JPH08225977A - 電解用電極及びその製造方法 - Google Patents

電解用電極及びその製造方法

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JPH08225977A
JPH08225977A JP7052003A JP5200395A JPH08225977A JP H08225977 A JPH08225977 A JP H08225977A JP 7052003 A JP7052003 A JP 7052003A JP 5200395 A JP5200395 A JP 5200395A JP H08225977 A JPH08225977 A JP H08225977A
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雅之 小栗
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幸記 佐々木
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 チタン、白金及びタンタルの合金層を有する
チタン基体の該合金層表面に、酸化イリジウム5〜30
モル%と酸化タンタル70〜95モル%よりなる中間層
を介して、酸化イリジウム60〜98モル%と酸化タン
タル2〜40モル%よりなる外層を設けたことを特徴と
する電解用電極。 【効果】 耐久性に優れ、特に陽極に酸素発生を伴う金
属の表面処理、金属箔製造、回収等のための電解におけ
る陽極として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電解用電極及びその製造
方法に関し、さらに詳しくは、耐久性に優れ、特に陽極
に酸素発生を伴う金属の表面処理、金属箔製造、回収等
のための電解における陽極として有用な電解用電極及び
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術と課題】従来、チタン又はチタン合金より
なる基体上に、白金族金属や白金族金属酸化物及びバル
ブ金属酸化物を被覆した電極が多くの電解工業の分野に
おいて使用されている。しかし、高電流密度下で運転さ
れる金属の高速めっきや金属箔製造の分野では、使用中
に基体表面層に導電性の無い酸化物層が形成され、残存
する電極触媒物質の量が十分であっても電極としての機
能がなくなってしまうという不都合が生ずる。このよう
な導電性の無い酸化物の形成は、触媒層で発生する酸素
や電解液の浸透により基体表面が化学的腐食を起こすた
めであると考えられている。
【0003】この問題点を解決するため、従来より、電
極基体と触媒層との間に新たな層(以下、中間層とす
る)を設け、電極基体を保護する方法が採用されてい
る。この中間層に対しては、 十分な耐食性が有する
こと; 十分な電気伝導性があること; 電極基体
との密着結合性が良好であること; 触媒層との密着
結合性が良好であること; クラックの無い層である
こと; 電気化学的な活性が少ないこと; 製造コ
ストが安いこと等の特性を有していることが要求され
る。このような条件を満たすものとして、従来、互に原
子価の異なる2種以上のバルブ金属の酸化物からなる中
間層を形成する方法、バルブ金属酸化物と白金族金属又
は電気伝導性のある白金族金属酸化物からなる中間層を
形成する方法、バルブ金属又はその合金を溶射法やイオ
ンプレーティング等によって形成する方法等が提案され
ている。
【0004】その具体例として、特開昭59−3839
4号公報には、基体上に4値の原子価を有するチタン及
びスズから選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物と5
価の原子価を有するタンタル及びニオブから選ばれる少
なくとも1種の金属の酸化物との混合酸化物からなる中
間層を設け、その上に電極活性物質を被覆した電極が提
案されている。しかし、上記中間層は酸素発生活性能は
無いものの電気伝導性が十分ではないという問題があ
る。
【0005】また、特開昭57−192281号公報に
は、チタン又はチタン合金を基材とし、且つ金属酸化物
よりなる電極被覆を有する電極において、その中間層と
してタンタル及びニオブの導電性酸化物層を設けた酸素
発生を伴う電解用電極が提案されているが、本中間層は
耐食性が良好であるものの電気伝導性が十分ではない。
【0006】特開平1−301876号公報には、導電
性基体上にイリジウム40〜90モル%、白金0.1〜
30モル%及びタンタル50〜10モル%を含有する酸
化イリジウム、白金金属及び酸化タンタルからなる下地
層を介して、酸化イリジウム層又は多くとも50モル%
のタンタルを含有する酸化イリジウム−酸化タンタル層
を上地層として設けた酸素発生用電極が提案されてい
る。この電極の下地層は電気伝導性が良好であるもの
の、耐食性に劣りまた酸素発生活性能を有するためにや
がては基体の不働態化が起こるという問題がある。
【0007】さらに、特開平5−287572号公報に
は、導電性基体上に、金属換算でイリジウム8.4〜1
4モル%及びタンタル86〜91.6モル%を含有する
酸化イリジウムと酸化タンタルからなる下地層を介し
て、金属換算でイリジウム80〜99.9モル%及びタ
ンタル0.1〜20モル%を含有する酸化イリジウムと
酸化タンタルからなる上地層を設けた酸素発生用電極が
提案されている。この電極の下地層は或る程度の耐食性
と電気伝導性を有しているものの、基体への電解液及び
触媒層からの酸素の浸透は避けられず、やがては基体の
不働態化が起こるという問題を有しており、前記の課題
の根本的な解決には至っていない。
【0008】また、特開平5−171483号公報に
は、チタン又はその合金よりなる導電性基体上に、金属
タンタル及び/又はその合金の粉末を減圧下の非酸化性
雰囲気中でプラズマ溶射を行うことにより金属タンタル
及び/又はその合金を主成分とする中間層を設け、該中
間層上にタンタル化合物及びイリジウム化合物を含む溶
液を塗布し、酸化性雰囲気中で360〜550℃に加熱
することにより酸化イリジウムを20重量%以上含み残
部が酸化タンタルよりなる電極活性層を設けた酸素発生
陽極の製法が開示されている。上記の中間層は、溶射表
面層より凸凹のある多孔質層となることから電極活性層
との密着結合性が優れているものの、特公平5−571
59公報に記載されているように、該多孔質層には通常
3〜25%程度の気孔が存在するため、導電性基体への
電解液の浸透を完全に制御することは難しく、またタン
タル及びその合金も触媒層で発生する酸素や電解液の接
触により化学的腐食を起こし、やがては該中間層も不働
態化が起こるという問題があり、前記の課題を根本的に
解決するには至っていない。
【0009】さらに、特開平2−282491公報に
は、バルブ金属又はその合金よりなる導電性金属基体上
に電極活性物質を被覆した電極において、該基体と電極
活性物質層との間に、金属タンタル及びその合金を主成
分とする薄膜中間層を設けた酸素発生陽極が開示されて
いる。この薄膜中間層は、有機タンタル化合物又はタン
タル塩化物を含む溶液を塗布し非酸化性雰囲気中で加熱
することにより形成されるものであるが、この中間被覆
層も導電性基体への電解液の浸透が起こり、導電性基体
の不働態化が起こる。また、真空蒸着法、スパッタリン
グ法、イオンプレーティング法、イオン注入法又は気相
メッキ法により中間層を形成する方法も提案されている
が、これらの方法により形成される薄膜中間層は、導電
性基体への電解液の浸透を抑制する効果が育るものの、
電極活性物質被覆層との密着性が十分ではなく、また設
備が大型化しても生産性が悪く工業的利用においても難
点がある。
【0010】本発明の目的は、従来の電解用電極がもつ
上記の如き問題を解決し、高電流密度下で運転される金
属の高速めっきや金属箔製造用の陽極として用いても、
充分に耐久性のある電解用電極及びその製造方法を提供
することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、長期間に
わたって使用可能な酸素発生を伴う電解用電極を開発す
るために種々検討を重ねた結果、チタン金属と白金とタ
ンタル金属の合金層がチタン単体より耐食性が向上する
との知見を得、更にそのチタンと白金とタンタルの合金
層上に該合金層を保護するため耐食性のある中間層を設
けた後、中間層上に酸素発生活性物質である外層を設け
ることにより、耐久性の有る酸素発生電解用電極が得ら
れることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】かくして、本発明は、チタン、白金及びタ
ンタルの合金層を有するチタン基体の該合金層表面に、
酸化イリジウム5〜30モル%と酸化タンタル70〜9
5モル%よりなる中間層を介して、酸化イリジウム60
〜98モル%と酸化タンタル2〜40モル%よりなる外
層を設けたことを特徴とする電解用電極を提供するもの
である。
【0013】本発明はまた、(a) 白金層を表面に設
けたチタン基体に、タンタル電極を用いて放電加工を行
ない、チタン基体表面にチタン、白金及びタンタルの合
金層を形成せしめ、(b) チタン基体の該合金層表面
に、イリジウム化合物とタンタル化合物を含有する溶液
を塗布した後、酸化性雰囲気中で熱処理することによ
り、酸化イリジウム5〜30モル%と酸化タンタル70
〜95モル%よりなる中間層を形成せしめ、(c) 次
いて、該中間層上にイリジウム化合物とタンタル化合物
を含有する溶液を塗布した後、酸化性雰囲気中で熱処理
することにより、酸化イリジウム60〜98モル%と酸
化タンタル2〜40モル%よりなる外層を形成せしめる
ことを特徴とする本発明の前記電解用電極の製造方法を
提供するものである。
【0014】以下、本発明の電極及びその製造方法につ
いてさらに詳細に説明する。
【0015】本発明においては、電極基体としてのチタ
ン基体の表面に、まず、チタン、白金及びタンタルの合
金層が設けられる。この合金層の一形成は、白金層を表
面に設けたチタン基体表面に、タンタル電極を用いた放
電加工により行なうことができる。上記白金層の形成
は、例えば、電気めっき法又は白金化合物を含有する溶
液を塗布した後、該白金化合物の分解温度以上の温度で
熱処理する方法により行なうことができる。
【0016】チタン基体表面に白金層を電気めっき法に
より形成する場合、チタン基体は通常以下に述べる方法
で前処理した後に白金が電気めっきされる。
【0017】先ず、チタン基体の表面を、常法に従い、
例えばアルコール等で洗浄し及び/又はアルカリ溶液中
での電解により脱脂した後、フッ化水素濃度が1〜20
重量%のフッ化水素酸又はフッ化水素酸と硝酸、硫酸等
の他の酸との混酸で処理することにより、チタン基体表
面の酸化膜を除去するとともにチタン結晶粒界単位の粗
面化を行う。該酸処理は、チタンの表面状態に応じて常
温ないし約40℃の温度において数分間ないし十数分間
行うことができる。このように酸処理されたチタン表面
を濃硫酸と接触させて、該チタン結晶粒界内部表面を突
起状に細かく粗面化するとともに、該チタン表面に水素
化チタンの薄い層を形成する。使用する濃硫酸は一般に
40〜80重量%、好ましくは50〜60重量%の範囲
内の濃度のものが適当であり、この濃硫酸には必要によ
り、処理の安定化を図る目的で少量の硫酸ナトリウム又
はその他の硫酸塩等を添加してもよい。該濃硫酸との接
触はチタン基体を濃硫酸の浴中に浸漬することにより行
うことができ、その際の浴温は一般に約100〜約15
0℃、好ましくは約110〜約130℃の範囲内の温度
とすることができ、また浸漬時間は通常約0.5〜約1
0分間、好ましくは約1〜約3分間で十分である。この
硫酸処理により、チタン結晶粒界内部表面を突起状に細
かく粗面化するとともに、チタンの表面にごく薄い水素
化チタンの被膜を形成させることができる。
【0018】硫酸処理されたチタン基体は硫酸浴から取
り出し、好ましくは窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲
気中で急冷してチタンの表面温度を約60℃以下に低下
させる。この急冷には洗浄も兼ねて大量の冷水を用いる
のが適当である。
【0019】このようにしてごく薄い水素化チタンの被
膜層を表面に形成せしめたチタン基体は、希フッ化水素
酸又は希フッ化物水溶液(例えば、フッ化ナトリウム、
フッ化カリウム等)中で浸漬処理して該水素化チタン被
膜を生長させ、該被膜の均一化及び安定化を図る。ここ
で使用しうる希フッ化水素酸又は希フッ化物水溶液中の
フッ化水素の濃度は、一般に0.05〜3重量%、好ま
しくは0.3〜1重量%の範囲内とすることができ、ま
た、これらの溶液による浸漬処理の際の温度は、一般に
10〜40℃、好ましくは20〜30℃の範囲とするこ
とができる。該処理はチタン表面に通常0.5〜10ミ
クロン、好ましくは1〜3ミクロンの厚さの水素化チタ
ンの均一被膜が形成されるまで行うことができる。
【0020】この水素化チタン(TiHy、ここでyは
1.5〜2の数である)は水素化の程度に応じて灰褐色
から黒褐色を呈するので、上記範囲の厚さの水素化チタ
ン被膜の形成は、経験的に該基体表面の色調の変化を標
準色源との明度対比によってコントロールすることがで
きる。このようにしてチタン表面を粗面化するとともに
水素化チタンの被膜を形成したチタン基体は、適宜水洗
等の処理を行った後、その表面を電気めっき法で白金層
で被覆する。
【0021】この電気めっき法に使用しうるめっき浴と
しては、たとえばH2PtCl6、(NH4)2PtC
l6、K2PtCl6、Pt(NH3)2(NO2)2等の白
金化合物を、硫酸溶液(pH1〜3)又はアンモニア水
溶液に、白金換算で2〜20g/l、特に5〜10g/
lの濃度になるように溶解し、さらに必要に応じて浴の
安定化のために硫酸ナトリウム(酸性浴の場合)、亜硫
酸ナトリウム、硫酸ナトリウム(アルカリ性浴の場合)
等を少量添加した酸性又はアルカリ性のめっき浴が挙げ
られる。
【0022】かかる組成のめっき浴を用いての白金電気
めっきは、チタン基体表面に形成された水素化チタン被
膜の分解をできるだけ抑制するため、所謂ストライクめ
っき等の高速めっき法を用い約30〜約60℃の範囲内
の比較的低温で行うのが望ましい。この電気めっきによ
り、チタン基体の水素化チタン被膜上に物理的密着強度
の優れた白金被膜層を形成せしめることができる。
【0023】その際のチタン基体上への白金のめっき厚
は一般に0.05〜2.0μmの範囲内とすることができ
る。白金のめっき厚が0.05μmより少ないと、白金
めっきしたことの十分な改善効果が見られず、逆に白金
のめっき厚が2.0μmを越えても、その厚みを増やし
ただけの効果は得られず、却って不経済となる可能性が
ある。白金のめっき厚は通常0.2〜1.5μmの範囲内
で十分である。ここで、白金層における白金の被膜厚
は、ケイ光X線分析法を用い次の如くして求めた値であ
る。すなわち、前述した如く前処理したチタン基体上に
前記の方法で形成せしめた種々の厚さ白金被膜層の白金
めっき量を湿式分析法及びケイ光X線分析法により定量
し、両方法による分析値をグラフにプロットして標準検
量線を作成しておき、次いで実際の試料をケイ光X線分
析にかけてその分析値及び標準検量線から白金の被膜厚
を求める。
【0024】また、白金層は、チタン基体表面に白金化
合物を含む溶液を塗布し、白金化合物の分解温度以上で
熱処理することによって形成することもできる。このよ
うにして白金層を形成する場合、チタン基体は以下に述
べる方法で前処理することが望ましい。
【0025】先ず、チタン基体の表面を、常法に従い、
例えばアルコール等で洗浄し及び/又はアルカリ溶液中
での電解により脱脂した後、フッ化水素濃度が1〜20
重量%のフッ化水素酸又はフッ化水素酸と硝酸、硫酸等
の他の酸との混酸で処理することにより、チタン基体表
面の酸化膜を除去するとともにチタン結晶粒界単位の粗
面化を行う。
【0026】該酸処理は、チタン基体の表面状態に応じ
て常温ないし約40℃の温度において数分間ないし十数
分間行うことができる。このように酸処理されたチタン
基体表面は通常水洗し、乾燥する。
【0027】次いで、表面処理されたチタン基体表面上
に白金化合物を塗布し、乾燥した後焼成する。
【0028】ここで使用する白金化合物としては、ジニ
トロジアンミン白金、塩化白金酸、塩化白金等が例示さ
れ、ジニトロジアンミン白金が好適である。
【0029】一方、これら白金化合物を溶解するための
溶媒としては、低級アルコールが好適であり、例えば、
メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール又
はこれらの混合物等が有利に用いられる。なお、ジニト
ロジアンミン白金は、低級アルコールに直接溶解しない
ので、はじめに硝酸水溶液に溶解し、白金金属換算で2
50〜450g/lに調整した後、低級アルコールに溶
解するのが望ましい。低級アルコール溶液中における白
金化合物の金属濃度は、一般に40〜200g/l、好
ましくは60〜150g/lの範囲内とすることができ
る。該金属濃度が40g/lより低いと白金の担持効率
が悪くなりやすく、また200g/lを越えると白金が
凝集しやすく、担持強度、担持量の不均一性等の問題が
生ずる傾向がみられる。
【0030】表面処理されたチタン基体表面上に白金化
合物を塗布した基体は、必要により約20〜150℃の
範囲内の温度で乾燥させた後、非酸化性雰囲気又は還元
性雰囲気中及び酸素含有ガス雰囲気中のいずれの雰囲気
中でも焼成することができる。例えば、非酸化性雰囲気
中(例えば、窒素ガス中又はアルゴンガス中)で焼成す
る場合には、約300〜550℃の範囲内の温度で焼成
することができ、また還元性雰囲気中(例えば水素ガス
中又は水素ガスと窒素ガスもしくはアルゴンガスとの混
合中)で焼成する場合は、約100〜200℃で焼成す
ることができ、さらに酸素含有ガス雰囲気中、例えば大
気中で焼成する場合に、焼成は一般に約450〜650
℃の範囲内の温度に加熱することによって行うことがで
きるが、チタン基体表面の酸化を抑えるため、非酸化性
雰囲気中で行うのが好ましい。
【0031】加熱はそれ自体既知の電気炉、ガス炉、赤
外線炉等の適当な加熱炉を使用して行なうことができ
る。加熱時間は、焼成すべき基体の大きさに応じて、大
体3分〜30分間程度とすることができる。この焼成に
より、チタン基体表面上に白金を担持させることができ
る。そして、1回の担持操作で充分量の白金膜厚が得ら
れない場合には、溶液の浸透−(乾燥)−焼成の工程を
所望の回数繰り返し行うことができる。その際のチタン
基体上への白金膜厚は0.05〜2.0μmの範囲内とす
ることができる。白金膜厚が0.05μmより少ない
と、白金層を形成したことによる十分な改善効果が見ら
れず、逆に白金膜厚が2.0μmを越えてもその厚みを
増やしただけの効果は得られず、また溶液の浸透−(乾
燥)−焼成の工程の繰返しの工数が増え、却って不経済
となる可能性がある。通常、0.2〜1.5μmの範囲内
の被膜厚で、溶液の浸透−(乾燥)−焼成の工程の繰返
しの工数も1〜5回で十分である。ここで、白金層の白
金の被膜厚は、前記と同様ケイ光X線分析法を用いて求
めた値である。
【0032】このようにして白金層を設けたチタン基体
は、次いで該チタン基体を陰極とし且つタンタルを電極
棒として用いチタン基体表面を走査して、放電加工を行
う。放電加工を行う雰囲気は一般に非酸化性雰囲気が好
ましく、例えばアルゴン雰囲気等を用いることができ
る。放電加工に使用するタンタルの電極棒は直径が1〜
10mmの範囲内のものを用いることができるが、作業
効率等の観点から通常直径は4mm以上であることが好
ましい。また、放電条件は使用するタンタル電極の径に
より異なるが、直径6mmの電極棒を使用する場合に
は、電流パルスが200〜600、Hzの範囲内で、コ
ンデンサー容量は100〜400μFの範囲内とするこ
とができる。このようにして1dm2あたり5〜30分
間放電加工を行い、チタン基体表面に基体からのチタン
と白金とタンタルの合金層を形成する。かくして形成さ
れるチタンと白金とタンタルの合金層表面は粗面化され
ており、表面あらさ計((株)小坂研究所製 表面粗さ
・輪郭形状測定機SEF−30D)で測定したあらさ値
は、通常50〜200μm程度であり、また、チタンと
白金とタンタルの合金は10μm以上の厚みを有する層
を形成することができる。ここで該合金層の厚さが10
μm未満では耐食性を付与するのに十分ではなく、好ま
しくは30μm以上の層を形成することが好ましい。該
合金層の厚みの上限は、特に制限されるものではない
が、タンタルは白金族金属と同様高価な金属であるの
で、好ましくは150μm以下が好ましい。これによ
り、チタン基体表面に、チタン単体より耐食性の良いチ
タンと白金とタンタルよりなる粗面化された合金層を形
成することができる。
【0033】以上のごとくしてチタン基体のチタンと白
金及びタンタルの合金層を形成したチタン基体の該合金
層上に、次いで、酸化イリジウム5〜30モル%、好ま
しくは8〜25モル%及び酸化タンタル70〜95モル
%、好ましくは75〜92モル%からなる中間酸化物層
を被覆する。この中間酸化物層は、チタン基体の該合金
層の粗面化された凹部又は凸部を被覆し、電気伝導性を
阻害せずに耐食性の向上に役立つものである。該酸化物
層の被覆量は一般に0.5〜10g/m2、好ましくは1
〜5g/m2の範囲内になるようにするのが適当であ
る。
【0034】上記中間酸化物の形成は、例えば、前記の
ようにして形成されたチタン基体上の合金層上に、イリ
ジウム化合物とタンタル化合物を含む溶媒溶液、好まし
くは低級アルコール溶液を塗布した後必要に応じて乾燥
することにより、イリジウム化合物とタンタル化合物の
混合物を付着せしめ、次いで酸化性雰囲気中で熱処理す
ることによって行なうことができる。ここで使用しうる
イリジウム化合物及びタンタル化合物としては、後述す
る焼成条件下で熱分解してそれぞれ酸化イリジウム及び
酸化タンタルに転化しうる低級アルコール溶媒に可溶性
の化合物が包含される。そのようなイリジウム化合物と
しては、塩化イリジウム酸、塩化イリジウム、塩化イリ
ジウムカリ等が例示され、また、タンタル化合物として
は、例えば、塩化タンタル、タンタルエトキシド等が上
げられる。
【0035】一方、これらのイリジウム化合物及びタン
タル化合物を溶解しうる低級アルコールとしては、例え
ば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロ
パノール、ブタノール等又はこれらの混合物が挙げられ
る。
【0036】イリジウム化合物とタンタル化合物を含む
溶液の塗布は、それ自体既知の方法、例えば、刷毛塗
り、スプレー塗装、ロール塗装等の方法で行なうことが
できる。このようにしてイリジウム化合物及びタンタル
化合物の低級アルコール溶液を適用した該チタン基体
は、通常、約20〜約150℃の範囲内の比較的低温で
乾燥させた後、大気中で焼成する。
【0037】以上に述べた処理は中間酸化物の被覆量が
前記の範囲内に達するまで繰り返して行うことができ
る。
【0038】該焼成は例えば、電気炉、ガス炉、赤外線
炉などの適当な加熱炉中で、一般に約400〜約700
℃、好ましくは約450〜約600℃の範囲内の温度で
加熱することによって行うことができる。その際の加熱
時間は焼成すべき基体の大きさ等に応じて大体5分〜2
時間程度とすることができる。この焼成により、イリジ
ウム化合物及びタンタル化合物はそれぞれ酸化イリジウ
ム及び酸化タンタルに変わり、中間酸化物を形成する。
【0039】以上述べた如くして酸化イリジウム及び酸
化タンタルとから構成される中間層の上には、さらに酸
化イリジウム60〜98モル%、好ましくは70〜95
モル%及び酸化タンタル2〜40モル%、好ましくは5
〜30モル%からなる外層を設ける。この外層におい
て、酸化イリジウムが60モル%未満では、高電流密度
で使用した場合、酸素発生活性能が不足し、電極寿命が
短くなる可能性があり、一方、98モル%を越えると電
極触媒(外層)の消耗が増える傾向が見られる。上記の
成分・組成よりなる外層の形成は、中間酸化物の形成に
ついて上記したと同様にして行うことができる。外層の
被覆量は一般に10〜60g/m2、好ましくは30〜
50g/m2の範囲内になるようにするのが適当であ
る。
【0040】以上述べた如くして製造される本発明の電
極は、高電流密度下で長時間使用してもチタン界面の不
働化が起こりにくく、長寿命であり、高電流密度下で運
転される金属の高速めっきや金属箔製造用陽極として好
適に使用することができる。
【0041】
【実施例】次に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明するが、これら実施例は本発明の範囲を限定する
ことを意図するものではない。
【0042】実施例1 JIS2種相当チタン板素材(t3.0×w100×l10
0mm)をトリクロルエチレンで脱脂洗浄した後、20
℃の8重量%HF水溶液で2分間熱処理し、次いで12
0℃の60重量%H2SO4溶液中で3分間処理した。次
いでチタン基体を硫酸溶液から取り出し、窒素雰囲気中
で冷水を噴霧し急冷した。さらに20℃の0.3重量%
HF水溶液中に2分間浸漬した後水洗した。
【0043】水洗後ジニトロジアミノ白金を硫酸溶液に
溶解してPt含有量5g/l、pH≒2、50℃に調整
した状態の白金めっき浴中で30mA/cm2で約9分
間のメッキを行なってPtを析出させた。Ptめっき厚
は1.0μmであった。
【0044】次いでPtメッキをしたチタン板を陰極と
し、直径6mmのタンタル電極を使用してアルゴン置換
したグローボックス中で放電加工を10分間行った。そ
の後タンタルの放電加工を行ったチタン基体をファイン
カッターにてt3.0×w10×l10mmに切断した。E
PMA(エレクトロンプローブマイクロアナライザー)
にて、放電加工を行った断面の元素分析を行ったところ
チタン金属中にタンタル金属と白金が分散した合金層で
あった。この合金層の厚さは30〜50μmであった。
このようにして作製したチタンと白金とタンタルの合
金層を形成したチタン基体の該合金層上に、塩化イリジ
ウム酸のブタノール溶液と塩化タンタルのエタノール溶
液を混合することにより調製したIr4.6g/l及び
Ta50.0g/l(モル配合比:8Ir−92Ta)
を含有する塗布液を、マイクリピペットで1cm2当た
り3.0μl秤量し、塗布した後、室温で30分間真空
乾燥させ、更に500℃の大気中で10分間焼成した。
この工程を3回繰返した。
【0045】次いで外層を得るため、塩化イリジウム酸
のブタノール溶液と塩化タンタルのエタノール溶液を混
合することにより調製したIr50.0g/l及びTa
20.2g/l(モル配合比:70Ir−30Ta)を
含有する塗布液を用いて、前記と同様の工程を8回繰返
して実施例電極−1を作製した。
【0046】次に、上記実施例電極−1と同様の方法で
コーティング層の組成をかえた実施例電極−2〜4を作
製した。
【0047】更に、上記実施例と同様にしてコーティン
グ層の組成を本発明で特定する範囲からはずれる比較例
電極−1〜2を作製した。
【0048】実施例2 JIS2種相当のチタン板素材(t3.0×w100×l1
00mm)をアルコールで洗浄後、20℃の8重量%弗
化水素酸水溶液中で2分間処理した後、水洗し乾燥し
た。次いで白金濃度300g/lのジニトロジアンミン
硝酸溶液をブタノールに溶解し、白金濃度75g/lの
溶液とした。
【0049】この溶液を酸処理されたチタン基体表面に
マイクロピペットで1cm2当たり7.3μl秤量し、そ
れを浸透させた後、室温で30分間乾燥し、更に550
℃の大気中で10分間焼成した。この浸透−乾燥−焼成
工程を4回繰り返し、Pt厚を1.0μmとした。
【0050】次いで熱処理して白金層を形成したチタン
板を陰極とし、また直径6mmのタンタル電極を使用し
てアルゴン置換したグローボックス中で放電加工を10
分間行った。その後タンタルの放電加工を行ったチタン
板をファインカッターにてt3.0×w10×l10mmに
切断した。EPMA(エレクトロンプローブマイクロア
ナライザー)にて、放電加工を行った断面の元素分析を
行ったところチタン金属中にタンタル金属と白金が分散
した合金層であった。この合金層の厚さは30〜50μ
mであった。
【0051】このようにして作製したチタンと白金とタ
ンタルの合金層を形成したチタン基体の該合金層上に、
前記実施例電極−1と同様の方法でコーティング層の組
成をかえた実施例電極−5〜8を作製した。
【0052】更に、上記実施例と同様にしてコーティン
グ層の組成を発明で特定する範囲からはずれる比較例電
極−3〜4を作製した。
【0053】比較例 JIS2種相当のチタン板素材(t3.0×w100×l1
00mm)をアルコールで洗浄後、20℃の8重量%弗
化水素酸水溶液で2分間処理した後、水洗し乾燥した。
次いで酸化被膜を除去したチタン板を陰極とし、また直
径6mmのタンタル電極を使用してアルゴン置換したグ
ローボックス中で放電加工を10分間行った。この合金
層の厚さは30〜50μmであった。
【0054】このようにして作製したチタンとタンタル
の合金層を形成したチタン基体の該合金層上に、実施例
電極−1と同じ中間層組成と外層組成を有する中間層及
び外層を実施例電極−1と同様の方法で形成し、比較例
電極−5とした。
【0055】実施例電極−1と同様な方法で前処理とP
tメッキをしたチタン基体に、実施例電極−1と同じ中
間層組成と外層組成を有する中間層及び外層を実施例電
極−1と同様の方法で形成した比較例電極−6を作製し
た。
【0056】更に、比較例電極−5と同じ前処理を行っ
たチタン基体に、実施例電極−1と同じ中間層組成と外
層組成を有する中間層及び外層を実施例電極−1と同様
の方法で形成した比較例電極−7を作製した。
【0057】このようにして得られた各電極を次の条件
下で電解したときの電極寿命を表−1及び表−2に示
す。これらの表−1及び表−2に示す結果から明らかな
ように実施例電極の電極寿命が長いことがわかる。
【0058】<電解条件> 電解液 :1M H2SO4−1M Na2SO4 電流密度:4A/cm2 対極 :Pt 極間距離:10mm
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
【効果】以上説明したように、本発明の電解用電極によ
れば、チタン基体の表面に白金を被覆し、タンタル電極
を使用した放電加工を行うと、耐食性の良好なチタン−
白金−タンタルの合金層が形成され、該合金層上に耐食
性と電気伝導性の良好な中間層を形成することにより、
チタン−白金−タンタルの合金層は、チタン基体の不働
態化を抑制し、また、粗面化されているため、該合金層
と中間層との密着性に優れており、そして該中間層上に
触媒層である外層を形成することにより、長時間使用で
きる電解用電極を提供することができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チタン、白金及びタンタルの合金層を有
    するチタン基体の該合金層表面に、酸化イリジウム5〜
    30モル%と酸化タンタル70〜95モル%よりなる中
    間層を介して、酸化イリジウム60〜98モル%と酸化
    タンタル2〜40モル%よりなる外層を設けたことを特
    徴とする電解用電極。
  2. 【請求項2】(a) 白金層を表面に設けたチタン基体
    に、タンタル電極を用いて放電加工を行ない、チタン基
    体表面にチタン、白金及びタンタルの合金層を形成せし
    め、(b) チタン基体の該合金層表面に、イリジウム
    化合物とタンタル化合物を含有する溶液を塗布した後、
    酸化性雰囲気中で熱処理することにより、酸化イリジウ
    ム5〜30モル%と酸化タンタル70〜95モル%より
    なる中間層を形成せしめ、(c) 次いて、該中間層上
    にイリジウム化合物とタンタル化合物を含有する溶液を
    塗布した後、酸化性雰囲気中で熱処理することにより、
    酸化イリジウム60〜98モル%と酸化タンタル2〜4
    0モル%よりなる外層を形成せしめることを特徴とする
    請求項1記載の電解用電極の製造方法。
  3. 【請求項3】 白金層を電気めっきにより形成する請求
    項2記載の方法。
  4. 【請求項4】 チタン基体表面に白金化合物を含有する
    溶液を塗布した後、該白金化合物の分解温度以上の温度
    で熱処理することにより白金層を形成する請求項2記載
    の方法。
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