JPH08176193A - 長期増強誘導性ペプチド - Google Patents

長期増強誘導性ペプチド

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JPH08176193A
JPH08176193A JP6336143A JP33614394A JPH08176193A JP H08176193 A JPH08176193 A JP H08176193A JP 6336143 A JP6336143 A JP 6336143A JP 33614394 A JP33614394 A JP 33614394A JP H08176193 A JPH08176193 A JP H08176193A
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long
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amino acid
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Katsuhiko Mikoshiba
克彦 御子柴
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SOOSEI KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 シナプス伝達効率の長期増強誘導作用を有す
るペプチド及びその用途を提供することを目的とする。 【構成】 本発明のペプチドは特定のアミノ酸配列を有
し、シナプス伝達効率の長期増強誘導作用を有する。本
発明のペプチドは上記の作用を有するので、脳の機能探
索研究に有用であり、また老人性痴呆などの記憶障害を
もたらす疾患の診断薬、治療薬などとしても有用であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は長期増強誘導性ペプチド
及びその用途に関する。より詳細には、シナプス伝達効
率の長期増強(Long term potentiation;LTP)誘導
作用を有するペプチド及び当該ペプチドを有効成分とし
て含有するシナプス伝達効率の長期増強誘導剤に関す
る。
【0002】
【従来の技術】動物の脳の性質の一つに脳の可塑性とよ
ばれる性質があることが知られている。即ち、動物が学
習・記憶をする際、一時的な経験により脳の機能状態が
長期間にわたり持続的に変化しうるのはこの脳の可塑性
によるというものである。その脳の可塑的変化には大別
して2種のタイプがあり、シナプス発芽に代表されるシ
ナプス結合の形態的変化と長期増強に代表されるシナプ
ス伝達の機能的変化があることが分かってきている。い
ずれの場合でも、脳の神経細胞と神経細胞のつなぎめで
あるシナプスに明確な可塑性があることから、このシナ
プスにおける可塑性が記憶や学習の基礎過程を担ってい
ることが類推されている。上記の如きシナプス伝達の機
能的変化である長期増強は、入力繊維の高頻度電気刺激
によりシナプスの伝達効率が長期にわたって増強する現
象であり、記憶や学習と深く関連している可能性がある
ため現在種々の実験が行われており、非常に注目されて
いる現象である。
【0003】上記の長期増強が注目される理由として
は、以下の実験事実が挙げられる。まず、長期増強は哺
乳動物で記憶に最も関与しているといわれる海馬体で起
こる。次に長期増強の発生を選択的に阻害する薬剤があ
る種の学習を阻害すること、動物の脳に刺激電極を刺入
し高頻度刺激を与え人工的に長期増強を起こしておくと
その動物の学習能力に影響がみられること、ある種の学
習形成に伴って動物にシナプス伝達効率の持続的な上昇
がみられること、老化により学習能力と長期増強が平行
して障害されることなどが挙げられる。これらのこと
は、例えば、実験医学8;No.12(1990)50
−55頁に詳述されている。
【0004】上述したように、長期増強もしくは長期増
強様の現象は、一般的には高頻度の電気刺激により発生
することが知られているが、一方では、電気刺激に限ら
ず、ある種の物質を投与することによっても誘導される
ことも知られている(Neurosience Lett 91; 101-105, 1
988)。このような物質の代表として、種々な神経伝達物
質が挙げられるが、最近までによく知られている神経伝
達物質としてグルタミン酸がある。グルタミン酸は、動
物の大脳皮質における主要な興奮性伝達物質であるとさ
れ、このグルタミン酸に対する受容体は薬理的には3種
類に分かれる。即ち、KA(Kainate)、AMPA(γ-
Amino-3-hydroxy-5-methyl-isoxazole-4-propionate)
及びNMDA(N-Methyl-D-aspartate)受容体の3種類
である。このうち、NMDA受容体は近年、上述のシナ
プスの可塑性への関与が高い物質としてよく研究されて
いる。その受容体に関しての刺激剤もしくは拮抗剤も鋭
意研究が進んできており、一部は既に医薬品としての開
発の途上にあるものもある。
【0005】また、これらの物質のほかにシナプス伝達
効率の長期増強を起こす物質として、ハチ毒MCD(MAS
T CELL DEGRANULATING)ペプチド等も見出されている(NA
TURE328; 70-73, 1987)。上記のMCDペプチドは、2
2個のアミノ酸残基からなる非常に塩基性の高いペプチ
ドであり、2個のS−S結合で固定されたヘリックスを
もつことが明らかになっている(Neurochem Internation
al 18; 525-534, 1991)。また、MCDペプチドに関す
る研究として、従来までに、MCDペプチドによる長期
増強誘導経路として、上述した興奮性アミノ酸であるN
MDA(N-Methyl-D-aspartate)の受容体を介さずに長期
増強を誘導することが明らかになっている(生物物理
30;22−27、1990、実験医学 8;1546
−1552、1990)。また、その作用機序としてラ
ット脳内にはMCDの高親和性結合部位が存在すること
(J. Biol Chem 259; 13957-13967, 1984)及び脳内のあ
る種の電位依存性K(カリウム)チャンネルと結合し、
そのもの自体でカチオン選択性の電位依存性チャンネル
を作ること、また肥満細胞のG蛋白を活性化させるなど
の特徴が明らかになっており、これらは例えば、雑誌
「神経研究の進歩」35巻第4号591−599頁に詳
述されている。一方、上述のMCDペプチドの高親和性
結合部位に関しても、近年、分子量75000と370
00のサブユニットからなる蛋白質であることが明らか
になっている(Biochem J 257; 899-903, 1989)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、MCD
ペプチドはシナプス伝達効率の長期増強を起こす物質と
して知られており、脳の長期増強作用を研究する上で極
めて有用であり、ひいては動物の記憶のメカニズムに関
与する研究上重要な物質である。しかしながら、本物質
はハチ毒の一種であり、一般的には脳血管関門を通りに
くいといわれているものなので、本来脳内における生理
作用は意義のないものと考えられてきた。しかし、動物
の脳内には、内在的にMCDペプチド抗体と免疫学的に
交差する物質の存在することが明らかになっており(NAT
URE 328; 70-73, 1987)、この内在性物質が長期増強誘
導に深く関与している可能性がある。このように、脳内
にはシナプス伝達効率の長期増強を起こす物質が存在し
ており、この内在性物質を精製、単離することができれ
ば、この内在性物質を用いて記憶に関する種々の現象を
研究する有力な手段を供することが可能となる。また、
昨今問題となっている老人性痴呆(脳血管性、アルツハ
イマー)に対する有効な診断試薬、ひいては予防薬・治
療薬として利用できる可能性もある。しかしながら、こ
の内在性物質は、動物の脳内に微量しかないため、その
精製・単離は至難であり、その単離、精製及び構造決定
に成功したとの報告はされていない。本発明者等は、従
来よりマウス、ラットの脳組織粗抽出液中に上記MCD
ペプチド類似物質が存在することを報告してきている
が、本発明はこれらの研究をさらに進展させた結果、シ
ナプス伝達効率の長期増強を誘導し得るペプチドの単離
・精製及び当該ペプチドのアミノ酸配列の決定に成功し
た。本発明はかかる知見に基づいてなされたもので、本
発明の目的はシナプス伝達効率の長期増強を誘導し得る
ペプチド及びその用途を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めになされた本発明は、配列番号1で示されるアミノ酸
配列よりなるペプチド及びその塩並びに当該ペプチド又
はその塩を有効成分とするシナプス伝達効率の長期増強
誘導剤である。なお、本発明のペプチドは機能性食品と
しても利用することができる。
【0008】本発明のペプチドは生体組織内に内在して
おり、哺乳動物の脳又は他の臓器・組織・体液などから
単離することもできるが、通常、有機化学的な合成方法
によりアミノ酸を段階的に導入する方法により合成する
ことができる。また、遺伝子工学的方法により製造する
ことも可能である。
【0009】生体組織から得る場合、原料となる生体組
織としては、本発明の目的物を含有する限り限定されな
いが、特にラット、マウス、ウシ、ブタ、ヒツジなどの
哺乳動物の脳から効率よく、しかも高収率で得ることが
できるので好適に用いられる。 上記の原料からの本発
明のペプチドの精製・単離は、一般的に蛋白質の分離・
精製に用いられる各種方法、例えば、塩析、遠心分離、
透析、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマ
トグラフィー、逆相クロマトグラフィー、高速液体クロ
マトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、限
外濾過、凍結乾燥などの方法を用いることにより行うこ
とができる。特に好適には、イオン交換クロマトグラフ
ィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、逆相クロマトグラ
フィー及び高速液体クロマトグラフィーから選ばれた少
なくとも一種、好ましくはこれらを適宜組み合わせるこ
とにより実施される。
【0010】特に好ましい操作の一例としては、原料、
例えば、マウスなどの哺乳動物の正常脳組織を摘出し、
加熱処理した後、酸性条件下にホモジェナイズし、一般
的な遠心分離を行い、その沈殿画分に塩酸、ギ酸、トリ
フルオロ酢酸等を加えた後再度ホモジェナイズし、遠心
分離を実施する。その上清について更に遠心分離を行
い、得られた上清を凍結乾燥し、エーテル等で洗浄後、
通常の透析処理を施す。こうして得られた抽出物をセフ
ァデックスカラム、続いて、逆相クロマトグラフィー、
イオン交換クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラ
フィーなどを組み合わせて精製することにより目的とす
るペプチドを精製・単離することができる。なお、これ
らの精製に用いたカラム、溶出液などは、分離能に優れ
るものであれば後記実施例で使用したものに限定される
ものではない。
【0011】本発明のペプチドを有機化学的な合成方法
によりアミノ酸を段階的に導入して製造する場合、当該
方法としては固相ペプチド合成又は液相ペプチド合成法
が知られており、例えば泉屋信夫他著「ペプチド合成の
基礎と実験」丸善発行などに詳細に記載されている。液
相ペプチド合成では、C末端に位置すべきアミノ酸のカ
ルボキシル基をベンジル基(Bzl)、t-ブチル基(t-Bu)等
で保護し、C末端から2番目に位置すべきアミノ酸のア
ミノ基をt-ブチルオキシカルボニル基(Boc)、ベンジル
オキシカルボニル基(Z)等で保護し、これらをジメチル
ホルムアミド(DMF)等の適当な溶媒に溶解し、ジシクロ
ヘキシルカルボジイミド(DCC)及び1-ヒドロキシベンゾ
トリアゾール(HOBT)の存在下4℃で18時間程度反応させ
る。ついで、生成物のアミノ保護基を常法(トリフルオ
ロ酢酸などによる)により除去し、得られるジペプチド
を第3のアミノ酸(これもアミノ基を保護してある)と
ともに上記と同様にして反応させる。更に、同様な手順
を繰り返して順次必要なアミノ酸を結合させ、保護基の
結合した状態の目的ペプチドを得る。なお、反応させる
アミノ酸が側鎖官能基を有する場合にはペプチド合成反
応に先だって保護する必要がある。例えば、グルタミン
酸のω-カルボキシル基はベンジルエステル(OBzl)な
どにより、アルギニンのグアニジル基はトシル基(Tos)
などにより保護する。最終反応の終了後、これらの保護
基を接触還元やフッ化水素(HF)などにより除去し、目的
とするペプチドを得ることができる。
【0012】一方、固相ペプチド合成については、ペプ
チドシンセサイザー(例えば、アプライドバイオシステ
ムズ社製430A型)を用いて行うことができる。この方法
においては、目的とするペプチドのC末端アミノ酸が結
合したフェニルアセトアミドメチル(PAM)樹脂、即ちア
ミノ酸-OCH2-PAMのN側にBoc基で保護したアミノ酸を自
動制御により逐次結合させ、目的とするペプチドに保護
基とPAM樹脂の結合した試料を得ることが出来る。次い
で、この試料にアニソールなどのスカベンジャーを添加
した後、HFを導入し-2℃、1時間反応させることによ
り目的ペプチドを遊離させることが出来る。遊離したペ
プチドは無水エーテルなどで洗浄後、酢酸を含む水で抽
出、凍結乾燥後更に、高速液体クロマトグラフィーによ
り精製、減圧乾固することにより粉末として得ることが
できる。
【0013】本発明のペプチドは遺伝子工学的方法によ
っても得ることができ、例えば、配列番号1に示される
アミノ酸配列をコードするDNA断片を合成し、このD
NA断片を常法により適当な発現ベクターに組み込み、
この発現ベクターで適当な宿主を形質転換し、得られた
形質転換体を培養し、その培養物から単離・精製するこ
とにより、目的ペプチドを調製することができる。な
お、機能性食品に供することを目的として、細菌及び/
又は酵母を宿主として発現した場合には、培養物から本
発明のペプチドを単離・精製して使用する以外に、細菌
及び/又は酵母の死菌又はその粉末をそのまま使用して
もよい。
【0014】本発明のペプチドは上述の方法により得る
ことができるが、得られた本発明のペプチドは、必要に
応じて、限外濾過膜、ゲル濾過、イオン交換クロマトグ
ラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)など慣
用の手段に付して更に精製してもよい。なお、本発明の
ペプチドは糖鎖を含むものであってもよく、またN末端
及び/又はC末端に1又は2以上のアミノ酸が付加して
いてもよい。
【0015】本発明のペプチドの塩としては、酸付加塩
及び塩基付加塩が包含され、酸付加塩としては、製薬上
許容される酸(無機酸及び有機酸)との塩、例えば塩酸
塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、安息香酸
塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸
塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、メタンスルホン酸塩、ト
ルエンスルホン酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸
塩等が例示される。また、塩基付加塩としては、製薬上
許容される塩基(無機塩基及び有機塩基)との塩、例え
ばナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、カルシ
ウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩等の無機塩基
との塩、塩基性アミノ酸(例えばアルギニン、リジン
等)との塩などが例示される。本発明のペプチドの塩
は、常法に準じて、当該ペプチドに酸又は塩基を付加さ
せることにより調製することができる。
【0016】本発明の長期増強誘導剤は、配列番号1に
示されるアミノ酸配列からなるペプチド及びその塩の少
なくとも1種を有効成分として含有することからなり、
当該ペプチド単独又は通常少なくとも1つの製薬補助剤
とともに一般的な医薬製剤の形態に調剤され、非経口的
(即ち、静脈注射、直腸投与等)又は経口的に投与され
る。かかる医薬製剤としては各種の形態が治療目的に応
じて選択でき、その代表的なものとして錠剤、丸剤、散
剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、坐剤、軟・硬カプセ
ル剤、注射剤(液剤、懸濁剤等)などが挙げられる。こ
れらの製剤は、通常、賦形剤、結合剤、保湿剤、崩壊
剤、界面活性剤、吸着剤、滑沢剤などの担体を用いて、
慣用の製剤化手段にて調製することができる。
【0017】本発明の医薬製剤中に含有されるべき本ペ
プチド又はその塩の量は、特に限定されず広範囲に選択
されるが、通常、全組成物中、5〜100%、特に10
〜70%が適当である。本発明の医薬製剤の投与方法は
特に制限はなく、各種製剤形態、患者の年齢、性別その
他の条件、疾患の程度などに応じた方法で投与される。
例えば錠剤、丸剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤及びカ
プセル剤の場合には経口投与される。また注射剤の場合
には単独であるいはブドウ糖、アミノ酸などの通常の補
液と混合して静脈内投与され、さらには必要に応じて筋
肉内、皮内、皮下、腹腔内又は脳内投与される。本発明
の医薬製剤の投与量は、用法、患者の年齢、性別その他
の条件、疾患の程度などにより適宜選択される。
【0018】本発明のペプチドを機能性食品として利用
する場合、当該食品は配列番号1に示されるアミノ酸配
列からなるペプチド又はその塩を含有することからな
り、そのまま、又は種々の栄養分を加えて、若しくは飲
食品中に含有せしめて、痴呆症などの治療・予防を目的
とする機能性食品(又は食品素材)として食される。例
えば、上述した適当な助剤を添加した後、慣用の手段を
用いて、食用に適した形態、例えば、顆粒状、粒状、錠
剤、カプセル、ペースト等に成形して食用に供してもよ
く、また種々の食品(例えば、ハム、ソーセージ等の食
肉加工食品、かまぼこ、ちくわ等の水産加工食品、バタ
ー、粉乳等の乳製品、パン、菓子など)に添加して使用
されたり、水、果汁、牛乳、清涼飲料等の飲物に添加し
て使用してもよい。かかる機能性食品の形態における本
願ペプチドの摂取量は、年齢、体重、症状、疾患の程
度、食品の形態等により、適宜選択・決定することがで
きる。
【0019】
【発明の効果】本発明のペプチドは、ヒトをはじめとす
る動物における脳の機能探索研究に非常に有用な手段を
供するもので、特に脳における記憶のメカニズム研究に
とっては図りしれない恩恵を供することになる。また、
前述のような記憶障害をもたらす疾患に対する診断薬、
予防・治療薬などとしても有用である。さらに、上記の
疾患の免疫学的診断法を確立する上での抗原などとして
も有用である。また、本発明の長期増強誘導剤によれ
ば、シナプス伝達効率の長期増強を誘導することができ
るので、老人性痴呆症(脳血管性、アルツハイマー等)
などの予防・治療に利用することができる。
【0020】
【実施例】以下、参考例、実施例及び試験例に基づいて
本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの例に
限定されるものではない。
【0021】参考例1結合活性測定法 まず、125I−MCD及び脳膜(brain membrane)を文献
(Neurosci. Res., 8;147-157, 1990)に記載の方法によ
り調製した。脳膜に対する結合活性の測定は上記文献に
記載の方法に準じて、125I−MCDの脳膜に対する結
合を遠心法で測定することにより行った。即ち、脳膜を
40〜50pM 125I−MCD(50μl)と4℃、3
0分間、結合緩衝液中でインキュベートした。結合緩衝
液は、10mg/mlの化合物48/80(シグマ社
製)及び1mg/mlのBSAを含有する20mMトリ
ス−HCl、pH7.4、140mM NaCl、5m
M KCl、2.8mM CaCl2、1.3mM MgS
4からなる。競合的結合実験は、125I−MCDを添加
する15分前に、適当な濃度の非ラベル化MCD又は試
験ペプチドを添加することにより行った。インキュベー
ション後、混合物は、4℃、15,000xgで5分間
遠心分離した。次いで、上清を除去し、ペレットを同じ
緩衝液で2回洗浄した後、放射活性を直接測定した。
【0022】実施例1本発明ペプチドの精製及び構造決定 以下の手順に基づき、目的とするペプチドの精製・単離
を行った。まず、正常なマウスの脳を摘出し、小脳を除
いた後、細断した。得られた脳組織を4倍量の蒸留水
中、95℃以上で10分間煮沸した。4℃まで冷却した
後、濃度1Mとなるように酢酸を加え、ポリトロンを用
いて4℃で1分間ホモジナイズした。次に、このホモジ
ネートを6000rpmで40分間遠心し、上清を除去
した。
【0023】こうして得られた沈殿部分に、4倍量の9
%の塩酸と5%のギ酸及び1%のトリフルオロ酢酸(T
FA)を4℃で加えて、ホモジナイズし、これを再び6
000rpmで40分間遠心分離した。次に、得られた
上清を、4℃にてNaOHを用いてpHを7.5に調整
し、エーテル洗浄を3回行うことにより脱脂した。その
後、水性抽出液中のエーテルを除去するため、30分
間、30℃、減圧下にエバポレーションを行った。抽出
液は、分子量1000以下の物質を除去するため、スペ
クトラポー6(Spectrapor6)透析チューブを用いて2日
間蒸留水に対して透析した。透析物は凍結乾燥し、得ら
れた粉末は蒸留水に懸濁させた。
【0024】次に、上記の方法で得られた懸濁液を、S
PセファデックスC−25(SPC−25、ファルマシ
ア社製)カラムクロマトグラフィー(30x100m
m)に付した。即ち、SPC−25ゲルを20mM 酢
酸アンモニウム(pH5.0)で平衡化し、上記の脳抽
出物をカラムに付した後、カラムを5倍カラム量の20
mM 酢酸アンモニウム(pH5.0)で洗浄した。次い
で、0.2M酢酸アンモニウム(pH7.0)、0.
7、1.2及び2M酢酸アンモニウム(pH7.5)を
溶出液として用いて溶出した(各ステップ:5倍カラム
量)。各ステップからの溶出画分は凍結乾燥して酢酸ア
ンモニウムを除去した。各画分は、前記の結合活性測定
法で検定した。その結果、MCDペプチド様の活性を有
する画分は、1.2M酢酸アンモニウム(pH7.5)
溶出画分であることが判明した。
【0025】上記の活性画分は、C18逆相HPLC(19
x150mm, mBondasphere 5μC18-100Å, Waters社製)を用
いて精製した。即ち、上記のSPC−25カラム溶出活
性画分を、予め0.1%TFA水溶液で平衡化したカラ
ムに付した。カラムからの溶出は、5%から35%リニ
ア グラジェントのアセトニトリル溶液と0.1%のT
FA溶液の混合溶液を用いて毎分5mlの流量で60分
間溶出し、220nmの吸光度をモニターした。グラジ
ェントの最後において、50%のアセトニトリル溶液と
0.1%のTFA溶液の混合溶液を用いて、溶出を20
分間行った。なお、溶出液は20mlずつ集めた。すべ
ての溶出液は凍結乾燥し、結合活性測定の直前に蒸留水
に溶解し、結合活性を測定した。結合活性を有するC18
逆相HPLC溶出画分は、陽イオン交換樹脂(TSKS
P−5PW、東ソー社製)が充填された陽イオン交換カ
ラム(7.5x750mm)に付して更に精製した。こ
の際の溶出条件は、0から1.5Mリニア グラジェン
トの食塩水及び50mMのリン酸緩衝液(pH7.4)
の混合溶液にて、毎分1mlの流速で溶出した。溶出液
は1mlずつ集めた。
【0026】SP−5PWカラムから溶出した活性画分
は、更にC18逆相HPLC(4.6x100mm, ODS-AM, S-3μ,
120Å, YMC-PAC)に付して精製した。溶出は、5から3
5%リニア グラジェントのアセトニトリル溶液と0.
1%のトリフルオロ酢酸溶液との混合溶液を用い、毎分
1mlの流量で30分間溶出し、220nmの吸光度を
モニターした。溶出液は1mlずつ集め、凍結乾燥し、
結合活性測定直前に蒸留水に溶解し、結合活性を測定し
た。上記の溶出パターンを図1に示す。図1において、
点線はアセトニトリル濃度(%)、実線は220nmに
おける吸光度、棒グラフは結合活性を示し、横軸は溶出
時間(フラクション番号)を示す。図1に示されるよう
に、220nmの吸光度でモニターされる主ピークに対
応する画分20が強い結合活性を有することが明らかに
なった。
【0027】かくして得られた画分20について、気相
ペプチドシークエンサーにより分析した。その結果、当
該ペプチドは配列番号1に示されるアミノ酸配列を有す
るペプチドであることが判明した。配列番号1のアミノ
酸配列に示されるように、本発明のペプチドはMCDペ
プチドとは異なる配列を有するペプチドである。従っ
て、本願ペプチドは、MCDペプチドと異なる部位でM
CD−受容体と結合していることが推察される。
【0028】実施例2本発明ペプチドの化学合成 常法に準じ、固相合成法により本発明のペプチドを合成
した。即ち、アプライド・バイオシステムズ社製ペプチ
ド合成装置(430A型)に、Arg化固相樹脂及び配列番号
1に示されるアミノ酸配列に基づいて必要となるアミノ
酸カートリッジを装填し、DCCによる無水対称法によ
り、ペプチド合成を行った。次に、ペプチド研究所製フ
ッ化水素装置に上記合成ペプチド樹脂を導入し、アニソ
ールを添加後、フッ化水素を導入した。-2℃、1時間の
反応後、フッ化水素を減圧下に除去し、ペプチドを無水
エーテル、クロロホルムで交互に3回洗浄し、2N酢酸に
ペプチドを溶解させ、凍結乾燥した。この方法により、
目的とするペプチドを得た。更に、本ペプチドはHPLCに
より精製した。なお、合成したペプチドは、6N塩酸110
℃24時間の加水分解後、日立835型アミノ酸分析装置に
よりアミノ酸分析を行うことにより、更に、日本電子製
HX-110型質量分析装置によるFAB-MS法で構造を確認し
た。合成したペプチドのHPLCによる保持時間は、脳から
精製したペプチドの保持時間と一致した。
【0029】試験例1長期増強誘導作用試験 本発明のペプチドの長期増強誘導作用を、文献(Neurosc
i Res. 8: 147-157, 1990)に記載の方法に準じて行っ
た。即ち、モルモットの海馬スライス(500μm)を
作製し、30℃の灌流装置に固定した。刺激電極をシャ
ーファー側枝(Schaffer collaterals)が通っている放線
層(stratum radiatum)領域に刺入し、CA1領域の錐体
細胞層とその樹状突起のある領域に記録電極を配置し
た。前者の記録電極により集合活動電位とそのピーク潜
時(latency)を、後者により集合EPSPの傾きを測定
した。本試験系の概略を図2に示す。刺激電極を通して
テスト刺激を行うと、刺激の強さに応じて集合活動電位
が増大し、あるレベルで飽和してしまう。その最大値の
半分の値の集合活動電位を発生させるように、テスト刺
激の強さを設定した。次いで、灌流液中に、本発明のペ
プチド(濃度:20μM)を加え、5分間灌流し、その
後、再び元の灌流液に戻した。試験結果を図3に示す。
なお、図3において、黒バーは本発明のペプチドを含む
灌流液による処理を示す。図3に示されるように、本発
明のペプチドを添加すると、すみやかに集合活動電位が
増大し、そして計測期間中ずっと持続した。このことか
ら、本発明のペプチドは、海馬スライスのCA1領域に
おいて、シナプス伝達効率の長期増強作用を誘導するこ
とが確認された。
【0030】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:41 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Lys Val His Gly Ser Leu Ala Arg Ala Gly Lys Val Arg Gly Gln 5 10 15 Thr Pro Lys Val Ala Lys Gln Glu Lys Lys Lys Lys Lys Thr Gly 20 25 30 Arg Ala Lys Arg Arg Met Gln Tyr Asn Arg Arg 35 40
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のペプチドの逆相クロマトグラフィーに
おける溶出パターンを示す図である。
【図2】試験例1における長期増強誘導作用試験の概略
を示す図である。
【図3】本発明のペプチドの長期増強誘導作用を示す図
である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号1で示されるアミノ酸配列
    よりなるペプチド及びその塩。
  2. 【請求項2】 配列番号1で示されるアミノ酸配列
    よりなるペプチド又はその塩を有効成分とするシナプス
    伝達効率の長期増強誘導剤。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6884776B1 (en) * 1997-05-29 2005-04-26 Rijksuniversiteit Leiden Antimicrobial peptides derived from ubiquicidine

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6884776B1 (en) * 1997-05-29 2005-04-26 Rijksuniversiteit Leiden Antimicrobial peptides derived from ubiquicidine

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