JPH0831037B2 - 知識ベースを用いた推論方法 - Google Patents

知識ベースを用いた推論方法

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JPH0831037B2
JPH0831037B2 JP61169518A JP16951886A JPH0831037B2 JP H0831037 B2 JPH0831037 B2 JP H0831037B2 JP 61169518 A JP61169518 A JP 61169518A JP 16951886 A JP16951886 A JP 16951886A JP H0831037 B2 JPH0831037 B2 JP H0831037B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は知識ベースを用いた推論方法に関し、特に曖
昧な知識を用いた、信頼性の高い診断・制御システムの
構築に好適な、知識ベースを用いた推論方法に関する。
〔従来の技術〕
従来の、曖昧な知識を用いた推論方法は、例えば、
「計測と制御」vol.22,No.9(1983)pp.774〜779におい
て論じられているように、MYCINの方法,主観的Bayesの
方法,Cempster & Shaper理論に基づく方法,ファジー
論理に基づく方法等が知られている。
これらの方法は、いずれも、人間の持つ曖昧な知識
を、確信度,確率,メンバシップ関数等を用いることに
より、利用可能としたものであり、これにより、人間の
思考形態に類似した推論を行うことが可能になってい
る。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかし、上記従来技術は、以下の点に関して配慮がな
されていないという問題がある。
第1の問題は、否定,肯定の確信度(曖昧さ)の取扱
いができないことである。人間は、事象の成立判定を行
う際に、その事象が成立しないか成立するかの“0"から
“1"までの1つの確率尺度で曖昧さを処理しているので
はなく、少なくとも、事象の成立に関する尺度,事象の
不成立に関する尺度を、それぞれ別々に処理し推論を行
う。
これは、次の例で明らかにできる。
事象の成立,不成立を、“0"〜“1"の確率で表わすと
する。ある曖昧な知識を用いて、事象Aが「あまり成立
しそうもない」ことが判明したとき、事象Aに対して、
例えば、0.2の確率を与える。
また、別の知識を用いて、同様の結果が得られたとす
る。この場合、事象Aの確率は、 1−0.8×0.8=0.36 となり、直観に合わない。これは、確率の“0"を不成立
としたことに起因している。
上述の直観からのずれをなくすために、前述のMYCIN
の方法では、不成立〜成立を、−1〜1にマッピング
し、−1〜0,0〜1の区間内で、それぞれ確率論に基づ
く計算を行っている。例えば、事象Aがあまり成立しそ
うもないとき、−0.2とすると、このような結果がもう
一度得られたとき、−0.36となり、直観に合致する。
主観的Bayesの方法,Fuzzy(ファジー)理論は0〜1
の尺度であるが、上述の直観からのずれをなくすため、
異なる知識を用いて同じ事象が導かれても、その事象の
確率,メンバシップ値を、MAX演算子で結合している。
しかし、事象Aの確率が、異なる知識を用いて、0.8,0.
9と得られた場合でも、MAX(0.8,0.9)=0.9となり、別
の意味で直観からずれている。
Dempster & Shaper理論に基づく方法は、無知量を扱
えるものの、規則の条件部,結論部が事象の集合で表わ
せない場合、不成立を“0"、成立を“1"とした確率論に
基づく計算と同じになり、直観からのずれを避けられな
い。
このように、MYCINの方法以外の、従来の曖昧推論法
では、否定,肯定の曖昧さを、人間の直観と合致するよ
うに扱うことはできない。
また、MYCINの方法においても、ある事象を別々の知
識を用いて推論した結果が、それぞれ+0.8,−0.5とな
った場合、この事象の確信度を、 0.8+(−0.5)=0.3 の如く計算して、1つの尺度で表現してしまう。
つまり、否定,肯定の2つの尺度を持っているわけで
はなく、結局、−1〜1の1つの尺度で表現してしまう
という問題があり、実質的には、否定,肯定の確信度を
取扱うことはできない。
第2の問題は、曖昧さを取扱う推論システムにおける
曖昧知識の正当性,信頼性確保のための配慮不足であ
る。
0,1の2値で真偽を表わす論理に比較して、曖昧さを
取扱う推論においては、知識の正当性,信頼性に関する
保証が非常に困難である。
しかし、逆に、曖昧さを用いることにより、曖昧知識
を用いた推論の正当性,信頼性を向上させることができ
る。
従来の推論システムにおいては、この曖昧性を用い
た、正当性,信頼性の向上に関して全く配慮されておら
ず、曖昧推論システムを用いた制御システムの、安全性
を要求される分野への適用の大きな障害になっていた。
他方の、従来の推論システムにおいては、知識ベース
の意味的なチェックが行われないため、知識ベースシス
テムの安全性には、問題があるとされていたという状況
がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的
とするところは、従来の知識ベースを用いた推論方式に
おける上述の如き問題を解消し、知識ベースシステムの
信頼性を向上させ、安全性を要求される分野への適用を
可能にした、知識ベースを用いた推論方法を提供するこ
とにある。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明の上記目的は、確信度付きの規則等の形で表わ
された知識ベースを用いて、制御対象の状態を分析し
て、前記制御対象を制御するシステムにおいて、前記制
御対象を制御するための推論過程において導き出される
事象に対して、該事象が成立しない確信度である否定の
確信度および前記事象が成立する確信度である肯定の確
信度を記憶しておき、前記事象に対して、前記否定の確
信度および肯定の確信度の両者を用いて推論の結果を導
き出すとともに、推論の結果に関する結論事象の確信度
については、推論した結果を反映して記憶された前記否
定の確信度および肯定の確信度を更新することを特徴と
する知識ベースを用いた推論方法によって達成される。
〔作用〕
本発明に係る知識ベースを用いた推論方法において
は、推論過程で導かれる各事象について、否定,肯定の
2つの尺度での曖昧さを保持すること、および、それぞ
れの尺度を独立に用いた推論が可能となるので、人間の
思考形態により近い曖昧推論を実現できることになる。
この結果、人間の持つ曖昧な知識を計算機に容易に移植
可能となる。
また、否定,肯定の2つの尺度を用いて独立に推論を
行う過程において、推論により導かれる各事情の、否
定,肯定の各尺度で表わされる曖昧さに、いずれの値も
大きい等の矛盾がないかを、常に監視するとともに、監
視の結果、矛盾が検知された場合、知識ベース構築時で
あれば、該矛盾を生じさせた知識を知識ベース構築者に
知らせるようにすることにより、知識ベース自身の信頼
性を向上させることができる。
なお、本発明に係る知識ベースを用いた推論方法を応
用すればある状況において、導くことができる事象と、
導くことができない事象との双方を知ることができ、あ
る事象が双方に属している場合、これを矛盾とみなすこ
とにより、知識ベースシステムの持つ矛盾を容易に検出
することができるようになる。
これにより、制御システム等で、実操業中に矛盾が検
知された場合、オペレータに警告を発するとともに、矛
盾を検知した事象に関する一切の推論を行わないように
することにより、矛盾のある事象を用いて誤った推論結
果を出力することを避けることができる。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明す
る。
第1図は本発明の一実施例を示す曖昧推論システムの
構成図である。本実施例は、プロセス工場内に設置され
ている各種センサ情報と、確信度付きルールの形で表わ
された知識を用いて、プロセスの状態を1つの観点に基
づいて推論し、オペレータに知らせるシステムである。
本システムには、2つの使用形態がある。
1つは、知識ベース構築者が、プロセカ診断に用いる
知識を計算機に入力し、その正当性を検証する使用形態
である。また、他の1つは、知識ベース構築者が作成し
た知識ベースを用いて、プロセスの状態を推論し、推論
結果に基づいて、プロセスのオペレータが制御指示を出
すという使用形態である。
知識ベース構築者は、コンソール1により、知識ベー
スを作成し、作成した知識ベースによる推論結果を基
に、知識ベースを修正する。
プロセスのオペレータは、コンソール2より、知識ベ
ース構築者により作成された知識ベースによる推論結果
を得、これに基づいてプロセスの制御指示を出す。
以下、詳細な説明を行う前に、本システムにおける、
ルール記述,事象の確信度,確信度計算方法について説
明する。
まず、ルール記述について説明する。曖昧な知識は、
第1図に示した知識ベース5に格納されており、第2図
に示す如く、確信度付きのルール20で表わされている。
1つのルールは、ルール名称21,条件部22,結論部23,
“0"より大きく、“1"以下の確信度24から構成される。
例えば、ルール20は、A,B,Cの事象が正しいならば、D
の事象が正しいことを0.8の確からしさで判定できると
いう知識を表わしている。
各事象の前に、“−”記述がある場合、不定事象を表
わす。例えば、ルール25は、B,Eの事象が偽であるなら
ば、Dの事象も偽であることを0.5の確からしさで判定
できるという知識である。このルールを用いて、事象の
確信度を導き出すことができる。
次に、事象の確信度について説明する。事象の確信度
は、否定,肯定の2つの尺度で表わされ、事象Aの否定
の確信度はCfneg(A)、肯定の確信度はCfpos(A)で表わ
し、その値域は“0"以上、“1"以下である。
例えば、Cfneg(A)=0.8であることは、事象Aが成立
していないことを0.8の確からしさで判定できることを
示しており、Cfpos(A)=0.5であることは、事象Bが成
立していることを0.5の確からしさで判定できることを
示している。この各事象の確信度は、第1図に示したワ
ーキングメモリ6に保持される。
次に、確信度計算方法について、第3図を用いて説明
する。
ルールを記述40に示す如く、条件部が条件事象列41,
結論部が結論事象列42で構成されており、このルール自
身の確信度がCfr43であるとする。
条件事象,結論事象は、先に第2図に示した、A,B,C
や−B,−E,−Dであり、“−”記号の付いた事象(「負
の事象」と呼ぶ)と、“−”記号の付かない事象(「正
の事象」と呼ぶ)から成っている。
Cf(条件部)44はルールの条件部が、どの程度満足さ
れたかを表わす値であり、第3図に示した式45で示され
る如く、Cf(条件事象i)のmin値である。
Cf(条件事象i)の値は、第3図に示した式46で示さ
れる如く、負の事象、すなわち、“−”記号の付いた事
象であればCfneg(条件事象i)、正の事象、すなわ
ち、“−”記号の付かない事象であればCfpos(条件事
象i)である。
例えば、IF A,−B,C THEN……のルールのCf(条件
部)は、 min(Cfpos(A),Cfneg(B),Cfpos(C))で表わされる。上記C
fpos(A),Cfneg(B)およびCfpos(C)が、それぞれ、0.3,
0.5および0.2であった場合、Cf(条件部)は0.2とな
る。
Cf(結論部)47は第3図に示した式48で示される如
く、結論部に記述されている結論事象に対する、ルール
40を用いて推論を行った場合の確からしさである。結論
事象の確信度は、この値によって、式49に示される如
く,確率論に基づき更新される。式49において、C
fneg,Cfposは、このルールを用いて推論を行う直前の
否定,肯定の確信度であり、これらは、Cf′neg,Cf′
posで表わされる値に更新される。
第4図に具体例を示した。第1図に示したワーキング
メモリ6の現在の値が、表50で表わされているとする。
この状況において、ルール51を用いて推論を行うと、式
52,53により、Cf(結論部)=0.24が得られる。次に、
式54,55により、Cfpos(D)が0.468,Cfneg(E)が0.772とな
り、上述のワーキングメモリ6の内容は、表56に示され
る如く、それぞれ、0.468,0.772に更新される。
第1図に戻り、本実施例のシステムの機能を詳細に説
明する。
プログラム7,8,9は、それぞれ、否定の確信度のみを
用いる推論機構,肯定の確信度のみを用いる推論機構,
否定の確信度および肯定の確信度の両方を用いる推論機
構である。これらの推論機構は、知識ベース5に格納さ
れている確信度付きルールを用いて推論を行い、推論過
程で導き出される事象を、ワーキングメモリ6に記憶す
る。つまり、知識ベース5には、第2図に示したルール
群が記憶されており、ワーキングメモリ6には、推論に
より導かれた各事象の否定,肯定の確信度が第4図に示
した表50の如く記憶されている。
プログラム10は、プロセス工場11に設置してある各種
センサ情報を収集する。上述の各推論機構7,8,9は、推
論において必要となるセンサ情報を、プログラム10から
知ることができる。
以下、プログラム7,8,9について説明する。
プログラム7は、否定の確信度のみを用いる推論機構
であり、その処理フローチャートを第5図に示す。
まず、ワーキングメモリ6をクリアし、すべての事象
に関する確信度を消去する(ステップ60)。次に、知識
ベース5から、負の事象のみから成るルールのみを読出
し、記憶する(ステップ61)。負の事象のみから成るル
ールとは、例えば、 IF−A,−B THEN −C with 0.8 の如く、条件部,結論部を構成するすべての事象が、
“−”記号の付いた事象であるルールである。
但し、センサデータに関する事象は、正事象であって
も良い。例えば、 IF(センサ01の値が65.2以上),−B,−C THEN…… のルールの第1番目の条件の事象: センサ01の値が65.2以上 は、正事象であるが、センサデータに関する事象である
ため、このルールも選択される。
次に、選択されたルール中に現われるセンサデータに
関する事象の真偽を、プログラム10に問合せる(ステッ
プ62)。この値は、真・偽(1,0)の2値である。
すべてのルールのCf(結論部)を第3図に示した式47
により算出し、 未実行、かつ、Cf(結論部)>0 であるルールを選択し(ステップ63)、結論部に記され
ている負事象の確信度を、第3図に示した式49により更
新し、ワーキングメモリ6に記憶する(ステップ64)。
これを、未実行、かつ、Cf(結論部)>0のルールがな
くなるまで行う。
上述の推論機構により、ワーキングメモリ6には、事
象の否定の確信度のみが記憶されることになる。
プログラム8は、肯定の確信度のみを用いる推論機構
である。その処理フローチャートは、第5図のステップ
61を、「知識ベースより、正事象とセンサデータに関す
る事象のみから成るルールを読出す」に変えたものであ
る。つまり、プログラム8では、 IF−(センサ01の値が65.2以上),B,C THEN…… の如く、センサデータに関する事象と正事象のみから成
るルールのみを用いて推論を行う。この推論により、ワ
ーキングメモリ6に記憶される情報は、事象の肯定の確
信度のみとなる。
プログラム9は、否定,肯定の確信度の両方を用いる
推論機構である。その処理フローチャートは、第5図の
ステップ61を、「知識ベースより、すべてのルールを読
出す」に変えたものである。つまり、プログラム9で
は、 IF −A,B,−C THEN −D…… の如く、正,負事象が混在するルールを含めて、すべて
のルールを用いて推論を行う。この推論によりワーキン
グメモリ6に記憶される情報は、事象の肯定および肯定
の確信度である。
以上、各推論方式について説明したが、次に、本曖昧
推論システムの、メインプログラムであるプログラム3,
4について説明する。
プログラム3は、知識ベース構築者との対話を行い、
プログラム7,8,9を用いて、推論を指示し、ワーキング
メモリ6の内容を知識ベース構築者に知らせるととも
に、ワーキングメモリ6の各事象の否定,肯定の確信度
を監視し、矛盾を検知した場合、矛盾を発生させたルー
ルを表示するとともに、推論の一時停止を指示する。
第6図にこの処理のフローチャートを示す。
まず、否定の確信度のみを用いる推論,肯定の確信度
のみを用いる推論,否定の確信度および肯定の確信度の
両方を用いる推論のいずれかを問合せる(ステップ7
0)。
否定の確信度のみを用いる推論の場合は、プログラム
7に起動をかけ(ステップ71,72)、推論が終了するま
で待ち(ステップ75)、ワーキングメモリ6の内容を表
示する(ステップ83)。
肯定の確信度のみを用いる推論の場合も、同様にプロ
グラム8に起動をかけ(ステップ73,74)、終了するま
で待ち(ステップ75)、結果を表示する(ステップ8
3)。
否定の確信度,肯定の確信度の両方を用いる推論で
は、まず、矛盾と判断する基準値を問合せる(ステップ
76)。本システムでは、事象Aの矛盾度Cn+r(A)を、 Cn+r(A) =max(Cfneg(A)+Cfpos(A)−1,0) としている。これは、第7図(A)に示す折れた平面90
となる。この関数は、第7図(B)に示す91の部分が
“0"、92の部分が“0"以上“1"以下の値をとり、Cf
neg(A)=1,Cfpos(A)=1のとき、Cn+r(A)=1となり、
最大値をとる。つまり、Cfneg(A)=1,Cfpos(A)=1のと
き、最大の矛盾と判定する。
前記ステップ76では、この式で算出される矛盾度がい
くつ以上になった場合を、矛盾と判定するかを問合せて
いるものである。次に、プログラム9に起動指示を行い
(ステップ77)、推論中、常にCn+r(・)を、ワーキン
グメモリ6内のすべての事象について監視し(ステップ
78,79)、Cn+r(・)がステップ76で指示された値より
大きい場合、プログラム9に一時停止を指示し、矛盾を
検知した事象、および、この事象を導き出したルールを
表示し(ステップ80)、推論を再開するか否かを問合せ
る(ステップ81)。
再開する場合は、プログラム9に再開指示を与え(ス
テップ82)、ステップ78からの処理を行う。終了の場合
は、ワーキングメモリ6の内容を表示し(ステップ8
3)、終了する。
次に、プロセスのオペレータとの対話および推論管理
を行うプログラム4について説明する。プログラム4
は、基本的には、第6図に示した処理フローチャートと
同じ処理を行う。
異なる部分は、ステップ78で矛盾を検出したときの処
理80〜82である。プログラム4では、ステップ78で矛盾
を検出した場合、ステップ80〜82ではなく、「矛盾が発
生した事象名を警告として表示し、プログラム9に記憶
されているルールの中で、矛盾となる事象に関係するル
ールを探し出して、すべて消去し、プログラム9に推論
再開を指示する」という処理を行う。
本実施例によれば、プラント診断において用いる曖昧
な知識の構築を効率良く行うことができ、その信頼性も
高い。また、曖昧な知識を用いて実操困業において診断
を行う際、現在、何が起きており、何が起ていないかを
知ることができるとともに、曖昧推論中に矛盾が発生し
た場合でも、信頼性のある推論結果を得ることができ、
安定性を高めることができるという効果がある。
第8図は本発明に係る知識ベースを用いた推論方法の
応用例を示す推論システムの構成図である。本実施例
は、プロセス工場内に設置されている各種センサ情報
と、相補性知識ベース内の知識とを用いて、プロセスの
状態を推論し、オペレータに知らせるシステムである。
本システムにも、2つの使用形態がある。
1つは、知識ベース構築者が、規則の形で知識を計算
機に入力し、その正当性を検証し、知識の修正,教加を
行う使用形態、他の1つは、知識ベース構築者により作
成された知識ベースと、プロセス工場からのセンサ情報
とを用いて、行うべき制御操作を推論し、これにより、
プロセスコントロールを自動的に行うという使用形態で
ある。
知識ベース構築者は、コンソール1により、行うべき
制御操作を導く知識ベース12と、行ってはならない制御
操作を導く知識ベース14とを入力する。相補性チェック
機構13は、上記知識ベース12が「行うべき制御操作を導
く知識ベース」として適切か否か、また、上記知識ベー
ス14が「行ってはならない制御操作を導く知識ベース」
として適切か否か、を判定するとともに、それら2つの
知識ベースが相補的になっているか否かを検証し、相補
性を満たさない事象を、警告とともにモニタとしてのコ
ンソール1に出力する。
第9図にルールの表現方法を示す。基本的な構成は、
先に第2図に示したものと同じであり、ここでは、
(A)に示す如き、行うべき制御操作(D)を示す肯定
的ルールと、(B)に示す如き、行ってはならない制御
操作()を示す否定的ルールとがあることを示してい
るものである。
前述の知識ベース12には、上記(A)に示した如き結
論部にXの記載がない肯定的ルールのみが、また、知識
ベース14には、上記(A),(B)に示した両方の形の
ルールが記述される。
次に、相補性チェック機構について、第10図を用いて
説明する。
知識ベース12のルール記述にの事象が存在するか否
かをチェックし(ステップ30)、存在する場合、このル
ールは知識ベース14に記述すべきであるので、メッセー
ジ「知識ベース12にのルールが存在する」を出力し
(ステップ31)、終了する。次に、結論部に記述されて
いる事象で、かつ、条件部に記述されていない事象を探
し、結論事象とする(ステップ32)。
ステップ32で得られた結論事象が、すべて制御操作で
あるか否かをチェックし(ステップ33)、制御操作でな
いものが存在した場合、その事象は無意味な中間事象で
あるため、メッセージ「制御操作の推論に結び付かない
事象が存在する」を出力し(ステップ34)、終了する。
以上の処理により、知識ベース12が、「行うべき制御
操作を導く知識ベース」として適切かどうかを判定する
ことができる。
ステップ35〜37では、知識ベース14について、上と同
様のチェックを行っている。
ステップ38は、知識ベース12と同14との相補性を調べ
る処理であり、ステップ32および同35で得られた、それ
ぞれの知識ベースの結論事象の集合において、片方の集
合のみにしか属さない事象を非相補事象として出力する
(ステップ39)。非相補事象がない場合は、メッセージ
「OK」を出力し終了する。
以上説明した相補性チェック機構13の処理の具体例
を、第11図に示した。
ルール群65は知識ベース12に属するルールである。ま
ず、結論事象を算出する。すべてのルールの結論部の事
象C,E,GおよびHについて、それらが条件部に現われて
いないかチェックする。CおよびEは、他のルールの条
件部に現われているため、ルール群65の結論事象は、
{G,H}となる。
一方、ルール群67は知識ベース14に属するルールであ
り、同様にして結論事象は、{G}となる。
そこで、これらの集合を比較すると、事象Hは前記
「行うべき制御操作」の判定はできるものの、「行って
はならない制御操作」の判定ができないことになり、知
識ベース12と14とは、事象Hにおいて相補的でないこと
が判明した。
次に、第2の使用法である、知識ベース12と14とを用
いて、プロセスコントロールを行う方法について説明す
る。
推論機構15,16は、それぞれ、知識ベース12,14を用い
て推論を行うものである。推論は、条件部を満たされた
ルールを順々に実行し、実行の過程で導出される制御操
作を、それぞれ、ファイル17,19に記憶することにより
行う。この操作を、実行可能ルールがなくなるまで続け
る。
ルールの条件部に、センサ情報に関する事象がある場
合、プロセスコントロール機構26に、その真偽を問合せ
る。
推論機構15,16により、ファイル17,19には、知識ベー
ス12,14を用いたときの推論結果が格納されて行く。矛
盾検知機構18はファイル17,19を比較し、ファイル17に
ある「行うべき制御操作」がファイル19の「行ってはな
らない制御操作」にあるかどうかをチェックし、なけれ
ば、プロセスコントロール機構26に、上記「行うべき制
御操作」を指示する。また、「行ってはならない制御操
作」にある場合には、その制御操作を無視する。
上記処理の具体例を、第12図に示した。知識ベース93
は、「行うべき制御操作」に関する知識であり、これを
用いて推論を行った結果、{G,H}が得られた(94)と
する。つまり、この例では、現在「制御操作GとHを行
うべきである」と推論されていることになる。同様に、
知識ベース95を用いて推論を行った結果、結論事象は
{H}、つまり、現在、「制御操作Hを行ってはならな
い」と推論されたことになる。
ここで、行うべき制御操作Hは、行ってはならない制
御操作でもあるため、無視され、制御操作{G}のみが
行われる。
本実施例によれば、相補的知識ベース構築が容易にな
ること、および、相補的知識を用いることによる制御シ
ステムの信頼性の向上等の効果を得ることができる。
上記実施例においては、推論に用いる知識ベースとし
て、「行うべき制御操作を導く知識ベース」と「行って
はならない制御操作を導く知識ベース」とを、直接、組
合せず、一方を両方を含む形の知識ベースとした例を示
したが、本発明はこれに限定されるべきものではない。
〔発明の効果〕
以上述べた如く、本発明によれば、確信度付きの規則
等の形で表わされた知識を用いて、対象の状態を分析し
診断,制御等を行うシステムにおいて、推論過程におい
て導き出される事象に対し、該事象が成立しない確信度
(否定の確信度)および該事象が成立する確信度(肯定
の確信度)を、それぞれ、独立に取扱って推論を行う如
く構成したので、知識ベースシステムの信頼性を向上さ
せ、安全性を要求される分野への適用を可能にした、知
識ベースを用いた推論方法を実現できるという顕著な効
果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例を示す曖昧推論システムの構
成図、第2図はルールの構成を示す図、第3図は確信度
の計算方法を説明する図、第4図は確信度計算の一例を
示す図、第5図は推論機構の処理フローチャート、第6
図はモニタプログラムの処理フローチャート、第7図は
矛盾度関数を示す図、第8図は本発明の第2の構成の実
施例を示すシステム構成図、第9図はルール記述の例を
示す図、第10図は相補性チェック機構の処理フローチャ
ート、第11図は相補性チェックの例を示す図、第12図は
矛盾検知の例を示す図である。 1,2:コンソール、3,4:対話と推論の管理機構、5,12,14:
知識ベース、6:ワーキングメモリ、7:否定の確信度を用
いる推論機構、8:肯定の確信度を用いる推論機構、9:否
定,肯定の確信度を用いる推論機構、13:相補性チェッ
ク機構、18:矛盾検知機構。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】確信度付きの規則等の形で表わされた知識
    ベースを用いて、制御対象の状態を分析して、前記制御
    対象を制御するシステムにおいて、前記制御対象を制御
    するための推論過程において導き出される事象に対し
    て、該事象が成立しない確信度である否定の確信度およ
    び前記事象が成立する確信度である肯定の確信度を記憶
    しておき、前記事象に対して、前記否定の確信度および
    肯定の確信度の両者を用いて推論の結果を導き出すとと
    もに、推論の結果に関する結論事象の確信度について
    は、推論した結果を反映して記憶された前記否定の確信
    度および肯定の確信度を更新することを特徴とする知識
    ベースを用いた推論方法。
  2. 【請求項2】前記否定の確信度および肯定の確信度を更
    新する際には、確率論に基づき更新することを特徴とす
    る特許請求の範囲第1項記載の知識ベースを用いた推論
    方法。
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