JPH08309979A - インク噴射装置及びその製造方法 - Google Patents

インク噴射装置及びその製造方法

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JPH08309979A
JPH08309979A JP7118364A JP11836495A JPH08309979A JP H08309979 A JPH08309979 A JP H08309979A JP 7118364 A JP7118364 A JP 7118364A JP 11836495 A JP11836495 A JP 11836495A JP H08309979 A JPH08309979 A JP H08309979A
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ink
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curie temperature
piezoelectric material
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Yoshikazu Takahashi
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 大量生産性、信頼性に優れ、容易に電気的接
続が行えるインク噴射装置を提供すること。 【構成】キュリー温度T1を有する圧電材料からなる下
部圧電セラミックス層4と、前記キュリー温度よりも低
いキュリー温度T2を有する圧電材料からなる上部圧電
セラミックス層5とを積層一体焼結して圧電積層体20
とする。続いて、前記T1よりも低く、かつ前記T2よ
りも高い温度T3のオイル中にて、各層の積層方法に電
界を印加する。続いて、前記T2よりも低い温度T4の
オイル中にて、積層方向に前分極工程とは逆向きの電界
を印加する。これにより、下部圧電セラミックス層4と
上部圧電セラミックス層5とが逆向きの分極方向を有す
る圧電積層体20となる。この積層体20からなる圧電
セラミックスプレート2と、カバープレート3と、ノズ
ルプレートとからインク噴射装置1が構成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インク噴射装置および
その製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】今日、これまでのインパクト方式の印字
装置にとってかわり、その市場を大きく拡大しつつある
ノンインパクト方式の印字装置のなかで、原理が最も単
純で、かつ多階調化やカラー化が容易であるものとし
て、インクジェット方式の印字装置が挙げられる。なか
でも印字に使用するインク滴のみを噴射するドロップ・
オン・デマンド型が、噴射効率の良さ、ランニングコス
トの安さなどから急速に普及している。
【0003】ドロップ・オン・デマンド型として特公昭
53−12138号公報に開示されているカイザー型、
あるいは特公昭61−59914号公報に開示されてい
るサーマルジェット型がその代表的な方式としてある。
このうち、前者は小型化が難しく、後者は高熱をインク
に加えるためにインクの耐熱性に対する要求が必要とさ
れ、それぞれに非常に困難な問題を抱えている。
【0004】以上のような問題点を同時に解決する新た
な方式として提案されたのが、特開昭63−24705
1号公報に開示されている圧電セラミックスを利用した
せん断モード型である。
【0005】図11に示すように、上記せん断モード型
のインク噴射装置600は、底壁601、天壁602及
びその間のせん断モードアクチュエータ壁603からな
る。そのアクチュエータ壁603は、底壁601に接着
され、且つ矢印611方向に分極された下部壁607
と、天壁602に接着され、且つ矢印609方向に分極
された上部壁605からなっている。アクチュエータ壁
603は一対となって、その間にインク流路613を形
成し、且つ次の一対のアクチュエータ壁603の間に
は、インク流路613よりも狭い空間615を形成して
いる。
【0006】各インク流路613の一端には、ノズル6
18を有するノズルプレート617が固着され、各アク
チュエータ壁603の両側面には電極619,621が
金属層として設けられている。各電極619,621は
インクと絶縁するための絶縁層(図示せず)で覆われて
いる。そして、空間615に面している電極621はア
ース623に接続され、インク流路613内に設けられ
ている電極619はアクチュエータ駆動回路を与えるシ
リコン・チップ625に接続されている。
【0007】次に、このインク噴射装置600の製造方
法を説明する。まず、矢印611に分極された圧電セラ
ミックス層を底壁601に接着し、矢印609に分極さ
れた圧電セラミックス層を天壁602に接着する。各圧
電セラミックス層の厚みは、下部壁607、上部壁60
5の高さに等しい。次に、圧電セラミックス層に、平行
な溝をダイヤモンドカッティング円板の回転等によって
形成して、下部壁607、上部壁605を形成する。そ
して、真空蒸着によって下部壁607の側面に電極61
9を形成し、その電極619上に前記絶縁層を設ける。
同様にして上部壁605の側面に電極621を形成し、
その上に前記絶縁層を設ける。
【0008】上部壁605の天頂部と下部壁607の天
頂部とを接着してインク流路613と空間615とを形
成する。次に、ノズル618が形成されているノズルプ
レート617を、ノズル618がインク流路613と対
応するように、インク流路613及び空間615の一端
に接着し、インク流路613と空間615との他端をシ
リコン・チップ625とアース623とに接続する。
【0009】そして、各インク流路613の電極61
9、621にシリコン・チップ625が電圧を印加する
ことによって、各アクチュエータ壁603がインク流路
613の容積を増加する方向に圧電厚みすべり変形し
て、所定時間後電圧印加が停止されてインク流路613
の容積が増加状態から自然状態となってインク流路61
3内のインクに圧力が加えられ、インク滴がノズル61
8から噴射される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た構成のインク噴射装置600では、空間615に面し
ている電極619、621はアース623に接続され、
インク流路613内に設けられている電極619、62
1は、アクチュエータ駆動回路を与えるシリコン・チッ
プ625に接続されているが、その電気接続の具体的構
成および方法が開示されていない。そこで、例えば、、
上部壁605と下部壁607とを接着した後に、電極6
19と621とを電気的に接続するか、または電極61
9、621を別々にアクチュエータ駆動回路を与えるシ
リコン・チップ625に接続する必要があるが、どちら
の場合も工程に時間がかかり、大量生産性に劣るといっ
た問題点があった。
【0011】また、上部壁605と下部壁607とを接
着する際には、高精度な位置合わせとする必要があり、
これも大量生産性に劣る要因となる。また、現実には位
置合わせを行なっても、どうしても接合部で桁ズレが生
じてしまう。よって、作製されるインク噴射装置におい
て、耐久性及びインク噴射特性のばらつきが生じ易く、
歩留まりがよくなかった。
【0012】本発明は、上述した問題点を解決するため
になされたものであり、電極の取り出しが簡易で、且つ
信頼性の高い電気的接続が行えるインク噴射装置を提供
すると共に、前記インク噴射装置を容易に製造する、大
量生産性に優れたインク噴射装置の製造方法を提示する
ことを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に本発明のインク噴射装置は、インクが充填されたイン
ク液室と、前記インク液室を構成し、且つ分極された圧
電部で少なくとも一部が構成された側壁と、前記分極方
向と略直交する電界を前記圧電部に印加するために前記
側壁に形成された駆動電極とを有し、前記駆動電極より
印加される電界を受けて、圧電厚みすべり効果により前
記側壁が変形し、前記インク液室内のインクに圧力を与
えてインクを噴射するものであり、更に、前記側壁を構
成する圧電部が、キュリー温度の異なる2種類の圧電材
料を前記側壁の起立方向に積層してなり、前記2種類の
圧電材料が、その積層方向に平行な方向であって且つ互
いに相反する方向に分極されている。
【0014】尚、前記2種類の圧電材料は、焼結により
一体化されていてもよい。
【0015】上記目的を達成するために本発明のインク
噴射装置の製造方法は、インクが充填されたインク液室
と、前記インク液室を構成し、且つ分極された圧電部で
少なくとも一部が構成された側壁と、前記分極方向と略
直交する電界を前記圧電部に印加するために前記側壁に
形成された駆動電極とを有し、前記駆動電極より印加さ
れる電界を受けて、圧電厚みすべり効果により前記側壁
が変形し、前記インク液室内のインクに圧力を与えてイ
ンクを噴射するインク噴射装置を作製する方法であっ
て、キュリー温度Taを呈する第1の圧電材料と、それ
よりも値の大きいキュリー温度Tbを呈する第2の圧電
材料とを前記側壁の起立方向となる方向に積層して一体
化させた積層体を形成する工程と、前記積層体における
積層方向の両端面にそれぞれ電極板を密着させ、前記第
1の圧電材料のキュリー温度Ta以上で、且つ前記第2
の圧電材料のキュリー温度Tb未満の環境下において、
前記電極板間に電界をかけて前記第2の圧電材料を分極
させる工程と、前記第1の圧電材料のキュリー温度Ta
未満の環境下において、前記電極板間に前工程とは逆極
性の電界をかけて、前記第1の圧電材料を前記第2の圧
電材料の分極方向と相反する方向に分極させる工程と、
前記積層体に、積層方向を深さとし、下層に位置する圧
電材料にまでおよぶ溝部を形成する工程と、前記溝部の
少なくとも側壁面に導電性膜を形成する工程と、前記溝
部の開口部を覆うように、前記積層体の上層にカバープ
レートを接着する工程とを有する。
【0016】
【作用】上記の構成を有する本発明の請求項1に係るイ
ンク噴射装置おいては、側壁に隔てられた複数のインク
液室が形成されており、前記側壁を構成する圧電部が、
キュリー温度の異なる、2種類の圧電材料を前記側壁の
起立方向に積層して構成されている。尚、前記圧電部
は、2種類の圧電材料のキュリー温度の差を利用し、2
回の分極処理を行うことで、積層された層が積層方向に
平行で、かつ互いに相反する方向に分極されている。前
記分極方向と略直交する電界を発生するように前記圧電
部に形成された一対の駆動電極に電圧が印加されると、
前記圧電部の圧電厚みすべり効果により、前記側壁が変
形して、前記インク液室内のインクに圧力を与えてイン
クを噴射する。
【0017】請求項2に記載のインク噴射装置において
は、焼結により2種類の圧電素子が一体化されており、
両者は強固に結合される。よって、耐久性及び駆動精度
の高いアクチュエータとなり、このアクチュエータを備
えたインク噴射装置は高い印字品質を呈する。
【0018】上記構成を有する本発明の請求項3に記載
のインク噴射装置の製造方法においては、キュリー温度
Taを呈する第1の圧電材料と、それよりも値の大きい
キュリー温度Tbを呈する第2の圧電材料とを前記側壁
の起立方向となる方向に積層して一体化させた積層体を
形成し、前記積層体における積層方向の両端面にそれぞ
れ電極板を密着させ、前記第1の圧電材料のキュリー温
度Ta以上で、且つ前記第2の圧電材料のキュリー温度
Tb未満の環境下において、前記電極板間に電界をかけ
て前記第2の圧電材料を分極させる。加えて、前記第1
の圧電材料のキュリー温度Ta未満の環境下において、
前記電極板間に前工程とは逆極性の電界をかけて、前記
第1の圧電材料を前記第2の圧電材料の分極方向と相反
する方向に分極させる。その後、前記積層体に、積層方
向を深さとし、下層に位置する圧電材料にまでおよぶ溝
部を形成し、前記溝部の少なくとも側壁面に導電性膜を
形成する。そして、前記溝部の開口部を覆うように、前
記積層体の上層にカバープレートを接着することにより
インク噴射装置が作製される。
【0019】この手法では、2種類の圧電シートに対し
て、キュリー温度の差を利用し、2回の分極処理を行う
ことで、積層された層が積層方向に平行で且つ互いに相
反する方向に分極を容易に行なうことができる。また、
一体化した積層体にインク室となる溝の加工を行なうた
め、各層にて桁ズレが生じない。また、桁ズレが無いた
め駆動電極の形成が容易であると共に、電気的接続が上
下の圧電層で確実なものとなる。
【0020】
【実施例】以下、本発明を具体化した一実施例を図面を
参照して説明する。
【0021】図1に示すように、インク噴射装置1は圧
電セラミックスプレート2とカバープレート3と図示し
ないノズルを有するノズルプレート(図示せず)とから
構成されている。
【0022】その圧電セラミックスプレート2は、下部
圧電セラミックス層4と上部圧電セラミックス層5とを
積層してなり、その圧電セラミックプレート2の積層方
向を深さとし、図中上方より下部圧電セラミックスプレ
ート4にまでおよぶ複数の溝が形成されて、複数の側壁
11にが設けられている。
【0023】下部圧電セラミックス層4及び上部圧電セ
ラミックス層5は、強誘電性を有するチタン酸ジルコン
酸鉛系(PZT)の圧電セラミックス材料で形成されて
おり、それぞれ図中矢印6、7で示すように、積層方向
で且つ互いに相反する方向に分極されている。
【0024】また、側壁11に隔てられた溝は、複数の
噴射溝12と、非噴射溝13とに交互に分類される。噴
射溝12の内表面には接地電極10が、また、非噴射溝
13の内表面には駆動電極9が形成されている。尚、前
記駆動電極9を噴射溝12毎に電気的に分離するため
に、非噴射溝13の底部に分離溝14が形成されてい
る。
【0025】上記圧電セラミックスプレート2の製造方
法を図2乃至図8を用いて以下に説明する。
【0026】まず、下部圧電セラミックス層4を構成す
る圧電材料として、キュリー温度T1、例えば250℃
を有するチタン酸ジルコン酸鉛系(PZT)の圧電材料
と、上部圧電セラミックス層5を構成する圧電材料とし
て、前記キュリー温度T1よりも低いキュリー温度T
2、例えば100℃を有するPZTの圧電材料とを用意
し、それらをそれぞれドクターブレード法、スクリーン
印刷法などの手法を用いて、所定の厚さのシート状に成
形する。そして、図2に示すように、成形された圧電材
料からなる2枚の圧電シートを積層し、加圧圧着、脱
脂、および焼結工程を経て一体焼結体である圧電積層体
20とする。尚、この段階では下部圧電セラミックス層
4と上部圧電セラミックス層5との自発分極方向はラン
ダムであり、圧電特性を有さない。尚、ここでいうキュ
リー温度とは、圧電セラミックスがその温度以上では強
誘電性を失う温度のことである。
【0027】次に、得られた圧電積層体20の上下両面
に、図3に示すように、分極用電極15を焼付法、スパ
ッタ法、蒸着法等の既知の方法にて形成する。続いて、
図4に示すように前記キュリー温度T1よりも低く、且
つ前記キュリー温度T2よりも高い温度T3、例えば1
50℃である図示しないシリコンオイルなどの絶縁オイ
ル中にて分極処理を行なう。分極処理は、前記分極用電
極15を介して上部圧電セラミックス層5、および下部
圧電セラミックス層4に10〜35kV/cm程度の電
界を印加する。このとき、上部圧電セラミックス層5
は、キュリー温度T2以上であるため、電界の印加によ
り分極されることはなく、下部圧電セラミックス層4だ
けが図中矢印6方向に分極される。
【0028】続いて、図5に示すように、前記キュリー
温度T2よりも低い温度T4、例えば50℃である図示
しない絶縁オイル中にて、前記分極用電極15を介して
上部圧電セラミックス層5、および下部圧電セラミック
ス層4に前記分極工程とは逆向きの10〜35kV/c
m程度の電界を印加する。このとき、上部圧電セラミッ
クス層5は、電界の印加により矢印7の方向に分極され
るが、下部圧電セラミックス層4は抗電界が高いため低
温では分極反転がほとんど起こらず矢印6の方向の分極
が残る。
【0029】以上に示した温度設定の異なる2回の分極
処理により、下部圧電セラミックス層4と上部圧電セラ
ミックス層5とが逆向きの分極方向を有する圧電積層体
20となる。尚、分極処理完了後には分極用電極14を
研削加工により除去する。
【0030】次に、前記積層体20は、ダイヤモンドブ
レード等により切削加工され、例えば深さ300μm、
幅50μmの複数の溝22が形成され、図6に示す圧電
セラミックスプレート2となる。また、その溝11の側
面となる側壁11は、例えば幅60μmである。溝22
の内面には、図6に示すように、電極23が、スパッタ
リング、蒸着、メッキ等によって形成される。そして、
図8に示すように、溝22は、交互に並ぶ噴射溝12と
非噴射溝13とに分類され、また、電極23も、噴射溝
12内部の電極23は接地電極10となり、非噴射溝1
3内部の電極23は駆動電極9となる。また、非噴射溝
13の底部に、前記非噴射溝13よりも幅が狭い、例え
ば30μmの分離溝14をダイヤモンドブレード等によ
り切削加工し、前記駆動電極9を対応する噴射チャンネ
ル(噴射溝)毎に電気的に分離する。
【0031】そして、カバープレート3をエポキシ系接
着剤等を用いて前記圧電アクチュエータ2の溝の開口部
に接合し、図示しないノズルを有する図示しないノズル
プレートを前記噴射溝12長手方向の一端面に接合する
ことで、図1に示したインク噴射装置1が得られる。
【0032】次に、制御部のブロック図を示す図9によ
って、本実施例の制御部の構成を説明する。同図に示す
ように、前記インク噴射装置1の駆動電極9と接地電極
10は、各々個々にLSIチップ51に接続され、クロ
ックライン52、データライン53、電圧ライン54及
びアースライン55もLSIチップ51に接続されてい
る。尚、全ての接地電極10はアースライン55に接続
されている。LSIチップ51は、クロックライン52
から供給された連続するクロックパルスに基づいて、デ
ータライン53上に現れるデータから、どの噴射溝12
からインク液滴の噴射を行うべきかを判断する。そし
て、LSIチップ51は、駆動する噴射溝12に対応す
るの駆動電極9に、電圧ライン54の電圧Vを印加し、
前記噴射溝12以外の噴射溝12に対応する駆動電極9
にアースライン55を接続して接地する。
【0033】次に、本実施例によるインク噴射装置1の
動作を図10を用いて説明する。図10に示す噴射溝1
2bからインク液滴を噴射するために、当噴射溝12b
に対応する駆動電極9c、9dに対し電圧を印加する
(ここで、ある駆動電極9に対して電圧を印加すること
は、その駆動電極9に電圧を印加し、指示しない駆動電
極9を接地することを言う)。すると、側壁11c、1
1dには矢印24、25方向の電界が発生し、側壁11
c、11dが圧電厚みすべり効果により、噴射溝12b
の容積が増大する方向にに動く。すると、噴射溝12b
内の圧力が減少する。これにより、噴射溝12b内に図
示しないインク供給源から図示しないマニホールドを介
してインクが供給される。
【0034】次に、前記駆動電圧9への電圧の印加が除
去されると噴射溝12bの容積を前記増加状態から自然
状態へと減少させ、噴射溝12b内の圧力が増加する。
これにより噴射溝12b内のインクがインク液滴となり
図示しないノズルから噴射される。
【0035】また、前記実施例においては、まず、駆動
電圧を噴射溝12の容積が増加する方向に印加しインク
を供給し、次に駆動電圧の印加を停止し噴射溝12の容
積を自然状態に減少して噴射溝12からインク液滴を噴
射していたが、まず駆動電圧を噴射溝12の容積が減少
するように印加して噴射溝12からインク液滴を噴射し
てから、駆動電圧の印加を停止して、噴射溝12の容積
を前記減少状態から自然状態へと増加させ、噴射溝12
内にインクを供給してもよい。
【0036】上述したように、本実施例の製造方法によ
るインク噴射装置1においては、圧電厚みすべり効果の
変形をする側壁11が、キュリー温度の異なる、2種類
の圧電材料を前記側壁11の起立方向に積層し、焼結し
て一体化された構成をとっている。よって、耐久性及び
駆動精度の高いアクチュエータとなり、このアクチュエ
ータを備えたインク噴射装置は高い印字品質を呈する。
【0037】更に、本実施例では、それぞれの圧電セラ
ミックス層を、キュリー温度の差を利用し、2回の分極
処理を行うことで、その2種類の圧電材料が互いに相反
する方向に分極している。よって、最小限の工程で、各
層の分極特性を侵すことなく、確実な分極が成される。
【0038】また、本実施例では、焼結一体化された圧
電積層体20に対して溝加工を行なうことで、インク液
室となる噴射溝12及び空気室となる非噴射溝13とを
形成する。よって、側壁11は、各層の接合面で桁ズレ
を起こすことなく、高い寸法精度を形成できる。
【0039】更に、本実施例では、その寸法精度の高い
側壁11に電極23を形成するため、上部圧電セラミッ
クス層5と下部圧電セラミックス層4とで電極が分離す
ることなく、従来例に比べて電極の取り出しが簡易で、
且つ電気的接続の信頼性が高い圧電セラミックスプレー
ト2を容易に作製できる。
【0040】即ち、本実施例の製造方法は、従来あった
圧電材料の位置合わせや、内部電極の形成、その電極の
取り出し等の問題を解消するものであり、大量生産性に
優れている。
【0041】また、上記実施例においては、噴射溝12
内に形成された全ての電極が常に接地されており、各噴
射溝12との間に電圧差が生じることが無い。よって、
インクに電界がかからず、電気的効果による噴射溝12
内のインクの変質や接地電極10の劣化を引き起こすこ
とが無い。ひいては、接地電極10に従来設けていた絶
縁層を形成する必要もなくなる。尚、上記駆動方法を取
らなくとも、本発明の主旨には影響しない。例えば、従
来例のように、常に全ての非噴射溝13に形成した電極
を接地し、平常は全ての噴射溝12内に形成した電極1
25を接地し、印刷時には所望の噴射溝12の電極に電
圧Vをかけるものでもよい。
【0042】
【発明の効果】上述したように、本発明によるインク噴
射装置の製造方法では、2層の圧電シートに対して、容
易に確実な分極を行なうことができる。また、一体化し
た積層体にインク室となる溝の加工を行なうため、各層
にて桁ズレが生じない。また、桁ズレが無いため駆動電
極の形成が容易であると共に、電気的接続が上下の圧電
層で確実なものとなる。よって、大量生産性に優れる。
【0043】また、作製されたインク噴射装置は、電気
的接続の信頼性が向上すると共に、耐久性に優れ、噴射
特性のばらつき等の不具合を生じない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例のインク噴射装置の構成を示す
断面図である。
【図2】同インク噴射装置の製造工程を示す斜視図であ
る。
【図3】同インク噴射装置の製造工程を示す斜視図であ
る。
【図4】同インク噴射装置の分極工程を示す断面図であ
る。
【図5】同インク噴射装置の分極工程を示す断面図であ
る。
【図6】同インク噴射装置の製造工程を示す断面図であ
る。
【図7】同インク噴射装置の製造工程を示す断面図であ
る。
【図8】同インク噴射装置の製造工程を示す断面図であ
る。
【図9】本発明の実施例のインク噴射装置の制御部を示
すブロック図である。
【図10】同インク噴射装置の動作を示す説明図であ
る。
【図11】従来例のインク噴射装置を示す図である。
【符号の説明】
1 インク噴射装置 2 圧電セラミックスプレート 3 カバープレート 4 下部圧電セラミックス層 5 上部圧電セラミックス層 6 分極方向 7 分極方向 9 駆動電極 10 接地電極 11 側壁 12 噴射溝(インク液室) 13 非噴射溝 24 電界方向 25 電界方向

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インクが充填されたインク液室と、前
    記インク液室を構成し、且つ分極された圧電部で少なく
    とも一部が構成された側壁と、前記分極方向と略直交す
    る電界を前記圧電部に印加するために前記側壁に形成さ
    れた駆動電極とを有し、前記駆動電極より印加される電
    界を受けて、圧電厚みすべり効果により前記側壁が変形
    し、前記インク液室内のインクに圧力を与えてインクを
    噴射するインク噴射装置において、 前記側壁を構成する圧電部が、キュリー温度の異なる2
    種類の圧電材料を前記側壁の起立方向に積層してなり、 前記2種類の圧電材料が、その積層方向に平行な方向で
    あって且つ互いに相反する方向に分極されていることを
    特徴とするインク噴射装置。
  2. 【請求項2】 前記2種類の圧電材料は、焼結により一
    体化されていることを特徴とする請求項1に記載のイン
    ク噴射装置。
  3. 【請求項3】 インクが充填されたインク液室と、前記
    インク液室を構成し、且つ分極された圧電部で少なくと
    も一部が構成された側壁と、前記分極方向と略直交する
    電界を前記圧電部に印加するために前記側壁に形成され
    た駆動電極とを有し、前記駆動電極より印加される電界
    を受けて、圧電厚みすべり効果により前記側壁が変形
    し、前記インク液室内のインクに圧力を与えてインクを
    噴射するインク噴射装置の製造方法において、 キュリー温度Taを呈する第1の圧電材料と、それより
    も値の大きいキュリー温度Tbを呈する第2の圧電材料
    とを前記側壁の起立方向となる方向に積層して一体化さ
    せた積層体を形成する工程と、 前記積層体における積層方向の両端面にそれぞれ電極板
    を密着させ、前記第1の圧電材料のキュリー温度Ta以
    上で、且つ前記第2の圧電材料のキュリー温度Tb未満
    の環境下において、前記電極板間に電界をかけて前記第
    2の圧電材料を分極させる工程と、 前記第1の圧電材料のキュリー温度Ta未満の環境下に
    おいて、前記電極板間に前工程とは逆極性の電界をかけ
    て、前記第1の圧電材料を前記第2の圧電材料の分極方
    向と相反する方向に分極させる工程と、 前記積層体に、積層方向を深さとし、下層に位置する圧
    電材料にまでおよぶ溝部を形成する工程と、 前記溝部の少なくとも側壁面に導電性膜を形成する工程
    と、 前記溝部の開口部を覆うように、前記積層体の上層にカ
    バープレートを接着する工程とを有することを特徴とす
    るインク噴射装置の製造方法。
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