JPH08243605A - 冷間圧延方法および装置ならびに圧延剤 - Google Patents

冷間圧延方法および装置ならびに圧延剤

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JPH08243605A
JPH08243605A JP7054727A JP5472795A JPH08243605A JP H08243605 A JPH08243605 A JP H08243605A JP 7054727 A JP7054727 A JP 7054727A JP 5472795 A JP5472795 A JP 5472795A JP H08243605 A JPH08243605 A JP H08243605A
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JP
Japan
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rolling
agent
rolling agent
iron
stainless steel
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JP7054727A
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English (en)
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Toshiteru Tanaka
寿輝 田中
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Nippon Steel Nisshin Co Ltd
Original Assignee
Nisshin Steel Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 優れた表面品質と高圧下高速圧延とを両立す
ることのできる冷間圧延方法および装置ならびに圧延剤
を提供する。 【構成】 冷間圧延装置は、タンデムゼンジミアミル1
と、圧延剤を循環使用する循環装置2とを含む。循環装
置2は、使用済み圧延剤を回収するオイルパン3および
ダーティータンク4と、圧延剤中の鉱油粒子よりも大き
な砂などの粒子を除去するろ過フィルタ6と、クリーン
タンク7と鉄粉類を鉄分濃度100ppm以下まで除去
する磁気フィルタ9などを含んで構成され、タンデムゼ
ンジミアミル1とともに圧延剤の循環経路を形成する。
圧延剤の原液は、精製鉱油と、合成エステルと、合成ア
ルコールと、乳化剤と、高分子系乳化剤とを含む。圧延
剤は、原液を水に分散させてエマルジョン化させて使用
される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、優れた表面品質で高能
率な冷間圧延方法およびその冷間圧延方法を好適に適用
することのできる装置ならびに圧延剤に関する。
【0002】
【従来の技術】鉄系金属帯、たとえばステンレス鋼帯は
様々な用途に対応するために、JISG4305に規定
されているような種々の表面仕上げ、たとえばBA仕上
げ、No.2D仕上げ、No.2B仕上げおよび研磨仕上
げなどに仕上げられた製品となるように製造されてい
る。これらのうち最も冷間圧延段階における表面品質に
対する要求の厳しい製品は、BA仕上げステンレス鋼帯
である。このBA仕上げステンレス鋼帯は、冷間圧延
後、光輝熱処理、調質圧延を行ったものであり、疵や汚
れなどのない優れた表面性状、表面光沢性および表面解
像度などが要求される。このため冷間圧延段階における
表面疵の存在は、BA仕上げステンレス鋼帯にとって致
命的な欠陥となり、その発生は許されない。表面疵の発
生は、鉄の酸化物などを含む鉄粉類の存在によって起こ
りやすい。鉄粉類の発生原因はとしては、圧延時にステ
ンレス鋼帯表面から剥離する内部的なものと、外部から
持ち込まれるものとがある。鉄粉類の除去には、潤滑用
の圧延剤が重要な役割を果たす。外部から持ち込まれる
鉄粉類には、被圧延鋼帯の表面に付着している粉塵や、
繰返して使用されるサービステール表面に焼鈍時に形成
される酸化膜が剥離して生成されるものなどがある。B
A仕上げステンレス鋼帯の冷間圧延は通常レバース式ク
ラスタ型圧延機、たとえば20段ゼンジミアミルによっ
て行われる。20段ゼンジミアミルは直径の小さいワー
クロール、たとえば直径40〜120mmのワークロー
ルを備えており、ミネラル油を圧延剤として使用してい
る。このミネラル油は、低粘度鉱油のストレート油であ
る。
【0003】一般に被圧延鋼帯の表面光沢性および表面
解像度は、冷間圧延機の粗さの小さいワークロール面で
もって圧延剤の薄膜を介して被圧延鋼帯の表面を擦るこ
とで得られるので、圧延剤の膜厚が薄いほど表面光沢性
および表面解像度が向上する。この膜厚は、圧延剤の粘
度が低いほど薄くなるので、圧延剤の粘度が低いほど表
面光沢性および表面解像度は向上する。またワークロー
ルの直径が小さいほど、圧延剤がワークロールとステン
レス鋼帯との接触面に滑り込み難くなるので、接触面内
の膜厚が薄くなり、表面光沢性および表面解像度は向上
する。したがってクラスタミルの一種である20段ゼン
ジミアミルなどの小径ワークロールを用いてミネラル油
を圧延剤として冷間圧延を行うとき、ステンレス鋼帯は
極めて優れた表面光沢性および表面解像度を示す。
【0004】しかしながらこのミネラル油は他の圧延
剤、たとえば鉱油を水に分散させてエマルジョン化した
圧延剤と比べると冷却性が大幅に劣るので、高圧下高速
圧延を行う場合には圧延ロールやステンレス鋼帯の温度
上昇により潤滑性の低下を招き、焼付きいわゆるヒート
スクラッチ疵やロールの肌荒れを生じやすい。このため
現在BA仕上げステンレス鋼帯の冷間圧下率および冷間
圧延速度には限界があり、その能率および生産性は低水
準に留まっている。ステンレス鋼帯の能率および生産性
を向上させる方法として、冷却性の良好な圧延剤、たと
えば鉱油を水に分散させてエマルジョン化した圧延剤の
適用が提案されている。この圧延剤は、現在ステンレス
鋼帯の高速高圧下圧延用の圧延剤として、たとえば複数
基の20段ゼンジミアミルをタンデムに配設したタンデ
ムゼンジミアミルに適用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記ク
ラスタミルの一種であり、シングルでレバース方式また
はタンデム方式のゼンジミアミルでは、前記No.2D
仕上げおよびNo.2B仕上げステンレス鋼帯の製造は
問題なく行えるけれども、最も表面品質に対する要求の
厳しいBA仕上げステンレス鋼帯の製造は、次のような
問題点のため実用化されるに至っていない。
【0006】前記圧延剤は、新たに調製される場合、乳
化剤の乳化力が強いので、鉱油粒子の粒径が小さく、ス
テンレス鋼帯やワークロールへの圧延剤の付着性が悪
い。これによってワークロールとステンレス鋼帯との接
触面にかみ込まれる圧延剤の量が少なくなり、圧延時に
形成される圧延剤の膜厚が幅方向で不均一となる。この
ためこの膜厚の厚い部分と薄い部分とに相当するステン
レス鋼帯表面の光沢度の差異、いわゆる圧延剤模様が生
じやすい。圧延剤の膜厚が厚い部分は、焼鈍時に焼けて
黒くなり、酸洗時に白っぽく表面に残る。膜厚が薄い部
分は酸洗によって除去され、光沢が得られる。
【0007】一方、一定期間の継続使用によって乳化力
の低下した前記圧延剤には、図5に模式的に示すように
油粒子の合体ならびに鉄粉類などの鉄分の取込みが生ず
る場合がある。図5には、粒径の小さい油粒子には鉄分
が取込まれないけれども、合体して大きくなった油粒子
には、鉄分が取込まれている状況を示している。このよ
うに継続使用によって鉱油粒子の粒径が大きくなるの
で、ステンレス鋼帯やワークロールへの圧延剤の付着性
が向上する。このため圧延剤の膜厚が厚くなり、オイル
ピットが増大し、表面光沢性および表面解像度が低下す
る。また鉱油粒子内に取込まれた鉄分による押込み疵が
発生し、表面性状を低下させる。さらに鉄分の取込みに
よりスカムが生じやすくなり、圧延段階ではスカム汚
れ、次工程の光輝焼鈍段階ではスカム模様となり、表面
性状を低下させる。鉄粉類の発生原因としては、前述の
ように圧延中に生成される内部的なものと、循環使用さ
れる圧延剤中に混入して導入される外部的なものとがあ
る。圧延剤中の砂などの異物は、フィルタで比較的容易
に除去可能であるけれども、鉱油粒子内に取込まれた鉄
粉類の除去は困難である。このように従来技術では、表
面品質と高圧下高速圧延とは両立することができない。
このため、BA仕上げステンレス鋼帯の能率および生産
性は従来どおり低水準のまま留まっている。
【0008】本発明の目的は、BA仕上げステンレス鋼
帯に要求される優れた表面品質と高圧下高速圧延とを両
立することのできる冷間圧延方法および装置ならびに圧
延剤を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、ステンレス鋼
を含む鋼合金などの鉄系金属の冷間圧延方法において、
油分濃度6〜8vol.%で、高分子系乳化剤を添加し
てエマルジョン化させ、40℃における粘度を20〜2
5cStとした圧延剤を使用し、圧延剤中の鉄分濃度を
100ppm以下に維持することを特徴とする冷間圧延
方法である。また本発明は、前記圧延剤には、合成エス
テルおよびアルコールを含むことを特徴とする。また本
発明は、前記圧延剤から磁気フィルタを用いて鉄粉類を
除去することを特徴とする。また本発明は、オーステナ
イト系ステンレス鋼を圧延対象とすることを特徴とす
る。また本発明は、ステンレス鋼を含む鋼合金などの鉄
系金属の冷間圧延装置において、高分子系乳化剤を添加
してエマルジョン化させた圧延剤を循環使用する循環手
段と、圧延剤中の鉄粉類を磁気的に除去し鉄分濃度を1
00ppm以下に維持する磁気フィルタ手段とを含むこ
とを特徴とする。さらに本発明は、ステンレス鋼を含む
鋼合金などの鉄系金属の冷間圧延のための圧延剤におい
て、55〜67wt.%の精製鉱油と、18〜22w
t.%の合成エステルと、9〜11wt.%の合成アル
コールと、5〜6wt.%の乳化剤と、0.9〜1.1
wt.%の高分子系乳化剤とを原液に含むことを特徴と
する。 さらにまた本発明では、前記原液は水で薄められ、油分
濃度が6〜8vol.%となるようにして使用されるこ
とを特徴とする。
【0010】
【作用】本発明に従えば、ステンレス鋼など鉄系金属の
冷間圧延は、高分子系乳化剤を添加してエマルジョン化
させた低粘度圧延剤を使用し、圧延剤中の鉄分濃度を1
00ppm以下に維持して行われる。高分子系乳化剤の
添加によって油粒子の合体は生じ難くなるので、油粒子
の粒径は細粒のまま維持される。細粒でかつ低粘度の圧
延剤は、ロールや被圧延金属帯への付着性が悪いので、
ロールと被圧延金属帯の接触面における圧延剤の膜厚が
薄くなり、被圧延金属帯の表面光沢性ならびに表面解像
度が向上する。また細粒の油粒子は、鉄粉類を取込み難
く、かつ圧延剤中の鉄分濃度が低水準に維持されている
ので、スカムの発生ならびに鉄粉類による押込み疵の発
生が大幅に低減される。さらにエマルジョン化された圧
延剤が使用されるので、冷却性が良好であり、焼付きい
わゆるヒートスクラッチ疵の発生が防止され、高速圧延
が可能となる。
【0011】また本発明に従えば、圧延剤には合成エス
テルおよびアルコールが含まれている。合成エステルは
圧延剤の潤滑性能を大幅に向上させるので、圧延荷重が
低減され、圧延荷重を従来水準に維持するとすれば、圧
延荷重低減分だけ圧下量を大きくすることができ、高圧
下圧延が可能となる。またアルコールは油粒子の表面張
力を低下させるので、圧延剤の膜厚の均一性が向上す
る。このため圧延剤の膜厚の不均一に起因する幅方向光
沢むら、いわゆる圧延剤模様の発生を防止することがで
きる。
【0012】また本発明に従えば、圧延剤中の鉄粉類は
磁気フィルタを用いて除去されるので、圧延剤中の鉄分
濃度は確実に低減され、鉄粉類による押込み疵の発生や
スカムの発生が大幅に低減される。
【0013】また本発明に従えば、オーステナイト系ス
テンレス鋼を圧延対象とすることができる。硬質でかつ
変形抵抗の大きいオーステナイト系ステンレス鋼に本発
明を適用することができるので、本発明の適用範囲は極
めて広くなり、その工業的価値が高まる。
【0014】また本発明に従えば、冷間圧延装置は高分
子系乳化剤を添加してエマルジョン化させた圧延剤を循
環使用する循環手段と、圧延剤中の鉄粉類を磁気的に除
去し、鉄分濃度を100ppm以下に維持する磁気フィ
ルタ手段とを含んでいる。これによって、優れた特性を
有するエマルジョン化された冷間圧延剤を鉄分濃度の低
い状態で安定に供給することができるので、被圧延金属
帯の表面品質を高水準に維持したまま高圧下高速圧延を
行うことができる。また圧延剤を循環使用する循環手段
を有しているので、圧延剤の消費量を低減することがで
きる。
【0015】また本発明に従えば、圧延剤の原液は適正
範囲の精製鉱油と、合成エステルと、合成アルコール
と、乳化剤と高分子系乳化剤とを含んでいる。これによ
って、圧延剤の潤滑性ならびに被圧延金属帯の表面光沢
性や表面性状が大幅に向上するので、被圧延金属帯の表
面品質を高水準に維持したまま高圧下圧延を行うことが
できる。
【0016】また本発明に従えば、圧延剤は原液を水で
薄めて油分濃度が6〜8vol.%となるようにして使
用される。これによって圧延剤の冷却性が大幅に向上す
るので、被圧延金属帯のヒートスクラッチ疵の発生が防
止され、高速圧延が可能となる。
【0017】
【実施例】本発明の実施例を図1〜図4によって説明す
る。図1は本発明の一実施例である冷間圧延装置の簡略
化された構成を示す説明図であり、図2は鉱油粒子の粒
径分布に及ぼす高分子系乳化剤と鉄分濃度の影響を示す
特性図であり、図3は圧延剤中の鉄分濃度と欠陥個数と
の関係を示す特性図であり、図4は磁気フィルタの簡略
化された構成を示す斜視図である。
【0018】図1に示すように、本発明の一実施例であ
る冷間圧延装置は、複数基のクラスタミル、たとえば4
基の20段ゼンジミアミルをタンデムに配設したタンデ
ムゼンジミアミル1と、圧延剤を循環使用する循環手段
である循環装置2とを含んで構成される。循環装置2
は、使用済み圧延剤を回収するオイルパン3と、回収し
た圧延剤を貯留するダーティータンク4と、ろ過フィル
タ6と、クリーンタンク7と、鉄分を除去する磁気フィ
ルタ手段である磁気フィルタ9と、圧延剤原液タンク1
1と、圧延剤原液と水とを混合撹拌する混合タンク14
と、アジテータ15などを含んで構成される。
【0019】本実施例の圧延剤は、冷間圧延中タンデム
ゼンジミアミル1の各スタンドと鉄系金属帯の1つであ
るステンレス鋼帯16とに供給される。この圧延剤の原
液は、基剤である55〜67wt.%の精製鉱油と、1
8〜22wt.%の合成エステルと、9〜11wt.%
の合成アルコールと、5〜6wt.%の乳化剤と、0.
9〜1.1wt.%の高分子系乳化剤とを含む。合成エ
ステルは圧延剤の潤滑性能を大幅に向上させる効果を有
している。この効果によって冷間圧延時、圧延荷重が大
幅に低減されるので、圧延荷重を従来水準に維持すると
すれば、圧延荷重低減分だけ圧下量を大きくすることが
でき、高圧下圧延が可能となる。合成エステルの含有率
を18〜22wt.%としたのは、18wt.%未満で
は添加効果が小さく、22wt.%を超えると添加効果
の向上がほとんど認められなくなるためである。合成ア
ルコールは、圧延剤の表面張力を低下させる効果を有し
ている。この効果によってステンレス鋼帯に付着する圧
延剤の付着量むらが小さくなり、付着量が均一化され
る。このため圧延剤の付着量むらに起因するステンレス
鋼帯の幅方向光沢むら、いわゆる圧延剤模様の発生が防
止される。合成アルコールの含有率を9〜11wt.%
としたのは、9wt.%未満では添加効果が小さく、1
1wt.%を超えると添加効果の向上がほとんど認めら
れなくなるためである。
【0020】乳化剤は、水に溶けない鉱油を水中に微細
粒子として均質に分散させる効果を有する。乳化剤の量
が増加するに従い、鉱油粒子の平均粒径が小さくなるの
で、ステンレス鋼帯やワークロールへの圧延剤の付着量
が減少する。この圧延剤の付着量は、前述のように多す
ぎればオイルピットを形成して表面光沢性を低下させ、
少なすぎれば圧延剤の付着量むらが大きくなり、圧延剤
模様を生ずるので、適正範囲が存在する。このため乳化
剤の含有率は5〜6wt.%に限定される。鉱油粒子の
平均粒径は、たとえば3〜5μmに調製される。
【0021】高分子系乳化剤は、鉱油粒子の粒径の安定
性を高める効果を有している。図2には、鉱油粒子の粒
径分布に及ぼす高分子系乳化剤と鉄分濃度の影響を示
す。図2で用いた圧延剤は、高分子系乳化剤を含む前
記原液を水と混合してエマルジョン化し、油分濃度6v
ol.%に調製した圧延剤、 の圧延剤に鉄分を1
000ppm添加した圧延剤、 の圧延剤から高分
子系乳化剤を除いた圧延剤、 の圧延剤に鉄分を1
000ppm添加した圧延剤の4種類である。鉱油粒子
の粒径分布は、これらの圧延剤を実験室的循環装置で1
ヶ月間循環させた後、日科機(株)製の商品名「COU
LTER COUNTER」MODEL−ZBによって
測定した。図2から高分子系乳化剤を含まない圧延剤
の鉱油粒子の粒径分布は、高分子系乳化剤を含む圧延剤
に比べて粒径の大きい粒子が多いことが判る。これは
圧延剤が循環中鉱油粒子の衝突や乳化剤の劣化に伴い
鉱油粒子の粒径が増大しているのに対して、高分子系乳
化剤を含む圧延剤は同一環境下においても鉱油粒子の
粒径がほとんど増大していないことを示している。一方
圧延剤に鉄分を添加した圧延剤の粒径分布は、圧延
剤の粒径の大きい粒子に鉄粉類などの鉄分が取込まれ
てさらに粒径が大きくなるので、粒径の大きい粒子の比
率が極めて高くなっている。しかしながら圧延剤に鉄
分を添加した圧延剤の粒径分布は圧延剤に比べてほ
とんど変化していない。これらより高分子系乳化剤を添
加した圧延剤は粒径安定性が高く、鉱油粒子の衝突によ
っても粒径が大きくなり難く、乳化剤によって適正に調
製された鉱油粒子の粒径分布が長期間維持される。また
その結果鉱油粒子内に鉄分を取り込み難くなるので、ス
カムの発生ならびに鉄分による押込み疵の発生が大幅に
低減される。
【0022】この圧延剤の原液の粘度は比較的低粘度で
ある40℃で20〜25cStに調製されることが好ま
しい。粘度範囲をこの範囲としたのは、40℃で20c
St未満の粘度では圧延剤の膜厚が薄くなり、潤滑性能
が低下し、その結果高圧下圧延が困難となり、一方40
℃で25cStを超える粘度では圧延剤の膜厚が厚くな
り、オイルピットの形成により表面光沢性が低下するか
らである。
【0023】表1に、この圧延剤原液の組成の一例と一
般性状とを実施例として示す。表1には、従来使用して
いた圧延剤原液の組成の一例と一般性状も比較例として
示している。表1に示す実施例は、前記圧延剤原液の組
成範囲を満たしているので、前述したように優れた性能
を有している。
【0024】
【表1】
【0025】本実施例の圧延剤は、前記原液を水で薄め
て油分濃度を6〜8vol.%に調製し、撹拌してエマ
ルジョン化させて使用される。油分濃度をこの範囲とし
たのは、6vol.%以下の油分濃度では圧延剤の性能
が発揮できず、8vol.%を超える油分濃度では圧延
剤の性能向上がほとんど認められなくなるからである。
ステンレス鋼帯16の冷間圧延は、タンデムゼンジミア
ミル1において前記圧延剤を使用し、圧延剤中の鉄分濃
度を100ppm以下に維持しながら行われる。前記圧
延剤においては、高分子系乳化剤の添加によって油粒子
の合体が生じ難くなっているので、油粒子の粒径は細粒
のまま維持される。細粒でかつ低粘度の圧延剤は、ロー
ルやステンレス鋼帯16への付着性が悪いので、ロール
とステンレス鋼帯16の接触面における圧延剤の膜厚が
薄くなり、ステンレス鋼帯の表面光沢性ならびに解像度
が向上する。またエマルジョン化された圧延剤が使用さ
れるので、冷却性が良好であり、焼付きいわゆるヒート
スクラッチ疵の発生が阻止され、高速圧延が可能とな
る。冷間圧延中、ステンレス鋼帯16とワークロールと
の接触面では、摩擦力により鉄粉が発生する。このよう
にして内部的に発生する鉄粉は、圧延剤中に分散し、ワ
ークロールとステンレス鋼帯16との接触面においてス
テンレス鋼帯16の表面に押込まれ、押込み疵を発生さ
せる。さらにステンレス鋼帯16の前後にはサービステ
ールが付加される。サービステールは繰返し使用され、
焼鈍による酸化膜が剥離して酸化鉄粉となりやすい。こ
のような酸化鉄粉も押込み疵を発生させる。図3には、
圧延剤中の鉄分濃度と欠陥個数との関係を示す。図3か
ら圧延剤中の鉄分濃度が高くなるほど欠陥個数が増大
し、特にその鉄分濃度が100ppmを超えると欠陥個
数の増加が著しくなることが判る。本発明において、圧
延剤中の鉄分濃度を100ppm以下に限定しているの
はこの理由によるものである。なお、鉄分濃度の下限値
は特に限定していないけれども、図3から大略10pp
mを下限値とすれば実質上問題ないことが判る。
【0026】以上述べたように本実施例の圧延剤の潤滑
性能および冷却性能は極めて良好であり、かつ本実施例
により冷間圧延されたステンレス鋼帯の表面光沢性、表
面解像度および表面性状はいずれも極めて優れている。
このため本実施例によれば、BA仕上げステンレス鋼帯
に要求される優れた表面品質と高圧下高速圧延とを両立
させることができる。また、ステンレス鋼帯16の鋼種
は特に限定されない。通常オーステナイト系ステンレス
鋼帯は硬質で変形抵抗が高く、加工硬化が激しいので、
優れた表面品質と高圧下高速圧延とを両立させることが
困難である。しかしながら本発明によればオーステナイ
ト系ステンレス鋼帯においても、優れた表面品質と高圧
下高速圧延とを両立させることができる。
【0027】前記圧延剤は、循環装置2によって循環使
用される。ステンレス鋼帯16の圧延に使用した使用済
み圧延剤は、タンデムゼンジミアミル1の下部に設けら
れているオイルパン3を介してダーティータンク4に回
収される。ダーティータンク4に回収貯留された使用済
み圧延剤は、ポンプ5によってろ過フィルタ6を経てク
リーンタンク7に送剤される。ろ過フィルター6は、ろ
紙により圧延剤をろ過し、圧延剤中の鉱油粒子よりも大
きな砂などの粒子を除去する。しかしながら、圧延剤中
の鉄粉や酸化鉄粉などを含む鉄粉類は平均粒径が0.5
〜1.0μmであり、圧延剤中の鉱油粒子の平均粒径3
〜5μmよりも小さいので、ろ過フィルタ6では除去で
きない。クリーンタンク7に貯留されている圧延剤は、
クリーンタンク7、ポンプ8、磁気フィルタ9によって
形成される循環系路17に送剤される。磁気フィルタ9
は、ろ過フィルタ6で除去できない鉄粉類を除去する。
【0028】図4には、磁気フィルタ9の簡略化された
構成を示す。磁気フィルタ9は、フィルタベッセル21
と、ベッセルカバー22と、フィルタベッセル21の外
周面に設けられているヨーク23と、励磁コイル24と
を含んで構成される。フィルタベッセル21は、円筒状
容器であり、内部に底面側より下部ポールピース25、
フィルタメディア26、上部ポールピース27が層状に
充填されている。下部ポールピース25と上部ポールピ
ース27には、多数の通液孔が設けられている。フィル
タメディア26は、金網状の積層体である。フィルタベ
ッセル21の上部には、ベッセルカバー22が乗載され
ており、ボルトおよびナットでフィルタベッセル21に
固定されている。この磁気フィルタ9は、励磁コイル2
4によってフィルタメディア26を磁化させた後、圧延
剤を矢符28の方向に送剤し、圧延剤中の鉄粉類などの
鉄分をフィルタメディア26に吸着させ、圧延剤と鉄分
とを分離する。フィルタメディア26は定期的に取外さ
れ、蒸気洗浄や温水洗浄によって鉄粉類が洗い流され
る。この磁気フィルタ9は、水中に分散している鉄粉類
については効率的に除去することができるけれども、鉱
油粒子内に取り込まれた鉄粉類については除去効率が極
めて低い。本発明の圧延剤は、前述のように高分子系乳
化剤の添加によって鉱油粒子内に鉄粉類を取り込み難く
なっているので、鉄粉類は水中に分散している。このた
め鉄粉類は磁気フィルタ9によって効率的に除去され
る。この磁気フィルタ9は鉄分平衡濃度100ppm以
下まで鉄粉類を除去することができる。クリーンタンク
7に貯留されている清浄化された圧延剤は、冷間圧延中
ポンプ10によってタンデムゼンジミアミル1の各スタ
ンドとステンレス鋼帯16とに供給される。このような
圧延剤の循環使用は、冷間圧延中継続して行われる。冷
間圧延中、圧延剤は定期的にサンプリングされ、オフラ
インにおいて油分濃度分析が行われる。圧延剤中の油分
濃度が6〜8vol.%の範囲を下回るときには、新た
に調製された圧延剤が補給される。圧延剤の調製は、混
合タンク14において圧延剤原液と水とを混合し、アジ
テータ15を用いて撹拌することによって行われる。圧
延剤原液は、原液タンク11からポンプ12によって、
水は水補給系からポンプ13によってそれぞれ供給され
る。
【0029】なお本発明は、タンデムゼンジミアミルに
のみ適用されるものではなく、タンデム式多重圧延機、
レバース式クラスタ型圧延機、レバース式多重圧延機な
どに対しても好適に適用できる。
【0030】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、冷間圧延
は、高分子系乳化剤を添加してエマルジョン化させた低
粘度圧延剤を使用し、圧延剤中の鉄分濃度を低水準に維
持して行われる。これによってロールと被圧延金属帯の
接触面における圧延剤の膜厚が薄くなるので、被圧延金
属帯の表面光沢性ならびに表面解像度が向上する。また
スカムの発生ならびに鉄粉類による押込み疵の発生が大
幅に低減される。さらに圧延剤の冷却性が良好であるの
で、焼付きいわゆるヒートスクラッチ疵の発生が防止さ
れ、高速圧延が可能となる。
【0031】また本発明によれば、圧延剤には合成エス
テルおよびアルコールが含まれている。合成エステルは
圧延剤の潤滑性能を大幅に向上させるので、圧延荷重が
低減され、高圧下圧延が可能となる。またアルコール
は、圧延剤の膜厚の均一性を向上させ、圧延剤模様の発
生を防止することができるので、製品の表面品質や製品
歩留りが向上する。
【0032】また本発明によれば、圧延剤中の鉄粉類は
磁気フィルタを用いて除去されるので、圧延剤中の鉄分
濃度は確実に低減され、鉄粉類による押込み疵の発生や
スカムの発生が大幅に低減される。このため製品の表面
品質や製品歩留りが大幅に向上する。
【0033】また本発明によれば、オーステナイト系ス
テンレス鋼を圧延対象とすることができる。硬質でかつ
変形抵抗の大きいオーステナイト系ステンレス鋼に本発
明を適用することができるので、本発明の適用範囲は極
めて広くなり、その工業的価値が高まる。
【0034】また本発明によれば、冷間圧延装置は本発
明の圧延剤を循環使用する循環手段と、磁気フィルタ手
段とを含んでいる。これによって優れた特性を有するエ
マルジョン型冷間圧延剤を鉄分濃度の低い状態で安定供
給することができるので、被圧延金属帯の表面品質を高
水準に維持したまま高圧下高速圧延を行うことができ
る。このため製品の競争力が大幅に向上する。また圧延
剤を循環使用する循環手段を有しているので、圧延剤の
使用量を低減することができ、原価低減を図ることがで
きる。
【0035】また本発明によれば、圧延剤の原液は適正
範囲の精製鉱油と、合成エステルと、アルコールと、乳
化剤と、高分子系乳化剤とを含んでいる。これによっ
て、圧延剤の潤滑性ならびに被圧延金属帯の表面光沢性
や表面性状が大幅に向上するので、被圧延金属帯の表面
品質を高水準に維持したまま高圧下圧延を行うことがで
きる。このため製品の競争力が大幅に向上する。また高
分子系乳化剤の添加によって、圧延剤中の鉱油粒子の粒
径安定性が高くなり、かつ鉄粉類を取込み難くなるの
で、圧延剤の寿命が長くなり、圧延剤の入れ換え回数を
低減することができる。このため能率および生産性が大
幅に向上する。
【0036】また本発明によれば、圧延剤は原液を水で
薄めて適正な油分濃度にして使用される。これによって
圧延剤の冷却性が大幅に向上するので、被圧延金属帯の
ヒートスクラッチ疵の発生が防止され、高速圧延が可能
となる。このため能率および生産性が大幅に向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である冷間圧延装置の簡略化
された構成を示す説明図である。
【図2】鉱油粒子の粒径分布に及ぼす高分子系乳化剤と
鉄分濃度の影響を示す特性図である。
【図3】圧延剤中の鉄分濃度と欠陥個数との関係を示す
特性図である。
【図4】磁気フィルタの簡略化された構成を示す斜視図
である。
【図5】油粒子の合体および鉄分の取込み状況を示す模
式図である。
【符号の説明】
1 タンデムゼンジミアミル 2 循環装置 3 オイルパン 4 ダーティータンク 6 ろ過フィルタ 7 クリーンタンク 9 磁気フィルタ 11 原液タンク 14 混合タンク 21 フィルタベッセル 22 ベッセルカバー 24 励磁コイル 25 下部ポールピース 26 フィルタメディア 27 上部ポールピース
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 //(C10M 173/00 101:02 129:68 129:04) C10N 20:02 30:00 40:24

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ステンレス鋼を含む鋼合金などの鉄系金
    属の冷間圧延方法において、 油分濃度6〜8vol.%で、高分子系乳化剤を添加し
    てエマルジョン化させ、40℃における粘度を20〜2
    5cStとした圧延剤を使用し、 圧延剤中の鉄分濃度を100ppm以下に維持すること
    を特徴とする冷間圧延方法。
  2. 【請求項2】 前記圧延剤には、合成エステルおよびア
    ルコールを含むことを特徴とする請求項1記載の冷間圧
    延方法。
  3. 【請求項3】 前記圧延剤から磁気フィルタを用いて鉄
    粉類を除去することを特徴とする請求項1または2に記
    載の冷間圧延方法。
  4. 【請求項4】 オーステナイト系ステンレス鋼を圧延対
    象とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記
    載の冷間圧延方法。
  5. 【請求項5】 ステンレス鋼を含む鋼合金などの鉄系金
    属の冷間圧延装置において、 高分子系乳化剤を添加してエマルジョン化させた圧延剤
    を循環使用する循環手段と、 圧延剤中の鉄粉類を磁気的に除去し鉄分濃度を100p
    pm以下に維持する磁気フィルタ手段とを含むことを特
    徴とする冷間圧延装置。
  6. 【請求項6】 ステンレス鋼を含む鋼合金などの鉄系金
    属の冷間圧延のための圧延剤において、 55〜67wt.%の精製鉱油と、 18〜22wt.%の合成エステルと、 9〜11wt.%の合成アルコールと、 5〜6wt.%の乳化剤と、 0.9〜1.1wt.%の高分子系乳化剤とを原液に含
    むことを特徴とする圧延剤。
  7. 【請求項7】 前記原液は水で薄められ、油分濃度が6
    〜8vol.%となるようにして使用されることを特徴
    とする請求項6記載の圧延剤。
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