JPH083139B2 - 厚肉・複雑形状の熱処理型アルミニウム合金部材の製造方法 - Google Patents

厚肉・複雑形状の熱処理型アルミニウム合金部材の製造方法

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JPH083139B2
JPH083139B2 JP2318965A JP31896590A JPH083139B2 JP H083139 B2 JPH083139 B2 JP H083139B2 JP 2318965 A JP2318965 A JP 2318965A JP 31896590 A JP31896590 A JP 31896590A JP H083139 B2 JPH083139 B2 JP H083139B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、熱処理型アルミニウム合金を素材として、
突出部、陥入部および/または貫通孔部を含む特定形状
部を有する厚肉・複雑形状の軽合金部材を製造するのに
適用される熱処理型アルミニウム合金部材の製造方法に
関する。
[従来技術] 熱処理型アルミニウム合金としては、例えば昭和58年
4月25日に丸善株式会社が発行した「増補版 航空宇宙
工学便覧」の第514頁に記載されているように、Al−Cu
−Mg系(JIS 2000系),Al−Mg−Si系(JIS 6000系),
Al−Zn−Mg系(JIS 7000系)などがある。
従来、複雑な形状を有する熱処理型アルミニウム合金
部材を製造するに際しては、上記熱処理型アルミニウム
合金からなる鋳造材を鍛造加工により矩形状の中間素材
に成形し、次いで前記矩形状の中間素材に対して溶体化
処理を施し、続いて前記溶体化処理後の残留応力を除去
するために、前記矩形状の中間素材に対して、一方向、
例えば厚さ方向の冷間圧縮を行った後、時効処理を施
し、さらに前記時効処理後の中間素材に対し切削加工を
行うことによって、突出部や陥入部あるいは貫通孔部な
どの特定形状部を有する複雑な形状のアルミニウム合金
部材を得ている。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、このような従来の熱処理型アルミニウ
ム合金部材の製造方法にあっては、鍛造加工によって成
形する矩形状の中間素材は、後に切削除去される陥入部
や余肉部分をも含んだ厚肉ブロック状に成形されてお
り、この状態で溶体化処理されるため、溶体化処理時に
おいて矩形状中間素材の厚さがかなり大きくなってお
り、溶体化処理の効果が十分でなく、高強度、高靭性の
ものを得ることが困難である。また、本合金は溶体化処
理時に発生する残留応力を十分除去しておかなければ、
切削加工時に歪や割れが発生するだけでなく、潮風や海
水にさらされると応力腐食割れを助長することになる。
そこで従来は矩形状の中間素材に対し溶体化処理後に一
軸の冷間圧縮を施こすことにより、残留応力を除去して
いた。しかしながら、先に述べたように、このような方
法では、例えば7075合金の場合、100mm程度の肉厚にな
ると十分な強度・靭性が確保できなくなるため、また、
一軸のみの圧縮では十分な残留応力除去が難しいため、
新たな方法を開発する必要がある。その一つとして、突
出部や陥入部あるいは貫通孔部などの特定形状部を有す
る中間素材あるいは最終仕上材を溶体化し、圧縮の代り
に−196℃の液体窒素中に浸漬し、引き続き蒸気加熱に
より、板厚表層および内部で溶体化冷却とは逆の熱サイ
クルを与える“アップヒルクェンチ法”が開発された。
しかし、この方法では冷媒の費用が必要になるのみなら
ず、形状に合せた蒸気ノズル配置が必要など設備が極め
て複雑になるため制御が容易でなく、さらに残留応力除
去効果も十分とは言えないことから、ほとんど普及する
には至っていない。
そこで、本願発明者等は先に、特願平1−179724にお
いて、熱処理型アルミニウム合金よりなる鋳造材から突
出部や陥入部あるいは貫通孔部などの特定形状部を有す
る中間素材を形成し、この中間素材に対して溶体化処理
を施した後、当該溶体化処理後の中間素材に対して圧縮
歪が1.5〜5.0%となる冷間圧縮を一方向に行い、さらに
圧縮歪が1.5〜5.0%となる冷間圧縮を前記一方向に対し
直交する他の方向に行う少なくとも2軸方向の冷間圧縮
を行い、その後時効処理を施すことを特徴とする熱処理
型アルミニウム合金部材の製造方法を提案した。この方
法によれば十分な強度・靭性が確保でき、また、十分に
残留応力を除去することができる。しかし、さらに検討
を重ねた結果、部分的に薄肉部が存在する場合は、上記
方法では圧縮時に座屈や割れが生じる可能性があること
が判明した。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであ
って、溶体化処理による熱処理効果を高めると共に、溶
体化処理によって発生する残留応力の除去効果を十分な
ものとすることによって、強度および靭性を割れや座屈
を生じさせることなく改善することができる熱処理型ア
ルミニウム合金部材の製造方法を提供することを目的と
する。
[課題を解決するための手段] 本発明に係る厚肉・複雑形状の熱処理型アルミニウム
合金部材の製造方法は、熱処理型アルミニウム合金より
なる鋳造材に対し、塑性加工と切削加工を行うことによ
って、または塑性加工のみを行うことによって、突出
部、陥入部および/または貫通孔部を含む特定形状部を
有する中間素材を形成し、次いで前記中間素材に対して
溶体化処理を施し、その後当該溶体化処理後の中間素材
の変形抵抗の70%以上200%以下の変形抵抗を有する金
属製ダミーブロックをその陥入部および貫通孔部に挿入
したうえで、当該中間素材に対して、圧縮歪が1.5〜5.0
%となる冷間圧縮を一方向に行うと共に圧縮歪が1.5〜
5.0%となる冷間圧縮を前記一方向に対し直交する他の
方向に行う少なくとも2軸方向の冷間圧縮を行い、その
後時効処理を施すことを特徴とする。
以下、本発明に係る熱処理型アルミニウム合金部材の
製造方法について詳細に説明する。
本発明において適用される熱処理型アルミニウム合金
としては、前述のように例えば、JIS2014,2017,2024に
代表される2000系、6061に代表される6000系、7N01,707
5に代表される7000系等があるが、これらJISに制定され
たものだけに限定されないことはいうまでもなく、Fe,S
n,V,Cr,Mo等の元素を適宜添加し、または上記合金のこ
れら添加元素の量を増減したものが用いられる。
このような熱処理型アルミニウム合金を素材とするア
ルミニウム部材を本発明に基いて製造するに際しては、
まず、前記熱処理型アルミニウム合金よりなる鋳造部材
に対し、鍛造加工などの塑性加工を行うことにより、ま
たはこのような塑性加工と切削加工とを併用することに
より、第1図に例示するような中間素材1を成形する。
この中間素材1は、4ヶ所の突出部2a、1ヶ所の陥入部
2bおよび2ヶ所の貫通孔部2cを特定形状部2として有す
る厚肉で複雑な形状をなすものである。なお、ここで特
定形状部とは突出部、陥入部及び貫通孔部に代表される
加工部分を示すものであるが、必ずしもこれらに限定さ
れるものではなく他の形状部分を含んでいてもよい。ま
た、このような特定形状部として突出部、陥入部および
貫通孔部が全て存在する必要はなく、陥入部または貫通
孔部のみが存在するものであってもよい。
次に、上述の中間素材1に対して溶体化処理を施す。
この溶体化処理は、例えば2024−T62材においては490〜
500℃に加熱して溶体化した後水冷する条件、6061−T62
材においては515〜550℃に加熱して溶体化した後水冷す
る条件、7075−T62材においては460〜500℃に加熱して
溶体化した後水冷する条件で行う。
次に、溶体化処理後の中間素材1の陥入部および貫通
孔部に、その変形抵抗の70%以上200%以下の変形抵抗
を有する金属製ダミーブロックを挿入したうえで、溶体
化処理による残留応力を除去するために、所定条件で少
なくとも2軸方向の冷間圧縮を行う。この冷間圧縮は、
少なくとも、圧縮歪が1.5〜5.0%となる冷間圧縮を一方
向に行い、次いで圧縮歪が1.5〜5.0%となる冷間圧縮を
前記一方向に対し直交する他の方向に行うものであり、
この場合の2軸方向としては、例えば第1図に示すよう
なZ方向およびY方向を選択することができる。なお、
冷間圧縮の際の順序および方向は特に限定されず、互い
に直交する3軸のうち、加工しやすい少なくとも2軸方
向を選択すればよく、さらには要すれば3回以上繰り返
し行ってもよい。
本発明において、溶体化処理後の中間素材1に対して
少なくとも2軸方向に冷間圧縮するのは、当該中間素材
1の形状が複雑であるため1軸方向のみでは冷間圧縮に
よる残留応力の除去効果が期待できない領域があること
によるものである。2軸方向に冷間圧縮したときに残留
応力が減少することについて第6図,第7図および第8
図により説明する。
第6図は板厚40mmの無限平板20を部分的に示すもので
あって、圧縮方向をZ、板厚方向をY、これら二方向に
対し相互に直交する板面方向をXとして示している。
第7図は第6図に示した平板20に対し、470℃に加熱
したあと20℃の水中に水焼入れする溶体化処理を施した
のち、Z方向に圧縮した時(外力負荷状態の時)の圧縮
歪に対する内部応力の変化を熱応力解析によって計算し
た結果を示すものであり、圧縮方向(Z方向)の内部応
力をσz、板厚方向(Y方向)の内部応力をσy、板面
方向(X方向)の内部応力をσxで示してある。
第7図より明らかなように、Z方向の内部応力σ
zは、圧縮歪が1.5%以上で表面および中心とも同じよ
うな応力レベルとなり、Y方向の内部応力σyおよびX
方向の内部応力σxは、圧縮歪が1.5%以上で0に収束
する。なお、この解析結果は、板厚40mmの無限平板20を
対象としたものであるので、溶体化処理後においてもY
方向の内部応力σyは0となっているが実際の有限(所
定)寸法を有する平板の場合には溶体化処理後において
Y方向にも内部応力σyが存在する。従って、圧縮方向
(Z方向)と直交する板厚方向(Y方向)および板面方
向(X方向)の応力分布は圧縮歪が1.5%以上で0に収
束するものとなっていることから、このZ方向からの冷
間圧縮後板厚方向(Y方向)または/および板面方向
(X方向)より冷間圧縮する2軸方向以上の冷間圧縮を
行うことによって内部応力(σz,σy,σx)は圧縮歪が
1.5%以上で0に向けて収束することとなる。逆に言え
ば1軸のみの圧縮では内部応力(σz,σy,σx)をすべ
てゼロに近づけることは難しいことになる。
第8図は第7図のZ方向に冷間圧縮を行った際の圧縮
歪による内部応力の変化を示す状態からZ方向の冷間圧
縮力を解放した後の残留応力分布を示すものである。冷
間圧縮力を解放した状態が最終の残留応力状態となり、
例えば圧縮歪が2.0%の冷間圧縮を行った場合には、第
8図に示すように残留応力は著しく小さなものとなる。
以上のように、本発明においては、冷間圧縮を行う際
の圧縮歪は前述したように内部応力が0に向かって収束
することが可能となる1.5%以上に規定する。しかし、
圧縮歪が大きすぎると中間素材1に対する負荷が過大な
ものとなるので、5.0%以下に規定する。
また、ダミーブロックについては、その変形抵抗が溶
体化処理後の中間素材に対して70%より小さいとダミー
ブロックが容易に変形し座屈や割れを防ぐための拘束体
としての用を無さず、逆に200%より大きいとダミーブ
ロックが変形せず中間素材の圧縮変形がダミーブロック
と接している部分では進行しないため残留応力除去が達
成できない。また、中間素材と同様に変形するものとし
ては金属が望ましい。よって、ダミーブロックを金属製
とし、その変形抵抗を中間素材の変形抵抗の70%以上20
0%以下に規定した。なお、ダミーブロックの挿入に際
してはMoS2等の潤滑材を塗布することにより、かじり等
を防止し変形をスムーズに進行させることが望ましい。
また、ダミーブロックの形状は0.3mm以下のクリアラン
スを考慮したほぼ中間素材の陥入部および貫通孔部と同
じ寸法・形状とする。なお、ダミーブロックは、特定形
状部として陥入部および貫通孔部を有する場合にはこれ
らの両方に挿入する。
次いで、冷間圧縮を行った中間素材1に対して時効処
理を施し、その後、必要に応じて前記中間素材1の表面
に切削加工や研磨加工などの仕上げ加工を施すことによ
って所定の寸法に仕上げ、突出部2a、陥入部2b、および
貫通孔部2cなどの特定形状部2を有する熱処理型アルミ
ニウム合金部材を得る。なお、前記時効処理は、例え
ば、2024〜T62材においては185〜195℃で約9時間、606
1−T62材においては155〜165℃で約18時間、7075−T62
材においては115〜125℃で約24時間以上の条件で行うよ
うにすることができる。
なお、参考までに前述した“アップヒルクェンチ法”
と圧縮法による残留応力除去の程度第9図に示す。焼入
れ後肉厚中心と表層での応力差がいずれも50kg f/mm2あ
ったのに対し、時効後はアップヒルクェンチを施したも
のでは15kg f/mm2、圧縮を施したものでは5kg f/mm2と
なり、圧縮法の方が残留応力除去法として優っているこ
とがわかる。
[作用] 本発明においては、溶体化処理前に、鋳造材に対し、
鍛造加工などの塑性加工を行うことによって、あるいは
鍛造加工などの塑性加工と切削加工とを併用することに
よって、鋳造材を突出部、陥入部および/または貫通孔
部を含む特定形状部を有する最終製品形状に近似した中
間素材に成形し、次いで中間素材に対して溶体化処理を
施すので、溶体化処理時には中間素材の肉厚が薄くなっ
ていて溶体化処理による熱処理効果が十分となる。ま
た、溶体化処理後、冷間圧縮を少なくとも直交する2軸
方向で行うようにしているので、1軸方向のみでは冷間
圧縮による残留応力除去効果が期待できない領域にも冷
間圧縮が施され、しかも所定範囲の変形抵抗を有するダ
ミーブロックの存在により、陥入部など本来的には圧縮
応力が作用しない部分にも有効に圧縮応力を作用させる
ことができるので、溶体化処理により発生する残留応力
を極めて効率的に除去することができ、しかもその除去
効果が十分なものとなる。このため、高強度および高靭
性を備えた熱処理型アルミニウム合金部材を得ることが
できる。また、圧縮時、中間素材の陥入部および貫通孔
部に特定範囲の変形抵抗を有するダミーブロックを挿入
するため、薄肉部でも座屈や割れが生じない。
[実施例] 熱処理型アルミニウム合金であるJIS7075材からなる
鋳造材に対して、塑性加工として鍛造加工を行うことに
より、第2図に示すように、3ヶ所の陥入部4a,4b,4cお
よび1ヶ所の貫通孔部4dを特定形状部4として備えた、
長さL2=680mm、幅W2=660mm、高さH2=285mmの中間素
材3を作成した。
次いで前記中間素材3に対し、第3図に示すように、
468℃に加熱して6時間保持した後水冷する条件の溶体
化処理を施した。
続いて、クリアランス0.3mm以下の変形抵抗が種々異
なるダミーブロックを陥入部および貫通孔部にMoS2を塗
布した状態で挿入したうえで、前記溶体化処理後の中間
素材3の残留応力を除去するために、溶体化後の中間素
材に対し2軸方向の冷間圧縮を行った。なお、比較のた
めにダミーブロックを挿入しないものについても冷間圧
縮を行い、また1軸方向の冷間圧縮についても試験し
た。この際の種々の試験条件を第1表に示す。第1表中
試験番号1〜3はこの発明の範囲内の実施例であり、試
験番号4〜9はその範囲から外れる比較例である。なお
試験番号4について後述するように特定形状部を形成し
ない中間素材を用い、後の加工で特定形状部を形成する
従来の方法を用いたものである。
この際の2軸方向の冷間圧縮は、第5図に示す7075材
の圧縮荷重と圧縮歪との間の関係、すなわち、第5図の
直線部分において以下の(1)式で表わされる関係に従
って以下に示すようにして行った。
F≒[24.9+3.8δ]×S ………(1) [だだし、Fはプレス荷重(kg f)、δは圧縮歪
(%)、Sはプレス断面積(mm2)、定数の単位はkg f/
mm2である。] すなわち、前記溶体化処理後の中間素材3に対し、ま
ず、第2図中においてZ方向の冷間圧縮を一部の試料を
除いて約67トンの圧縮荷重により行って約2.5%の圧縮
歪が付与されるようにし、続いて、第2図中においてY
方向の冷間圧縮を一部の試料を除いて同じく約67トンの
圧縮荷重により行って約2.5%の圧縮歪が付与されるよ
うにして、Z方向およびY方向の2軸方向からの冷間圧
縮を行った。なお、試験番号9についてはZ方向のみの
一軸圧縮とした。
次いで、前記冷間圧縮後の中間素材3に対して、同じ
く第3図に示すように、108℃で7時間および165℃で7
時間の2段時効処理を施した後、仕上げ加工(切削加
工)を施すことによって、陥入部4a,4b,4cおよび貫通孔
部4dからなる特定形状部4を有する熱処理型アルミニウ
ム合金部材を得た。
また、試験番号4の部材は、以下のようにして形成し
た。
すなわち、まず上述の実施例と同じく熱処理型アルミ
ニウム合金であるJIS7075材からなる鋳造材に対して鍛
造加工を行い、第4図に示すように、長さL4=680mm、
幅W4=660mm、高さH4=310mmの矩形ブロック状の中間素
材10を作成した。
続いて、前記ブロック状の中間素材10に対して、上述
の実施例と同じく第3図に示すように468℃に加熱して
6時間保持した後水冷する条件の溶体化処理を施した。
次に、溶体化処理後の前記ブロック状の中間粗材10に
対し、第4図中においてZ方向のみの冷間圧縮を約67ト
ンの圧縮荷重により行って約2.5%の圧縮歪が付与され
るようにした。
次いで、前記実施例と同様に同じく第3図に示すよう
に、108℃×7時間および165℃×7時間の2段時効処理
を施し、その後当該ブロック状中間素材10に対し切削加
工を施すことによって、第2図に示した前記実施例と同
一形状、同一寸法の陥入部(4a,4b,4c)、貫通孔部(4
d)および突出部(4e)からなる特定形状部4を有する
熱処理型アルミニウム合金部材を得た。
そしてこのようにして得られたそれぞれのアルミニウ
ム合金最終仕上部材の表層残留応力(裏面中央、突出部
4eの高さ・幅中央)と引張特性、破壊靭性を評価した。
これらの結果を第1表に示す。なお、残留応力は表層の
第2図または第4図の裏面側中央位置と突出部4eの高
さ、幅中央についてドリル穿孔法(ASTM E837)により
測定し、機械的性質については陥入部4aと4bとに挟まれ
る突出部の高さ中央および肉厚中央にて測定した。
第1表に示した結果から明らかなように、本発明実施
例の試験番号1〜3の場合には座屈や割れが生ずること
なく、2段時効処理後に残留応力がほとんど除去されて
いるとともに、耐力(YS)および引張強さ(TS)、破壊
靭性(KIC)についても良好な値が得られており本発明
の効果が十分に得られていることが認められた。
これに対し、直方体形状で焼入れした試験番号1は強
度、靭性に劣り、また試験番号5や7のようにダミーブ
ロックを挿入しなかったり、あるいは挿入しても変形抵
抗が低すぎる場合には、座屈および割れが薄肉部で発生
することが確認された。また、試験番号6,8のように圧
縮歪量が小さい場合や、ダミーブロックの変形抵抗が高
すぎると十分な残留応力除去効果が得られず、さらに試
験番号6のように一軸(Z方向)のみ圧縮では残留応力
を有効に除去することができないことが確認された。
[発明の効果] 以上説明したように、この本発明に係る熱処理型アル
ミニウム合金部材の製造方法によれば、溶体化処理時の
肉厚を薄くすることができるので、溶体化処理による熱
処理効果を十分なものとすることができる。また、圧縮
時に座屈や割れを生ずることなく十分に残留応力を除去
することができるので、優れた強度および靭性を備えた
熱処理型アルミニウム合金部材を得ることが可能であ
る。さらに、このようにアルミニウム合金部材の残留応
力を低減することができることにより、耐応力腐食割れ
性の向上をも図ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係る熱処理型アルミニウム合金部材の
製造方法に用いる熱処理前の中間素材の一例を示す斜視
図、第2図は本発明の実施例に用いた熱処理前の中間素
材の形状を示す斜視図、第3図は本発明の実施例および
比較例において適用した熱処理条件を示す説明図、第4
図は比較例に用いた熱処理前の中間素材の形状を示す斜
視図、第5図は7075材における圧縮荷重と圧縮歪との関
係を調べた結果を例示するグラフ、第6図は2軸方向の
冷間圧縮を説明するための無限平板を示す斜視図、第7
図は2軸方向に冷間圧縮したときの応力と圧縮歪との関
係を例示するグラフ、第8図は冷間圧縮応力を解放した
後の残留応力分布を例示するグラフ、第9図は“アップ
ヒルクェンチ法”と圧縮法の残留応力除去の程度を比較
して説明する図である。 1,3……中間素材、2,4……特定形状部、2a,4e……突出
部、2b,4a,4c……陥入部、2c,4d……貫通孔部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 日野 善道 東京都千代田区丸の内1丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 崎山 哲雄 東京都千代田区丸の内1丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 広神 勝彦 東京都千代田区丸の内1丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 清水 尊治 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−153252(JP,A) 特開 平1−116054(JP,A)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】突出部、陥入部および/または貫通孔部を
    含む特定形状部を有する厚肉・複雑形状の熱処理型アル
    ミニウム合金部材の製造方法であって、熱処理型アルミ
    ニウム合金よりなる鋳造材に対し、塑性加工と切削加工
    を行うことによって、または塑性加工のみを行うことに
    よって、突出部、陥入部および/または貫通孔部を含む
    特定形状部を有する中間素材を形成し、次いで前記中間
    素材に対して溶体化処理を施し、その後当該溶体化処理
    後の中間素材の変形抵抗の70%以上200%以下の変形抵
    抗を有する金属製ダミーブロックをその陥入部および貫
    通孔部に挿入したうえで、前記中間素材に対して圧縮歪
    が1.5〜5.0%となる冷間圧縮を一方向に行うと共に圧縮
    歪が1.5〜5.0%となる冷間圧縮を前記一方向に対し直交
    する他の方向に行う少なくとも2軸方向の冷間圧縮を行
    い、その後時効処理を施すことを特徴とする厚肉・複雑
    形状の熱処理型アルミニウム合金部材の製造方法。
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