JPH0822447B2 - 高圧ホース補強用金属線の製造方法及び高圧ホース - Google Patents

高圧ホース補強用金属線の製造方法及び高圧ホース

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JPH0822447B2
JPH0822447B2 JP3052714A JP5271491A JPH0822447B2 JP H0822447 B2 JPH0822447 B2 JP H0822447B2 JP 3052714 A JP3052714 A JP 3052714A JP 5271491 A JP5271491 A JP 5271491A JP H0822447 B2 JPH0822447 B2 JP H0822447B2
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Yokohama Rubber Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は油圧作動機械などに用い
られる高圧ホース補強用金属線の製造方法及びこの金属
線を用いた高圧ホースに関する。
【0002】
【従来の技術】油圧機器(例えばパワーショベルなど)
で使用される高圧ホースは、機械の大型化やスピードア
ップなどの要求性能に対応して、年々耐圧力負荷の大き
いものの開発が要求されている。
【0003】高圧ホースは、例えば図1(A)及び
(B)に示すように、管状の内面層1の外側に、補強層
2及び中間層3が複数層被覆し、更に外面層4を被覆し
た構造を有している。
【0004】内面層1は内側に流体(油、水など)を通
すものであり、その材質としては流体の漏れを防止し流
体をスムーズに流すように、その流体の性質に適合する
ゴム又はプラスチックからなる可撓性材料が選択され
る。補強層2は金属線を網目に編むか、又は金属線をス
パイラル状に巻回することにより形成される。金属線を
スパイラル状に巻回する場合、隣接する補強層2で巻回
方向を互いに逆方向とすることが好ましい。中間層3は
補強層2の層間を充填し、補強層2相互の接触、摩擦を
防止する作用を有する。補強層2及び中間層3の数は目
的に応じて任意でよいが、一般には偶数層とすることが
好ましい。外面層4は補強層2を外部から保護するため
に設けられる。
【0005】このような高圧ホースの耐圧力性能を向上
させるためには、補強層の数を多くすることが考えられ
る。しかし、補強層の数が多くなると、内層と外層との
バランスがくずれて、目的とする耐圧力が得られない。
また、補強層の数を多くすれば高圧ホースの外径も太く
なるため、装置全体が大きくなり、油圧機器の軽量化及
びコンパクト化の要望に相反する。
【0006】そこで、補強層に用いる金属線の高強度化
が要望されている。従来、この用途に用いられる金属線
は、高炭素鋼線材の表面にめっき処理を施した後、円筒
ダイスを通し、高伸線加工を施して目的とする線径に加
工することにより製造されている。この際、線材を最終
焼入した後、伸線加工時に減面率を大きくすれば、金属
線の引張り強さを高くできることが知られている。ここ
で、減面率は、 減面率R={(A1 −A2 )/A1 }×100(%) A1 =伸線加工前のワイヤの断面積(mm2 ) A2 =伸線加工後のワイヤの断面積(mm2 ) で表わされる。
【0007】しかし、これまでの技術では、金属線の強
度を上げすぎると、金属線の靭性が低下していた。この
結果、製造された金属線は曲げに弱く、ホースに加工す
るときの曲げ加工に耐え切れずに金属線が折れたり、使
用時のホースの耐久性能例えば繰り返し衝撃に耐する耐
久性が上がらないなどの問題が起きていた。また、伸線
加工中に金属線が破断することもあった。したがって、
従来は金属線の靭性の低下を避けるために、それほど強
度を向上させることができなかった。具体的には、現在
までに高圧ホース用の金属線で達成できている最大の引
張り強さは、例えば線径0.60mmで290kgf/
mm2 (2840N/mm2 )程度であった。
【0008】前述したように、伸線加工により金属線の
靭性が低下するのは、伸線加工時により金属線の表面に
引張り残留応力が残るためである。この引張り残留応力
は、線材が伸線加工により引き伸ばされるとき、線材の
表面と内部とで加工変形度合が異なるために生じる。し
たがって、伸線加工において過加工になるほど、大きな
引張り残留応力が残り、金属線の靭性が大幅に低下す
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】以上述べたように、高
圧ホースでは、耐久性に優れていることが最も重要とな
る。耐久性を向上させるためには、ホースの補強層を構
成する金属線が高強度であり、しかも靭性に優れている
ことが必要不可欠である。これらの要件を同時に満足す
るためには伸線加工による金属線表面の引張り残留応力
を低減させることが要求される。
【0010】本発明の目的は、高強度で靭性に優れた金
属線を製造できる方法、及びこのようにして製造された
金属線を用い、最大破壊圧が大きくかつ繰り返し衝撃に
耐する耐久性に優れた高圧ホースを提供することにあ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段と作用】本発明の高圧ホー
ス補強用金属線の製造方法は、炭素含有率0.90〜
0.95%の線材を、アプローチ角が8度以下のダイス
を使用して湿式伸線加工して仕上線径を0.4mm以上
0.8mm以下にすることを特徴とするものである。
【0012】本発明の高圧ホースは、内面層と、交互に
複数層重ねられた補強層及び中間層と、外面層とを有す
る高圧ホースにおいて、前記補強層が、炭素含有率0.
90〜0.95%の線材をアプローチ角が8度以下のダ
イスを使用して湿式伸線加工された仕上線径0.4mm
以上0.8mm以下の金属線をスパイラル状に巻くか又
は編組したものからなることを特徴とするものである。
【0013】本発明においては、線材として、炭素含有
率が0.90〜0.95%の高炭素鋼が使用される。こ
れまで、金属線として使用されていた線材は、高強度型
でも炭素含有率が0.77〜0.82%のものであっ
た。金属線の強度を上げるためには、炭素含有率がより
高い線材を用いることが好ましい。ただし、本発明にお
いて用いられるような高炭素鋼は、最適な熱処理条件を
設定することが困難であり、従来はあまり使用されてい
なかった。これに対して本発明者らは、特願平1−11
5483号に開示したように最適熱処理条件を確立し
た。
【0014】この方法は、高炭素鋼からなる線材の最終
熱処理時に、線材を加熱してオーステナイト変態させた
後、パーライト変態温度にまで冷却する過程で、線材の
加熱後からA1 変態点を通過するまでの時間を0.8秒
以下に設定する方法である。本発明においても、この方
法により最終熱処理が行われる。
【0015】なお、本発明において用いられる高炭素鋼
は、基本成分以外にCrやCoを含有していてもよい。
これらの成分は、熱処理時に線材の金属組織を均一にし
て伸線加工を容易にする効果を持つ。また、線材には、
黄銅、亜鉛などをめっきしてもよい。
【0016】次に、本発明者らは、金属線の靭性の低下
と金属線表面の引張り残留応力の増加とが相関すること
に着目し、引張り残留応力を小さくできる最適な伸線加
工条件について検討するために、種々の条件で実験を行
った。その結果、金属線の伸線方向に沿ってダイス内で
金属線を細くしていく部分(アプローチ)の角度を小さ
くすることが、金属線表面の引張り残留応力を小さくす
るのに最も効果があることを見出した。このアプローチ
角(ダイス角度)について、図2に基づいて説明する。
図2はダイスの断面図であり、ダイスはケース11の内
部にニブ12が取り付けられた構造を有している。アプ
ローチとはニブ12において金属線を細くしていく部分
のことであり、アプローチ角は図中αで示される。
【0017】本発明において、アプローチ角が8度以下
のダイスを用いると規定したのは、アプローチ角が8度
を超えると金属線表面の引張り残留応力が大きくなり、
金属線の靭性が低下が大きくなるためである。
【0018】本発明の方法を用いれば、従来強伸線加工
が難しいといわれていた線材でも、高い減面率を得るこ
とができ、高強度かつ靭性の高い金属線を製造すること
ができる。また、この金属線を補強層に使用することに
より、高耐圧力を有するホースを得ることができる。
【0019】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。
【0020】線材として、JIS G3502に規定さ
れるピアノ線材SWRS92A(炭素含有率0.92
%)又は77A(炭素含有率0.77%)からなり、所
定線径を有するものを用い、特願平1−115483号
に開示した方法により最終焼入した後、黄銅めっきを施
した。各線材をアプローチ角(ダイス角度)が8度又は
12度のダイスがセットされた湿式伸線機により連続的
に伸線加工して、所定線径を有する仕上金属線を得た。
これらの金属線について、引張り強さ、捻回値(従来一
般的にいわれてきた靭性に対応)、及び引張り残留応力
を測定した。
【0021】次に、各金属線を編組したときの作業性に
ついて評価した。更に、所定の内径を有する内面ゴム層
の上に、金属線をスパイラル状に巻回した補強層及び中
間ゴム層を複数層ずつ設け、更に外面ゴム層を設けて高
圧ホースを作製した。これらの高圧ホースについて、最
小破壊圧力、及び耐久性能(インパルス性能)を測定し
た。なお、最小破壊圧力、及び耐久性能は、良好に作製
できた高圧ホースについて測定した。前述した測定方法
及び評価方法について以下に説明する。 [引張り残留応力の測定]
【0022】一般的に、金属線の引張り残留応力の測定
方法としては、X線回折法や、スプリット法などが知ら
れている。しかし、ホースに使用される金属線は線径が
細いため、これらの方法では引張り残留応力を測定する
ことができない。これに対して、本発明者らは種々の実
験を重ね、線径の細い金属線でも引張り残留応力を測定
することができる方法を考案した。この方法について、
図3を参照して説明する。
【0023】図3(A)に示すように、金属線21の片
面に耐酸塗料22を塗布し、耐酸塗料22を乾燥した
後、露出部分を酸でエッチングする。この場合、残留応
力があると、図3(B)に示すように金属線21は円弧
状に湾曲する。残留応力が大きいほど、金属線21の湾
曲が大きくなる。すなわち、残留応力の大きさは金属線
21の曲率半径Rの逆数と相関するので、Rを測定し、
1/Rから残留応力の相対値を求めることができる。 [編組作業の評価]
【0024】高圧ホースの製造において金属線を編組し
て補強層を形成する際に、金属線の切断が発生しなけれ
ば良好、金属線の切断がときどき発生した場合には可、
金属線の切断が多発した場合には不良と判定した。 [最小破壊圧力の測定] JIS K6349(1975)に規定される破壊試験
法により、ホースの最小破壊圧力を測定した。 [耐久性能(インパルス性能)の評価]
【0025】SAE J343Dに規定される衝撃圧力
試験法に準じて試験を行い、ホース破壊に至る回数によ
りインパルス性能を評価した。なお、取付は180ベン
ド(−8〜−12)、90ベンド(−16以上)とし
た。試験油としてSAE #30相当油を用い、油温を
120℃に設定した。常用圧力は各サンプルの最小破壊
圧力の1/4とした。圧力波形は図4の斜線部で表わさ
れるSAE矩形波型とした。線材の加工条件、仕上金属
線の物性、及びホース性能を表1及び表2に示す。な
お、表1及び表2の各試料の共通的な仕様は以下の通り
である。
【0026】No.1〜7は、仕上金属線の線径が0.
6mm、補強層を構成する金属線の被覆密度の平均値が
92%、補強層の数が4層、高圧ホースの内径が25m
mである。
【0027】No.11〜13は、仕上金属線の線径が
0.4mm、補強層を構成する金属線の被覆密度の平均
値が92%、補強層の数が4層、高圧ホースの内径が2
5mmである。
【0028】No.21〜23は、仕上金属線の線径が
0.5mm、補強層を構成する金属線の被覆密度の平均
値が92%、補強層の数が4層、高圧ホースの内径が2
5mmである。
【0029】No.31〜33は、仕上金属線の線径が
0.8mm、補強層を構成する金属線の被覆密度の平均
値が92%、補強層の数が6層、高圧ホースの内径が5
0mmである。
【0030】また、表1及び表2において、引張り残留
応力、最小破壊圧力、及び耐久性能(インパルス性能)
に関しては、鋼種として77Aを用いた仕上金属線の値
を100として、線径が同一のものについて指数(相対
値)で表示している。
【0031】表1及び表2から明らかなように、実施例
のものはいずれも、高強度を有し、仕上金属線の引張り
残留応力が低く、編組作業性が良好であり、これらの金
属線を用いて作製された高圧ホースも耐久性に優れてい
る。
【0032】なお、表1及び表2からわかるように、捻
回値と編組作業性及びホース性能との関係よりも、残留
応力試験の傾向の方がより明確に表われており、本実施
例で採用した残留応力試験は、金属線の加工性やホース
の寿命向上を評価するのに有効な方法であることがわか
る。また、アプローチ角(ダイス角度)が8度未満(例
えば6度、4度)のものについても、同様に実施評価し
たが、同様の結果が得られた。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【発明の効果】以上詳述したように本発明を採用すれ
ば、高強度で靭性に優れた金属線を製造できる方法、及
びこのようにして製造された金属線を用い、最大破壊圧
が大きくかつ繰り返し衝撃に耐する耐久性に優れた高圧
ホースを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は高圧ホースを分解して示す側面図、
(B)は高圧ホースの端面を示す平面図。
【図2】伸線機に用いられるダイスの断面図。
【図3】(A)は金属線に耐酸塗料を塗布した状態を示
す説明図、(B)は金属線が残留応力の影響により湾曲
した状態を示す説明図。
【図4】高圧ホース中の試験油に加えられる圧力波形を
示す説明図。
【符号の説明】
1…内面層、2…補強層、3…中間層、4…外面層、1
1…ケース、12…ニブ、21…金属線、22…耐酸塗
料。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−220791(JP,A) 特開 平1−317616(JP,A)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素含有率0.90〜0.95%の線材
    を、アプローチ角が8度以下のダイスを使用して湿式伸
    線加工して仕上線径を0.4mm以上0.8mm以下に
    することを特徴とする高圧ホース補強用金属線の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 内面層と、交互に複数層重ねられた補強
    層及び中間層と、外面層とを有する高圧ホースにおい
    て、前記補強層が、炭素含有率0.90〜0.95%の
    線材をアプローチ角が8度以下のダイスを使用して湿式
    伸線加工された仕上線径0.4mm以上0.8mm以下
    金属線をスパイラル状に巻くか又は編組したものから
    なることを特徴とする高圧ホース。
JP3052714A 1991-03-18 1991-03-18 高圧ホース補強用金属線の製造方法及び高圧ホース Expired - Fee Related JPH0822447B2 (ja)

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