JPH08186053A - セラミック電子部品の製造方法 - Google Patents

セラミック電子部品の製造方法

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JPH08186053A
JPH08186053A JP6339877A JP33987794A JPH08186053A JP H08186053 A JPH08186053 A JP H08186053A JP 6339877 A JP6339877 A JP 6339877A JP 33987794 A JP33987794 A JP 33987794A JP H08186053 A JPH08186053 A JP H08186053A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 焼成工程において、セラミック素子の焼結に
悪影響を与えたりすることなく、脱脂後のセラミック素
子中に残留した炭素を速やかに減少させることが可能
で、生産効率の高いセラミック電子部品の製造方法を提
供する。 【構成】 脱脂工程の終了後の焼成工程において、湿潤
還元雰囲気を保持するための水分とは別に、脱脂工程終
了時のセラミック素子中の残留炭素1モルに対して、1
分間に3モル以上の割合で水分を供給しつつ所定の温度
に達するまで焼成を行った後、湿潤還元雰囲気保持用の
水分のみを供給しつつ所定の温度プロファイルで焼成を
行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子部品の製造方法に関
し、詳しくは、セラミック素子を熱処理して、セラミッ
ク素子中に含まれるバインダーなどを分解、除去する脱
脂工程の終了後に、セラミック素子を湿潤還元雰囲気中
で熱処理して焼結させる焼成工程を含むセラミック電子
部品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、卑金属材料を用いて内部電極を
形成した積層セラミックコンデンサ素子などのセラミッ
ク素子を焼成する方法の一つとして、窒素を主成分とす
る雰囲気中に水素や水を添加した湿潤還元雰囲気中で焼
成を行う方法がある。そして、この方法においては、雰
囲気中の酸素分圧を検出、管理することにより湿潤還元
雰囲気のコントロールを行っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、酸素分圧のみ
を管理する方法には次のような問題点がある。
【0004】脱脂後のセラミック素子中の残留炭素を
除去する際には、 C+O → CO (1) C+O2 → CO2 (2) CO+1/2O2 → CO2 (3) などの反応以外にも、 C+H2O → CO+H2 (4) C+2H2O → CO2+2H2 (5) などのいわゆる水性ガス反応が生じる。しかし、式
(4),(5)のような水性ガス反応は、残留炭素と水(水蒸
気)の直接反応であるため、酸素分圧を検出、管理する
方法によっては、式(4),(5)のような水性ガス反応を検
出、管理することができず、脱脂工程での残留炭素を、
セラミック素子の焼結などに悪影響を与えることなく効
率よく除去することが困難であるのが実情である。
【0005】また、焼成炉内に挿入するタイプの酸素
センサーは、通常、残留炭素が主に除去される800℃
以下の温度では、センサー出力値の信頼性が乏しく精度
が低いため、酸素分圧を正確に検出すること自体が容易
ではないという問題点もある。
【0006】さらに、従来の湿潤還元雰囲気中で焼成
した場合、水性ガス反応の速度が遅く、焼成に長時間を
要するため生産効率が低いという問題点がある。
【0007】本発明は、上記問題点を解決するものであ
り、焼成工程において、セラミック素子の焼結に悪影響
を与えたりすることなく、脱脂後のセラミック素子中の
残留炭素を速やかに減少させることが可能で、生産効率
の高いセラミック電子部品の製造方法を提供することを
目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、発明者は種々の実験、検討を行い、湿潤還元雰囲気
を保持するための水分とは別に、所定の割合で水分を供
給しつつ焼成を行った場合に、脱脂後のセラミック素子
中の残留炭素が速やかに減少することを知り、さらに実
験、検討を重ねて本発明を完成した。
【0009】すなわち、本発明のセラミック電子部品の
製造方法は、セラミック素子を所定の条件で熱処理して
セラミック素子中に含まれるバインダーなどの有機物質
を分解、除去する脱脂工程と、前記脱脂工程の終了後
に、セラミック素子を湿潤還元雰囲気中で熱処理して焼
結させる焼成工程であって、湿潤還元雰囲気を保持する
ための水分とは別に、脱脂工程終了時のセラミック素子
中の残留炭素1モルに対して、1分間に3モル以上の割
合で水分を供給しつつ所定の温度に達するまで焼成を行
った後、湿潤還元雰囲気保持用の水分のみを供給しつつ
所定の温度プロファイルで焼成を行う焼成工程とを含む
ことを特徴としている。
【0010】また、脱脂工程終了時のセラミック素子中
の残留炭素量1モルに対して、1分間に3モル以上の割
合で水分を供給しつつ焼成を行う際における雰囲気中の
水分濃度が10〜25vol%であることを特徴としてい
る。
【0011】さらに、前記脱脂工程の終了後に、脱脂工
程終了時のセラミック素子中の残留炭素量1モルに対し
て、1分間に3モル以上の割合で水分を供給しながら少
なくとも800℃に達するまで焼成を行い、その後、湿
潤還元雰囲気保持用の水分のみを供給しつつ所定の温度
プロファイルで焼成を行うことを特徴としている。
【0012】
【作用】脱脂工程の終了後の焼成工程において、湿潤還
元雰囲気を保持するための水分とは別に、脱脂工程終了
時のセラミック素子中の残留炭素1モルに対して、1分
間に3モル以上の割合で水分を供給しつつ所定の温度に
達するまで焼成を行うことにより、セラミック素子の焼
結に悪影響を与えたりするようなことなく、前述の式
(4),(5)の水性ガス反応 C+H2O → CO+H2 (4) C+2H2O → CO2+2H2 (5) を速やかに進行させ、セラミック素子中に残留した炭素
を効率よく減少させることが可能になるとともに、その
後、湿潤還元雰囲気保持用の水分のみを供給しつつ所定
の温度プロファイルで焼成を行うことにより、セラミッ
ク素子の焼結を確実に行わせることができるようにな
り、全体として、焼成の効率を向上させることができる
ようになる。
【0013】また、脱脂工程終了時のセラミック素子中
の残留炭素量1モルに対して、1分間に3モル以上の割
合で水分を供給しつつ焼成を行う際の雰囲気中の水分濃
度を10〜25vol%とすることにより、所定の湿潤還
元雰囲気を保ちつつ、セラミック素子中に残留した炭素
を効率よく減少させることが可能になり、本発明をより
実効あらしめることができる。
【0014】さらに、脱脂工程の終了後に、脱脂工程終
了時のセラミック素子中の残留炭素量1モルに対して、
1分間に3モル以上の割合で水分を供給しながら少なく
とも800℃に達するまで焼成を行い、その後、湿潤還
元雰囲気保持用の水分のみを供給しつつ所定の温度プロ
ファイルで焼成を行うようにした場合には、前述の式
(4),(5)の水性ガス反応を速やかに進行させ、セラミッ
ク素子中に残留した炭素をより確実に、しかも効率よく
減少させることが可能になるとともに、その後の湿潤還
元雰囲気保持用の水分のみを供給しつつ焼成する工程
で、セラミック素子の焼結を確実に行わせることが可能
になり、本発明をさらに実効あらしめることができるよ
うになる。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例を示してその特徴とす
るところをさらに詳しく説明する。なお、この実施例で
は、積層セラミックコンデンサを製造する場合を例にと
って説明する。
【0016】BaTiO3を主成分とする誘電体材料
(セラミック原料粉末)、バインダーであるPVB(ポ
リビニルブチラール)、トルエン/エタノ−ル混合溶
剤、及び各種添加材をボールミルを用いて攪拌、混合す
ることによりスラリーを作成した。
【0017】そして、このスラリーを焼成後の厚みが1
2μmとなるようなシートに成形し、乾燥させた後、パ
ターン印刷によりニッケル電極(ペースト)を塗布し
た。
【0018】それから、このシートを80〜90層積層
するとともに、その上下両面側にニッケル電極を塗布し
ていないダミーシートを積層し、圧着した後、カットし
て、焼成後の寸法が2.6mm(幅)×2.0mm(長さ)
×1.25mm(厚み)の個々のセラミック素子(グリー
ンチップ)を得た。
【0019】そして、このセラミック素子を、空気中、
240℃で熱処理し、セラミック素子中のバインダーな
どの有機物を分解、除去(脱脂)した。なお、この脱脂
工程後のセラミック素子中の残留炭素は、約1.0重量
%であった。
【0020】このセラミック素子100g(含有炭素量
=1g)を、小型バッチ炉を用い、昇温速度100℃/
hで800℃まで昇温した後、昇温速度200℃/hで
800℃から1250℃まで範囲昇温し、その後125
0℃で2h保持してセラミック素子を焼結させた後、自
然冷却した。
【0021】なお、この焼成工程においては、窒素ガ
ス、水素ガス及び水蒸気を所定の割合で供給することに
より基本的な湿潤還元雰囲気を保持し、さらに、800
℃に達するまでは、湿潤還元雰囲気を保持するための水
(具体的には3.6g/min)とは別に、セラミック素
子中の残留炭素1モルに対して、1分間に3モル(具体
的には4.5g/min)の割合で水を供給しつつ昇温し
た。なお、このときの雰囲気中の水蒸気濃度は、約10
vol%であった。
【0022】また、焼成工程の最高温度(1250℃)
での酸素分圧は10-12〜10-11MPaとした。
【0023】なお、比較のため、焼成工程の全工程(8
00℃に達するまでの範囲も含む)で、湿潤還元雰囲気
を保持するための水(具体的には3.6g/min)のみ
を供給して焼成を行った。
【0024】上記実施例及び比較例の各条件で焼成を行
った場合の、焼成温度が800℃に達するまでの、焼成
温度と雰囲気中のCO及びCO2濃度の関係を図1(実
施例)及び図2(比較例)に示す。
【0025】図2より、湿潤還元雰囲気を保持するため
の水のみを供給して焼成を行った比較例の場合には、8
00℃に達した時点でまだ雰囲気中のCO及びCO2
度が高く、残留炭素が十分に除去されていないことがわ
かる。
【0026】これに対して、湿潤還元雰囲気を保持する
ための水とは別に、セラミック素子中の残留炭素1モル
に対して、1分間に3モルの割合で水を供給しつつ焼成
を行った実施例の場合、図1に示すように、800℃に
達した時点で、雰囲気中にCO及びCO2がほとんど認
められなくなっており(CO及びCO2はいずれも10p
pm以下)、残留炭素が十分に除去されていることがわか
る。
【0027】また、焼成後のセラミック素子(積層セラ
ミックコンデンサ素子)に端子電極を形成することによ
り得られた積層セラミックコンデンサについて、容量の
ばらつき、容量低下・容量不形成の発生の有無、絶縁抵
抗(logIR)、等価直列抵抗などの諸特性を測定し
た。その結果を表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】表1に示すように、実施例にかかる積層セ
ラミックコンデンサは、比較例のそれに比べて、容量の
ばらつきが小さく、高い絶縁性を有し、かつ等価直列抵
抗が小さいという良好な結果が得られており、また、容
量低下・容量不形成の発生も認められなかった。
【0030】このように、上記実施例で示したような条
件で焼成を行うことにより、内部電極切れによる容量低
下・容量不形成などが発生せず、しかも等価直列抵抗が
低く、高絶縁抵抗を有する被焼成物を得ることが可能に
なる。
【0031】なお、上記実施例では、湿潤還元雰囲気を
保持するための水分とは別に、脱脂工程終了時のセラミ
ック素子中の残留炭素量1モルに対して、1分間に3モ
ルの割合で水分を供給しながら800℃に達するまで焼
成を行った場合について説明したが、湿潤還元雰囲気を
保持するための水分とは別に供給する水分の割合は脱脂
工程終了時のセラミック素子中の残留炭素量1モルに対
して、1分間に3モル以上という条件を範囲において種
々に変化させることが可能である。但し、水分の供給割
合は、通常、脱脂工程終了時のセラミック素子中の残留
炭素量1モルに対して、1分間に3モル〜15モルの範
囲が好ましい。
【0032】ただし、湿潤還元雰囲気を保持するための
水分とは別に供給する水分の量は、雰囲気中の水蒸気濃
度とも関係することから、通常は、雰囲気中の水蒸気の
濃度を10〜25vol%の範囲に保持することが望まし
い。これは、水蒸気濃度が上記範囲を逸脱すると、場合
によっては、水性ガス反応の進行速度が低くなったり、
セラミック素子の焼結に悪影響を与えたりするためであ
る。
【0033】また、上記実施例では、湿潤還元雰囲気を
保持するための水分とは別に、脱脂工程終了時のセラミ
ック素子中の残留炭素量1モルに対して、1分間に3モ
ルの割合で水分を供給しながら800℃に達するまで焼
成を行った場合について説明したが、湿潤還元雰囲気を
保持するための水分とは別に、本発明の所定の割合で水
分を供給しながら1000℃付近まで焼成し、その後湿
潤還元雰囲気を保持するための水分のみを供給しつつ焼
成することにより、さらに確実に残留炭素を除去し、良
好な焼成を行うことが可能になる場合もある。
【0034】また、上記実施例では、BaTiO3系の
セラミックを用いたセラミック素子を焼成する場合を例
にとって説明したが、他の種類のセラミックを用いたセ
ラミック素子を焼成する場合(すなわち、他の種類のセ
ラミックを用いたセラミック電子部品を製造する場合)
にも本発明を適用することが可能であり、その場合にも
同様の効果を得ることが可能である。
【0035】また、上記実施例では、積層セラミックコ
ンデンサを製造する場合を例にとって説明したが、本発
明は、積層セラミックコンデンサの製造方法に限定され
るものではなく、セラミックフィルタやセラミック多層
基板などの種々のセラミック電子部品を製造する場合に
適用することが可能である。
【0036】本発明は、さらにその他の点においても上
記実施例に限定されるものではなく、セラミック素子の
具体的な構造、内部電極のパターン、脱脂工程の温度条
件、焼成工程の温度プロファイルなどに関し、発明の要
旨の範囲内において種々の応用、変形を加えることが可
能である。
【0037】
【発明の効果】上述のように、本発明のセラミック電子
部品の製造方法は、脱脂工程が終了した後の焼成工程に
おいて、湿潤還元雰囲気を保持するための水分とは別
に、脱脂工程終了時のセラミック素子中の残留炭素1モ
ルに対して、1分間に3モル以上の割合で水分を供給し
つつ所定の温度に達するまで焼成を行った後、湿潤還元
雰囲気保持用の水分のみを供給しつつ所定の温度プロフ
ァイルで焼成を行うようにしているので、セラミック素
子の焼結に悪影響を与えたりするようなことなく、セラ
ミック素子中に残留した炭素を効率よく減少させること
が可能になるとともに、セラミック素子の焼結を確実に
行わせることができるようになり、全体として、焼成の
効率を大幅に向上させることができるようになる。
【0038】また、脱脂工程終了時のセラミック素子中
の残留炭素量1モルに対して、1分間に3モル以上の割
合で水分を供給しつつ焼成を行う際の雰囲気中の水分濃
度を10〜25vol%とすることにより、所定の湿潤還
元雰囲気を保ちつつ、セラミック素子中に残留した炭素
を効率よく減少させることが可能になり、本発明をより
実効あらしめることができる。
【0039】さらに、脱脂工程の終了後に、脱脂工程終
了時のセラミック素子中の残留炭素量1モルに対して、
1分間に3モル以上の割合で水分を供給しながら少なく
とも800℃に達するまで焼成を行い、その後、湿潤還
元雰囲気保持用の水分のみを供給しつつ所定の温度プロ
ファイルで焼成を行うことにより、セラミック素子中に
残留した炭素をより確実に、しかも効率よく減少させる
ことが可能になるとともに、その後の湿潤還元雰囲気保
持用の水分のみを供給しつつ焼成する工程で、セラミッ
ク素子の焼結を確実に行わせることが可能になり、本発
明をさらに実効あらしめることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例にかかるセラミック電子部品
の製造方法の焼成工程における、焼成温度と雰囲気中の
CO及びCO2濃度の関係を示す線図である。
【図2】比較例の焼成工程における、焼成温度と雰囲気
中のCO及びCO2濃度の関係を示す線図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミック素子を所定の条件で熱処理し
    てセラミック素子中に含まれるバインダーなどの有機物
    質を分解、除去する脱脂工程と、 前記脱脂工程の終了後に、セラミック素子を湿潤還元雰
    囲気中で熱処理して焼結させる焼成工程であって、湿潤
    還元雰囲気を保持するための水分とは別に、脱脂工程終
    了時のセラミック素子中の残留炭素1モルに対して、1
    分間に3モル以上の割合で水分を供給しつつ所定の温度
    に達するまで焼成を行った後、湿潤還元雰囲気保持用の
    水分のみを供給しつつ所定の温度プロファイルで焼成を
    行う焼成工程とを含むことを特徴とするセラミック電子
    部品の製造方法。
  2. 【請求項2】 脱脂工程終了時のセラミック素子中の残
    留炭素量1モルに対して、1分間に3モル以上の割合で
    水分を供給しつつ焼成を行う際における雰囲気中の水分
    濃度が10〜25vol%であることを特徴とする請求項
    1記載のセラミック電子部品の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記脱脂工程の終了後に、脱脂工程終了
    時のセラミック素子中の残留炭素量1モルに対して、1
    分間に3モル以上の割合で水分を供給しながら少なくと
    も800℃に達するまで焼成を行い、その後、湿潤還元
    雰囲気保持用の水分のみを供給しつつ所定の温度プロフ
    ァイルで焼成を行うことを特徴とする請求項1又は2記
    載のセラミック電子部品の製造方法。
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