JPH08268749A - MnZn系フェライトコアの焼成方法及び連続焼成炉 - Google Patents

MnZn系フェライトコアの焼成方法及び連続焼成炉

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JPH08268749A
JPH08268749A JP8016661A JP1666196A JPH08268749A JP H08268749 A JPH08268749 A JP H08268749A JP 8016661 A JP8016661 A JP 8016661A JP 1666196 A JP1666196 A JP 1666196A JP H08268749 A JPH08268749 A JP H08268749A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】フェライトコアの製造時に、その形状、及び台
板上の積載量や荷姿に左右されずに、優れた磁気特性を
有するMnZn系フェライトコアを安定的に焼成する方
法及び連続焼成炉を提供することを目的とする。 【解決手段】連続焼成トンネル炉で冷却工程の酸素分圧
制御雰囲気帯と窒素雰囲気帯との境界部温度を1000
〜1200℃とし、その温度変動幅を±25℃以下に制
御してフェライトコアを焼成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、MnZn系フェラ
イトコアの焼成方法及び連続焼成炉に関し、例えば、連
続焼成トンネル炉を用いて該フェライトコアを焼成する
に際し、その冷却工程での雰囲気及び温度を制御する技
術に係わる。
【0002】
【従来の技術】MnZn系フェライトコアは、各種通信
機器、電源等のコイル、トランス材料として広く用いら
れ、近年の電子機器の小型化に大きく貢献しており、さ
らに高特性のMnZn系フェライトコアを安定かつ効率
的に製造することが強く望まれている。
【0003】ところで、磁気特性の優れたMnZn系フ
ェライトコアを得るためには、日本金属学会報の第24
巻、第4号(1985年)、288頁の論文「ソフトフ
ェライト」(平賀貞太郎著)に記載されているように、
昇温・最高温度保持・冷却の各段階においてそれらの温
度と雰囲気中の酸素量とを精密に制御しながら焼成する
ことが必須であると言われている。特に、冷却過程にお
ける該MnZnフェライトコアの酸化状態の変化が磁気
特性に大きな影響を及ぼすことも周知であった。
【0004】そこで、従来の連続焼成炉(通常、トンネ
ル炉を使用)は、MnZn系フェライト焼成体の酸化を
防止するために、その冷却帯における酸素分圧を極力低
減して窒素雰囲気にすると共に、急速な冷却を行ってい
る。そのため、多量の窒素ガスを冷却帯に導入して、そ
の圧力を高く保持していた。例えば、特公平4−772
34号公報は、低酸素分圧室を設けたローラ・ハース式
連続焼成トンネル炉を提案し、その低酸素分圧室の酸素
濃度を数ppm〜100ppm程度に低減したことを開
示している。また、特公平6−76257号公報は、M
nZn系フェライトコアを20時間未満とこの分野では
従来に比較し非常に短い時間で焼成する技術を開示して
いる。つまり、短時間高能率生産が実現しているのであ
る。
【0005】しかしながら、前記特公平4−77234
号公報記載のローラ・ハース式連続焼成炉を用いた場
合、形状及び大きさの異なるフェライトコアを、異なる
積載量及び荷姿で台板上に載置して移動させつつ連続的
に焼成するに際し、磁気特性の劣化やばらつきが発生
し、製造の安定性の面で大きな問題となっていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる事情
を鑑み、連続焼成炉を用いた焼成で磁気特性の優れたM
nZn系フェライトコアを安定して多量生産できる技術
を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】発明者は、上記目的を達
成するため、フェライトコアの形状、大きさ、台板上へ
の積載量、荷姿等による冷却工程での温度変動、あるい
は焼成による磁気特性の劣化やばらつきの原因を鋭意研
究した。その結果、従来の連続焼成トンネル炉では冷却
工程の窒素雰囲気室に電気ヒータ等の加熱源による温度
制御装置を備えていないため、後述する実施例に示すよ
うに、焼成台板上に積載されたフェライト焼成体の形
状、大きさ、積載量及び荷姿等の変化によって冷却状態
が変わり、冷却工程の温度パターンが大きく変動してお
り、特に、酸素分圧制御雰囲気室とそれに続く窒素雰囲
気室との境界部の温度変動が、磁気特性の劣化やばらつ
きの最大の原因となっていることが明らかになった。さ
らに、MnZn系フェライトコアの酸化状態を示すFe
2+の含有量を分析した結果、境界部の温度の変動に応じ
てFe2+の含有量が変動しており、MnZn系フェライ
トコアの磁気特性を大きく左右する酸化状態が変化させ
られていることが明らかとなった。
【0008】上記のような現象は、台板の送りが速いロ
ーラ・ハース式連続焼成トンネル炉で顕著となり、特公
平6−76257号公報にて開示されている焼成時間が
20時間未満の短時間焼成では特に顕著であった。ま
た、プッシャ式連続焼成トンネル炉でも同様の現象が磁
気特性の劣化やばらつきの原因となっていることが明ら
かとなった。なお、ここで、焼成時間とは、室温から昇
温、保持冷却を経て、150℃となるまでに要する時間
を言う。
【0009】そこで、発明者は、冷却工程の酸素分圧制
御雰囲気帯とそれに続く窒素雰囲気帯との境界部温度を
最適値とし、且つその変動を小さく制御することが、高
特性のMnZn系フェライトコアを安定して得る手段に
なると考え、本発明を着想するに至った。しかし、連続
焼成トンネル炉においては、この境界部前後の上記雰囲
気帯の温度や雰囲気を独立に制御する必要があるため、
該境界部の開口を極力小さくしなければならない等の制
約があり、そこに電気ヒータ等の加熱源と温度制御装置
を配置することは実質的には困難であった。それゆえ、
本発明では、境界部前後の上記雰囲気帯の温度を電気ヒ
ータ等の加熱源と温度制御装置により精密に制御するこ
とで、該境界部の温度を制御するようにした。
【0010】すなわち、本発明は、昇温、最高温度保持
及び冷却の工程を順次経てMnZn系フェライトコアを
焼成するに際し、上記冷却工程に酸素分圧制御雰囲気帯
とそれに続く窒素雰囲気帯とを設け、該酸素分圧制御雰
囲気帯と該窒素雰囲気帯との境界部の温度範囲を100
0〜1200℃とし、且つ該境界部温度を±25℃以下
の変動幅で制御して焼成することを特徴とするMnZn
系フェライトコアの焼成方法である。また、本発明は、
上記境界部の温度を制御するため、前記酸素分圧制御雰
囲気帯及び窒素雰囲気帯の温度を、それぞれ1050〜
1300℃及び850〜1150℃としたり、あるいは
前記酸素分圧制御雰囲気帯及び窒素雰囲気帯にそれぞれ
加熱源を配置し、該加熱源でそれぞれの温度を制御する
ことを特徴とするMnZn系フェライトコアの焼成方法
である。さらに、本発明は、前記酸素分圧制御雰囲気帯
及び窒素雰囲気帯の酸素分圧をそれぞれ0.1〜5 体
積%及び0.1 体積%以下としたり、あるいは室温か
ら最高温度に昇温し、その温度から150℃まで冷却す
るのに要する焼成時間を20時間未満とすることを特徴
とするMnZn系フェライトコアの焼成方法でもある。
【0011】加えて、上記方法を実施する装置に関して
も発明をなし、それは、昇温、最高温度保持及び冷却の
3つの領域で形成するMnZn系フェライトコアの連続
焼成炉において、上記冷却領域に酸素分圧制御雰囲気室
とそれに続く窒素雰囲気室とを設け、該酸素分圧制御雰
囲気室及び該窒素雰囲気室には、温度センサと、加熱源
と、酸素分圧を測定する酸素センサと、雰囲気ガス噴出
弁とをそれぞれ配設し、且つ該温度センサにより測定し
た温度を目標値に一致するよう該加熱源の出力を調整す
る温度制御装置と、該酸素センサにより測定した酸素分
圧を目標値に一致するよう該雰囲気ガス吐出弁を調整す
る酸素分圧制御装置とを配設したことを特徴とするMn
Zn系フェライトコアの連続焼成炉である。さらに加え
て、本発明は、上記酸素分圧制御雰囲気室と窒素雰囲気
室との境界部に上記温度制御装置につながる温度センサ
を追設したり、あるいは炉体をローラ・ハ−ス式とした
ことを特徴とするMnZn系フェライトコアの連続焼成
炉でもある。
【0012】なお、この場合、温度の変動幅とは、平均
温度にたいする最大偏差の範囲をいい、境界部を通過す
るフェライト成形体の形状、大きさ、積載量及び荷姿等
により空間的ないし時間的に変動する許容温度範囲であ
る。また、酸素分圧制御雰囲気室及び窒素雰囲気室以外
の冷却工程における雰囲気は従来通りでよい。以上の本
発明をMnZnフェライトコアの焼成に採用するように
したので、連続焼成炉を用いた焼成であっても磁気特性
の優れたMnZn系フェライトコアが安定して多量に生
産できるようになった。
【0013】次に、本発明で採用した焼成条件の限定理
由について説明する。まず、酸素分圧制御雰囲気とそれ
に続く窒素雰囲気との境界部の温度を1000〜120
0℃とし、この温度の変動幅を±25℃以下に限定した
理由及びこの2つの雰囲気温度と酸素分圧を限定した理
由について以下に説明する。境界部の最適温度は、Mn
Zn系フェライトコアの材質によって異なり、フェライ
トの結晶粒界成分が液相から固相に変態する温度、他の
微量成分が該結晶粒界に析出する温度、該粒界における
酸素の拡散が遅くなる温度等が考えられ、この温度より
高温側では温度に応じた酸素分圧の制御によりMnZn
系フェライトの酸化状態を安定に制御し、低温側では窒
素雰囲気中において冷却することにより酸化を防止でき
ると考え、酸素分圧制御雰囲気と窒素雰囲気に分割し制
御することとした。
【0014】本発明者らが数種類の材質について実験を
繰り返して検討した結果、上記境界部の温度は、材質に
よって異なるが、1000〜1200℃が適切であり、
好ましくは1050〜1150℃とするべきであること
が判明したので、そのように限定した。該境界部温度の
変動幅は、材質によって定まる上記最適温度より±25
℃を超えて外れると、製品の磁気特性が劣化したり、ば
らつきが大きくなるので、そのように限定したが、磁気
特性をほぼ一定にするには、該変動幅を±10℃以下と
するのが一層好ましい。
【0015】また、酸素分圧制御雰囲気帯及び窒素雰囲
気帯の温度は、上記境界部の温度を最適値にするような
組み合わせとなるが、後者の窒素雰囲気帯温度はフェラ
イト焼成体の酸化を防止するため、850〜1150℃
の範囲が望ましい。一方、酸素分圧制御雰囲気帯の温度
は、そこでの冷却速度を小さくすることがフェライトの
特性発現に好ましいことから、1050〜1300℃の
範囲とした。
【0016】さらに、酸素分圧制御雰囲気帯では、温度
に応じて酸素分圧を制御することが、MnZnフェライ
トの酸化状態の制御においてより好ましいため、酸素分
圧を0.1〜5%とした。窒素雰囲気帯では、フェライ
トコアの酸化を防止するために、酸素分圧0.1%以下
の窒素雰囲気とした。また、この窒素雰囲気帯に続く8
50℃未満の冷却工程も窒素雰囲気とすることが好まし
い。但し、ここで言う窒素雰囲気は、不活性ガスであれ
ばよく、アルゴンガス等で代替できるが、工業的には窒
素ガスが好ましい。
【0017】なお、本発明では、限定条件にしていない
が、窒素雰囲気帯に設ける電気ヒータ等の加熱源は、上
記境界部の近傍にのみ設け、850℃以下の低温域には
加熱源を配置しない方がよい。850℃以下の低温域で
は、窒素雰囲気で急冷することにより酸化の影響を小さ
くできるためであるが、加熱源の設置による炉体の開口
部からの外気の流入が窒素雰囲気の酸素分圧を上昇させ
ることを避けるためでもある。
【0018】加熱源は、酸素分圧制御雰囲気及び窒素雰
囲気中で加熱可能で、かつこの2つの雰囲気の酸素分圧
を変動させない形態であれば良く、例えば、電気ヒータ
等による抵抗加熱、赤外線ランプ等による赤外線加熱、
高周波加熱、加熱した雰囲気ガスによるガス加熱等が加
熱源として採用可能である。また、使用される連続焼成
トンネル炉は、本発明の条件が満たされる焼成ができれ
ばいかなる方式のものであっても良いが、例えば、すで
に特公平4−77234号公報で提案したローラ・ハー
ス式連続焼成トンネル炉において、図1に示すような窒
素雰囲気室の850〜1150℃の領域まで電気ヒータ
等の加熱源を配置したものを用いることが、製品の磁気
特性及び生産効率の両面で推奨される。ローラ・ハース
式連続焼成トンネル炉は、台板の送りを速くすることが
でき、フェライト製造の高能率化に大きく貢献できる
が、それゆえ、フェライト焼成体の積載量及び荷姿等の
影響による温度の変動が大きく、本発明の効果が大きく
発揮される。
【0019】さらに、本発明に係る焼成方法が適用され
るMnZn系フェライトとしては、主成分にFe2
3 、MnO及びZnOを含んだものであるが、製品の各
種特性を改善するため、CoO、NiO、MgO、Cu
O等が添加されたり、あるいはSiO2 、CaO、V2
5 、Nb25 、Ta25 、SnO2 、TiO2
ZrO2 、In23 、Bi23 、Sb23 ,Ge
2 等が微量添加されたものであっても良い。なお、こ
れらのMnZn系フェライトコアを焼成する時、最高温
度は1150〜1400℃の範囲でそれぞれの材質に適
した温度とする。
【0020】
【発明の実施の形態】まず、図1に本発明に係る焼成方
法を実施した連続焼成炉の1例を示す。図1はローラ・
ハース式の例であるが、そこでは連続焼成トンネル炉の
うちの昇温工程部分を省略して台板9に載置した焼成体
8を最高温度に保持する所謂保持工程部分の後半と、冷
却工程を示している。
【0021】本発明に係る焼成炉の重要ポイントは、上
記冷却領域の一部に酸素分圧制御雰囲気室とそれに続く
窒素雰囲気室とを設け、その境界部12を仕切壁で分
け、該酸素分圧制御雰囲気室、該窒素雰囲気室及び境界
部12には、温度センサ3と加熱源2とをそれぞれ別個
に設けたことである。そして、そこで測定された温度
が、前記した本発明の温度条件(目標値)を満足するよ
う加熱源2の出力が調整される。その調整のため、公知
の温度制御装置10が炉壁外に配置されている。また、
酸素分圧を測定する酸素センサ6と、該測定値を所望の
値に調整する公知の酸素分圧制御装置11も設置されて
いる。
【0022】次に、図1の上記連続焼成炉を用いて、具
体的にMnZn系フェライトコアを本発明に係る焼成方
法で製造した例を説明する。 [実施例1]Fe23 :53.2モル%、MnO:3
5.6モル%及びZnO:11.2モル%からなる原料
混合物を950℃で仮焼した後、湿式ボールミルで粉砕
し,平均粒径1.2μmの粉末とした。この粉砕時に微
量成分としてSiO2 、CaCO3 、Ta25 及びZ
rO2 をそれぞれ100、1200、400及び200
ppmだけ同時に添加した。ついで,該粉砕粉に,バイ
ンダとしてポリビニルアルコールを添加して造粒した
後、外径36mm、内径24mm、高さ12mmのリン
グ状に成形した。
【0023】JISに規定されたFE16〜FE50の
E形フェライトコアを2〜5kg積載した台板上に,上
記のリング状のフェライトコアを3段積みで2セット
(計6個)積載し、それらを、無作為な順序で、窒素雰
囲気室に電気ヒータを配置した場合としない場合のロー
ラ・ハース式連続焼成トンネル炉に通炉して焼成した。
その際、焼成の最高温度を1320℃とし、焼成時間は
11時間とした。さらに、酸素分圧制御雰囲気室の温度
及び酸素分圧を表1に示すように変え、各条件で10台
板分のリング状のフェライトコア60個を焼成した。
【0024】得られた焼成体について、周波数:100
kHz、最大磁束密度:0.2T、温度100℃におけ
るコアロスを、交流B−Hループトレーサを用いて測定
した。その結果得られたコアロスの平均値、最小値及び
最大値を表1に併せて示す。また、酸素分圧制御雰囲気
室を温度1160℃、酸素分圧1.2体積%に固定し、
酸素分圧0.03体積%の窒素雰囲気室の温度を変える
ことにより、両室の境界部温度を変動幅±10℃で制御
して1000〜1200の範囲で変化させ、得られた焼
成体のコアロスの値を図2に示す。
【0025】
【表1】
【0026】表1より、実験No.7のように、酸素分
圧制御室及び窒素雰囲気室に電気ヒータ等の加熱源によ
る温度制御がなくとも、酸素分圧制御室及び窒素雰囲気
室の境界部温度が1000〜1200℃で、その変動幅
が±25℃であれば、コアロスは小さく、そのバラツキ
も小さいことがわかる。これは、フェライトコア焼成体
の形状、積載量及び荷姿を一定の範囲内に限定すること
により実現される。これに対し、実験No.15のよう
に両室に加熱源がない場合、実験No.13、14のよ
うに酸素分圧制御室に電気ヒータを備え、窒素雰囲気室
に電気ヒータが無い場合、あるいは実験No.11、1
2のように酸素分圧制御室及び窒素雰囲気室の両方に電
気ヒータを備えているが、境界部の温度及び変動幅が上
記条件を満足しない場合は、コアロスの値及びそのバラ
ツキは大きくなる。
【0027】一方、実験No.1〜8の結果で明らかな
ように、酸素分圧制御室及び窒素雰囲気室の両方に電気
ヒータを備えるようにすると、該境界部の温度変動幅は
±10℃以下に抑えることができ、コアロス及びそのバ
ラツキは一層小さくなった。なお、表1の実験No.1
〜6の結果及び図2で明らかなように、本実施例の材質
に適した境界部温度は1120℃であるが、境界部温度
が1120℃から低温及び高温にずれると共に、コアロ
スは増加し、かつそのばらつきも増加している。これ
は、従来の窒素雰囲気室に温度制御装置のないローラ・
ハース式連続焼成トンネル炉における境界部温度のばら
つきが±約40℃である時、コアロスのばらつきが約1
30kW/m3 と大きくなることをよく説明し、従来の
焼成方法におけるコアロスの劣化やばらつきの原因が境
界部温度の変動によることを証明している。
【0028】本発明を適用して境界部の温度を最適温度
に設定し、その変動幅を±25℃以下に制御すると、コ
アロスの平均値は265kW/m3 、そのばらつきは±
20kW/m3 以下となり、高特性のMnZnフェライ
ト焼成体を安定に得ることができた。 [実施例2]Fe23 :52.2モル%、MnO:2
6.2モル%及びZnO:21.6モル%からなる原料
混合物を950℃で仮焼した後、湿式ボールミルで粉砕
し、平均粒径1.2μmの粉末とした。その粉砕時に、
微量成分としてSiO2 、CaCO3 、Nb25 及び
Bi23 をそれぞれ50、350、150及び200
ppmだけ添加した。ついで、この粉砕粉に、バインダ
としてポリビニルアルコールを添加造粒した後、外径3
6mm、内径24mm、高さ12mmのリング状に成形
した。
【0029】JISに規定されたFOR13〜FOR4
5のリング状フェライトコアを2〜6kg積載した台板
上に、上記のリング状フェライトコアを3段積みで2セ
ット(計6個)積載し、前記同様にローラ・ハース式連
続焼成トンネル炉に通炉して焼成した。その際、焼成の
最高温度は1340℃とし、焼成時間は13時間とし
た。さらに、酸素分圧制御雰囲気室とそれに続く窒素雰
囲気室の温度及び酸素濃度を上記同様に表2に示すよう
変えて、各条件で10台分の台板上フェライトコアを焼
成した。得られた焼成体の周波数:1kHz、且つ室温
における初透磁率を、インピーダンス・アナライザを用
いて測定した。その結果得られた初透磁率の平均値、最
小値及び最大値を表2に併せて示す。
【0030】
【表2】
【0031】表2より、電気ヒータ等の温度制御装置が
ないローラ・ハース式連続焼成トンネル炉では、酸素分
圧制御雰囲気室とそれに続く窒素雰囲気室との境界部温
度の変動幅が±31〜53℃にもなり、初透磁率のばら
つきも最大最小の差で1130〜1820であった。そ
れに対して、本発明を適用して、例えば実験NO.23
のように境界部温度を最適値1075℃に設定し、その
変動幅を±25℃以下に制御すると、初透磁率の平均値
は、7870と従来より高くなる。また、実験NO.2
1〜26を通じて、初透磁率のばらつきは、平均値に対
し±500以下と小さく、高透磁率のMnZn系フェラ
イトコア焼成体を安定に得ることができた。
【0032】
【発明の効果】以上述べたように、本発明により、従来
よりも優れた磁気特性を有するMnZn系フェライトコ
アを安定して製造することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る連続焼成炉を示す平面図である。
【図2】本発明に係る焼成方法の実施で得た境界部温度
と製品のコアロスとの関係を示す図である。
【符号の説明】
1 炉体 2 加熱源(電気ヒータ) 3 温度センサ 4 酸素分圧制御の雰囲気ガス噴出路 5 窒素ガス噴出路 6 酸素センサ 7 ハース・ローラ 8 フェライトコア(焼成体) 9 台板 10 温度制御装置 11 酸素分圧制御装置 12 境界部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01F 1/34 H01F 3/00 3/00 41/02 D 41/02 1/34 B (72)発明者 河野 貴史 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 有江 清詩 倉敷市水島川崎通1丁目(番地なし) 川 崎製鉄株式会社水島製鉄所内 (72)発明者 来島 慎一 倉敷市水島川崎通1丁目(番地なし) 川 崎製鉄株式会社水島製鉄所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 昇温、最高温度保持及び冷却の工程を順
    次経てMnZn系フェライトコアを焼成するに際し、 上記冷却工程に酸素分圧制御雰囲気帯とそれに続く窒素
    雰囲気帯とを設け、該酸素分圧制御雰囲気帯と該窒素雰
    囲気帯との境界部の温度範囲を1000〜1200℃と
    し、且つ該境界部温度を±25℃以下の変動幅で制御し
    て焼成することを特徴とするMnZn系フェライトコア
    の焼成方法。
  2. 【請求項2】 前記酸素分圧制御雰囲気帯及び窒素雰囲
    気帯の温度を、それぞれ1050〜1300℃及び85
    0〜1150℃とすることを特徴とする請求項1記載の
    MnZn系フェライトコアの焼成方法。
  3. 【請求項3】 前記酸素分圧制御雰囲気帯及び窒素雰囲
    気帯の酸素分圧をそれぞれ0.1〜5 体積%及び0.
    1 体積%以下とすることを特徴とする請求項1又は2
    記載のMnZn系フェライトコアの焼成方法。
  4. 【請求項4】 前記酸素分圧制御雰囲気帯及び窒素雰囲
    気帯にそれぞれ加熱源を配置し、該加熱源でそれぞれの
    温度を制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれ
    かに記載のMnZn系フェライトコアの焼成方法。
  5. 【請求項5】 室温から最高温度に昇温し、その温度か
    ら150℃まで冷却するのに要する焼成時間を20時間
    未満とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに
    記載のMnZn系フェライトコアの焼成方法。
  6. 【請求項6】 昇温、最高温度保持及び冷却の3つの領
    域で形成するMnZn系フェライトコアの連続焼成炉に
    おいて、 上記冷却領域に酸素分圧制御雰囲気室とそれに続く窒素
    雰囲気室とを設け、該酸素分圧制御雰囲気室及び該窒素
    雰囲気室には、温度センサと、加熱源と、酸素分圧を測
    定する酸素センサと、雰囲気ガス噴出弁とをそれぞれ配
    設し、且つ該温度センサにより測定した温度を目標値に
    一致するよう該加熱源の出力を調整する温度制御装置
    と、該酸素センサにより測定した酸素分圧を目標値に一
    致するよう該雰囲気ガス吐出弁を調整する酸素分圧制御
    装置とを配設したことを特徴とするMnZn系フェライ
    トコアの連続焼成炉。
  7. 【請求項7】 上記酸素分圧制御雰囲気室と窒素雰囲気
    室との境界部に上記温度制御装置につながる温度センサ
    を追設したことを特徴とする請求項6記載のMnZn系
    フェライトコアの連続焼成炉。
  8. 【請求項8】 炉体をローラ・ハ−ス式としたことを特
    徴とする請求項6又は7記載のMnZn系フェライトコ
    アの連続焼成炉。
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