JPH0822869B2 - サイトロジンs誘導体およびそれを含有する抗癌剤 - Google Patents

サイトロジンs誘導体およびそれを含有する抗癌剤

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JPH0822869B2
JPH0822869B2 JP62074259A JP7425987A JPH0822869B2 JP H0822869 B2 JPH0822869 B2 JP H0822869B2 JP 62074259 A JP62074259 A JP 62074259A JP 7425987 A JP7425987 A JP 7425987A JP H0822869 B2 JPH0822869 B2 JP H0822869B2
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寛 北川
勇 菅原
博 岡崎
昭男 福田
ハンス・ゲルト・ベルシャイト
仁子 沼田
淳子 碓井
俊二 千田
明彦 松尾
博 渡部
嚴夫 黒羽
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    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07DHETEROCYCLIC COMPOUNDS
    • C07D493/00Heterocyclic compounds containing oxygen atoms as the only ring hetero atoms in the condensed system
    • C07D493/12Heterocyclic compounds containing oxygen atoms as the only ring hetero atoms in the condensed system in which the condensed system contains three hetero rings
    • C07D493/14Ortho-condensed systems
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07HSUGARS; DERIVATIVES THEREOF; NUCLEOSIDES; NUCLEOTIDES; NUCLEIC ACIDS
    • C07H15/00Compounds containing hydrocarbon or substituted hydrocarbon radicals directly attached to hetero atoms of saccharide radicals
    • C07H15/20Carbocyclic rings
    • C07H15/24Condensed ring systems having three or more rings
    • C07H15/252Naphthacene radicals, e.g. daunomycins, adriamycins
    • AHUMAN NECESSITIES
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は新規なサイトロジンS誘導体特にサイトロジ
ンS−免疫グロブリン複合体に関する。
本発明のサイトロジンS誘導体は、癌細胞に選択的に
作用し、抗癌剤として有用である。
[従来の技術] サイトロジンSはストレプトミセスY-11472(寄託番
号DSM-2658)を培養して得られる粗サイトロジン混合物
を酸処理することにより製造され、抗癌作用を有するこ
とが報告されている(特開昭60-48994号公報)。
サイトロジンSの抗癌作用はそれ自体非常に優れてい
るが、生体に投与した場合に癌細胞に特異的に作用し、
バイオアベラビリティのより高い薬剤の出現が望まれて
いる。
[問題点を解決するための手段] 本発明者等は癌細胞への選択特異性がより優れたサイ
トロジンS誘導体を開発すべく鋭意研究した結果、サイ
トロジンS自体の抗癌作用を損うことなしにサイトロジ
ンS−免疫グロブリン複合体を得ることに成功し、本発
明を完成した。
本発明によれば次のサイトロジンS誘導体およびそれ
を含有する抗癌剤が提供される。
1)一般式(I) 〔式中Xは式-NH2,-NH-R1-NH2,-NH-R1-COOH,-NH-R1-SH, または を有する基(式中R1は任意の置換基で置換されていても
良い2価の炭化水素基、R2は2価の炭化水素基、R3は2
価の有機基、IgGは免疫グロブリン残基、nは1〜15の
整数を示す)を示す〕で表わされるサイトロジンS誘導
体及びその塩。
2)式中R3は2価の炭化水素基または式 または で表される基(式中R1、R2およびR4はは2価の炭化水素
基を示す)である上記第1項記載のサイトロジンS誘導
体。
3)R2がプロピレン基であり、R4がメチレン基である上
記第2項記載のサイトロジンS誘導体。
4)nが5〜12である上記第1項〜第3項のいずれかの
項に記載のサイトロジンS誘導体。
5)IgGが癌胎児性抗原(CEA)に対する抗体の残基であ
る上記第1項〜第4項のいずれかの項に記載のサイトロ
ジンS誘導体。
6)一般式(I)においてXが-NH2,NH-R1-NH2, または を有する基(式中R1は任意の置換基で置換されていても
良い2価の炭化水素基、R2は2価の炭化水素基、R3は2
価の有機基、IgGは免疫グロブリン残基、nは1〜15の
整数を示す)を示す〕であるサイトロジンS誘導体を製
造するにあたり、式(II) を有するサイトロジンSをアンモニウム塩またはNH2-R1
-NH2(式中R1は前述したものと同一である)で表わされ
る化合物の存在下でアルカリ金属シアノボロハイドライ
ドで還元して前記式(I)においてXが-NH2または-NH-
R1-NH2であるサイトロジンS誘導体を製造し、必要によ
り得られた生成物を式(III) (式中R2は前述したものと同一である)を有するマレイ
ミド化合物と反応させて式(I)において または であるサイトロジンS誘導体を製造し、さらに必要によ
り得られた生成物を式(IV) (式中R4は2価の炭化水素基、IgGは前述したものと同
一であり、n′は1〜20の整数を示す)を有するチオー
ル化免疫グロブリンと反応させて式(I)においてXが であるサイトロジンS誘導体を製造することを特徴とす
るサイトロジンS誘導体の製造法。
7)式中R3または である前記第6項に記載のサイトロジンS誘導体の製造
法。
8)一般式(I)においてXが -NH-R1-SHまたは を有する基(式中R1は任意の置換基で置換されていても
良い2価の炭化水素基、R3は2価の有機基、IgGは免疫
グロブリン残基、nは1〜15の整数を示す)であるサイ
トロジンS誘導体を製造するにあたり、前記式(II)を
有するサイトロジンSをNH2-R1-SH(式中R1は前述した
ものと同一である)で表わされる化合物の存在下でアル
カリ金属シアノボロハイドライドで還元して前記式
(I)においてXが-NH-R1-SHであるサイトロジンS誘
導体を製造し必要により得られ生成物を式(V) (式中R2およびIgGは前述したものと同一でありn′は
1〜20の整数を示す)を有するマレイミド化免疫グロブ
リンと反応させて、式(I)においてXが である、サイトロジンS誘導体を製造することを特徴と
するサイトロジンS誘導体の製造法。
9)R3である前記第8項に記載のサイトロジンS誘導体の製造
法。
10)一般式(I)においてXが -NH-R1-COOHまたは を有する基(式中R1は任意の置換基で置換されていても
良い2価の炭化水素基、R3は2価の有機基、IgGは免疫
グロブリン残基、nは1〜15の整数を示す)であるサイ
トロジンS誘導体を製造するにあたり、前記式(II)を
有するサイトロジンSをNH2-R1-COOH(式中R1は前述し
たものと同一である)で表わされる化合物の存在下でア
ルカリ金属シアノボロハイドライドで還元して前記式
(I)においてXが-NH-R1-COOHであるサイトロジンS
誘導体を製造し、必要により得られた生成物をカルボジ
イミド類の存在下で、式(VI) NH2IgG)1/n (VI) (IgGは前述したものと同一であり、nは1〜15の整数
を示す)を有する免疫グロブリンと反応させて式(I)
においてXが であるサイトロジンS誘導体を製造することを特徴とす
るサイトロジンS誘導体の製造法。
11)R3がR1である前記第10項に記載のサイトロジンS誘
導体の製造法。
12)前記式(I)を有するサイトロジンS誘導体を含有
する抗癌剤。
上記式(I)において、R1の好ましい例としては既存
のα−アミノ酸、β−、γ−、ε−アミノ酸、β−,γ
−,ε−チオールアミンより導かれる基があげられる。
R2の好ましい例としてはメチレン、エチレン、プロピ
レンのような低級アルキレン基、p−フェニレン、m−
フェニレンのようなフェニレン基、シクロヘキシンのよ
うなC4〜C7シクロアルキレン基、フェニレニルメチルの
ようなフェニレニル低級アルキル基およびシクロヘキシ
レニルメチルのようなC4〜C7シクロアルキレニル低級ア
ルキル基があげられる。R3の好ましい例としては、式 又は-R1-で表わされる基があげられ、R4の好ましい例と
してはメチレン、エチレン、プロピレンのような低級ア
ルキレン基、p−フェニレン、m−フェニレンのような
フェニレン基、シクロヘキシレンのようなC4〜C7シクロ
アルキレン基、フェニレニルメチルのようなフェニレニ
ル低級アルキル基およびシクロヘキシレニルメチルのよ
うなC4〜C7シクロアルキレニル低級アルキル基があげら
れる。IgGで示される免疫グロブリン残基は免疫グロブ
リンからn個のアミノ基を除いたグロブリン残基を意味
する。但し、式(I)におけるIgGは免疫グロブリン に導入したチオール基 の一部が残っているものを含む。これはチオール化免疫
グロブリン(IV)における全てのチオール基がサイトロ
ジンS誘導体と反応するのではなく、一部未反応のチオ
ール基が残存するためである。
免疫グロブリンとしては癌細胞に特異的に結合する抗
体であることが好ましい。
1/nはサイトロジンS1分子に対する免疫グロブリン分
子の数を示し、1/1〜1/15である。すなわち、免疫グロ
ブリン1分子に対し、サイトロジンS1〜15分子が結合す
ることを表わすものである。
式-NH2,-NH-R1-NH2, -NHR1-COOH, -NHR1-SH, で表わされる化合物は免疫グロブリン複合体を製造する
ための中間体であるが、サイトロジンSの抗癌作用を保
持しているのでそれ自体としても抗癌剤となりうるもの
である。
一般に抗癌剤と免疫グロブリンとの複合体を作成する
には、2価架橋試薬、縮合剤もしくはスペーサーを用い
て抗癌剤と免疫グロブリンを結合させる手法が用いられ
る。この目的のために抗癌剤はその分子中のアミノ基、
カルボキシル基、チオール基のような官能基を介して2
価架橋試薬、縮合剤もしくはスペーサーと結合させられ
るが、サイトロジンSはこれ等の官能基を有しないた
め、化学的に修飾してアミノ基、カルボキシル基もしく
はチオール基を含んだ誘導体を作成する必要がある。
サイトロジンSの抗癌作用を失なわずにこれ等誘導体
を作成する方法として糖鎖にあるオキソ基にアミノ基を
導入する方法がある。一般的なオキソ基の還元法として
はリチウムアルミニウムハイドライド(LiAlH4)、ナト
リウムボロハイドライド(NaBH4)等があるがアンスラ
サイクリン環にあるオキソ基を還元することなく選択的
に糖鎖のオキソ基を還元する試薬としてナトリウムシア
ノボロハイドライド(NaBCNH3)あるいはリチウムシア
ノボロハイドライド(LiBCNH3)を用いることができ
る。アンモニウム塩およびアミノ基を有する有機化合物
存在下でこれ等還元試薬を用いると選択的に糖鎖のオキ
ソ基が還元アミノ化されサイトロジンSの誘導体が生成
される。
すなわち式(II) を有するサイトロジンSをアンモニウム塩および、NH2-
R1-NH2,NH2-R1-COOH,NH2-R1-SHで表わされるアミノ基を
有する有機化合物の存在下でアルカリ金属シアノボロハ
イドライドで還元することにより前記式(I)において
Xが-NH2または-NH-R1-NH2,-NH-R1-COOH,-NHR1-SHであ
るサイトロジンS誘導体が得られる。
アンモニウム塩の例としては酢酸アンモニアム、プロ
ピオン酸アンモニウム、塩化アンモニウムがあげられ、
アミノ基を含む有機化合物例としては、リジン、システ
インのような既存のα−アミノ酸、γ−アミノ酪酸のよ
うな、β−,γ−,ε−アミノ酸や、グリシンエチルエ
ステルのようなアミノ酸エステル、アミノエタンチオー
ル、アミノチオフェノールのようなチオールアミンがあ
げられる。
アルカリ金属シアノボロハイドライドの例としてはリ
チウム(またはナトリウム)シアノボロハイドライドが
あげられる。
上記反応は、水混和性の有機溶媒(例えばメタノー
ル、エタノール等)やpHを8に調節した一級及び二級ア
ミンを含まない緩衝液(例えば、リン酸塩、ホウ酸塩を
用いた緩衝液や2,4,6−トリメチルピリジン−塩酸緩衝
液等)にサイトロジンSおよびアンモニウム塩、アミノ
基を有する有機化合物を溶解し、この溶液にアルカリ金
属シアノボロハイドライドを加えて室温または氷冷下で
反応させることによって容易に実施される。反応混合物
中の生成物は常法によって例えばpHを8に調整したのち
ジクロルメタン等適当な有機溶媒中で抽出し、抽出液か
ら溶媒を留去することによって、または、分取HPLCを用
いることによって採取される。かくして得られたサイト
ロジンSの誘導体のうち、Xが-NH2及び−NH-R′‐NH2
である誘導体は次いで前記式(III)を有するマレイミ
ド化合物と反応させて前記式(I)においてXが 及び であるサイトロジンS誘導体が得られる。副生成物とし
てN−ヒドロキシサクシンイミドが生成する。
マレイミド化合物(III)の例としては、N−γ−マ
レイミドブチリルオキシサクシンイミド〔GMBS,R2:C
H2 〕、サクシンイミジル4−(N−マレイミドメチ
ル)−シクロヘキサンカルボキシレート メタマレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシサクシンイ
ミドエステル およびサクシンイミジル4−(p−マレイミドフェニ
ル)ブチレート 等があげられる。
上記反応は適当な溶媒、例えばジクロルメタン、ジク
ロルエタン、クロロホルム、ピリジン、トリエチルアミ
ン等の存在下、室温または氷冷下でサイトロジンSアミ
ノ誘導体をマレイミド化合物と混合することによって容
易に実施される。
このようにして得られたマレイミド基が導入されたサ
イトロジンS誘導体は、チオール基を持つ全ての蛋白質
あるいは化合物と付加反応を起こすことができる。すな
わち、マレイミド基にある二重結合がチオール基と親電
子付加反応を起こすのである。したがって、後述するよ
うにチオール基が導入された免疫グロブリンのチオール
基がマレイミド基に付加することにより、複合体を形成
することができる。
複合体を製造するために用いられる免疫グロブリンは
一般に癌細胞にのみ生じる膜蛋白に対する単クローンも
しくは多クローン抗体であることがのぞましく、また人
由来でない抗体を用いる場合は抗体のFc部分をとり除い
たものが臨床的には望ましい。しかしながらサイトロジ
ンSの付加効率を考えると抗体全体を用いる方がよい。
特に好適な免疫グロブリンとして癌胎児性抗原(Carc
inoembryonicantigen)(CEA)あるいはα−フェトプロ
テイン(AFP)を抗原して得られた単クローン抗体が挙
げられる。癌胎児性抗原に対する単クローン抗体は、抗
原をマウスに投与し、そのマウスの脾臓を摘出し、脾細
胞をHAT感受性のミエローマ細胞とポリエチレングリコ
ール法により融合させ、HAT培地を選択培地として用
い、ハイブリドーマを選択し、これをマウスに移植する
通常の方法によって製造される。
免疫グロブリンを、複合体作成のためにマレイミド基
が導入されたサイトロジンSと反応させるに先立ち、免
疫グロブリンにチオール基が導入される。チオール基を
導入するために免疫グロブリンを式(VII) (式中R4は前述したものと同一であり、R5はチオール基
保護基例えばアセチルのようなアシル基または2−ピリ
ジルチオ基を示す)を有するN−サクシンイミド化合物
と反応させて前記式(IV)を有するチオール化免疫グロ
ブリンを得る。N−サクシンイミド化合物(VII)の好
適な例としてはN−サクシンイミジル−S−アセチルチ
オアセテート があげられる。SATAは免疫グロブリン中のアミノ基と反
応し、チオール基がアセチル基で保護された形、すなわ
のアミド結合を生じ、副生成物としてN−ヒドロキシサ
クシンイミドを生ずる。チオール基の脱保護は例えばヒ
ドロキシルアミンを用いてpH7.5で行なわれ、反応性の に変換される。
このチオール基は条件によっては酸化されやすく結果
として免疫グロブリンポリマーを生じることがある。こ
のためチオール基の脱保護はマレイミド基の導入された
サイトロジンS誘導体との反応の直前に25℃で1時間位
行うのが好ましい。
このチオール基は反応に用いるSATAの量により免疫グ
ロブリン1分子あたり1〜20好ましくは5〜20個が導入
されるがこの導入によってもグロブリンの抗体としての
活性は失なわれない。
またSATAに代えてN−サクシンイミジル3−(2−ピ
リジルジチオ)プロピオネート をチオール導入試薬として用い、脱保護剤としてジチオ
スレイトールを用いると、免疫グロブリン中のアミノ基
との間で なる基が形成される。
このようにしてチオール基が導入された免疫グロブリ
ン(IV)はマレイミド基が導入されたサイトロジンSと
反応させることにより本発明の免疫グロブリン複合体が
製造される。
この反応は水混和性有機溶媒(例えばメタノール、エ
タノール、ジメチルホルムアミド等)にとかしたマレイ
ミド基が導入されたサイトロジンSをチオール基が導入
された免疫グロブリンの水溶液にpH7.5で混合すること
よって容易に実施される。
Xが-NH-R1-SHであるチオール基が導入されたサイト
ロジンS誘導体は、マレイミド基を導入された全ての蛋
白質あるいは化合物と付加反応を起こすことができる。
すなわち、マレイミド基にある二重結合がチオール基と
親電子付加反応を起こすのである。したがって、後述す
るようにマレイミド基が導入された免疫グロブリンのマ
レイミド基にチオール基が付加することにより、複合体
を形成することができる。
複合体を製造するために用いられる免疫グロブリンは
先に説明したとおりである。
免疫グロブリンを、複合体作成のためにチオール基が
導入されたサイトロジンSと反応させるに先立ち、免疫
グロブリンにマレイミド基が導入される。マレイミド基
を導入するために免疫グロブリンを式(III) 〔式中R2は前述したものと同一である〕を有するマレイ
ミド化合物と反応させて前記式(V)を有するマレイミ
ド化免疫グロブリンを得る。マレイミド化合物(III)
の好適な例は、前述のN−γ−マレイミドブチリルオキ
シサクシンイミド等があげられる。
マレイミド化合物(III)は、免疫グロブリン中のア
ミノ基のカルボニル基に対する求核置換反応によって免
疫グロブリン中のアミノ基とアミド結合を形成し、式
(V)の であるマレイミド化免疫グロブリンおよび副生成物とし
てのN−ヒドロキシサクシンイミドを生成する。
このマレイミド基は反応に用いるマレイミド化合物
(III)の量により免疫グロブリン1分子あたり1〜20
好ましくは5〜20個が導入されるがこの導入によっても
グロブリンの抗体としての活性は失なわれない。
このようにしてマレイミド基が導入された免疫グロブ
リン(V)はチオール基が導入されたサイトロジンSと
反応させることにより本発明の免疫グロブリン複合体が
製造される。
この反応は水混和性有機溶媒(例えばメタノール、エ
タノール、ジメチルホルムアミド等)またはpH7.5の緩
衝液(免疫グロブリンを溶解するのに使用したものと同
等である)にとかしたチオール基が導入されたサイトロ
ジンSをマレイミド基が導入された免疫グロブリンの水
溶液にpH7.5で混合することによって容易に実施され
る。
Xが-NH-R1-COOHであるサイトロジンS誘導体は全て
の蛋白質あるいは化合物のアミノ基と適当な縮合剤を用
いることによってペプチド結合によって結合し得る。す
なわち縮合剤によってカルボキシル基が活性エステル化
しこれが蛋白質または化合物中のアミノ基へ求核反応す
ることによりペプチド結合を形成する。
したがって、免疫グロブリン本来が持つ、アミノ基
(リジン残基等の側鎖)にサイトロジンSは新たに導入
されたカルボキシル基によってペプチド結合を介して導
入され、複合体を形成し得る。
Xが-NH-R1-COOHであるサイトロジンS誘導体は、複
合体作成のために縮合剤によって活性エステル化され
る。活性エステル化するために前記式(I)においてX
が-NH-R1-COOHであるサイトロジンS誘導体をカルボジ
イミド類と反応させる。
カルボジイミドの好適な例としては、ジシクロヘキシ
ルカルボジイミド、1,3−ジメチルアミノプロピル)−
3−エチルカルボジイミド塩酸塩、ジエチルカルボジイ
ミド、ジフェニルカルボジイミド、ジベンジルカルボジ
イミド、サイアナミド等があげられる。この反応は、水
混和性有機溶媒(例えばメタノール、エタノール、ジメ
チルホルムアミド等)またはpH7.5の緩衝液(免疫グロ
ブリンを溶解するのに使用したものと同等である。)
に、サイトロジンS誘導体及びカルルボジイミドを溶
解、室温にて1時間反応させた後、免疫グロブリン水溶
液にpH7.5でこれを加えることによって行なわれる。
このサイトロジンS誘導体の結合は、反応に用いるサ
イトロジンS誘導体の量により、免疫グロブリン1分子
あたり1〜20、好ましくは5〜20個が結合されるが、こ
の結合によってもグロブリンの抗体としての活性は失な
われない。
本発明の複合体中においてサイトロジンSと免疫グロ
ブリンの結合比は1〜15:1であり、免疫グロブリン1分
子に対して1〜15分子のサイトロジンSが結合してい
る。このように抗癌剤成分の結合比が高いので本発明の
複合体は強い抗癌作用を奏するという優れた効果を有し
ている。
サイトロジンS誘導体(I)の臨床における投与量
は、投与経路にもよるが通常はサイトロジンSとして成
人1日当り1〜20mgの範囲である。
投与方法としては、静脈内、腹腔内、直腸内投与が可
能であり、静脈内投与の場合は通常の静脈内注射の他点
滴静注が可能である。
サイトロジンS誘導体(I)を含有する製剤は、通常
の賦形剤、添加剤を用いて通常の方法によって製造され
る。
注射用製剤としては、例えば注射用粉末製剤とするこ
とが出来る。その場合は適当な水溶性賦形剤例えばマン
ニトール、蔗糖、乳糖、マルトース、ブドウ糖、フルク
トース等の一種または二種以上を加えて水で溶解し、バ
イアルまたはアンプルに分注した後凍結乾燥し密封して
製剤とすることができる。
坐剤用としては、カカオ脂や、脂肪酸トリグリセライ
ドに脂肪酸モノグリセライド、脂肪酸ジグリセライドを
種々の割合で混合した半合成基剤等の親油性基剤、ポリ
エチレングリコールやグリセロゼラチン等の親水性基剤
を加温溶解したものを加えて均一に混和し型に入れて成
形し坐剤とすることができる。
以下に本発明の実施例を示す。
[実施例] 実施例1 サイトロジンS10mgをメタノール2mlに溶解した。この
溶液にサイトロジンSに対し10モル当量に相当する5.8m
gのアンモニウムアセテートのメタノール溶液(濃度10m
g/ml)と3モル当量に相当する1.4mgのナトリウムシア
ノボロハイドライドのメタノール溶液(濃度10mg/ml)
を加え25℃で4時間反応せしめた。反応で得られた混合
液を5℃に冷やした20mlの0.5%酢酸水溶液に加え5mlの
ジクロルメタンで2回抽出し未反応のサイトロジンSを
除去した。得られた酢酸水溶液を飽和炭酸水素ナトリウ
ム水溶液でpH8に合せた。この水溶液を20mlのジクロル
メタンで3回抽出することによりアミノ誘導体を得た。
ジクロルメタン溶液を無水硫酸ナトリウムにより脱水し
ジクロルメタンを減圧蒸留することにより4.8mgのサイ
トロジンSアミノ誘導体(以下アミノサイトロジンSと
する)を得た。純度は高速液体クロマトグラフィー(以
下HPLCという)により分析した。その条件は以下のとお
りである:カラム;SSC-Aquasil PE-2、4.6mm×250mm
(センシュー科学)、溶媒;2.0%トリエチルアンモニウ
ムホスフェイト(pH3)、75%、アセトニトリル、25
%。保持時間:サイトロジンS(25.0分)、アミノサイ
トロジンS(12.9分)。さらに、HPLCによって得た当該
サイトロジンS誘導体をFAB/MSスペクトロメーター(日
本電子社JMS-DX300)によってその質量数を測定したと
ころ942(M+H+)なる質量スペクトルを得、計算によ
り求めた質量数との一致を観た。
誘導体の吸収スペクトルは、495nmにサイトロジンS
のアンスラサイクリン環に由来する特異吸収が観測され
た。これは出発物質のサイトロジンSと同一波形を示
し、誘導体の抗ガン作用が損われていないことを示して
いる。
実施例2 実施例1で得られたアミノサイトロジンS4.8mgを2ml
のジクロルメタンに溶解した。この溶液にアミノサイト
ロジンS5モル当量に相当する3.8mgのN−γ−マレイミ
ドブチリルオキシサクシンイミド(ベーリングダイアグ
ノステイクス製、以下GMBSという)のシグロルメタン溶
液(濃度10mg/ml)を加え25℃で2時間反応せしめた。
反応混合物は分取用薄層クロマトグラフィー(以下TLC
という)により精製しサイトロジンSのGMBS誘導体を得
た。薄層クロマトグラフィーの条件は以下のとおり:薄
層プレイト;2mmシリカゲル60F-254(メルク製)、展開
溶媒;メタノール:ジクロルメタン=1:4、Rf値:GMBS誘
導体(0.82)、アミノサイトロジンS(0.29)。得られ
たGMBS誘導体を薄層プレートより抽出した後、抽出液を
無水硫酸ナトリウムにより脱水し溶媒を減圧蒸留するこ
とにより2.7mgのサイトロジンSのGMBS誘導体を得た。
またさらに、GMBS誘導体の純度をHPLCにて分析し、つ
いで精製を行った。分析に使用したカラム及び条件は以
下のとおりである。;カラム;SSC-Aquasil PE-2、4.6mm
×250mm(センシュウ科学)、溶媒;2.0%トリエチルア
ンモニウムホスフェイト(TEAP,pH3.0)中、アセトニト
リルを0%−30%直線グラジエント方式にて30分間かけ
て変化させ、アセトニトリル30%の状態をさらに30分間
継続する、流速;1ml/min、保持時間;サイトロジンS36
分、GMBS誘導体38分および38.6分。精製に使用したカラ
ム及び条件は以下のとおりである。:カラム;Senshu Pa
k NP-318-4252,10mm×250mm(センシュウ科学)、溶媒;
2.0%TEAP(pH3.0)中アセトニトリル10%〜30%直線グ
ラジエント方式にて20分間かけて変化させアセトニトリ
ル30%の状態をさらに15分間継続後、同様に30%〜100
%5分間で変化させる、流速;4ml/min、保持時間;GMBS
誘導体28分および28.5分。HPLCの溶出液をSEP-PAK
(C18)カートリッジ(日本ウォーターズ社製)にか
け、サイトロジンS誘導体を吸着せしめ、0.5%酢酸水
溶液にて洗浄後、0.5%酢酸−メタノール溶液にて溶出
させる。溶出液を回収、減圧乾固させGMBS誘導体約3.2m
gを得た。この純度は再度HPLCにて検定しその条件は前
述の分析条件に同じである。
さらに、HPLCによって得た当該サイトロジンS誘導体
をFAB/MSスペクトロメーター(日本電子社製JMS-DX30
0)によってその質量数を測定したところ1215(M+
H+)なる質量スペクトルを得、計算により求めた質量数
とMSスペクトル測定時に使用するチオグリセロールとの
複合体の質量数であることを確認した。また、誘導体の
吸収スペクトルは495nm付近においてアンスラサイクリ
ン環の特異吸収をよく保持していた。
一方、マレイミド基の導入確認は、アミノエタンチオ
ールを反応させ、TLC及びHPLCのスポット及びピークの
位置が変化することによっても再度確認した。分析に使
用したHPLCのカラム及び条件は前述のとおりである。保
持時間:アミノサイトロジンS19.5分及び20.5分、GMBS
誘導体アミノエタンチオール付加物23分及び23.5分。
(対象実験として出発物質のアミノサイトロジンSにア
ミノエタンチオールをGMBS誘導体と全く同条件下混合
し、反応を試みた。その結果アミノサイトロジンSはチ
オールの混入によってHPLCのピークに何ら影響はうけな
かった。) 実施例3 18mgのラビット免疫グロブリン(シグマ製)を1mlの1
mM、EDTAを含む50mMリン酸緩衝液(pH7.5)に溶解す
る。この溶液に10μlの100mMN−サクシンイミジル−s
−アセチルチオアセテート(ベーリングダイアグノステ
イクス製、以下SATAという)ジメチルホルムアミド溶液
を加え25℃で20分間反応せしめた。上記反応混合液に50
μlの1Mトリス塩酸溶液(pH7.8)を加え25℃で5分間
放置した。しかるのち1mM、EDTAを含む50mMリン酸緩衝
液(pH7.5)で事前に平衡化したPD-10カラム(ファルマ
シア製)で反応混合物を分取することにより免疫グロブ
リンのSATA誘導体を得た。このSATA誘導体にSATAに対し
50モル当量相当の0.25mM、EDTAを含む0.5mMヒドロキシ
ルアミン水溶液(pH7.5)を加え25℃で1時間反応させ
ることにより脱アセチル化を行った。SH基を導入した免
疫グロブリンを含む上記水溶液に実施例2で得られたGM
BS誘導体をSH基に対して10モル当量ジメチルホルムアミ
ド20μlに溶かした溶液を加え5℃で12時間反応させ
た。反応後1mMのEDTAを含む50mMリン酸緩衝液(pH7.5)
で平衡化したセファデックスG-25(ファルマシア製)の
20mm×400mmカラムを用いて球状蛋白質16万に相当する
画分を分取した。蛋白質及びサイトロジンSの画分を知
るために溶出液を280nmと495nmでモニターした。
得られたサイトロジンSと免疫グロブリンの複合体は
透析により脱塩の後凍結乾燥し20mgを得た。サイトロジ
ンSの特異的吸収495nmと複合体の乾燥重量から免疫グ
ロブリン1分子あたりの結合サイトロジンS量を計算し
たところ免疫グロブリン1分子あたり5個のサイトロジ
ンSが結合していた。さらにSATAの量を免疫グロブリン
に対して増やすことにより12個のサイトロジンSを結合
させることができた。
第1図に免疫グロブリン1分子あたり約12個のサイト
ロジンSが結合した複合体のUVスペクトルを示す。複合
体のUVスペクトルはサイトロジンSの結合比が増すにつ
れて、サイトロジンSの特異吸収部分が増大していく。
実施例4 サイトロジンS5mgをメタノール1mlに溶解した。この
溶液にサイトロジンSに対して6モル当量に相当するγ
−アミノ酪酸2.6mgのメタノール溶液(濃度1mg/ml)を
加えトリエチルアミンでpHを8に調節した後、3モル当
量に相当する1.4mgのナトリウムシアノボロハイドライ
ドを加え25℃で24hr反応せしめた。反応で得られた混合
液をTLCにて生成物の有無を確認した後HPLCにて純度を
分析し、精製を行った。実施例2と同一条件におけるTL
CによるRf値は、サイトロジンS0.57、γ−アミノ酪酸誘
導体0.28であった。実施例2と同一条件下でのHPLCによ
る分析における保持時間は、サイトロジンS36分、γ−
アミノ酪酸誘導体29分であった。実施例2と同様の条件
下でHPLCによって精製した結果、γ−アミノ酪酸誘導体
約1.5mgを得た。
さらに当該誘導体をFAB/MSスペクトロメーター(JMS-
DX300)によってその質量数を測定したところ、1028
(M+H+)なる質量スペクトルを得、計算により求めた
質量数との一致を観た。
また、誘導体の吸収スペクトルは495nm付近にサイト
ロジンSのアンスラサイクリン環の特異吸収をよく保存
していた。
実施例5 サイトロジンS γ−アミノ酪酸誘導体2.5mgをDMFに
溶解し(濃度50mg/ml)、これにサイトロジンS誘導体
の等モル当量に相当するジシクロヘキシジルカルボジイ
ミド515μgのDMF溶液(濃度50mg/ml)を加える。室温
で1hr反応させた。
ラビット免疫グロブリン(シグマ製)20mgを50mMリン
酸緩衝液(pH7.5)1mlに溶解し、これに上記のサイトロ
ジンS誘導体DMF溶液を加え室温で30分間反応させる。
ラビット免疫グロブリンに対しサイトロジンS γ−ア
ミノ酪酸誘導体は20モル当量に相当する。次いで、素速
く1Mトリス塩酸緩衝液(pH7.8)を加え攪拌して10分間
放置する。これを50mMリン酸緩衝液であらかじめ平衡化
してあるPD-10カラム(ファルマシア製)にかけ分離精
製を行った。
得られた複合体は免疫グロブリン1分子あたり12個の
サイトロジンSを結合していた。
実施例6 サイトロジンS5mgをメタノール1mlに溶解した。この
溶液にサイトロジンSに対して6モル当量に相当するリ
ジン3.3mgの1モル酢酸水溶液(濃度10mg/ml)と3モル
当量に相当する1.4mgのナトリウムシアノボロハイドラ
イドを加え25℃で24hr反応せしめた。反応で得られた混
合液をTLCにて生成物の有無を確認した後HPLCにて純度
を分析し、精製を行った。実施例2と同一条件における
TLCによるリジン誘導体のRf値は0.20であった。実施例
2と同一条件下でのHPLCによる分析におけるリジン誘導
体の保持時間は27分および28分であった。実施例2と同
様の条件下でHPLCによって精製した結果、リジン誘導体
約2.6mgを得た。
さらに当該誘導体をFAB/MSスペクトロメーター(JMS-
DX300)によってその質量数を測定したところ、1071
(M+H+)なる質量スペクトルを得、計算により求めた
質量数との一致を観た。
また、誘導体の吸収スペクトルは495nm付近にサイト
ロジンSのアンスラサイクリン環の特異吸収をよく保存
していた。
実施例7 サイトロジンS5mgをメタノール1mlに溶解した。この
溶液にサイトロジンSに対して6モル当量に相当するア
ミノエタンチオール1.7mgのメタノール溶液(濃度1mg/m
l)と3モル当量に相当する1.4mgのナトリウムシアノボ
ロハイドライドを加え25℃で24hr反応せしめた。反応で
得られた混合液をTLCにて生成物の有無を確認した後HPL
Cにて純度を分析し、精製を行った。実施例2と同一条
件下におけるTLCによるアミノエタンチオール誘導体のR
f値は0.25であった。実施例2と同一条件下でのHPLCに
よる分析におけるアミノエタンチオール誘導体の保持時
間は28分であった。実施例2と同様の条件下でHPLCによ
って精製した結果、アミノエタンチオール誘導体約1.6m
gを得た。
さらに当該誘導体をFAB/MSスペクトロメーター(JMS-
DX300)によってその質量数を測定したところ、1002
(M+H+)なる質量スペクトルを得、計算により求めた
質量数との一致を観た。
また、誘導体の吸収スペクトルは495nm付近にアンス
ラサイクリン環の特異吸収をよく保存していた。
一方、−SH基の導入確認はN−エチルマレイミドを反
応させ、TLC及びHPLCのスポット及びピークの位置が変
化することによっても再度行った。(アミノエタンチオ
ール誘導体では観測される変化がサイトロジンS及びア
ミノサイトロジンSでは観測されなかった。) 実施例8 サイトロジンS5mgをメタノール1mlに溶解した。この
溶液にサイトロジンSに対して6モル当量に相当するシ
ステイン2.7mgのメタノール溶液(濃度1mg/ml)と3モ
ル当量に相当する1.4mgのナトリウムシアノボロハイド
ライドを加え25℃で24hr反応せしめた。反応で得られた
混合液をTLCにて生成物の有無を確認した後HPLCにて純
度を分析し、精製を行った。実施例2と同一条件下にお
けるTLCによるシステイン誘導体のRf値は0.35であっ
た。実施例2と同一条件下でのHPLCによる分析における
システイン誘導体の保持時間は32分であった。実施例2
と同様の条件下でHPLCによって精製した結果、システイ
ン誘導体約1.8mgを得た。
さらに当該誘導体をFAB/MSスペクトロメーター(日本
電子社製)によってその質量数を測定したところ、1046
(M+H+)なる質量スペクトルを得、計算により求めた
質量数との一致を観た。
また、−SH基の導入確認は実施例7と同様にN−エチ
ルマレイミドを反応させ、スポット及びピーク(TLC及
びHPLC)の位置が変化することによっても再度確認し
た。
実施例9 11mgのラビット免疫グロブリン(シグマ製)を1mlの1
mM、EDTAを含む50mMリン酸緩衝液(pH7.5)に溶解す
る。この溶液にラビット免疫グロブリンに対して10モル
当量に相当するN−γ−マレイミドブチリルオキシサク
シンイミド(ベーリングダイアグノステイクス製以下GM
BS)191μgのDMF溶液(濃度50mg/ml)を加え、25℃で2
hr反応せしめた。上記反応液に50μlの1Mトリス塩酸緩
衝液(pH7.8)を加え25℃で5分間放置した。しかる後1
mMEDTAを含む50mMリン酸緩衝液(pH7.5)であらかじめ
平衡化したPD-10カラム(ファルマシア製)で反応混合
物を分取することによりラビット免疫グロブリンのマレ
イミド基導入型誘導体を得た。
先の実施例7で得られた−SH基導入型サイトロジンS
誘導体をこのマレイミド基導入型ラビット免疫グロブリ
ンと反応せしめた。
ラビット免疫グロブリンに導入されたマレイミド基の
2モル当量にあたるサイトロジンSアミノエタンチオー
ル誘導体1.5mgをDMFに溶解(濃度100mg)し、先のマレ
イミド基導入型ラビット免疫グロブリン水溶液に加え、
5℃で12hr反応せしめた。
得られた複合体は免疫グロブリン1分子あたり12個の
サイトロジンSを結合していた。
実施例10 サイトロジンS5mgをメタノール1mlに溶解した。この
溶液にサイトロジンSに対して6モル当量に相当するグ
リシンエチルエステル3.2mgのメタノール溶液(濃度1mg
/ml)と3モル当量に相当する1.4mgのナトリウムシアノ
ボロハイドライドを加え25℃で24hr反応せしめた。反応
で得られた混合液をTLCにて生成物の有無を確認した後H
PLCにて純度を分析し、精製を行った。実施例2と同一
条件におけるTLCによるグリシンエチルエステル誘導体
のRf値は0.34であった。実施例2と同一条件下でのHPLC
による分析におけるグリシンエチルエステル誘導体の保
持時間は32分および33分であった。実施例2と同様の条
件下でHPLCによって精製した結果、グリシンエチルエス
テル誘導体約1.4mgを得た。
さらに当該誘導体をFAB/MSスペクトロメーター(JMS-
DX300)によってその質量数を測定したところ、1028
(M+H+)なる質量スペクトルを得、計算により求めた
質量数との一致を観た。
また、誘導体の吸収スペクトルは495nm付近にサイト
ロジンSのアンスラサイクリン環の特異吸収をよく保存
していた。
実施例11 7〜10週令の雌性BALB/cマウスに、25μgの精製ヒト
CEAを、フロインドの完全アジュバントとともに腹腔内
に投与した。10週間後、25μgのCEAを生理食塩水に溶
かし、静脈内に投与した。投与後3日目に脾臓を摘出
し、脾細胞と非産生型ミエローマ細胞X63-Ag8.653とを
融合した。細胞融合およびそれにつづく培養・クローニ
ングの方法は、基本的にOiら(Oi V.T.& Herzenberg
L.A.,Selected Methods in Cellular Immunology,B.B.M
ishell&S.M.Shiigi Eds,P351,Freeman&Co.,Sanfranci
sco 1980)の方法に準じた。脾細胞とミエローマ細胞の
割合を10:1とし軽く遠心しペレットにした後、42.5%ポ
リエチレングリコール(M.W.2,000,15%ジメチルスルホ
キシドを含む)の0.5mlを滴加、37℃の条件下で2分間
ゆっくり攪拌した。その後RPMI培地にて20倍希釈した。
遠心後15%牛胎児血清加RPMT-1640培地にて懸濁し、96
穴マイクロタイタープレートに5×105細胞ずつ分配し
た。37℃で一夜培養後HAT培地(100μMヒポキサンチ
ン、4×10-4μMアミノプテリン、1.6×10-2チミジ
ン)を一滴ずつ加えた。このHAT培地によるハイブリド
ーマの選択は細胞融合後2,3,5,7,10,13日目に各穴の半
量の培地を新鮮なHAT培地と交換することにより行っ
た。培養上清の抗CEA活性を、RIAあるいはEIAにより検
定し、活性を示した細胞を更に大きな培養系に移すか、
あるいは限界希釈法によりクローン化した。このように
して得られた融合細胞を前もって0.5mlのテトラメチル
ペンタデカンで処理された同系マウスの腹腔内に移植す
ると、1〜2週間後には数mlの腹水が得られ、この中に
は、5〜10mg/mlの濃度の均一なモノクローナル抗体が
含まれていた。
このようにして得られたCEAに対するモノクローナル
抗体(MA204)とサイトロジンSの複合体を実施例3と
同様の方法で作成した。
サイトロジンSと免疫グロブリン複合体の抗癌作用の
テスト 培地としてRPMI1640-10%牛胎児血清中で継代培養し
た腫瘍細胞株、L1210(5×104細胞/ml)200μlを96穴
ミクロプレート上に分配する(1×104細胞/ウェ
ル)。濃度を調整した10μlのサイトロジンS(CYT)
およびサイトロジンS−免疫グロブリン複合体(CYT-Ra
b IgG)をこの細胞培養液に加え37℃で18時間培養し
た。その後25μlのトリチウム標識チミジンを0.5μCi/
ウェルずつ加え37℃で6時間さらに培養した。しかるの
ち細胞は細胞採取器によりフィルター上に集められ、乾
燥させたのち液体シンチレーションカウンターにより標
識チミジンの細胞へのとりこみ量を測定し細胞のDNA合
成能を求め比較した。結果を第2図に示す。第2図から
CYT-Rab IgGがCYTの抗癌作用をほぼ維持していることが
わかる。同様の方法でCEA産出細胞株であるColo 205に
ついてサイトロジンS−抗CEA単クローン抗体複合体の
効果を調べた。結果を第3図に示す。
試験薬剤の使用量は次のとおりである。
MA 204はRab IgGに比べて選択特異性が大きいので、
第3図においてCYT-MA 204がCYT-Rab IgGより細胞増殖
抑制効果が大きい。このことは本発明のサイトロジンS
−免疫グロブリン複合体が癌細胞へ選択特異的に作用し
うることを示唆している。
アクラシノマイシン免疫グロブリン複合体との比較 本発明に用いたサイトロジンSと構造が類似した次式
を有するアクラシノマイシンA の免疫グロブリンとの複合体を、実施例3に示した方法
により、比較のため作成したところ、サイトロジンSが
抗体1分子あたり5〜12個付加することができるのに対
しアクラシノマイシンは2分子付加するにとどまった。
両抗体複合体のL1210に対するDNA合成抑制効果をトリチ
ウムで標識チミジンの細胞内へのとりこみ量で測定し
た。結果を第4図に示す。第4図からサイトロジンS複
合体の細胞に対する活性がアクラシノマイシン複合体の
ものより高いことがわかった。
【図面の簡単な説明】
第1図はサイトロジンS−免疫グロブリン複合体のUVス
ペクトルを示す。 第2図は、サイトロジンS(CYT)およびサイトロジン
S−ラビット免疫グロブリン複合体(CYT-Rab IgG)のL
1210細胞に対する細胞増殖抑制効果を示すグラフであ
る。 第3図はサイトロジンS(CYT)、サイトロジンS-MA 20
4免疫複合体(CYT-MA 204)、サイトロジンS−ラビッ
ト免疫グロブリン(CYT-Rab IgG)MA 204およびCYT-MA
204と過剰のMA 204の混合物のColo 205細胞株にする細
胞増殖抑制効果を示すグラフである。 第4図は、サイトロジンS、サイトロジンS−免疫グロ
ブリン複合体、アクラシノマイシンおよびアクラシノマ
イシン免疫グロブリン複合体のL1210細胞におけるトリ
チウムチミジンの取込率を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡崎 博 東京都調布市入間町3−9−11−402 (72)発明者 福田 昭男 東京都目黒区中目黒3−12−16 (72)発明者 ハンス・ゲルト・ベルシャイト ドイツ連邦共和国 デー−6231 シュヴア ルバッハ.ラインラントシュトラーセ21 (72)発明者 沼田 仁子 埼玉県川越市山田1760 (72)発明者 碓井 淳子 埼玉県所沢市上安松976−8 コーポスミ レ103号 (72)発明者 千田 俊二 埼玉県川越市南台3−7−22 日本ヘキス ト寮 (72)発明者 松尾 明彦 埼玉県所沢市並木7−1,8−403 (72)発明者 渡部 博 埼玉県比企郡鳩山町大字石坂1486−462 鳩山ニュータウン138−8 (72)発明者 黒羽 嚴夫 埼玉県狭山市狭山台2丁目1番地 2街区 23号棟206号室

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(I) 〔式中Xは式-NH2、-NH-R1-NH2、-NH-R1-COOH、-NH-R1-
    SH、 または を有する基{式中R1は2価の炭化水素基またはα−アミ
    ノ酸から誘導される2価の残基、R2は2価の炭化水素
    基、R3は2価の炭化水素基または式 または で表わされる基(式中、R1、R2およびR4は2価の炭化水
    素基を示す)、IgGは免疫グロブリン残基、nは1〜15
    の整数を示す}を示す〕で表わされるサイトロジンS誘
    導体またはその塩。
  2. 【請求項2】R2がプロピレン基であり、R4がメチレン基
    である特許請求の範囲第1項記載のサイトロジンS誘導
    体。
  3. 【請求項3】nが5〜12である特許請求の範囲第1項ま
    たは第2項記載のサイトロジンS誘導体。
  4. 【請求項4】IgGが癌胎児性抗原(CEA)に対する抗体の
    残基である特許請求の範囲第1項〜第3項のいずれかの
    項に記載のサイトロジンS誘導体。
  5. 【請求項5】一般式(I) 〔式中Xは式 を有する基{式中R3は2価の炭化水素基または式 または で表わされる基(式中、R1、R2およびR4は2価の炭化水
    素基を示す)、IgGは免疫グロブリン残基、nは1〜15
    の整数を示す}を示す〕で表わされるサイトロジンS誘
    導体またはその塩を含有する抗癌剤。
JP62074259A 1986-06-25 1987-03-30 サイトロジンs誘導体およびそれを含有する抗癌剤 Expired - Lifetime JPH0822869B2 (ja)

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NZ220805A NZ220805A (en) 1986-06-25 1987-06-23 Cytorhodin s derivatives,a process for their preparation and their use as medicaments
FI872783A FI872783A7 (fi) 1986-06-25 1987-06-23 Cytorodin s-derivat, foerfarande foer deras framstaellning och deras anvaendning som laekemedel.
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CN198787104384A CN87104384A (zh) 1986-06-25 1987-06-24 作为药剂的细胞若丁s衍生物的制备及其应用方法
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