JPH08176989A - 無機繊維成形体及びその製造方法 - Google Patents

無機繊維成形体及びその製造方法

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JPH08176989A
JPH08176989A JP32024794A JP32024794A JPH08176989A JP H08176989 A JPH08176989 A JP H08176989A JP 32024794 A JP32024794 A JP 32024794A JP 32024794 A JP32024794 A JP 32024794A JP H08176989 A JPH08176989 A JP H08176989A
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inorganic
fiber
bulk density
inorganic refractory
colloidal silica
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JP32024794A
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Yoshiyasu Kashima
吉恭 鹿島
Takao Kaga
隆生 加賀
Kiyomi Ema
希代己 江間
Naonobu Urahata
尚伸 浦畑
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Nissan Chemical Corp
Original Assignee
Nissan Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 無機耐火性繊維からなる成形体であって、焼
成前において0.3 g/cm3以下の嵩密度と高い曲げ強度を
有し、そして焼成しても強度低下が起こらないような無
機繊維成形体、及びその製法を提供すること。 【構成】 無機耐火性繊維と、コロイダルシリカと、Mg
イオンと、凝集助剤とをトクテイ比率にアルカリ性水媒
体中で配合してこれら成分の凝集体分散液を生成させ、
次いで高分子凝集剤を添加してフロック分散液を生成さ
せ、ろ材上にこのフロックの成形体を形成させ、そして
この成形体を乾燥することからなる、 0.2〜0.3g/cm3
嵩密度とこの嵩密度の単位当たり6〜20kg/cm2の曲げ強
度を有する無機繊維成形体の製法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、無機繊維成形体の改良
及びその製造方法に関する。この改良された無機繊維成
形体は、低い嵩密度と高い曲げ強度を有し、断熱材料、
耐熱材料、耐熱衝撃性材料などに好適に使用される。
【0002】
【従来の技術】コロイダルシリカを結合剤として用いる
無機耐火性繊維成形体の製造方法は知られている。例え
ば、米国特許第3224927 号明細書には、無機耐火性繊維
スラリーにカチオン性澱粉を結合助剤として添加し、次
いでアニオン性コロイダルシリカを添加し、更に酸を加
えてスラリーのpHを3〜5に調整しすることにより得ら
れた無機耐火性繊維含有凝集体のスラリーを形成せるこ
と、このスラリーからろ材を通して脱水することにより
当該凝集体の含水成形体を形成させること、及びこの成
形体を乾燥することからなる無機繊維成形体の製造方法
が開示されている。
【0003】特公平 2-53385号公報には、無機繊維及び
コロイダルシリカを分散媒中に分散させてなる無機繊維
のスラリーに凝集剤を加えた後、速やかにスラリーのpH
を4.5 以下に調整することにより当該スラリー中にコロ
イダルシリカ凝集物を生成させること、次いで好ましく
はこの凝集物のスラリーのpHを 4.5〜8.5 に調整するこ
と、このpH調整されたスラリーに高分子凝集剤を添加す
ることにより上記コロイダルシリカ含有フロックのスラ
リーを形成させること、然る後当該フロックのスラリー
からろ材を通して脱水することによりこのろ材上に含水
フロックの成形体を形成させること、及びこの成形体を
乾燥することからなる無機繊維成形体の製造方法が開示
されている。そして同公報には、上記コロイダルシリカ
凝集物を生成させるための凝集剤の例として、塩酸、硫
酸、硝酸、リン酸、有機酸などの酸類、塩化物、硫酸
塩、硝酸塩などの塩類、更にアルミナゾル、アルミン酸
ソーダなどが挙げられている。
【0004】特開昭 54-133659号公報には、無機耐火性
繊維スラリーを型の中に注入した後、型から液を流出さ
せて湿った状態の無機耐火性繊維成形体を造り、この成
形体にコロイド状シリカ、酸及び多価陽イオン含有化合
物からなる調整コロイド状シリカ組成物を含浸させ、該
成形体を通じて圧力差をかけ、調整コロイド状シリカ組
成物がゲル化するのを待ち、次いで該成形体を乾燥する
ことによって無機耐火性繊維のマットを作製する方法が
開示されている。そして同公報には、上記湿った状態の
無機耐火性繊維成形体を得るには、無機耐火性繊維のス
ラリーに少量のコロイド状シリカ及び多価陽イオン含有
化合物を加えることもできること、多価陽イオン含有化
合物としては、アルミニウム、マグネシウム、カルシウ
ム、鉄、亜鉛、ニッケル、クロム及びマンガンの水溶性
の塩又は水酸化物でよいことなどが示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記米国特許第322492
7 号明細書に記載の方法では、得られた成形体を焼成す
る際、当該成形体中のカチオン性澱粉が消失するため
に、成形体の強度低下が起こり、得られた焼成体は耐熱
性材料として使用し得ない。この強度低下を補うため
に、結合剤であるシリカの粒子間の結合力が高まるよう
な温度で、この成形体を予め加熱する方法も採用し得る
が、このような付加工程を設けることは効率的ではな
く、更に焼成時に発生する匂や煙によって作業環境は害
される。
【0006】上記特公平 2-53385号公報に記載の方法で
は、凝集剤添加後速やかにスラリーのpHを4.5 以下に調
整する工程を要し、製造法としては繁雑である。加え
て、酸性の条件下では、通常の鋼材でつくられた容器
類、保存タンク、撹拌槽などの装置に腐食が起こり易
く、これを回避するには高価な耐食性材料からなる装置
を必要とする。
【0007】上記特開昭 54-133659号公報に記載の方法
では、湿った状態の無機耐火性繊維成形体は、結合剤と
なるコロイド状シリカを十分量含有しないため、製品の
無機繊維成形体の強度が低い。一旦湿った状態の耐火性
繊維成形体を得た後に、当該成形体に調整コロイド状シ
リカ組成物を含浸させる方法によれば、製品の成形体強
度を改善できるが、コロイド状シリカは2段階に分けて
使用されるから、やはり製造法としては繁雑である。更
に、得られた製品の無機繊維成形体は、 0.4〜0.6 位の
高い嵩密度を有する。
【0008】無機耐火性繊維成形体からなる断熱材料、
耐熱材料、耐熱衝撃性材料などは、十分な強度を有する
限り、その嵩密度は低くければ低い程、性能上からも経
済上からも有利である。特に、0.3 以下の嵩密度とハン
ドリングに耐える高い強度を有する無機繊維成形体の提
供が望まれているが、このような成形体は未だ得られて
いない。
【0009】本発明は、焼成しても強度低下が起こら
ず、そして焼成前において0.3 g/cm3以下の嵩密度と高
い曲げ強度を有する如き改良された無機繊維成形体、及
びこのような無機繊維成形体を効率よく製造する方法を
提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の無機繊維成形体
は、無機耐火性繊維のフロック成形体の乾燥物であっ
て、 0.2〜0.3 g/cm3 の嵩密度とこの嵩密度の単位当た
り6〜20 kg/cm2 の曲げ強度(T1)を有し、そして焼成し
たときにこの焼成前の嵩密度単位当たりの曲げ強度(T1)
よりも高い嵩密度単位当たりの曲げ強度(T2)を有する焼
成体を生成させる無機繊維成形体である。
【0011】そして本発明の無機繊維成形体の製造方法
は、下記 (a)、 (b)、 (c)及び(d)の工程、(a) アルカ
リ性に保たれた水媒体中で、濃度として 0.1〜20重量%
の無機耐火性繊維と、この無機耐火性繊維に対してSiO2
として5〜50重量% の負帯電コロイダルシリカと、この
SiO2 100g に対して0.01〜1モルの比率の遊離 Mg イオ
ンと、上記無機耐火性繊維に対して 0.2〜20重量% の凝
集助剤とを配合することにより、上記無機耐火性繊維、
コロイダルシリカ由来のシリカ分、Mgイオン由来のMg分
及び凝集助剤からなる凝集体の水性分散液を形成させる
工程、(b) (a)工程で得られた凝集体の水性分散液と、
その1〜300 重量ppm の量の高分子凝集剤を配合するこ
とにより、この高分子凝集剤と上記凝集体からなるフロ
ックの水性分散液を形成させる工程、(c) (b)工程で得
られたフロックの水性分散液から、その中の液をろ材を
通して除くことにより、このろ材上にフロック成形体を
形成させる工程、及び(d) (c)工程で得られた成形体を
乾燥する工程、からなる。
【0012】無機耐火性繊維の例としては、セラミック
ファイバー、アルミナファイバー、ジルコニアファイバ
ー、石英ウール、ロックウール、スラグウール、グラス
ウールなどが挙げられる。これら無機耐火性繊維は任意
に単独で、或いは混合して使用することができる。好ま
しい無機耐火性繊維としては、シリカ及びアルミナを主
成分とするセラミックファイバー、アルミナファイバー
などが挙げられる。この無機耐火性繊維は、通常、10〜
4000ミクロン (μ) 、好ましくは20〜2000μ、更に好ま
しくは30〜1000μの長さと、10μ以下、好ましくは5μ
以下、更に好ましくは 0.1〜3μの直径と、5以上、好
ましくは10〜1000、更に好ましくは20〜1000のアスペク
ト比 (長さと直径の比) を有する。
【0013】コロイダルシリカとしては、その粒子表面
に活性なシラノール基を有すると共に、負に帯電してい
る種々の公知のものを使用することができる。その粒子
形状としては、球状、歪形状、細長い形状などが挙げら
れ、特に細長い形状を有するコロイダルシリカが好まし
い。球状及び歪形状のコロイダルシリカとしては、5〜
100 ナノメートル (nm) の粒子径を有するものが好まし
い。細長い形状を有するコロイダルシリカとしては、例
えば、特開平 1-317115 号公報、特開平 4-65314号公報
などに記載されているものが挙げられる。この細長い形
状のコロイダルシリカ粒子は、電子顕微鏡観察による5
〜100 nmの一様な太さと、動的光散乱法で測定される40
〜500nm の長さ(D1)と、窒素ガス吸着法(BET法) で測定
される比表面積S m2/g の値から 2720/S の式によって
算出される6〜60nmの粒子径(D2)と、このD1/D2 の比と
して表される3〜30の伸長度を有する。
【0014】これらコロイダルシリカは、安定なゾルの
形態で用いるのが好ましい。安定なシリカゾルは、通
常、15〜50重量% のSiO2濃度を有する市販の工業製品と
して容易に入手することができる。特に、 8.5〜11.5の
pH値を有するアルカリ性の水性シリカゾルが好ましい。
マグネシウムイオンは、水溶性のマグネシウム塩として
供給することができる。このマグネシウム塩の例として
は、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、硝酸マグネ
シウム、酢酸マグネシウム及びそれらの塩基性塩が挙げ
られ、特に、硫酸マグネシウム及びその塩基性塩が好ま
しい。
【0015】凝集助剤は、無機耐火性繊維とコロイダル
シリカ粒子間の凝集を強固にする物質であるが、十分な
耐火度を有するものが好ましい。好ましい例としては、
水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの粉末が
挙げられる。この凝集助剤粉末としては、 0.1〜10μ、
好ましくは0.2 〜5μ、更に好ましくは 0.3〜3μの粒
子径を有するものが挙げられる。
【0016】高分子凝集剤としては、公知のものでよ
く、例えば、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、マ
レイン酸縮合物、これらの共重合体などが挙げられる。
好ましい高分子凝集剤としては、非イオン性のポリアク
リルアミド、陰イオン性のポリアクリルアミド部分加水
分解物、アクリルアミド−アクリル酸共重合体、部分ス
ルホメチル化ポリアクリルアミド、ポリ(2-アクリルア
ミド)-2メチルプロパン硫酸塩などポリアクリルアミド
系のものが挙げられる。これら高分子凝集剤は、0.01〜
0.2 重量% 程度の水溶液として用いるのが好ましい。
【0017】(a)工程では、上記無機耐火性繊維とコロ
イダルシリカ由来のシリカ分とMgイオン由来のMg分と凝
集助剤からなる凝集体のアルカリ性水性分散液が形成さ
れる。この水性分散液は、7〜11、好ましくは 7.5〜1
0、更に好ましくは8〜10の調整されたpH値を有する。
このpH値の調整は、用いられるコロイダルシリカとして
アルカリ性の水性シリカゾルを採用することによって好
ましく行うことができるが、水性分散液を形成させる際
に、通常のアルカリ性物質、或いは酸性物質などを水性
媒体に添加することによっても行うことができる。
【0018】この凝集体のアルカリ性水性分散液は、そ
の中の無機耐火性繊維濃度は 0.1〜20重量% となるよう
に、好ましくは 0.1〜10重量% 、更に好ましくは 0.5〜
10重量% となるように、コロイダルシリカの量はこの無
機耐火性繊維に対してSiO2として5〜50重量% 、好まし
くは5〜40重量% 、更に好ましくは10〜30重量% となる
ように、MgイオンはこのSiO2 100g に対して0.01〜1 モ
ル、好ましくは0.03〜0.5 モル、更に好ましくは0.05〜
0.3 モルの比率となるように、そして凝集助剤は上記無
機耐火性繊維に対して 0.3〜20重量% 、好ましくは 0.3
〜10重量% 、更に好ましくは 0.5〜10重量% となるよう
に、水媒体中で、上記無機耐火性繊維と、コロイダルシ
リカ、好ましくはアルカリ性シリカゾルと、Mgイオン供
給物質と、凝集助剤とを配合することによって形成させ
ることができる。
【0019】この配合は、上記無機耐火性繊維と、コロ
イダルシリカ、好ましくはアルカリ性シリカゾルと、Mg
イオン供給物質と、凝集助剤とを攪拌下の水媒体に添加
することにより行うことができる。通常、この配合方法
としては、攪拌下の上記無機耐火性繊維の水性スラリー
に、アルカリ性シリカゾルと、Mgイオン供給物質と、凝
集助剤とを添加する方法が挙げられ、好ましい方法とし
ては、上記無機耐火性繊維とアルカリ性シリカゾルを添
加することにより得られる攪拌下の水性スラリーに、Mg
イオン供給物質の水溶液と凝集助剤とを混合することに
より得られる水性スラリーを添加する方法が挙げられ、
更に好ましい方法としては、攪拌下の上記無機耐火性繊
維の水性スラリーに、Mgイオン供給物質の水溶液と凝集
助剤とを混合することにより得られる水性スラリーを添
加した後、アルカリ性シリカゾルを添加する方法が挙げ
られる。
【0020】この配合は、高めた温度で行うこともでき
るが、好ましくは常温で、水媒体中に上記無機耐火性繊
維とアルカリ性シリカゾルとMgイオン供給物質と凝集助
剤を添加した後、2分以上、好ましくは5〜60分程度、
更に好ましくは10〜40分程度、液に攪拌を与えることに
より行うことができる。(b)工程では、上記 (a)工程で
得られた凝集体のアルカリ性水性分散液と、この分散液
に対し1〜300 重量ppm 、好ましくは3〜100 重量ppm
、更に好ましくは5〜50重量ppm の量の上記高分子凝
集剤とを配合することにより、この凝集体と高分子凝集
剤からなるフロックの水性分散液が形成される。
【0021】この配合は、酸性のフロック分散液が形成
されるような調整されたpHで行うこともできるが、7〜
11、好ましくは 7.5〜10、更に好ましくは8〜10のpH値
を有するフロック分散液が形成されるように行うのが好
ましく、上記 (a)工程で得られた凝集体のアルカリ性水
性分散液をそのまま使用して、これに攪拌下に上記高分
子凝集剤の水溶液を添加する方法で行うのが好ましい。
【0022】この配合は、高めた温度で行うこともでき
るが、常温で、攪拌下の (a)工程で得られた凝集体のア
ルカリ性水性分散液に、上記高分子凝集剤の水溶液を添
加した後、2分以上、好ましくは5〜60分程度、液に攪
拌を与えることにより行うことができる。この攪拌とし
ては、強攪拌よりも、羽根による普通攪拌が好ましい。
【0023】(c)工程では、上記 (b)工程で得られたフ
ロックの水性分散液から、その中の液をろ材を通して除
くことにより、このろ材上にフロックの成形体が形成さ
れる。このろ材としては、通常の金網等ろ過性能を有す
るものでよいが、その網目の大きさとしては、10〜440
メッシュ程度が好ましい。ろ材を通過する液の速さは、
例えば通常の減圧装置を付加して、ろ材の下部をろ材上
の液部に対して減圧に調整する方法を採用することによ
り、増加させることができる。ろ材上に形成された成形
体としては、その含水率が低い程好ましい。
【0024】(d)工程では、上記 (c)工程で得られたろ
材上のフロック成形体を乾燥することにより、本発明の
無機繊維成形体が得られる。この乾燥は、常温でも行う
ことができるが、成形体中に水分が残らないように行う
のが好ましく、150 ℃以下の高めた温度、好ましくは80
〜120 ℃で行うことにより、通常20時間以内の短時間で
終了させることができる。
【0025】本発明では、曲げ強度は、3点曲げの抗折
強度を意味する。 (d)工程で得られる無機繊維成形体
は、 0.2〜0.3 g/cm3 の嵩密度とこの嵩密度の単位当た
り6〜20kg/cm2の曲げ強度(T1)を有する。この無機繊維
成形体を、焼成温度、例えば、600〜1000℃で焼成する
ことにより、無機繊維焼成体が得られる。この無機繊維
焼成体は、焼成前の無機繊維成形体の嵩密度に対して通
常10% 以下の高まった嵩密度を有するが、焼成前の無機
繊維成形体の嵩密度の単位当たり曲げ強度より大きい嵩
密度の単位当たり曲げ強度(T2)を有する。
【0026】
【作用】本発明の無機繊維成形体が高い曲げ強度を示す
と共に、この成形体を焼成したときにも高い曲げ強度を
有する無機繊維焼成体が得られることは、焼成前におい
てこの無機繊維成形体が、焼成によって消失する如き有
機質バインダーを含有せず、そして焼成によって強度が
高まる無機質バインダーによって無機耐火性繊維が結合
されている構造を有することによる。けれども、本発明
により、コロイダルシリカの如き従来から知られている
無機質バインダーを使用しているにもかかわらず、高い
曲げ強度を有すると共に、未だ得られていなかった低い
嵩密度を有する無機繊維成形体が得られることは意外な
ことである。
【0027】実験的観察により、 (a)工程で生成する凝
集体は、用いられた無機耐火性繊維、凝集助剤のいずれ
の大きさよりも大きいが、 (b)工程で生成するフロック
の大きさよりも遙に小さい大きさを有し、液の攪拌によ
っては崩壊しない安定性を有すること、(b) 工程で生成
する液中のフロックは密度が小さく、そして液の攪拌に
よっては崩壊しない 0.1〜5mm位の大きさを有する安定
な凝集物であること、(c)工程では、このフロックがろ
材上で、大きな収縮を伴わずに積み重ねられて成形体が
形成されること、及び (d)工程でも、この成形体が大き
な収縮を伴わずに乾燥されることなどが見出された。
【0028】水媒体中で、無機耐火性繊維、コロイダル
シリカ及びMgイオンを配合すると、コロイダルシリカ粒
子の相互の凝集と共に、Mgイオンの介在による無機耐火
性繊維とコロイダルシリカ粒子間の凝集が起る。ところ
が、 (a)工程のように、液中に凝集助剤を加えておく
と、その少なくとも一部は凝集体中に取り込まれ、この
凝集を強固なものとし、そして無機繊維成形体の強度を
高める作用をするものと考えられる。けれども、好まし
い無機繊維成形体は、好ましい製造方法によって得られ
る。
【0029】無機耐火性繊維として、10μより大きい直
径を有するものを (a)工程に使用すると、この無機耐火
性繊維は水性分散液中で沈降し易く、均一な分散液を得
難い。5以下のアスペクト比を有する無機耐火性繊維を
使用すると、 (d)工程において高過ぎる嵩密度を有する
無機繊維成形体が生成する。 (a)工程の水性分散液中の
無機耐火性繊維の濃度が 0.1重量% よりも低いときに
は、 (c)工程で成形体を形成させるときにろ材を通過さ
せる液量が増加して効率的ではない。反対に無機耐火性
繊維の濃度を20重量% より高めると、液中の無機耐火性
繊維の分散が不十分となり易い。
【0030】(a)工程でコロイダルシリカの量を無機耐
火性繊維に対して5重量% より低めると、 (d)工程によ
っては高い曲げ強度を有する成形体が得られない。反対
に、コロイダルシリカの量を50重量% より高めると、
(d)工程では高過ぎる嵩密度の成形体が生成する。(a)工
程でMgイオンの量をコロイダルシリカのSiO2 100g に対
して0.01モル以下に低めると、凝集体中に十分量のコロ
イダルシリカが取り込まれない。反対に、SiO2 100g に
対して1モル以上に高めると、液中に残存するMgイオン
の量が過剰となり、効率的でない。
【0031】(a)工程に使用される凝集助剤の粉末の粒
度が10μより大きいと、分散液中で沈降が起こり易く、
均一な分散液を形成させ難い。しかし、 0.1μ以下の細
かすぎる粒度は不必要であり、市販品としても入手し難
い。凝集助剤の量を無機耐火性繊維に対して 0.3重量%
以下に低めると、 (b)工程では十分な大きさのフロック
が生成しない。反対に、20重量% 以上にも高めると、
(d)工程では高過ぎる嵩密度の成形体が生成する。
【0032】(a)工程の水性媒体を酸性、特に6以下のp
Hに調整すると、 (d)工程では強度測定すらできない程
の低強度成形体が生成する。(b)工程で高分子凝集剤の
量を1重量ppm 以下に低めると、十分量のフロックが生
成しない。反対に300 重量ppm 以上に高めることは、
(d)工程で生成する成形体中の有機質分の含有量が高ま
り、この成形体を焼成しても焼成体の強度は向上しにく
い。特に、300 重量ppm を越えて大過剰に使用すると、
液中に不要の高分子凝集剤が残り、効率的でない。
【0033】(a)工程及び (b)工程で行われる配合の際
の攪拌を2分以下に止めると、 (a)工程での凝集体及び
(b)工程でのフロックのいずれも十分な安定性を有しな
い。しかし、これら凝集体及びフロックは60分以内の攪
拌により安定化するから、この攪拌を60分以上にも続け
る必要はない。(c)工程で使用するろ材の網目の大きさ
が10メッシュより大きいと、フロックはろ材の網目を通
過し易く、フロックの歩留まりが低下する。反対に網目
の大きさが440 メッシュより小さいと、目詰まりが生じ
易く、ろ過速度が低下する。
【0034】(d)工程での乾燥が不十分であると、十分
な強度を有する成形体が得られない。
【0035】
【実施例】無機耐火性繊維として、50〜500 μの長さと
2μの直径を有するセラミックファイバーを、そしてコ
ロイダルシリカとしては、10.9のpHと18.9重量% のSiO2
濃度を有し、12 mμの太さと88 mμの動的光散乱法粒子
径(D1)と11.6 mμのBET 法から算出される粒子径(D2)を
有する細長い形状のシリカゾルを用意した。
【0036】市販の試薬硫酸マグネシウムを使用して、
Mgイオンとして 2.1重量% の水溶液(A1)を用意した。市
販の試薬硫酸マグネシウム(MgSO4・7H2O) 244g を水70
0gに溶解させることにより得られた液に、水酸化アルミ
ニウム粉末 (粒度1ミクロン)200g を強力撹拌下に分散
させることにより、7.0 のpH値を有する水酸化アルミニ
ウムスラリー(A2)を用意した。
【0037】高分子凝集剤として、非イオン性のポリア
クリルアミド (住友化学工業株式会社製の商品名スミフ
ロックFN-10H)の500 重量ppm 水溶液(B1)を用意した。
縦25cm、横25cm、高さ37cmの枠部と、底部に80メッシュ
の金網を有する金型を無機繊維成形装置として用意し
た。 実施例1 (a)工程 直径28cm、深さ34cmの容器中に、10.8kgの水と162gの上
記用意した無機耐火性繊維を投入し、撹拌羽根による43
0rpmの攪拌を5分間行うことにより、無機耐火性繊維の
水性分散液を調製した。この水性分散液に、上記用意し
たシリカゾル204gを加えた後、更に3分間同様の撹拌を
行ったところ、 9.7のpHを有する水性分散液が得られ
た。
【0038】このシリカゾル含有無機耐火性繊維分散液
に、上記水酸化アルミニウムスラリー(A2)41g を添加し
て同様の攪拌を20分間行ったところ、 9.5のpHを有する
凝集体の水性分散液が得られた。 (b)工程 (a)工程で得られた凝集体の水性分散液に、上記高分子
凝集剤水溶液(B1)309gを加えて同様の攪拌を10分間行っ
たところ、無機耐火性繊維のフロック分散液が得られ
た。
【0039】(c)工程 (b)工程で得られたフロックの水性分散液を、上記用意
した成形装置に注入し、ろ過により分散液中の液を除い
たところ、この金網上に無機耐火性繊維のフロックから
なる14mm厚の板状成形体が得られた。 (d)工程 (c)工程で得られた成形体を乾燥機中110 ℃で15時間乾
燥することにより、無機耐火性繊維の成形体を得た。こ
の成形体は、0.28の嵩密度と、3点曲げの抗折強度とし
て2.9kg/cm2 の曲げ強度を有していた。従って、嵩密度
単位当たりの曲げ強度は10.4 (kg・cm/g) と算出され
る。
【0040】更に、この成形体から切り出した試験片
を、600 ℃で3時間焼成することにより、焼成体を得
た。そして上記成形体から切り出した別の試験片は1000
℃で1時間焼成することにより、やはり焼成体を得た。
この600 ℃焼成体は 0.286g/cm3 の嵩密度と4.07kg/cm2
の曲げ強度を有していた。そして1000℃焼成体は 0.288
g/cm3 の嵩密度と5.27kg/cm2の曲げ強度を有していた。
【0041】比較例1 この例では、凝集助剤が使用されなかった。(a)工程に
おける水酸化アルミニウムスラリー(A2)を、硫酸マグネ
シウム水溶液(A1)に変えた他は実施例1と同様にして無
機耐火性繊維の成形体を得たが、この成形体は0.25の嵩
密度と、1.40kg/cm2の曲げ強度を有していた。
【0042】更に、上記成形体試験片から実施例1と同
様にして600 ℃焼成体と1000℃焼成体を得たが、600 ℃
焼成体は1.66kg/cm2の、そして1000℃焼成体は2.46kg/c
m2のそれぞれ曲げ強度を有していた。 比較例2 この例では、酸性で凝集体水性分散液が調製された。
【0043】(a)工程におけるシリカゾル含有無機耐火
性繊維分散液に1重量% の硫酸水溶液を82.0g を加える
ことにより分散液のpHを5.8 に調整した後に水酸化アル
ミニウムスラリー(A2)を添加する方法に変えた以外は、
実施例1と同様にして無機繊維成形体を得たが、この成
形体は強度が低く、ハンドリング中に崩壊し、強度測定
に供し得なかった。
【0044】実施例2 この例では、 (a)工程におけるコロイダルシリカの使用
量、Mgイオンの使用量及び凝集助剤の使用量が種々に変
えられ、そして (b)工程において高分子凝集剤の使用量
及びその添加後の攪拌時間が種々に変えられた。第1表
記載のように、シリカゾルの使用量、水酸化アルミニウ
ムスラリーの使用量、高分子凝集剤水溶液(B1)の使用量
及びこの水溶液(B1)添加後の攪拌時間を変えた以外は、
実施例1と同様にして実験 No. 1〜6 の無機耐火性繊維
の成形体を得た。その嵩密度測定結果は、第1表に記載
されている。
【0045】実施例1と同様にして、これら成形体から
600 ℃焼成体及び1000℃焼成体を造り、3点曲げの抗折
強度を測定した。その測定結果は、焼成前成形体の3点
曲げの抗折強度と共に、第2表に記載されている。 実施例3 この例では、 (a)工程におけるコロイダルシリカと、Mg
イオン及び凝集助剤の添加順序が変えられた。
【0046】第1表実験 No.7 に記載のように、実施例
2の実験 No.6 と同じ組成において、無機耐火性繊維の
水性分散液に、水酸化アルミニウムスラリーを添加し15
分間の攪拌を行った後に、シリカゾルを添加し10分間の
攪拌を行った以外は、実施例2の実験 No.6 と同様にし
て無機耐火性繊維の成形体を得た。その嵩密度測定結果
は、第1表実験 No.7 に記載されている。
【0047】実施例1と同様にして、これら成形体から
600 ℃焼成体及び1000℃焼成体を造り、3点曲げの抗折
強度を測定した。その測定結果は、焼成前成形体の3点
曲げの抗折強度と共に、第2表実験 No.7 に記載されて
いる。 第 1 表 実験 シリカゾル スラリー(A2) 水溶液(B1) (B1)添加後の 嵩密度 No. 使用量(g) 使用量(g) 使用量(g) 攪拌時間 (分) (g/cm3) 1 235 47 355 2 0.300 2 204 41 309 2 0.281 3 204 41 309 5 0.271 4 204 62 464 10 0.295 5 204 41 464 10 0.278 6 176 41 309 10 0.258 7 176 41 309 10 0.267 第 2 表 実験 3点曲げの抗折強度 (kg/cm2) 嵩密度単位当たりの No. 焼成前成形体 600 ℃焼成体 1000℃焼成体 曲げ強度 (kg・cm/g) 1 2.89 3.84 5.20 9.6 2 2.12 3.14 4.04 7.5 3 2.06 2.90 3.73 7.6 4 3.51 4.60 6.55 11.9 5 2.48 3.66 4.77 8.9 6 1.75 2.31 3.09 6.8 7 2.64 3.39 5.02 9.9
【0048】
【発明の効果】本発明によれば、 0.2〜0.3 g/cm3 の嵩
密度とこの嵩密度の単位当たり6〜20kg/cm2の曲げ強度
を有し、そして焼成によってこの嵩密度の単位当たり曲
げ強度が更に増大した無機繊維焼成体が得られる如き改
良された無機繊維成形体を、簡易に且つ効率よく製造す
ることができる。
【0049】これら無機繊維成形体、無機繊維焼成体な
どは、軽くて高い強度を有するから、断熱材料、耐熱材
料、耐熱衝撃性材料として好適に使用することができ
る。本発明の製造方法によれば、原料の無機耐火性繊維
とコロイダルシリカ結合剤を含有する水性分散液がアル
カリ性であるから、この無機繊維成形体の製造に使用さ
れる装置として、耐蝕性の金属材料からなる装置を必要
とせずに、上記の如き改良された無機繊維成形体を製造
することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D21H 3/78 (72)発明者 浦畑 尚伸 千葉県船橋市坪井町722番地1 日産化学 工業株式会社中央研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機耐火性繊維のフロック成形体の乾燥
    物であって、 0.2〜0.3 g/cm3 の嵩密度とこの嵩密度の
    単位当たり6〜20 kg/cm2 の曲げ強度(T1)を有し、そし
    て焼成したときにこの焼成前の嵩密度単位当たりの曲げ
    強度(T1)よりも高い嵩密度単位当たりの曲げ強度(T2)を
    有する焼成体を生成させる無機繊維成形体。
  2. 【請求項2】 下記 (a)、 (b)、 (c)及び(d) の工程、 (a) アルカリ性に保たれた水媒体中で、濃度として 0.1
    〜20重量% の無機耐火性繊維と、この無機耐火性繊維に
    対してSiO2として5〜50重量% の負帯電コロイダルシリ
    カと、このSiO2 100g に対して0.01〜1モルの比率の遊
    離 Mg イオンと、上記無機耐火性繊維に対して 0.3〜20
    重量% の凝集助剤とを配合することにより、上記無機耐
    火性繊維、コロイダルシリカ由来のシリカ分、Mgイオン
    由来のMg分及び凝集助剤からなる凝集体の水性分散液を
    形成させる工程、 (b) (a)工程で得られた凝集体の水性分散液と、その1
    〜300 重量ppm の量の高分子凝集剤を配合することによ
    り、この高分子凝集剤と上記凝集体からなるフロックの
    水性分散液を形成させる工程、 (c) (b)工程で得られたフロックの水性分散液から、そ
    の中の液をろ材を通して除くことにより、このろ材上に
    フロック成形体を形成させる工程、及び (d) (c)工程で得られた成形体を乾燥する工程、からな
    る請求項1に記載の無機繊維成形体の製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018080094A (ja) * 2016-11-18 2018-05-24 イソライト工業株式会社 断熱材

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