JPH08302068A - 無機質フィラー分散複合体 - Google Patents

無機質フィラー分散複合体

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JPH08302068A
JPH08302068A JP10866995A JP10866995A JPH08302068A JP H08302068 A JPH08302068 A JP H08302068A JP 10866995 A JP10866995 A JP 10866995A JP 10866995 A JP10866995 A JP 10866995A JP H08302068 A JPH08302068 A JP H08302068A
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resin
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dispersed phase
compound
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JP10866995A
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Teruo Hosokawa
輝夫 細川
Hirofumi Inoue
浩文 井上
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Showa Denko KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 樹脂中に無機質フィラーが微細に分散されて
高剛性と耐熱性に優れた無機質フィラー分散複合体。 【構成】 繊維状で、厚さが10〜40オングストロー
ム、長さが300オングストローム以上の無機質フィラ
ーからなる層状化合物と、該層状化合物の層間に混入し
た樹脂とからなる分散相1が、マトリクス樹脂2中に分
散されている。 【効果】 オングストロームレベルの微細な無機質フィ
ラーが、結晶性及び又はガラス転移温度が室温以上の非
晶性樹脂中に分散され、従来の無機質フィラー充填樹脂
組成物に比べて高い剛性および耐熱性を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、様々な成形品、特に剛
性、耐熱性、耐衝撃性の要求される成形品、例えば、自
動車、家電部品、建築資材、工業資材に使用される樹脂
成形物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリオレフィンを始めとする樹脂
の諸特性、特に機械的特性及び耐熱性を改良するため
に、剛性の高い無機質フィラーを混合、混練することが
行われている。無機質フィラーを添加したポリオレフィ
ン樹脂組成物は、添加していないポリオレフィン樹脂組
成物と比較して優れた剛性と耐熱性を有することから、
特に自動車や家電製品、建築若しくは工業資材の分野等
の成形材料として広く用いられている。
【0003】このようなものとして、特開平2−102
261号公報および特開平2−105856号公報に
は、層状粘土鉱物にゲストとしてアミン類をドープして
層間距離を広げた後、樹脂モノマーを層間にいれ、それ
を重合する際に放出されるエネルギーによって層状粘土
鉱物を自己崩壊させてオングストロームレベルで分散さ
せた無機質フィラー分散複合体が示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
は、効率よくフィラーを分散できるものの、特別な重合
設備が必要で、製品価格に高い固定費を担うため、経済
的ではない。また、その反応も縮重合か、あるいはラジ
カル重合系のうちでもサスペンジョン、エマルジョン重
合に限られる。その上、層間にモノマーを挿入したもの
を反応の進行と共に逐次、添加する必要があるので、装
置上、制御が煩雑で、均一な濃度の材料を得ることは困
難であった。そのため、特に高濃度の複合体は得られに
くい。また、層間にドープするモノマーであるエチレ
ン、プロピレン、ブテン、イソプレン等を層間に安定し
て存在させるには、モノマー濃度を上げる必要がある
が、その為には、これらを液体として高圧下で層間に存
在させなければならず、これは実際上困難である。そこ
で、反応器中での滞留時間を長くすることが考えられる
が、経済性を欠いてしまう。
【0005】そのため、重合系に注入する際に高圧下に
モノマーを挿入した層間化合物を保持しておくことにな
るが、単独あるいは共重合であってもモノマーとして使
うには装置上の制約があり、液体状のものが望ましい。
また、ポリオレフィンで使われるアニオン系配位重合系
に、上記方法を適用すると、層間に存在するアミノ酸の
ような活性水素が多量に存在し、雰囲気中で触媒毒とし
て作用するので、不適当である。したがって、オングス
トロームレベルのフィラー分散をした無機質フィラー分
散複合体を得るには限られた樹脂材料下でかつ低濃度の
フィラーのものしか得られていない。また、重合系でた
とえ無機層状粘度鉱物を鉱物の一層にほぼ近い単位、即
ち、スメクタイト、マイカ化合物等においては約10オ
ングストロームで分散させると、その複合体は無機質フ
ィラーで分子を拘束するレベルにまでは達するが、膨潤
性層状鉱物は結晶の剛直性が従来のフィラーに比べて劣
っているため、フィラーのアスペクトを有効に活用する
までには至っていない。
【0006】本発明は前記課題を解決するためになされ
たもので、樹脂中に無機質フィラーが微細に分散されて
高剛性と耐熱性に優れた無機質フィラー分散複合体を提
供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の無機質フィラー
分散複合体は、繊維状で、その厚さが10〜40オング
ストローム、長さが300オングストローム以上の無機
質フィラーからなる層状化合物と、該層状化合物の層間
に混入した樹脂とからなる分散相が、マトリクス樹脂中
に分散されていることを特徴とするものである。
【0008】この際、分散相は、その大きさが2乗平均
径で10μm以下、平均アスペクト比が4以上であるこ
とが好ましい。
【0009】さらに、全複合体中における分散相中の無
機質フィラーの含有量は0.1〜40vol%で、分散相中
の樹脂の含有量は40vol%以下であることが好ましい。
【0010】
【作用】以下に、本発明を詳説する。本発明の無機質フ
ィラー分散複合体は、図1に示すように、マトリクス樹
脂2中に、分散相1が分散された状態とされている。さ
らに、分散相1は、無機質フィラーからなる無機層状化
合物と、その層状化合物の層間に混入した樹脂とからな
る。そして、さらにその無機質フィラーは、繊維状のも
ので、厚さが10〜40オングストローム、長さが30
0オングストローム以上のものとされる。繊維状の無機
質フィラーの厚さは10オングストローム未満にはなら
ず、40オングストロームよりも厚いと、層間に樹脂が
侵入する量が少なくなり、分散性不良でマトリクス樹脂
との界面接着が悪くなるので、好ましくない。また、無
機質フィラーの長さが300オングストローム未満であ
ると、層状化合物に侵入した樹脂のラメラの距離あるい
はタイ分子の長さはほぼ200オングストロームである
ので十分な樹脂の分子拘束を行えないので、好ましくな
い。層状化合物としては、粘土鉱物を主とするもので、
膨潤性粘土化合物、燐酸ジルコニュウム等が適当であ
る。膨潤性粘土鉱物には、スメクタイト、バーミキュラ
イト、マイカ、クロライト等がある。これらの天然に産
する結晶性層状粘土鉱物には、例えば以下のような化合
物が挙げられる。スメクタイト構造には、サポニナイ
ト、ヘクトライト、モンモリオナイト、サウコナイト
等。バーミキュライトに類するものには、トリオクトヘ
ドラル−バーミキュライト、ジオトクヘドラル−バーミ
クライト。マイカでは、マスコバイト、フィロゴパイ
ト、バイオタイト、レピドライト、パラゴナイト、テト
ラシリシックマイカ等。また、タルクにフッソ処理を行
って膨潤性マイカを合成した物、あるいは水熱合成によ
って上記のような構造を得たものが挙げられる。更に、
層間に挿入されているカチオンに、ナトリウム、カリウ
ム、リチウム等異なる同種のイオンの置換による種々の
化合物が適用できる。
【0011】この層状化合物は、複合体全体に対して分
散相中の含有量は、0.1〜40vol%であることが望ま
しい。層状化合物が0.1vol%未満であると、無機層状
化合物の層間に十分な樹脂の侵入と置換が行われず、マ
トリクス樹脂との接着強度が低下し、剛性、耐熱性とも
にその複合体としての性能が低下するので好ましくな
い。また、40vol%よりも多いと、層状化合物に添加し
ている有機カチオン量が多いため、熱的な分子運動性の
方が無機層状化合物になる分子拘束を十分に行えないた
め耐熱性が低下するので好ましくない。
【0012】さらに、本発明での分散相は、この層状化
合物の層間に樹脂が混入した状態とされている。この分
散相中の樹脂(以下、「混入樹脂」と称する)として
は、芳香族化合物または電子供与性有機化合物、特に電
子供与体の構造を持つ脂肪族系アルコール及び又はその
エーテルが好ましい。また高誘電率溶媒の電子供与体で
あっても良い。例えば、芳香族化合物ではベンゼン、ト
ルエン、キシレン、デカヒドロナフタレン、オルトジク
ロロベンゼン、あるいは同族体としてアルキルベンゼ
ン、ピリジン、キノリン等がある。上記脂肪族系アルコ
ールには、メタノール、エタノール、プロパノール、イ
ソプロパール、ブタノール、アミールアルコール、ヘキ
サノール、シクロケキサノール、オクタノール、ジエチ
レングリコール、グリセリン等がある。上記脂肪族系エ
ーテルには、ジエチレングリコールモノメチルエーテ
ル、テトラヒドロフラン、ブチルエチルエーテル等が挙
げられる。上記高誘電率溶媒の電子供与体としては、ジ
メチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、Nメチル
ピロリドン、ジメチルスルフォアミド等が挙げられる。
【0013】この分散相中の樹脂の含有量は、40vol%
以下であることが望ましい。より好ましくは0.5〜3
0vol%、さらに好ましくは1.5〜20vol%である。4
0vol%よりも多いと、無機質フィラーとしての作用が低
下し、剛性および耐熱性能の向上が小さいからである。
また、少なくとも0.5vol%以上が好ましく、無機層状
化合物に対して十分な樹脂の侵入と置換が行われず、マ
トリクス樹脂との接着強度が低下し、剛性が低下する。
【0014】分散相では、後述するように膨潤してナノ
レベルになった繊維状フィラーが、混入した樹脂が結晶
性であれば、その結晶ラメラを繋げる分子拘束をする。
その際、無機質フィラーの体積含有率が混入した樹脂よ
りも多ければ、ほぼ無機質フィラーの性状に近い挙動を
示す。この為、無機層状化合物に樹脂が混入された分散
相は恰もそのものが1つの無機質フィラーのごとく振舞
うことになる。さらに、無機質フィラー分散複合体の剛
性を決定する要因の1つとして、分散相を楕円形状とみ
なしたときに、図1に示すような分散相1の長径Lと短
径Sの比であるアスペクト比(L/S)がある。このア
スペクト比が長いほど、剛性および耐熱性が向上するこ
とは知られている(Halpin Tasai; "Primer onComposit
e Materials: Analysis" (Technomic, Stamford, Con
n., 1969) Ch. 5.H.L.Cox, Brit.J.Appl.Phys. 3 (195
2) 72.)。
【0015】本発明においては、各々の分散相におい
て、その長径Lと短径Sを測定しアスペクト比の値の個
数%を2乗平均径(Dp=(L/S)/2)に対して積
算し、その総和平均が50%のときのアスペクト比を平
均アスペクト比(Asp)とした。本発明の分散相のア
スペクト比は4以上、好ましくは8以上、より好ましく
は10以上である。アスペクト比が4未満であると、剛
性および耐熱性能の向上が小さいからである。さらに、
本発明では分散相とマトリクス樹脂の界面は、完全接着
に近い状態となるので、分散相の大きさは、剛性および
耐熱性に影響を与える。すなわち、本発明においては、
分散相の大きさは、2乗平均径で10μm以下であるこ
とが望まれる。10μmよりも大きいと、剛性および耐
熱性が向上しにくいからである。
【0016】本発明で、上記分散相が分散されるマトリ
クス樹脂としては、結晶性ポリマーまたは非晶性ポリマ
ーが適用される。結晶性ポリマーには、ポリプロピレ
ン、ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度
ポリエチレン、ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリ
アミド11、ポリアミド12等のポリアミド樹脂及び又
はその共重合体、脂肪族ポリエステル、芳香族ポリエス
テル及び又はその共重合体や、その類似の化合物として
ポリブチレンテレフタレート、あるいはポリエーテルケ
トン等が挙げられる。また非晶性ポリマーとしては、ガ
ラス転移温度(Tg)が室温(23℃)以上のもの、例
えば、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリカーボ
ネート、非晶性ポリアミド、ポリファニレンエーテル、
ポリアセタール、ポリサルホン、ABS樹脂等がある。
これらは、単独あるいは、お互いに相溶し安定したマト
リックスを形成しポリマーアロイになるものは複数の結
晶/非晶材料の組合わせ、あるいは非晶/非晶材料の組
合わせであっても良い。例えば、ポリプロピレン/ポリ
アミド、ポリカーボネート/ポリブチレンテレフタレー
ト、ポリカーボネート/ABS等の組合せがある。
【0017】このようなマトリクス樹脂と分散相とから
なる本発明の無機質フィラー分散複合体においては、分
散相と樹脂単独のマトリクス樹脂の界面は、ほぼ完全に
接着された状態となる。従来のものであると、ウィスカ
ーのように高いアスペクト比を有していても樹脂との完
全接着が達成できなかったため、高濃度の添加を余儀な
くさせられていた。しかしながら、本発明であると、完
全接着に近い界面強度が得られるので、分散相はほぼ無
機質フィラーとして作用し、分散相が少量でも機械的性
質、熱的性質は向上する。
【0018】本発明の無機質フィラー分散複合体は、膨
潤性層状化合物に有機カチオンを挿入して、有機親和性
を持たせた上で、混入樹脂、好ましくは電子供与性有機
化合物及びまたは芳香族化合物を用いて無限膨潤化し、
それを結晶性樹脂及びまたは非晶性樹脂のマトリクス樹
脂組成物と混練、好ましくは機械的混練をし、溶融分散
を行うことで得られる。
【0019】その製造過程で用いる有機カチオンとして
は、トリアルキルアンモニウム塩類またはアミノ酸類等
の正電荷有機化合物が好ましい。テトラアルキルアンモ
ニュウム塩は、下記化学式で示される。
【0020】
【化1】 化学式中、R1,R2,R3、R4は炭素数が1以上のア
ルキル基であって、少なくともその中のアルキル基の1
つが主鎖長で炭素数が4(C4と称する。以下、同様)
以上でC30以下が良い。より望ましくはC12〜C2
5の範囲が良く、C15〜C22の範囲であればより好
ましい。炭素数がC4未満では層間距離が充分開かず後
の溶媒による膨潤化に於いて多量の溶剤が必要となる。
また炭素数がC30よりも多いと、分子サイズが大きい
ため層間に入りにくく、かつ層間に挿入された絶対量と
しても少ないため結果として多量の溶剤を使っても層状
の1ユニットまで崩壊する無限膨潤化領域に達しないた
め好ましくない。尚、式中、Xは種々のハロゲンであ
るが、特にクロルが好ましい。また、ω−アミノ酸を用
いる場合には、脂肪族で直鎖状のアミノ酸でかつカルボ
ン酸を含み、その主鎖炭素数がC4以上でC30以下の
ものが良い。C10〜C25の範囲であればより好まし
く、C12〜C22の範囲であるとさらに好ましい。ま
た、アミノ基が主鎖の末端でないときは、カルボン酸の
位置から4位の位置(δ)以降であればかまわない。ま
た、ジアミノモノカルボン酸であって、上記のごとくカ
ルボン酸の位置から4位以降の位置にアミノ基が少なく
とも1つ以上あるものでも良い。例えば、リシン、アル
ギニン、γ−アミノシクロヘキシルカルボン酸等が挙げ
られる。同様に、モノアミノジカルボン酸ではグルタミ
ン酸等が挙げられる。芳香環を有するものとしては、p
−アミノヒドロシンナミック酸等も良い。さらに、複素
環の構造をもつアミノ酸でもよく、ヒスチジン、トリプ
トファン等でも良い。
【0021】この有機カチオンを上記層状化合物に添加
することで、イオン交換が行われると共に膨潤と有機親
和処理が行なわれる。膨潤化処理として具体的には、層
状化合物の粉末を水やアルコール等で十分溶媒和させた
後、有機カチオンを加え、撹拌し、層状化合物の層間の
金属イオンを有機イオンに置換させる。その後、未置換
の有機カチオンを十分に洗浄し、濾過、乾燥する。有機
カチオンの添加量は、例えばカラム浸透法(参照:「粘
土ハンドブック」第576〜577頁、技法堂出版)
や、メチレンブルー吸着量測定法(日本ベントナイト工
業会標準試験法,JBAS−107−91)等の方法で
層状化合物の陽イオン交換容量(CEC)を測定し、決
定する。有機カチオンの添加量は、CECに対して1当
量から10当量の範囲が望ましい。
【0022】次に、上記得られた親油性化合物に混入樹
脂を添加して接触させてナノレベルの分散を行うが、そ
の際、押出機等の熱で親油性化合物は無限膨潤化し、融
液状態の樹脂が層間に侵入する。また、非極性の樹脂は
親油性化合物の層間に侵入しにくい場合がある。その場
合には、有機溶媒を予め親油性化合物に添加して無限膨
潤化したものを樹脂に混入するか、あるいは混入樹脂と
有機溶媒を接触させ次いで親油性化合物と接触させても
良い。このときは、有機カチオンの溶媒和によって有機
カチオンの分子の自由度を大きくすると共に、アルキル
アンモニュウム塩の一番長い主鎖が一番安定なコンフォ
ーメーションとなる。この結果、分子の主鎖は一番安定
な状態、すなわち主鎖が溶媒の中で伸びきった状態とな
る。その際、イオン的に配位した有機カチオンは柱のよ
うに配座し、層間距離を押し広げる。そして、各層は層
間の相互の電気的なイオン結合力から解き放れ、層の単
一ユニットのレベルまで分離し、溶媒の中に分散する。
したがって、有機カチオンの一番長い主鎖長がC4未満
であると、混入樹脂を添加しても無限膨潤状態にはなり
にくい。また有機カチオンの主鎖が充分長くても、その
置換量がきわめて少ないと、混入樹脂の侵入により有機
カチオンとの溶媒和は起こるものの、その効果はきわめ
て小さく、添加量としては理論置換イオン量の1当量以
上から10当量の範囲が必要となる。
【0023】また、単一ユニットになって無限膨潤化し
た層状化合物は、各々での有機カチオンがイオン的に配
位しているためにコロイド状になって沈澱しない。
【0024】そして、上記無限膨潤化した親油性化合物
をマトリクス樹脂と混練し、分散する。
【0025】予め無限膨潤化した親油性化合物とマトリ
クス樹脂組成物の混練ないし分散では、マトリクス樹脂
組成物の粘度が高いことにより、有機溶媒を混練機の中
で気化させ、無限膨潤構造が崩れ分離しないうちに混合
を行い、引き続いて剪断による分散を行い、融液ポリマ
ーに残った有機溶媒を脱気する工程を経て無限膨潤した
層状化合物をナノレベルで分散する。これに用いる混練
機には、例えば、バンバリーミキサー、ローター付きコ
ンティニュアスミキサー、2軸押出機(スクリュー回転
方向が異方向,同方向)等が挙げられる。
【0026】分散装置の一例を図2に示す。この分散装
置は、2軸同方向の押出機10を使用するもので、例え
ば、スクリュー径40φミリ、スクリュー長さ/スクリ
ュー径の比が51のものである。図1に示すものでは、
スクリューのバレル部は分割されていて3ピッチずつの
バレルを継ぎ足した構造になっていて、全部で17ブロ
ック(第1ブロック〜第17ブロック)からなる。ベン
ト口はホッパー12から数えて、5ブロック目、10ブ
ロック目、13ブロック目、15ブロック目の4つのベ
ント口で構成されている。それらのベント口はいずれも
真空ポンプ14に接続している。
【0027】そして、無限膨潤化した親油性化合物のス
ラリーはスラリータンク16から供給ポンプを介して第
3ブロックに供給される。供給ポンプには、安定した供
給を行うために、有機溶媒のスラリーの粘度に応じて最
適なものを選択する。例えば、有機溶媒のスラリーの粘
度が10×104cps以上なら供給ポンプにギヤーポンプ
18、粘度がそれ以下ならカスケード(直列)につなげ
たプランジャーポンプ20を用いることが望ましい。そ
して、マトリクス樹脂組成物をホッパー12から供給す
ると、マトリクス樹脂組成物はスクリューによって移送
され、第3ブロックを中心に第2ブロックと第5ブロッ
クの間でサイドフィードされたスラリーと接触する。こ
の間のゾーンはスラリーに使われている有機溶媒の沸点
より低く設定しなければならない。その先の第5ブロッ
クのベント口で過剰の有機溶媒の一次脱気を行う。次い
で第6ブロックから第10ブロックの間でマトリクス樹
脂組成物が可塑化される温度に達するように第5ブロッ
クのベント口から温度を暫時高くなるように設定する。
【0028】もし、成形の際に揮発分によって外観を悪
くするようなガスが発生するときは揮発分が充分除去さ
れていない場合がある。その際には第12ブロックから
水をプランジャーポンプ等で注入して共沸させることに
より樹脂中の揮発分(水+溶剤)を300PPM以下に
することが出来る。また、スラリーを溶融樹脂に注入し
分散した際に、無限膨潤化したスラリーが溶融樹脂と同
じかそれ以上の粘度で、注入作業が極めて困難である場
合、または無限膨潤するのに多量の溶媒を使用したため
に、溶融樹脂との混練後に有機溶媒を脱気するために、
押出機のスクリューを長くして押出機での滞留時間を長
くすると、押出量が本来の1/10以下にもなることが
あり、経済性を欠いてしまう。この場合には、予め層状
化合物とマトリクス樹脂組成物をヘンシェルミキサー等
の分散機で分散しておき、これを押出機で混練する工程
において押出機の側面より混入樹脂のみを計量ポンプに
より圧入することで、混入樹脂/マトリクス樹脂組成物
/有機カチオンにより膨潤した層状化合物のスラリーを
押出機内で形成せしめ、無限膨潤化とエラストマーとの
物理的混合を行うことが良い。
【0029】
【実施例】以下に本発明の実施例を記すが、本発明はこ
れらの実施例に限定されるものではない。 〔実施例1〕フッ素型テトラシリシックマイカ[示性式
NaMg2.5(Si4O10)F2]からなる層状化合物(トピー工
業(株)製“DP−DM”)をビーカー内の蒸留水に浸
漬し、撹拌して懸濁液とした。この懸濁液を約60℃で
撹拌しながら、有機カチオンである主鎖C4〜C22の
n−アルキルアンモニウム塩クロライド水溶液(日本油
脂(株)製“ニッサンカチオン”及び試薬からの合成に
よる)を添加し、良く撹拌を行い均質な懸濁液に調製し
た。カラム浸漬法によるテトラシリシックマイカのCE
Cは、凡そ170meq/100gであったので、混合比は、フ
ッ素型テトラシリシックマイカの100gに対して有機
カチオンを3.4×102mmolとした。
【0030】この懸濁液を洗浄、遠心分離し、凍結乾燥
後粉砕して層状化合物とした。インターカレーションの
確認のため、n−アルキルアンモニウムクロライドの主
鎖の長さが変化したときの層間距離を理学(株)製X線
解析装置(RINT2000)を用いた粉末X線回折法
によって測定した。この粉末X線回折の測定では、主鎖
の長さがC4からC22に変化するに伴って層間距離が
1.4nmから3.8nmに増加していくことが確認された。
また、層間への4級アンモニウム塩の充填密度の確認の
ために、理学(株)製示唆熱/熱天秤測定(TG−DT
A)装置(TAS200)を用いて、熱重量測定を行っ
た。その結果、この親油性化合物の有機カチオン含有量
は、層状化合物の凡そ21wt%であった。次に、この親
油性化合物をキシレン中に層状化合物成分がキシレンに
対して10wt%になるように添加し、約1時間撹拌して
均質な無限膨潤したスラリーを調製した。
【0031】スラリーの粘度を、B型粘度計((株)東
京計器製“B8L”)を用いて23℃で測定した。粘度
は、3×104cpsであった。このスラリーを図1に
示した分散機を用いて、マトリクス樹脂組成物と混練し
た。マトリクス樹脂組成物には、メルトフローレイトが
60g/10minのホモポリプロピレンを用いた。マトリク
ス樹脂組成物をホッパー12から押出機内に入れて溶融
し、上記スラリーをギヤーポンプ18を用いて押出機途
中のベント口から溶融した樹脂中に注入し、混練、有機
溶媒の脱気によって、有機カチオン量並びに溶媒量を除
いて無機成分を8.5wt%含有した無機質フィラー分散複
合体を得た。この無機質フィラー分散複合体のモルホロ
ジーを観察したところ、分散相の体積分率は複合体に対
して3.0vol%、また、比重換算(比重2.7)で6.8w
t%であって、平均粒子径は0.01μm、アスペクト比は
8.0であった。
【0032】また、分散相中の樹脂の含有量を透過顕微
鏡で測定したところ、20vol%であり、分散相中の無機
層状化合物は、厚さが10〜40オングストローム、長
さが1000オングストローム以上の繊維状のものであ
った。得られた無機質フィラー分散複合体の曲げ弾性率
(kg/cm2)と、熱変形温度(HDT(℃))を測
定した。測定結果を表1に示す。なお、表1中には、マ
トリクス樹脂の種類、全複合体中のフィラーのwt%、全
複合体中の分散相の体積分率、分散相中に占める無機質
フィラーの体積分率および分散相中の樹脂含有量(vol
%)、分散相の平均粒径および平均アスペクト比も併記
した。
【0033】尚、分散相の体積分率は以下のようにして
求めた。図3に示すような体積L3の試料片中の分散相
の体積Vを想定する。試料断面上の分散相の切り口で観
測される面積の和をA(X)とすると、下記数式によっ
て、この分散相の体積分率V0の関係式が成り立つ。
【0034】
【数1】
【0035】したがって、体積分率V0は面積分率から
推定できる。また、試料断面は無作為に抽出してもかま
わないことがわかる。したがって、観測手法によって分
散相の体積分率が求められる。分散相の面積分率は、試
料をミクロトームにて薄片に切り出し、透過型電子顕微
鏡により観測することで求められる。分散相とマトリク
ス樹脂の電子線の透過係数が同じで境界が明確でないと
き、例えば、試料がポリプロピレンとエチレンプロピレ
ン共重合体(EPR)のときは、RuO4染色にEPR
が染色されることなどを利用する。また、マトリクス樹
脂中に分散した分散相の粒度を求めるには、個数粒度分
布式から積算で50%の粒度を平均粒度として求めた。
すなわち、顕微鏡で粒度を測定する場合と同様とする
と、次式が成り立つ。
【0036】
【数2】 但し、Dpは、透過電子顕微鏡で観測した各分散相の2
乗平均径であり、Daは透過電子顕微鏡で観測した分散
相の2乗平均径の総平均、nは分散相の総数を示す。
【0037】また、曲げ弾性率は、ASTM 790
(乾燥状態,23℃)に準じて測定した。また、熱変形
温度は、ASTM D648に従って行ったもので、
0.0464kg/mm2(66 psi)のファイバス
トレスが作用するように、試験片の中央部に5分間荷重
を掛け、2±0.2℃/minの速さで昇温して測定した。
尚、測定用試料は、FANAC社製射出成形機「model
100型」により、シリンダー温度210℃、射出圧力
750kg/cm2、型締め圧力100トンにて成形し
たものである。
【0038】〔実施例2〕実施例1において、層状化合
物として合成スメクタイトを用いて親油性化合物を生成
した。すなわち、合成スメクタイト[示性式 Na0.33(M
g2.67Li0.33)Si4O10(OH)2]からなる層状化合物(コー
ピケミカル(株)製“SWN”)を用いて上記実施例1
と同様の処理を行った。但し、合成スメクタイトのCE
Cは、凡そ100meq/100gであったので、混合比は合成
スメクタイトの100gに対して有機カチオンを2.0
×102mmolとした。粉末X線回折の測定では、C4か
らC22に変化するに伴って層間距離が1.4nmから2.
5nmに増加していくことが確認された。また、示唆熱/
熱天秤測定(TG−DTA)では、有機カチオン含有量
は、層状化合物の凡そ23wt%であった。
【0039】実施例2においても、この親油性化合物を
キシレンの有機溶媒中で10wt%の溶液濃度に調製し
た。そのときの粘度は、3.4×104cpsであった。
それを実施例1と同様に、プランジャーポンプを用いて
溶融樹脂に注入、混練し、有機カチオン量並びに溶媒量
を除いて無機質フィラーを8.5wt%含む無機質フィラー
分散複合体を得た。得られた無機質フィラー分散複合体
のモルホロジーを観察したところ、複合体に対してその
体積分率は3.0vol%であって、比重換算では6.8wt%
になる。また、平均粒径は0.3μmであった。また、分
散相中の樹脂量は、その分散相に対して、20vol%であ
った。また、無機層状化合物は、厚みが10〜30オン
グストローム、長さが380オングストローム以上の繊
維状のものであった。この無機質フィラー分散複合体の
曲げ弾性率(kg/cm2)と、熱変形温度(HDT
(℃))を測定した。測定結果を表1に示す。
【0040】〔実施例3〕実施例1において、層状化合
物をホモポリプロピレンに有機カチオン量を除いて8.
5wt%になるように配合し、ヘンシェルミキサーで同様
の方法でギヤーポンプにてサイド注入して溶融混練し、
ドライブレンドした。このブレンド物を押出機のホッパ
ーからフィードして溶融混練し、さらに押出機途中のベ
ント口からギヤーポンプにてサイド注入して溶融混練し
て、無機質フィラー分散複合体を得た。その際のキシレ
ンの添加量は、ブレンドしたものに対して40wt%にな
るように調製した。この無機質フィラー分散複合体のモ
ルホロジーを観察したところ、複合体に対する分散相の
体積分率は3.0vol%、分散相の平均粒径は5μm、その
アスペクト比は14であった。分散相中の樹脂量は20
vol%、無機層状化合物の厚さは10〜20オングストロ
ーム、長さは1300オングストローム以上の繊維状の
ものであった。この無機質フィラー分散複合体の曲げ弾
性率(kg/cm2)と、熱変形温度(HDT(℃))
を測定した。測定結果を表1に示す。
【0041】〔実施例4〕無機層状化合物の含有量を全
複合体中19.6wt%にしたこと以外は実施例1と同様に
して、無機質フィラー分散複合体を製造した。そのとき
の分散相の体積分率は7.5vol%であった。その無機質
フィラー分散複合体の弾性率と熱変形温度を測定した。
測定結果を表1に示す。
【0042】〔実施例5〕無機層状化合物の含有量を6
2.8wt%にしたこと以外は実施例1と同様にして無機質
フィラー分散複合体を製造した。そのときの分散相の体
積分率は36vol%であった。その無機質フィラー分散複
合体の弾性率と熱変形温度を測定した。測定結果を表1
に示す。
【0043】〔実施例6〕実施例1で得られた無機質フ
ィラー分散複合体をさらにホモポリプロピレンで希釈し
て、全体における無機層状化合物の含有量を8.5wt%に
したものについて、上記同様にして、無機質フィラー分
散複合体の弾性率と熱変形温度を測定した。測定結果を
表1に示す。
【0044】〔比較例1〕実施例1で使用したホモポリ
プロピレンと、層状化合物としてテトラシリシックマイ
カをジェットミルにて粉砕し、無機質フィラーの含有量
が8.5wt%になるように配合し、ヘンシェルミキサーで
ドライブレンドしたブレンド物のみを押出機のホッパー
から30kg/hrで連続的に供給し、無機質フィラー分散
複合体を得た。その無機質フィラー分散複合体における
分散相の平均粒径は15μm、アスペクト比は8.0であ
った。また、分散相中への樹脂の混入分散は認められ
ず、分散相は無機層状化合物のみから構成されていた。
得られた無機質フィラー分散複合体の弾性率と熱変形温
度を表1に示す。
【0045】〔比較例2〕実施例2で使用したホモポロ
プロピレンと、層状化合物として合成スメクタイトをジ
ェットミルにて粉砕し、無機質フィラーの含有量が8.
5wt%になるように配合し、ヘンシェルミキサーでドラ
イブレンドしたブレンド物のみを押出機のホッパーから
30kg/hrで連続的に供給し、無機質フィラー分散複合
体を得た。その無機質フィラー分散複合体における分散
相の平均粒径は0.01μm、アスペクト比は3.8であ
った。また、分散相中への樹脂の混入分散は認められ
ず、分散相は無機層状化合物のみから構成されていた。
得られた無機質フィラー分散複合体の弾性率と熱変形温
度を表1に示す。
【0046】〔比較例3〕実施例1と同様にして、テト
ラシリシックマイカをキシレンにて無限膨潤した。そし
て、これを、予め加熱混合しておいたポリプロピレンと
多量のキシレンの混合溶液と混合し、キシレン溶媒を蒸
発除去して複合体を得た。
【0047】〔比較例4〕複合体全体に対して無機層状
化合物が73.5wt%となるようにしたこと以外は実施例
1と同様にして複合体を調製した。なお、プレスにてH
DT試料を作製したところ、平均値こそ120℃であっ
たが、ばらつきの大きいものであった。
【0048】
【表1】
【0049】表1から、本実施例の無機質フィラー分散
複合体(1〜6)であれば、従来からの方法では得られ
ない剛性と耐熱性に優れたものであることがわかる。こ
れに対し、分散相中に樹脂を含有しない比較例1〜4の
ものは、曲げ弾性率が小さく、剛性が低くなってしまっ
ている。また、分散相の平均粒径が10μmよりも大き
い比較例1のものであると、耐熱性が劣っている。ま
た、分散相のアスペクト比が4未満の比較例2のものも
耐熱性が劣っている。比較例3のものは、分散相は形成
されず、フィラー厚みが10〜40オングストローム、
長さが800オングストローム以上の繊維状フィラーの
連続相が形成されていた。比較例4のものは、分散不良
を起こしていた。
【0050】
【発明の効果】本発明の無機質フィラー分散複合体であ
ると、オングストロームレベルの微細な無機質フィラー
が、結晶性及び又はガラス転移温度が室温以上の非晶性
樹脂中に分散され、従来の無機質フィラー充填樹脂組成
物に比べて高い剛性および耐熱性を有する。特に、マト
リクス樹脂組成物としては制約がほとんどなく、多くの
用途で用いることができ汎用性が高い。また、製造工程
も簡易かつ容易であり、しかも特別な設備を要しないの
で、製造コストも安価である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の無機質フィラー分散複合体の模式図で
ある。
【図2】分散装置の一例を示す構成図である。
【図3】分散相の体積分率の求め方を説明するためのモ
デル図である。
【符号の説明】
1 分散相 2 マトリクス樹脂 10 押出機

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維状で、その厚さが10〜40オング
    ストローム、長さが300オングストローム以上の無機
    質フィラーからなる層状化合物と、該層状化合物の層間
    に混入した樹脂とからなる分散相が、マトリクス樹脂中
    に分散されていることを特徴とする無機質フィラー分散
    複合体。
  2. 【請求項2】 分散相は、その大きさが2乗平均径で1
    0μm以下、平均アスペクト比が4以上であることを特
    徴とする請求項1記載の無機質フィラー分散複合体。
  3. 【請求項3】 全複合体中における分散相中の無機質フ
    ィラーの含有量は0.1〜40vol%で、分散相中の樹脂
    の含有量は40vol%以下であることを特徴とする請求項
    1または2記載の無機質フィラー分散複合体。
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