JPH08260014A - 電気製錬炉の付着物低減方法 - Google Patents

電気製錬炉の付着物低減方法

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JPH08260014A
JPH08260014A JP9145195A JP9145195A JPH08260014A JP H08260014 A JPH08260014 A JP H08260014A JP 9145195 A JP9145195 A JP 9145195A JP 9145195 A JP9145195 A JP 9145195A JP H08260014 A JPH08260014 A JP H08260014A
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賢一 片山
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隆 山内
Masahiro Harada
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 炉壁付着物の発生を抑制しながら、電力負荷
の制御によって安定な炉況下で電気炉操業する。 【構成】 製鋼ダスト及び廃酸スラッジを合計で40%
以上含む酸化物原料を溶解・還元してNi,Cr含有合
金を回収する電気製錬炉において、炉の深さをH(m
m),通電開始時と通電終了時の電極先端位置の差をS
とするとき、通電中では電極の先端位置が0.75×H
以下となるように電力負荷を調整し、更に電極の先端位
置が0.75×H以下であるときS≦0.35×Hとな
るように電力負荷を調整する。 【効果】 製鋼ダスト,スラッジ等から有価金属をC
r,Ni含有合金として高歩留りで回収される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、酸化物を主とする原料
を溶解,還元し、生成する溶融金属を精錬して金属を回
収する際、電気製錬炉の炉壁に付着するZn等を主体と
した付着物を低減する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】高炉,電気炉,転炉等が稼動している精
錬所では、原料前処理工程,製錬炉内への原料供給時,
製錬炉の運転中等に金属分を含むダストが多量に発生す
る。また、表面処理ラインを備えた工場では、廃酸,廃
液処理工程や用水再生設備においても多量のスラッジが
発生する。ダスト,スラッジ等を、抵抗加熱型の電極埋
没式電気炉等の電気製錬炉で装入原料として使用し、合
金を溶製することが知られている。この種の電気炉を安
定した条件下で操業するため、たとえば特公昭63−2
5277号公報は、電極外周に絶縁スリーブを取り付
け、炉内方向に電力を供給している。また、特開平4−
61053号公報では、カラミと称される溶融酸化物の
組成を一定範囲内に維持し、アンチモン酸化物を安定条
件下で還元している。更に、特公昭53−33937号
公報では、籾殻を添加することにより装入原料の荷下が
りを安定化させ、原料の棚吊り等を防止している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】製鋼ダストや廃酸スラ
ッジを多量に含むスラグを多量に生成する電気製錬炉で
は、スラグ組成の変動が炉内抵抗に大きく影響する。そ
の結果、電極が浮上した場合、原料装入口付近が局部的
に加熱され、付着物の焼付きや堆積によって原料装入口
が狭められることがある。このような状態が続くと、ま
すます原料装入口の電極から付着物までの距離(以下、
プール幅という)が近くなり、原料の供給が困難にな
る。そのため、操業を中断し、付着物を機械的に除去す
るポーキングによって炉口を広げる作業が必要になり、
生産性を著しく低下させる。悪化した炉況が更に継続す
ると、炉内溶融域への電力供給が不足する。その結果、
炉内の温度が低下傾向を示し、Znを主とする融点の高
い化合物が次第に炉の内壁に付着,堆積していく。その
ため、炉内の有効容積が狭くなり、電気製錬炉が本来も
つ生産能力が発揮できなくなる。本発明は、このような
問題を解消すべく案出されたものであり、電極位置に応
じて電力負荷を制御することにより、付着物を抑制しな
がら、高生産性で電気炉を操業することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、その目的を達
成するため、製鋼ダスト及び廃酸スラッジを合計で40
%以上含む酸化物原料を溶解・還元してNi,Cr含有
合金を回収する電気製錬炉において、炉の深さをH(m
m),通電開始時と通電終了時の電極先端位置の差をS
とするとき、通電中では電極の先端位置が0.75×H
以下となるように電力負荷を調整し、更に電極の先端位
置が0.75×H以下であるときS≦0.35×Hとな
るように電力負荷を調整することを特徴とする。本発明
に従った電気炉操業では、次のアクションを操業中に1
回又は複数回繰り返すことが好ましい。 ・ 電極の先端位置が0.75×H以下に維持できる条
件下で、更に炉底〜電極間の電圧がタップ電圧の35〜
45%となるように電力負荷を調整するアクション ・ ダスト発生量の経時変化がなくなるように電力負荷
を調整するアクション ・ スラグの電気伝導度を測定し、測定結果に基づきス
ラグの電気伝導度が0.8〜1.7Ω-1/cmになるよ
うにスラグ成分含有原料を供給するアクション ・ コークス原単位が250〜320kg/トン−メタ
ルになるように外装コークス供給量を調整するアクショ
ン 本発明は、高炉型電気炉,低炉型電気炉等の電気製錬
炉、特にゼーダベルグ式自焼成電極を備えた電気炉に適
した操業方法である。更に、粉状原料のインジェクショ
ン用羽口を炉体側面の溶融域レベルに備えたシャフトタ
イプの電気炉を使用するとき、効果的である。
【0005】
【作用】製鋼工場で発生するスクラップの再利用割合が
増加するに伴って、ダストやスラッジに含まれているZ
n等の含有量が増加する。本発明は、これらを原料とす
る電気製錬炉内で付着物が増加する現象を調査する過程
で得られた知見を基にして完成された操業方法である。
付着物増加の原因としては、何らかの操業状態の変化に
よって電極が浮上し、赤熱した電極により原料層上部、
すなわち炉口付近の原料や揮発付着したZn,ダスト等
が加熱によって強度に固化し、棚吊り現象を発生させる
ことが掲げられる。この点では、電力負荷の変更によっ
て電極の位置を強制的に調整することにより電極の浮上
を抑制するとき、付着物の増加が抑制されるものと考え
られる。また、付着物を構成するダストの量を軽減する
ことによっても、付着物の増加が抑制される。一方、電
極の変動は、原料の組成変動等によって炉内抵抗に変化
が生じることに由来するものと推察される。そこで、炉
内抵抗に直接影響するコークスの供給量及びスラグの電
気伝導度を適正範囲に維持することにより、電極の変動
が抑えられる。
【0006】これらの諸要因を系統的に制御することに
より、付着物生成の原因となる電極浮上によるプール加
熱,ダスト発生量の増加,炉内抵抗の不安定化等を防止
し、電気製錬炉の内壁に付着しがちなZn等の付着・堆
積を抑制し、ダスト,スラッジ等の酸化物原料を効率よ
く処理することが可能となる。以下、図1のフローを参
照しながら、本発明をその作用と共に具体的に説明す
る。本発明に従った電気炉操業では、たとえば図2に示
すように、側壁耐火物1及び炉底耐火物2で構築された
電気製錬炉を使用する。炉内には、電極3が配置されて
おり、電極3と炉壁との間に、原料装入口4から原料5
が装入される。原料5が抵抗加熱され、スラグ層6及び
メタル7が生成する。また、メタル7の上部には、還元
に必要なコークスベッド8が設けられる。精錬されたメ
タルは、適宜出銑口9から出銑される。炉壁の上部に
は、Zn等の付着物11が付着・堆積し易く、付着物の
凝着を防止するために冷却設備10を設けている。この
ような電気製錬炉において、メタル層7の底部と炉底耐
火物2の上部との境界を炉底とし、最大限装入した場合
の原料5の上面を原料層上面とする。炉底から原料層上
面位置までが炉の深さHであり、原料装入口の電極3〜
付着物11間の距離をプール幅Wとする。
【0007】電極3の位置管理に関しては、電極没入深
さが炉底から上方へ75%×Hの高さ位置になるように
設定する。電極先端が75%×Hの高さ位置より上方に
上昇すると、炉内で抵抗加熱されている電極3自体の赤
熱化した電極部からの熱伝導によって、原料層上部の電
極3に近い部分の原料5や付着物11が加熱融着し、棚
吊り状態が発生し易くなる。また、付着物11への通電
によって、付着物11が加熱・焼結され、ポーキング不
能な強固なクラストを生成する場合もある。電極3の位
置が付着物11等に与える影響は、図3に示すように電
極先端位置が75%×H以上になるとプール幅Wの部分
の温度が急激に上昇することからも伺われる。また、通
電終了後のプール幅も、電極先端位置が75%×H以上
になると狭くなってきている。このことから、付着物を
増加させないためには、電極の先端位置を75%×H以
下にする必要があることが判る。電極3の先端が75%
×Hの高さ位置を超える場合には、図1のフローで示す
ように電力負荷を低減させる。電流制御の場合には、タ
ップ電圧の下方切り替えにより電極3を深く没入させる
ことができ、電極3の先端位置を低下することができ
る。
【0008】電極3の先端が75%×Hの高さ位置より
低い場合には、次に、1チャージ内における電極位置の
長期的な管理として電極3のストローク管理に進行す
る。なお、ストロークSとは、通電開始時及び通電終了
時における電極3の先端位置の差である。本発明者等の
調査・研究によるとき、ストロークが35%×H以下で
あるとき付着物を軽減した安定操業が可能になることが
判った。通常の操業では、通電開始時に電極3は下限位
置にあり、通電終了時には上限位置にある。そして、通
電時間をTとすると、電極3の上昇速度は通電中に0.
35×H/Tの速度で一定することが理想的である。こ
の条件は、生産性を上げるために最低限必要な電力負荷
の維持、効率を低下させるアーク発生の防止、更にゼー
ダベルグ式自焼成電極では電極ペーストの焼成過程(溶
融域又は反応域に達するまでに生じる軟化,焼成反応に
適切な熱伝導等)を達成する上でも最適条件である。
【0009】ストロークが35%×H以上になると、操
業中のある時点で電極3の上昇速度が0.35×H/T
より大きくなる。この場合には、炉内に急激な変化が生
じ易くなる。そこで、ストロークが35%×Hより大き
くなると推定されたときには、電力負荷を軽減する。ス
トロークを推定する方法としては、たとえばその時点ま
での電極3の変位と通電時間又は投入電力から電極3の
変動速度を算出し、算出結果に基づいてその操業の目標
通電時間又は目標投入電力時の最終的な変位を推定する
方法がある。電極3の先端位置及びストロークが共に適
正範囲にあるとき、そのままの操業条件を維持し、一定
時間経過後に同様な制御を繰り返す。また、電極位置を
管理すると共に、炉底〜電極間の電圧(以下、炉底間電
圧という)及びダスト発生量を管理し、粉粒状原料の強
度を高めることにより付着物の原因となるダスト発生量
を低減する。一般に、粉粒状原料を製団する場合、その
強度は、揮発物質や水分の含有量,バインダーの効力等
に影響されるが、大半は使用原料の粒度分布によって定
まる。高強度に製団する上では、原料の粒度分布が適度
に広がっていることが好ましい。しかし、本発明が対象
とする原料では、製鋼ダストや廃酸スラッジ等が多いた
め、粒度分布はかなり細かい方に偏ったものになってお
り、高強度のペレット,ブリケット等に製団することが
困難である。
【0010】一般的には、強度向上に有効なバインダー
の選択や高性能製団機の使用等により、ブリケットの熱
間強度を向上させることができる。しかし、ダスト,ス
ラッジ等を原料とする場合、経済的又は設備的な限界か
ら、ブリケットの強度向上だけでダスト発生量を抑制す
ることは困難である。そこで、本発明者等は、操業要因
の一つである炉底間電圧がダスト発生に及ぼす影響に着
目した。炉底間電圧とダスト発生量との関係を示す図4
にみられるように、タップ電圧の35〜45%の範囲内
に炉底間電圧を維持するとき、ダスト発生量を抑えるこ
とができる。炉底間電圧をタップ電圧の35%未満にす
ると、ブリケットの強度にもよるがダスト化の程度があ
まり変わらないものの、電力原単位が急激に悪化(上
昇)する。ブリケットの強度が高い場合、炉底間電圧が
タップ電圧の35〜45%の範囲内でも高い電圧で操業
できるが、強度が低い場合には適度に低い電圧で操業す
る。図4では、ブリケットの強度は、A→B→Cの順に
高くなっている。そこで、そのときのブリケットの強度
に応じ、或いはその時点での付着物の生成状況に応じ
て、生産性を落とさないように最大限印加可能なタップ
電圧に調整する。
【0011】何れの場合でも、炉底間電圧がタップ電圧
の45%以上になると、ダスト化が著しく、付着物増加
の原因となるので、電力負荷を低減する。また、一方で
は、実際のダスト発生量を管理しておき、ダスト発生量
が増加傾向にある場合には電力負荷を軽減し、逆にダス
ト発生量が減少傾向にある場合にはブリケットが強度的
に余裕があると判断して能力向上面から電力負荷を増加
する制御を行う。電力負荷の増減幅は、各種管理値の目
標範囲からのズレの程度によって決められる。この制御
は一定時間経過ごとに行われるので、急激な炉況変化を
避けるように、炉況を観察しながら可能な限り少しずつ
変更していくことが好ましい。本発明では、更に不安定
な電極位置変化を防止し、より効果的に電力負荷を制御
するため、スラグの電気伝導度及びコークス供給量を制
御する。
【0012】付着物を構成する物質の一つは、吹上げに
よって炉内から飛散したメタルやスラグである。そこ
で、吹上げの原因となる電極の急激な変動をスラグ組成
やコークス供給量の適正化によって安定化するとき、付
着物の生成が抑制される。スラグの電気伝導度は、電気
伝導度の実測値実測に基づきスラグの電気伝導度が0.
8〜1.7Ω-1/cmとなるようにスラグ成分或いはス
ラグ成分含有原料を供給することにより調整される。ほ
ぼ一定の操業条件下においては、スラグの比電導度と炉
壁温度及び吹上げ回数との間に図5に示す関係が成立し
ている。図5から明らかなように、スラグの電気伝導度
を0.8〜1.7Ω-1/cmの範囲に維持するとき、吹
上げ回数が減少し、炉壁温度が低くなっており、付着物
の生成が抑制されることが判る。
【0013】スラグの電気伝導度が1.7Ω-1/cmよ
り大きくなると、電極が浮上し、原料の棚吊り等が発生
し易くなる。その結果、溶融域に原料が異常落下し、吹
上げが発生し易くなる。また、操業後期では、前述した
電極先端位置を75%×H以下にすることが困難になる
ばかりでなく、抵抗加熱効率の低下によって炉内温度が
下がり、有効な炉内容積の維持が困難になり、電力原単
位を低下させる。このような場合には、電気伝導度を下
げる、換言すれば抵抗を大きくするように、SiO2
Al23 等のスラグ成分Bを供給する。その結果、炉
内抵抗が大きくなり、電流制御の場合には一定の電流を
維持するために電極が深く没入することにより、炉況が
回復される。
【0014】逆に、スラグの電気伝導度が0.8Ω-1
cmを下回ると、一定の電力負荷を維持する場合には電
極を深く潜り込ませる必要がある。そのため、電極はメ
タル層にかなり接近し、僅かな炉況変化でも吹上げ等が
異常に発生し易くなる。このような場合には、CaO,
CaF2 等のスラグ成分Aを供給して、スラグの電気伝
導度を上げる。これにより、炉内抵抗が低下し、電流制
御の場合には一定の電流を維持するために電極が適度に
浮上し、炉況が回復される。炉内抵抗は、コークス供給
量によっても制御できる。この場合、コークス原単位が
250〜320kg/トン−メタルとなるように、コー
クス供給量を制御する。良好な導電性物質であるコーク
スは、その量が増加すると炉体抵抗を下げる方向に作用
し、電極を浮上させる傾向を呈する。また、コークス量
が少ないと、炉内抵抗を上昇させる方向に作用し、電極
を没入させる傾向を呈する。具体的には、コークス供給
量の増減は、図6に示すように、スラグの電気伝導度と
同様に電極挙動に影響する。
【0015】コークスは、炉内に供給した量から炉内で
還元反応に消費された量を引いた量が炉内に存在する。
コークスの残存量が多いと、炉内抵抗が低下した状態に
なり、電極は浮上傾向を示す。逆に残存量が少ないと、
炉内抵抗は上昇した状態になり、電極は没入傾向を示
す。したがって、コークス原単位が250〜320kg
/トン−メタルの範囲から外れるとき、スラグの電気伝
導度による場合と同様に吹上げ頻度や電力効率等に影響
が現れる。そこで、ブリケット内装コークス量及び外装
コークス供給量から算出されるコークス原単位に基づ
き、コークス原単位が250〜320kg/トン−メタ
ルの範囲に維持されるように外装コークスの供給量を調
整する。コークスは、内装及び外装の両法で供給され
る。外装法では、通常の原料装入にみられるように、装
入原料のレベル低下に応じて追装する。使用されるコー
クスは、粉状,粒状,塊状等の種々の形状があるが、炉
の特性や主原料及び副原料の粒度に応じて最適な形状の
コークスを選択する。内装法では、最適な量及び粒度の
コークスをバインダー等と共に酸化物原料に配合して混
練した後、ブリケット,ペレット等に製団したものを使
用する。ブリケット,ペレット等は、必要に応じて乾
燥,焼結等の熱処理が施され、或いは数日間の養生期間
を置いてある程度の強度を確保したものが装入原料とさ
れる。
【0016】更に、ここで電力負荷制御に戻り、電力負
荷を低減した場合、外装コークス量の低減及び/又は電
気伝導度を低下させるスラグ成分の供給を制御する。そ
して、スラグの電気伝導度及びコークス原単位が適性範
囲になる場合、電極位置管理に進む。すなわち、電力負
荷制御によって電力負荷を低下させた場合、炉の生産性
の面からするとマイナスの方向に炉況が変わっている。
生産性を回復するためには、できるたけ元の電力負荷に
戻す必要がある。そこで、元の電力負荷まで再度増大さ
せても電極位置が適正適性範囲を外れないように、スラ
グの電気伝導度の低下及びコークス供給量の低減によっ
て炉内抵抗を増大させる。したがって、スラグの電気伝
導度及びコークス原単位を調整しても、最終的には図1
に示したように電極位置管理系統に戻り、電極位置を適
正化するために電力負荷が制御される。このようにし
て、本発明では、付着物生成の原因となる炉内抵抗の不
安定化による電極浮上や吹上げ等の急激な炉況変化が防
止され、結果としでプール部の過熱や,ダスト発生量の
増加等が抑制される。
【0017】以上の対策によっても、付着物の生成や電
極の浮上が生じることがある。そこで、最終的な手段と
しては、たとえば原料層上部の付着物がポーキングによ
っても除去困難な生成物にならないように、焼結反応を
未然に防止する。最も効果的な方法は、図2に示すよう
に原料層上部の付着物融着帯に相当する電極3と付着物
11の距離が最も狭くなる部分に、炉壁に埋め込まれる
冷却用パイプ等の冷却設備10を設けておく。そして、
付着物11が赤熱化し始める温度(約400℃前後)、
望ましくは350℃に近付いたとき、冷却設備10を作
動させて焼結・固化反応を防止する。これにより、付着
物11を機械的に除去することが容易になる。或いは、
埋め込み式の冷却設備10に替えて、赤熱化し易い部分
に冷却ガスを吹き付けることにより焼結反応を防止する
ことも可能である。このようにして、一度、ポーキング
によって付着物11を除去して炉内を広げておくとき、
付着・成長が進行し難い良好な状態が維持される。
【0018】
【実施例】
実施例1:(チャージNo.10〜12) 各種ステンレス鋼を生産する製鋼工場で発生した電気炉
ダスト,湿式回収した転炉ダスト,スケール等をフィル
タプレスで脱水し、内燃式キルンで乾燥処理した。ま
た、ステンレス鋼帯の焼鈍酸洗によって生じたスケール
及び廃酸処理工程で沈澱凝集させて回収した水酸化物類
を同様に脱水・乾燥処理した。これらの製鋼ダスト及び
廃酸スラッジを合計量で約60%含む酸化物原料にコー
クス及び高分子凝集剤を配合し、混練した後、ブリケッ
トに製団した。得られたブリケットを数日間養生した
後、原料装入レベルに冷却設備を設けたゼーダベルグ式
の電気製錬炉に供給して溶解した。通電中は、一定時間
当りの電極位置の変動幅を管理し、電極の先端位置が
0.75×Hを超えて上昇しないように且つ最終的に通
電開始から終了までの変化量が0.35×H以内に収ま
るように、電力負荷を調整した。ただし、この場合の制
御には、同時に炉底間電圧を管理し、更にダスト発生量
を15分間隔で管理することによる電力負荷の制御も並
行させた。すなわち、タップ電圧の45%を炉底間電圧
が超える場合、又はダスト発生量が増加傾向にある場合
には、タップ電圧を低減する方向に調整した。逆に、タ
ップ電圧の35%を炉底間電圧が下回る場合、又はダス
ト発生量が減少傾向にある場合には、タップ電圧を増加
する方向に調整した。
【0019】チャージNo.10の各種操業状況を、図7
に示す。通電開始から220分及び250分経過した時
点で、0.35×Hを下回る電極ストロークが推定され
たので、タップ電圧を低下した。また、180分経過し
た時点で炉底間電圧が35%以下に、210分経過した
時点で炉底間電圧が45%以上に達したので、それぞれ
の時点でタップ電圧を上昇又は下降させた。更に、23
0分経過時点でダスト発生量が減少し、250分経過時
点でダスト発生量が増加したので、それぞれの時点でタ
ップ電圧を上昇又は下降させた。このような操業条件下
で、3チャージ続けて操業した。その結果、表2に示す
ように、チャージNo.10〜12では、出銑量が8.3
〜8.6トン/チャージ,プール幅が350〜390m
m,電力原単位が1090〜1150KWH/トン−原
料であった。
【0020】実施例2:(チャージNo.13〜15) 基本的には実施例1と同様な電力負荷を制御して操業し
た。ただし、同時にスラグの電気伝導度及びコークス供
給量も制御した。スラグの電気伝導度制御では、15分
ごとに測定用プローブを炉内スラグ層に挿入してスラグ
の電気伝導度を測定し、測定結果から電気伝導度が0.
8〜1.7Ω-1/cmの範囲に収まるようにCaO又は
SiO2 を供給した。このとき、電気伝導度の目標値と
測定値の差を塩基度の差異に変換し、そのときに推定さ
れる炉内スラグ量からその塩基度の差異をCaO又はS
iO2 量に換算することにより、供給量を決定した。そ
して、15分間で可能な限り均一な供給速度となるよう
に、求められた供給量のCaO又はSiO2 をプール幅
部に供給した。コークス供給量の制御では、コークスを
内装したブリケットの供給量及び通電操業中に供給する
外装コークスの量を管理し、常にコークス原単位を算出
し、刻す原単位が250〜320kg/トン−メタルの
範囲になるように外装コークスの供給量を決定した。
【0021】スラグの電気伝導度及びコークス供給量の
制御を、電力負荷の制御と同時に行った操業状況を図8
に示す。通電開始から200分経過した時点で電気伝導
度が1.7Ω-1/cm以上に、265分経過時点で0.
8Ω-1/cm以下になったため、それぞれの時点で電気
伝導度を下降させるようにSiO2 含有原料を、また電
気伝導度を上昇させるようにCaO含有原料を供給し
た。このような操業条件下で、3チャージ続けて操業し
た。その結果、表2に示すように、チャージNo.13〜
15では、出銑量が8.5〜8.7トン/チャージ,プ
ール幅が400〜405mm,電力原単位が1020〜
1040KWH/トン−原料であり、実施例1に比較し
て付着物量が少なくなっていた。
【0022】実施例3:(16〜18) 基本的には実施例2と同様な電力負荷を制御し、更にス
ラグの電気伝導度及びコークス供給量を制御しながら操
業した。ただし、実施例3では、電力負荷を低減する指
令を出力したとき、必ず外装コークス量の低減させ、及
び/又はスラグの電気伝導度を低下する成分を供給する
ように制御した。この場合の操業状況を図9に示す。通
電開始から190分,200分及び260分経過した時
点で、それぞれ炉底間電圧の上昇,ダスト発生量の増加
及び電極ストロークの上昇がみられたので、タップ電圧
を下降させた。その際、SiO2含有原料の供給及びコ
ークス供給量の低減を行った後、再びタップ電圧を上昇
させて、高生産性を維持した。実施例3では、実施例2
と同様に電力負荷,スラグの電気伝導度及びコークス供
給量を制御しているが、更に炉内抵抗を低下させるアク
ションを採っているため、電力負荷が高位に安定してい
る。したがって、炉内抵抗が上昇し、再び電力負荷を大
きくしても、電極の浮上,ダスト発生量の増加等が効果
的に抑制されている。その結果、表2にみられるよう
に、出銑量が8.8〜9.0トン/チャージ,プール幅
が410〜420mm,電力原単位が990〜1010
KWH/トン−原料となった。
【0023】比較例:(チャージNo.19〜22) 実施例と同様な酸化物原料にコークス及び高分子凝集剤
を混合し、混練した後ブリケットに製団した。得られた
ブリケットを数日間養生した後、ゼーダベルグ式の電気
製錬炉に供給して溶解した。操業中は、特に電極没入挙
動に応じて外装コークス,スラグ成分の供給量等を調整
することなく、可能な限り高い負荷条件で操業した。チ
ャージNo.19,20,22では、電極の先端位置が鋼
板で75%×H以上になっている。チャージNo.21で
は、電極の先端位置が75%×H以下に維持されている
ものの、電極位置の変動幅が35%×H以上であった。
また、チャージNo.23では、電極位置の変動幅が35
%×H以下であるものの、電極の先端位置が75%×H
を超えていた。それぞれの操業で、操業中の電極位置を
記録し、出銑後に付着物を含めた壁と電極と間の距離、
すなわちプール幅を測定し、その溶解チャージの出銑量
及び出滓量との対応を記録した。各例の記録結果を、表
1に対比して示す。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】表1にみられるように、実施例1〜3で
は、電極の先端位置が75%×H以下に、電極の変動幅
が35%×H以下になっている。これに対し、比較例で
は、電極の先端位置及び変動幅の何れかが本発明で規定
した範囲を超えており。電極が浮上傾向にあることが判
る。その結果、比較例と比べて実施例1〜3では、投入
電力が原料の溶解等に有効に消費され、表2に示すよう
に何れも高い電力原単位を示している。また、実施例1
〜3では、電極の浮上が防止されたため、プール幅が広
くなることも避けられている。しかし、比較例では、付
着物の成長によって次第にプール幅が狭くなり、電極の
先端位置を適正な範囲に没入させることが困難な状況に
なっていることが判る。この状況が継続すると、プール
幅が更に狭くなり、ここへのダスト等の付着や通電によ
るプール部の抵抗過熱により、一層除去不可能な硬い付
着物が生成し、電極の浮上傾向も強くなる悪循環状態と
なる。この場合、最終的には、原料装入も困難な極めて
悪い操業状態になることが予想される。このような炉況
の悪化は、実施例1〜3にみられるように本発明の実施
によって有効に解決することができる。
【0027】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、段階的且つ系統的なアクションをとることにより、
最も効果的に原料装入口に付着物が堆積することを抑制
し、電極と炉壁との間の距離が常に広く維持される。そ
のため、炉内への原料の荷下がりも順調に進行し、最適
な電極没入により炉内への集中的な熱供給が可能にな
り、熱ロスの低減や炉内の拡大により生産性が増大す
る。また、仮に付着物が生成しても、強固なものに変化
することが防止されるため、簡易的なポーキングによっ
て理想的な炉況に容易に回復させることができる。ま
た、従来のように付着程度が重くなる前に頻繁に行って
いたポーキング回数も著しく減少し、作業効率の低下も
防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に従った制御フロー
【図2】 電気製錬炉の内部
【図3】 電極の先端位置がプール幅部及びプール幅部
の温度に及ぼす影響
【図4】 炉底間電圧がダスト発生率及び電力原単位に
及ぼす影響
【図5】 スラグの比電導度が吹上げ回数及び炉内壁温
度に及ぼす影響
【図6】 コークス原単位が吹上げ回数及び炉内壁温度
に及ぼす影響
【図7】 実施例1におけるチャージNo.10の操業状
【図8】 実施例2におけるチャージNo.13の操業状
【図9】 実施例3におけるチャージNo.16の操業状
【符号の説明】 1:側壁耐火物 2:炉底耐火物 3:電極
4:原料装入口 5:原料 6:スラグ層 7:
メタル 8:コークスベッド 9:出銑口 10:冷却設備 11:付着物 H:炉の深さ W:プール幅

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 製鋼ダスト及び廃酸スラッジを合計で4
    0%以上含む酸化物原料を溶解・還元してNi,Cr含
    有合金を回収する電気製錬炉において、炉の深さをH
    (mm),通電開始時と通電終了時の電極先端位置の差
    をSとするとき、通電中では電極の先端位置が0.75
    ×H以下となるように電力負荷を調整し、更に電極の先
    端位置が0.75×H以下であるときS≦0.35×H
    となるように電力負荷を調整することを特徴とする電気
    製錬炉の付着物低減方法。
  2. 【請求項2】 電極の先端位置が0.75×H以下に維
    持できる条件下で、更に炉底〜電極間の電圧がタップ電
    圧の35〜45%となるように電力負荷を調整するアク
    ションを操業中に1回又は複数回繰り返す請求項1記載
    の電気製錬炉の付着物低減方法。
  3. 【請求項3】 ダスト発生量の経時変化がなくなるよう
    に電力負荷を調整するアクションを操業中に少なくとも
    1回又は複数回繰り返す請求項2記載の電気製錬炉の付
    着物低減方法。
  4. 【請求項4】 スラグの電気伝導度を測定し、測定結果
    に基づきスラグの電気伝導度が0.8〜1.7Ω-1/c
    mになるようにスラグ成分含有原料を供給するアクショ
    ンを操業中に少なくとも1回又は複数回繰り返す請求項
    1〜3の何れかに記載の電気製錬炉の付着物低減方法。
  5. 【請求項5】 コークス原単位が250〜320kg/
    トン−メタルになるように外装コークス供給量を調整す
    るアクションを操業中に少なくとも1回又は複数回繰り
    返す請求項1〜3の何れかに記載の電気製錬炉の付着物
    低減方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008240138A (ja) * 2007-03-29 2008-10-09 Nippon Yakin Kogyo Co Ltd 鉄鋼副生物から効率的に有価金属を回収する電気製錬方法
JP2009007632A (ja) * 2007-06-28 2009-01-15 Nippon Yakin Kogyo Co Ltd 鉄鋼副生物から効率的に有価金属を回収する電気製錬方法

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