JPH08333392A - 生理活性ポリペプチド類 - Google Patents

生理活性ポリペプチド類

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JPH08333392A
JPH08333392A JP7160184A JP16018495A JPH08333392A JP H08333392 A JPH08333392 A JP H08333392A JP 7160184 A JP7160184 A JP 7160184A JP 16018495 A JP16018495 A JP 16018495A JP H08333392 A JPH08333392 A JP H08333392A
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JP
Japan
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group
amino acid
sequence
helix
gly
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JP7160184A
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Inventor
Sumiko Denda
澄美子 伝田
Munehiro Iketani
宗大 池谷
Masami Onuma
真美 大沼
Kaori Wakita
かおり 脇田
Masahiro Tajima
正裕 田島
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Shiseido Co Ltd
Original Assignee
Shiseido Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 一定のアミノ酸配列が欠失したことに特徴を
有する修飾マキサディラン。マキサディランは吸血性昆
虫であるスナバエ(Lutzomyia longipalpis)の唾液腺に
見い出される。 【効果】 天然のマキサディランに比べて、活性の持続
時間が短縮し、特定の血管の拡張活性が優れている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はプロテインエンジニアリ
ングに関し、より具体的には血管拡張性および高血管透
過性のポリペプチド、例えば、マキサディランに関連す
る生理活性ポリペプチドに関する。
【0002】
【従来の技術】マキサディラン(Maxadilan)は、吸血
性昆虫であるスナバエ(Lutzomyia longipalpis)の唾
液腺に存在することが知られている。マキサディランは
動物の表皮に適用されたとき、かゆみや疼痛を伴うこと
なく紅斑をもたらし、有力な血管拡張薬の候補とみなさ
れている。このような生物学的な作用は、カルシトニン
遺伝子関連ペプチド(以下「CGRP」と略記する)の
作用と非常に類似していることが知られている。
【0003】スナバエの唾液からのマキサディランの精
製およびそのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配
列、ならびに前記ヌクレオチド配列からなる遺伝子のク
ローニングおよび組換えマキサディランの発現は、例え
ば、国際出願公開第91/00293号パンフレットや
E.A.Lernerら、J.Bio.Chem.267、106
2-1066ページ1992に公表されている。Lerner
らは、前記組換えマキサディランとグルタチオンS−ト
ランスフエラーゼ(GST)との融合タンパク質をコー
ドするDNAをクローニングし、そして発現させて得ら
れる融合タンパク質をファクターXaで開裂させ、マキ
サディランのN−末端システィン(天然マキサディラン
の最初のシスティン、すなわち配列表の配列番号1のC
ys−1に対応)に3つのアミノ酸残基からなるペプチド
断片(GIL−)が配合したものとして得ている。
【0004】この組換えマキサディランは、強力かつ長
期持続性の紅斑形成活性(以下、単に「紅斑活性」とい
う)を示す点でCGRPと共通するが、1分子当りCG
RPのほぼ500倍の紅斑活性を示す点で注目されてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、血管拡
張薬等の有力な候補としてマキサディラン自体、またそ
の組換えポリペプチドも提案されているが、さらに高活
性を示すかあるいは特有の生理活性を示すペプチド類を
提供する必要性は、依然として存在する。そこで、本発
明の目的は、新規生理活性ポリペプチド類を提供するこ
とにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、マキサデ
ィランおよびCGRPの血管拡張(紅斑形成)活性と分
子構造の相関性について研究してきたところ、両ペプチ
ドの活性はそれらの類似する特定の分子構造に由来する
ことを見い出した。例えば、マキサディランとCGRP
はN末端(1-10)における一次構造に類似性が見ら
れ、Chon & Fasman法によって推定される二次構造
(N−末端ループ構造、α-ヘリックス構造、β-シート
構造、α-ヘリックス構造)にも類似性がみられる(こ
れらの構造を模式図に示す図2を参照のこと)。特に、
C末端のペプチド部分がα-ヘリックスを形成でき、し
かも二次構造上、正荷電しうるアミノ酸残基が一方向に
偏在することがマキサディランの高い紅斑活性に寄与す
るものと推測される(図1参照)。さらに驚くべきこと
には、CGRPの活性ドメインに相当するマキサディラ
ンのN−末端ループ構造を形成するアミノ酸配列部分の
存在の有無が前記活性に有意な影響を及ぼさないことを
見い出した。
【0007】従って、本発明によれば、既存のマキサデ
ィランおよびその類似化合物と区別されるポリペプチド
誘導体であって、その鎖中に配列番号1に示されるアミ
ノ酸配列中の配列Ile(11)〜Ser(21)(以下、
Helix(1)ともいう)と配列Val(47)〜Ala(6
1)(以下、Helix(2)ともいう)とを含んでなるポ
リペプチド誘導体が提供される。
【0008】より具体的には、式(I) R1−Helix(1)−R2−Helix(2)−R3 (I) 式中、R1はHelix(1)のN末端アミノ酸残基のアミ
ノ基を形成する水素原子もしくはそのアミノ保護基、配
列番号1に示される配列Gln(6)〜Ala(10)−で
示される基またはその配列中のアミノ酸残基1個以上が
他のアミノ酸残基により置換された基もしくはこれらの
基のN末端が修飾された基、ならびに配列Cys(1)〜
Ala(10)−で示される基もしくはその配列のアミノ
酸残基1個以上が他のアミノ酸残基により置換された基
またはこれらの基のN末端アミノ酸のアミノ基が修飾さ
れた基からなる群より選ばれる基を表し、R2は、Heli
x(1)のSer(21)のカルボキシル基とHelix
(2)のVal(47)のイミノ基とを介してHelix
(1)とHelix(2)を連結する基を表し、R3は、He
lix(2)のC末端アミノ酸残基のカルボキシル基を形
成するヒドロキシル基、アミノ基ならびに前記カルボキ
シル基の保護基もしくは該カルボキシル基とN−末端ア
ミノ酸で結合する未修飾もしくは修飾ペプチド残基から
なる群より選ばれる基を表すが、但し、R1が前記配列
Cys(1)〜Ala(10)−で示される基またはこの基
のN末端アミノ酸のアミノ基が修飾された基を表す場合
には、R2の連結基は配列番号1に示される配列Asn
(22)〜Ser(46)で示される基以外の基を表す、
のポリペプチド誘導体が提供される。
【0009】
【発明の具体的な記述】本発明を説明する上で、本明細
書および添付図面に記載するα−アミノ酸の表示は、当
該技術分野で慣用されている下記の三文字記号および一
文字記号に基づいている。
【0010】慣用名 三文字記号 一文字記号 アラニン Ala A アルギニン Arg R アスパラギン Asn N アスパラギン酸 Asp D システイン Cys C グルタミン Gln Q グルタミン酸 Glu E グリシン Gly G ヒスチジン His H イソロシイン Ile I ロイシン Leu L リジン Lys K メチオニン Met M フエニルアラニン Phe F プロリン Pro P セリン Ser S スレオニン Thr T トリプトファン Trp W チロシン Tyr Yバリン Val V ヌクレオチドは、各塩基の化学名によってそれぞれのヌ
クレオチドを特定する下記の標準的な略号が本明細書お
よび添付図面で使用されている。
【0011】アデニン A チミン T グアニン G シトシン C ウラシル U また、α−アミノ酸の三文字表示に続くカッコ内の数字
は、配列番号1で示されるアミノ酸配列内の各アミノ酸
残基の位置番号を表す。
【0012】本発明により提供されるポリペプチド類
は、前述したようにその分子中に、マサキディランのペ
プチド配列をα−ヘリックスの車輪モデルで表した場合
に、それぞれ図1に示されるごとく、正電荷しうるアミ
ノ酸残基を一方向に偏在するように表わされる部分を含
むことが重要である。そのため、本発明のポリペプチド
類は、天然マキサディランの基本構造を構成する配列番
号1に示されるアミノ酸配列中の配列Ile(11)〜S
er(21)の部分(配列番号2参照)と配列Val(4
7)〜Ala(61)の部分(配列番号3参照)を含むこ
とが必須である。
【0013】従って、前者の配列をHelix(1)とし、
後者の配列をHelix(2)として表示すると、本発明の
ポリペプチド類は、一般式 R1−Helix(1)−R2−Helix(2)−R3 で表すことができ、R1、R2、R3部分は、Helix
(1)およびHelix(2)の構造に、悪影響を与えない
限り、いかなる基からなるものであってもよい。しか
し、具体的なものとしては、R1、R2、R3は上述に定
義されるものが好ましい。以下、これらの定義について
さらに詳細に説明する。
【0014】R1がHelix(1)のN末端アミノ酸残基
(Ile)のアミノ基を形成する水素原子とは、式(I)
のHelix(1)のN末端アミノ酸残基には追加のアミノ
酸残基またはペプチド残基が結合していない状態を意味
する。また、R1がアミノ保護基を表す場合には、ペプ
チド化学の技術分野で周知のアミノ保護基が前記Ileの
アミノ基に結合している状態を意味する。これらの保護
基には各種アシル基やアルキル基が代表的なものとして
挙げられる。
【0015】R1が配列番号1に示されるアミノ酸配列
中の配列Gln(6)〜Ala(10)で示される基(配列
番号4参照)を表わす場合には、本発明のポリペプチド
が、前記配列中のCys(1)〜Cys(5)のいわゆるマ
キサディランの活性ドメイン(配列場合5参照)と推定
されるN末端ループ構造を欠くことを意味する。このよ
うなマキサディランの変異体が一定の生理活性を示すこ
とはまったく予期できないだけでなく、逆に、Helix
(1)およびHelix(2)の部分の少なくとも1つが、
マキサディラン様の生理活性(例えば、紅斑形成活性)
を示すのに、極めて重要な意義を有することも示唆す
る。従って、前述のように、該配列(Gln(6)〜Ala
(10)そのものを欠く場合だけでなく、該配列中のア
ミノ酸残基の1個以上がその配列を構成する対応のアミ
ノ酸残基以外のアミノ酸残基によって置換されたもので
あっても、関連の生理活性に実質的に悪影響を与えない
ものと推測されるので、これらもR1の定義に包含され
る。
【0016】また、該基は、例えば本発明のポリペプチ
ド類を適当な融合タンパク質として産生し、産生した融
合タンパク質をプロセッシングして目的のポリペプチド
類を取得しようとする場合に、N末端アミノ酸残基に結
合した状態で残存する追加のペプチド残基を有するもの
であってもよい。追加のペプチド残基の具体的なものと
しては、使用する融合タンパク質の種類およびプロセッ
シング(切断)に用いるプロテアーゼの種類に応じて、
多種多様なものが包含されるので限定されないが、例え
ば、グルタチオS−トランスフェラーゼ(GST)を融
合タンパク質として用いた場合の、Gly−Ser−Ile−
Leu−(配列番号6参照)、Gly−Ile−Leu−、Gly
−Ser−およびGly−Ser−Gly−を挙げることができ
る。さらにこれらのペプチドは、各アミノ酸残基の官能
基がアシル基、アルキル基、等で修飾されていてもよ
い。
【0017】R1はまた、配列番号1に示されるアミノ
酸配列中の配列Cys(1)〜Ala(10)−で示される
基またはCln(6)〜Ala(10)−の基について説明
した追加のペプチドもしくはその修飾されたペプチドで
あってもよい。この場合、R2の連結基が、配列場合1
に示されるアミノ酸配列中の配列Asn(22)〜Ser
(46)で示される基であるときには、それ自体既知の
マキサディランを包含することがある。従って、R1
前記の配列Cys(1)〜Ala(10)−およびその関連
の基で示される場合には、R2は配列Asn(22)〜Se
r(46)で示される基以外の基を表すポリペプチド類
のみが本発明に包含される。
【0018】前記配列Asn(22)〜Ser(46)は、
図2に示されるように、いわゆるβ−シート構造、ラン
ダムコイル等をとりうる部分であり、この部分は本発明
のポリペプチド類が前述のような生理活性を示す上で必
ずしも必要な部分でない。
【0019】従って、R2で定義される連結基には、He
lix(1)およびHelix(2)を、それぞれのSer(2
1)のカルボキシル基とVal(47)のイミノ基を介し
て連結でき、Helix(1)およびHelix(2)がとりう
る三次構造に悪影響を及ぼさない基はすべて包含され
る。しかし、マキサディラン様の活性を奏するために
は、R2が前記配列Asn(22)〜Ser(46)で示さ
れる基、または該基のアミノ酸残基が該配列を構成する
対応のアミノ酸残基以外のアミノ酸残基により置換され
た基もしくは該配列中のアミノ酸残基の1個〜19個が
欠失した基を好ましいものとして挙げることができる。
【0020】R3がHelix(2)のC末端アミノ酸残基
(Ala)のカルボキシル基を形成するヒドロキシル基を
表す場合には、Helix(2)のC末端アミノ酸残基には
他の置換基、ペプチド残基等が結合していない状態を意
味し、また該カルボキシル基と一緒にカルバモイル基を
形成するアミノ基を表す場合には、生理活性ペプチドに
よく見られるように、C末端アミノ酸残基のカルボキシ
ル基がアミド化されている状態を本発明のポリペプチド
がとることを意味する。また、R3は、R1について言及
したように、本発明のポリペプチドが融合タンパク質と
して産生され、産生された融合タンパク質をプロセッシ
ング処理して得る場合には、R1について説明したよう
な融合タンパク質に由来するペプチド残基であってもよ
い。これらのペプチド残基は、それらのN末端アミノ酸
残基のアミノ基を介して前記Alaのカルボキシル基とペ
プチド結合を形成して存在する。具体的なペプチド(ま
たはアミノ酸残基)としては、−Glyもしくは−Gly−
LysまたはこれらのC末端アミノ酸残基のカルボキシル
基のアミド、エステル化基を挙げることができる。R1
が、配列番号1のアミノ酸配列の中、いわゆるN末端ル
ープ構造(Cys(1)〜Cys(5)を欠くポリペプチド
類、すなわち、R1がGln(6)〜Ala(10)のN末
端にCys(1)〜Cys(5)以外のペプチド残基が結合
した基を表すものの代表例としては次のポリペプチドを
挙げることができる。
【0021】 GSG−QFRKAIDDCQKQAHHSNVLQTSVQTTATFT 6 10 15 20 25 30 35 SMDTSQLPGNSVFKECMKQKKKEFKAGK 40 45 50 55 60 (ここで、数値は、配列番号1のアミノ酸位置番号に対
応する。このポリペプチドは、配列番号7にアミノ酸の
三文字表示で示す。なお、以後、このポリペプチドはN
spと称する。)R2が配列番号1の配列Asn(22)〜
Ser(45)のアミノ酸残基が1部欠失した基を表わす
ものの代表例としては、Leu(24)〜Leu(42)が
欠失したもの(以下、M65と称する)を挙げることが
できる。
【0022】 GS−CDATCQFRKAIDDCQKQAHHSNV− 1 5 10 15 20 23 PGNSVFKECMKQKKKEFKAGK 43 45 50 55 60 (ここで、数値は、Nspについて説明したのと同じ意味
を表す。このポリペプチドは配列番号8にアミノ酸を三
文字表示して示す。) R2が配列番号1の配列Asn(22)〜Ser(45)の
アミノ酸残基の1部が欠失し、かつその中のアミノ酸残
基が他のアミノ酸残基により置換されたものの代表例と
して、Leu(24)〜Thr(33)が欠失し、そしてP
he(34)がArgで置換されたもの(以下、M98と称
する)を挙げることができる。
【0023】 GS−CDATCQFRKAIDDCQKQAHHSNV− 1 5 10 15 20 23 RTSMDTSQLPGNSVFKECMKQKKKEFKAGK 35 40 45 50 55 60 (ここで、数値は、Nspについて説明したのと同じ意味
を表す。このポリペプチドは配列番号9にアミノ酸を三
文字表示して示す。) 本発明のポリペプチド類は、配列表に示される各配列を
参照に、それ自体既知のペプチド合成法(例えば、新生
化学実験講座、“タンパク質VI合成および発現”、日
本生化学会編、東京化学同人発行、1992参照)、な
らびに目的とするポリペプチドをコードする遺伝子のク
ローニングベクターを用いる方法、さらには配列番号1
で示されるアミノ酸配列をコードする遺伝子の部位特異
的突然変異誘発法を用いる欠失変異体の調製方法に、従
って製造することができる。
【0024】こうして提供される本発明のポリペプチド
類は、ウサギへの皮内注射によるイン・ビボ(in viv
o)試験により、CGRPと同等の紅斑活性を示すと共
に、天然型マキサディランよりやや低い紅斑形成活性を
示すが、一般的に活性の持続時間が天然型に比べて短縮
される点、さらに注入された血管周囲の太い血管の拡張
活性に優れている点に特徴を有する。このことは、本発
明のポリペプチド類がCGRPや天然型マキサディラン
とは異なる特異な血管拡張薬として使用できる可能性の
あることを示唆する。
【0025】
【実施例】以下、実施例によって本発明をさらに具体的
に説明する。
【0026】例1:M65の生産M65発現ベクター(pSD-M65)の作製 1)pGEX-2T-IL-Maxの構築 上述のLernerら、J.Biol.Chem.267、106
2-1066、1992、に記載の方法に従い、発現ベ
クターpGEX-2T(Pharmacia)にマキサディランの
cDNA配列[配列番号1の配列Cys-1〜Ala-61を
コードする遺伝子、「MAX(60K、61A)」と略
記する]を挿入し、pGEX-2T-IL-Max-GKを作
製した。この発現ベクターを、図3に略図的に示す。以
下の各工程は図4〜7を参照されたい。
【0027】2)M13-M43Bの作製 pGEX-2T-IL-Max-GKを鋳型としてポリメラー
ゼ連鎖反応(PCR)法により、部位特異的変異の導入
を行った。
【0028】このPCR法では、5′プライマーとし
て、次式 5′-CCGGATCCTGTGATGCAACATGCCAATTTCGA A BamHl AGGCCATCGATG-3′ Clal で示されるGS-AsCl(45mer)(配列番号10)を
用い、そして3′プライマーとして、次式 5′-GGGAATTCACTTGCCGGCTTTAAATTCC-3′ EcoRl で示されるKAGK(28mer)(配列番号11)を用
い、Astec PC-700プラグラム式恒温槽中で94
℃1分の熱変性、55℃1分のプライマーのアニーリン
グ、次いで72℃2分のDNA合成を30サイクル行っ
た。なお、反応溶液の組成は、0.1pmolの鋳型DN
A、200μMのdNTP、50pmolの5′および3′
プライマー、2.5UのTaqポリメラーゼ(宝酒造)、
Taqポリメラーゼ用バッファー(宝酒造)(合計100
μl)であった。
【0029】こうして得られたPCR反応産物を制限酵
素BamHl、EcoRlで切断した後、アガロースゲル電気
泳動で分離し、ゲルから200bp断片(PCRで増幅さ
れた部分)を精製した。その断片をサブクローニング用
ベクターM13mp10にライゲーション後、イー・コリ
ー(coli)JM105に導入し、トランスフォーム
されたクローンのRF(二本鎖)DNA、一本鎖DNA
を調製した。一本鎖DNAの塩基配列決定を行い、目的
のDNAができていたクローンを選択した。塩基配列決
定はM13dideoxy法(東洋紡 Sequenaseキット)で
行い、日立蛍光DNAシーケンサーを使用して解析し
た。以上により、アミノ酸配列を変えずに塩基配列を置
換し制限酵素Clal切断部位を導入したM13-M43B
を得た。
【0030】3)M13-PCR22の作製 M13-M43BのRF DNAを鋳型としてPCR法
により、部位特異的変異の導入を行った。
【0031】このPCR法では、5′プライマーとし
て、次式 5′-CCATCGATGACTGCCAGAAGCAGGCGCATCAT A Clal GCAATGTTCTGCAG-3′ Pstl で示されるC-P(47mer)(配列番号12)を用い、
3′プライマーとして、上記KAGK(28mer)を用
い、上記条件下でPCRを行った。
【0032】PCR産物をT4DNAポリメラーゼ処理
によりDNA末端を平滑化した後、EcoRlで切断し、
アガロースゲル電気泳動で170bp断片を精製した。こ
れをベクターM13mp10(マルチクローニングサイト
の中のSmalとEcoRlで切断したもの)にライゲーショ
ン後、E.coli JM105に導入し、トランスフォー
ムされたクローンのRF(二本鎖)DNA、一本鎖DN
Aを調製した。一本鎖DNAの塩基配列決定を行い、目
的のDNAができていたクローンを選択した。こうし
て、マキサディランの推定二次構造の中でN末端側α-
ヘリックスとβ-シートの境目付近(Leu(24)、Gl
n(25))に、アミノ酸配列を変えずに制限酵素Pst
1切断部位を導入したM13-PCR22を得た。な
お、5′プライマーの長さの制限(50bp以上の長いプ
ライマーDNAの合成は困難)により、MaxのN末端か
らClaIサイトまでの配列は除いてある。
【0033】4)M13-M43Dの作製 上記で得たM13-PCR22ではMaxのN末端部分か
らClalサイトまでが欠けているのでClalサイトでつな
いでMax全長を作製した。
【0034】具体的には、M13-PCR22のRF
DNAをClalとEcoRlで切断し、アガロースゲル電気
泳動で170bp断片(ClalサイトからC末端まで、Ps
tlサイトを含む)を精製した。これをM13-M43B
(ClalとEcoRlで切断したもの。MaxのN末端からC
lalサイトまでを含むベクター)にライゲーション後、
coli JM105に導入し、トランスフォームされ
たクローンのRF DNAを調製した。
【0035】5)M13-M65の作製 M13-M43DからMaxのβシート部分に相当する配
列(PstlサイトとBstXlサイトの間)を取り除いてフ
レームが合うようにつなぎ合わせた。
【0036】具体的には、M13-M43DのRF D
NAをPstlで不完全に(2箇所のサイトがあるが1箇
所だけを切断するように)切断し、さらにBatXlで切
断後、それらの切断端(3′突出末端)をT4 DNA
ポリメラーゼで消化して平滑化した。この平滑末端のセ
ルフライゲーションにより環状化したものを、coli
JM105に導入し、トランスフォームされたクローン
のRF DNAおよび一本鎖DNAを調製した。一本鎖
DNAの塩基配列決定を行い、目的のDNAができてい
たクローンを選択した。
【0037】6)pSD-M65の作製 目的の配列になっていたM13-M65のDNAを発現
ベクターpGEX-2Tに組換えた。
【0038】具体的には、M13-M65のRF DN
AをBamHlとEcoRlで切断後、アガロースゲル電気泳
動で140bp断片(M65遺伝子全長)を精製した。こ
れをベクターpGEX-2Tとライゲーション後、co
li HB101に導入した。こうしてM65の発現ベク
ターpSD-M65で形質転換したcoli HB101
を得た。
【0039】なお、上記1)〜6)の各段階のPCR
法、遺伝子組換え法、形質転換法等はそれ自体既知の標
準的方法で実施でき、必要があれば、遺伝子工学ハンド
ブック、実験医学別冊、羊土社版、1991、を参照さ
れたい。
【0040】M65の生産 pSD-M65で形質転換ししたcoli HB101を
LB培地中、37℃にて3時間培養増殖させた。菌株の
対数増殖期に、109細胞当り1mMのイソプロピル-β
-D-チオガラクトピラノシド(IPTG)を培地へ添加
し、GST-M65融合タンパク質の生産を誘導し、さ
らに5時間培養を続けた。
【0041】遠心分離により集菌後、菌体をPBSで洗
浄し、超音波処理して菌体を破砕した。処理物を遠心分
離(8000rpm、10分)し、上清を得た。上清に
は、細胞の総タンパク質当り約5%の目的タンパク質が
含まれていた。この上清をGST-アフィニティーカラ
ム(グルタチオン-セファロース4B、Pharmacia)で
処理してGST-M65融合タンパク質を単離した。
【0042】GST-M65融合タンパク質の2mg/
mlの50mM TrisCl(pH8.0)150mM Na
Cl 2.5mM CaCl溶液に1ml当り10μgのト
ロンビン(持田製薬)を加え、37℃で1時間インキュ
ベートした。処理液をGST-アフィニティーカラム
(上述)で処理し、切り離されたM65を溶出した。溶
出液を逆相HPLC[カプセルパックC8・SG30
0、6×35mm、資生堂、溶出液:0.1%トリフル
オロ酢酸−水/アセトニトリル(1-60%)]で処理
した。吸光度214nmでタンパク質画分を検出し、目
的の画分を合わせて凍結乾燥した。
【0043】得られたポリペプチドM65をSDS−P
AGE(10〜20%ゲル)で純度および分子量を確認
後、ペブチドシーケンサー(ABI471A)でCys以
外の全アミノ酸配列を決定し、M65が次のアミノ酸配
列(配列番号8参照)からなることを確認した。なお、
分子量はMALDI(マススペクトル)により4237
を示した。
【0044】 GS−CDATCQFRKAIDDCQKQAHHSNV− PGNSVFKECMKOKKKEFKAGKM98の生産 M98は配列番号9で示されるアミノ酸配列を有する。
【0045】上記で得られたサブクローニングベクター
M13−M43Dおよび発現ベクターpSD−M65を
使用して、図8および図9に示すようにM98の発現ベ
クターを構築することができる。このように構築した発
現ベクターをcoli HB101に導入した形質転換
体を、上記M65の生産に用いたのと同様の方法によつ
て培養し、菌体を処理し、目的ポリペプチドを単離する
ことによりM98を得た。
【0046】Nspの生産 Nspは配列番号7のアミノ酸配列を有する。
【0047】1)Nsp断片の作製(図10参照) 上記のように構築したpSD-M43Bベクター0.5m
gを制限酵素Nsplで切断した後、その反応産物を宝酒
造DNA Blunting kitにより処理し、3′突出末端を
平滑化した。これをアガロースゲル電気泳動で分離し、
ゲルから〜250bp断片を精製した。
【0048】2)M13mp11−Nspの作製 上記断片を宝酒造BamHl linker 3′-d(pCCGGATCCGG)-5′ とライゲーションした後、制限酵素BamHlとEcoRlで
切断した。これをアガロースゲル電気泳動で分離し、ゲ
ルから〜180bp断片を精製した。これをベクターM1
3mp11(マルチクロニングサイト中のBamHlとEco
Rlで切断したもの)にライゲーションの後、E.coll
JM105に導入し、トランスフォームされたクロー
ンのDNAの塩基配列を確認した。塩基配列決定はM1
3dideoxy 法(東洋紡Sequensing kit)で行い、日立
蛍光DNAシーケンサーで解析した。
【0049】3)pGEX-2t-H-Nspの作製 目的の配列になっていたM13mp11-NspのDNAを
発現ベクターpGEX−2t−Hに組み換えた。
【0050】pGEX-2t-H-Nspで形質転換されたE.
coli HB101をLB培地中、37℃にて3時間培養
した。菌体の対数増殖期に1mMのイソプロピル-β-D
-ガラクシド(IPTG)を培地へ添加し、GST-Nsp
融合タンパク質の生産を誘導し、さらに5時間の培養を
続けた。
【0051】遠心分離により集菌後、超音波処理し菌体
を破砕した。処理物を12000rpmで20分遠心し、
得られた上清をPharmaciaグルタチオン-セファロース
4Bへ添加した。カラム内でトロンビン処理し溶出する
ことにより切り離されたNsp粗画分を得た。この溶出液
を逆相HPLC(資生堂カプセルパックC8.SG30
0.6×35mm)により精製した。
【0052】得られたポリペプチドNspをSDS-PA
GEゲルで純度および分子量を確認後、ペプチドシーケ
ンサー(ABI471A)でN末端より20アミノ酸ま
で確認した。また、分子量はMALDI(マススペクト
ル)により確認した。
【0053】生物学的活性のアッセイ M65、M98およびNspの生物学的活性をGSIL−
Max[マキサディラン(配列番号1のアミノ酸配列)の
N末端にGSIL−が結合したもの、同時係属出願:平
成5年12月12日付特願平5−344275号参照]
およびCGRPの生物学的活性と対比しながら示す。
【0054】1)上記各ペプチド類について、Lerner
ら、J.Bio.Chem.,Vol.267、1063ペー
ジに記載の方法に従い、ウサギ皮膚での紅斑形成活性を
評価した。
【0055】剃毛した白ウサギの皮内に、生理食塩水を
用い各種濃度で溶解した試料の希釈液を50μlずつ注
射した。注射後、30分および2時間目にウサギの皮膚
に形成した紅斑を観察した。
【0056】2)上記各試料の希釈液を白ウサギの皮下
血管内へ注射し、各試料の出血性および周囲の太い血管
の拡張活性を観察した。
【0057】結果を下記表にまとめて記載する。
【0058】
【表1】
【0059】
【発明の効果】本発明によれば、マキサディランおよび
CGRPの生物学的活性と二次構造との関連性を示す知
見に基づき、特に、多様な血管拡張作用および抗血栓形
成作用を示す新規ポリペプチド(タンパク質)が提供さ
れる。
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】
【表4】
【0063】
【表5】
【0064】
【表6】
【図面の簡単な説明】
【図1】マキサディランの推定ヘリックス部分を車輪モ
デルで示す図である。
【図2】マキサディランとCGRPの二次構造を模式的
に表した図である。
【図3】マキサディラン遺伝子の発現ベクターの略図で
ある。
【図4】ベクターM13-M43Bの構築のための工程
図である。
【図5】ベクターM13PCR22の構築のための工程
図である。
【図6】ベクターM13-M43Dの構築のための工程
図である。
【図7】発現ベクターpSD-M65の構築のための工程
図である。
【図8】ベクターM13-M98の構築のための工程図
である。
【図9】pSD-M98の構築のための工程図である。
【図10】Nsp断片の作製のための工程図である。
フロントページの続き (72)発明者 脇田 かおり 神奈川県横浜市金沢区福浦2−12−1 株 式会社資生堂第2リサーチセンター内 (72)発明者 田島 正裕 神奈川県横浜市金沢区福浦2−12−1 株 式会社資生堂第2リサーチセンター内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(I) R1−Helix(1)−R2−Helix(2)−R3 (I) 上式中、Helix(1)は配列番号1に示されるアミノ酸
    配列中の配列Ile(11)〜Ser(21)の基を表し、 Helix(2)は配列番号1に示されるアミノ酸配列中の
    配列Val(47)〜Ala(61)の基を表し、 R1はHelix(1)のN末端アミノ酸残基(Ile)のア
    ミノ基を形成する水素原子もしくは該残基のアミノ保護
    基、配列番号1に示されるアミノ酸配列中の配列Gln
    (6)〜Ala(10)または該配列中のアミノ酸残基1
    個以上が他のアミノ酸残基により置換された基、ならび
    に配列番号1に示されるアミノ酸配列中の配列Cys
    (1)〜Ala(10)−で示される基もしくは該基中の
    アミノ酸残基1個以上が他のアミノ酸残基により置換さ
    れた基またはこれらの基のN末端アミノ酸のアミノ基に
    さらにC−末端アミノ酸のカルボキシル基を介して未修
    飾または修飾されたペプチド残基が結合した基からなる
    群より選ばれる基を表し、 R2はHelix(1)のSer(21)のカルボキシル基と
    Helix(2)のVal(47)のイミノ基とを介してHel
    ix(1)とHelix(2)を連結する基を表し、そしてR
    3はHelix(2)のC末端アミノ酸残基(Ala)のカル
    ボキシル基を形成するヒドロキシル基、該カルボキシル
    基と一緒にカルバモイル基を形成するアミノ基、ならび
    に該カルボキシル基の保護基、該カルボキシル基とN末
    端アミノ酸を介して結合する未修飾または修飾されたペ
    プチド残基、からなる群より選ばれる基を表すが、但
    し、 R1が該配列Cys(1)〜Ala(10)−で示される基
    または該基のN末端アミノ酸のアミノ基にさらにC末端
    アミノ酸のカルボキシル基を介して未修飾または修飾さ
    れたペプチド残基が結合した基を表す場合には、R2
    連結基は配列番号1に示されるアミノ酸配列中の配列A
    sn(22)〜Ser(46)で示される基以外の基を表
    す、のポリペプチド類。
  2. 【請求項2】 R2の連結基が配列番号1のアミノ酸配
    列中の配列Asn(22)〜Ser(46)で示される基、
    または該基のアミノ酸残基の1個以上が他のアミノ酸残
    基により置換された基もしくはアミノ酸残基の1個〜1
    9個が欠失した基である請求項1記載のポリペプチド
    類。
  3. 【請求項3】 R1が配列番号1に示されるアミノ酸配
    列中の配列Cys(1)〜Ala(10)−で示される基ま
    たは該基のN末端アミノ酸のアミノ基へさらにGly−S
    er−Ile−Leu−、Gly−Ile−Leu−、Gly−Ser−
    およびGly−Ser−Gly−からなる群から選ばれるペプ
    チド残基が結合した基であり、かつR2がAsn(22)
    〜Ser(46)で示される基以外の基である請求項2記
    載のポリペプチド類。
  4. 【請求項4】 R1が配列番号1に示されるアミノ酸配
    列中の配列Gln(6)〜Ala(10)−で示される基ま
    たは該基のアミノ酸残基の1個以上が他のアミノ酸残基
    により置換された基、あるいは該基のN末端アミノ酸の
    アミノ基へさらにGly−Ser−Ile−Leu−、Gly−I
    le−Leu−、Gly−Ser−およびGly−Ser−Gly−か
    らなる群より選ばれるペプチド残基が結合した基である
    請求項2記載のポリペプチド類。
  5. 【請求項5】 R1が前記配列Gln(6)〜Ala(1
    0)−で示される基または該基のN末端アミノ酸のアミ
    ノ基へさらにGly−Ser−Ile−Leu−、Gly−Ile−
    Leu−、Gly−Ser−およびGly−Ser−Gly−からな
    る群より選ばれるペプチド残基が結合した基であり、R
    2が前記配列Asn(22)〜Ser(46)で示される基
    である請求項4記載のポリペプチド。
  6. 【請求項6】 R3がHelix(2)のC末端アミノ酸残
    基(Ala)のカルボキシル基を形成するヒドロキシル
    基、該カルボキシル基と一緒にカルバモイル基を形成す
    るアミノ基、ならびに該カルボキシル基とN末端アミノ
    酸のアミノ基を介して結合する−Gly、−Gly−Lys
    およびこれらのカルバモイル化基からなる群より選ばれ
    る請求項1〜5のいずれかに記載のポリペプチド類。
  7. 【請求項7】 配列番号7、配列番号8または配列番号
    9に示される請求項1記載のポリペプチド類。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020522476A (ja) * 2017-06-02 2020-07-30 アムジエン・インコーポレーテツド ペプチドpac1アンタゴニスト

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