JPH08214822A - 穀類を原料とした生成物、その使用方法およびその製造方法 - Google Patents

穀類を原料とした生成物、その使用方法およびその製造方法

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JPH08214822A
JPH08214822A JP7026887A JP2688795A JPH08214822A JP H08214822 A JPH08214822 A JP H08214822A JP 7026887 A JP7026887 A JP 7026887A JP 2688795 A JP2688795 A JP 2688795A JP H08214822 A JPH08214822 A JP H08214822A
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Japan
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phytic acid
cereals
grain
inositol
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JP7026887A
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English (en)
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Sunao Kikushima
直 菊島
Minoru Takebe
実 武部
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HISHIROKU KK
Nichimo Co Ltd
Original Assignee
HISHIROKU KK
Nichimo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 穀類中に含有されているフィチン酸を動物の
体内に吸収しやすい形態に変えて除去するとともに、前
記穀類中に含有されている少糖類を除去し、また、フィ
チン酸分解酵素活性の高い生成物とさせて、動物の糞中
に排泄されるリンの量を低減させて家畜糞尿による環境
汚染を有効に防止することができ、飼料に予め混入させ
る無機リンの量も大きく低減させることができ、従来に
おいて穀類の飼料に添加していたフィターゼの添加を省
くことができ、少糖類を消化できないブロイラー等にも
健全な飼料として提供することができ、コストの低廉化
を図ることができる穀類を原料とした生成物およびその
使用方法を提供すること。 【構成】 穀類中に含有されているフィチン酸が動物の
体内に吸収しやすい形態に変えられて除去されていると
ともに、前記穀類中に含有されている少糖類が除去され
ていることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、穀類を原料とした生成
物、その使用方法およびその製造方法に関する。本発明
において、穀類とは、大豆、米、麦、とうもろこしやこ
れらの粕、抽出大豆蛋白等の抽出物等を意味し、穀類を
原料とした生成物とは、前記穀類を原料とした食品、畜
産用飼料および水産養殖用の餌料等を意味する。
【0002】
【従来の技術】一般に、穀類を原料とした生成物に対す
る需要は多く、多種多様の生成物が提供されている。
【0003】穀類の1種である大豆および大豆粕を原料
とした場合について説明すると、これらの大豆および大
豆粕中には、フィチン酸が約1〜2重量%含まれてい
る。
【0004】このフィチン酸は大豆を原料とした生成物
中にも残留し、生成物中に含有されているビタミンB類
の活性を抑えて、生成物中に含有されているミネラル等
の吸収を阻害するものである。
【0005】更に説明すると、フィチン酸はミオ−イノ
シトールの水酸基のすべてにリン酸基が結合した化合物
であり、栄養上重要な微量金属とキレート結合して難溶
性の化合物を生成する。そのため、高フィチン酸食物を
摂取した人や動物は、この種の金属、例えばカルシウ
ム、マグネシウム、鉄、亜鉛等の正常な腸管内吸収が妨
害されて、一連の欠乏障害を起こすこととなる。
【0006】また、大豆蛋白質分離物を含む生成物中に
存在するフィチン酸は、単胃動物による食物中の亜鉛の
利用を妨害することも見出だされている。更に、フィチ
ン酸は、カルシウム等の金属イオンを活性化因子とする
α−アミラーゼやペプシン、トリプシン等を含む胃腸消
化管内の種々の消化酵素に対しても阻害作用を有するこ
とが知られており、生成物中からの除去が望まれてい
る。
【0007】そこで、従来においては、これらの大豆お
よび大豆粕中からフィチン酸を除去するための様々な方
法が提案されている。
【0008】その従来方法を大別すると、限外濾過
法、イオン交換樹脂法、化学的方法、酵素処理法
を列挙することができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記限
外濾過法においては、操作中に濾過膜表面にペプチドが
溜まり、濾過速度が遅くなって効率が悪くなるという問
題がある。
【0010】また、イオン交換樹脂で蛋白液を処理する
イオン交換樹脂法においては、操作が煩雑であるととも
に、蛋白質の収量が悪いという問題がある。
【0011】また、大豆および大豆粕を酸やアルコール
で洗浄する化学的方法においては、製造操作が煩雑で、
その上、大量の廃液の処理にコストや手間が掛かってし
まうという問題がある。
【0012】また、特開平1−27706号公報に記載
されているような酵素処理法においては、酵素を用いて
フィチン酸の含有量を低下させるものであるために、大
豆等の原料をスラリまたは水溶液としなければ、前記酵
素のフィチン酸分解活性を発揮させることができないも
のであった。すなわち、酵素は大豆等の固形物に対して
は接触できないという問題点があった。
【0013】そのため前記公報のように液状の豆乳を製
造する場合には、原料を液状の豆乳とした後に酵素を添
加すればよいので問題はないが、固形状の生成物を製造
する場合には、原料を液状物とする工程が必要となり、
更に、フィチン酸の分解処理後に液状物を固形物にする
後工程も必要となり、製造工程が複雑となり、コストも
高いものとなる等の問題点があった。更に説明すると、
固形の生成物にとっては、原料を液状とすることにより
蛋白質の含有量が低下するので、高蛋白質の固形の生成
物を得るためには技術レベルの高い濃縮作業を施す必要
があり、コストが非常に高いものとなるという問題点が
あった。
【0014】また、特表平4−503002号公報(出
願日が1989年1月25日の米国特許出願第3015
63号に基づく優先権を主張した日本国出願)、特公昭
55−29654号公報(出願日が1971年7月14
日の米国特許第162654号に基づく優先権を主張し
た日本国出願)、特開昭51−125300号公報およ
び(出願日が1975年1月2日の米国特許出願第53
8127号すなわち米国特許第3966971号に基づ
く優先権を主張した日本国出願)においてそれぞれ大豆
や植物蛋白質原料からフィターゼを利用してフィチンを
分解除去したり、蛋白質を採取する方法が提案されてい
るが、それぞれ生産効率が悪かったり、コストが高かっ
たりする等の問題点があった。
【0015】更に、穀物を原料とする生成物を畜産用飼
料として利用する場合には、今日においては環境汚染を
誘発させないような対策が必要とされている。
【0016】すなわち、従来、窒素、リン等を多く含有
する家畜糞尿はきゅう肥として農地に還元されてきた
が、化学肥料の多用に伴って、日本の農耕地等の土壌に
は多量のリン酸が集積することとなった。そのため、家
畜糞尿による汚染公害は、今日では一部地域に留まら
ず、国土全体の富栄養化にまでおよんでいる。
【0017】家畜の飼料として用いられる穀物を原料と
する生成物には、無機のリン酸の含有量は少なく、多く
のリンはフィチン酸若しくは混合塩のフィチンとして存
在している。
【0018】反芻胃動物は胃内の微生物によりフィチン
酸あるいはフィチンを分解して無機リンとして消化吸収
しているが、豚等の単胃の動物は非フィチンリンしか消
化吸収することができない。そのため、単胃の動物にお
いては、穀物を原料とする飼料に含有されるフィチン酸
あるいはフィチンからなる有機リンを消化しないまま糞
中に排泄している。更に、飼料中に含有される有機リン
を消化吸収できない分を、リン酸カルシウム等の無機リ
ンを飼料中に混入させており、この無機リンの消費量が
非常に多くなり、その一部は糞中に排泄されることとな
り、家畜糞尿による汚染がますますひどくなるという問
題点があった。
【0019】また、ヨーロッパにおいては、フィチン酸
を分解する酵素として知られているフィターゼを単品と
して用意し、これを穀類を原料とする畜産用飼料に混合
させて一緒に与え、家畜の胃腸内においてそのフィター
ゼの作用により畜産用飼料中のフィチン酸を分解させる
飼育法が試みられている。しかしながら、この方法にお
いては、畜産用飼料の他に高価なフィターゼを必要と
し、飼育コストが高くなり、更に、穀類中のフィチン酸
は全く除かれない状態で家畜に与えられ、その後にフィ
ターゼの作用により家畜の体内において分解させるもの
であり、フィチン酸の分解効率をあまり期待することが
できないという問題点があった。
【0020】また、ブロイラーは穀類中に含有されてい
る可溶無窒素物中の少糖類を消化できないという不都合
があった。人や豚等は腸における微生物発酵からのエネ
ルギにより少糖類を消化できるが、ブロイラーはこの微
生物発酵からのエネルギが極めて少ないために、可溶無
窒素物中の45〜50%の澱粉や単糖類は容易に消化で
きるが、それ以外のペクチン、オリゴ糖等の少糖類を消
化することができず、そのために軟便質となったり下痢
をしやすく、鶏舎の床が湿っていて不衛生になる等の不
都合があった。
【0021】本発明の目的は、前記従来の問題点を解消
することにあり、穀類中に含有されているフィチン酸を
動物の体内に吸収しやすい形態に変えて除去するととも
に、前記穀類中に含有されている少糖類を除去し、ま
た、更に、フィチン酸分解酵素活性の高い生成物とさせ
て、動物の糞中に排泄されるリンの量を低減させて家畜
糞尿による環境汚染を有効に防止することができ、飼料
に予め混入させる無機リンの量も大きく低減させること
ができ、また、従来において穀類の飼料に添加していた
フィターゼの添加を省くことができ、また、少糖類を消
化できないブロイラー等にも健全な飼料として提供する
ことができ、コストの低廉化を図ることができる穀類を
原料とした生成物およびその使用方法を提供することに
ある。
【0022】本発明の他の目的は、穀類中のフィチン酸
を容易に除去することができ、生成物中に含有されてい
るビタミンB類等の活性を高く維持して、当該生成物中
に含有されているミネラルの吸収が容易であり、更にそ
の吸収を促進可能な生成物を得ることができ、製造コス
トも低廉な穀類を原料とした生成物およびその製造方法
を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、請求項1に記載の穀類を原料とした生成物は、穀類
中に含有されているフィチン酸が動物の体内に吸収しや
すい形態に変えられて除去されているいるとともに、前
記穀類中に含有されている少糖類が除去されていること
を特徴とする。
【0024】また、請求項2に記載の穀類を原料とした
生成物は、請求項1に記載の穀類を原料とした生成物に
おいて、前記フィチン酸が少なくとも2基のリン酸基を
遊離されて、イノシトール4リン酸、イノシトール3リ
ン酸、イノシトール2リン酸、イノシトール1リン酸お
よびイノシトールの単独若しくは複数に変えられて、動
物の体内に吸収しやすい形態に変えて除去されているこ
とを特徴とする。
【0025】また、請求項3に記載の穀類を原料とした
生成物は、穀類中に含有されているフィチン酸が動物の
体内に吸収しやすい形態に変えられて除去されていると
ともにフィチン酸分解酵素活性を有しており、前記穀類
中に含有されている少糖類が除去されていることを特徴
とする。
【0026】また、請求項4に記載の穀類を原料とした
生成物の使用方法は、請求項1または請求項2または請
求項3に記載の穀類を原料とした生成物を畜産用飼料と
して用いることを特徴とする。
【0027】また、請求項5に記載の穀類を原料とした
生成物の製造方法は、穀類に麹菌を接種して製麹するこ
とにより、前記穀類中に含有されているフィチン酸を動
物の体内に吸収しやすい形態に変えて除去するととも
に、前記穀類中に含有されている少糖類を除去して、前
記穀類を原料とした生成物を製造することを特徴とす
る。
【0028】また、請求項6に記載の穀類を原料とした
生成物の製造方法は、請求項5に記載の穀類を原料とし
た生成物の製造方法において、前記フィチン酸から少な
くとも2基のリン酸基を遊離させて、イノシトール4リ
ン酸、イノシトール3リン酸、イノシトール2リン酸、
イノシトール1リン酸およびイノシトールの単独若しく
は複数を生成して、前記フィチン酸を動物の体内に吸収
しやすい形態に変えて除去することを特徴とする。
【0029】また、請求項7に記載の穀類を原料とした
生成物の製造方法は、穀類に麹菌を接種して製麹するこ
とにより、前記穀類中のフィチン酸を動物の体内に吸収
しやすい形態に変えて除去するとともにフィチン酸分解
酵素活性を具備させ、前記穀類中に含有されている少糖
類を除去して、前記穀類を原料とした生成物を製造する
ことを特徴とする。
【0030】また、請求項8に記載の穀類を原料とした
生成物の製造方法は、穀類に麹菌を接種して製麹し、こ
の製麹処理による生成物に加水することにより当該生成
物中の蛋白質を加水分解するとともに前記穀類中のフィ
チン酸を動物の体内に吸収しやすい形態に変えて除去す
るとともに、前記穀類中に含有されている少糖類を除去
して、前記穀類を原料とした生成物を製造することを特
徴とする。
【0031】また、請求項9に記載の穀類を原料とした
生成物の製造方法は、請求項8に記載の穀類を原料とし
た生成物の製造方法において、前記フィチン酸が少なく
とも2基のリン酸基を遊離されて、イノシトール4リン
酸、イノシトール3リン酸、イノシトール2リン酸、イ
ノシトール1リン酸およびイノシトールの単独若しくは
複数を生成して、前記フィチン酸を動物の体内に吸収し
やすい形態に変えて除去することを特徴とする。
【0032】また、請求項10に記載の穀類を原料とし
た生成物の製造方法は、穀類に麹菌を接種して製麹し、
この製麹処理による生成物に加水することにより当該生
成物中の蛋白質を加水分解するとともに前記穀類中のフ
ィチン酸を動物の体内に吸収しやすい形態に変えて除去
するとともにフィチン酸分解酵素活性を具備させ、前記
穀類中に含有されている少糖類を除去して、前記穀類を
原料とした生成物を製造することを特徴とする。
【0033】また、請求項11に記載の穀類を原料とし
た生成物の製造方法は、前記請求項5から請求項10の
いずれか1項において、麹菌として、遺伝子操作によ
り、毒素を生成する遺伝子を除去され、フィチン酸の分
解機能および少糖類の除去機能を備えた遺伝子を有する
ように遺伝子的に形成されている麹菌を用いることを特
徴とする。
【0034】
【作用】本発明はこのように構成されているために、次
のような極めて優れた作用効果を発揮する。
【0035】すなわち、請求項1および請求項2に記載
の本発明の穀類を原料とした生成物によれば、穀類中に
含有されているフィチン酸が動物の体内に吸収しやすい
形態、例えばフィチン酸から少なくとも2基のリン酸基
を遊離させられイノシトール4リン酸、イノシトール3
リン酸、イノシトール2リン酸、イノシトール1リン酸
およびイノシトールの単独若しくは複数からなる形態に
変えられて除去されているために、従来単胃の動物が消
化吸収不可能であったフィチン酸を消化吸収可能な形態
として容易に消化吸収することができ、穀類中に含有さ
れている少糖類が除去されているために、少糖類を消化
できないブロイラー等にも、軟便質を解消し、下痢を防
止させて育成効率を高める健全な飼料として提供するこ
とができる。
【0036】更に、請求項3に記載の本発明の穀類を原
料とした生成物によれば、前記したように生成物自体が
フィチン酸を容易に消化吸収することができるようにさ
れているとともに、フィチン酸分解酵素活性をも具備し
ているために、動物の胃腸内において当該フィチン酸分
解酵素活性作用により穀類に含有されるフィチン酸が更
に分解されることとなり、当該生成物のみならず一緒に
食された穀類に含有されるフィチン酸の分解も可能とな
り、穀類の消化吸収効率が非常に高くなり、従来のよう
にフィターゼを単品で用意して穀類中に混合させる必要
もなくなる。
【0037】また、請求項4に記載の穀類を原料とした
生成物の使用方法によれば、請求項1および請求項2に
記載の穀類を原料とした生成物を畜産用飼料として用い
ることにより、家畜が穀類中にフィチン酸として含有さ
れているリンを効率よく消化吸収することができ、家畜
の糞尿中に排泄されるリンの総量を大きく低減すること
ができ、しかも従来において飼料中に混入させていたリ
ン酸カルシウム等の無機リンを混入させる必要もなくな
り、家畜の糞尿が原因となる環境汚染を確実に防止する
ことができ、少糖類を消化できないブロイラー等の軟便
質を解消させ、下痢を防止させて、育成効率を高めるこ
とができる。更に、請求項3に記載の穀類を原料とした
生成物を畜産用飼料として用いることにより、前記の生
成物の使用方法による作用効果に加えて、フィチン酸分
解酵素活性作用により穀類に含有されるフィチン酸が更
に分解されることとなり、当該生成物のみならず一緒に
食された穀類に含有されるフィチン酸の分解も可能とな
り、穀類の消化吸収効率が非常に高くなる。
【0038】請求項5に記載の本発明の穀類を原料とし
た生成物の製造方法によれば、原料に麹菌を接種して製
麹することにより、麹菌を増殖させて、穀類中のフィチ
ン酸および少糖類を除去するものであるために、当該穀
類の状態が固形状であってもフィチン酸および少糖類を
容易に、かつ、短時間で確実に除去することができる。
【0039】また、請求項8に記載の本発明の穀類を原
料とした生成物の製造方法によれば、原料に麹菌を接種
して製麹することにより麹菌を増殖させて穀類中のフィ
チン酸および少糖類を除去し、更に製麹処理による生成
物に加水することにより当該生成物中の蛋白質を加水分
解すると同時にフィチン酸および少糖類を確実に除去す
ることができる。
【0040】また、請求項6および請求項9に記載の本
発明の穀類を原料とした生成物の製造方法によれば、イ
ノシトール4リン酸、イノシトール3リン酸、イノシト
ール2リン酸、イノシトール1リン酸およびイノシトー
ルの単独若しくは複数からなる組合せを得ることがで
き、これらは穀類を原料とした生成物中に含有されてい
るミネラルの吸収を促進する作用があり、ミネラルの吸
収がより効率的に行なわれる生成物を得ることができ
る。
【0041】請求項7に記載の本発明の穀類を原料とし
た生成物の製造方法によれば、原料に麹菌を接種して製
麹することにより、麹菌を増殖させて穀類中のフィチン
酸および少糖類を除去するとともにフィチン酸分解酵素
活性を具備させるものであるために、当該穀類中のフィ
チン酸および少糖類を容易に、かつ、短時間で確実に除
去することができるとともに、動物の胃腸内において当
該フィチン酸分解酵素活性作用により穀類に含有される
フィチン酸が更に分解されることとなり、当該生成物の
みならず一緒に食された穀類に含有されるフィチン酸の
分解も可能となり、穀類の消化吸収効率が非常に高くな
る。
【0042】また、請求項10に記載の本発明の穀類を
原料とした生成物の製造方法によれば、原料に麹菌を接
種して製麹することにより麹菌を増殖させて穀類中のフ
ィチン酸および少糖類を除去するとともにフィチン酸分
解酵素活性を具備させ、更に製麹処理による生成物に加
水することにより当該生成物中の蛋白質を加水分解する
と同時にフィチン酸および少糖類を確実に除去すること
ができるとともに、フィチン酸分解酵素活性をより優れ
たものとすることができる。
【0043】また、請求項11に記載の本発明の穀類を
原料とした生成物の製造方法によれば、遺伝子操作によ
り、麹菌として、遺伝子的に毒素を生成する遺伝子を除
去し、フィチン酸の分解機能および少糖類の除去機能を
備えた遺伝子を有するようにした麹菌を用いることによ
り、毒素のないより質的に優れた穀類を原料とした生成
物を効率よく製造することができる。
【0044】
【実施例】以下、本発明の実施例を図1から図5につい
て説明する。
【0045】図1は本発明により穀類の1種である大豆
粕中のフィチン酸および少糖類を除去した生成物の製造
方法の1実施例を示す工程図である。
【0046】この図1の工程に沿って説明すると、先ず
大豆粕を蒸煮する。この蒸煮を施すことにより、麹菌の
増殖が容易となる。また、この大豆粕の蒸煮は製造目的
等に応じてバッチ式や連続式で行うと良い。
【0047】そして、この蒸煮が終了した大豆粕を一旦
冷却して、大豆粕中の水分量を麹菌が増殖可能な量(例
えば、40重量%)とさせる。
【0048】このようにして水分量を整えられた大豆粕
に対して、本発明方法が以下のようにして行なわれる。
【0049】即ち、蒸煮が終了した大豆粕単体に、麹菌
からなる種麹を所定重量比だけ接種し、両者が均一とな
るまで混合する。
【0050】その後、混合物を製麹装置内に投入して、
28〜30℃に加温した状態で所定時間保持し、水分が
40重量%と低水分量の大豆粕を麹菌により発酵させ
て、大豆粕中のフィチン酸を十分に低減させるまで製麹
を行なう。
【0051】この場合、大豆粕に麹菌が増殖することに
より麹菌が作り出すフィターゼやフォスファターゼとい
うフィチン酸を分解する酵素が大豆粕中のフィチン酸を
分解除去する。
【0052】すなわち、ミオ−イノシトールの水酸基の
すべてにリン酸基が結合した化合物であるフィチン酸よ
りフィチン酸を分解する酵素が前記リン酸基を遊離させ
て、イノシトール5リン酸、イノシトール4リン酸、イ
ノシトール3リン酸、イノシトール2リン酸、イノシト
ール1リン酸およびイノシトールの単独若しくは複数を
生成させて、前記フィチン酸を除去する。
【0053】更に、本実施例においては、フィターゼ、
フォスファターゼというフィチン酸を分解する酵素が大
豆粕中に作り出されるために、非常にフィチン酸分解酵
素活性の高い生成物となり、動物の胃腸内において当該
フィチン酸分解酵素活性作用により穀類に含有されるフ
ィチン酸が更に分解されることとなり、当該生成物のみ
ならず一緒に食された穀類に含有されるフィチン酸の分
解も可能となり、穀類の消化吸収効率が非常に高くな
り、従来のようにフィターゼを単品で用意して穀類中に
混合させる必要もなくなる。
【0054】また、麹菌は前記フィターゼやフォスファ
ターゼというフィチン酸を分解する酵素を生成すると同
時に、アルファ−ガラクトシターゼやインベルターゼと
いう少糖類を分解する酵素を生成し、これらの酵素が大
豆粕中のオリゴ糖のアルフア−ガラクトシドを分解して
単糖類であるグルコース、ガラクトース、フラクトース
に変化させて、消化性を向上させる。更に、麹菌はペク
チナーゼやヘミセルターゼというペクチンやヘミセルロ
ース等を分解する酵素を生成し、これらの酵素が大豆粕
中のペクチンやヘミセルロース等を分解して粘土を下げ
て、消化性を向上させる。更に、麹菌はセルラーゼとい
う粗繊維を分解する酵素を生成し、これらの酵素が大豆
粕中の粗繊維を分解して、エネルギ利用を向上させる。
【0055】この製麹に用いる麹菌としては、古くから
の日本独特の発酵食品やテンペに用いられている麹菌で
あり、食品として安全なアスペルギルス・ウサミ、アス
ペルギルス・カワチ、アスペルギルス・アワモリ、アス
ペルギルス・サイトイ、アスペルギルス・オリゼー、ア
スペルギルス・ニガー等アスペルギルス属およびリゾー
プス属のフィターゼ力価およびフォスファターゼ力価の
高い麹菌を用いるとよい。
【0056】この発酵時間については、使用する麹菌の
種類に応じて、少なくとも24時間以上であり、大豆粕
中のフィチン酸を十分に除去させるに十分な発酵時間と
するとよい。
【0057】図2は本発明により穀類の1種である大豆
粕中のフィチン酸および少糖類を除去した生成物の製造
方法の他の実施例を示す工程図である。
【0058】本実施例においては、フィチン酸および少
糖類を更に徹底して除去し、合わせて蛋白質の加水分解
を行なうものである。
【0059】すなわち、本実施例においては、製麹まで
の工程は前記実施例と全く同様にして行ない、製麹終了
後の生成物に加水してから30〜45℃に加温した状態
で所定時間保持し、生成物中に含まれるフィターゼ、フ
ォスファターゼ、アルファ−ガラクトシターゼ、インベ
ルターゼの分解作用により大豆粕中に含まれるフィチン
酸および少糖類を十分に低減させ、同時にフィターゼ、
フォスファターゼというフィチン酸を分解する酵素を大
豆粕中に作り出して、非常にフィチン酸分解酵素活性の
高い生成物とし、かつ、加水分解を行なう。
【0060】この蛋白質の加水分解については、使用す
る麹菌の種類に応じて、大豆粕中のフィチン酸および少
糖類を十分に除去させるに十分な加水分解時間ならびに
加水分解温度とするとよい。
【0061】この他の方法によれば、発酵の初期におい
て有機酸を生成して大豆粕中の雑菌の増殖を抑制し、2
次汚染の心配がなくなり、大豆粕を原料とした生成物を
大量生産することができる。また、低水分としなくとも
十分なフィチン酸除去処理および少糖類除去処理を施す
ことができる。
【0062】また、フィチン酸の除去は、イノシトール
6リン酸からなるフィチン酸からリン酸基を少なくとも
1基遊離させることにより行なわれるが、少なくとも2
基のリン酸基を遊離させたイノシトール4リン酸、イノ
シトール3リン酸、イノシトール2リン酸、イノシトー
ル1リン酸およびイノシトールは水溶性を有し、穀類を
原料とした生成物中に含有されているカルシウム等から
なるミネラルの吸収を大きく促進させる作用がある。
【0063】更に説明すると、前記イノシトール6リン
酸およびイノシトール5リン酸は、イオン結合が強く、
結合したカルシウムを溶出させなくなり、カルシウムの
吸収作用を大きく抑えてしまうものである。これに対
し、イノシトール4リン酸からイノシトールまでは、カ
ルシウムを良好に結合させるとともに、必要な時には結
合したカルシウムを容易に溶出させる適度な親和力を有
するものであり、前記したようなカルシウムの吸収を促
進させるという特徴的な作用を発揮するものである。
【0064】請求項6および請求項9に記載の本発明
は、この点に着目してイノシトール6リン酸からなるフ
ィチン酸からリン酸基を少なくとも2基遊離させること
により、イノシトール4リン酸、イノシトール3リン
酸、イノシトール2リン酸、イノシトール1リン酸およ
びイノシトールの単独または複数を得て、フィチン酸を
除去して、ミネラルの吸収がより効率的に行なわれる生
成物を得るものである。この場合、前記項5および請求
項8に記載の発明において、発酵時間および加水分解時
間ならびに加水分解温度を、穀類の種類、状態、特性、
分量、麹菌の種類、状態、特性、分量、生成物の種類、
特性等に応じて調整することにより、フィチン酸から遊
離させるリン酸基数を制御するとよい。
【0065】また、製麹に用いる麹菌としては、遺伝子
操作により、毒素を生成する遺伝子を除去し、フィチン
酸の分解機能および少糖類の除去機能を備えた遺伝子を
有するように遺伝子的に形成されている麹菌を用いると
よい。これにより生成物中に毒素が含有されることがな
くなり、安全な食品、飼料等を得ることができ、更にフ
ィチン酸および少糖類の分解効率もよくなり、製造コス
トのより一層の低減化を図ることができる。
【0066】この遺伝子操作は、従来から行なわれてい
る細胞融合方法および遺伝子組換え方法によって行なう
とよい。
【0067】一方の細胞融合方法によって遺伝子操作を
行なう場合には、麹菌の複数の株(通常は2つの株)を
細胞融合によって1つの株に融合させて、各株が有して
いる優れた機能を1つの株に保有させるようにするもの
である。従って、前述した麹菌の中から融合させるべき
株を目的に応じて選択して、細胞融合させるとよい。例
えば、アスペルギルス・オリゼーとアスペルギルス・ニ
ガーとを融合させると、毒素を生成することがなく、フ
ィチン酸の分解機能および少糖類の除去機能に優れた株
を得ることができる。
【0068】他方の遺伝子組換え方法によって遺伝子操
作を行なう場合には、麹菌の株の遺伝子中から毒素を生
成する遺伝子を酵素によって切離し、フィチン酸の分解
機能および少糖類の除去機能を備えた遺伝子を差し込む
ことにより、毒素を生成することがなく、フィチン酸の
分解機能および少糖類の除去機能に優れた株を育成する
ものである。
【0069】表1は、100gの大豆粕中のフィチン酸
の含有量を、無処理の大豆粕の場合、請求項5に記載の
本発明方法に従って、2種類の焼酎麹、例えばアスペル
ギルス・ニガーとアスペルギルス・アワモリを用いて大
豆粕に対して30℃で48時間の製麹を施してなる大豆
粕AおよびBの場合、請求項10に記載の本発明方法に
従って、前記AおよびBに対して各生成物の重量と同重
量の水を加えて更に40℃で48時間の蛋白質の加水分
解を施してなる大豆粕AaおよびBaの場合並びに従来
のアルコール洗浄処理を施してなる大豆粕の場合につい
てそれぞれ示している。
【0070】 この、表1によれば、無処理の大豆粕中のフィチン酸量
が約1%の999mgであるのに比較して、本発明方法に
従って焼酎麹処理を施した大豆粕AおよびB中のフィチ
ン酸量は366mgおよび358mgで、無処理の大豆粕の
フィチン酸量の約1/3強であり、その含有量は大きく
低減されている。更に、前記大豆粕AおよびBに対し
て、本発明方法に従って各生成物の重量と同重量の水を
加えて更に40℃で48時間の蛋白質の加水分解を施し
てなる大豆粕AaおよびBa中のフィチン酸量は検出さ
れない程度、即ちにフィチン酸が全部分解される程度ま
で低減されている。
【0071】一方、従来のアルコール洗浄処理を施した
大豆粕中のフィチン酸量は1150mgで全く減少してい
ない。
【0072】更に、本発明に基づく大豆粕Aと従来の無
処理の大豆粕に対して、それぞれイオン交換クロマトグ
ラフィー法により分解したところ、本発明に基づく大豆
粕Aについては図3に示すようなフィチン酸分解物のク
ロマト溶出パターンが得られ、従来の無処理の大豆粕に
ついては図4に示すようなフィチン酸分解物のクロマト
溶出パターンが得られた。
【0073】図3と図4とを比較すると、本発明に基づ
く大豆粕Aの方は、穀類を原料とした生成物中に含有さ
れているカルシウム等からなるミネラルの吸収を大きく
促進させる作用があるイノシトール4リン酸、イノシト
ール3リン酸、イノシトール2リン酸、イノシトール1
リン酸および無機リンが溶出されていて、ミネラルの吸
収を阻害するイノシトール5リン酸およびフィチン酸は
ほとんど溶出されておらず、大豆粕中に含有されている
発育促進作用や抗脂肪肝作用を有する有用なビタミンB
類等の活性を高く維持されて、当該大豆粕中に含有され
ているミネラル等の吸収が容易な大豆粕であることがわ
かる。このうち、無機リンは有機リンから無機リンに変
化して溶出されたものであり、体内に良好に吸収され易
くなり、大豆粕中に含まれている栄養素であるリンが体
内に吸収されることとなり、食品または飼料等として栄
養分を増大させるものである。
【0074】これに対し、従来の無処理の大豆粕の方
は、イノシトール4リン酸、イノシトール3リン酸、イ
ノシトール2リン酸およびイノシトール1リン酸に加え
て、ミネラルの吸収を阻害するイノシトール5リン酸お
よびフィチン酸も溶出されており、本発明の大豆粕Aに
比べてミネラルの吸収効率が非常に劣るものであること
がわかる。
【0075】このようにして本発明に従ってフィチン酸
を大きく若しくは完全に近く低減された大豆粕は、大豆
粕中に含有されている発育促進作用や抗脂肪肝作用を有
する有用なビタミンB類等の活性を高く維持されて、当
該大豆粕中に含有されているミネラル等の吸収が容易な
大豆粕となる。
【0076】このようにして製造された大豆粕を飼料等
として利用する場合には、図1および図2に示すよう
に、前記各実施例のようにして製造された大豆粕をそれ
ぞれ乾燥させ、その後粉砕することにより、フィチン酸
および少糖類を除去した粉砕大豆粕として、畜産用飼料
や水産養殖用の餌料の原料等の製品とする。
【0077】このように本発明によれば、生きている麹
菌を増殖させて穀類中のフィチン酸および少糖類を除去
したり、更に蛋白質を加水分解するものであるために、
穀類が固形状または液状であっても容易にフィチン酸お
よび少糖類を除去することができ、製造工程も簡単とな
り、製造コストも低廉となる。
【0078】従って、本発明によれば、従来方法の固形
状の生成物を製造する場合に発生していた次の問題点、
すなわち原料を液状とする工程が必要があり、更に、フ
ィチン酸および少糖類の分解処理後に液状物を固形物に
する後工程も必要となり、製造工程が複雑となり、コス
トも高いものとなる等の問題点を確実に解消することが
できる。
【0079】また、フィチン酸からリン酸基を少なくと
も2基遊離させることによりフィチン酸を除去すると、
ミネラルの吸収がより効率的に行なわれる生成物を得る
ことができる。
【0080】更に、請求項7および請求項10に記載の
本発明の穀類を原料とした生成物の製造方法において
は、原料に麹菌を接種して製麹することおよびその後の
加水分解を行なうことにより、麹菌が増殖されて穀類中
のフィチン酸および少糖類が除去されるとともにフィチ
ン酸分解酵素活性が高められることに着目している。す
なわち、本実施例においては、フィターゼ、フォスファ
ターゼというフィチン酸を分解する酵素およびアルファ
−ガラクトシターゼ、インベルターゼという少糖類を分
解する酵素を具備させるものであるために、当該穀類中
のフィチン酸および少糖類を容易に、かつ、短時間で確
実に除去することができるとともに、動物の胃腸内にお
いて当該フィチン酸分解酵素活性作用により穀類に含有
されるフィチン酸が更に分解されることとなり、当該生
成物のみならず一緒に食された穀類に含有されるフィチ
ン酸の分解も可能となり、穀類の消化吸収効率が非常に
高くなる。
【0081】次に、前記のようにして製造された本発明
の穀類を原料とする生成物を畜産用飼料として家畜に与
えた場合における家畜の糞尿による環境への影響につい
て以下の実験により説明する。
【0082】実験内容 供試動物としての7週齢の雄ラット30匹を、5試験区
(大豆粕区、A区、B区、C区、D区)に分けて、それ
ぞれ表2に示す配合飼料を給与し、その配合飼料の給与
開始から1週間経過後5日間糞および尿を採取して、各
ラットによる消化率および体重増加を調べた。
【0083】 表2において、大豆粕区に給与される大豆粕は無処理の
フィチン酸を含有する大豆粕であり、その他の区に給与
される処理大豆粕は前記の本発明に従って製造されたフ
ィチン酸を除去された処理大豆粕である。A区の処理大
豆粕は製麹を48時間、加水分解を12時間施したもの
であり、B区の処理大豆粕は製麹を48時間、加水分解
を3時間施したものであり、C区の処理大豆粕は製麹を
48時間、加水分解を1時間施したものであり、D区の
処理大豆粕はA区の処理大豆粕と同一のものである。こ
れらの各区の大豆粕および処理大豆粕のフィチン酸分解
産物含量は表3の通りであり、フィターゼ活性は表4の
通りである。D区に給与される配合飼料は、A区に給与
される配合飼料に対してフィチン酸ナトリウムを加入す
るとともにリン酸2水素ナトリウムを減量させたもので
ある。また、表2においては、最下部にカルシウム(C
a)、リン(P)およびフィチン酸の配合飼料内の含有
率を示している。
【0084】各区における消化率および体重増加は表5
に示す通りである。
【0085】 この表5においては、各ラットの配合飼料からなる乾物
摂取量とその糞排泄量とから配合飼料の消化率を求め、
前記乾物摂取量からリン摂取量を求め、前記糞排泄量か
らリンの糞排泄量を求め、リン摂取量とリンの糞排泄量
とからリンの吸収率を求めている。
【0086】この表5より、無処理の大豆粕を給与され
ている大豆粕区のリンの糞排泄量が平均38.5mg/日
であるのに対し、本発明により製造された処理大豆粕を
給与されているA区、B区、C区、D区のリンの糞排泄
量はそれぞれ平均16.3mg/日、18.5mg/日、1
9.3mg/日、14.3mg/日であり、大豆粕区の数値
の1/2以下となることがわかる。その結果、リンの吸
収率も本発明により製造された処理大豆粕を給与されて
いるA区、B区、C区、D区の方が、無処理の大豆粕を
給与されている大豆粕区のものに比較して15〜24%
も向上していることがわかる。
【0087】このことより、本発明の穀類を原料とした
生成物を畜産用飼料として用いれば、穀類中に含有され
ているフィチン酸が動物の体内に吸収しやすい形態、例
えばフィチン酸から少なくとも2基のリン酸基を遊離さ
れてイノシトール4リン酸、イノシトール3リン酸、イ
ノシトール2リン酸、イノシトール1リン酸およびイノ
シトールの単独若しくは複数からなる形態に変えられて
除去されているために、従来単胃の動物が消化吸収不可
能であったフィチン酸を消化吸収可能な形態として十分
に消化吸収していることがわかる。そして、穀類中にフ
ィチン酸として含有されているリンから少なくとも家畜
の成育に必要十分な量のリンを家畜が効率よく消化吸収
しているために、家畜の糞尿中に排泄されるリンの総量
を大きく低減することができるとともに、従来において
飼料中に混入させていたリン酸カルシウム等の無機リン
を混入させる必要もなくなり、家畜の糞尿が原因となる
環境汚染を確実に防止することができ、畜産用飼料のコ
ストも低減することができる。
【0088】更に、本実施例においては、表4に示すよ
うに、本発明により製造された処理大豆粕を給与されて
いるA区、B区、C区の方が、無処理の大豆粕を給与さ
れている大豆粕区のものに比較してフィターゼ活性すな
わちフィチン酸分解酵素活性が著しく高くなっている。
従って、本実施例においては、このフィターゼ活性の作
用により、ラットの胃腸内において穀類に含有されるフ
ィチン酸が更に分解されることとなり、表5に示すよう
に、A区、B区、C区の方が大豆粕区のものに比較し
て、リンの吸収効率が極めて優れていることがわかる。
更に、このことは、表5に示すように、D区において
は、配合飼料にフィチン酸ナトリウムを加入したことに
より、これが消化中に分解してフィターゼ等の酵素と同
等の作用を発揮して、リンの糞排泄量およびリンの吸収
率が他のA区、B区およびC区より一層優れたものとな
っていることより、フィターゼ活性すなわちフィチン酸
分解酵素活性によってラットの胃腸内において穀類に含
有されるフィチン酸が更に分解されていることがわか
る。従って、本実施例によれば、製麹処理並びに加水分
解処理により穀類から生成された生成物のみならず、動
物の胃腸内においてその生成物と一緒に食された穀類に
含有されているフィチン酸の分解も可能となり、穀類の
消化吸収効率が非常に高くなり、従来のようにフィター
ゼを単品で用意して穀類中に混合させる必要もなくな
る。特に、豚等の多種類の穀類を飼料とする場合に、本
実施例の処理大豆粕を飼料に入れることにより、当該飼
料中の穀類の消化吸収効率を非常に高くすることがで
き、ひいては動物の糞中に排泄されるリンの量を低減さ
せて家畜糞尿による環境汚染を有効に防止することがで
き、飼料に予め混入させる無機リンの量も大きく低減さ
せることができ、また、従来において穀類の飼料に添加
していたフィターゼの添加を省くことができ、コストの
低廉化を図ることができる。
【0089】次に、穀類中の少糖類除去した効果を確認
するために、ブロイラーについて下記のようにして育成
実験を行なった。
【0090】実験内容 供試動物としてのふ化後1週齢の雄ヒナ60羽(100
羽から60羽を選出したもの)を、3試験区(大豆粕
区、E区、F区)に分けて、電気バタリー育雛器および
群飼ケージ内で、それぞれ表6に示す配合飼料および水
を自由摂取によりを給与し、下記の調査項目についてそ
れぞれ調査した。
【0091】 表6において、大豆粕区に給与される大豆粕は無処理の
フィチン酸を含有する大豆粕であり、E区およびF区に
給与される処理大豆粕は前記の本発明に従って製造され
たフィチン酸および少糖類を除去された処理大豆粕であ
る。本実験例においては、麹菌としてアスペルギルス・
ニガーを用い、製麹を48時間、加水分解を12時間施
したものである。
【0092】調査項目と結果 1.発育と飼料関係について、1週間経過毎に各個体毎
に、1羽あたり平均体重(表7および図5)、1羽あた
り平均増体重(表8)、1羽あたり平均飼料摂取量(表
9)、飼料要求率(表10)を測定した。
【0093】 表7および図5より、雛の成長に有意差があり、本発明
方法によって製造された処理大豆粕が混入されている飼
料を摂取した雛の成育率が、無処理の処理大豆粕が混入
されている飼料を摂取した雛の成育率より優れているこ
とがわかる。
【0094】2.糞尿関係について、試験終了時前5日
間の糞を採取し、60℃で48時間乾燥したものに対し
て、P、CaおよびMgの濃度(表11)、糞中の少糖
類の含有量(表12)、糞中の成分分析値(表13)お
よび糞中のフィチン酸含有量(表14)を測定した。
【0095】 表12より、本発明方法によって製造された処理大豆粕
が混入されている飼料を摂取した雛の糞中には少糖類が
全く排泄されておらず、すこぶる消化効率がよいことが
わかる。これに対し、無処理の処理大豆粕が混入されて
いる飼料を摂取した雛の糞中には少糖類が消化されずに
排泄されていることがわかる。このことは、本発明方法
によって製造された処理大豆粕においては少糖類がよく
分解されていることを示している。
【0096】また、表13より、本発明方法によって製
造された処理大豆粕が混入されている飼料を摂取した雛
の方が、無処理の処理大豆粕が混入されている飼料を摂
取した雛に比較して、大豆各中に含有されている可溶無
窒素物の消化率がより優れていることがわかる。このこ
とは、本発明方法によって製造された処理大豆粕におい
ては可溶無窒素物がよく分解されていることを示してい
る。
【0097】また、表14より、雛においてもラットと
同様に、本発明方法によって製造された処理大豆粕が混
入されている飼料を摂取した雛の方が、無処理の処理大
豆粕が混入されている飼料を摂取した雛に比較して、フ
ィチン酸の排泄量が少なく、環境汚染防止の面において
も優れていることがわかる。
【0098】3.骨関係について、試験終了時に採取し
た大腿骨(右)の重量および比重(表15)およびミネ
ラル含有量(表16)を測定した。
【0099】 表15より、本発明方法によって製造された処理大豆粕
が混入されている飼料を摂取した雛と、無処理の処理大
豆粕が混入されている飼料を摂取した雛との間に、体重
あたり重量に有意差があり、表16より、本発明方法に
よって製造された処理大豆粕が混入されている飼料を摂
取した雛と、無処理の処理大豆粕が混入されている飼料
を摂取した雛との間に、大腿骨中のミネラル中のリン含
有量に有意差があることがわかる。
【0100】4.血液関係について、試験終了時に血液
を採取し、血奬を分離して、P、CaおよびMgの濃度
(表17)を測定した。
【0101】 表17より、本発明方法によって製造された処理大豆粕
が混入されている飼料を摂取した雛と、無処理の処理大
豆粕が混入されている飼料を摂取した雛との間に、血奬
中のミネラル中のリン含有量に有意差があることがわか
る。
【0102】なお、前記各実施例においては、大豆粕に
対して本発明を適用した場合を示したが、本発明はフィ
チン酸および少糖類を含有する穀類を原料としたあらゆ
る生成物、すなわち人の食料から養殖用の飼料、餌料ま
でに対して同様にして適用することができる。
【0103】また、本発明においては従来の製麹装置を
そのまま利用して実施することができ、生産ベースの装
置を特に製造する必要もなく、汎用性の高いものであ
る。
【0104】なお、本発明は前記実施例に限定されるも
のではなく、必要に応じて変更することができる。
【0105】
【発明の効果】このように本発明の穀類を原料とした生
成物およびその使用方法は構成され作用するものである
から、穀類中に含有されているフィチン酸を動物の体内
に吸収しやすい形態に変えて除去し、また、更に、フィ
チン酸分解酵素活性の高い生成物とさせて、動物の糞中
に排泄されるリンの量を低減させて家畜糞尿による環境
汚染を有効に防止することができ、飼料に予め混入させ
る無機リンの量も大きく低減させることができ、また、
従来において穀類の飼料に添加していたフィターゼの添
加を省くことができ、コストの低廉化を図ることができ
る等の効果を奏する。また、穀類中に含有されている少
糖類が除去されているために、少糖類を消化できないブ
ロイラー等に供給すると、軟便質を解消させ、下痢を防
止させて、養鶏環境を衛生的に保持することができ、育
成効率を高めることができ、健康なブロイラーの飼育を
行なうことができる。
【0106】また、本発明の穀類を原料とした生成物の
製造方法は、穀類中のフィチン酸を、穀類の状態が固形
状であっても容易に除去することができ、生成物中に含
有されているビタミンB類等の活性を高く維持して、当
該生成物中に含有されているミネラル等の吸収が容易で
あり、更にその吸収を促進可能な生成物を得ることがで
き、製造工程も簡単であり、製造コストも低廉となる等
の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明により大豆粕中のフィチン酸および少糖
類を除去した生成物の製造方法の1実施例を示す工程図
【図2】本発明により大豆粕中のフィチン酸および少糖
類を除去した生成物の製造方法の他の実施例を示す工程
【図3】本発明により大豆粕中のフィチン酸および少糖
類を除去した生成物に対するフィチン酸分解物のクロマ
ト溶出パターンを示す特性図
【図4】従来の無処理の大豆粕中のフィチン酸を除去し
た生成物に対するフィチン酸分解物のクロマト溶出パタ
ーンを示す特性図
【図5】本発明の方法によって製造された処理大豆粕を
混入させた飼料と、無処理の大豆粕を混入させた飼料を
供給した場合のブロイラーの体重増加の変化を示す線図
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12N 1/14 C12R 1:69)

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 穀類中に含有されているフィチン酸が動
    物の体内に吸収しやすい形態に変えられて除去されてい
    るとともに、前記穀類中に含有されている少糖類が除去
    されていることを特徴とする穀類を原料とした生成物。
  2. 【請求項2】 前記フィチン酸が少なくとも2基のリン
    酸基を遊離されて、イノシトール4リン酸、イノシトー
    ル3リン酸、イノシトール2リン酸、イノシトール1リ
    ン酸およびイノシトールの単独若しくは複数に変えられ
    て、動物の体内に吸収しやすい形態に変えて除去されて
    いることを特徴とする請求項1に記載の穀類を原料とし
    た生成物。
  3. 【請求項3】 穀類中に含有されているフィチン酸が動
    物の体内に吸収しやすい形態に変えられて除去されてい
    るとともにフィチン酸分解酵素活性を有しており、前記
    穀類中に含有されている少糖類が除去されていることを
    特徴とする穀類を原料とした生成物。
  4. 【請求項4】 請求項1または請求項2または請求項3
    に記載の穀類を原料とした生成物を畜産用飼料として用
    いることを特徴とする穀類を原料とした生成物の使用方
    法。
  5. 【請求項5】 穀類に麹菌を接種して製麹することによ
    り、前記穀類中に含有されているフィチン酸を動物の体
    内に吸収しやすい形態に変えて除去するとともに、前記
    穀類中に含有されている少糖類を除去して、前記穀類を
    原料とした生成物を製造することを特徴とする穀類を原
    料とした生成物の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記フィチン酸から少なくとも2基のリ
    ン酸基を遊離させて、イノシトール4リン酸、イノシト
    ール3リン酸、イノシトール2リン酸、イノシトール1
    リン酸およびイノシトールの単独若しくは複数を生成し
    て、前記フィチン酸を動物の体内に吸収しやすい形態に
    変えて除去することを特徴とする請求項5に記載の穀類
    を原料とした生成物の製造方法。
  7. 【請求項7】 穀類に麹菌を接種して製麹することによ
    り、前記穀類中のフィチン酸を動物の体内に吸収しやす
    い形態に変えて除去するとともにフィチン酸分解酵素活
    性を具備させ、前記穀類中に含有されている少糖類を除
    去して、前記穀類を原料とした生成物を製造することを
    特徴とする穀類を原料とした生成物の製造方法。
  8. 【請求項8】 穀類に麹菌を接種して製麹し、この製麹
    処理による生成物に加水することにより当該生成物中の
    蛋白質を加水分解するとともに前記穀類中のフィチン酸
    を動物の体内に吸収しやすい形態に変えて除去するとと
    もに、前記穀類中に含有されている少糖類を除去して、
    前記穀類を原料とした生成物を製造することを特徴とす
    る穀類を原料とした生成物の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記フィチン酸が少なくとも2基のリン
    酸基を遊離されて、イノシトール4リン酸、イノシトー
    ル3リン酸、イノシトール2リン酸、イノシトール1リ
    ン酸およびイノシトールの単独若しくは複数を生成し
    て、前記フィチン酸を動物の体内に吸収しやすい形態に
    変えて除去することを特徴とする請求項8に記載の穀類
    を原料とした生成物の製造方法。
  10. 【請求項10】 穀類に麹菌を接種して製麹し、この製
    麹処理による生成物に加水することにより当該生成物中
    の蛋白質を加水分解するとともに前記穀類中のフィチン
    酸を動物の体内に吸収しやすい形態に変えて除去すると
    ともにフィチン酸分解酵素活性を具備させ、前記穀類中
    に含有されている少糖類を除去して、前記穀類を原料と
    した生成物を製造することを特徴とする穀類を原料とし
    た生成物の製造方法。
  11. 【請求項11】 麹菌は、遺伝子操作により、毒素を生
    成する遺伝子を除去され、フィチン酸の分解機能および
    少糖類の除去機能を備えた遺伝子を有するように遺伝子
    的に形成されていることを特徴とする請求項5から請求
    項10のいずれか1項に記載の穀類を原料とした生成物
    の製造方法。
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