JPH08209392A - 高速連続溶接性に優れたクロムめっき鋼板 - Google Patents
高速連続溶接性に優れたクロムめっき鋼板Info
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- JPH08209392A JPH08209392A JP1457095A JP1457095A JPH08209392A JP H08209392 A JPH08209392 A JP H08209392A JP 1457095 A JP1457095 A JP 1457095A JP 1457095 A JP1457095 A JP 1457095A JP H08209392 A JPH08209392 A JP H08209392A
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Abstract
(57)【要約】
【目 的】クロムめっき鋼板の溶接電流下限値のロット
によるばらつきを小さくし、板/板界面発熱速度を高
め、缶胴溶接設備における溶接電流管理を容易にするこ
とができる、高速連続溶接性に優れたクロムめっき鋼板
の提供。 【構 成】鋼板表面に25〜200mg/m2の金属クロム層とさ
らにその上に金属クロム換算で2.5 〜20mg/m2 のクロム
水和酸化物層を持ち、該金属クロム層は下地Fe層を連
続的に被覆しつつその一部が突起しており、突起部の基
底部直径30〜50nm、基底部からの高さが10nm以上、突起
部の存在密度が1 ×1012〜1 ×1015個/m2であり、めっ
き下地としての鋼板の最表面から深さ20μmまでの領域
中の平均重量百分率としてC0.001 〜0.18%、Mn0.10〜
0.6 %を含有する。
によるばらつきを小さくし、板/板界面発熱速度を高
め、缶胴溶接設備における溶接電流管理を容易にするこ
とができる、高速連続溶接性に優れたクロムめっき鋼板
の提供。 【構 成】鋼板表面に25〜200mg/m2の金属クロム層とさ
らにその上に金属クロム換算で2.5 〜20mg/m2 のクロム
水和酸化物層を持ち、該金属クロム層は下地Fe層を連
続的に被覆しつつその一部が突起しており、突起部の基
底部直径30〜50nm、基底部からの高さが10nm以上、突起
部の存在密度が1 ×1012〜1 ×1015個/m2であり、めっ
き下地としての鋼板の最表面から深さ20μmまでの領域
中の平均重量百分率としてC0.001 〜0.18%、Mn0.10〜
0.6 %を含有する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、缶胴溶接用マッシュシ
ーム溶接機等を用いて、長方形ブランクを円筒に形成し
た後、対向する2辺を重ねあわせてシーム溶接し、円筒
缶胴を成形する場合に、缶胴材料として用いられるクロ
ムめっき鋼板に係わり、特に高速連続溶接性に優れたク
ロムめっき鋼板に関するものである。
ーム溶接機等を用いて、長方形ブランクを円筒に形成し
た後、対向する2辺を重ねあわせてシーム溶接し、円筒
缶胴を成形する場合に、缶胴材料として用いられるクロ
ムめっき鋼板に係わり、特に高速連続溶接性に優れたク
ロムめっき鋼板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、缶用材料の溶接性は、健全な溶
接部を得るのに必要な溶接電流値の管理範囲、即ち溶接
部過熱による溶融金属飛散いわゆるスプラッシュが発生
しない最大限界電流値と、十分な溶接強度が得られる最
低限界電流値の差で定義される溶接可能電流範囲(以下
ACRという)により表される。そして、材料の溶接抵
抗値の分散に伴う溶接条件の許容範囲をこのACRに収
める必要がある。
接部を得るのに必要な溶接電流値の管理範囲、即ち溶接
部過熱による溶融金属飛散いわゆるスプラッシュが発生
しない最大限界電流値と、十分な溶接強度が得られる最
低限界電流値の差で定義される溶接可能電流範囲(以下
ACRという)により表される。そして、材料の溶接抵
抗値の分散に伴う溶接条件の許容範囲をこのACRに収
める必要がある。
【0003】従来、このACRについては、特公昭63−
26200 号公報において、クロムめっき層に粒状突起を形
成させ、かつクロム水和酸化物付着量を一定範囲に規制
することにより、連続溶接性を向上させる方法が公知で
ある。この技術は、通常のTFS(Tin Free
Steel)において、最表面に存在する絶縁性のクロ
ム水和酸化物層により、静的接触抵抗が高くなるがため
に溶接部が溶接電流によって過熱されて発生するスプラ
ッシュを抑制する効果を利用したものである。言い換え
れば、上記公知技術はACR拡大のために溶接上限電流
を増加させるものであった。
26200 号公報において、クロムめっき層に粒状突起を形
成させ、かつクロム水和酸化物付着量を一定範囲に規制
することにより、連続溶接性を向上させる方法が公知で
ある。この技術は、通常のTFS(Tin Free
Steel)において、最表面に存在する絶縁性のクロ
ム水和酸化物層により、静的接触抵抗が高くなるがため
に溶接部が溶接電流によって過熱されて発生するスプラ
ッシュを抑制する効果を利用したものである。言い換え
れば、上記公知技術はACR拡大のために溶接上限電流
を増加させるものであった。
【0004】しかし、実際には同一付着量、同一微細構
造のクロムめっき鋼板でも、製造ロットにより溶接電流
下限値がばらつくことを本発明者らは見い出した。すな
わち、この溶接抵抗の変化は、電極加圧力、オーバーラ
ップ幅、塗装焼付け温度および焼付け時間などの溶接条
件を揃え、かつ板厚、粗度、金属クロムおよびクロム水
和酸化物付着量、クロムめっき層微細構造等の材料条件
を揃えてもなお存在する。
造のクロムめっき鋼板でも、製造ロットにより溶接電流
下限値がばらつくことを本発明者らは見い出した。すな
わち、この溶接抵抗の変化は、電極加圧力、オーバーラ
ップ幅、塗装焼付け温度および焼付け時間などの溶接条
件を揃え、かつ板厚、粗度、金属クロムおよびクロム水
和酸化物付着量、クロムめっき層微細構造等の材料条件
を揃えてもなお存在する。
【0005】従来は、この溶接抵抗のばらつきは不可避
的なものとして、溶接工程におけるロット変更毎の溶接
条件調査を行って、溶接電流や溶接速度を加減すること
により、健全な缶体を製造するよう対処していたが、こ
の調整に要する設備の停止は生産性を大きく阻害するも
のであった。
的なものとして、溶接工程におけるロット変更毎の溶接
条件調査を行って、溶接電流や溶接速度を加減すること
により、健全な缶体を製造するよう対処していたが、こ
の調整に要する設備の停止は生産性を大きく阻害するも
のであった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述の、従
来は不可避的なものとされていた、クロムめっき鋼板の
溶接電流下限値のロットによるばらつきを小さくし、板
/板界面発熱速度を高め、缶胴溶接設備における溶接電
流管理を容易にすることができる、高速連続溶接性に優
れたクロムめっき鋼板を提供することを目的とするもの
である。
来は不可避的なものとされていた、クロムめっき鋼板の
溶接電流下限値のロットによるばらつきを小さくし、板
/板界面発熱速度を高め、缶胴溶接設備における溶接電
流管理を容易にすることができる、高速連続溶接性に優
れたクロムめっき鋼板を提供することを目的とするもの
である。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、缶胴溶接機を
用いて、重ね合わせシーム溶接により溶接缶胴に形成さ
れるクロムめっき鋼板であって、鋼板表面に25〜200mg/
m2の金属クロム層とさらにその上に金属クロム換算で2.
5 〜200mg/m2のクロム水和酸化物層を持ち、該金属クロ
ム層は下地Fe層を連続的に被覆しつつその一部が突起
しており、突起部の基底部直径30〜50nm、基底部からの
高さが10nm以上、突起部の存在密度が1×1012〜1 ×10
15個/m2であり、めっき下地としての鋼板の最表面から
深さ20μmまでの領域中の平均重量百分率としてC0.00
1 〜0.18%、Mn0.10〜0.6 %を含有することを特徴とす
る高速連続溶接性に優れたクロムめっき鋼板である。
用いて、重ね合わせシーム溶接により溶接缶胴に形成さ
れるクロムめっき鋼板であって、鋼板表面に25〜200mg/
m2の金属クロム層とさらにその上に金属クロム換算で2.
5 〜200mg/m2のクロム水和酸化物層を持ち、該金属クロ
ム層は下地Fe層を連続的に被覆しつつその一部が突起
しており、突起部の基底部直径30〜50nm、基底部からの
高さが10nm以上、突起部の存在密度が1×1012〜1 ×10
15個/m2であり、めっき下地としての鋼板の最表面から
深さ20μmまでの領域中の平均重量百分率としてC0.00
1 〜0.18%、Mn0.10〜0.6 %を含有することを特徴とす
る高速連続溶接性に優れたクロムめっき鋼板である。
【0008】
【作用】本発明者らは、クロムめっき鋼板の溶接時の板
/板界面溶接抵抗の挙動を研究することによって、鋼板
組成と界面溶接抵抗の増加速度の関係を発見し、本発明
をなすに至った。図1に、板厚0.32mm、鋼種、粗度同一
で、金属クロム付着量100mg/m2、また該金属クロム層が
下地Fe層を連続的に被覆しつつその一部が突起してお
り、突起部の平均基底部直径200nm 、基底部からの平均
高さが100nm 以上、突起部の存在密度が2 ×1013個/
m2、クロム水和酸化物付着量が金属クロム換算でそれぞ
れ2.5 mg/m2 、10mg/m2 、25 mg/
m2 、原板最表層から20μm の範囲の平均組成でC:0.
02%、Mn:0.3 %のめっき鋼板について、動的接触抵
抗測定法により測定した材料の板/板界面の溶接抵抗
(動的接触抵抗)を示す。なお、動的接触抵抗の測定
は、本発明者らが日本鉄鋼協会発行の「材料とプロセ
ス」第4巻第1616頁に発表した方法に従った。具体的に
は、この測定法は、コンデンサから放電される電流をパ
ワートランジスタで制御して、極短時間の直流パルスを
得、それを溶接電流としてマイクロスポット溶接する際
の溶接抵抗の時間的変化を測定するものであり、マッシ
ュシーム溶接における単一溶接ナゲットの形成時間と同
等な時間範囲での被溶接材料の界面抵抗の変化を直接測
定でき、溶接初期抵抗と溶接完了時の抵抗の値の比較に
より材料の連続溶接性を判定できる。溶接完了抵抗より
も初期抵抗が低いほど、また溶接進行に伴う抵抗増加勾
配が緩やかなほど連続溶接性は良好である。
/板界面溶接抵抗の挙動を研究することによって、鋼板
組成と界面溶接抵抗の増加速度の関係を発見し、本発明
をなすに至った。図1に、板厚0.32mm、鋼種、粗度同一
で、金属クロム付着量100mg/m2、また該金属クロム層が
下地Fe層を連続的に被覆しつつその一部が突起してお
り、突起部の平均基底部直径200nm 、基底部からの平均
高さが100nm 以上、突起部の存在密度が2 ×1013個/
m2、クロム水和酸化物付着量が金属クロム換算でそれぞ
れ2.5 mg/m2 、10mg/m2 、25 mg/
m2 、原板最表層から20μm の範囲の平均組成でC:0.
02%、Mn:0.3 %のめっき鋼板について、動的接触抵
抗測定法により測定した材料の板/板界面の溶接抵抗
(動的接触抵抗)を示す。なお、動的接触抵抗の測定
は、本発明者らが日本鉄鋼協会発行の「材料とプロセ
ス」第4巻第1616頁に発表した方法に従った。具体的に
は、この測定法は、コンデンサから放電される電流をパ
ワートランジスタで制御して、極短時間の直流パルスを
得、それを溶接電流としてマイクロスポット溶接する際
の溶接抵抗の時間的変化を測定するものであり、マッシ
ュシーム溶接における単一溶接ナゲットの形成時間と同
等な時間範囲での被溶接材料の界面抵抗の変化を直接測
定でき、溶接初期抵抗と溶接完了時の抵抗の値の比較に
より材料の連続溶接性を判定できる。溶接完了抵抗より
も初期抵抗が低いほど、また溶接進行に伴う抵抗増加勾
配が緩やかなほど連続溶接性は良好である。
【0009】溶接初期抵抗を見ると、クロム水和酸化物
付着量が少ないほど小さくなっている。図1の溶接終点
付近の抵抗は、溶接の完了した高温の鉄のバルク抵抗で
あり、初期抵抗は低温の材料の界面接触抵抗を示すので
あるから、この図から、実際の溶接時のローラ電極直下
の材料の接合界面の溶接ナゲット形成部付近の電気抵抗
分布を考察すると、缶胴の溶接電流は交流波であるの
で、ナゲットは間欠的に形成されるが、図1で初期抵抗
が溶接完了時の抵抗に比べて低い材料ほど、先行する一
つ前の既製ナゲットに比べて、新しくローラに噛み込ま
れた未溶接界面の方が抵抗が低くなり、その部分に溶接
電流が流れ、新しいナゲットが順次形成されていくこと
が容易に推測できる。逆に図2の溶接初期抵抗が溶接完
了時の抵抗より高ければ、実際の溶接では、溶接電流は
最も抵抗の低い先行ナゲットに流れるために、先行ナゲ
ットは過熱によりブローホールを形成し、本来新規ナゲ
ットが形成されるべき部分はコールドスポットとして残
る。さらに次の溶接電流ピークではコールドスポットと
新規噛み込み部との抵抗配分によりその間の部分に溶接
ナゲットが形成されるが、その次のピークでは上記と同
様に溶接欠陥が生じ、健全な溶接を行うことは困難であ
る。
付着量が少ないほど小さくなっている。図1の溶接終点
付近の抵抗は、溶接の完了した高温の鉄のバルク抵抗で
あり、初期抵抗は低温の材料の界面接触抵抗を示すので
あるから、この図から、実際の溶接時のローラ電極直下
の材料の接合界面の溶接ナゲット形成部付近の電気抵抗
分布を考察すると、缶胴の溶接電流は交流波であるの
で、ナゲットは間欠的に形成されるが、図1で初期抵抗
が溶接完了時の抵抗に比べて低い材料ほど、先行する一
つ前の既製ナゲットに比べて、新しくローラに噛み込ま
れた未溶接界面の方が抵抗が低くなり、その部分に溶接
電流が流れ、新しいナゲットが順次形成されていくこと
が容易に推測できる。逆に図2の溶接初期抵抗が溶接完
了時の抵抗より高ければ、実際の溶接では、溶接電流は
最も抵抗の低い先行ナゲットに流れるために、先行ナゲ
ットは過熱によりブローホールを形成し、本来新規ナゲ
ットが形成されるべき部分はコールドスポットとして残
る。さらに次の溶接電流ピークではコールドスポットと
新規噛み込み部との抵抗配分によりその間の部分に溶接
ナゲットが形成されるが、その次のピークでは上記と同
様に溶接欠陥が生じ、健全な溶接を行うことは困難であ
る。
【0010】上述の理由により、本発明のクロム水和酸
化物量の上限は金属クロム換算で20mg/m2 に限定される
のであるが、これによりナゲットの連続溶接性は確保さ
れるが、ACRを決定する要因は、上記の抵抗分布のみ
ではない。ACRを広げるには、溶接電流の上限値を増
加させるか、下限値を引き下げるかの2つの方法があ
る。Snめっき鋼板などでは、Sn層が溶接途中で溶解した
時点で溶接電流経路断面積が増加し、溶接抵抗が減少す
ることで過熱を防止し、溶接上限電流を引き上げてい
る。これに対して、本発明者らは、溶接電流下限値を決
定する要因について鋭意研究を重ね、本発明をなすに至
った。
化物量の上限は金属クロム換算で20mg/m2 に限定される
のであるが、これによりナゲットの連続溶接性は確保さ
れるが、ACRを決定する要因は、上記の抵抗分布のみ
ではない。ACRを広げるには、溶接電流の上限値を増
加させるか、下限値を引き下げるかの2つの方法があ
る。Snめっき鋼板などでは、Sn層が溶接途中で溶解した
時点で溶接電流経路断面積が増加し、溶接抵抗が減少す
ることで過熱を防止し、溶接上限電流を引き上げてい
る。これに対して、本発明者らは、溶接電流下限値を決
定する要因について鋭意研究を重ね、本発明をなすに至
った。
【0011】図2に、板厚0.32mm、鋼種、粗度同一で、
金属クロム付着量100mg/m2、また該金属クロム層が下地
Fe層を連続的に被覆しつつその一部が突起しており、
突起部の平均基底部直径200nm 、基底部からの平均高さ
が100nm 以上、突起部の存在密度が2 ×1013個/m2、ク
ロム水和酸化物付着量が金属クロム換算で7mg/m2で、原
板の表面から20μm の範囲の平均組成が表1の通りのク
ロムめっき鋼板について、図1と同条件で動的接触抵抗
を測定した結果を示す。
金属クロム付着量100mg/m2、また該金属クロム層が下地
Fe層を連続的に被覆しつつその一部が突起しており、
突起部の平均基底部直径200nm 、基底部からの平均高さ
が100nm 以上、突起部の存在密度が2 ×1013個/m2、ク
ロム水和酸化物付着量が金属クロム換算で7mg/m2で、原
板の表面から20μm の範囲の平均組成が表1の通りのク
ロムめっき鋼板について、図1と同条件で動的接触抵抗
を測定した結果を示す。
【0012】
【表1】
【0013】原板組成中のCおよびMnの増加に伴い、
溶接抵抗の増加勾配が大きくなることがわかる。クロム
めっき鋼板の場合、酸化膜厚および金属クロム隆起構造
が同一ならば、酸化膜破壊による溶接電流経路断面積の
変化の結果として生じる溶接抵抗の減少速度は同一とみ
なせるので、図2の溶接抵抗の増加は、めっき層のクロ
ムおよび地鉄の温度上昇に伴う抵抗増を反映していると
考えられる。これより鋼板表層のCおよびMn濃度によ
り溶接時の発熱速度を制御できることがわかる。
溶接抵抗の増加勾配が大きくなることがわかる。クロム
めっき鋼板の場合、酸化膜厚および金属クロム隆起構造
が同一ならば、酸化膜破壊による溶接電流経路断面積の
変化の結果として生じる溶接抵抗の減少速度は同一とみ
なせるので、図2の溶接抵抗の増加は、めっき層のクロ
ムおよび地鉄の温度上昇に伴う抵抗増を反映していると
考えられる。これより鋼板表層のCおよびMn濃度によ
り溶接時の発熱速度を制御できることがわかる。
【0014】ところが、鉄鋼便覧第3版第1巻第311 頁
によれば通常鋼中の微量元素による鋼の比抵抗はρ=ρ
0 +αC{ρ0 :純物質の電気抵抗率、C:不純物の原
子百分率、α: 5.9μΩcm(Mn)}である。ここで溶接
途上の温度、例えば505.1 Kで25μΩcmの電気抵抗率を
もつ純鉄について、Mnの含有率が0.4 wt%と0.2 wt%に
変化したとしても、極微量では原子百分率≒重量百分率
とみなせるので電気抵抗率は{(5.9 ×0.2 /100 )/
25}×100 =0.047 %変化するだけであり、C濃度につ
いてもまた同様であって、到底図1の各試料の抵抗増加
率勾配の差の原因とはなり得ない。
によれば通常鋼中の微量元素による鋼の比抵抗はρ=ρ
0 +αC{ρ0 :純物質の電気抵抗率、C:不純物の原
子百分率、α: 5.9μΩcm(Mn)}である。ここで溶接
途上の温度、例えば505.1 Kで25μΩcmの電気抵抗率を
もつ純鉄について、Mnの含有率が0.4 wt%と0.2 wt%に
変化したとしても、極微量では原子百分率≒重量百分率
とみなせるので電気抵抗率は{(5.9 ×0.2 /100 )/
25}×100 =0.047 %変化するだけであり、C濃度につ
いてもまた同様であって、到底図1の各試料の抵抗増加
率勾配の差の原因とはなり得ない。
【0015】すなわち、本発明者らは、従来知られてい
なかった鋼中のCおよびMnの板/板界面溶接抵抗への
影響を発見したことになる。本発明者らはこの溶接抵抗
への鋼中成分の影響について調査した結果、以下の知見
を得た。即ち、溶接時の界面抵抗を上昇させるために
は、めっき下地としての鋼板の最表面から20μmまでの
領域中の平均重量百分率としてC0.001 〜0.18%、Mn0.
10〜0.6 %を含むことが必要である。鋼の平均組成とし
て上記元素が上記範囲にあっても、鋼板の最表面から深
さ20μmまでの領域中の平均重量百分率として上記範囲
を逸脱した場合は、上記の効果は得られない。鋼板の最
表面から深さ20μmまでの領域中で組成の平均が上記範
囲を満たさなければ、溶接抵抗の上昇による発熱速度上
昇は得られない。また、上記範囲を越えてもその効果は
飽和する。この現象の原因については、明らかではない
が、表面に濃化する鋼中成分により界面抵抗が変化する
ためと考えられる。いずれにしても、このことから、鋼
中のCとともにMnの含有量を制御することで、板/板界
面の溶接抵抗上昇速度即ち昇温速度の制御ができること
が分かる。
なかった鋼中のCおよびMnの板/板界面溶接抵抗への
影響を発見したことになる。本発明者らはこの溶接抵抗
への鋼中成分の影響について調査した結果、以下の知見
を得た。即ち、溶接時の界面抵抗を上昇させるために
は、めっき下地としての鋼板の最表面から20μmまでの
領域中の平均重量百分率としてC0.001 〜0.18%、Mn0.
10〜0.6 %を含むことが必要である。鋼の平均組成とし
て上記元素が上記範囲にあっても、鋼板の最表面から深
さ20μmまでの領域中の平均重量百分率として上記範囲
を逸脱した場合は、上記の効果は得られない。鋼板の最
表面から深さ20μmまでの領域中で組成の平均が上記範
囲を満たさなければ、溶接抵抗の上昇による発熱速度上
昇は得られない。また、上記範囲を越えてもその効果は
飽和する。この現象の原因については、明らかではない
が、表面に濃化する鋼中成分により界面抵抗が変化する
ためと考えられる。いずれにしても、このことから、鋼
中のCとともにMnの含有量を制御することで、板/板界
面の溶接抵抗上昇速度即ち昇温速度の制御ができること
が分かる。
【0016】本発明のクロムめっき鋼板は、従来クロム
水和酸化物付着量や金属クロムの表面微細構造の調整に
より管理されていた溶接抵抗について、従来の方法では
制御不可能とされたクロムめっき鋼板製造ロットによる
分散に着目し、めっき層付着量とめっき層構造が一定の
範囲にあるクロムめっき鋼板について、鋼板中のCおよ
びMn含有量を、一定範囲に管理することにより、一つ
の溶接ナゲットの形成に際しての界面の溶接電流抵抗値
の上昇速度を制御するものである。それにより溶接時の
板/板界面の発熱速度を望ましい値に設定できるように
なり、上述の下限電流値と上限電流値を材料設計により
設定可能になる。
水和酸化物付着量や金属クロムの表面微細構造の調整に
より管理されていた溶接抵抗について、従来の方法では
制御不可能とされたクロムめっき鋼板製造ロットによる
分散に着目し、めっき層付着量とめっき層構造が一定の
範囲にあるクロムめっき鋼板について、鋼板中のCおよ
びMn含有量を、一定範囲に管理することにより、一つ
の溶接ナゲットの形成に際しての界面の溶接電流抵抗値
の上昇速度を制御するものである。それにより溶接時の
板/板界面の発熱速度を望ましい値に設定できるように
なり、上述の下限電流値と上限電流値を材料設計により
設定可能になる。
【0017】本発明のクロムめっき鋼板は、鋼板表面に
25〜200mg/m2の金属クロム層とさらにその上に金属クロ
ム換算で2.5 〜20mg/m2 のクロム水和酸化物層を持ち、
該金属クロム層は下地Fe層を連続的に被覆しつつその
一部が突起しており、突起部の基底部直径30〜500nm 、
基底部からの高さが10nm以上、突起部の存在密度が1×1
012〜1 ×1015個/m2であり、めっき下地としての鋼板
の最表面から深さ20μmまでの領域中の平均重量百分率
としてC0.001 〜0.18%、Mn0.10〜0.6 %を含有する高
速連続溶接性に優れたクロムめっき鋼板である。
25〜200mg/m2の金属クロム層とさらにその上に金属クロ
ム換算で2.5 〜20mg/m2 のクロム水和酸化物層を持ち、
該金属クロム層は下地Fe層を連続的に被覆しつつその
一部が突起しており、突起部の基底部直径30〜500nm 、
基底部からの高さが10nm以上、突起部の存在密度が1×1
012〜1 ×1015個/m2であり、めっき下地としての鋼板
の最表面から深さ20μmまでの領域中の平均重量百分率
としてC0.001 〜0.18%、Mn0.10〜0.6 %を含有する高
速連続溶接性に優れたクロムめっき鋼板である。
【0018】金属クロム付着量が25 mg/m2 未満で
は、金属クロムによる下地の被覆が十分ではなく、耐錆
性、塗料密着性が不十分である。逆に200mg/m2を超えて
も、塗料密着性のさらなる改善効果は望めず、生産設備
も過大となり意味がない。クロム水和酸化物付着量が金
属クロム換算で2.5mg/m2 未満では塗料密着性が不十
分であり、20mg/m2 を超えると、溶接初期抵抗が高くな
り過ぎ、溶接性を阻害するので好ましくない。金属クロ
ムめっき層の突起部の基底部直径30nm未満でも、またそ
の高さが10nm未満でも、さらに突起部の存在密度が1 ×
1012個/m2未満でも、溶接時の酸化膜の破壊による溶接
抵抗低減効果が不十分である。基底部の直径が500nm を
超えても、また突起部の存在密度が1 ×1015個/m2を超
えても、溶接時の酸化膜の破壊による溶接抵抗低減効果
は飽和し、また、表面色調が暗くなるので好ましくな
い。
は、金属クロムによる下地の被覆が十分ではなく、耐錆
性、塗料密着性が不十分である。逆に200mg/m2を超えて
も、塗料密着性のさらなる改善効果は望めず、生産設備
も過大となり意味がない。クロム水和酸化物付着量が金
属クロム換算で2.5mg/m2 未満では塗料密着性が不十
分であり、20mg/m2 を超えると、溶接初期抵抗が高くな
り過ぎ、溶接性を阻害するので好ましくない。金属クロ
ムめっき層の突起部の基底部直径30nm未満でも、またそ
の高さが10nm未満でも、さらに突起部の存在密度が1 ×
1012個/m2未満でも、溶接時の酸化膜の破壊による溶接
抵抗低減効果が不十分である。基底部の直径が500nm を
超えても、また突起部の存在密度が1 ×1015個/m2を超
えても、溶接時の酸化膜の破壊による溶接抵抗低減効果
は飽和し、また、表面色調が暗くなるので好ましくな
い。
【0019】鋼中のC量およびMn量は、鋼板の最表面
から深さ20μmまでの領域中の平均重量百分率としてC
0.001 〜0.18%、Mn0.10〜0.6 %に限定される。これら
の元素が下限未満では界面溶接抵抗の制御に寄与するの
に不十分である。また、これらの元素が上限を超えて
も、その溶接界面抵抗の制御効果は飽和し、通常缶用鋼
板として要求される機械的性質を付与するに際し、熱処
理時間や圧延圧下率などに制約が生じるので好ましくな
い。
から深さ20μmまでの領域中の平均重量百分率としてC
0.001 〜0.18%、Mn0.10〜0.6 %に限定される。これら
の元素が下限未満では界面溶接抵抗の制御に寄与するの
に不十分である。また、これらの元素が上限を超えて
も、その溶接界面抵抗の制御効果は飽和し、通常缶用鋼
板として要求される機械的性質を付与するに際し、熱処
理時間や圧延圧下率などに制約が生じるので好ましくな
い。
【0020】また、本発明では、クロムめっき鋼板のク
ロムめっき層の上に、防錆あるいは潤滑のために適宜有
機物被覆を最表層として施すこともできる。
ロムめっき層の上に、防錆あるいは潤滑のために適宜有
機物被覆を最表層として施すこともできる。
【0021】
【実施例】以下に本発明の具体的な実施例を、比較例と
共に示す。 〔実施例1〜4、比較例1〜4〕表2に示す板厚、粗
度、クロムめっき付着量、鋼中C、Mn量の鋼板につい
て、210 ℃×20分の熱処理の後、前述の動的接触抵抗測
定装置で動的接触抵抗を測定した。
共に示す。 〔実施例1〜4、比較例1〜4〕表2に示す板厚、粗
度、クロムめっき付着量、鋼中C、Mn量の鋼板につい
て、210 ℃×20分の熱処理の後、前述の動的接触抵抗測
定装置で動的接触抵抗を測定した。
【0022】溶接電流は3kA、6msecの矩形波パルス、
電極径は1.2mm 、電極加圧力は60kgf であった。実施例
のクロムめっき鋼板はいずれも、鋼中最表層20μmの平
均Mn、C濃度を本発明の一定範囲内に制御することで、
各比較例に比べて板/板界面溶接抵抗上昇速度が大きく
なっている。
電極径は1.2mm 、電極加圧力は60kgf であった。実施例
のクロムめっき鋼板はいずれも、鋼中最表層20μmの平
均Mn、C濃度を本発明の一定範囲内に制御することで、
各比較例に比べて板/板界面溶接抵抗上昇速度が大きく
なっている。
【0023】
【表2】
【0024】
【発明の効果】本発明により、缶胴溶接用マッシュシー
ム溶接機等を用いて、長方形ブランクを円筒に成形した
後、対向する2辺を重ねあわせてシーム溶接し、円筒缶
胴を成形する場合に、缶胴材料として用いられるクロム
めっき鋼板について、溶接時の板/板界面の発熱速度を
望ましい値に設定できるようになり、溶接抵抗の分散を
小さくすることで溶接電流の設定が容易になり、溶接作
業の効率化が達成される。
ム溶接機等を用いて、長方形ブランクを円筒に成形した
後、対向する2辺を重ねあわせてシーム溶接し、円筒缶
胴を成形する場合に、缶胴材料として用いられるクロム
めっき鋼板について、溶接時の板/板界面の発熱速度を
望ましい値に設定できるようになり、溶接抵抗の分散を
小さくすることで溶接電流の設定が容易になり、溶接作
業の効率化が達成される。
【図1】板/板界面の動的接触抵抗の測定結果を示すグ
ラフ。
ラフ。
【図2】板/板界面の動的接触抵抗の測定結果を示すグ
ラフ。
ラフ。
Claims (1)
- 【請求項1】 缶胴溶接機を用いて、重ね合わせシーム
溶接により溶接缶胴に形成されるクロムめっき鋼板であ
って、鋼板表面に25〜200mg/m2の金属クロム層とさらに
その上に金属クロム換算で2.5 〜20mg/m2 のクロム水和
酸化物層を持ち、該金属クロム層は下地Fe層を連続的
に被覆しつつその一部が突起しており、突起部の基底部
直径30〜50nm、基底部からの高さが10nm以上、突起部の
存在密度が1 ×1012〜1 ×1015個/m2であり、めっき下
地としての鋼板の最表面から深さ20μmまでの領域中の
平均重量百分率としてC0.001 〜0.18%、Mn0.10〜0.6
%を含有することを特徴とする高速連続溶接性に優れた
クロムめっき鋼板。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP1457095A JPH08209392A (ja) | 1995-01-31 | 1995-01-31 | 高速連続溶接性に優れたクロムめっき鋼板 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP1457095A JPH08209392A (ja) | 1995-01-31 | 1995-01-31 | 高速連続溶接性に優れたクロムめっき鋼板 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH08209392A true JPH08209392A (ja) | 1996-08-13 |
Family
ID=11864824
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP1457095A Pending JPH08209392A (ja) | 1995-01-31 | 1995-01-31 | 高速連続溶接性に優れたクロムめっき鋼板 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH08209392A (ja) |
Cited By (6)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| WO2017098991A1 (ja) * | 2015-12-11 | 2017-06-15 | Jfeスチール株式会社 | 缶用鋼板およびその製造方法 |
| WO2017098994A1 (ja) * | 2015-12-11 | 2017-06-15 | Jfeスチール株式会社 | 缶用鋼板およびその製造方法 |
| JP2020200533A (ja) * | 2019-06-06 | 2020-12-17 | Jfeスチール株式会社 | 缶用鋼板およびその製造方法 |
| JP7239087B1 (ja) * | 2021-12-28 | 2023-03-14 | Jfeスチール株式会社 | 缶用鋼板およびその製造方法 |
| WO2023127236A1 (ja) * | 2021-12-28 | 2023-07-06 | Jfeスチール株式会社 | 缶用鋼板およびその製造方法 |
| WO2023127237A1 (ja) * | 2021-12-28 | 2023-07-06 | Jfeスチール株式会社 | 缶用鋼板およびその製造方法 |
-
1995
- 1995-01-31 JP JP1457095A patent/JPH08209392A/ja active Pending
Cited By (13)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| US10753005B2 (en) | 2015-12-11 | 2020-08-25 | Jfe Steel Corporation | Steel sheet for cans and production method for steel sheet for cans |
| WO2017098994A1 (ja) * | 2015-12-11 | 2017-06-15 | Jfeスチール株式会社 | 缶用鋼板およびその製造方法 |
| JPWO2017098991A1 (ja) * | 2015-12-11 | 2017-12-14 | Jfeスチール株式会社 | 缶用鋼板およびその製造方法 |
| JPWO2017098994A1 (ja) * | 2015-12-11 | 2017-12-21 | Jfeスチール株式会社 | 缶用鋼板およびその製造方法 |
| CN108368616A (zh) * | 2015-12-11 | 2018-08-03 | 杰富意钢铁株式会社 | 罐用钢板及其制造方法 |
| TWI634984B (zh) * | 2015-12-11 | 2018-09-11 | Jfe鋼鐵股份有限公司 | 罐用鋼板及其製造方法 |
| WO2017098991A1 (ja) * | 2015-12-11 | 2017-06-15 | Jfeスチール株式会社 | 缶用鋼板およびその製造方法 |
| US10914016B2 (en) | 2015-12-11 | 2021-02-09 | Jfe Steel Corporation | Steel sheet for cans and production method for steel sheet for cans |
| JP2020200533A (ja) * | 2019-06-06 | 2020-12-17 | Jfeスチール株式会社 | 缶用鋼板およびその製造方法 |
| JP7239087B1 (ja) * | 2021-12-28 | 2023-03-14 | Jfeスチール株式会社 | 缶用鋼板およびその製造方法 |
| WO2023127236A1 (ja) * | 2021-12-28 | 2023-07-06 | Jfeスチール株式会社 | 缶用鋼板およびその製造方法 |
| WO2023127237A1 (ja) * | 2021-12-28 | 2023-07-06 | Jfeスチール株式会社 | 缶用鋼板およびその製造方法 |
| JPWO2023127237A1 (ja) * | 2021-12-28 | 2023-07-06 |
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