JPH08291362A - 冷間加工性に優れた鋼材 - Google Patents
冷間加工性に優れた鋼材Info
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- JPH08291362A JPH08291362A JP9657695A JP9657695A JPH08291362A JP H08291362 A JPH08291362 A JP H08291362A JP 9657695 A JP9657695 A JP 9657695A JP 9657695 A JP9657695 A JP 9657695A JP H08291362 A JPH08291362 A JP H08291362A
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Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【目的】 各種機械、自動車等の部品に、鍛造、転造等
の冷間加工により成形し、熱処理して使用される冷間加
工性のすぐれた鋼材、およびその製造方法の提供。 【構成】 C,Si,Mn,SoL.AL,B,N,N
iおよびCaが特定された鋼において、組織がフェライ
ト、球状化セメンタイトおよび黒鉛粒子からなり、かつ
C含有量の20〜75%が黒鉛化していて、断面観察にて直
径20μm を超える黒鉛粒子がなく、かつ直径3 〜20μm
の粒子がC重量%×100 個/mm2 以上、C重量%×1000
個/mm2 以下の頻度で分布している加工性にすぐれた鋼
材。その製造方法は、800 〜1000℃の範囲で加工を完了
して、10〜100 ℃/min の冷却速度にて500 ℃以下まで
冷却した後、600 〜720 ℃にて4 〜50時間の焼鈍をおこ
なうか、または熱間加工の後、加工度3 〜40%の冷間加
工をおこない、600 〜720 ℃にて1 〜24時間の焼鈍を施
す。
の冷間加工により成形し、熱処理して使用される冷間加
工性のすぐれた鋼材、およびその製造方法の提供。 【構成】 C,Si,Mn,SoL.AL,B,N,N
iおよびCaが特定された鋼において、組織がフェライ
ト、球状化セメンタイトおよび黒鉛粒子からなり、かつ
C含有量の20〜75%が黒鉛化していて、断面観察にて直
径20μm を超える黒鉛粒子がなく、かつ直径3 〜20μm
の粒子がC重量%×100 個/mm2 以上、C重量%×1000
個/mm2 以下の頻度で分布している加工性にすぐれた鋼
材。その製造方法は、800 〜1000℃の範囲で加工を完了
して、10〜100 ℃/min の冷却速度にて500 ℃以下まで
冷却した後、600 〜720 ℃にて4 〜50時間の焼鈍をおこ
なうか、または熱間加工の後、加工度3 〜40%の冷間加
工をおこない、600 〜720 ℃にて1 〜24時間の焼鈍を施
す。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は各種機械、自動車等の部
品として、引抜き、鍛造、転造等の冷間加工により成形
し、熱処理して使用する鋼であって、特に冷間加工性を
向上させた鋼に関する。
品として、引抜き、鍛造、転造等の冷間加工により成形
し、熱処理して使用する鋼であって、特に冷間加工性を
向上させた鋼に関する。
【0002】
【従来の技術】冷間で鍛造や転造などをおこなう鋼材の
加工は、切削加工に比較し生産効率や材料歩留が高く寸
法精度がすぐれているが、きわめて激しい加工方法であ
る。このため工具や潤滑の高性能化がきびしく要求され
る一方、被加工材の加工性も変形抵抗が小さく変形能が
大きいことが必要である。一般に鋼は炭素含有量が増す
と変形抵抗は増し変形能も劣化するので、このような冷
間加工は多くは炭素量の比較的低い0.25%C以下の鋼材
に適用されてきた。
加工は、切削加工に比較し生産効率や材料歩留が高く寸
法精度がすぐれているが、きわめて激しい加工方法であ
る。このため工具や潤滑の高性能化がきびしく要求され
る一方、被加工材の加工性も変形抵抗が小さく変形能が
大きいことが必要である。一般に鋼は炭素含有量が増す
と変形抵抗は増し変形能も劣化するので、このような冷
間加工は多くは炭素量の比較的低い0.25%C以下の鋼材
に適用されてきた。
【0003】加工後焼入れ焼戻しの熱処理により高強度
を得ようとする鋼では、通常0.30%以上の炭素量にな
る。その場合、冷間加工性を確保するための加工前の球
状化焼鈍をおこなうが、それでも用いられる鋼材の炭素
量は0.45%C程度までで、それ以上の炭素量では冷間鍛
造などの適用は困難である。
を得ようとする鋼では、通常0.30%以上の炭素量にな
る。その場合、冷間加工性を確保するための加工前の球
状化焼鈍をおこなうが、それでも用いられる鋼材の炭素
量は0.45%C程度までで、それ以上の炭素量では冷間鍛
造などの適用は困難である。
【0004】ギヤなど耐摩耗性が要求される用途には硬
さが高いばかりでなく、C含有量の高いことが必要であ
り、低炭素鋼材を用いて冷間鍛造や転造をその成形に適
用する場合は、加工した後に浸炭して接触部分の炭素量
を増し耐摩耗性や耐疲労性を向上させる。ところが、浸
炭方法は高温で長時間を要する熱処理であるため生産性
が悪く、その上浸炭後の焼入れによる歪みを生じやす
い。浸炭と同様な耐摩耗性向上のための表面硬化法に、
高周波焼入れ法あるいは火炎焼入れ法があり、短時間で
効率よく処理が可能であるが、所要の硬さや耐摩耗性を
得るには、母材にある程度のC量が必要である。
さが高いばかりでなく、C含有量の高いことが必要であ
り、低炭素鋼材を用いて冷間鍛造や転造をその成形に適
用する場合は、加工した後に浸炭して接触部分の炭素量
を増し耐摩耗性や耐疲労性を向上させる。ところが、浸
炭方法は高温で長時間を要する熱処理であるため生産性
が悪く、その上浸炭後の焼入れによる歪みを生じやす
い。浸炭と同様な耐摩耗性向上のための表面硬化法に、
高周波焼入れ法あるいは火炎焼入れ法があり、短時間で
効率よく処理が可能であるが、所要の硬さや耐摩耗性を
得るには、母材にある程度のC量が必要である。
【0005】このような用途に対し、より高いC含有量
でも冷間加工性にすぐれている鋼として黒鉛化鋼が注目
されている。これは鋼中の炭素をセメンタイトではなく
黒鉛化させておくと、同一C量でもセメンタイトの球状
化焼鈍を施した場合よりもさらに強度が低下し加工性が
向上するという鋼で、冷間鍛造用を対象にしたもので
は、例えば特開平3 −146618号公報に変形抵抗および変
形能が向上するという発明が提示されている。
でも冷間加工性にすぐれている鋼として黒鉛化鋼が注目
されている。これは鋼中の炭素をセメンタイトではなく
黒鉛化させておくと、同一C量でもセメンタイトの球状
化焼鈍を施した場合よりもさらに強度が低下し加工性が
向上するという鋼で、冷間鍛造用を対象にしたもので
は、例えば特開平3 −146618号公報に変形抵抗および変
形能が向上するという発明が提示されている。
【0006】セメンタイトを黒鉛化することにより高炭
素の鋼でも確かに冷間加工性は向上するが、加工後の熱
処理において必要な焼入れ硬さを得るには、オーステナ
イト域に加熱した際にCを十分再固溶させねばならな
い。Cが鉄との化合物のセメンタイトのかたちで存在す
る従来の鋼の場合は、Cは容易に再固溶するのに対し、
黒鉛にまでなっていると再固溶にはより長時時間の加熱
が必要であり、特に高周波焼入れのような短時間加熱で
は、十分な焼入れ硬さが得られないという問題がある。
素の鋼でも確かに冷間加工性は向上するが、加工後の熱
処理において必要な焼入れ硬さを得るには、オーステナ
イト域に加熱した際にCを十分再固溶させねばならな
い。Cが鉄との化合物のセメンタイトのかたちで存在す
る従来の鋼の場合は、Cは容易に再固溶するのに対し、
黒鉛にまでなっていると再固溶にはより長時時間の加熱
が必要であり、特に高周波焼入れのような短時間加熱で
は、十分な焼入れ硬さが得られないという問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、冷間鍛造や
転造などの冷間加工性にすぐれ、しかも高周波焼入れの
ような短時間加熱の熱処理性も良好な機械構造用鋼材と
その製造法に関する。
転造などの冷間加工性にすぐれ、しかも高周波焼入れの
ような短時間加熱の熱処理性も良好な機械構造用鋼材と
その製造法に関する。
【0008】従来、低炭素鋼に多用されてきた冷間鍛造
などの加工法が、従来、主として切削加工法で成形され
ているより高い炭素の鋼に適用できれば、大幅な歩留向
上が可能である。あるいはまた、低炭素鋼を冷間加工し
た後に表面硬化のため浸炭する製造方法を、高炭素鋼を
冷間加工して高周波焼入れする方法に変える、という合
理化も考えられる。たとえば自動車のギヤのような部品
は、通常歯切り加工後浸炭されるが、同じ性能の製品を
得るのに切削を冷間鍛造に変え、表面硬化を浸炭焼入れ
から高周波焼入れに変えることができる。
などの加工法が、従来、主として切削加工法で成形され
ているより高い炭素の鋼に適用できれば、大幅な歩留向
上が可能である。あるいはまた、低炭素鋼を冷間加工し
た後に表面硬化のため浸炭する製造方法を、高炭素鋼を
冷間加工して高周波焼入れする方法に変える、という合
理化も考えられる。たとえば自動車のギヤのような部品
は、通常歯切り加工後浸炭されるが、同じ性能の製品を
得るのに切削を冷間鍛造に変え、表面硬化を浸炭焼入れ
から高周波焼入れに変えることができる。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らはこの目的に
対し、高炭素鋼鋼材で充分な冷間加工性が得られる可能
性のある鋼中の炭素の黒鉛化に関して、種々検討をおこ
なった。その結果、黒鉛化の進行により硬さは低下して
いくが、過度に進行すると変形能が劣化してくることが
わかった。析出した黒鉛粒子は小さすぎる場合は硬さ低
下にあまり効果がなく、大きすぎると変形時の割れ発生
の起点となる。したがって、冷間加工性の改善には鋼中
のCを特定の量だけ黒鉛化し、その上で析出黒鉛の粒子
の大きさの分布を制御する必要がある。
対し、高炭素鋼鋼材で充分な冷間加工性が得られる可能
性のある鋼中の炭素の黒鉛化に関して、種々検討をおこ
なった。その結果、黒鉛化の進行により硬さは低下して
いくが、過度に進行すると変形能が劣化してくることが
わかった。析出した黒鉛粒子は小さすぎる場合は硬さ低
下にあまり効果がなく、大きすぎると変形時の割れ発生
の起点となる。したがって、冷間加工性の改善には鋼中
のCを特定の量だけ黒鉛化し、その上で析出黒鉛の粒子
の大きさの分布を制御する必要がある。
【0010】さらに加工後の熱処理として高周波焼入れ
を検討したところ、短時間加熱による焼入れ硬さに対
し、過剰な黒鉛化や黒鉛粒子が粗大化した場合は充分な
硬さがえられず、熱処理時の炭素の固溶の点からも黒鉛
化の適度の管理が重要であることがわかった。そして、
このような冷間加工と熱処理に適した黒鉛化の組織形態
の鋼材を得るには、成分と製造条件の管理が重要である
ことを知って本発明を完成したが、その要旨とするとこ
ろは次の通りである。
を検討したところ、短時間加熱による焼入れ硬さに対
し、過剰な黒鉛化や黒鉛粒子が粗大化した場合は充分な
硬さがえられず、熱処理時の炭素の固溶の点からも黒鉛
化の適度の管理が重要であることがわかった。そして、
このような冷間加工と熱処理に適した黒鉛化の組織形態
の鋼材を得るには、成分と製造条件の管理が重要である
ことを知って本発明を完成したが、その要旨とするとこ
ろは次の通りである。
【0011】(1) 重量割合にてC:0.30〜0.70%、S
i:0.20〜0.60%、Mn:0.05〜0.60%、sol.Al:0.
05〜0.50%、B:0.0005〜0.0050%、N: 0.002〜0.01
0 %、Ni:2.00%以下、およびCa:0.01%以下を含
み、残部が実質的にFeおよび不可避的不純物であっ
て、鋼組織がフェライト、球状化セメンタイトおよび黒
鉛粒子からなり、C含有量の20〜75%が黒鉛化してい
て、断面観察にて直径20μmを超える黒鉛粒子がなく、
かつ直径 3〜20μm の粒子がC重量%× 100個/mm2以
上、C重量%×1000個/mm2 以下の頻度で分布している
ことを特徴とする加工性にすぐれた鋼材。
i:0.20〜0.60%、Mn:0.05〜0.60%、sol.Al:0.
05〜0.50%、B:0.0005〜0.0050%、N: 0.002〜0.01
0 %、Ni:2.00%以下、およびCa:0.01%以下を含
み、残部が実質的にFeおよび不可避的不純物であっ
て、鋼組織がフェライト、球状化セメンタイトおよび黒
鉛粒子からなり、C含有量の20〜75%が黒鉛化してい
て、断面観察にて直径20μmを超える黒鉛粒子がなく、
かつ直径 3〜20μm の粒子がC重量%× 100個/mm2以
上、C重量%×1000個/mm2 以下の頻度で分布している
ことを特徴とする加工性にすぐれた鋼材。
【0012】その製造方法としては、 (2) 上記(1) に示した組成の鋼を、加熱して熱間加工す
る際、800 〜1000℃の範囲で加工を完了して、10〜 100
℃/min の冷却速度にて500 ℃以下まで冷却した後、 6
00〜 720℃にて 4〜50時間の焼鈍をおこなうことを特徴
とする上記 (1)の鋼材の製造方法。
る際、800 〜1000℃の範囲で加工を完了して、10〜 100
℃/min の冷却速度にて500 ℃以下まで冷却した後、 6
00〜 720℃にて 4〜50時間の焼鈍をおこなうことを特徴
とする上記 (1)の鋼材の製造方法。
【0013】または、 (3) 上記(1) に示した組成の鋼を熱間加工した後、加工
度 3〜40%の冷間加工をおこなって、 600〜 720℃にて
1〜24時間の焼鈍を施すことを特徴とする上記(1) の鋼
材の製造方法。
度 3〜40%の冷間加工をおこなって、 600〜 720℃にて
1〜24時間の焼鈍を施すことを特徴とする上記(1) の鋼
材の製造方法。
【0014】なお、本発明で規定する黒鉛化の程度は、
酸溶解で黒鉛を抽出する化学分析で判定可能であり、黒
鉛粒子の粒径や分布は断面の研磨後光学顕微鏡や走査型
電子顕微鏡による観察で測定できる。
酸溶解で黒鉛を抽出する化学分析で判定可能であり、黒
鉛粒子の粒径や分布は断面の研磨後光学顕微鏡や走査型
電子顕微鏡による観察で測定できる。
【0015】
【作用】本発明において、鋼中の黒鉛化および黒鉛粒子
の分布の範囲、成分組成、およびその製造条件を限定し
た理由は次の通りである。
の分布の範囲、成分組成、およびその製造条件を限定し
た理由は次の通りである。
【0016】(1) 黒鉛化および黒鉛粒子 セメンタイトの黒鉛化により、軟化や変形抵抗の低下が
顕著に現われるのは、黒鉛の量が鋼中に含まれる炭素の
総量の 1/5 、すなわち20%を超えてからである。黒鉛
化がさらに進むにつれて硬さおよび変形抵抗は低下して
いくが、変形能を調べると、黒鉛が炭素総量の 3/4 、
すなわち75%を超えれば逆に劣化してくる。特にこの変
形能に対しては、黒鉛粒子の分布も影響しており、黒鉛
化の割合が炭素総量の20〜75%であっても、大きな黒鉛
粒子が存在する場合や数が多すぎる場合には変形能が低
下する。
顕著に現われるのは、黒鉛の量が鋼中に含まれる炭素の
総量の 1/5 、すなわち20%を超えてからである。黒鉛
化がさらに進むにつれて硬さおよび変形抵抗は低下して
いくが、変形能を調べると、黒鉛が炭素総量の 3/4 、
すなわち75%を超えれば逆に劣化してくる。特にこの変
形能に対しては、黒鉛粒子の分布も影響しており、黒鉛
化の割合が炭素総量の20〜75%であっても、大きな黒鉛
粒子が存在する場合や数が多すぎる場合には変形能が低
下する。
【0017】小さな黒鉛粒子、すなわち 3μm 未満のも
のは数多くあっても変形抵抗は大きくは低下しないの
で、黒鉛粒子は大きさが 3μm 以上のものに着目する必
要がある。この黒鉛粒子の大きさや数が直接冷間加工性
に影響するのかどうかは明らかでないが、黒鉛化のため
の焼鈍過程では、同時に析出セメンタイトの球状化も進
行しているので、 3μm 以上の黒鉛粒子がある程度以上
存在するということは球状化も充分進んでいることを示
している。一方、黒鉛粒子の大きなものが現われると、
変形抵抗は低いが変形能が劣化し、ことに20μm を超え
る大きさのものが観察される場合、顕著な劣化が認めら
れる。このように黒鉛粒子が大きすぎたり多すぎる場合
に冷間加工性、特に変形能が悪くなってくるのは、黒鉛
粒子を起点とした割れ発生の頻度が高くなってくるため
である。
のは数多くあっても変形抵抗は大きくは低下しないの
で、黒鉛粒子は大きさが 3μm 以上のものに着目する必
要がある。この黒鉛粒子の大きさや数が直接冷間加工性
に影響するのかどうかは明らかでないが、黒鉛化のため
の焼鈍過程では、同時に析出セメンタイトの球状化も進
行しているので、 3μm 以上の黒鉛粒子がある程度以上
存在するということは球状化も充分進んでいることを示
している。一方、黒鉛粒子の大きなものが現われると、
変形抵抗は低いが変形能が劣化し、ことに20μm を超え
る大きさのものが観察される場合、顕著な劣化が認めら
れる。このように黒鉛粒子が大きすぎたり多すぎる場合
に冷間加工性、特に変形能が悪くなってくるのは、黒鉛
粒子を起点とした割れ発生の頻度が高くなってくるため
である。
【0018】この黒鉛粒子と冷間加工性の関係を調べる
と、断面の顕微鏡観察にて、析出黒鉛粒子の直径が 3μ
m 以上20μm 以下の大きさのものがC%×100 個/mm2
からC%×1000個/mm2 の範囲にある場合、変形抵抗が
低くかつ良好な変形能を示した。
と、断面の顕微鏡観察にて、析出黒鉛粒子の直径が 3μ
m 以上20μm 以下の大きさのものがC%×100 個/mm2
からC%×1000個/mm2 の範囲にある場合、変形抵抗が
低くかつ良好な変形能を示した。
【0019】次に、高周波焼入れのような短時間加熱の
場合の焼入れ硬さについては、黒鉛化が進行しすぎた場
合、硬さ不足が目立つようになる。また黒鉛化が同じ程
度であっても、大きな粒子が多くなるとやはり焼入れ硬
さが不十分になってくる。この焼入れ硬さ不足が生じる
黒鉛化の状態と、変形能の劣化が現われる黒鉛化の状態
とは、ほぼ共通するところがあり、変形能の劣化が現わ
れない範囲の黒鉛化の程度および黒鉛粒子の分布であれ
ば、焼入れ硬さの不足は生じない。
場合の焼入れ硬さについては、黒鉛化が進行しすぎた場
合、硬さ不足が目立つようになる。また黒鉛化が同じ程
度であっても、大きな粒子が多くなるとやはり焼入れ硬
さが不十分になってくる。この焼入れ硬さ不足が生じる
黒鉛化の状態と、変形能の劣化が現われる黒鉛化の状態
とは、ほぼ共通するところがあり、変形能の劣化が現わ
れない範囲の黒鉛化の程度および黒鉛粒子の分布であれ
ば、焼入れ硬さの不足は生じない。
【0020】以上のように、冷間鍛造や転造などの冷間
加工性にすぐれ、しかも高周波焼入れのような短時間加
熱での熱処理性も良好な鋼材においては、鋼中Cの黒鉛
化の状態としては鋼中Cの総含有量の20〜75%が黒鉛化
していて、その断面の顕微鏡観察で直径20μm を超える
黒鉛粒子がなく、かつ直径 3〜20μm の粒子がC重量%
× 100個/mm2 以上、C重量%×1000個/mm2 以下の頻
度で分布していることと規制する。
加工性にすぐれ、しかも高周波焼入れのような短時間加
熱での熱処理性も良好な鋼材においては、鋼中Cの黒鉛
化の状態としては鋼中Cの総含有量の20〜75%が黒鉛化
していて、その断面の顕微鏡観察で直径20μm を超える
黒鉛粒子がなく、かつ直径 3〜20μm の粒子がC重量%
× 100個/mm2 以上、C重量%×1000個/mm2 以下の頻
度で分布していることと規制する。
【0021】つぎにに各成分の作用とその範囲の限定理
由を説明する。
由を説明する。
【0022】(2) C量 加工性だけを考えればC含有量は低いほど良いが、加工
後焼入れ焼戻し等の熱処理により所要強度に調質するに
は、少なくとも0.30%以上は必要である。さらに、黒鉛
化の生じやすさや、最終製品の耐摩耗性が必要な場合を
考えれば、Cは多いほど良い。しかし、黒鉛化が充分お
こなわれたとしてもやはり加工性にはCの低い方がよ
く、また後述のようにMnを低くすることによる焼入れ
性の低下分をB添加で補っていて、Cを多くするとBの
焼入れ性向上効果がなくなるので、上限を0.70%とす
る。すなわちC含有量は0.30〜0.70%に限定する。
後焼入れ焼戻し等の熱処理により所要強度に調質するに
は、少なくとも0.30%以上は必要である。さらに、黒鉛
化の生じやすさや、最終製品の耐摩耗性が必要な場合を
考えれば、Cは多いほど良い。しかし、黒鉛化が充分お
こなわれたとしてもやはり加工性にはCの低い方がよ
く、また後述のようにMnを低くすることによる焼入れ
性の低下分をB添加で補っていて、Cを多くするとBの
焼入れ性向上効果がなくなるので、上限を0.70%とす
る。すなわちC含有量は0.30〜0.70%に限定する。
【0023】(3) Si量 黒鉛化を促進する成分なので、ある程度以上存在するこ
とが好ましいが、量が増すと素地が硬くなって変形抵抗
が高くなる。このため含有範囲を0.20〜0.60%とする。
とが好ましいが、量が増すと素地が硬くなって変形抵抗
が高くなる。このため含有範囲を0.20〜0.60%とする。
【0024】(4) Mn量 Sによる熱間脆性の防止や焼入れ性確保のために、鋼で
はある程度の添加が必須の元素であるが、黒鉛化を阻害
するのでできるだけ低くしておきたい。0.05%未満では
Sの害を防止できず、0.60%を超えると黒鉛化を著しく
阻害するので、0.05%〜0.60%に限定する。
はある程度の添加が必須の元素であるが、黒鉛化を阻害
するのでできるだけ低くしておきたい。0.05%未満では
Sの害を防止できず、0.60%を超えると黒鉛化を著しく
阻害するので、0.05%〜0.60%に限定する。
【0025】(5) sol.Al量 鋳造の際の脱酸剤として必要であり、高炭素鋼鋳片の表
面疵防止には0.01%以上の添加が普通である。その上、
黒鉛化の促進効果があるので、本発明では通常の脱酸剤
としてよりも多めに添加し、含有量を0.05%以上とす
る。ただし、多すぎると素地を硬くしたり、熱処理後の
製品の靱性を劣化させるので、0.50%までが限度であ
る。すなわちsol.Al(酸可溶Al)の含有量の範囲を
0.05〜0.50%とする。
面疵防止には0.01%以上の添加が普通である。その上、
黒鉛化の促進効果があるので、本発明では通常の脱酸剤
としてよりも多めに添加し、含有量を0.05%以上とす
る。ただし、多すぎると素地を硬くしたり、熱処理後の
製品の靱性を劣化させるので、0.50%までが限度であ
る。すなわちsol.Al(酸可溶Al)の含有量の範囲を
0.05〜0.50%とする。
【0026】(6) B量 黒鉛化阻害のためMnを多く添加できないので、焼入れ
性を確保するために添加する。また、Bの添加は黒鉛化
を促進する効果もある。添加量は少なすぎると効果がな
く、多くしても効果は飽和するので、その含有量を0.00
05〜0.0050%に限定する。
性を確保するために添加する。また、Bの添加は黒鉛化
を促進する効果もある。添加量は少なすぎると効果がな
く、多くしても効果は飽和するので、その含有量を0.00
05〜0.0050%に限定する。
【0027】(7) N量 Nは鋼中に不可避的に含有される不純物元素であり、加
工性阻害や靱性劣化の影響があるため通常の鋼では少な
いほどよいが、黒鉛化の促進効果やAlと共存して結晶
粒粗大化阻止効果があるので、 0.002〜 0.010%の範囲
で含有させる。
工性阻害や靱性劣化の影響があるため通常の鋼では少な
いほどよいが、黒鉛化の促進効果やAlと共存して結晶
粒粗大化阻止効果があるので、 0.002〜 0.010%の範囲
で含有させる。
【0028】(8) PおよびS量 これらは不可避的不純物元素であり、黒鉛化を阻害する
ので少なければ少ないほどよい。阻害の影響が顕著でな
い限界として、いずれも0.02%までは許容できるが、望
ましくはいずれも 0.005%以下である。
ので少なければ少ないほどよい。阻害の影響が顕著でな
い限界として、いずれも0.02%までは許容できるが、望
ましくはいずれも 0.005%以下である。
【0029】(9) Ni量 黒鉛化を促進し、焼入れ性を向上させる効果があるが、
充分添加しなければ効果は顕著に現われず高価でもある
ので、添加しなくてもよい。Siほどには素地を硬化さ
せないため、最終用途の成形部品形状により、焼入れ性
が不足するような場合必要により添加する。添加する場
合は、 0.1%以上含有させるのが望ましいが、多くなれ
ば硬くなるので 2.0%までを限度とする。
充分添加しなければ効果は顕著に現われず高価でもある
ので、添加しなくてもよい。Siほどには素地を硬化さ
せないため、最終用途の成形部品形状により、焼入れ性
が不足するような場合必要により添加する。添加する場
合は、 0.1%以上含有させるのが望ましいが、多くなれ
ば硬くなるので 2.0%までを限度とする。
【0030】(10) Ca量 添加しなくてもよいが、黒鉛化の促進効果があり、硫化
物の形態を変えて加工性や靱性を向上させるので、最終
用途の部品の状況によりにより活用する。添加する場合
は、下限の含有量として 0.001%以上が望ましい。ただ
し、0.01%を超えると介在物が増加するので、含有量は
0.01%以下に限定する。
物の形態を変えて加工性や靱性を向上させるので、最終
用途の部品の状況によりにより活用する。添加する場合
は、下限の含有量として 0.001%以上が望ましい。ただ
し、0.01%を超えると介在物が増加するので、含有量は
0.01%以下に限定する。
【0031】次に、本発明の鋼の製造のための工程条件
について説明する。
について説明する。
【0032】(11) 熱間圧延後黒鉛化 本発明で規定する成分の素材鋼を用い、鋼組織、含有炭
素の黒鉛化および黒鉛粒子の分布が所定の範囲である鋼
を得るための方法の一つとして、熱間加工後の黒鉛化が
ある。
素の黒鉛化および黒鉛粒子の分布が所定の範囲である鋼
を得るための方法の一つとして、熱間加工後の黒鉛化が
ある。
【0033】それは、規定成分の素材鋼を加熱し、熱間
圧延をおこなって所要形状とする際に 800〜1000℃の温
度範囲で仕上げ、10〜 100℃/min の冷却速度にて 500
℃以下まで冷却した後、 600〜 720℃にて 4〜50時間の
焼鈍をおこなうという方法である。
圧延をおこなって所要形状とする際に 800〜1000℃の温
度範囲で仕上げ、10〜 100℃/min の冷却速度にて 500
℃以下まで冷却した後、 600〜 720℃にて 4〜50時間の
焼鈍をおこなうという方法である。
【0034】素材鋼の加熱温度は熱間加工に適した温度
であれば特には規制しない。しかし低すぎると熱間加工
時の変形抵抗が大きく、高すぎると脱炭の危険があるの
で、950 〜1200℃が望ましい。熱間加工完了の温度は、
後の黒鉛化を容易におこなわせ黒鉛粒子を本発明で定め
る範囲に分散させるために、低い方が好ましいが、低す
ぎると変形抵抗の増大や変態が始まるので、その温度範
囲を 800〜1000℃とする。加工後は黒鉛化の促進と黒鉛
粒子の好ましい分散の状態にするため、10℃/min 以上
の冷却速度にて 500℃ないしはそれ以下の温度まで冷却
する。その場合冷却が速すぎるとマルテンサイト変態や
ベイナイト変態が生じ必要以上に硬化するので、10〜 1
00℃/min の冷却速度にて 500℃以下まで冷却すること
とする。
であれば特には規制しない。しかし低すぎると熱間加工
時の変形抵抗が大きく、高すぎると脱炭の危険があるの
で、950 〜1200℃が望ましい。熱間加工完了の温度は、
後の黒鉛化を容易におこなわせ黒鉛粒子を本発明で定め
る範囲に分散させるために、低い方が好ましいが、低す
ぎると変形抵抗の増大や変態が始まるので、その温度範
囲を 800〜1000℃とする。加工後は黒鉛化の促進と黒鉛
粒子の好ましい分散の状態にするため、10℃/min 以上
の冷却速度にて 500℃ないしはそれ以下の温度まで冷却
する。その場合冷却が速すぎるとマルテンサイト変態や
ベイナイト変態が生じ必要以上に硬化するので、10〜 1
00℃/min の冷却速度にて 500℃以下まで冷却すること
とする。
【0035】冷却後、黒鉛化のための焼鈍をおこなう。
その温度は低すぎると黒鉛化が容易には進まず、変態点
以上では黒鉛化よりも変態が先行するので、 600〜 720
℃とする。時間は短いと黒鉛化が不十分で目的とする大
きさの黒鉛粒子の存在が不十分となり、長すぎると所要
の黒鉛化範囲をこえてしまい、その上粗大黒鉛粒子がで
きやすくなるので 4〜50時間とする。
その温度は低すぎると黒鉛化が容易には進まず、変態点
以上では黒鉛化よりも変態が先行するので、 600〜 720
℃とする。時間は短いと黒鉛化が不十分で目的とする大
きさの黒鉛粒子の存在が不十分となり、長すぎると所要
の黒鉛化範囲をこえてしまい、その上粗大黒鉛粒子がで
きやすくなるので 4〜50時間とする。
【0036】(12) 冷間加工後黒鉛化 本発明の鋼材の製造は、規定する成分の鋼ビレットを用
いて所定寸法に熱間圧延し、冷間抽伸などの冷間加工の
後、黒鉛化のための焼鈍をおこなっても可能である。
いて所定寸法に熱間圧延し、冷間抽伸などの冷間加工の
後、黒鉛化のための焼鈍をおこなっても可能である。
【0037】その方法は規定成分の素材鋼を熱間加工し
た後、 3〜40%の冷間加工をおこなって所要の形状と
し、 600〜 720℃にて 1〜24時間の焼鈍を施して本発明
に定める黒鉛化と黒鉛粒子の分布とした鋼を製造するも
のである。
た後、 3〜40%の冷間加工をおこなって所要の形状と
し、 600〜 720℃にて 1〜24時間の焼鈍を施して本発明
に定める黒鉛化と黒鉛粒子の分布とした鋼を製造するも
のである。
【0038】熱間加工の条件は、冷却後に冷間加工が可
能なフェライト・パーライト組織になっておりさえすれ
ば特に規制はしない。冷間加工はパーライト組織になっ
たセメンタイトを素地の塑性変形により細かく分断し、
焼鈍時の黒鉛化を促進させ黒鉛粒子を規制の範囲に分散
させる効果がある。 3%未満の加工ではこの効果が不十
分であり、40%を超えても効果は飽和するばかりでなく
加工が困難となる。黒鉛化のための焼鈍は、温度が低す
ぎると黒鉛化が容易には進行せず、変態点以上の温度で
は黒鉛化の進行よりも変態が先行するので、Ac3 変態
点以下の 600〜720 ℃とする。黒鉛化のための焼鈍時間
は冷間加工をおこなったことにより短縮できるが、 1時
間未満では黒鉛化が不十分であり、24時間を超えると過
度に進行して黒鉛の量が多すぎたり、粗大な黒鉛粒子が
できてくる。目的とする黒鉛粒子の得られる範囲は 1〜
24時間である。
能なフェライト・パーライト組織になっておりさえすれ
ば特に規制はしない。冷間加工はパーライト組織になっ
たセメンタイトを素地の塑性変形により細かく分断し、
焼鈍時の黒鉛化を促進させ黒鉛粒子を規制の範囲に分散
させる効果がある。 3%未満の加工ではこの効果が不十
分であり、40%を超えても効果は飽和するばかりでなく
加工が困難となる。黒鉛化のための焼鈍は、温度が低す
ぎると黒鉛化が容易には進行せず、変態点以上の温度で
は黒鉛化の進行よりも変態が先行するので、Ac3 変態
点以下の 600〜720 ℃とする。黒鉛化のための焼鈍時間
は冷間加工をおこなったことにより短縮できるが、 1時
間未満では黒鉛化が不十分であり、24時間を超えると過
度に進行して黒鉛の量が多すぎたり、粗大な黒鉛粒子が
できてくる。目的とする黒鉛粒子の得られる範囲は 1〜
24時間である。
【0039】
〔実施例1〕転炉にて表1に示す10種の鋼を溶製し、直
径 200mmのビレットとした後、熱間圧延して直径30mmの
棒鋼とした。熱間圧延の仕上げ温度は 920℃で圧延後 5
00℃までの平均冷却速度は50℃/min である。この棒鋼
を表2に示す条件にて黒鉛化のための焼鈍を施した。燒
鈍後、黒鉛化の程度、断面の顕微鏡観察により黒鉛粒子
の析出粒数、粒径等の黒鉛化の状況を調査した。加工性
調査のため、硬さを測定し、直径20mm高さ30mmの試験片
を切削により作製してクランクプレスにより圧縮試験を
おこない変形抵抗を測定した。また直径28mm、長さ50mm
の試験片を作製し、ボンデライト・ボンダリューベ(商
品名:日本パーカ社製)の潤滑によりダイス角30°で減
面率10%/パスにて前方押出し試験をおこなって内部割
れ発生の加工限界を調べた。また高周波焼入れによる表
面硬さを確認するため、直径28mmの棒状試験片を用い、
40kHzの高周波誘導加熱により表面温度 950℃にて 5
s間均熱後焼入れし 180℃、45分の焼戻しをおこなって
表面硬さを測定した。これらの結果を併せて表2に示
す。
径 200mmのビレットとした後、熱間圧延して直径30mmの
棒鋼とした。熱間圧延の仕上げ温度は 920℃で圧延後 5
00℃までの平均冷却速度は50℃/min である。この棒鋼
を表2に示す条件にて黒鉛化のための焼鈍を施した。燒
鈍後、黒鉛化の程度、断面の顕微鏡観察により黒鉛粒子
の析出粒数、粒径等の黒鉛化の状況を調査した。加工性
調査のため、硬さを測定し、直径20mm高さ30mmの試験片
を切削により作製してクランクプレスにより圧縮試験を
おこない変形抵抗を測定した。また直径28mm、長さ50mm
の試験片を作製し、ボンデライト・ボンダリューベ(商
品名:日本パーカ社製)の潤滑によりダイス角30°で減
面率10%/パスにて前方押出し試験をおこなって内部割
れ発生の加工限界を調べた。また高周波焼入れによる表
面硬さを確認するため、直径28mmの棒状試験片を用い、
40kHzの高周波誘導加熱により表面温度 950℃にて 5
s間均熱後焼入れし 180℃、45分の焼戻しをおこなって
表面硬さを測定した。これらの結果を併せて表2に示
す。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】試験番号1および2はすぐれた加工性を示
すが、C含有量が本発明で規定する範囲を下回る鋼であ
るため、焼入れ後の表面硬さが不十分である。試験番号
14はCが高くても変形抵抗は低下しているが、Cは本
発明で規定する範囲を超えていることもあって、黒鉛化
が過剰に進行し内部割れを起しやすくなっている。ま
た、試験番号3〜5、または6〜7から同じ鋼種での黒
鉛化条件の異る場合を比較できる。鋼成分は本発明の定
める範囲であっても、黒鉛化条件が不適切であれば本発
明で定める黒鉛化組織の状態は得られず、硬さが低く加
工性が良好な鋼材は得られないことがわかる。
すが、C含有量が本発明で規定する範囲を下回る鋼であ
るため、焼入れ後の表面硬さが不十分である。試験番号
14はCが高くても変形抵抗は低下しているが、Cは本
発明で規定する範囲を超えていることもあって、黒鉛化
が過剰に進行し内部割れを起しやすくなっている。ま
た、試験番号3〜5、または6〜7から同じ鋼種での黒
鉛化条件の異る場合を比較できる。鋼成分は本発明の定
める範囲であっても、黒鉛化条件が不適切であれば本発
明で定める黒鉛化組織の状態は得られず、硬さが低く加
工性が良好な鋼材は得られないことがわかる。
【0043】〔実施例2〕表1に示した鋼のCおよびI
の直径 200mmのビレットを用い、表3に示す圧延終了温
度および圧延後の冷却速度として熱間圧延して、直径30
mmの棒とし、さらに黒鉛化のための焼鈍をおこなった。
得られた棒鋼について断面にて黒鉛化の状況および硬さ
を調査し、20mmφ×30mm Lの試験片により50%圧縮時の
変形抵抗を測定した。結果も併せて表3に示す。また、
実施例1と同様の方法にて前方押出し試験による内部割
れ発生の加工限界、および高周波焼入れによる表面硬さ
を測定した。これらの結果を表3に示す。
の直径 200mmのビレットを用い、表3に示す圧延終了温
度および圧延後の冷却速度として熱間圧延して、直径30
mmの棒とし、さらに黒鉛化のための焼鈍をおこなった。
得られた棒鋼について断面にて黒鉛化の状況および硬さ
を調査し、20mmφ×30mm Lの試験片により50%圧縮時の
変形抵抗を測定した。結果も併せて表3に示す。また、
実施例1と同様の方法にて前方押出し試験による内部割
れ発生の加工限界、および高周波焼入れによる表面硬さ
を測定した。これらの結果を表3に示す。
【0044】
【表3】
【0045】鋼Cおよび鋼Iはいずれも本発明で規定す
る化学成分の範囲の鋼である。しかし圧延条件または黒
鉛化焼鈍条件が不十分な場合、本発明で定める黒鉛化の
組織形態は得られない。すなわち、黒鉛化の比率が少な
い場合は軟化が不十分で変形抵抗が大きく、黒鉛の析出
粒数が多すぎる場合は高周波焼入れの際十分な表面硬さ
が得られず、大きな黒鉛粒子が発生すると内部割れを発
生しやすくなり加工限界が低下している。
る化学成分の範囲の鋼である。しかし圧延条件または黒
鉛化焼鈍条件が不十分な場合、本発明で定める黒鉛化の
組織形態は得られない。すなわち、黒鉛化の比率が少な
い場合は軟化が不十分で変形抵抗が大きく、黒鉛の析出
粒数が多すぎる場合は高周波焼入れの際十分な表面硬さ
が得られず、大きな黒鉛粒子が発生すると内部割れを発
生しやすくなり加工限界が低下している。
【0046】〔実施例3〕表1に示した鋼のC、Fおよ
びIの直径 200mmのビレットを用い、熱間圧延の仕上げ
温度を 920℃、圧延後 500℃までの平均冷却速度を50℃
/min として直径30mmの棒鋼とした。これらの鋼を表4
に示すように冷間抽伸加工後、黒鉛化のための焼鈍をお
こなった。得られた棒鋼について、上記実施例と同様黒
鉛化の形態および組織、硬さ、変形抵抗などを調査し
た。前方押出しの内部割れ発生の加工限界、および高周
波焼入れによる表面硬さについては、直径20mmの棒鋼に
切削成形後実施例1と同じ方法で試験した。
びIの直径 200mmのビレットを用い、熱間圧延の仕上げ
温度を 920℃、圧延後 500℃までの平均冷却速度を50℃
/min として直径30mmの棒鋼とした。これらの鋼を表4
に示すように冷間抽伸加工後、黒鉛化のための焼鈍をお
こなった。得られた棒鋼について、上記実施例と同様黒
鉛化の形態および組織、硬さ、変形抵抗などを調査し
た。前方押出しの内部割れ発生の加工限界、および高周
波焼入れによる表面硬さについては、直径20mmの棒鋼に
切削成形後実施例1と同じ方法で試験した。
【0047】
【表4】
【0048】結果を併せて表4に示すが、黒鉛化の程
度、析出粒数および最大粒の径など本発明で定める範囲
にある黒鉛化組織形態の鋼材を得るには、冷間加工度お
よびその後の焼鈍条件を適切に選定する必要があること
がわかる。
度、析出粒数および最大粒の径など本発明で定める範囲
にある黒鉛化組織形態の鋼材を得るには、冷間加工度お
よびその後の焼鈍条件を適切に選定する必要があること
がわかる。
【0049】
【発明の効果】本発明の鋼材は、引抜き、鍛造、転造等
の冷間加工性にすぐれ、かつ焼入れ焼戻しなど熱処理に
て容易に所要強度が得られる。各種機械、自動車等の部
品など複雑な形状の加工部品の製造にこの鋼材を適用す
ることによって、製造工程の合理化や、鋼素材の歩留を
向上させることができる。
の冷間加工性にすぐれ、かつ焼入れ焼戻しなど熱処理に
て容易に所要強度が得られる。各種機械、自動車等の部
品など複雑な形状の加工部品の製造にこの鋼材を適用す
ることによって、製造工程の合理化や、鋼素材の歩留を
向上させることができる。
Claims (3)
- 【請求項1】重量割合にてC:0.30〜0.70%、Si:0.
20〜0.60%、Mn:0.05〜0.60%、sol.Al:0.05〜0.
50%、B:0.0005〜0.0050%、N: 0.002〜 0.010%、
Ni:2.00%以下、およびCa:0.01%以下を含み、残
部が実質的にFeおよび不可避的不純物であって、鋼組
織がフェライト、球状化セメンタイトおよび黒鉛粒子か
らなり、C含有量の20〜75%が黒鉛化していて、断面観
察にて直径20μm を超える黒鉛粒子がなく、かつ直径 3
〜20μm の黒鉛粒子がC重量%× 100個/mm2以上、C
重量%×1000個/mm2 以下の頻度で分布していることを
特徴とする加工性に優れた鋼材。 - 【請求項2】重量割合にてC:0.30〜0.70%、Si:0.
20〜0.60%、Mn:0.05〜0.60%、sol.Al:0.05〜0.
50%、B:0.0005〜0.0050%、N: 0.002〜 0.010%、
Ni:2.00%以下、およびCa:0.01%以下を含み、残
部が実質的にFeおよび不可避的不純物である鋼を、加
熱して熱間加工する際、800 〜1000℃の範囲で加工を完
了して、10〜 100℃/min の冷却速度にて500 ℃以下ま
で冷却した後、 600〜720 ℃にて 4〜50時間の焼鈍をお
こなうことを特徴とする、請求項1に記載の鋼材の製造
方法。 - 【請求項3】重量割合にてC:0.30〜0.70%、Si:0.
20〜0.60%、Mn:0.05〜0.60%、sol.Al:0.05〜0.
50%、B:0.0005〜0.0050%、N: 0.002〜 0.010%、
Ni:2.00%以下、およびCa:0.01%以下を含み、残
部が実質的にFeおよび不可避的不純物である鋼を、熱
間加工の後、加工度 3〜40%の冷間加工をおこない、60
0 〜 720℃にて 1〜24時間の焼鈍を施すことを特徴とす
る、請求項1に記載の鋼材の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP9657695A JPH08291362A (ja) | 1995-04-21 | 1995-04-21 | 冷間加工性に優れた鋼材 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP9657695A JPH08291362A (ja) | 1995-04-21 | 1995-04-21 | 冷間加工性に優れた鋼材 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH08291362A true JPH08291362A (ja) | 1996-11-05 |
Family
ID=14168810
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP9657695A Pending JPH08291362A (ja) | 1995-04-21 | 1995-04-21 | 冷間加工性に優れた鋼材 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH08291362A (ja) |
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| EP2246450A4 (en) * | 2007-12-19 | 2012-01-25 | Jfe Steel Corp | STEEL SHEETS AND METHOD FOR THE PRODUCTION THEREOF |
| CN104040000A (zh) * | 2012-01-05 | 2014-09-10 | 杰富意钢铁株式会社 | 高碳热轧钢板及其制造方法 |
| CN106282837A (zh) * | 2016-08-24 | 2017-01-04 | 江苏金源高端装备股份有限公司 | 一种膨化机压辊的锻造工艺 |
-
1995
- 1995-04-21 JP JP9657695A patent/JPH08291362A/ja active Pending
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| EP2246450A4 (en) * | 2007-12-19 | 2012-01-25 | Jfe Steel Corp | STEEL SHEETS AND METHOD FOR THE PRODUCTION THEREOF |
| CN104040000A (zh) * | 2012-01-05 | 2014-09-10 | 杰富意钢铁株式会社 | 高碳热轧钢板及其制造方法 |
| CN106282837A (zh) * | 2016-08-24 | 2017-01-04 | 江苏金源高端装备股份有限公司 | 一种膨化机压辊的锻造工艺 |
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