JPH08194226A - 液晶パネル体及びその製造方法 - Google Patents

液晶パネル体及びその製造方法

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JPH08194226A
JPH08194226A JP734895A JP734895A JPH08194226A JP H08194226 A JPH08194226 A JP H08194226A JP 734895 A JP734895 A JP 734895A JP 734895 A JP734895 A JP 734895A JP H08194226 A JPH08194226 A JP H08194226A
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JP
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liquid crystal
crystal panel
panel body
phase
electrodes
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JP734895A
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Takao Minato
孝夫 湊
Katsuhiro Suzuki
克宏 鈴木
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Toppan Inc
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Toppan Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】ツイスト配向でも消光位が定まり、明暗2状態
のコントラストがハッキリと出る、またツイストがほど
けたユニフォーム配向を安定して得られ、応答速度が限
定されず、階調発現も可能な、液晶パネル体およびその
製造方法を提供すること。 【構成】基板上に形成されていて互いに対向する一対の
電極と、両基板間に所定の間隔を置いて互いに平行に並
べられた複数の直線状の隔壁部材と、電極の上部に形成
されて一軸配向処理が施された配向膜とを有し、一軸配
向処理の方向は+40度以下の有限の角度で交差し、各
隔壁部材は上記交差角の内側にあって対向基板接着され
て直線状空間を形成し、空間内部にカイラルスメクチッ
クC相を呈する強誘電性液晶が封入されることを特徴と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、産業用、OA用及び家
庭用の液晶ディスプレイに関し、特に強誘電性液晶が封
入されてなる液晶ディスプレイに用いる液晶パネル体に
関し、更に詳しくは強誘電性液晶の階調発現も可能な配
向制御方法を有する液晶パネル体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、コンピュター等のための表示装置
として液晶ディスプレイが用いられるようになってき
た。液晶ディスプレイの主要構成部材は一対のガラス基
板からなる液晶パネル枠に液晶を浸透させた液晶パネル
体である。各ガラス基板にはストライプ状の透明電極が
形成され、これら透明電極上には必要に応じて絶縁膜、
及びポリイミドやポリビニルアルコール等の有機薄膜ま
たは珪素酸化物等の無機薄膜が順次積層される。カラー
ディスプレイではカラーフィルターが透明電極の下部
に、場合によっては上部に形成される。上記有機薄膜は
液晶に対して一軸配向性を持つように一軸配向処理、例
えばラビング処理が施される。上記無機薄膜は一軸配向
性があるように蒸着されている。上記液晶パネル枠は、
一対のストライプ状透明電極が互いに直交して互いに対
向するように一対のガラス基板が接着される。その際、
スペーサと呼ばれる隙間支持体を両基板の間に多数個介
在させることにより、両基板の間を一定の微小間隔に保
持する。この種の液晶パネル枠では表示部内では両基板
は接着していず、内部は連結した一つの空間からなって
いる。液晶ディスプレイは、通常、このような液晶パネ
ル枠に液晶を封入した液晶パネル体を作製した後、配向
操作を行い更に偏光板、駆動用ICおよびバックライト
などの付帯設備を実装し、出来上がった組み立て体をキ
ャビネットに収納したものである。
【0003】近年では、特に液晶として強誘電性(Ferr
o-electric liquid crystal:以下、FLC )または反強誘
電性(Anti Ferro-electric liquid crystal: 以下、AF
LC)を示す液晶を用いた液晶ディスプレイの実用化の研
究が行われており、例えば、 (1)「強誘電性液晶の構造と物性」(福田、竹添共
著:(株)コロナ社1990年)(以下文献1とする)
(2)「次世代液晶ディスプレイと液晶材料」(福田監
修:シーエムシー(株)1992年)(以下文献2とす
る) 等に一例が開示されている。これらの液晶は、いわゆる
記憶効果を有し、さらに高速応答(一般に数10μs)
であるので、TFT(Thin Film Transistor)、MIM(M
etal Insulator Metal) 等の能動素子が不要な単純マト
リックス駆動で、高精細で高画質の大容量表示が期待さ
れるからである。
【0004】強誘電性液晶に限れば、高温状態である液
体相(等方相)から温度を下げるに従って、例えばカイ
ラルネマチック(N* )相→スメクチックA(SmA)
相→カイラルスメクチックC( SmC* )相→カイラル
スメクチックI( SmI* )相と複雑多様な相変化をす
る。カイラルスメクチック相はネマチック相よりさらに
低温側に位置しており、対称性が低い結晶に近い状態で
ある。通常、液晶パネル体を高温状態に保持した後、ゆ
っくりと冷却して所望のカイラルスメクチック相を形成
する。
【0005】電場に応答する使用される相状態はカイラ
ルスメクチックC相で図1に示す層構造をなしている。
各層内の液晶分子302は、同図(d)に示すように、
層法線方向102から略θだけ傾いた状態と−θだけ傾
いた二つの位置を占めることが可能となる。この二つの
状態は記憶効果を有しており、一旦形成されるとその状
態が保たれるという双安定性を示す。また直流電場の極
性(正と負)を変えることで2つの状態の切り替えがμ
sオーダーの超高速で可能となる。
【0006】こうした優れた特性を持っているにも関わ
らず、従来構成の液晶パネル体と単純な冷却手段によっ
ては、(1)カイラルスメクチック層に固有の配向欠陥
が発生する、(2)層構造が外力により破壊され自己回
復性がない、(3)駆動時にパネル内部で一軸配向処理
の方向と垂直方向に液晶が移動する、(4)双安定性の
ため階調表示が難しい、等の解決が困難な問題に逢着す
る。
【0007】前記(1)のスメクチック層固有の配向欠
陥である、ジグザグ欠陥と擬線状の欠陥について説明す
る。厚さが1〜3μm程度のカイラルスメクチック層の
薄膜は、従来考えられた図1(b)に示すようなブック
シェルフ構造ではなく、図1(a)に示すように層の中
心部が”《”の字型に屈曲したシェブロン構造か、希に
(c)の傾いたブックシェルフ構造を採っている。これ
らの屈曲方向にはそれぞれ”《”と”》”、”//”
と”\\”の2方向ある。一般に基板近傍の液晶分子は
分子の一方が基板から一定の角度(以下、プレチルト角
αとする。図2参照)浮き上がった状態をとるので、α
≠0なら折れ曲がる向きにより層内部の液晶分子の凝集
状態が異なっている。
【0008】以下、一軸配向処理として、適宜な布で一
方向に擦るラビング処理の場合を詳述するが、プレチル
ト角を大きくして傾いたブックシェルフ構造を得る斜方
蒸着処理(文献2、85ページ)にもあてはまる。
【0009】上下一対のラビング方向が平行またはほぼ
平行である場合を考えると、シェブロン構造における液
晶分子層の折れ曲がり方向と上下のラビング方向との組
み合わせを変えることによって、スメクチック層内での
区別できる液晶分子の凝集の仕方は5種類となる。傾い
たブックシェルフ構造には2種類ある。図2、3はこれ
らの凝集の仕方を模式的に示している。図中δは層の折
れ曲がる角度で概ね10〜20度である。また矢印→は
ラビングが進んだ方向である。
【0010】これら5つの配置に関して、特に(a)に
示す配置がC1状態、(b)に示す配置がC2状態と呼
ばれている(J.Kanbe et al.,Ferroelectrics,114,3(19
91)(以下文献3とする))。これらはラビングの進行
方向が同じ方向になるように上下の基板を対向させるラ
ビング設定で得られる液晶分子の凝集状態(以下、平行
ラビングとする)である。C1状態では、液晶分子30
2が液晶分子層Eの傾斜方向と同じ方向にプレチルトす
る。また、C2状態では、液晶分子302が液晶分子層
Eの傾斜方向と反対方向にプレチルトする。
【0011】(c)(d)に示す状態をC1/C2のハ
イブリッドと呼び、(e)に示す状態を片側C1状態、
そして(f)に示す状態を片側C2状態とする。(c)
と(d)の状態は、ラビングの進行方向が逆方向になる
ように両基板を組み合わせたラビング設定、即ち反平行
ラビングで得られる液晶分子の凝集状態である。この状
態では、C1状態とC2状態が半分ずつを占めており、
折れ曲がり方向が逆のものは相互に区別ができない。
(e)及び(f)の状態は、片側の基板に対してはラビ
ング処理を行わない場合である。いずれの凝集状態も上
下の配向膜材料の組み合わせを変える、作成条件を変え
ることなどにより、若干変形した層構造、凝集状態であ
ってもよい。
【0012】液晶分子の層内の収まり方は図2に書いた
ような単純なユニフォーム状態でなく、上下基板間で連
続的に捻れるツイスト状態をとっていることもある。上
下の配向性が同じであると、配向膜近傍では液晶分子の
持つ自発分極成分が同じ側(基板側か液晶側のどちら
か)を向きやすい。同じ方向を向くためには一方の配向
膜側の分子がθにあると他方は−θにくる。こうである
と必然的に中間ではツイストする(例えば、文献2、5
ページ)。以下はいずれについてもあてはまるものであ
る。
【0013】カイラルスメクチック層に固有の欠陥とは
図4に示すジグザグ欠陥403と擬線状の欠陥404で
ある。前者は液晶分子層の屈曲方向が正反対である巨視
的なドメインが互いに接合する部分に発生するもの、即
ち屈曲方向の異なるドメインの境界403がジグザグ欠
陥である。後者の原因は明確ではないが、同じ屈曲方向
を有するドメインが成長して、互いに合体した境界が消
失せずに残存した部分と考えられる。傾いたブックシェ
ルフ構造でも傾く方向が違うドメインが発現する。
【0014】上記配向欠陥が存在すること自体、一軸配
向処理と単純な冷却の組み合わせは折れ曲がる方向の異
なる複数の凝集構造から、唯一つを選択して固定できな
いということを示している。即ち、一軸配向処理でスメ
クチック相の層法線方向102は決まるが、折れ曲がる
向きは一義的に決まらない。
【0015】単純な構造のC1かC2の一方だけでも選
択形成できればジグザグ欠陥は発生しない。これに関し
ては、プレチルト角αが、層の折れ曲がり角程度に大き
いと、C2の発生が抑止されるというものがある(文献
3)。しかし、これはαを20度(》δ)程度にする必
要があり、実際上困難であり、且つ使える材料を狭く限
定する。
【0016】平行ラビングではSmA層から先ずC1に
転移し、次に概ね2〜6℃低温でC2に変化する。高温
側のC1から低温側のC2へ転移する際、変化が層全体
で生じないために、C2と残存するC1との境界がジグ
ザグ欠陥403となる。全領域で一応完全な変化が起こ
っても、C1ドメインの内部に発生する複数のC2ドメ
インが成長してそれらが互いに合体した会合部分が消失
せずに残存し、これが擬線状の欠陥404となる。
【0017】C1からC2への変化はかなり必然的に一
般に起こる。温度が下がるとセルギャップ方向に層が伸
びるため、層が折れ曲がる。セルギャップ間の液晶体積
がほぼ一定という状態で、液晶分子が層法線方向から傾
いて層間隔が狭まるため、層が伸びる。即ち、狭くなっ
た分ギャップ方向に伸びる。最初の伸びはC1状態への
折れ曲がりとして吸収されるが、このままではその後の
伸びを吸収するのがエネルギー的に難しくなる。C1で
は曲がるのに大きなエネルギーを必要とする。このため
層の曲がり(伸び)に対してエネルギー増加がより少な
い凝集状態に変化せざるを得なくなる。より具体的に
は、C1では隣接液晶分子がSmAの構造を反映してか
なり平行に位置しているが、このままでは近接すると液
晶分子のコアー部分の反発力が増大する。このため、分
子軸方向にスライドするかスライドし易い相互配置のC
2に変化する。
【0018】C1からC2への変化は、層が全体として
逆方向に大きく滑って、折れ曲がるのではなく、図5で
示すように実線のC1は破線のC2と読み変えることが
可能であるような変化である。これは隣接する液晶分子
の僅かの変位によりC2へ変化が生じることを示す。し
かしながらC1からC2へ変化すると欠陥は必ず発生す
る。特にC2内部にドメイン間の会合の名残りの擬線状
欠陥が残る。もしC1で変化が停止する液晶であれば擬
線状欠陥は発生しない。あるいは空間を細分化して会合
をなくしてもよい。細分化には限界があり、事実上不可
能である。
【0019】以上より、層の折れ曲がり方向を変える何
らかの構造変化があると欠陥は避けられない。即ち、S
mA→C1→C2では欠陥が必ず発生する。そこで
(イ)SmA→C1、としてC2への変化を抑止してC
1を低温まで延ばすか、(ロ)SmA→C2、の変化を
直接誘導すれば欠陥は全く発生しない。先に述べたよう
に(ロ)はいつでも可能であるが、(イ)はC1→C2
が生じこともある。
【0020】反平行ラビングの場合、折れ曲がる向きが
相反する2つの凝集状態は(図2(c)と(d))は全
く等価でC1とC2のような差はない。どちらでも等し
い確率で生じる(ジグザグ欠陥ができやすい)。ジグザ
グ欠陥は発生するが、擬線状の欠陥はどちらのドメイン
にも存在しない。このことは、C1→C2のような再度
の構造変化は生じていないことを示している。
【0021】従って、配向欠陥が発生しない条件はカイ
ラルスメクチック相で層の折れ曲がり方向を変えるよう
な構造変化が起きないことである。このことは平行ラビ
ングではC1からC2の変化を抑止するか、SmAから
C2を直接誘導することで可能である。また反平行ラビ
ングで層の折れ曲がり方向を一方に固定することでも可
能である。これはSmA相から最初に析出したカイラル
スメクチック相の層の折れ曲がり方向は唯一つであっ
て、この状態を室温まで保持することである。
【0022】本発明者らは温度勾配のある特別な冷却方
法と組み合わせると、上記の特定の構造変化を抑止する
か回避するための効率のよい液晶パネル体の構造(後
述)を発明した。これはスメクチック層の層の折れ曲が
り方向は、冷却にともなう体積収縮方向(液晶の移動方
向)により終局的に支配されているということに基づ
く。すなわち、パネル内部の液晶の移動を介して層の変
形を誘導すると、折れ曲がり方向の選択的な制御が可能
となる。液晶の移動は液晶の封じられる空間の形状と冷
却方法を工夫することで可能となる。空間の断面形状は
狭く、細長く伸びている方が、内部の液晶の移動量すな
わち変形量が大きい。断面積と長さを調整して変形量を
制御できる。こうした空間においてスメクチック層の生
成時に空間の延びる方向に温度勾配があると、低温方向
に液晶が移動して結果としてその向きに層が折れ曲が
る。
【0023】この法則性を平行ラビングの場合に図6に
より説明する。液晶温度が高温液体相から低温に下がる
と必ず数%の体積収縮が生じる。配向膜近傍の液晶は相
対的に動きにくいので、この収縮力800は層中心部を
冷却点方向に引っ張る力として作用し、結果として層構
造を維持したまま層の中心部の液晶を先に温度が低下し
た方に移動させる。このためSmAで既に冷却点方向に
層が撓んでいる。従って、C2方向から冷却されると、
SmA自身がC2類似の構造を既にとっており、C1を
経ずにC2に直接転移する(同図(a))。C1方向か
ら冷却する場合も同様である(同図(b))。層法線方
向の温度勾配のために液晶全体がこうなるように強いら
れており、欠陥は発生する余地が全くない。実際、C2
方向から冷却すると擬線状を含めてどのような配向欠陥
も生じない。従来ジグザグ欠陥が発生して省みられなか
った反平行ラビングでも無欠陥のC1/C2配向が容易
に誘導できる。
【0024】ところが逆向きのC1方向から冷却する
と、液晶によってはジグザグ欠陥と擬線状欠陥が見られ
ることがある。これは図5で示した機構により図6の経
路801を経て逆方向に折れ曲がったC2ドメインがC
1ドメイン中に発生したことを示している(同図
(b))。従って、どんな液晶に対しても、C1配向が
形成可能な技術があるかどうかは重要な問題である。
【0025】他方上記の手段により、スメクチック層の
層の折れ曲がり方向を揃えられると次のことが可能とな
る。これはデジタル的な階調発現に関係する。即ち図7
で示すように、層の折れ曲がり方向がほぼ同じで層内部
の液晶分子の凝集の様子が異なっており、結果として対
電場特性も異なっている複数のドメインA503、B5
04を一つの電極上に形成出来ることである。対電場特
性が異なるとは、例えば、応答速度が異なることであ
る。こうであると印加するパルスの幅か高さの少なくと
も一方を調整して、応答するドメインを選択することが
できて、階調表示が出来る。利用できるドメイン数をn
とすると最大2n 階調が可能である。
【0026】これらのドメインとしてはシェブロン構造
では図2に記載したC1、C2、C1C2ハイブリッ
ド、片側C1等から選択できる。もしそれにより応答速
度が変化するものであれば、同じ凝集状態であるがプレ
チルト角αに違いがあるドメイン、ツイスト状態とユニ
フォーム状態である等、極端な場合液晶を挟持するか隣
り合う配向膜の種類を変えてもよい。
【0027】ところがこれらの手段だけでは、隣接する
ドメインの応答速度に差がありすぎたり、少なすぎたり
して駆動上好ましい範囲内にないこともある。一般的に
C1配向は応答速度が遅いか記憶効果が無い傾向がある
(玉井他、応用物理、第63巻、6月号、548ペー
ジ、1994年)。液晶の応答速度にさらに多様性を持
たせる別の手段を見いだすことも重要な課題である。
【0028】さらに別の問題として、上下のラビング方
向が略同一の場合には、ツイスト配向を取りやすい傾向
がある。ツイスト配向であると消光位が定まらず明暗2
状態のコントラストがでないという問題がある。従って
ツイストがほどけたユニフォーム配向を安定して得るこ
とも重要な課題である。これに関しては特開平5−12
7163号公報には上下の基板でラビング方向を一定の
角度で交差させる(以下、クロスラビングと呼ぶ)とユ
ニフォーム配向が得られるとの記載があり、交差角とし
て20度以下が好ましいとされている。
【0029】
【発明が解決しようとする課題】以上に示したように、
空間の延びる方向に一軸配向処理を施し、この細長い空
間に閉じ込めた強誘電性液晶を空間の延びる方向に温度
勾配を与えながら冷却すると、他の方法では決して得ら
れない無欠陥のC2、C1/C2配向が得られるが、C
1状態についてはC2に変化することがある。さらに通
常のC1やC2では応答速度が限定され過ぎており、階
調発現には好ましくない場合もある。更に別の問題とし
て高コントラストであるユニフォーム状態が形成しにく
いという問題があった。
【0030】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の課題を解
決するためになされたものであって、請求項1に係る発
明は、少なくとも一方が透明な一対の基板と、それらの
基板上に形成されていて互いに対向する一対の電極と、
両基板間に設けられていて所定の間隔を置いて互いに平
行に並べられた複数の直線状の隔壁部材と、上記一対の
電極の上部に形成されていて一軸配向処理が施された配
向膜とを有しており、上記一対の一軸配向処理の方向は
+40度以下の所定の角度で交差しており、各隔壁部材
の延びる方向は、上記一軸配向処理の交差した角度の内
側にあり、各隔壁部材は、対向する基板に接着されるこ
とにより、液晶通過用の開口端部以外の部分が液晶に対
して密閉された状態の直線状空間を形成し、さらにそれ
ら各直線状空間の内部にカイラルスメクチックC相を呈
する強誘電性液晶が封入されることを特徴とする液晶パ
ネル体である。
【0031】本発明の請求項2に係る発明は、上記一対
の電極は、それぞれが複数の電極を所定ピッチで並べる
ことをによって形成された互いに対向する一対のストラ
イプ状電極によって構成され、その一対のストライプ状
電極は互いに直交し、上記の各隔壁部材は、一方の基板
上のストライプ状電極の間に劾電極と同じピッチ又は複
数ピッチ間隔で直線状に伸びることを特徴とする液晶パ
ネル体。上記一対の電極は、それぞれが複数の電極を所
定ピッチで並べることをによって形成された互いに対向
する一対のストライプ状電極によって構成され、その一
対のストライプ状電極は互いに直交し、上記の各隔壁部
材は、一方の基板上のストライプ状電極の間に劾電極と
同じピッチ又は複数ピッチ間隔で直線状に延びることを
特徴とする。
【0032】本発明の請求項3に係る発明は、上記一対
の電極は平面状電極であることを特徴とする。
【0033】本発明の請求項4に係わる発明は、上記各
隔壁部材の延びる方向と上記カイラルスメクチックC相
の層法線方向の交差角は+15度以内であることを特徴
とする。
【0034】本発明の請求項5に係わる発明は、カイラ
ルスメクチックC相の層の折れ曲がり方向はスメクチッ
クA相から最初に析出するカイラルスメクチックC相の
唯一つの層の折れ曲がり方向と同じであることを特徴と
する。
【0035】本発明の請求項6に係わる発明は、カイラ
ルスメクチックC相の層の傾き方向はスメクチックA相
から最初に析出するカイラルスメクチックC相の唯一つ
の層の傾き方向と同じであることを特徴とする。
【0036】本発明の請求項7に係わる発明は、上記一
対のストライプ状電極によって形成される交差電極間に
は、上記カイラルスメクチックC相の層の折れ曲がり方
向が同じかほぼ同じであって且つ層内の液晶分子の凝集
状態が互いに異なる複数の配向ドメインがあることを特
徴とする。
【0037】本発明の請求項8に係わる発明は、上記一
対のストライプ状電極によって形成される交差電極間に
は、上記カイラルスメクチック相Cの層の傾き方向が同
じかほぼ同じであって且つ層内の液晶分子の凝集状態が
互いに異なる複数の配向ドメインがあることを特徴とす
る。
【0038】本発明の請求項9に係わる発明は、上記記
載の液晶パネル体の製造方法において、上記隔壁部材の
方向に関して温度勾配が形成保持された状態で、直線状
空間の一方の端部から他方の端部へ向かって、強誘電性
液晶が液体相あるいはカイラルネマチック相あるいはス
メクチックA相を呈する温度からカイラルスケクチック
C相を呈する温度まで順次冷却することを特徴とする液
晶パネル体の製造方法である。
【0039】
【作用】カイラルスメクチック層の層の折れ曲がり方向
の制御は、SmA相中で予め液晶分子層を変形させるこ
とに基づく。このためには液晶分子をある向きに移動さ
せる必要があるが、移動それ自身は温度低下にともなう
体積収縮を利用する。体積収縮方向を一方向に集中しつ
つ且つ変形(収縮)量を制御するためには、液晶の封じ
られる空間の長さと断面積が問題である。
【0040】本発明では液晶パネル体の構造はこのこと
から必然的に図8に示すものとなる。この液晶パネル体
1では、一方のガラス基板3の上に形成されたストライ
プ状の透明電極5の間に、セルギャップGに対応する厚
さを有する直線状の隔壁部材8が形成されている。隔壁
部材8には、適当な手段によって他のガラス基板2が接
着され、これにより、一対の基板が完全に接着してい
て、さらにセルギャップGが正確に規定された液晶封入
用の液晶パネル枠が構成される。
【0041】符号9及び符号7はポリイミド配向膜であ
る。符号4は、一方の透明電極5に対向していてその透
明電極5に対して直角方向にストライプ状に延びる対向
透明電極である。符号6は絶縁膜である。絶縁膜として
はアルミナやシリカの1000A程度の薄膜を用いるこ
とができる。カラーフィルターはいずれか一方の透明電
極の下側か上側に設けることができる。この構成によ
り、各隔壁部材8の間に直線状の空間Rが形成される。
これらの空間Rの中に強誘電性液晶を封入することによ
り、液晶パネル体1が作製される。
【0042】図9に隔壁部材群8の正面図を示す。スト
ライプ状電極5の上の直線状空間Rは隔壁部材8によっ
て相互に隔たっており、先端部分22の開口部及び後端
部分23の開口部を除いて、完全な閉空間を成してい
る。すなわち、開口以外の部分は液体に対して密閉され
ている。直線状空間Rの断面形状は、偏平な4辺形状、
すなわち長方形状になる。この場合、長方形の長辺Lの
最小の幅は、ストライプ状電極5と同程度、例えば約5
0〜500μmに自動的に設定される。長方形の短辺S
は、セルギャップGと同程度、例えば1〜3μmに設定
する。直線状空間Rの断面形状は、厳密には透明電極5
の厚さによる段差や、あるいは4隅の丸みなどの影響に
よって完全な4辺形ではない。
【0043】直線状空間Rを区切る隔壁としての隔壁部
材8の幅Wは、隣接する電極5の間の長さ程度以下、例
えば10〜100μmに設定する。直線状空間Rの長さ
R(図9)は、液晶ディスプレイの表示部Dとして露
出する電極の長さ、例えば10〜40cmよりも長く設
定する。このように設定するのは、直線状空間Rの液晶
出入口では5〜10mm程度の長さで配向異常Eが見ら
れるからである。
【0044】ここに示した液晶パネル体1は、一方の基
板のストライプ状電極の間に直線状の隔壁部材を満遍な
く形成してあり、これにより、上下の基板が接着されて
いる。液晶は、直線状に仕切られた狭い空間Rの中を直
進移動するので蛇行することがなく、液晶内に歪みの蓄
積や空隙が生じない。液晶の冷却時に発生する液晶の収
縮も、空間Rが延びる方向に制限されて集中され空間相
互間で干渉することはない。液晶の収縮量を制御するに
は基板側は接着してあって可能な限り変形しないのが望
ましい。この方が相対的な変形量が大きく制御性が増大
する。この構造は平面状電極に対してもあてはまる。こ
のタイプの電極は光り書き込み型のディスプレイに用い
られる。この場合隔壁部材のピッチは押圧、ズリ等の外
力に対する抵抗性、接着力、必要な層の変形量、液晶浸
透の具合等から決める。概ね2mm以下が安全である。
さらに耐震耐衝撃性にすぐれており、駆動時に液晶の流
動が起こらないのは言うまでもないことである。
【0045】本発明は上記の構造の液晶パネル体におい
て、上下基板のラビング方向を従来の略平行設定から、
有限の角度で交差するクロスラビングまで拡張すること
にある。これが請求項1〜3の内容である。欠陥のない
カイラルスメクチック相は請求項5〜6に記載のもので
あるが、この根拠は略平行設定と同じであって従来技術
で述べたとうりである。
【0046】以下、課題である無欠陥C1、応答速度、
ユニフォーム配向について述べる。観察によればC1形
成時のC2への変化はSmA→C1の転移が起きた後の
僅かの温度範囲で、C1の折れ曲がり量が臨界の量にな
ると生じるようである。従ってC1の折れ曲がりを少な
くして、転移可能な温度領域を通過させてしまうとC2
への変化は生じない。逆にこの温度域で変形量を大きく
することも考えられるが、実際問題としてその途上でC
2に変化することを排除できない。変形量を少なくする
ことが有効であることは印加する温度勾配の大きさを弱
める、方向を変える、空間の断面積を変化させるなどを
するとC2発生量が減少することから示唆された。また
適切な空間の長さ、例えば15cmであるとC1で変化
が停止するが、長さを20cm以上にするとC2への変
化が終端部に生じるような液晶(メルク(株)製:「Z
LI3447」)からも示唆された。上記の手段ではC
1の製造性だけが問題であるが、本発明のクロスラビン
グでは上記の他の課題も同時に解決が可能となる。
【0047】ストライプ状電極では隔壁部材8の延びる
方向は一方の電極5と平行である。この場合のクロスラ
ビングの具体的な仕方は以下のようである。目側から見
て手前の基板のラビングの進む方向と隔壁部材となす角
をβ1 (時計回りを正)、向こう側をβ2 とすると、区
別できる交差のさせ方は、向こう側を基準として手前側
を時計回りにするか(R)反時計回りとするか(L)で
2つある(図10)。上下の配向性が同じと考えられる
場合はβ1 =β2 であって以下この場合を述べる。
【0048】クロスラビングの時の層法線方向がセルギ
ャップ方向でどのように変化するか確実なことは言えな
いが、目で見る限り隔壁部材の延びる方向と略平行であ
った。一般的に言って上基板近傍の層法線方向は上のラ
ビング方向で決まり、下側の基板でも同様である。
【0049】こうであると上下で決まる方向を内挿する
ように層法線方向が連続的に回転する可能性がある。実
際はスメクチック層の剛性のためにセルギャップの中央
部はほとんど回転せず、追随するのは基板から僅かの距
離ξだけのようである。このため層法線方向が隔壁部材
と平行であるように見える。この様子を模式的に示した
のが図11である。これはセル中心部の層法線方向から
層法線の向きを示したものである。矢印→が交差角の向
きとその大きさを示しており、縦方向がセルギャップ方
向である。図中、ξが基板近傍のラビングに支配される
遷移領域である。
【0050】交差角を大きくすると(c)→(b)→
(a)のように変形する場合とそうでない場合がある。
ラビング方向と層法線方向がズレていると、交差させる
ことによって(c)のように層構造が完全になる場合も
ある。この状態を経て再び変形する。従って、交差角の
増大につれて配向膜近傍の遷移領域の形状がどう変化す
るかは液晶−配向膜に依存する。
【0051】このため、こうした状況下で液晶分子の状
態(ユニフォーム状態かツイスツ状態か)と応答速度が
どう変化するかは微妙な問題であって規則性については
何とも言えず、個別に調べるほかはなかった。
【0052】しかしながら層法線が隔壁部材にほぼ平行
である限り、交差角が40度程度までC2とC1/C2
の無欠陥配向が得られた。従来の手段では通常このよう
に広い交差角では無欠陥状態は得られないので効果的で
ある。温度勾配によって適切に層法線方向と折れ曲がり
が誘導されるためである。加えてC1においても無欠陥
配向が得られる交差角が存在した。ユニフォーム配向に
ついては、C1、C2とも交差角を増すとユニフォーム
性が増して2状態間のコントラストが増大するが、30
度を越すとツイスト状態になった。C1ではユニフォー
ム状態とツイスト状態が欠陥無しに共存する配向状態も
あった。
【0053】配向性からみて問題になるのは層法線の方
向と隔壁部材のなす角度であった。上下で配向性が異な
る場合、あるいは同じであっても交差角の中心部に隔壁
部材が位置しない場合は、有限の角度で交差する。この
角度が大きくなればなるほど、体積収縮にともなう液晶
の移動が円滑にいかず欠陥を発生する確率が増えた(写
真1参照)。概ね20度以内、より好ましくは15°以
内に納めるのがよかった。これは請求項4の意味すると
ころである。
【0054】上記のようにクロスラビングを行うと同じ
印加パルスに対して応答速度が微妙に変化する場合があ
る。この変化は液晶により異なっており、交差角に対し
て特別な相関は見いだされなかった。一般的に言って交
差角を増すとユニフォーム配向性が増す場合には応答速
度が遅くなる傾向が見られた。
【0055】個別の電極上に層の折れ曲がり方向とその
法線方向がほぼ同じであって、応答速度に差があるドメ
インを形成すると、デジタル的な階調発現ができる。例
えば図7(b)の例ではAドメインがC1でBがC2の
凝集状態である。こうした対電場特性が異なるドメイン
としては図2から選択することができる。対電場特性が
違えば配向膜の製造条件を変えてもよい。あるいはドメ
イン毎に塗布する配向膜材料を変えてもよい。液晶の応
答速度は配向膜材料によっても微妙に変化する。配向膜
によりプレチルト角や相互作用の強さが変化するからで
ある。本発明のようにクロスラビングも一つの手段であ
る。
【0056】一軸配向処理の設定の仕方は一軸配向処理
の方向と角度の組み合わせと、それが施される配向膜材
料とその多様な性質の両方でありそれらの組み合わせで
もよい。個々のドメインは一つづつである必要はなく、
ぞれをさら分割して画素上に配置してもよい。
【0057】電極間にある複数のドメイン境界には欠陥
があってはならないが、このためには層の折れ曲がり方
向と層法線方向がほぼ同じであればよい。請求項1〜3
に記載の液晶パネル体を前提として、そのための具体的
な方法が請求項9で提供される。
【0058】図7を用いて説明する。これは画素上の液
晶を均一又は不均一に冷却するのではなく、例えば図面
の下側から上側に向かって想定される層法線方向に沿っ
て順次強制的に冷却するものである。液晶パネル体を一
方の端部から他方に向かって隔壁部材の延びる方向にほ
ぼ平行に順次冷却することで、この電極上に並んだ全て
の画素電極に温度勾配を与えながら冷却できる。
【0059】こうすることによって先述した理由により
層の折れ曲がり方向を揃えられる(層法線方向も略一致
する)。温度勾配は必ずしも想定層法線と平行である必
要がなく法線方向に成分があればよい。しかし温度勾配
が最大の方向とクロスラビングで決まる好ましい方向が
大きく乖離するのは好ましくない。層法線方向が隔壁部
材の方向からはずれて、その結果収縮にともなう液晶の
移動が隔壁部材に妨害されるなどなどにより配向異常が
生じやすくなる。
【0060】温度勾配が有利な別の理由は液体相から析
出するSmAドメインがパネル内各所でランダムに発生
して会合することを防止することにある。ドメインは温
度勾配方向と垂直にしかないのでこの温度勾配方向では
全く会合がない。横方向は隔壁部材により会合回数は最
低限に抑えられている。いくらドメインのなじみがよい
としても会合は少ないのにこしたことはない。本発明が
構造的方法的に最小である。
【0061】この液晶パネル体に温度勾配を与えて冷却
するには適当な高温雰囲気から低温雰囲気に液晶パネル
体を移動させる。恒温雰囲気としてはオーブン中のエア
ー等の気体、ホットステージ、ペルチャー素子等の固
体、水、シリコンオイル、油等の液体などから選択す
る。温度の安定性と生産性の点で好ましい方法は、高温
状態の液体中、特に水中から液晶パネル体を引き上げる
か、トンネル炉中を適切な速度で通過させることであ
る。
【0062】高低恒温部間には十分な断熱部材を設けて
パネル体のガラス基板の温度勾配が一定で揺らがないよ
うにする必要がある。また高温状態は液晶の液体相を呈
する温度が望ましいが、温度域が広ければ高温のSmA
相でもよい。温度勾配の移動速度はC1形成では好まし
くは2mm/分程度以下であったが、C2、C1/C2
の形成では5cm/分以下であればよかった。
【0063】
【実施例】以下、図面8などにより実施例に基づき説明
する。
【0064】<実施例1>先ず表面に線幅270μm、
スペース30μm(トータルピッチ300μm)で厚み
2000Åのストライプ状透明電極を長手方向に平行に
有するA4サイズのガラス基板3に配向膜として樹脂濃
度2%のポリイミド溶液「HL1110」(日立化成
(株)製)を1000回転で20秒間スピンコートし
た。焼成を180℃で1時間行って1000Åのポリイ
ミド膜を形成し、その後電極方向から角度−β゜の方向
にラビング処理を行った。この膜上に、ポジ型フォトレ
ジスト「MP−S1400」(シプレイ・ファーイース
ト(株)製)を1.7μmの厚みにスピンコートし90
℃で乾燥した。次いで図9のストライプパターンを有す
るマスクを用いて露光し、所定のアルカリ現像液で現像
を行い150℃で60分ポストベークをした。このマス
クにより幅が30μmで長さが表示部より長く18cm
の隔壁部材群が電極間に満遍なく形成された。液晶封入
口を除く周辺部には幅2mmの枠状の部材21が形成さ
れ接着層とシール部を兼ねている。
【0065】もう一方の基板2にも短手方向に同じ電極
群が形成されてある。これにも上記の工程によりポリイ
ミド膜を形成し、ラビング処理を行った。ラビング方向
は電極と直角方向から角度β゜方向に行った。その後、
ポジ型フォトレジスト「MP−S1400」(シプレイ
・ファーイースト(株)製)を1.7μmの厚みにスピ
ンコートし90℃で乾燥し、全面に露光したのち現像液
を用いて剥膜してポリイミド膜を再び露出しさらに15
0℃で60分ポストベークを行った。これは一対の配向
膜を同じ性質にするためである。これらの基板をストラ
イプ状透明電極が直交するように且つ上下のラビングの
交差角が2β゜で中心線上に隔壁部材があるように、位
置あわせをしてそのまま重ね合わせた。その後、基板内
を減圧して上下基板を密着させた。そのまま状態での1
70度まで加熱し1時間保持して冷却すると表示部も完
全に接着したセルギャップ1.5μm液晶パネル枠1を
得た。
【0066】交差角は図10で示すとおりである。下側
の基板3のラビングの進む方向を−β2 、上側の向きを
β1 とする平行ラビングである。以下|β1 |=|β2
|=βとする。向こう側の基板3を基準として上側が反
時計回りであればLで示し、時計回りであればRで示
す。RとLのそれぞれについてβ=0°、5°、10
°、15°、20°の液晶パネル枠1を作成してC1と
C2の無欠陥性、消光位の有無、応答速度を調べた。
【0067】この液晶パネル枠に強誘電性液晶「CS1
014」((株)チッソ製)を液体状態で浸透させた。
これは液体相→81℃→N* →69℃→SmA→55℃
→C1→53℃→C2の相転移を経るものである。また
評価用セルを使ったX線回折によれば、層の折れ曲がり
角δは約19度(室温)でシェブロン構造をとってい
た。この液晶はβ≒0の平行ラビングでは無欠陥のC1
配向は形成できなかったものである。
【0068】温度勾配を与えて冷却するためにパネル体
を液晶の液体相温度である85℃の水槽中に浸積した
後、パネルの一端から隔壁部材とほぼ平行に他端に向か
って、約2mm/分の速度で引き上げた。先ず、図6
(a)のようにラビングが進んだ方向と同じ向きに引き
上げた。全ての交差角で無欠陥のC2配向が得られ、層
の法線方向は隔壁部材と3度以内でほぼ平行であった。
C1の無欠陥性を見るために図6(b)のようにパネル
の上下を逆にして引き上げた。結果を表1に示した。
【0069】
【表1】
【0070】表中○は欠陥のないC1が形成され、×は
C2の発生が見られた場合である。RとLでC1の無欠
陥性に大きな差はなかったが、視察ではRの方が配向性
が滑らかで優れているように見えた。写真2はRでβ=
10゜の場合を示す。欠陥がなく、強いコントラストの
明暗2状態が見られる。またLでは欠陥かどうか不明で
あるが、点々とした彗星のように見えるものが存在した
が(写真1中の点々した輝点)、Rでは見られなかっ
た。以下Rの場合を述べる。
【0071】次に安定して得られる配向状態がユニフォ
ームかツイストかを調べた。ユニフォーム配向はクロス
ニコル下で着色せず消光位がはっきりしたもので、ツイ
スト配向は完全な消光位が見られない場合である。表中
Uはユニフォーム状態、Tはツイスト状態を示す。但し
セルギャップが薄いのでツイスト状態でも着色は少なく
十分なコントラストがあった。結果を表2に示す。
【0072】
【表2】
【0073】TUはユニフォーム状態とツイスト状態が
欠陥無しに共存する配向状態であって、交差角2βが2
0度以上で発現する確率が増した。UとTの割合はパネ
ル内部で一様でなく、一概には規定できなかった。配向
膜材料などを適正に選択すればUまたはTの一方に固定
できる可能性を示唆するものである。このような共存状
態でも適切な駆動方法を用いれば使用することが可能で
実用上全く問題はない。ジグザグ欠陥のある方が問題で
ある。C2状態では同じユニフォーム状態でも明暗のコ
ントラストは異なっており、連続的に増大し10度が一
番良好であった。この液晶では交差角を30゜以上にす
ることはコントラストから見て意味がない。ツイスト配
向しない範囲で応答速度的に好ましい角度を選択する。
【0074】次に15Vppを印加した場合のC2配向
の応答速度を表3に示す。応答速度は透過率が最低値か
ら飽和値の90%までの変化に要した時間である。測定
温度は30℃である。
【0075】
【表3】
【0076】応答速度は交差角に対して単調に増加して
いた。そこでマトリックス電極上に一軸配向処理の設定
のあり方が異なる二つのドメインを形成した。図7に示
すように1つの画素電極を面積比がほぼ2:1なるよう
な2つのドメインA503とB604に分割し、前者で
は交差角0°の平行ラビング、後者では交差角が20度
の平行ラビングとした。図中実線は上基板、破線は下基
板のラビング方向である。狭い領域毎にラビング方向を
変えることはマスクラビングを行って比較的容易に実行
できるので詳細は省略する。
【0077】こうした一軸配向設定を行った液晶パネル
枠を上記の手順で作成した後、液晶CS1014を浸透
させ温度勾配を与えながら冷却した。得られたC2配向
状態は個々の電極上で欠陥無しに接合していた。コント
ラストにはわずかの差が見いだされ、クロスラビングし
たC2の方がコントラストが高かった。
【0078】一つの画素電極に図12で示すパルス波形
列を印加して応答を調べた。図中のパルス201、20
2は書き込み用のパルスであって、高周波パルス部分2
03は非選択時に印加されるバイアス部分を模したもの
である。先ず書き込みパルスの波高値V(w)を15V
PP、パルス幅τ(w)を280μs、バイアス部の波高
値V(b)を15VPP、パルス幅τ(b)を40μsと
するとドメインAだけがスイッチングを生じた。
【0079】次に書き込みパルスの幅τ(w)だけ32
0μsに増すとA,Bドメインのスイッチングが生じ
た。このことは駆動波形を工夫すると階調表示が可能で
あることを示唆するものである。また何れの場合でもバ
イアス電圧V(b)を小さくするとコントラストは増大
した。これはバイアス信号によるメモリー状態の揺らぎ
が減少するからである。スイッチングに必要なパルス幅
は応答速度で決まるパルス幅より狭かった。
【0080】<比較例1>実施例1と同じ構成の液晶パ
ネル体を作成したが、基板2のポリイミド上でのレジス
トコート、剥膜処理及びポストベークを行わなかった。
こうすると上下のポリイミドの配向力に差が生じる可能
性がある。実際に交差角を実施例1と同じ値として液晶
パネル枠を作成して、同じCS1014液晶を封入して
液晶パネル体を得た。
【0081】同じ手順で冷却して層法線方向を観察した
ところ、基板3の側の、すなわちレジスト処理を行った
側のラビング方向とほぼ平行であった。これはパネル体
の引き上げ方向を交差角度内で変化させても変わらなか
った。これはレジスト処理により配向規制力が強められ
ることを示していた。こういう状況では層法線方向の収
縮が隔壁部材により妨げられ、液晶の移動が円滑に行わ
れないために、ジグザグ欠陥等が発生しやすくなった
(写真1参照)。
【0082】写真1は交差角が40度で層法線方向が隔
壁から約20度傾いている場合である。写真1のように
交差角度が増すと上下のラビングの痕跡がはっきりと見
えるようになる。当然欠陥が発生する確率は角度に比例
して増大し、特に何度から問題と言うことは意味がない
が、強いて言えば20度以下より好ましくは15度以下
にするのが望ましい。冷却を開始する温度をカイラルネ
マチック相あるいは液体相から徐冷したSmAとしても
上記の結果は同じであった。
【0083】<比較例2>実施例1と同じ液晶パネル体
を作製し、90℃のオーブン中に静置した後、0.5゜
Cの速度でゆっくりと冷却した。配向状態を観察したと
ころ全ての交差角において隔壁部材を横断する2〜3本
のジグザグ欠陥が存在した。C2の内部には擬線状の欠
陥が見られた。配向の質は交差角が40度のものが最低
であった。この状況は各液晶パネル体を水中に浸したた
まま冷却しても全く改善されなかった。
【0084】
【発明の効果】以上に示したように、本発明の液晶パネ
ル体によれば、一対の基板がストライプ状の隔壁部材に
より強固に接着しているので、耐震耐衝撃性に優れた液
晶パネル体を提供し、且つ液晶浸透時の蛇行と空隙発生
を防止する。これは液晶パネル体の製造時のハンドリン
グ性を増し製造歩留まりを高める。さらに隔壁部材が使
用時の液晶の流動を防止し、大型化が可能となるのでデ
ィスプレイとしての利用と適用範囲を広げることが可能
となった。
【0085】さらに本来無欠陥のC2、C1/C2ハイ
ブリッド状態に加えて無欠陥のC1状態が得られる。こ
れらの全ての状態に関してユニフォーム状態が得られる
ので、デイスプレイとしての高コントラスト化が可能と
なった。
【0086】さらにカイラルスメクチックC相の層の折
れ曲がり方向がスメクチックA相から最初に析出するカ
イラルスメクチックC相の唯一つの層の折れ曲がり方向
と同じであると、層の折れ曲がり方向を変えるような変
化が生じず、無欠陥のカイラルスメクチック層の提供が
可能となった。
【0087】さらに層内の液晶分子の凝集状態が互いに
異なる複数の配向ドメインを有する液晶パネル体により
応答速度に幅を持たせることによりデジタル的な階調表
示が可能となった。
【0088】
【図面の簡単な説明】
【図1】カイラルスメクチック相の層構造の模式的な説
明図である。 (a)シェブロン構造を示した図である。 (b)ブックシェルフ構造を示した図である。 (c)傾いたブックシェルフ構造を示した図である。 (d)液晶分子のとれる層内の2つの位置を示した図で
ある。
【図2】シェブロン構造内の液晶分子の配置を示した図
である。 (a)(b)平行ラビング (c)(d)反平行ラビング (e)(f)片側ラビング
【図3】斜法蒸着で反平行な一軸制御の設定で得られる
傾いたブックシェルフ構造内の液晶分子の配置を示した
図である。
【図4】C1とC2が層の折れ曲がり方向が逆のまま共
存する様子を説明する図である。
【図5】C1凝集状態がC2の凝集状態と見なされる様
子を説明する図である。
【図6】温度勾配下で冷却される場合に層が変形する様
子を説明する図である。 (a) ラビングが進む方向から冷却する場合 (b) ラビングが始まった方向から冷却する場合
【図7】一つの画素電極上に対電圧特性の異なるドメイ
ンがあるありかたを説明する図である。 (a)1画素電極の2つのドメインの正面図である。 (b)1画素中の2つのドメインで凝集状態が異なるこ
とを説明する図である。
【図8】本発明による液晶パネル体の構造を示す斜視断
面図である。
【図9】本発明の実施例で用いたストライプ状隔壁部材
を形成するためのマスクパターの説明図である。
【図10】上下一対の配向膜のラビング方向の相対的な
関係を説明する図である。 (a)時計回り (b)反時計回り
【図11】層法線方向がセルギャップ方向でどのように
変化するかを説明する図である。
【図12】パルス変調により画素を駆動するための波形
の一例を説明する図である。
【図13】本発明の一実施例における液晶の配向状態を
示す写真である。
【図14】本発明の一実施例における液晶の配向状態を
示す写真(C1でβ=10(交差角20°の場合)であ
る。
【符号の説明】
2、3…ガラス基板 8…隔壁部材 4、5…透明電極 6…絶縁膜 7、9…配向膜 101…層中心部の折れ曲がり 102…層法線方向 201、202…書き込みパルス 203…非選択(バイアス)信号列 302…液晶分子 403…ジグザグ欠陥 404…擬線状欠陥 404…1ドット 503、504…1ドメイン 701…表示用画素電極 702、706…冷却が最初に始まる電極の場所 703、707…冷却が終わる電極の場所 704…ラビング方向 800…収縮方向(層の変形する方向) 801…連続的に移行可能な道を示す
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年4月27日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】カイラルスメクチック相の層構造の模式的な説
明図である。 (a)シェブロン構造を示した図である。 (b)ブックシェルフ構造を示した図である。 (c)傾いたブックシェルフ構造を示した図である。 (d)液晶分子のとれる層内の2つの位置を示した図で
ある。
【図2】シェブロン構造内の液晶分子の配置を示した図
である。 (a)(b)平行ラビング (c)(d)反平行ラビング (e)(f)片側ラビング
【図3】斜方蒸着で反平行な一軸制御の設定で得られる
傾いたブックシェルフ構造内の液晶分子の配置を示した
図である。
【図4】C1とC2が層の折れ曲がり方向が逆のまま共
存する様子を説明する図である。
【図5】C1凝集状態がC2凝集状態と見なされる様子
を説明する図である。
【図6】温度勾配下で冷却される場合に層が変形する様
子を説明する図である。 (a)ラビングが進方向から冷却する場合 (b)ラビングが始まった方向から冷却する場合
【図7】一つの画素電極上に対電圧特性の異なるドメイ
ンがあるありかたを説明する図である。 (a)1画素電極の2つのドメインの正面図である。 (b)1画素中の2つのドメインで凝集状態が異なるこ
とを説明する図である。
【図8】本発明による液晶パネル体の構造を示す斜視断
面図である。
【図9】本発明の実施例で用いたストライプ状隔壁部材
を形成するためのマスクパターンの説明図である。
【図10】上下一対の配向膜のラビング方法の相対的な
関係を説明する図である。 (a)時計回り (b)反時計回り
【図11】層法線方向がセルギャップ方向でどのように
変化するかを説明する図である。
【図12】パルス変調により画素を駆動するための波形
の一例を説明する図である。
【図13】本発明の一実施例における液晶の配向状態を
示す顕微鏡写真である。
【図14】本発明の一実施例における液晶の配向状態を
示す顕微鏡写真(C1でβ=10(交差角20°の場
合))である。
【符号の説明】 2、3…ガラス基板 8…隔壁部材 4、5…透明電極 6…絶縁膜 7、9…配向膜 101…層中心部の折れ曲がり 102…層法線方向 201、202…書き込みパルス 203…非選択(バイアス)信号列 302…液晶分子 403…ジグザグ欠陥 404…擬線状欠陥 404…1ドット 503、504…1ドメイン 701…表示用画素電極 702、706…冷却が最初に始まる電極の場所 703、707…冷却が終わる電極の場所 704…ラピング方向 800…収縮方向(層の変形する方向) 801…連続的に移行可能な道を示す

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも一方が透明な一対の基板と、そ
    れらの基板上に形成されていて互いに対向する一対の電
    極と、両基板間に設けられていて所定の間隔を置いて互
    いに平行に並べられた複数の直線状の隔壁部材と、上記
    一対の電極の上部に形成されていて一軸配向処理が施さ
    れた配向膜とを有しており、上記一対の一軸配向処理の
    方向は40度以下の所定の角度で交差しており、各隔壁
    部材の延びる方向は、上記一軸配向処理の交差した角度
    の内側にあり、各隔壁部材は、対向する基板に接着され
    ることにより、液晶通過用の開口端部以外の部分が液晶
    に対して密閉された状態の直線状空間を形成し、さらに
    それら各直線状空間の内部にカイラルスメクチックC相
    を呈する強誘電性液晶が封入されることを特徴とする液
    晶パネル体。
  2. 【請求項2】請求項1記載の液晶パネル体において、上
    記一対の電極は、それぞれが複数の電極を所定ピッチで
    並べることによって形成された互いに対向する一対のス
    トライプ状電極によって構成され、その一対のストライ
    プ状電極は互いに直交し、上記の各隔壁部材は、一方の
    基板上のストライプ状電極の間に該電極と同じピッチ又
    は複数ピッチ間隔で直線状に伸びることを特徴とする液
    晶パネル体。
  3. 【請求項3】請求項1記載の液晶パネル体において、上
    記一対の電極は平面状電極であることを特徴とする液晶
    パネル体。
  4. 【請求項4】請求項1〜4のうちいずれか1つに記載の
    液晶パネル体において、上記各隔壁部材の延びる方向と
    上記カイラルスメクチックC相の層法線方向の交差角は
    15度以下であることを特徴とする液晶パネル体。
  5. 【請求項5】請求項1〜5のうちいずれか1つに記載の
    液晶パネル体において、カイラルスメクチックC相の層
    の折れ曲がり方向がスメクチックA相から最初に析出す
    るカイラルスメクチックC相の唯一つの層の折れ曲がり
    方向と同じであることを特徴とする液晶パネル体。
  6. 【請求項6】請求項1〜5のうちいずれか1つに記載の
    液晶パネル体において、カイラルスメクチックC相の層
    の傾き方向はスメクチックA相から最初に析出するカイ
    ラルスメクチックC相の唯一つの層の傾き方向と同じで
    あることを特徴とする液晶パネル体。
  7. 【請求項7】請求項1〜6のうちいずれか1つに記載の
    液晶パネル体において、上記一対のストライプ状電極に
    よって形成される交差電極間には、上記カイラルスメク
    チックC相の層の折れ曲がり方向が同じかほぼ同じであ
    って且つ層内の液晶分子の凝集状態が互いに異なる複数
    の配向ドメインがあることを特徴とする液晶パネル体。
  8. 【請求項8】請求項1〜6のうちいずれか1つに記載の
    液晶パネル体において、上記一対のストライプ状電極に
    よって形成される交差電極間には、上記カイラルスメク
    チックC相の層の傾き方向が同じかほぼ同じであって且
    つ層内の液晶分子の凝集状態が互いに異なる複数の配向
    ドメインがあることを特徴とする液晶パネル体。
  9. 【請求項9】請求項1〜8のうちいずれか一つに記載の
    液晶パネル体の製造方法において、上記隔壁部材の方向
    に関して温度勾配が形成保持された状態で、直線状空間
    の一方の端部から他方の端部へ向かって、強誘電性液晶
    が液体相あるいはカイラルネマチック相あるいはスメク
    チックA相を呈する温度からカイラルスケクチックC相
    を呈する温度まで順次冷却することを特徴とする液晶パ
    ネル体の製造方法。
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