JPH08334452A - 細孔内壁の撥液性評価方法およびその装置 - Google Patents

細孔内壁の撥液性評価方法およびその装置

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JPH08334452A
JPH08334452A JP14360095A JP14360095A JPH08334452A JP H08334452 A JPH08334452 A JP H08334452A JP 14360095 A JP14360095 A JP 14360095A JP 14360095 A JP14360095 A JP 14360095A JP H08334452 A JPH08334452 A JP H08334452A
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pores
liquid
gas
liquid repellency
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JP14360095A
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Takuya Kondo
拓也 近藤
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Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、細孔を有する部品の細孔内壁に施
す撥液処理の評価方法に関し、特に溶液の濡れ性を評価
特性として、気液界面の形状を連続的に変化させ、それ
が平坦になる時を以てその基準形状として、細孔内壁に
施す撥液処理を評価する方法およびその装置を提供す
る。 【構成】 撥液処理を施した細孔内壁を有する部品の細
孔内の撥液性を評価する方法であって、細孔の開放端よ
り途中まで濡れ性が既知の溶液を充填して気液界面を形
成し、前記溶液の濡れ性を変化させることにより、前記
気液界面の形状を連続的に変化させながら、前記気液界
面に振動波を照射し、その反射強度の変化を認識するこ
とによって、前記気液界面が平坦になる時点を求め、前
記溶液の濡れ性から、前記細孔内壁の撥液性を決定する
ことを特徴とし、前記溶液が、二種類の濡れ性の既知溶
液であり、前記振動波が光または超音波であることを特
徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、細孔を有する部品の細
孔内壁に施す撥液処理の評価方法に関し、特に溶液の濡
れ性を評価特性として、気液界面の形状を連続的に変化
させ、それが平坦になる時をもってその基準形状とし
て、細孔内壁に施す撥液処理を評価する方法およびその
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】内燃機関等の燃料噴射弁(以下、インジ
ェクタと呼称する)では、バルブの開閉によって、確実
に燃料を遮断または適量の流量を流さなければならな
い。また、燃料中にはオイル、添加物、水分等の異物が
存在し、これが作動中に堆積しデポジットと称する堆積
物が、燃料等の流れの障害となる。デポジットが堆積す
るとインジェクタ構成部品が高精度に製作されていて
も、燃料流の障害となり内燃機関では問題となってく
る。最近では、このような細孔を有する部品において、
液体を噴射するノズルの目詰まりを防止するため、ノズ
ル内壁に撥液処理を施すことが考えられている。例え
ば、特開平6−8416号公報には、ノズルオリフィス
が撥水処理を施してある記録ヘッドを用いることによ
り、目詰まり、吐出信頼性を実現するインクジェット記
録方法が開示されている。この場合には、ノズルオリフ
ィスとインクの濡れ性によって大きく左右されること、
また水に不溶の化合物を添加したインクの場合ノズルオ
リフィスで必ず乾燥による固化を発生することが開示さ
れている。
【0003】この場合にも、撥液処理膜がノズル内壁に
確実に形成されていなければ所望の効果が期待できない
ため、撥液処理膜が形成されていることを確認・評価す
ることが重要となる。従来は、例えば直径200 μm程度
のノズル内壁の撥液性を評価するため、機械加工によっ
てノズルを半割りしたのち、顕微鏡観察、SEM 観察、オ
ージェ分光分析法等を用いて評価していた。
【0004】しかし、この方法では、いずれもノズルを
半割りすることが前提となっており、ノズルを半割りす
ることは熟練と多工程加工を必要とするため時間・費用
を要する。さらに、ノズル半割内壁は凹面であるため、
一般的な撥液性の評価に用いられている水滴の接触角測
定法が利用できないため、撥液性の直接評価が困難とい
う問題がある。そこで、ノズルを半割りする必要のない
非破壊評価方法が要望されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来方法では、細孔の
切断加工効率の向上から放電加工機等が考えられるが、
これでは発生するスパッタが半割細孔の内壁に付着する
ため採用出来ず、現状では加工前に保護樹脂を細孔内部
に挿入した後で、フライス加工によって半割し、その後
で保護樹脂を取除くという作業に頼っている。
【0006】本発明の目的は、上記のような従来の問題
に鑑みその改善方法を検討し、これによって数十nmと薄
く無色透明で処理した撥液処理膜部位を、非破壊的手段
によって検定可能なる評価方法を提供することである。
また、撥液性の特性を直接的に評価する点からも、前述
のごとく細孔半割内壁は凹面であり、一般的に撥液性の
評価に用いられている水滴の接触角測定法が適用できな
い。そのため、ノズル半割内壁表面に存在する撥液性発
現物質(例えばFなど)の濃度を測定し、その結果から
撥液性を間接的に求めるしか方法が無かった。
【0007】本発明の他の目的は、細孔を濡れ性の分っ
た溶融中に浸漬、または充填し、されに気体を供給し
て、気液の界面(メニスカス)を形成し、溶液の濡れ性
の変化と相似な関係を有する光学的特性を利用すること
を検討し、この光の反射強度を特性値とする評価方法を
確立する。さらに、本発明の別の目的は、上記の光学的
方法より、さらに再現性よくかつ精度よく測定可能なる
他の波動の適用を検討し、同時に使用する溶液のリサイ
クル処理が可能となる方法を提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、撥液処理
を施した細孔内壁を有する部品の細孔内の撥液性を評価
する方法であって、細孔の開放端より途中まで濡れ性が
既知の溶液を充填して気液界面を形成し、前記溶液の濡
れ性を変化させることにより、前記気液界面の形状を連
続的に変化させながら、前記気液界面に照射し、その反
射強度の変化を測定することによって、前記気液界面が
平坦になる時点を求め、その時点での前記溶液の濡れ性
から、前記細孔内壁の撥液性を決定することを特徴とす
る細孔内壁の撥液性評価方法によって達成される。
【0009】また、上記の目的は、前記溶液が、二種類
の濡れ性の既知溶液であり、前記振動波が光である細孔
内壁の撥液性評価方法によっても達成される。さらに、
上記の目的は、前記溶液が、二種類の濡れ性の既知溶液
であり、前記振動波が超音波である細孔内壁の撥液性評
価方法によっても達成される。また、上記の目的は、撥
液処理した細孔を有する部品を所定位置に保持する保持
部材と、二種類の濡れ性の異なる溶液を貯留する溶液容
器と、前記二種類の溶液の混合割合を制御する溶液混合
制御装置と、前記混合溶液を貯留する混合溶液槽と、さ
らに該細孔内の気液界面に振動波を照射すると共に、そ
の反射振動波の強度を測定する振動波発信受信器を備え
たことを特徴とする細孔内壁の撥液性評価装置によって
も達成される。
【0010】また、上記の目的は、前記細孔内に気体を
導入する気体導入器を、さらに備えた細孔内壁の撥液性
評価装置によっても達成される。また、一種類の溶液を
準備し、溶液の温度を変化させることによリ、その際の
濡れ性の変化による気液界面の溶液の形状変化を、該気
液界面に照射した振動波の反射強度を測定することによ
り調べることを特徴とする細孔内壁の撥液性評価方法に
よっても達成される。
【0011】さらに、溶媒と溶質を準備し、溶質を溶媒
に溶かし、その溶液の濃度を変化させることにより、そ
の際の濡れ性の変化による気液界面の溶液の形状変化
を、該気液界面に照射した振動波の反射強度を測定する
ことにより調べることを特徴とする細孔内壁の撥液性評
価方法によっても達成される。また、表面張力の異なる
二種類の溶液を準備し、両溶液の混合比を変化させるこ
とにより、その際の濡れ性の変化による気液界面の溶液
の形状変化を、該気液界面に照射した振動波の反射強度
を利用した界面位置測定により調べることを特徴とする
細孔内壁の撥液性評価方法によっても達成される。
【0012】さらに、撥液処理を施した細孔内壁を有す
る部品の細孔内の撥液性を評価する方法であって、細孔
の途中まで溶液を満たし、該部品の細孔内部と外部の界
面位置を、気液界面に照射した振動波の反射を利用して
測定し、細孔内部と外部の界面距離の差から細孔内壁の
撥液性を評価することを特徴とする細孔内壁の撥液性評
価方法によっても達成される。
【0013】
【作用】本発明は、細孔の途中まで充填した溶液の濡れ
性を変化させることによって、反射光がピーク強度を示
す時の溶液の濡れ性と細孔内壁の撥液性とは一定の相関
関係があることを利用して、反射光のピーク強度を測定
することにより撥液処理した細孔内壁の撥液性を評価す
ることができる。また、本発明では、細孔を切断するこ
ともなく、非破壊検査が可能となる。また、本発明では
細孔の深さ方向に対しては、溶液/空気界面の位置の撥
液性が測定されるので、界面を移動することは空気量を
調節するだけで容易に制御でき、溶液の液面を調整する
ことによって、細孔内壁長手方向の撥液性の連続評価が
可能である。また、表面張力は分子間引力が基となって
いるため温度によって変化する。すなわち、溶液の表面
張力、濡れ性は溶液の温度と一定の相関関係がある。
【0014】また、振動波の反射光ピーク強度時の溶液
の濡れ性は内壁の撥液性と一定の相関関係がある。この
ため、本発明では溶液の温度を変化させ、気/液界面の
反射ピーク強度を調べることにより、撥液性を判断する
ことができる。さらに、溶液の表面張力は溶液濃度に依
存しているため、濃度により表面張力を制御できる。す
なわち、前記溶液温度の制御と溶液濃度の制御との点で
異なるのみで、同様に撥液性を評価できる。さらに、本
発明は、内壁の撥液性を表面張力の異なる二種類の混合
溶液の空気との界面の位置で評価する方法である。この
両者には一定の相関関係があり、細孔内の毛細管現象に
よる溶液の高さhが、0の時の表面張力を以て界面の撥
液性とすることができる。
【0015】さらに、本発明では、細孔内壁外部と内部
の界面距離の差Δhは、臨界表面張力γとの間に、Δh
=2γcos θ/rρg の関係が成り立つ。そして、細孔内
壁の撥液性が低い場合には、溶液はよく濡れて接触角θ
はθ<90°となり、逆の場合は接触角θ>90°となる。
このため、界面位置の差と溶液の表面張力の間には一定
の相関関係があり、界面距離の差Δhを求めることで細
孔内壁の撥液性を評価することができる。
【0016】次に、本発明の評価方法の限定理由につい
てさらに説明する。一般に、溶液の表面張力の値は、溶
媒分子間の相互作用のほかに溶媒と溶質の相互作用があ
るため、溶質の濃度により変化する。一方、固体表面上
における液滴の表面と固体表面との交点において、液滴
に引いた接線と固体表面とのなす角は、接触角といわ
れ、これの大小によって濡れ性が定義される。また、撥
液性はこの濡れ性とは、逆の関係にあり、すなわち濡れ
性が大の場合は、撥液性は小となる。図2(a)〜
(c)はこの関係を示し、(a)では溶液の表面張力は
大きく、濡れ性は小さく、撥液性は大であり、界面位置
はエア側にシフトする。(c)ではこの逆の場合であ
り、溶液の表面張力は小さく、濡れ性は大きく、撥液性
は小であり、界面位置は溶液側にシフトする。それらの
中間に(b)のような平坦な表面を呈する時点が存在す
る。
【0017】これら表面に溶液3側から光を照射する
と、エア4側に一部吸収されるがその反射光量は表面の
形状によって影響を受ける。すなわち、図2(d)はこ
の状態を示し、また表面が凹凸を呈する(a)または
(c)の場合は反射光の強度は低い。一方、(b)のよ
うな平坦な場合には、反射光の強度は最大となる。以上
の現象を利用した本発明の基本的技術思想は、溶液の濡
れ性を連続的に変化させた時の溶液/空気界面の形状変
化を測定し、その界面が平坦となる時の溶液の濡れ性を
もってノズル内壁の撥液性とする方法である。
【0018】以下、本発明の実施例について、添付の図
面を参照して説明する。
【0019】
【実施例】
実施例1 本発明の実施例を図1(a)、(b)および(c)に示
す。例えば、自動車エンジンに使用される燃料噴射用イ
ンジェクタ1には数百μm程度のノズル12が設けてあ
る。この場合に、このノズル内壁の撥液性を高くするこ
とができれば、デポジット堆積によるインジェクタの燃
料流量の低減を回避できる。本実施例はこの撥液性付与
膜に対するノズル内壁の撥液性評価に適用したものであ
る。
【0020】本実施例の装置は、実際に測定を行う溶液
槽2と、光学系として光発信受信器6および光学素子5
と、既知二液を貯留し供給する容器としてのサブ混合槽
8からなる。また、図1(b)は(a)図のノズル部A
の拡大図で、溶液が途中まで充填され、メニスカス16
を形成した状態を示す。次に、本実施例の測定方法につ
いて説明する。インジェクタ1を溶液槽2の中に浸漬で
きるように保持部材(図示せず)に固定する。インジェ
クタノズル1内部の途中までエア導入器7を用いてエア
4を入れる。
【0021】次いで、ノズル12上部から、光発受信器
6より光11を照射して、溶液/空気界面からの反射光
を光学素子5で検出する。図1(c)は、本実施例の光
学素子5部の詳細を示す図である。この図において、半
導体レーザー素子19からの波長780nm のレーザー光
は、半透過鏡21を通して光ファイバー22(直径0.2m
m)に入れる。そして、光ファイバー22端をノズル上部
に固定してレーザー光を内部に導く。反射光は光ファイ
バー22を通り、半透過鏡21でその半分が反射して受
光素子20に入る。反射光の強度は受光素子20におい
て、電圧強度に変換される。
【0022】その状態で溶液の濡れ性を連続的に変化さ
せる。ここでは、濡れ性の低い水(表面張力:約73mN・
m -1)と濡れ性の高いエチルアルコール(表面張力:約
23mN・m -1)の混合比を溶液混合制御装置(図示せず)
によって調整し、サブ混合槽8の中で変化させることに
より、溶液の濡れ特性を制御する。溶液の表面張力が高
い場合は、ノズル内の溶液/空気界面は内壁から離れよ
うとして空気へ凸の状態になる。一方、表面張力が低い
場合は逆に内壁に接しようとして凹の状態になる。その
中間で界面が平坦になる溶液の塗れ性が存在する。ま
た、界面位置は、前者で空気側に、後者で溶液側にシフ
トする。
【0023】前述のように、溶液の濡れ性を連続的に変
化させると、溶液/空気界面の形状が変化する。そして
この界面からの反射光の強度も連続的に変化し、界面が
平坦な時に反射強度が最大となる。この時の溶液の塗れ
性を持って界面におけるノズル内壁の撥液性と定義で
き、図2(e)に示すように反射ピーク時の溶液濡れ性
から、内壁の撥液性を求めることができる。さらに、溶
液/空気界面の位置を変化させれば、ノズル内壁の撥液
性を全長にわたって連続的に評価できる。
【0024】実施例2 本発明の実施例2を図3(a)および(b)に示す。本
実施例では、透明なガラス容器15の中に溶液を入れ、そ
こにインジェクタをノズル内部に溶液/空気界面(メニ
スカス)が形成できるように浸漬する。また、図3
(b)は(a)図のノズル部Aの拡大図で、溶液が途中
まで充填され、メニスカス16を形成した状態を示す。
【0025】本実施例では、図3(a)に示すように、
インジェクタ1を溶液3に対して上部に保持して、ガラ
ス容器15の下面からノズル12内部に光を照射して、溶液
/空気界面からの反射光を光学素子5で検出する。その
他は実施例1と同じである。本実施例では、溶液の使用
量が少なく効率がよいが、反射光量は溶液での吸収が大
きくなるため、僅か反射強度の絶対値は低下するが、測
定には影響ない。
【0026】実施例3 本発明の実施例3を図4(a)および(b)に示す。図
4(b)は(a)図のノズル部Aの拡大図で、溶液が途
中まで充填され、メニスカス16を形成した状態を示
す。本実施例は実施例1の光の照射方向を下方向とした
ものである。すなわち、インジェクタ1内部のエア導入
部18に燈火機能を併せ持たせた。すなわち、図4(a)
のように、インジェクタ1を溶液3に浸漬できるように
保持部材(図示せず)に固定して、光源としての燈火装
置13をインジェクタ1の後部に設け、光をインジェク
タ1のノズルを貫通させ、溶液/空気界面を通して、光
学素子5に入射させ光受信器17に受け、その強度を測定
するものである。本実施例では、貫通光の強度を直接測
定するもので、溶液等による吸収の影響を受けずかなり
強度レベルの高い光を光学素子で受光するものである。
すなわち、これにより、溶液/空気界面は一種のレンズ
の働きをなす。界面形状が凹凸の場合は光は屈折し、透
過光の強度は低下する。界面形状が平面の場合は光の屈
折が少なく、透過光の強度が強くなる。
【0027】この方法は、実施例1のように光学素子に
発光と受光の両機能を持たす必要がなく、装置の低コス
ト化が可能となる。 実施例4 本実施例では、溶液の温度を変化させることにより、溶
液の表面張力、濡れ性を変化させるものである。表面張
力は分子間の力が原因と成っていることから、温度によ
って変化する。温度上昇に伴い表面張力は低下し、臨界
温度(気液界面の場合では沸点に相当)においては気体
と液体の区別がなくなり、表面張力はなくなる。以上の
考えから、Eotovsは次式を提案している。
【0028】γ(M/ ρl )2/3 = K(Tc - T) ここで、K:定数、M:分子量、ρl : 液体の密度、T c :
臨界温度である。 上記式に基づけば、純水、ベンゼンおよびエチルアルコ
ールの表面張力の温度依存性は図6のようになる。一
方、本実施例のノズルはステンレス製であり、臨界表面
張力γc の値は60〜40mN/mである。ここで、臨界表面張
力とは、材料が完全に濡れる液体の表面張力のことを意
味する。また、撥液性付与膜処理を行ったものの臨界表
面張力γc の値は20mN/m前後である。従って、ノズルの
撥液特性を評価するためには、溶液の表面張力を60〜20
mN/mの範囲で変化させることが必要となる。そこで、本
実施例における溶液としては純水を用い、温度範囲を室
温から80℃とした。本実施例の測定例を図5(a)およ
び(b)に示す。図5(b)は(a)図のノズル部Aの
拡大図で、溶液が途中まで充填され、メニスカス16を
形成した状態を示す。
【0029】本実施例の評価例では実施例1のサブ混合
槽の代りに、溶液の温度制御をするための加熱冷却装置
14を設置したもので、その他は実施例1と同じである。 実施例5 実施例1〜5では、界面形状の測定法として光学方式を
採用したものである。しかし、水およびアルコールのよ
うに無色透明な溶液では、光は水およびアルコール/空
気界面であまり反射せず殆どが透過する。この点は、溶
液を着色すれば改善可能であるが、本実施例では光以外
の界面測定法を検討し、この検討の結果として、超音波
を用いるものである。通常、超音波は物体中を縦波とし
て伝播し、亀裂や介在物等の界面があればそこで反射ま
たは屈折する。その程度は界面を構成する二つの物質中
の音速の違いに強く依存する。水中と空気中で音速は、
それぞれ1400、360m/secと四倍程度違っている。そのた
め、水およびアルコール/空気界面で超音波は反射し易
いといえる。従って、水およびアルコールのように無色
透明な溶液においては、光より超音波のほうが、水およ
びアルコール/空気界面からの反射強度が相対的に高く
なり、測定が容易になる。
【0030】本実施例の超音波を用いた測定例を図7
(a)および(b)に示す。図7(b)は(a)図のノ
ズル部Aの拡大図で、溶液が途中まで充填され、メニス
カスを形成したノズル内の状態を示す。基本的には、下
面からの光学方式による実施例2において、測定方式を
超音波方式としたもので、超音波発信受信器24によっ
て、超音波探触子23から超音波25を発信し、界面で
反射した超音波強度を測定するものである。本実施例で
は、超音波探触子23にPZT セラミックス製振動子( 電
圧印可により歪みを生じ、逆に歪ませると電圧が発生す
る素子) を用い、超音波の発信受信を行うことにした。
なお、超音波探触子23の周波数は、25MHz 級のものを
用いた。
【0031】本実施例の超音波方式でのノズル内部概略
と超音波信号のデータ例を併せて、図8(a)、(b)
および(c)に示す。図8(a)はノズル内部概略図
で、超音波探触子23から超音波25を界面に発信し、
界面形状(1)、(2)および(3)に対応した反射強
度を測定する図で、(b)は時間または距離と超音波強
度の関係を示し、界面の位置と形状に対応して反射波2
7の検出時間(距離に相当)と反射強度を示した図で、
(c)は、(b)図の超音波反射強度も光学方式と同様
に空気中に、凸面→平面→凹面と変化するに伴い、増加
・減少し極大値を示す。この極大値を示す溶液の表面張
力をもって、ノズル内壁の撥液性として評価できる。
【0032】実施例6 本実施例は、溶液の濡れ性を示す表面張力の制御方法と
して溶液の溶質濃度を変化させる方式である。図9は、
水に各種物質を溶解した際の表面張力の変化を示す。こ
の図より、水に有機化合物、例えば酪酸を溶解すれば、
初期の表面張力72mN/mを40mN/mまで低下させることがで
きる。溶液の表面張力は溶液濃度に依存しているので、
濃度により表面張力を制御できる。本実施例による測定
例を図10に示す。基本的には実施例5の超音波による表
面張力制御方式を溶質添加方式に変更したものであり、
装置として、図10(a)において酪酸供給装置26をサ
ブ混合槽8に近接して設けたものである。
【0033】実施例7 本実施例は、細孔内壁の撥液性を水およびアルコール/
空気界面の位置において評価する方法である。例えば、
濡れ易い、表面張力の小さい溶液をノズルに垂直に充填
する場合を考える。毛細管現象として知られるように、
ノズル内界面は凹面となり、ある高さhまで上昇する。
その時の内面と液面の接触角をθ、ノズルの半径r、凹
面界面を半球面と考えてその曲率半径Rとすると、R=
r/cosθで、高さhは表面張力γを使って下記の式で
求められる。
【0034】h = 2 γcos θ/rρg ここで、ρは液体の密度、g は重力加速度である。その
概略を図11に示す。前記式より、表面張力の小さい溶液
で接触角は、θ<90°で高さh >0 となり、表面張力の
大きい溶液では逆に、接触角はθ>90°でh <0 とな
る。その中間の溶液で、θ=90 °となり、h=0 となる。
【0035】この水およびアルコール/ 空気界面の高さ
h は、超音波によって求めることが可能である。その測
定例を図8に示す。ノズルのない場合の水およびアルコ
ール/空気界面までの距離から、ノズル内の界面までの
距離を求めればhとなる。こうして求めた水およびアル
コール/空気界面の高さと溶液の表面張力とは、図12
に示すような関係が成り立つ。そして、h=0 の時の溶液
の表面張力をもって、ノズル界面の撥液性とする。本実
施例の測定例は、実施例6の図7と同じとなる。この
時、溶液の表面張力の制御は二液混合比の制御によって
行った。
【0036】実施例8 本実施例は、ノズル内壁の撥液性を、ノズル内部と外部
における水/空気界面の位置で以て評価する方法であ
る。本実施例では、図15に示すごとく、超音波発信受信
器24のようにノズル内部と外部の水/空気界面の位置
を測定できる装置を使用する。なお、図15(b)は
(a)図のノズル部Aの拡大図で、溶液が細孔途中まで
充填するように浸漬され、メニスカスを形成した状態を
示す。
【0037】先ず、ノズルの無い領域に超音波探触子2
3を設定し、同探触子23から水/空気界面の距離h0
を測定する。次に、超音波探触子23を水/空気界面に
平行に移動して、ノズル12直下に設定する。そして、
ノズル内部における水/空気界面の距離h1 を測定す
る。これら測定値から、ノズル内部と外部の界面距離の
差を求める。すなわち、Δh=h1 −h0 が求まる。
【0038】一方、固体界面が完全に濡れる場合の溶液
の表面張力(臨界表面張力)γと前記Δhの間には次の
関係が成り立つ。 Δh = 2 γcos θ/rρg ここで、ノズル内壁と液面の接触角をθ、ノズルの半径
r、凹面界面を半球面と考えてその曲率半径R、液体の
密度をρ、重力加速度をg とする。その概略を図13に示
す。本実施例では、超音波の照射条件等は実施例5と基
本的に同一としたものである。
【0039】図14は、前記式より、既知の表面張力の溶
液と未知の撥液性のノズル内壁の組み合わせを解析した
ものである。すなわち、溶液の表面張力に比べてノズル
内壁の撥液性が低い場合は、良く濡れて接触角は、θ<
90°となり、界面高さの差はΔh>0 (x軸の正領域) で
ある。一方、溶液の表面張力にの大きい溶液では逆に、
接触角はθ>90°でΔh <0 (x軸の負領域) となる。そ
の中間の溶液で、θ=90 °となり、Δh=0 となる。
【0040】以上の関係より、同じ表面張力を持つ(す
なわち同じ溶液、今回は水)を用いて、ノズル界面の撥
液性を評価できる。
【0041】
【発明の効果】本発明は、表面張力と濡れ性特性を事前
に検定し、細孔内部に形成する溶液/空気界面に対し
て、溶液濃度または溶液温度を連続的に変化させなが
ら、光または超音波を照射し、その反射または透過光量
を測定することによって、その溶液/空気界面の形状を
非破壊的に認識し、細孔の内壁の撥液処理による撥液性
皮膜の存否または量的評価を可能とする。さらに、本発
明を自動車用燃料噴射ノズルに適用することによって、
その撥液性工程管理の効率を向上し、合わせてその品質
管理上の迅速判定方法を提供することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係る撥液性評価方法および
装置の概要図であり、(a)全体の配置図、(b)A部
の拡大図、(c)光学素子部の一例を示す図である。
【図2】本発明方法の原理を示す図で、(a)撥液性が
大、(b)撥液性を定義する界面状態、(c)撥液性が
小の場合、(d)濡れ性と光強度の関係、(e)溶液の
濡れ性から細孔の撥液性を求める検量線を示す図であ
る。
【図3】本発明の実施例2に係る撥液性評価方法および
装置の概要図であり、(a)全体の配置図、(b)A部
の拡大図である。
【図4】本発明の実施例3に係る撥液性評価方法および
装置の概要図であり、(a)全体の配置図、(b)A部
の拡大図である。
【図5】本発明の実施例4に係る撥液性評価方法および
装置の概要図であり、(a)全体の配置図、(b)A部
の拡大図である。
【図6】本発明の実施例4に係る撥液性評価の液体の温
度と表面張力の関係を示す図である。
【図7】本発明の実施例5に係る撥液性評価方法および
装置の概要図であり、(a)全体の配置図、(b)A部
の拡大図である。
【図8】本発明の実施例5に係る超音波による撥液性評
価を示し、(a)ノズル内部概略、(b)時間/距離と
超音波強度の関係を示し、(c)溶液の濡れ性と超音波
強度の関係を示す図である。
【図9】本発明の実施例6に係る撥液性評価の液体の濃
度と表面張力の関係を示す図である。
【図10】本発明の実施例6に係る撥液性評価方法およ
び装置の概要図であり、(a)全体の配置図、(b)A
部の拡大図である。
【図11】本発明の実施例7に係る撥液性評価の液体の
毛細管現象を示す図である。
【図12】本発明の実施例7に係る気液界面の位置と表
面張力との関係を示す図である。
【図13】本発明の実施例8に係る撥液性評価を説明す
るための図である。
【図14】本発明の実施例8に係る気液界面の距離差と
表面張力との関係を示す図である。
【図15】本発明の実施例8に係る撥液性評価方法およ
び装置の概要図であり、(a)全体の配置図、(b)A
部の拡大図である。
【符号の説明】
1…インジェクタ 2…溶液槽 3…溶液 4…エア 5…光学素子 6…光発信受信器 7…エア導入器 8…サブ混合槽 9…アルコール 10…水 11…光路 12…ノズル部 13…燈火装置 14…加熱冷却装置 15…ガラス容器 16…メニスカス 17…光受信器 18…エア導入部 19…半導体レーザ素子 20…受光素子 21…半透過鏡 22…光ファイバー 23…超音波探触子 24…超音波発信受信器 25…超音波 26…酪酸 27…反射波

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 撥液処理を施した細孔内壁を有する部品
    の細孔内の撥液性を評価する方法であって、細孔の開放
    端より途中まで濡れ性が既知の溶液を充填して気液界面
    を形成し、該溶液の濡れ性を変化させることにより、該
    気液界面の形状を連続的に変化させながら、該気液界面
    に振動波を照射し、その反射強度の変化を認識すること
    によって、該気液界面が平坦になる時点を求め、その時
    点での該溶液の濡れ性から、該細孔内壁の撥液性を決定
    することを特徴とする細孔内壁の撥液性評価方法。
  2. 【請求項2】 前記溶液が、二種類の濡れ性の既知溶液
    であり、前記振動波が光である請求項1記載の細孔内壁
    の撥液性評価方法。
  3. 【請求項3】 前記溶液が、二種類の濡れ性の既知溶液
    であり、前記振動波が超音波である請求項1記載の細孔
    内壁の撥液性評価方法。
  4. 【請求項4】 撥液処理した細孔を有する部品を所定位
    置に保持する保持部材と、二種類の濡れ性の異なる溶液
    を貯留する溶液容器と、該二種類の溶液の混合割合を制
    御する溶液混合制御装置と、該混合溶液を貯留する混合
    溶液槽と、さらに該細孔内の気液界面に振動波を照射す
    ると共に、その反射振動波の強度を測定する振動波発信
    受信器を備えたことを特徴とする細孔内壁の撥液性評価
    装置。
  5. 【請求項5】 前記細孔内に気体を導入する気体導入器
    を、さらに備えた請求項4記載の細孔内壁の撥液性評価
    装置。
  6. 【請求項6】 請求項1において、一種類の溶液を準備
    し、溶液の温度を変化させることによリ、その際の濡れ
    性の変化による気液界面の溶液の形状変化を、該気液界
    面に照射した振動波の反射強度を測定することにより調
    べることを特徴とする細孔内壁の撥液性評価方法。
  7. 【請求項7】 請求項1において、溶媒と溶質を準備
    し、溶質を溶媒に溶かし、その溶液の濃度を変化させる
    ことにより、その際の濡れ性の変化による気液界面の溶
    液の形状変化を、該気液界面に照射した振動波の反射強
    度を測定することにより調べることを特徴とする細孔内
    壁の撥液性評価方法。
  8. 【請求項8】 請求項1において、表面張力の異なる二
    種類の溶液を準備し、両溶液の混合比を変化させること
    により、その際の濡れ性の変化による気液界面の溶液の
    形状変化を、該気液界面に照射した振動波の反射強度を
    利用した界面位置測定により調べることを特徴とする細
    孔内壁の撥液性評価方法。
  9. 【請求項9】 撥液処理を施した細孔内壁を有する部品
    の細孔内の撥液性を評価する方法であって、細孔の途中
    まで溶液を満たし、該部品の細孔内部と外部の界面位置
    を、気液界面に照射した振動波の反射を利用して測定
    し、細孔内部と外部の界面距離の差から細孔内壁の撥液
    性を評価することを特徴とする細孔内壁の撥液性評価方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100337108C (zh) * 2004-03-18 2007-09-12 精工爱普生株式会社 具有防液膜的细管内壁的防液性评价方法及其评价装置

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