JPH08301930A - 新規キレート重合体及びその製造方法 - Google Patents

新規キレート重合体及びその製造方法

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JPH08301930A
JPH08301930A JP10607195A JP10607195A JPH08301930A JP H08301930 A JPH08301930 A JP H08301930A JP 10607195 A JP10607195 A JP 10607195A JP 10607195 A JP10607195 A JP 10607195A JP H08301930 A JPH08301930 A JP H08301930A
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JP
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polymer
group
chelate
acid residue
acid
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JP10607195A
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Kenji Itou
研児 伊藤
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Japan Tobacco Inc
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Japan Tobacco Inc
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Publication date
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F8/00Chemical modification by after-treatment
    • C08F8/30Introducing nitrogen atoms or nitrogen-containing groups

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Abstract

(57)【要約】 【構成】 主鎖が飽和脂肪族炭化水素からなり、側鎖の
一部又は全部が以下の式(1) 又は式(2) で示されること
を特徴とするキレート重合体。 【化1】 (式中、R1 は、メチル基、置換基を有するもしくは有
さないフェニル基、又はベンジル基を表し、R2 は、水
素、メチル基又はフェニル基を表し、R3 は水素、メチ
ル基又はベンジル基を表す。) 【化2】 (式中、R2 は、水素、メチル基又はフェニル基を表
し、R3 は水素、メチル基又はベンジル基を表す。) 【効果】 溶液中に含まれるバナジウム(V)、モリブ
デン(VI)、銅(II)、鉄(III)あるいは有価希少金
属を選択的に吸着回収することのできるキレート重合体
が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、多種の金属を含む溶液
から有価希少金属を選択的に吸着回収するのに適した新
規なキレート重合体、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】多種の金属を含む溶液から有価希少金属
を選択的に吸着回収するためには、高い吸着容量及び吸
着速度を持つとともに有価希少金属に対する選択吸着性
が優れていることが重要である。一般に、イミノジ酢酸
を代表とする酸型のキレートポリマーでは、中性〜アル
カリ性付近での領域で酸解離が起こり、キレート結合に
よる金属の吸着の他、イオン結合に基づくアルカリ金
属、アルカリ土類金属の吸着が起こる。また、銅、鉄、
コバルト、ニッケル、マンガン、亜鉛等の遷移金属に対
して良く吸着するが、各金属に対する選択吸着性は乏し
い。
【0003】遷移金属に対する選択吸着性が高いキレー
トポリマーとして、アミドキシム基のようなShiff 塩基
を持つ吸着剤が開発されており、ウラン(VI)、銅(I
I)、鉄(III)、バナジウム(V)、モリブデン(VI)
に対して高い選択吸着性を有しているが、官能基の安定
性に乏しく、吸脱着を繰り返す間に劣化してしまう。一
方、下記一般式(4)
【0004】
【化4】
【0005】で示されるヒドロキサム酸化合物は、多く
の遷移金属イオンとキレート錯体を形成することが知ら
れ、化合物としての安定性はアミドキシム化合物よりも
優れていることが知られている。この性質を利用し、遷
移金属イオンの定量、分離、回収等への利用がなされて
いる。ヒドロキサム酸残基を導入したポリマーは、現在
までに多数報告されている。市販スチレン−ジビニルベ
ンゼン共重合体樹脂(XAD4)をカルボキシル化した
後塩化チオニルで処理して酸クロライド化し、炭酸ナト
リウム水溶液中でヒドロキシルアミンと反応させて得た
モノヒドロキサム酸樹脂は、鉄、アルミニウム、銅イオ
ン等を良好に吸着捕集することが知られている[Richar
d G, PhillipsJames S.Fritz Anal.Chim.Acta 139,237
(1982)]。また、アクリロニトリル−ジビニルベンゼン
共重合体をヒドロキシルアミン存在下硫酸で加水分解し
て得られる樹脂も鉄、銅、コバルト、ニッケル、バナジ
ウム、ウラン、水銀、鉛イオン等多数のイオンを捕集す
ることが可能である[F.Verson H.Eccles Anal.Chim.Ac
ta82,369(1976), 83,187(1986)]。しかしながら、これ
らで用いられているヒドロキサム酸を導入する反応は収
率よく進むとは限らず、未反応のあるいは加水分解で生
成物したカルボン酸残基が共存する樹脂となり、遷移金
属を選択的に吸着する際の妨害因子となる。
【0006】またその他の合成方法として、マロン酸ジ
エステル残基をポリスチレン樹脂に導入し、これをヒド
ロキシルアミンで処理することによりヒドロキサム酸残
基の導入を容易にする方法(特開昭59-84907号公報)、
架橋ポリエチレンイミン系高分子化合物にアルリル酸エ
ステルを反応させて、側鎖にプロピオン酸エステル残基
を有するポリエチレンイミン誘導体とし、次いでこれに
ヒドロキシルアミンを反応させることにより、ヒドロキ
サム酸残基を導入する方法(特開昭62-48725号公報)が
提案されている。しかし、マロン酸ジエステル経由の方
法ではエステルの加水分解が並行して起こり、カルボン
酸残基が生成する。また、ポリエチレンイミン誘導体を
用いた場合、ポリエチレンイミン自体が強い錯体形成能
を持つため、得られる樹脂は遷移金属の吸着選択性に乏
しい樹脂となる。このように、ヒドロキサム酸残基をポ
リマー上に導入するためには副生するカルボン酸残基の
生成を抑え、ヒドロキサム酸のみを官能基として有する
ポリマーとする必要がある。
【0007】さらに、ヒドロキサム酸化合物は配位子と
して酸素を2個持ち、通常2乃至3分子が金属を取り囲
むように配位し錯体を形成する。ヒドロキサム酸残基を
ポリマーに導入した場合、分子の運動が立体的な制約を
受けるため、安定な2乃至3配位の錯体を形成する妨げ
となっており、改善が必要である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、溶液
中に含まれる遷移金属、特に有価希少金属を選択的に吸
着回収するのに好適なキレート重合体を提供することで
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題に鑑み、本発明
者は、ヒドロキサム酸化合物が、イオン交換反応に由来
する金属の吸着がほとんどなく、比較的安定に存在する
ことに着目し、ヒドロキサム酸残基を重合体の1つの繰
り返し単位に2分子導入し、その1つの繰り返し単位で
1つの金属イオンを捕捉し得る重合体とすることによ
り、立体的な錯体形成抑制作用を解消することができ、
さらに吸着サイトのサイズが一定になるため、特定の有
価希少金属に対する選択吸着性を向上させることができ
ることを鋭意研究の結果見出し、本発明を完成した。ま
た、ヒドロキサム酸残基を重合体へ導入するにあたり、
相間移動触媒を用いて重合体が有するイミノジ酢酸残基
中のカルボン酸を酸クロライドに変換することにより、
カルボン酸残基の副生を抑制して、ヒドロキサム酸残基
を重合体上に高収率で導入できることを見出し、本発明
を完成した。即ち、本発明は、主鎖が飽和脂肪族炭化水
素からなり、側鎖の一部又は全部が以下の式(1) 又は式
(2) で示されることを特徴とするキレート重合体であ
る。
【0010】
【化5】
【0011】(式中、R1 は、メチル基、置換基を有す
るもしくは有さないフェニル基、又はベンジル基を表
し、R2 は、水素、メチル基又はフェニル基を表し、R
3 は水素、メチル基又はベンジル基を表す。)
【0012】
【化6】
【0013】(式中、R2 は、水素、メチル基又はフェ
ニル基を表し、R3 は水素、メチル基又はベンジル基を
表す。) また、本発明は、イミノジ酢酸残基を官能基として有す
る重合体において、前記イミノジ酢酸残基中のカルボン
酸を相間移動触媒の存在下、酸クロライドに変換し、次
いでヒドロキシルアミンと反応させることにより、前記
イミノジ酢酸残基をN,N-ジアセトヒドロキサム酸残基と
することを特徴とするキレート重合体の製造方法であ
る。
【0014】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
キレート重合体は、その主鎖が飽和脂肪族炭化水素から
なるものである。ここで、「主鎖が飽和脂肪族炭化水素
からなる」とは、主鎖の部分が飽和脂肪族炭化水素であ
ればよく、側鎖にいかなる官能基を有していてもよい。
例えば側鎖にフェニル基を有するポリスチレン、側鎖に
水酸基を有するポリビニルアルコール等も本発明でいう
主鎖が飽和脂肪族炭化水素からなる重合体である。ま
た、本発明のキレート重合体は、その側鎖の一部又は全
部に、以下の式(1)又は式(2) で示されるN,N-ジアセト
ヒドロキサム酸残基を有する重合体である。
【0015】
【化7】
【0016】(式中、R1 は、メチル基、置換基を有す
るもしくは有さないフェニル基、又はベンジル基を表
し、R2 は、水素、メチル基又はフェニル基を表し、R
3 は水素、メチル基又はベンジル基を表す。)
【0017】
【化8】
【0018】(式中、R2 は、水素、メチル基又はフェ
ニル基を表し、R3 は水素、メチル基又はベンジル基を
表す。) 本発明においては、特に式(1) 中のR1 がメチル基又は
ベンジル基であるものが好ましく、特に好ましくは以下
の式(3) で示されるものである。
【0019】
【化9】
【0020】本発明のキレート重合体は、オリゴマーと
称される比較的重合度の低いものでもよいが、吸着剤と
しての使用態様を考慮すると重合度の高いものが好まし
く、架橋をある程度有するものが特に好ましい。この場
合、架橋度は20〜30%であるのが好ましい。本発明のキ
レート重合体は、配位子として酸素4原子及び窒素1原
子を有する。従って、重合体上の1つの繰り返し単位で
1つの金属を捕捉することが可能であり、そのため、ヒ
ドロキサム酸残基を重合体へ導入した際に生じる立体的
な制約を排除することができ、安定な金属錯体を形成す
ることが可能である。
【0021】ここで、本キレート重合体における配位場
を図1に示す。図1に示されるように、配位場における
配位子と金属との結合距離は制約されており、構造に制
限が課せられているため、配位する金属の大きさによっ
ては安定な金属錯体を形成できない元素もあり、従来の
ヒドロキサム酸重合体に比べ、より金属に対する選択吸
着性に優れた重合体となっている。
【0022】以下、本発明のキレート重合体を製造する
方法の一例を説明するが、N,N-ジアセトヒドロキサム酸
残基の重合体への導入法が以下の方法に限定されないこ
とはもちろんのことである。本発明のキレート重合体を
製造するには、原料として、イミノジ酢酸残基を官能基
として有するキレート重合体を用いることができる。イ
ミノジ酢酸残基としては、下記化学式(5)
【0023】
【化10】
【0024】で示されるものが挙げられる。この前駆体
における官能基以外の部分の化学構造は、反応過程で用
いる塩化チオニル等の強酸に対して安定で、化学変化を
受けないものを用いることが好ましく、主鎖が飽和脂肪
族炭化水素であるもの、例えばポリスチレン、ポリエチ
レン等であれば自由に選択が可能であるが、中でもポリ
スチレンが好ましい。また、架橋剤の種類も、同様に酸
に対して化学的に安定な物質であれば使用でき、ポリマ
ーの物理的性質を調節することが可能である。イミノジ
酢酸を官能基として持つ高分子化合物の形状は、ビーズ
状、繊維状、粉末状、膜状等形状を問わず使用でき、目
的に応じた賦形が可能である。
【0025】本発明のキレート重合体を製造するには、
まず上記イミノジ酢酸中のカルボン酸を酸クロライドに
変換する。低分子の化合物においてはカルボン酸を直接
ヒドロキサム酸に変換することは比較的容易であるが、
水に不溶性の重合体では反応性が著しく低下する。その
ためカルボン酸のもつカルボニルの求電子性を増加させ
る必要があり、酸クロライドへの変換を行う。
【0026】酸クロライド化に用いる試薬として、塩化
チオニル、五塩化リン、ジクロロトリフェニルホスホラ
ン等があるが、沸点が低く取扱いの容易な塩化チオニル
が好適である。反応溶媒は塩化チオニル自体が液体であ
るためこれを直接用いることができる。また、カルボン
酸及び塩化チオニルと直接反応することがなく、塩化チ
オニルと任意の割合で混合することのできる有機溶媒で
あれば自由に選択して用いることが可能であるが、生成
物の親水性を高めるため、誘電率の高い1,2-ジクロロエ
タン、ジクロロメタン等を用いるのが好ましい。
【0027】重合体が反応に用いる有機溶媒に不溶の場
合、通常の条件では酸クロライド化反応はほんとんど進
行しない。低分子化合物において有機溶媒に対する溶解
度が極めて低いカルボン酸に対し相間移動触媒を加える
と、酸クロライドの生成速度が著しく向上することが知
られているが[K.A.Burdett Synthesis 441(1991) ]、
本発明では重合体上での反応においてもこの方法が有効
であることを見出し、相間移動触媒を触媒量加えること
により、高収率で反応を進行させることをはじめて可能
ならしめた。このような相間移動触媒としては、塩化ベ
ンジルトリエチルアンモニウム等のアルキルベンジル4
級アンモニウム塩が挙げられるが、中でも塩化ベンジル
トリエチルアンモニウムを用いるのが好ましい。
【0028】反応温度は用いる溶媒の種類にもよるが、
通常60〜100 ℃であり、反応時間は反応温度にもよる
が、通常5〜20時間の範囲である。空気中の水の存在に
より加水分解を受けカルボン酸の副生が生じるため、望
ましくは全ての操作は乾燥窒素気流中で行う。得られた
高分子化合物は、反応溶媒として用いた有機溶媒で洗浄
し、溶媒中で氷温下保存する。
【0029】次に、このようにして得たイミノジ酢酸ク
ロライドに変換された残基を持つ高分子化合物をヒドロ
キシルアミンと反応させ、N,N-ジアセトヒドロキサム酸
残基を持つキレート重合体に変換する。変換の際の合成
条件は常法に基づいて行えばよいが、できる限り水との
接触を避けるのが好ましい。本発明のキレート重合体の
製造方法に用いられるヒドロキシルアミンとしては、塩
酸ヒドロキシルアミン、N-メチルヒドロキシルアミン塩
酸塩、N-フェニルヒドロキシルアミン塩酸塩、O-メチル
ヒドロキシルアミン塩酸塩、O-ベンジルヒドロキシルア
ミン塩酸塩、N,O-ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩等
が挙げられるが、中でも塩酸ヒドロキシルアミンが好ま
しい。
【0030】塩酸ヒドロキシルアミンを使用する場合
は、あらかじめ塩酸ヒドロキシルアミンをメタノールあ
るいはエタノール中に溶解させ、氷温下対応するナトリ
ウムアルコキシドで中和し、生じた塩化ナトリウムの沈
殿を濾過により除去したものを用いるのが好ましい。酸
クロライドに変換した高分子化合物を懸濁させた有機溶
媒に、ヒドロキシルアミンを氷温下ゆっくり加え、徐々
に加温して反応させる。反応温度は通常40〜80℃であ
り、反応時間は温度にもよるが1〜3日が適当である。
反応終了後の樹脂は水で十分に洗浄した後、ソックスレ
ー抽出器を用いてメタノールで48時間程度洗浄を行うの
が好ましい。
【0031】以上のようにして得られるN,N-ジアセトヒ
ドロキサム酸残基を官能基として有するキレート重合体
は、遷移金属、特にモリブデン(VI)、鉄(III)、バ
ナジウム(V)及び銅(II)に対して優れた吸着能を有
し、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム
のようなアルカリ金属、アルカリ土類金属に対して全く
吸着能を有しない。また、遷移金属のなかでも、コバル
ト(II)、ニッケル(II)、マンガン(II)、亜鉛(I
I)等のイオンに対してはほとんど吸着せず、非常に選
択性に優れた吸着剤であり、pHを変化させることによ
り、これらの金属を容易に分離回収することができるた
め、金属イオン吸着回収用の吸着剤として極めて有用な
キレート重合体である。
【0032】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明するが、これらの実施例は本発明の範囲を何等限定す
るものではない。 (実施例1)市販のイミノジ酢酸型キレート樹脂ダイヤ
イオンCR10〈Na型〉(三菱化成社製、架橋度:約25%)
を1N塩酸で処理して酸型(ダイヤイオンCR10〈H型〉)
とした後、硝酸銀で沈殿が生じなくなるまで水洗を繰り
返し、これを40℃で48時間真空乾燥させた。
【0033】この乾燥させたダイヤイオンCR10〈H型〉
5gと、1,2-ジクロロエタン20cm3と、塩化ベンジルト
リエチルアンモニウム100 mgとを50cm3 三ツ口フラスコ
に加え、30分放置した。これを氷冷し、ゆっくり塩化チ
オニル5cm3 を加え、さらに30分放置した後、90℃、8
時間加熱還流した。反応生成物をガラスフィルターで濾
過し、1,2-ジクロロエタンで洗浄した。この酸クロライ
ド変換CR10を、以下CR10COClと表す。1,2-ジクロロエタ
ン50cm3 を入れた200 cm3 三ツ口フラスコにCR10COClを
移し、氷冷した。
【0034】別に、塩酸ヒドロキシルアミン6.95gをエ
タノール100 cm3 中で攪拌・懸濁させておき、氷温下で
20%ナトリウムエトキシドエタノール溶液を中和量加
え、さらに30分攪拌後濾過し、濾液をロータリーエバポ
レーターを用いて約50cm3 まで濃縮した。このヒドロキ
シルアミンエタノール溶液を、CR10COClの入った上記三
ツ口フラスコにゆっくり滴下し、30分放置した後、70℃
で48時間還流した。
【0035】反応終了後、生成したN,N-ジアセトヒドロ
キサム酸型キレート樹脂をガラスフィルターで濾取後、
メタノール、水の順で洗浄し、さらにソックスレー抽出
器を用いてメタノールで48時間洗浄した。このCR10改質
N,N-ジアセトヒドロキサム酸型キレート樹脂を、以下CR
10HXと表す。一方、イミノジ酢酸型キレート繊維とし
て、ポリスチレン系IDA-Na(東レ社製)カットファイバ
ーを出発物質とし、ダイヤイオンCR10と同様の操作によ
り、コンディショニング、合成及び洗浄を行い、N,N-ジ
アセトヒドロキサム酸型キレート繊維を得た。このN,N-
ジアセトヒドロキサム酸型キレート繊維を、以下IDAHX-
F と表す。
【0036】(実施例2)実施例1で得たCR10COCl及び
CR10HXと、それらの原料としたCR10をそれぞれ減圧下40
℃で乾燥して粉末とした。この粉末を試料として、めの
う乳鉢中で臭化カリウムと混合し、拡散反射法を用いて
赤外線吸収スペクトルを観察した。結果を図2に示す。
【0037】図2から明らかなように、CR10ではジカル
ボン酸に特有の C=O伸縮振動の吸収が1730cm-1及び1630
cm-1に分裂してみられるが、CR10COClでは2本の吸収が
1本となり塩素が置換した効果により高波数側にシフト
している(1749cm-1)。さらにCR10HXではヒドロキサム
酸に特有の1670cm-1付近の C=O伸縮振動に帰属される吸
収及び N-H伸縮振動に帰属される3230cm-1付近の吸収が
出現し、N,N-ジアセトヒドロキサム酸残基が導入されて
いることが示された。
【0038】(実施例3)元素分析による官能基変換率
の測定 実施例1で合成したCR10HX、及び出発物質として用いた
CR10をめのう乳鉢で粉砕後真空乾燥したものを試料と
し、ポリマー中のC,H,N 元素含量を CHN元素分析装置を
用いて定量した。カルボン酸からヒドロキサム酸への変
換率は、ポリマー中の C/N比より求めた。結果を表1に
示す。
【0039】
【表1】
【0040】IDAHX-F についても同様に調べた結果、変
換率は17.6%であった。-COOH → -CONHOHの反応のみが
起こっている場合、C含量は変化せず、N,H 含量のみが
増加するはずであるが、結果は C,N含量が増加してお
り、副反応としてエステルの生成等が予想される。
【0041】(実施例4)NaOH処理を施したポリマーの
IRスペクトル 実施例1で得たCR10HX、その原料として用いたCR10、及
び比較樹脂としてアミドキシム基を持つキレート樹脂CR
50(三菱化成社製)を1NのNaOH中に24時間浸漬し、前後
のキレート樹脂の構造の変化の有無をIRスペクトルによ
り確認した。CR10についての結果を図3に、CR50につい
ての結果を図4に、CR10HXについての結果を図5に示
す。
【0042】図3から明らかなように、CR10では、NaOH
処理前に観察された1735、1683cm-1のジカルボン酸に由
来する吸収がNaOH処理により1638cm-1の1本の吸収とな
り、低波数側にシフトしたことからカルボン酸のナトリ
ウム塩に変化したことが分かる。また、図4から明らか
なように、CR50では C=N結合に由来する1653cm-1の吸収
がNaOH処理により1655、1560cm-1の2本の吸収に分裂
し、化学構造の変化が起こった。それに対し、図5から
明らかなように、CR10HXではNaOH処理前後の構造の変化
は観察されず、イオン交換によるナトリウムの吸着が起
こりにくく、化学的に安定な樹脂であることが分かっ
た。
【0043】(実施例5)実施例1で得たCR10HXを1N塩
酸で処理した後水洗し、吸引濾過した試料を吸着試験に
供した。CR10HX樹脂の金属に対する選択吸着特性を評価
するため、マグネシウム(II)、カルシウム(II)、バ
ナジウム(V)、マンガン(II)、鉄(III)、コバルト
(II)、ニッケル(II)、銅(II)、亜鉛(II)、モリ
ブデン(VI)各0.2 mMを含むMcIlvaine 緩衝液(0.2Mリ
ン酸水素2ナトリウム−0.1Mクエン酸)で、pH2,4,
6,8の吸着液を調製した。吸着試験は、CR10HX 100mg
(乾燥重量)対して吸着液100 mlを加え、25℃、5日
間、100 rpm で振とうし、吸着前後の溶液中の金属濃度
をICP(Induced Coupling Plasma)発光法で定量す
ることにより行った。結果を図6に示す。なお、縦軸は
樹脂の金属吸着能を示す尺度として分配係数Kdとして表
し、次式により算出した。
【0044】
【数1】
【0045】本実験結果より、以下のことが明らかとな
った。CR10HXは溶液中に含まれるマグネシウム、カルシ
ウムのようなアルカリ土類金属を吸着せず、また、遷移
金属のうちでもコバルト、ニッケルに対してはほとんど
吸着性を示さない。これに対し、モリブデン及び鉄には
pH2付近の弱酸性領域で強い吸着能を示し、特にモリブ
デンに対してはpH8付近で全く吸着性を示さない。ま
た、バナジウム及び銅にはpH8付近の弱アルカリ性領域
で強い吸着能を示すという特徴を有する。この性質を応
用することにより、溶液中に含まれるバナジウムとモリ
ブデンの分離回収等を行うことができる。
【0046】(実施例6)実施例1で得たIDAHX-F を1N
塩酸で処理した後水洗し、吸引濾過した試料を吸着試験
に供した。IDAHX-F のバナジウム及びモリブデン吸着の
至適pHを調べるため、バナジウム(V)及びモリブデン
(VI)各0.2 mMを含むpH 0.7〜14の水溶液及び0.5M塩化
ナトリウム溶液を調製した。pH調整には塩酸あるいは水
酸化ナトリウムを使用し、吸着試験前後の吸着液のpHな
らびにバナジウム及びモリブデン濃度を測定した。吸着
試験は、IDAHX-F 50mg(乾燥重量)対し吸着液100 mlを
加え、25℃、24時間、100 rpm で振とうすることにより
行った。実施例3と同様に、キレート繊維の金属吸着能
を分配係数(Kd)として表した。結果を図7に示す。な
お、溶液のpHは吸着前後で変化しなかった。
【0047】本実験結果より、以下のことが明らかとな
った。希薄溶液中のバナジウム、モリブデン吸着におけ
るIDAHX-F の至適pHは、バナジウムに対してはpH4〜
9、モリブデンに対してはpH3〜5であるが、このpH領
域をはずれた領域においても吸着能を示す。特にモリブ
デンでは、3N塩酸溶液のような強酸性領域においてもKd
は100 前後であり、全く吸着しなくなることはない。ま
た、水溶液と0.5M塩化ナトリウム溶液との違いにより、
バナジウム、モリブデンの吸着量は変化するが、至適pH
は変化しない。
【0048】(実施例7)実施例1で得たCR10HX及びID
AHX-F を吸着試験に供した。CR10HX及びIDAHX-F のバナ
ジウム吸着に対する共存イオンの影響を調べるため、0.
2 mMバナジウム及び共存イオンとして塩化ナトリウム
0,0.5 ,1.0 ,5.0M を含むpH8の吸着液を調製し
た。pHの調整には水酸化ナトリウムを用いた。吸着試験
は、CR10HX及びIDAHX-F 100 mg(乾燥重量)に対して吸
着液100 mlを加え、25℃、100 rpm で振とうすることに
より行った。吸着時間はCR10HXが5日間、IDAHX-F が24
時間であった。結果を図8に示す。
【0049】本実験の結果より、CR10HX、IDAHX-F とも
に溶液中の共存塩化ナトリウムの影響を受け、塩化ナト
リウムの濃度が大きくなるとともにバナジウムの吸着が
阻害され、特にIDAHX-F の阻害の度合いが大きいことが
明らかとなった。以上、実施例5、6及び7で示された
ように、本発明の重合体(ポリマー)は溶液に含まれる
共存イオンの影響により吸着特性が変化するため、共存
イオンを加えることにより目的に応じた金属の分離回収
が可能となる。
【0050】
【発明の効果】本発明によれば、溶液中に含まれるバナ
ジウム(V)、モリブデン(VI)、銅(II)、鉄(III)
あるいは有価希少金属を選択的に吸着回収することので
きるキレート重合体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のキレート重合体における配位場を示す
図である。
【図2】CR10、CR10COCl及びCR10HXのIRスペクトルを示
すチャートである。
【図3】CR10及びNaOH処理CR10のIRスペクトルを示すチ
ャートである。
【図4】CR50及びNaOH処理CR50のIRスペクトルを示すチ
ャートである。
【図5】CR10HX及びNaOH処理CR10HXのIRスペクトルを示
すチャートである。
【図6】pHとCR10HXの金属吸着能との関係を示すグラフ
である。
【図7】pHとIDAHX-F のV(V) ,Mo(VI)吸着能との関係
(水溶液及び0.5M NaCl 溶液中)を示すグラフである。
【図8】NaCl濃度とCR10HX及びIDAHX-F のV(V) 吸着能
との関係を示すグラフである。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主鎖が飽和脂肪族炭化水素からなり、側
    鎖の一部又は全部が以下の式(1) 又は式(2) で示される
    ことを特徴とするキレート重合体。 【化1】 (式中、R1 は、メチル基、置換基を有するもしくは有
    さないフェニル基、又はベンジル基を表し、R2 は、水
    素、メチル基又はフェニル基を表し、R3 は水素、メチ
    ル基又はベンジル基を表す。) 【化2】 (式中、R2 は、水素、メチル基又はフェニル基を表
    し、R3 は水素、メチル基又はベンジル基を表す。)
  2. 【請求項2】 前記側鎖が、以下の式(3) で示されるこ
    とを特徴とする請求項1記載のキレート重合体。 【化3】
  3. 【請求項3】 前記主鎖が架橋を有するものであること
    を特徴とする請求項1又は2記載のキレート重合体。
  4. 【請求項4】 イミノジ酢酸残基を官能基として有する
    重合体において、前記イミノジ酢酸残基中のカルボン酸
    を相間移動触媒の存在下、酸クロライドに変換し、次い
    でヒドロキシルアミンと反応させることにより、前記イ
    ミノジ酢酸残基をN,N-ジアセトヒドロキサム酸残基とす
    ることを特徴とするキレート重合体の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記相間移動触媒が、塩化ベンジルトリ
    エチルアンモニウムである請求項4記載のキレート重合
    体の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記ヒドロキシルアミンが、塩酸ヒドロ
    キシルアミンである請求項4又は5記載のキレート重合
    体の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記イミノジ酢酸残基を官能基として有
    する重合体が、ポリスチレンのフェニル基にイミノジ酢
    酸残基を官能基として有する重合体である請求項4乃至
    6いずれか記載のキレート重合体の製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007161967A (ja) * 2005-12-16 2007-06-28 Ibaraki Univ 高原子価金属イオンの捕集・検出剤
JP2008214551A (ja) * 2007-03-06 2008-09-18 Hitachi Chem Co Ltd 高原子価金属イオンの捕集剤
JP2013122057A (ja) * 2013-01-28 2013-06-20 Ibaraki Univ 高原子価金属イオンの捕集・検出剤
CN115819646A (zh) * 2022-10-27 2023-03-21 广东省科学院资源利用与稀土开发研究所 一种羟肟酸改性大孔亚胺二乙酸螯合树脂及其制备方法

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