JPH0822320B2 - ラケツト用ガツト及びその製造方法 - Google Patents

ラケツト用ガツト及びその製造方法

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JPH0822320B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、ラケット用ガット及びその製造方法に関す
る。
〔従来の技術とその問題点〕
従来、テニスやバドミントンのラケットに使用される
ガットは、羊や鯨等の動物筋の適度の撚りをかけ、これ
を集束剤で固定させて剛毛化したものが用いられてい
た。このような従来のガットは剛性が高く極めて弾力性
に富むと共に、使用中の弛みが少ない等の優れた物性を
示し、さらに打球時の感触、打球音にも優れている。と
ころが耐水性に極めて弱く、雨天時等においては張力及
び強度の低下が著しく、しかも該動物筋は一般に効果で
あるという欠点があった。
そこで、このような動物筋ガットの欠点を解消するた
めに、モノフィラメント又はマルチフィラメントを適度
に撚り加工、樹脂加工した合成繊維ガットが開発され、
善及してきた。該合成繊維ガットにはポリアミド系と非
ポリアミド系があり、前者はナイロン6、ナイロン66及
びそれらの共重合体繊維からなり、動物筋ガットに比
し、耐水性、耐久性に優れているが、剛性及び弾性率が
劣り、使用中に糸の弛みを生じたりして、打球時の感触
及びボールの反撥力が不充分であるという欠点があっ
た。また後者にはポリエーテルエーテルケトン(特開昭
60-21073号公報)、ポリフッ化ビニリデン(特開昭57-8
9611号公報)、及びポリアセタール(特開昭60-279514
号公報)からなるのがあるが、いずれも剛性は高いもの
の、反撥力が劣るという欠点があった。
さらに、最近では主としてポリアミド系のモノフィラ
メントのまわりに金属細線を螺旋上に巻着し、該金属細
線を合成繊維で被覆したもの(実公昭52-15301号公
報)、上記金属細線の代わりにカーボン繊維を巻着した
もの(実公昭58-50937号公報)、あるいはポリアミド繊
維とアラミド繊維を複合化したもの(特開昭59-64073号
公報)等々のいわゆる複合ガットも開発されているが、
これらにおいても剛性は高いが、延伸度が小さく、反撥
力も劣るため、打球時における感触が悪くボールが飛ば
ないという問題点があった。
〔目的〕
本発明はこれら従来の問題点を解決して、耐水性及び
耐久性に優れ、剛性が高く、しかも弾力性に富むラケッ
ト用ガットを提供すること、及び、このような高性能、
高品質のラケット用ガットを容易かつ安価に製造するこ
とを目的とする。
〔本発明を解決するための手段〕
本発明に係るラケット用ガットは、ポリアミド系の合
成繊維よりなるラケット用ガットであって、歪み率τが
10%のときの張力Sが28kg/mm2〜60kg/mm2に設定されて
いる。また、本発明に係るガットの製造方法は、張力と
して5〜17kg/mm2を掛けつつ、又は8〜20%の歪み率だ
け延伸しつつ、加熱温度T(単位:℃)が150〜200℃の
もとで、加熱時間(x)(単位:分)を、 x≧exp{(1300/T)−6.5} として加熱するものである。
〔作用〕
上記ラケット用ガットの構成によれば、歪み率が10%
のときの張力が実使用上の最適値である28kg/mm2〜60kg
/mm2に設定されたので、該ラケット用ガットは、弾力性
に富み、耐久性に優れ、かつ反撥力も優秀なものとな
る。また、上記ガットの製造方法によれば、加熱延伸さ
れたポリアミド系合成繊維は、その結晶の融点近傍温度
にて所定の高張力が掛けられ延伸するので、折畳構造か
らなる該結晶を部分的にときほぐし、繊維が再組繊化さ
れ、結晶の融点が増加し、耐熱性が向上する。さらに、
これら所定の熱処理が施されることによって、非晶鎖セ
グメントの配向度が増加し、該セグメントのミクロブラ
ウン運動に寄因する力学分散は高温側にシフトしてエネ
ルギ損失の小さい合成繊維が生産される。
〔実施例〕
以下、図面に基づき本発明を詳説する。
第2図は、ラケット用ガットに使用される外径1.1mm
〜1.4mmの周知の合成繊維を例示したものであって、
〔I〕及び〔II〕は、ポリアミド系合成繊維からなる芯
線1と、撚り加工及び樹脂加工によって該芯線1も被覆
するポリアミド系合成繊維が含有された耐熱合成繊維の
多数の巻線2…とから構成され、又〔III〕は、ポリア
ミド系合成繊維からなるマルチフィラメント3を撚り加
工及び樹脂加工により成形されたものである。
本発明のラケット用ガットは、上記合成繊維が、所定
の加工条件下、加熱延伸されてなり、又、図示は省略す
るが、ポリアミド系を主成分とした合成繊維のモノフィ
ラメントを芯線及び/又は巻線に使用して、構成された
合成繊維ガットに加熱延伸加工を施すも自由である。
しかして、上記加工条件は、加熱温度、加熱時間及び
加熱時の合成繊維の張力により決定され、さらにこれら
の条件は所望の弾性力、耐久性等が達成することができ
る値に設定される。すなわち、加熱温度に関しては、低
すぎる場合は処理効果が小さく所期の目的が達成でき
ず、高すぎる場合は繊維の酸化劣化が生じ耐久性に劣る
という問題点が生じる。また張力に関しては、低すぎる
場合は、高弾性の合成繊維が得にくく、高すぎる場合
は、合成繊維が切断する虞があり、これらの点を考慮し
て所望の加工条件が決定される。具体的には、加工前の
合成繊維の張力Wは5.0kg/mm2〜17kg/mm2。(好ましく
は10kg/mm2〜15kg/mm2)、又は繊維の延伸率ψが8%〜
20%(好ましくは13%〜18%)に設定され、また加熱温
度Tは150℃〜200℃(好ましくは165℃〜190℃)に設定
される。
さらに加熱時間xは下記の(i)式に示す如く、加熱
温度Tの関数として表され、決定される。
x=exp{(1300/T)−6.5}……(i) 従って、加熱温度Tが低い時は加熱時間xが長時間を
要することとなる。尚、(i)式は加熱に要する最低時
間を示すものであり、これ以上の時間に設定するのは自
由である。また、単位は加熱温度Tは「℃」であり、加
熱時間xに「分」である。しかして、このような加工条
件下において加熱延伸されたポリアミド系合成繊維は、
その結晶の融点近傍温度にて所定の高張力が掛けられ延
伸するので、折畳構造からなる該結晶を部分的にときほ
ぐし、繊維が再組繊化され、結晶の融点が増加し、耐熱
性が向上する。さらに、これら所定の熱処理が施される
ことによって、非晶鎖セグメントの配向度が増加し、該
セグメントのミクロブラウン運動に寄因する力学分散は
高温側にシフトしてエネルギ損失の小さい合成繊維が生
産される。
従って、該合成繊維は、弾性力に富み、耐久性に優
れ、反撥力の優秀な製品となり、ラケット用ガットとし
て最適なものとなるのである。
次に、本発明ガットの製造方法及び特性について詳説
する。
一般に従来の方法においては、未処理の合成繊維にゾ
ーン延伸、及びゾーン熱処理を施すことによって、延伸
加熱されているが、この方法においては、加工時の張力
Wが小さく加熱時間xも短いため、高弾性化を対応する
ことができない。
そこで、本発明は下述の如き方法により、加熱延伸加
工を施したのである。尚、以下に延べる方法において、
加工前の合成繊維としては、上述のゾーン延伸及びゾー
ン熱処理を施された市販の合成繊維を使用し、その特性
は歪み率τを10%で延伸させた時の張力Sが14.0〜27.0
kg/mm2、引張強度が60〜70kg/mm2のものである。
第3図において、5は本発明のガットの製造装置であ
って、合成繊維4が加熱される加熱炉5と、該加熱炉5
の両端外方に配設されて、該合成繊維4に係合される左
右一対の滑車7,7、と該合成繊維4に懸吊される左右一
対のウエイト8,8と、からなる。
しかして、所定位置にセットされた合成繊維4は、上
記ウエイト8,8によって所定の荷重Wが掛けられ、常に
一定の張力W′−すなわち5kg/mm2〜17kg/mm2−が付与
され、次いで一定の所定時間150〜200℃に加熱され、延
伸加工されるのである。第1表は該製造装置により製造
されたガットの加工条件を例示するものであり、第2表
は第1表の加工条件により製造されたガットの引張強度
特性を市販の従来品(ダンロップDTS-2000)との比較に
おいて明らかにしたものであり、歪み率τが5%及び10
%で延伸させた時の張力Sが、他のデータと共に示され
ている。尚、第1表において、試料A〜Fはナイロンモ
ノフィラメントを使用し、試料Gはダンロップ製DTS-20
00を使用したものである。また、加熱後の試料の水分率
は約0.3%である。
しかして、この第1表に示す如く、張力Wは5.4kg/mm
2〜13kg/mm2に設定され、所定の条件(5.0kg/mm2〜17kg
/mm2)を満足し、又加熱温度Tはいずれも173度に設定
され、さらに加熱時間xは(i)式により算出され、x
≒2分以上の加熱時間でもって加熱される。
また、第2表の引張強度特性はJIS-L1070に準じて行
われたものであって、歪み率τが10%で延伸させた時の
張力Sが大幅に増加しており、43.0kg/mm2〜58.4kg/m
m2)破断強度(kg)も約1.3倍に増加すすことが判る。
さらに第1図は第2表の歪み率℃と張力Sとの関係をプ
ロットしたものである。この図から加工時の張力Wは10
kg/mm2以上であることが好ましいことが判り、また、加
熱時間xも長い方が好ましいことが判明する。
次に、反撥力特性を従来品との比較において確認する
ために第1表における試料Bを代表例とし、応力緩和試
験及びエネルギ損失試験を行った。
具体的には、応力緩和実験は、引張試験機にて本発明
ガット及び従来ガットに25kg/mm2の初期張力をかけて、
延伸率を同一に保持し、1時間後の保持率を測定した。
また、エネルギ損失試験は、引張試験機において、本
発明ガット及び従来ガットを夫々200m/minの速度で延伸
させ、30kg/mm2又は40kg/mm2の張力を掛け、延伸時の往
時の応力及び復時の応力を測定し、しかる後被測定物に
与えた全エネルギ及び復時における被測定物の内部発熱
等により失われたエネルギを算出し、後者を前者で除し
てエネルギ損失を算出する。応力緩和試験の結果を第3
表に、エネルギ損失試験の結果を第4表に夫々示した。
これらの結果により、本発明ガットは従来品ガットに
比べ応力緩和が小さく、エネルギ損失も小さいことが確
認され、反撥力に富むことが証明された。
さらに、別の製造方法を詳説する。
第4図において、5は、別の製造装置であって、合成
繊維4が加熱されて通過する加熱炉6と、該加熱炉6の
両端外方に配設され、矢印M方向に回転して、該合成繊
維4を矢印N方向に連続的に送出、巻取するための適数
個のローラ9…とからなる。
しかして、合成繊維4が所定位置にセットされると共
に、巻取側のローラ9,9の回転速度が送出側のローラ9,9
の回転速度よりも速くなるように設定され、常に一定の
延伸率ψを維持しつつ所定の加熱条件に設定された加熱
炉6内を通過し、所望のガットが得られるのである。
第5表は該製造装置により製造されたガットの加工条
件を例示するものであり、第6表は第5表の加工条件に
より製造されたガットの引張強度特性を市販の従来品と
の比較において明らかにしたものである。
しかして、第5表において、試料H〜Jはナイロンモ
ノフィラメントを使用し、試料KはダンロップDTS-2000
を加熱延伸させたものである。
さらに、該合成繊維4の送出時の張力は2.3kg/mm2
設定され、延伸率4が10%及び15%に設定されて製造し
たものであり、かつ加熱時間xは(i)式により算出さ
れ、加熱時間x=2分以上の時間に設定されている。
また、第6表において市販の従来品ガットb〜dは夫
々ダンロップDTS-2000、ゴーセンオージオシープミク
ロ、ナイロンモノフィラメントを使用して比較した。こ
れらの結果から上述の加熱延伸処理を施すことにより、
弾性力及び破断強度共、大巾に向上することが証明され
た。さらに、第5図は第6表における歪み率τと張力S
との関係をプロットしたものである。この図から加工条
件の延伸率ψは大きい方が好ましいことが判明する。
尚、本製造装置5において、延伸率ψを一定とする代わ
りに、張力W一定とするも、また、加熱炉6内にチッ素
ガスを流入させることも、自由である。
しかして、上述の如き歪み率τが10%に延伸させた時
の張力が所望の張力−すなわち28〜60kg/mm2−に設定さ
れたガットをヨコ糸を27.2kg、タテ糸を21、8kgの張力
にてラケットに装着し、実用性を検査すべく、反撥係数
及び耐久性の測定を行った。
具体的には、反撥係数の測定は、第6図に示す如く、
複数本のガット15…が張設されたラケット10を治具11に
吊り下げると共に、発射装置12内に格納されたテニスボ
ール13を該発射装置12から発射させ、該ラケット10のガ
ット15…にテニスボール13を矢印Q,Q′に示す如く衝突
反撥させ、該テニスボール13の衝突前後の速度をボール
速度測定装置14によって測定し、そして衝突前後の速度
比によって、反撥係数が算出される。
また、耐久性テストは、第7図に示す如く、複数本の
ガット15が張設されたラケット10を設けると共に、テニ
スボール13が格納された発射装置12を設け、該発射装置
12から30m/sのスピードでテニスボール13を発射させ、
該テニスボール13を連続的に繰り返し該ガット15に矢印
R方向に衝突反撥させ、ガット15が切断するまでのテニ
スボール13の衝突回数を測定して、判断した。該ガット
15の反撥係数及び耐久性テストは、試料B、Kを代表例
として測定し、従来品ガットとしては試料bを比較品と
して測定した。さらに耐久性テストは試料G,K,b,cを使
用して比較実験をした。
実験結果を第7表及び第8表に夫々掲載した。
上述の如く、反撥係数、耐久性共飛躍的に向上し、反
撥力、耐久性等においても優秀性が証明された。このよ
うに、歪み率τが10%に延伸させた時の張力が28kg/mm2
〜60kg/mm2に設定されれば、所望のガットに合致する合
成繊維を得ることができるのである。
さらに、第8図は本発明ガットの反撥弾性力の目安と
なる粘弾性測定の結果をグラフで示したものである。該
粘弾性測定に供試された試料は、外径1.3mmの市販のナ
イロンガットを延伸率ψ8%でもって延伸させて後、所
定の金属枠に該ガットを固定し、さらに172℃の加熱温
度Tにて10分間加熱し、所定時間放冷後、上記金属枠か
ら該ガットを取外し、引張試験にかけた。該引張試験は
引張速度20mm/minで行い、歪み率τが5%に延伸させた
時の張力は12.9kg/mm2であった(従来品ガット(未処理
ガット)は7.4kg/mm2)。そして、該本発明ガットと従
来品の粘弾性を測定したのである。この図から判るよう
に、いわゆる力学分散は高温側にシフトすると共に、合
成繊維の反撥弾性の目安となるtanδの値が、常用され
る−雰囲気温度−5℃〜30℃の範囲において、従来品ガ
ットが最大値0.082を示すのに対して、本発明ガット0.0
68と大巾に低下しており、このことからもエネルギ損失
が小さいことが判り、反撥弾性力が向上していることが
証明された。
〔発明の効果〕
上記構成によれば、歪み率τが10%のときの張力Sが
28kg/mm2〜60kg/mm2に設定されたので、ポリアミド系の
合成繊維からなるラケット用ガットでありながら、剛性
が高く弾力性に富み、耐水性耐久性に優れると共に、打
球時の感触及びボールの反撥力が優秀で、使用中に糸が
弛む虞のないガットを実現することができる。特に打撃
時に適度に延伸して、スピンが掛け易い。しかも該ガッ
トは合成繊維からなるので動物筋ガットのように高価で
なく、安価にかつ均一な優れた特性のガットを製造する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係るガットの張力特性を従来品ガット
との比較において一例を示した張力歪み線図、第2図は
本発明に係るガットの素材となる市販のガットを例示し
た拡大断面図、第3図は同製造方法の一例を示す簡略装
置図、第4図は別の製造方法例を示す簡略装置図、第5
図は別の張力歪み線図、第6図は反撥係数を測定するた
めの簡略実験装置図、第7図は耐久性テストを行うため
の簡略実験装置図、第8図は本発明に係るガットの粘弾
性を従来品のガットとの比較において示した粘弾性特性
図である。 τ…歪み率、S…張力

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリアミド系の合成繊維よりなるラケット
    用ガットであって、歪み率τが10%のときの張力Sが28
    kg/mm2〜60kg/mm2に設定されたことを特徴とするラケッ
    ト用ガット。
  2. 【請求項2】張力として5〜17kg/mm2を掛けつつ、又は
    8〜20%の歪み率だけ延伸しつつ、加熱温度T(単位:
    ℃)が150〜200℃のもとで、加熱時間(x)(単位:
    分)を、 x≧exp{(1300/T)−6.5} として加熱することを特徴とするラケット用ガットの製
    造方法。
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