JPH0817695B2 - ドデシル硫酸ナトリウムに対して分解性能を示す微生物及びその使用法 - Google Patents

ドデシル硫酸ナトリウムに対して分解性能を示す微生物及びその使用法

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JPH0817695B2
JPH0817695B2 JP63243500A JP24350088A JPH0817695B2 JP H0817695 B2 JPH0817695 B2 JP H0817695B2 JP 63243500 A JP63243500 A JP 63243500A JP 24350088 A JP24350088 A JP 24350088A JP H0817695 B2 JPH0817695 B2 JP H0817695B2
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【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明はドデシル硫酸ナトリウムを資化分解する能
力を有する微生物及びその使用法に関するものである。
ドデシル硫酸ナトリウムは合成洗剤として広く使用さ
れているので、本発明方法は生活排水,産業排水等の浄
化処理として有効である。
従来の技術 活性汚泥を用いてアニオン性界面活性剤を生分解する
方法が一般的に知られている。
発明が解決しようとする課題 しかしながら、活性汚泥のドデシル硫酸ナトリウムに
対する分解性能は極めて弱いため、活性汚泥によるドデ
シル硫酸ナトリウムの分解処理は、実用に供し難いもの
であった。
また活性汚泥は不特定多数の微生物群から成り立って
いるので、これを長期培養してもドデシル硫酸ナトリウ
ムに対する生分解作用はほとんど向上しない。
課題を解決するための手段 このような事情に鑑み本発明者等は、ドデシル硫酸ナ
トリウムに対して単独で優れた生分解作用を示す微生物
を自然界に求め、種々の試験を繰り返した結果、シュー
ドモナス(Pseudomonas)に属するある種の細菌にドデ
シル硫酸ナトリウムを資化分解する能力があることを見
い出し、本発明を完遂した。
すなわち、本発明のドデシル硫酸ナトリウムに対して
資化分解の性能を示す微生物は、シュードモナスエスピ
ー(Pseudomonas sp)No.41-SK株(以下「本菌」とい
う)として、昭和63年8月11日付で工業技術院微生物工
業技術研究所に寄託されているもので(微工研菌寄第10
189号)、その菌学的性質は次のとおりである。
なお、本菌のドデシル硫酸ナトリウムに対する資化分
解は、菌体が炭素源としてドデシル硫酸ナトリウムを摂
取して消費し、増殖する現象を指すものであって、単に
ドデシル硫酸ナトリウムの炭素−炭素結合あるいは炭素
−硫黄結合が切断されることを意味するものではない。
(A) 形態的性質 肉汁寒天培地上で30℃の温度で2日間培養したとき、
以下の形態的特徴が観察される。
1) 細 胞 の 形:桿菌 2) 大 き さ:0.7〜1.2μm×1.5〜3.0μm 3) 多 形 性:なし 4) 運 動 性:極べん毛を持ち、運動性あり 5) 胞 子:形成能なし 6) グラム染色性 :陰性 (B) 培養的性質 1) 肉汁寒天平板培養 コロニーの色 : 薄茶色 コロニーの透明度: やや透明 コロニーの光沢 : 光沢あり 表面の形態 : なめらか 隆起状態 : 盛上がり 2) 肉汁寒天斜面培養 生育状態 : 良好 3) 肉汁液体培養 生育状態 : 良好 4) 肉汁寒天穿刺培養 生育状態 : 表面に生育 5) 肉汁ゼラチン穿刺培養 液化状態 : わずかながら変化する 6) リトマスミルク 反 応 : 変化なし 凝 固 : 凝固せず (C) 生理学的性質 1) 硫酸塩の還元 : 陽性 2) 脱窒反応 : 陽性(ガス発生) 3) MRテスト : 陰性 4) VPテスト : 陰性 5) インドールの生成 : 陰性 6) 硫化水素の生成 : 陰性 7) デンプンの加水分解 : 陰性 8) クエン酸の利用 : 陽性 9) 無機窒素源の利用 : 陰性 10) 色素の生成 : 陽性 11) ウレアーゼ : 陰性 12) オキシダーゼ : 陽性 13) カタラーゼ : 陽性 14) 生育の範囲 pH:7.0(5.0〜9.0)付近が良好 温度:30℃付近が良好 15) 酸素に対する濃度 : 好気性 16) O−Fテスト : 酸化的 17) 糖類から酸およびガスの生成 (+:生成する,−:生成しない) 18) P−ヒドロキシ安息香酸資化能:資化能あり 前記菌学的性質の検査においては、「バージェース
マニュアル オブ システェマティック バクテリオロ
ジー」(Bergey′s Manual of Systematic Bacteriolog
y)及び長谷川武治著「微生物の分類と同定」(学会出
版センター)に記載されている方法あるいは培地組成を
用いた。
これらの試験結果から、本発明の微生物はシュードモ
ナスエアルギノーサに近縁の菌であるが、本菌はD−マ
ンノースから酸を生成するなど、シュードモナスエアル
ギノーサとは異なる性質を有しており、明らかに区別さ
れるものであった。
本発明の菌が持つ酸素等の作用機構については、今後
の研究を待たねばならないが、本発明者等の試験によっ
て、本菌にドデシル硫酸ナトリウムを資化分解する能力
を有することが確認された。従って、菌をドデシル硫酸
ナトリウムを含む処理系に加えて培養すれば、ドデシル
硫酸ナトリウムを効率良く分解することができる。
本発明の処理系におけるドデソル硫酸ナトリウムの濃
度を減少させる方法を実施するに当たっては、本菌を処
理系に加える際に、塩化アンモニウム,燐酸第一水素カ
リウム及び燐酸第二水素カリウム並びにカルシュウム,
マグネシュウム,鉄,マンガン,亜鉛,モリブデン等の
塩化物,硫酸塩,硫化物、酸化物等を併用すべきであ
る。また処理系に必要に応じて酵母エキスなどの有機微
量栄養素を添加すると菌の増殖が促進される。
本発明の実施において、ペプトン,肉エキスなどのド
デシル硫酸ナトリウム以外の炭素源を加えた富栄養培地
で本菌を継代培養させると、本菌のドデシル硫酸ナトリ
ウムに対する資化分解が阻害されるので、これらの使用
は好ましくない。
本菌の培養温度は25℃ないし37℃、培地のpHは5.0な
いし9.0の範囲がそれぞれ好適であり、特に望ましい条
件は培養温度30℃、培地のpH7.0付近である。また本菌
の培養は静置,振盪あるいは通気攪拌の状態で実施する
ことができる。
ドデシル硫酸ナトリウムの分解を速めるためには、酸
素との接触を良くすることが好ましい。培養は通常2日
ないし5日の範囲で行われ、培地中に含まれるドデシル
硫酸ナトリウムの濃度を経時的に減少させることができ
る。
実施例 以下本発明を実施例及び比較試験によって具体的に説
明する。
なおこれらの試験において、ドデシル硫酸ナトリウム
の定量は、JIS K−3363の方法に基づいて測定したもの
であり、ドデシル硫酸ナトリウムとメチレンブルーの複
合体をクロロホルム層に移し、吸光光度法(メチレンブ
ルーの最大吸収値650nm)によって計測した。
例1 ドデシル硫酸ナトリウム 1.0 g 燐酸2カリウム(K2HPO4) 1.0 g 塩化アンモニウム(NH4Cl) 3.0 g 塩化カリウム(KCl) 0.25g 硫酸マグネシウム(MgSO4・7H2O) 0.25g 硫酸亜鉛(ZnSO4・7H2O) 5.0mg 塩化マンガン(MnCl2・4H2O) 2.5mg 硫酸鉄(FeSO4・7H2O) 2.5mg 塩化カルシウム(CaCl2) 1.0mg 上記の各化合物を蒸留水1000mlに溶解し、水酸化ナト
リウムあるいは塩酸を添加してpH7.0に調整した。これ
を500ml容の坂口フラスコに100ml分注し、120℃の温度
で20分間殺菌して培養液とした。この培養液に一白金耳
のシュードモナスエスピーNo.41-SK株(微工研菌寄第10
189号)を接種して、30℃の温度で3日間往復振盪機を
用いて培養した。
培養初期における培地は無色透明であり、またドデシ
ル硫酸ナトリウムの作用により著しい発泡現象が認めら
れた。しかしながら時間の経過に連れて、本菌が増殖し
培地の透明度が悪くなり、消泡現象が認められた。
ドデシル硫酸ナトリウムの分解率および菌数を測定し
た結果は、下表に示したとおりであった。
なお、対照例として培地組成及び培養条件を同一と
し、シュードモナス エスピー No.41-SK株を接種しな
い試験を行ったが、この場合培地の透明度の悪化、消泡
現象及びドデシル硫酸ナトリウムの減少は全く認められ
なかった。
例2 1000ppmのデドシル硫酸ナトリウムを加えた生活排水
を500ml容の坂口フラスコに100ml分注しこれを培養液と
した。この培養液は殺菌しておらず、生活排水中の不特
定多数の微生物が生存していた。この培養液に一白菌耳
のシュードモナス エスピー No.41-SK株を接種して、
30℃の温度で3日間往復振盪機を用いて培養した。対照
例として1000ppmのデドシル硫酸ナトリウムを加えた同
一の生活排水及び同一の培養条件とし、シュードモナス
エスピー No.41-SK株を接種しない試験を行った。
シュードモナス エスピー No.41-SK株を接種したも
のは時間の経過に連れて本菌が増殖し培地の透明度が悪
くなり、消泡現象が認められた。これに対してシュード
モナス エスピー No.41-SK株を接種しないものは、ド
デシル硫酸ナトリウムの減少及び消泡現象は全く認めら
れなかった。
これらのドデシル硫酸ナトリウムの分解率を測定した
結果は下表のとおりであった。
この試験結果から、生活排水中に生存している不特定
多数の微生物だけでは、ドデシル硫酸ナトリウムをほと
んど資化分解できないが、シュードモナス エスピー
No.41-SK株を人為的に接種することで、ドデシル硫酸ナ
トリウムを効率よく分解できることが判明した。
例3 燐酸2カリウム(K2HPO4) 1.0 g 塩化アンモニウム(NH4Cl) 3.0 g 塩化カリウム(KCl) 0.25g 硫酸マグネシウム(MgSO4・7H2O) 0.25g 硫酸亜鉛(ZnSO4・7H2O) 5.0mg 塩化マンガン(MnCl2・4H2O) 2.5mg 硫酸鉄(FeSO4・7H2O) 2.5mg 塩化カルシウム(CaCl2) 1.0mg 上記の化合物をドデシル硫酸ナトリウム540ppmを含む
レーヨン製造工場のオイリング処理工程の排水1000mlに
溶解し、水酸化ナトリウムまたは塩酸を用いてpH7.0に
調整した。これを500ml容の坂口フラスコに100ml分注し
殺菌処理をすることなくこれを培養液とした。
この培養液に一白金耳のシュードモナス エスピー
No.41-SK株を接種して、30℃の温度で3日間、往復振盪
機を用いて培養した。24時間後にドデシル硫酸ナトリウ
ムの分解率を測定したところ、82.5%であった。
なお、対照例として上記培養液にシュードモナス エ
スピー No.41-SK株を接種しない試験を行ったが、この
場合においては、ドデシル硫酸ナトリウムの分解は全く
認められなかった。
発明の効果 本発明のシュードモナス エスピー(Pseudomonas s
p)No.41-SK株は、生活排水または産業排水と接触させ
ることにより、汚水中に含まれるドデシル硫酸ナトリウ
ムを効率よく分解除去することができ、環境浄化に寄与
しうるものである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シュードモナス エスピー(Pseudomonas
    sp)No.41-SK株(微工研菌寄第10189号)として寄託さ
    れているドデシル硫酸ナトリウムに対して分解性能を示
    す微生物。
  2. 【請求項2】シュードモナス エスピー(Pseudomonas
    sp)No.41-SK株(微工研菌寄第10189号)をドデシル硫
    酸ナトリウムを含む処理系に加えて培養し、処理系のド
    デシル硫酸ナトリウム濃度を減少させることを特徴とす
    る微生物の使用法。
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