凝乳酵素の処理
順序について全く開示されていない。
【0008】WO94/21130では、乳タンパク質
溶液に第一段階でTGを作用させ、第二段階で凝乳酵素
であるレンネットを添加、作用させ、第三段階で加熱処
理を加えるような乳ベースの非酸性化可食ゲルの製造に
ついて記述されており、製造された可食ゲルのチーズと
しての利用についても記載されている。しかし、凝乳酵
素レンネットの添加、TGの添加、加熱処理、の処理順
序の組み合わせ方は、本発明とは明らかに異なるもので
ある。
【0009】更に、WO93/22930及びWO94
/21130では、チーズスターターの添加による、p
Hの低下工程に関する記述がない。この点でも、チーズ
スターターを用いる本発明の範疇とするいわゆるチー
ズ、即ちナチュラルチーズの製造方法とは明らかに異な
っている。また、WO94/21130には、添加した
凝乳酵素のレンネットが通常の機能(チーズとホエイに
乳を分離)は示さず、単一相のゲルを形成すると記述さ
れており、このようなゲルをチーズとして利用したとし
ても、本発明で対象とする、従来のナチュラルチーズ同
様にホエイの排出工程を経て製造されたチーズとは全く
異なる製品となる。
【0010】
【課題を解決する為の手段】本発明者らは上述のような
課題を解決すべく鋭意研究の結果、TGがタンパク質又
はペプチド鎖内のグルタミン残基のγ−カルボキシアミ
ド基と一級アミンとのアシル転移反応を触媒し、一級ア
ミンがタンパク質のリジン残基である場合は、ε−(γ
−Glu)−Lys架橋結合を形成させる作用があるこ
とに着目し、本研究を展開した。その結果、チーズの製
造工程において、TGと凝乳酵素を添加、作用させる工
程を適当な条件、順序で組み込むと、生成するカード重
量が明らかに増加し、得られたカードは必要な硬さと弾
力はそのままで、熟成後も良好な品質のチーズとなるこ
とを見いだし、本発明を完成するに至らしめた。
【0011】即ち、本発明は、TGを添加、作用させる
工程を適当な条件、順序でチーズ製造の全工程中に組み
込むことを特徴とするチーズの製造方法である。より詳
細には、本発明は(1)第一段階として乳又は乳タンパ
ク質を含む溶液にTGを添加、作用させ、第二段階で加
熱処理し、第三段階で凝乳酵素を添加し、該酵素を一定
時間作用させる工程を含むことを特徴とするチーズの製
造方法、(2)第一段階で乳又は乳タンパク質を含む溶
液に凝乳酵素を添加し、該酵素を一定時間作用させ、次
いで第二段階でTGを添加、作用させる工程を含むこと
を特徴とするチーズの製造方法、及び(3)乳又は乳タ
ンパク質を含む溶液に凝乳酵素を添加すると同時期にT
Gを添加、作用させる工程を含むことを特徴とするチー
ズの製造方法である。
【0012】本発明でいうチーズとは、いわゆるナチュ
ラルチーズのことであって、製造工程に、原料乳にスタ
ーターを添加する「酸性化」と凝乳酵素の作用による
「凝固(レンネッティング)」の工程を含んでいる。チ
ーズには、非常に多くの種類があるが、本発明はスター
ターによる酸性化及びレンネッティングをその製造工程
中に含むチーズ全てを対象とする。
【0013】本発明の特徴は、おのおののチーズ本来の
製造工程において、TGを添加、反応させる工程を、適
切な順序で組み込んだ点である。TGの作用工程の組み
込み法には、以下の3つの方法がある。第一の方法は、
第一段階として乳又は乳タンパク質を含む溶液にTGを
添加、作用させ、第二段階で加熱処理し、第三段階で凝
乳酵素を添加し、該酵素を一定時間作用させるという3
段階からなる方法である。第二の方法は、第一段階で凝
乳酵素を添加し、該酵素を一定時間作用させ、次いで第
二段階でTGを添加、作用させる方法である。第三の方
法は、凝乳酵素を添加すると同時期にTGを添加、作用
させる方法である。尚、凝乳酵素を添加するより前にT
Gを添加、作用させても良いが、できれば上記三方法を
行う方が好ましい。ここに記述したようなTGの添加、
作用工程の組み込み及びその順序以外には、チーズ製造
において従来行われてきた方法がそのまま適用される。
【0014】さて、本発明で使用するTGは、TG活性
を有する限り、その起源を特に問わず、例えばストレプ
トベルチシリウム属(Streptoverticil
lium属)などに属する微生物由来のもの(BTGと
略記する。特開昭64−27471参照)、モルモット
などの哺乳動物由来のもの(MTGと略記する。特公平
1ー50382号参照)、タラなどの魚類由来のもの
(関信夫ら、「日本水産学会誌」56巻1号125頁
(1990))、バイオテクノロジーを利用して遺伝子
組換法によって得られるもの(特開平1ー300889
号、特開平5ー199883号、特開平6ー22577
5号等参照)などを用いることができる。この内、カル
シウムが無くても作用する事及び大量に入手できる事等
の理由からBTGを用いるのが好ましい。
【0015】TGを添加する濃度は通常チーズ原料全体
のタンパク質1g当たり0.1U〜50U、好ましくは
0.5U〜10Uの範囲で用いるのが好ましい。0.1
Uより低い濃度では期待されるTG使用の効果が得られ
ず、逆に50U以上の高い濃度ではTGが過剰に作用す
ることにより乳蛋白同士が過度に凝集し、カードのゲル
構造は破壊され、返って得られるカードの量は減少して
しまったり、ぼそぼそとしてチーズブロックにまとまり
にくいものとなってしまったりする。また、舌触りがな
めらかでなく、最終製品として得られるチーズの食感も
良好でない。本発明に従って、チーズを製造する際に
は、使用するTG量を調節することが、期待する効果を
得る上で重要な点である。
【0016】尚、本発明でいうTGの活性単位は、次の
ように測定され、かつ、定義される。即ち、温度37
℃、pH6.0のトリス緩衝液中、ベンジルオキシカル
ボニル−L−グルタミルグリシン及びヒドロキシルアミ
ンを基質とする反応系で、TGを作用せしめ、生成した
ヒドロキサム酸をトリクロロ酢酸存在下で鉄錯体を形成
させた後、525nmにおける吸光度を測定し、ヒドロ
キサム酸量を検量線により求め、1分間に1μモルのヒ
ドロキサム酸を生成せしめる酵素をTGの活性単位、1
ユニット(1U)とする(特開昭64−27471号明
細書記載参照)。
【0017】本発明におけるTGをチーズに添加する方
法を以下に詳述する。本発明に従ってチーズを製造する
際には、TGを添加、反応させる工程を組み込むことが
重要であるが、その方法には先述したような3つの方法
がある。本発明を実施する場合は、製造するチーズの種
類、製造ラインの制限などにより、これら3つの方法か
ら最も適するものを任意に選択すればよい。第一の方法
は、第一段階として乳又は乳タンパク質を含む溶液にT
Gを添加、作用させ、第二段階で加熱処理し、第三段階
で凝乳酵素を添加し、該酵素を一定時間作用させるとい
う3段階からなる方法である。この方法によれば、TG
を作用させた後で、加熱処理が加えられるので、添加し
たTGは失活、最終製品中にTGの活性が残存しないと
いう利点がある。尚、この時の加熱処理の条件は特に拘
らないが、通常72〜75℃、15秒ー2分間である。
長期熟成させるようなチーズの場合、最終製品にTGの
酵素活性が残存していると保存中にチーズの物性が変化
することも考えられる。しかし、この方法のように、T
Gを加熱失活する工程が含まれていれば、このような保
存中の変化を避ける事が出来る。
【0018】また、第二の方法として、第一段階で凝乳
酵素を添加し、該酵素を一定時間作用させ、次いで第二
段階でTGを添加、作用させる方法がある。この方法は
前述した方法と異なり、まず凝乳酵素を乳又は乳タンパ
ク質を含む溶液に作用させてから、タンパク質を架橋高
分子化する酵素であるTGを作用させる点が特徴であ
る。製造するチーズの種類によっては、この作用順序の
方が本発明の効果が顕著に発揮される場合もあり、本発
明の実施者が適宜、最適と思われる方法を選択すればよ
い。
【0019】更に、第三の方法として、凝乳酵素を添
加、作用させるのと同時期にTGを添加、作用させる方
法がある。種々の製造上の制限から上述した2つの製造
方法が採用できない場合には、この方法でTGを作用さ
せたチーズを製造すればよい。また、このTGを凝乳酵
素添加と同時期に添加、作用させる方法には、従来の製
造工程の変更を最小限にして、TG添加工程を組み込め
るという利点もある。尚、第二の方法及び第三の方法で
は、形成したカード中にTGの活性が残存しているが、
保存期間が短いフレッシュタイプのチーズであれば保存
中のチーズの物性変化も小さいし、最終製品を加熱処理
してから流通するような製品形態のものであれば形成し
たカード中にTG活性が残存していても問題はない。
【0020】以上の3つの方法のいずれかに従って、T
Gを添加、反応させる工程を組込むということを除け
ば、TGを加える手段等については特に限定されない。
また、凝乳酵素としては通常使用されている仔牛レンネ
ット、豚ペプシンなどの動物起源レンネット、植物起源
レンネット、微生物起源レンネット等を用いれば良い。
好ましくは動物起源レンネットを用いるのがよい。ま
た、レンネットとしては遺伝子工学の手法を用いて製造
したものを用いても構わない。
【0021】また、本発明の方法によりTGを原料乳に
作用させる際に、TGが期待される効果をより良く発揮
できるよう、種々の添加剤を併用することも可能であ
る。例えば、レンネッティング工程において、カードの
形成を促進する為の、塩化カルシウムの添加等が挙げら
れる。
【0022】本発明においては、上述した3つの方法の
いずれかに従って、TGを作用せしめる工程を置くこと
以外は、原材料を含めて従来の方法、工程を変更するこ
となく製造を行うことができる。TGを作用せしめる為
には、一定の反応時間及び一定の反応温度が必要であ
る。 尚、通常のチーズの製造工程においてはレンネッ
ティング工程、クッキング工程と呼ばれる加温工程が含
まれる。従って、第2又は第3の方法を取る場合には、
TGを反応させる為に新たな工程を設けることは必要で
なく、レンネッティング工程あるいはクッキング工程の
前あるいは間に該酵素を添加すれば、レンネッティング
あるいはクッキング工程の間に本発明の効果が十分得ら
れる。また、本発明はチーズ、即ちナチュラルチーズの
製造方法の提供であるので、乳酸菌スターターを用い
て、乳又は乳タンパク質を含む溶液を酸性化する操作を
凝乳酵素添加前又は同時に行う。更に、チーズの種類に
よっては、カビスターターを併用する場合もある。
【0023】上述した本発明の第1の方法を取る場合に
は、TGを添加した後で適当な反応温度及び反応時間を
とることが必要である。例えば、通常10〜40℃で1
〜16時間の反応時間をとれば、本発明の効果が十分に
得られる。尚、これよりも低温又は高温で反応させたと
しても、反応時間を適宜調節することで至適の効果が得
られるので、TGの反応条件については特に限定される
ものではない。
【0024】このように、従来チーズを製造するのに使
用されてきた原材料、添加物、工程を大きく変更するこ
となく、TGを添加し該酵素を作用させる工程を従来の
チーズの製造工程中に組み込むだけで、良好な硬さ、弾
力、物性を持つチーズカードを収率良く得ることができ
るのである。
【0025】本発明により製造されたチーズは、おのお
ののチーズ固有の伝統的な方法で製造されたものと、食
感、風味ともになんら差異がなく、品質的にも同等のも
のである。一定量の原料乳から、品質的に同等のチーズ
をより多く製造することができる、という点が本発明の
最大の利点である。加えて、従来のチーズにはない新規
な食感、組織などをもつチーズをつくることも可能であ
る。
【0026】更に、本発明の方法により製造されるチー
ズとして、チェダータイプが特に本発明による効果が顕
著に発揮された。チェダータイプのチーズはいわゆる硬
質チーズ(水分量約40%以下)で、現在世界各地で最
も大量に製造されているチーズであり、プロセスチーズ
の原料にも用いられ、そのマイルドな風味は日本人の嗜
好にも合い易い。このようなチェダーチーズ等の硬質チ
ーズのカード収量を増大させ、硬さ、弾力とも良好なカ
ードが得られると共に品質の高いチーズを提供する本発
明は産業上も極めて有用性が高い。
【0027】また、本発明の方法に従っていわゆる軟質
チーズを製造すると、カード収率の向上と同時に、離水
を防止する効果も得られた。クワルクやカッテージチー
ズなどのいわゆる軟質タイプのフレッシュチーズは保存
中に離水が生じる問題点がある。特開平5−25286
6では加熱殺菌処理したフレッシュチーズが、保存中に
凝集・離水を起こさず良好な食感を示すように安定剤を
添加する手段について記載されている。本発明の方法で
製造されたこれらの軟質チーズは、安定剤などを添加し
なくても、保存中も離水を生じず、なめらかで口当たり
のよい食感を持つという利点もある。
【0028】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳しく説明す
る。
【0029】(実施例1 チェダーチーズの製造)原料
乳11kg(脂肪率3.40%)を殺菌冷却後、31℃
まで加温して、混合乳酸菌スターター(S.lactis, S.Cr
emoris、Chris. Hansen'sLaboratories製)を2.25
g添加し、60分間31℃に保持した(乳酸発酵工
程)。乳酸発酵工程が35分間経過したところでアナト
ー色素0.72mlを加え、さらに5分後に塩化カルシ
ウムを0.02%添加した。45分間の乳酸発酵工程終
了後、子牛レンネット(single strength、Chris. Hans
en'sLaboratories製)を2.25ml添加し、25〜3
0分間静置させ、カードを生成させた(レンネッティン
グ工程)。カードが生成したことを確認し、カッティン
グを行った(カッティング工程)。カッティング後5分
間静置してから、静かに10分間攪拌し、引き続いて加
温を開始した(クッキング工程)。クッキング工程で
は、まず31℃から33℃まで昇温させて15分間加温
し、ここでTGを添加した。TGの添加量は原料とした
乳中のタンパク質1g当たり10Uとした(10U/g
pと表記)。次いで33℃から35℃まで15分間かけ
て昇温させ、さらに35℃から38℃に10分間加温し
た。クッキング工程を通じて、常にゆっくりとカード粒
を壊さないように攪拌し続けた。次いで38℃で15分
間、攪拌を続けて保持し、5〜10分間静置してから、
分離したホエイを排出させた。
【0030】ホエイを排出させ、カードを得たら、これ
を6インチ幅に切って積み重ねる。37℃〜38℃に保
持して、15分おきに反転を繰り返し(チェダリング)
て、ホエイ排出を促した(チェダリング工程)。次に、
カードを砕くミリング操作を行う。砕いたカードに食塩
を徐々に混合し、食塩濃度がカードの4.5%になるよ
うに3回にわけて食塩を加えた。常法に従って、型詰め
し圧搾、熟成、貯蔵しチェダーチーズ製品とした。対照
として、TGを添加しないで同様に製造したチェダーチ
ーズ(対照品)を用意した。
【0031】圧搾後のカード重量、乾燥重量を測定し、
比較した。また、30日間熟成した後のチェダーチーズ
の官能評価を行った。下記第1表に結果を示した。
【0032】
【表1】
【0033】このように、TGを10U/gp添加して
製造したチェダーチーズではカードの収量が20%近く
増大した。製品は、硬質チーズとして十分な硬さ、弾力
があり、風味、味、外観ともに対照品と同等で、好まし
く受け入れられた。
【0034】(実施例2)次に、実施例1と同じ方法
で、50U及び100U/gpとさらにTGを過剰に添
加、反応させて、チェダーチーズを製造した。TGを1
00U/gp添加した場合は、圧搾後のカード重量91
8g、乾燥重量で552gのカードを得た。一方、50
U/gp添加した場合は、圧搾後のカード重量1233
g、乾燥重量で757gのカードを得た。TGを100
U/gp添加した場合は対照よりもカード収量は増える
が、10及び50U/gp添加の場合よりもカード収率
は低下した。硬質チーズのカード収量増大の効果を発揮
する為には、ある至適濃度範囲の中でTGを添加するこ
とが重要であることが示された。また、官能評価の結果
も、100U/gp添加のチェダーチーズは10U及び
50ユニット添加した場合に比較して、物性、食感及び
チーズブロックへのまとまり具合いのいずれの点に於い
ても、やや劣っていた。
【0035】(実施例3 クワルクの製造)原料乳20
kg(無脂乳固形分8.2%、脂肪3.5%)を、25
℃にして、TGを乳中タンパク質1g当たり5U/gp
添加して、25℃、2時間反応を行った。TG反応後、
75℃達温まで加熱し(TG失活)、28℃まで冷却し
てから混合乳酸菌スターター200gと、レンネット
0.01gを添加し、攪拌した。28℃で約5時間、p
H4.7になるまで発酵させ、カードを形成させた。カ
ードをろ過用の布袋に詰め、5〜10℃の冷却下でホエ
ーを除き、クワルクを調製した。クワルクは0.5%加
塩して練り、製品とした。対照として、TGを添加しな
いで同様に製造したクワルク(対照品)を用意した。結
果は下記表2に示した。尚、クワルクとはドイツ等で生
産される熟成されないで、食用とされる軟質タイプの発
酵乳カードチーズのことである。
【0036】(実施例4 クワルクの製造)原料乳20
kg(無脂乳固形分8.2%、脂肪3.5%)を殺菌冷
却後、27℃にして、混合乳酸菌スターター200g
と、レンネット0.01g、塩化カルシウム溶液25m
lを添加し、同時にTGを乳中タンパク質当たり1U/
gp添加して、27℃、6時間発酵を行った。生成した
カードをろ過用の布袋に詰め、5〜10℃の冷却下でホ
エーを除き、クワルクを調製した。クワルクは0.5%
加塩して練り、製品とした。対照として、TGを添加し
ないで同様に製造したクワルク(対照品)を用意した。
【0037】実施例3及び4のクワルクのカード重量、
乾燥重量、蛋白質量を測定し、比較した。また、クワル
クの官能評価を行った。下記第2表に結果を示した。
【0038】
【表2】
【0039】このように、TGを添加してクワルクを製
造すると、より多くのカードを得ることができた。ま
た、食感もクワルクに要求される適度な粘性、クリーミ
ー感、なめらかな舌触りを示し、外観上も離水がなく良
好であった。TG添加したクワルクは、水分含量が増え
ているが、水っぽいといった欠点はなく、かえってマイ
ルドで食べやすい風味であった。
【0040】また、請求項1記載の方法に従った実施例
3の場合も、請求項3記載の方法に従った実施例4の場
合も、カード収率の向上の程度に若干の差があるが、官
能的に良好なカードが対照品よりも多く得られるという
効果は同様に見られた。
【0041】
【発明の効果】本発明では、以上示したように、チーズ
スターターと凝乳酵素を添加する工程を含む、いわゆる
ナチュラルチーズの製造において、TGを添加し、該酵
素を作用させる、という極めて簡単な工程をある一定の
順序で組み込むことにより、従来よりも多くのチーズカ
ードを得ることができ、原料乳の有効活用が図れる。ま
た、得られたチーズは伝統的な方法で製造された各種の
チーズ固有の風味、味、外観などの特徴を損なわず、消
費者に好まれる品質のものである。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(1)第一段階として乳又は乳タンパク質
    を含む溶液にトランスグルタミナーゼを添加、作用さ
    せ、(2)第二段階で加熱処理し、(3)第三段階で凝
    乳酵素を添加し、該酵素を一定時間作用させる工程を含
    むことを特徴とするチーズの製造方法。
  2. 【請求項2】(1)第一段階で乳又は乳タンパク質を含
    む溶液に凝乳酵素を添加し、該酵素を一定時間作用さ
    せ、次いで(2)第二段階でトランスグルタミナーゼを
    添加、作用させる工程を含むことを特徴とするチーズの
    製造方法。
  3. 【請求項3】 乳又は乳タンパク質を含む溶液に凝乳酵
    素を添加すると同時期にトランスグルタミナーゼを添
    加、作用させる工程を含むことを特徴とするチーズの製
    造方法。
  4. 【請求項4】 トランスグルタミナーゼがタンパク質1
    g当たり0.1〜50ユニット添加されたものである請
    求項1乃至3記載のチーズの製造方法。
  5. 【請求項5】 乳酸菌スターターを用いて、乳又は乳タ
    ンパク質を含む溶液を酸性化する処理を、凝乳酵素添加
    前又は同時に行うことを特徴とする請求項1乃至3記載
    のチーズの製造方法。
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