JPH0833704A - 湿潤時に表面が潤滑性を有する医療用具及びその製造方法 - Google Patents

湿潤時に表面が潤滑性を有する医療用具及びその製造方法

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JPH0833704A
JPH0833704A JP6170529A JP17052994A JPH0833704A JP H0833704 A JPH0833704 A JP H0833704A JP 6170529 A JP6170529 A JP 6170529A JP 17052994 A JP17052994 A JP 17052994A JP H0833704 A JPH0833704 A JP H0833704A
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直樹 石井
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Abstract

(57)【要約】 【目的】体液や水系溶媒中において永続的な低摩擦性を
有し、しかも安全性の高い医療用具を提供する。また、
医療用具の基材が反応性基を有していないポリオレフィ
ンなどの場合でも、湿潤時に潤滑性を有する重合体を基
材表面に簡便にコーティング可能な医療用具の製造方法
を提供することにある。 【構成】水溶性または水膨潤性重合体の架橋物または高
分子化物が、医療用具の基材表面で、相互貫入網目構造
を形成させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、医療用具に関する。更
に詳しくは、医療用具の材料表面に存在している重合体
により、湿潤時に優れた潤滑性を有する医療用具および
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】気管、消化管、尿道、血管、その他の体
腔や組織へ挿入されるカテーテル等の医療用具や、これ
らに挿入されるガイドワイヤー・スタイレット等の医療
用具の基材表面は、一般に血栓、組織接着、異物反応な
どが数多く確認される。したがって組織への損傷を低減
し、目的部位へ確実に挿入することが必要となり、さら
に組織内での留置の際の粘膜の炎症や損傷を最小限にす
るために潤滑性を有する表面が必要となってくる。
【0003】このため低摩擦材料を基材として用いた
り、さらに基材表面に潤滑剤をコーティングしたりして
いる。例えば、これら医療用具の基材としてフッ素樹脂
やポリエチレン樹脂等の低摩擦素材を用いたり、さらに
フッ素樹脂、シリコンオイル、オリーブオイル、グリセ
リン等を表面塗布したりしている。しかしながら、この
方法では永続的な潤滑性は期待できず、潤滑性を有する
物質の基材表面からの剥離、溶出、脱離等の安全性の面
で問題があった。また、基材として低摩擦材料である高
密度ポリエチレンを用いたり、オイルを表面塗布する場
合などがあるが、充分な潤滑性が得られず、また効果の
持続性がなく、オイル等が流失してしまったり、あるい
は表面の感触から、製品管理が困難になる懸念があっ
た。
【0004】米国特許第4100309号および特開昭
59−19582には、潤滑性を有する物質としてポリ
ビニルピロリドンとポリウレタンとの共重合体を用いる
旨が開示されている。この方法においては、潤滑性およ
び持続性の点では満足のいく方法であるが、塗布してあ
る重合体が2種類以上であること、また反応性基として
イソシアネート基の存在を必須としており、イソシアネ
ート基と反応性の低い基材および潤滑性を有する重合体
との反応は不可能であり、好ましくない。
【0005】特開昭59ー81341号には、医療用具
表面に未反応のイソシアネート基を生成させ、これとイ
ソシアネート基と共有結合可能な親水性重合体とを反応
させることにより潤滑性を付与する方法が開示されてい
る。この方法により、良好な潤滑性が得られ、その潤滑
性はある程度持続することが期待できる。しかし、この
方法では、親水性重合体がN−ビニル−2−ピロリドン
等を主成分とする時は、重合体の強度が充分でないた
め、繰り返し使用することで、潤滑性の低下という問題
がある。また、イソシアネート基などをコーティングし
たあとに潤滑性を有する重合体をコーティングする場合
には、コーティング工程が複数回以上になることや未反
応のイソシアネート基の存在などの懸念があり、あまり
好ましいものではない。
【0006】また、特公平1−55023号には、医療
用具の表面に単量体が2種類以上からなる共重合体を主
鎖とする活性水素を有する化合物をポリイソシアネート
化合物を介して結合させ、生体適合性を付与する方法が
開示されている。しかし、この方法においては、医療用
具を構成する基材の表面に、アミノ基、イミノ基、カル
ボキシル基、メルカプト基の少なくとも1種類以上の存
在が不可欠であり、ポリオレフィン、ハロゲン化ポリオ
レフィンなどの上記の官能基を有していない医療用具に
おいては処理が不可能であるという欠点がある。
【0007】さらに、特公平1−33181号には、医
療用具を構成する基材の表面に存在する反応性官能基と
無水マレイン酸系高分子とを共有結合させることによ
り、潤滑性を付与する方法が開示されている。しかし、
この方法においても医療用具を構成する基材の表面に反
応性官能基の存在が不可欠であり、反応性官能基を有し
ていない基材には直接導入できないという欠点がある。
さらに、反応性官能基を有していない基材を用いる場合
には、あらかじめ基材を反応性官能基を有する化合物の
溶液で処理することにより、基材の表面に反応性官能基
を存在させる方法が上記公報中に記載されているが、該
化合物が基材表面に安定に結合しないと潤滑性を発現す
る重合体も安定に結合できないという問題がある。
【0008】さらに、WO90/01344には、ポリ
ウレタン表面にコーティング操作により、アルカリ金属
アルコラート基、アミノ基、アルカリ金属アミド基、カ
ルボン酸基、スルホン酸基、マグネシウムハライド基お
よびフッ素ホウ素系錯体基の少なくとも一つを導入し、
さらにコーティング操作により、これらの官能基と反応
しうる親水性ポリマーを表面に固定化することが開示さ
れているが、コーティング操作が複数であること、さら
にオレフィン材料への適用は不可能であり、適用素材と
してかなり限定されるものであった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】以上のように医療用具
の表面上に潤滑性を付与するためには、疎水性基材の表
面に親水性ポリマーを固定化させることが最も好ましい
が、親水性ポリマーの耐久性から、効果と安全性を兼ね
備えた医療用具は存在していなかった。
【0010】したがって、本発明の目的は上記に述べた
問題点を解決し、体液や水系溶媒中において永続的な低
摩擦性を有し、しかも安全性の高い医療用具を提供する
ことにある。また、医療用具の基材が反応性基を有して
いないポリオレフィンなどの場合でも、湿潤時に潤滑性
を有する重合体を基材表面に簡便にコーティング可能な
医療用具の製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
に記載されている発明により達成される。 (1)水溶性または水膨潤性重合体の架橋物または高分
子化物が、医療用具の基材表面で、相互貫入網目構造を
形成したことを特徴とする湿潤時に表面が潤滑性を有す
る医療用具。 (2)該重合体がエポキシ基を有するブロックポリマー
であることを特徴とする(1)に記載の湿潤時に表面が
潤滑性を有する医療用具。 (3)該重合体がマクロモノマーであることを特徴とす
る(1)に記載の湿潤時に表面が潤滑性を有する医療用
具。 (4)水溶性または水膨潤性重合体を医療用具の基材が
膨潤する溶媒に溶解して該重合体溶液を作製し、該溶液
に医療用具の基材を浸漬して膨潤させ、さらに基材表面
で該重合体を架橋または高分子化させたことを特徴とす
る湿潤時に表面が潤滑性を有する医療用具の製造方法。
【0012】本発明においては、医療用具の基材表面が
溶媒により膨潤し、水溶性または水膨潤性重合体との間
に、相互貫入網目構造を生成することにより、該重合体
の基材への固定を強固にするものである。相互貫入網目
構造は、基材と該重合体層との界面で形成されていれば
良い。界面での結合を強化することにより、耐剥離性に
優れた表面潤滑層を形成させることとなる。
【0013】本発明において、医療用具を構成する基材
は、機械的強度が大きく寸法が著しく変化しなければ、
溶媒に対して膨潤すればいかなるものであっても構わな
いが、好ましくは式(1)の式により算出された膨潤率
が、1〜100%、好ましくは5〜40%、より好まし
くは10〜30%の条件で該重合体をコーティングでき
る基材と溶媒の組み合わせであることが望まれる。
【0014】
【数1】
【0015】また膨潤率の測定方法は以下の方法で測定
する。 (1)医療用具を構成する基材を1cm×3cm×0.
3mmのシートに切断し(この時の重量をWoとす
る)、溶媒25mlに浸漬させる。 (2)浸漬後、即座に表面に存在する溶媒を拭き取り、
重量変化(ΔW)を算出する。 浸漬時間に関しては、基材の寸法が著しく変化せず、要
求されている物性が保持される範囲内であれば、いかな
る時間でも構わないが、操作性の観点から1秒〜10
分、好ましくは10秒〜5分、より好ましくは30秒〜
3分であることが望まれる。
【0016】さらに、具体的な素材としては、ポリオレ
フィン、変性ポリオレフィン、ハロゲン化ポリオレフィ
ン、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエ
ステルあるいはこれらのブロックまたはグラフト共重合
体やアロイ化成型物や多層化成形物であり、アルカリ金
属アルコラート基、アミノ基、アルカリ金属アミド基、
カルボン酸基、スルホン酸基、マグネシウムハライド基
およびフッ素ホウ素系錯体基を含有する必要はなく、使
用する溶媒に膨潤すれば良い。
【0017】一方、本発明において湿潤時に潤滑性を有
する水溶性または水膨潤性重合体は、要求される機械的
強度や潤滑性の機能により異なるが、加熱処理や触媒を
添加することにより架橋するエポキシ基を有するブロッ
クポリマーや高分子化するマクロモノマーが好適に使用
される。また、患者の体温(30〜40℃)において吸
水し、潤滑性を発現する重合体であり、架橋または不溶
化した際に吸水率が100%以下のものである。
【0018】さらにブロックポリマーにおいては、潤滑
性を発現する部位とエポキシ基を有する部位とからなる
ブロック共重合体であることが望ましい。潤滑性を発現
する部位は、体液や水系溶媒中において潤滑性を発現す
ればいかなるものであっても良いが、合成の容易性や操
作性などを考慮すると、アクリルアミド、アクリルアミ
ド誘導体よりなる重合体、N,N−ジメチルアミノエチ
ルアクリレート、糖、リン脂質を側鎖に有する単量体を
構成成分とする重合体あるいは無水マレイン酸系重合体
などが挙げられる。無水マレイン酸系重合体としては、
水溶解性に限定されず、無水マレイン酸系高分子を主成
分としていれば不溶化されたものであっても、湿潤時に
潤滑性を発現するものであれば良い。さらに、基材を膨
潤させる溶媒に、重合体を溶解させてコーティングする
ことを考慮すると、有機溶媒にも可溶な重合体、すなわ
ち両親媒性重合体が好ましい。
【0019】一方マクロモノマーにおいては、枝の部分
が潤滑性を発現する部位で、幹の部分が加熱処理により
架橋または高分子化するドメインを有する部位であるこ
とが望ましい。具体的には、グリシジルメタアクリレー
トとジメチルアクリルアミドとのマクロモノマー、グリ
シジルメタアクリレートと無水マレイン酸・ヒドロキシ
エチルメタアクリレート共重合体とのマクロモノマー、
グリシジルメタアクリレートと無水マレイン酸・アクリ
ルアミド共重合体とのマクロモノマー等が例示される。
【0020】さらに本発明による医療用具とは、体液や
血液などと接触して用いる器具のことであり、体液や生
理食塩水などの水系液体中において表面が潤滑性を有
し、操作性の向上や組織粘膜の損傷の低減が可能なもの
である。具体的には、血管内で使用されるガイドワイヤ
ーやカテーテル等が挙げられるが、その他にも以下の医
療器が示される。 (1)胃管カテーテル、栄養カテーテル、経管栄養用チ
ューブなどの経口もしくは経鼻的に消化器官内に挿入な
いし留置されるカテーテル類。 (2)酸素カテーテル、酸素カヌラ、気管内チューブの
チューブやカフ、気管切開チューブのチューブやカフ、
気管内吸引カテーテルなどの経口または経鼻的に気道な
いし気管内に挿入ないし留置されるカテーテル類。 (3)尿道カテーテル、導尿カテーテル、バルーンカテ
ーテルのカテーテルやバルーンなどの尿道ないし尿管内
に挿入ないし留置されるカテーテル類。 (4)吸引カテーテル、排液カテーテル、直腸カテーテ
ルなどの各種体腔、臓器、組織内に挿入ないし留置され
るカテーテル類。 (5)留置針、IVHカテーテル、サーモダイリューシ
ョンカテーテル、血管造影用カテーテル、血管拡張用カ
テーテルおよびダイレーターあるいはイントロデューサ
ーなどの血管内に挿入ないし留置されるカテーテル類。
あるいは、これらのカテーテル用のガイドワーヤー、ス
タイレットなど。 (6)各種器官層入用の検査器具や治療器具、コンタク
トレンズなど。 (7)ステント類や人工血管、人工気管、人工気管支な
ど。 (8)体外循環治療用の医療器(人工肺、人工心臓、人
工腎臓など)やその回路類。
【0021】
【実施例】以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説
明する。 (実施例1)アジピン酸2塩化物72.3gに50℃で
トリエチレングリコール29.7gを滴下した後、50
℃で3時間塩酸を減圧除去して得られたオリゴエステル
22.5gにメチルエチルケトン4.5gを加え水酸化
ナトリウム5g、31%過酸化水素6.93g、界面活
性剤ジオクチルフォスフェート0.44g、水120g
よりなる溶液に滴下し、−5℃で20分間反応させた。
反応生成物を水洗、メタノール洗浄を繰り返した後、乾
燥させて分子内に複数のパーオキサイド基を有するポリ
過酸化物を得た。このポリ過酸化物を開始剤として0.
5g、グリシジルメタクリレート(GMA)9.5g
を、ベンゼン30gを溶媒として、80℃、2時間減圧
下で撹拌しながら重合体した。反応生成物は貧溶媒をジ
エチルエーテル、良溶媒をテトラヒドロフランとして精
製し、分子内に複数のパーオキサイド基を有するポリグ
リシジルメタアクリレート(PPO−GMA)を得た。
続いてPPO−GMA1.0gをジメチルアクリルアミ
ド9.0g、溶媒としてジメチルスルフォキシド90g
を仕込み、減圧で密閉にした後、80℃に加熱して18
時間重合反応を行なった。反応後、貧溶媒をジエチルエ
ーテル、良溶媒をテトラヒドロフランとして精製し、分
子内にエポキシ基材を有する潤時に潤滑性を発現するブ
ロックポリマーを得た。本ポリマーはNMRおよびIR
測定により、分子内にエポキシ基の存在が確認できた。
【0022】上記ブロックポリマー2重量部と触媒とし
てピリジン1重量部を1,4−ジオキサンに溶解した。
本溶液にポリウレタン(ダウケミカル社製:ペレセン75
D )の1cm×3cm×0.3mmのシートを30秒間
させた。そのときの膨潤率は、25%であった。さら
に、コーティングしたシートを60℃、18時間反応さ
せ、水洗して湿潤時に潤滑性を有する表面を得た。この
試料をATR−IRにより表面分析を行なったところ、
コーティング前に存在していたエポキシ基のピークが認
められずエーテル結合のピークが確認され、エポキシ基
の架橋が確認された。
【0023】得られたシートは生理食塩水または水に浸
漬させると、優れた潤滑性を示した。また、1時間の煮
沸においても煮沸前の潤滑性を有しており、耐久性にお
いても優れていることが確認できた。
【0024】(比較例1)密閉可能な反応容器に、グリ
シジルメタアクリレート10gを溶媒であるジメチルス
ルホキシド90gに溶解し、これに開始剤としてアゾビ
スイソブチロニトリル0.05gを加え減圧下で80
℃、18時間反応を行なった。反応後、貧溶媒をジエチ
ルエーテル、良溶媒をテトラヒドロフランとして精製し
NMR、IRによりポリグリシジルアクリレートのホモ
ポリマーであることを確認した。また、ジメチルアクリ
ルアミド10gをジメチルスルホキシド90gに加え同
様な方法にて重合し、NMR、IRによりポリジメチル
アクリルアミドのホモポリマーであることを確認した。
【0025】上記ポリマー2種の2重量部を1,4−ジ
オキサンに溶解し、本溶液にポリウレタン(ダウケミカ
ル社製:ペレセン75D )のシート1cm×3cm×0.
3mm30秒間浸漬させた。そのときの膨潤率は25%
であった。さらに、コーティングしたシートを60℃、
18時間反応させ、水洗して湿潤時に潤滑性を有する表
面を得た。この試料をATR−IRにより表面分析を行
なったところ、コーティング前に存在していたエポキシ
基のピークが認められず、エーテル結合のピークが確認
され、エポキシ基の架橋が確認された。
【0026】得られたシートは生理食塩水または水に浸
漬させると、優れた潤滑性を示した。しかし、1時間の
煮沸後においては、ほとんど潤滑性を有しておらず、耐
久性が低いことが確認された。
【0027】(実施例2)実施例1と同様なブロックポ
リマー2重量部と触媒としてピリジン1重量部をテトラ
ヒドロフランにに溶解しエチレン−酢酸ビニル共重合体
(住友化学工業株式会社製:エバテート)の1cm×3
cm×0.3mmのシートを1分浸漬させた。そのとき
の膨潤率は15%であった。さらに、コーティングした
シートを60℃、18時間反応させ、水洗して湿潤時に
潤滑性を有する表面を得た。この試料をATR−IRに
より表面分析を行なったところ、コーティング前に存在
していたエポキシ基のピークが認められず、エーテル結
合のピークが確認され、エポキシ基の架橋が確認され
た。
【0028】得られたシートは生理食塩水または水に浸
漬させると、優れた潤滑性を示した。また、1時間の煮
沸においても煮沸前の潤滑性を有しており、耐久性にお
いても優れていることが確認できた。
【0029】(比較例2)比較例1と同様な2種のポリ
マー溶液にエバテートの1cm×3cm×0.3mmの
シートを1分浸漬させた。そのときの膨潤率は15%で
あった。さらに、コーティングしたシートを60℃、1
8時間反応させ、水洗して湿潤時に潤滑性を有する表面
を得た。この試料をATR−IRにより表面分析を行な
ったところ、コーティング前に存在していたエポキシ基
のピークが認められず、エーテル結合のピークが確認さ
れ、エポキシ基の架橋が確認された。
【0030】得られたシートは生理食塩水または水に浸
漬させると、優れた潤滑性を示した。しかし、1時間の
煮沸後においては、ほとんど潤滑性を有しておらず、耐
久性が低いことが確認された。
【0031】(実施例3)密閉可能な反応容器に、ジメ
チルアクリルアミド10gと連鎖移動剤としてヨード酢
酸1gさらに開始剤としてt−ブチルパ−オクトエイト
0.05gを入れ、減圧下で80℃、8時間反応させ、
ポリマー(1)を得た。このポリマー(1)の5gとグ
リシジルメタアクリレート1gとをベンゼン90gに溶
解し少量のハイドロキノンの存在下で、窒素雰囲気中6
0℃、8時間反応させた。反応生成物は貧溶媒をジエチ
ルエーテル、良溶媒をテトラヒドロフランとして精製
し、ポリマー(2)を得た。得られた生成物はNMRの
測定によりポリマー(2)のようなマクロモノマー構造
であることが確認された。
【0032】
【化1】
【0033】上記ポリマー(2)の2重合部と開始剤と
してアゾビスイソブチロニトリル0.01重量部をクロ
ロホルムに溶解し、エチレン−塩ビ共重合体(東ソー株
式会社:リューロンE)の1cm×3cm×0.3mm
のシートを30秒間浸漬させた。そのときの膨潤率は1
9%であった。さらに、コーティングしたシートを60
℃、18時間反応させ、水洗して湿潤時に潤滑性を有す
る表面を得た。この試料をATR−IRにより表面分析
を行なったところ、コーティング前に存在していた炭素
−炭素の二重結合が認められず、高分子化されているこ
とが確認された。
【0034】得られたシートは生理食塩水または水に浸
漬させると、優れた潤滑性を示した。また、1時間の煮
沸においても煮沸前の優れた潤滑性を有しており、耐久
性においても優れていることが確認できた。
【0035】(比較例3)比較例1と同様なポリマー2
種をクロロホルムに溶解した。本溶液に上記エチレン−
塩ビ共重合体の1cm×3cm×0.3mmのシートを
30秒間浸漬させた。そのときの膨潤率は19%であっ
た。さらに、コーティングしたシートを60℃、18時
間反応させ、水洗して湿潤時に潤滑性を有する表面を得
た。この試料をATR−IRにより表面分析を行なった
ところ、コーティング前に存在していたエポキシ基のピ
ークが認められず、エーテル結合のピークが確認され、
エポキシ基の架橋が確認された。
【0036】得られたシートは生理食塩水または水に浸
漬させると、優れた潤滑性を示した。しかし、1時間の
煮沸後においては、ほとんど潤滑性を有しておらず、耐
久性が低いことが確認された。
【0037】(実施例4)密閉可能な反応容器に、グリ
シジルメタアクリレート9.8g、無水マレイン酸1
4.2g、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル
0.05gを溶媒であるジメチルスルホキシド90gに
溶解し、減圧下で80℃、18時間反応を行なった。反
応後、貧溶媒をジエチルエーテル、良溶媒をテトラヒド
ロフランとして精製し、ポリマーを得た。本ポリマーは
NMRおよびIR測定により、分子内にエポキシ基の存
在が確認できた。
【0038】上記ポリマーの2重量部と触媒としてピリ
ジン1重量部をテトラヒドロフランに溶解し、エチレン
−メチルメタアクリレート共重合体(住友化学株式会社
製:アクリフト) のシート1cm×3cm×0.3 m
mを30秒間浸漬させた。そのときの膨潤率は、25%
であった。さらに、コーティングしたシートを60℃、
18時間応させた。反応後、エタノール中で硫酸を触媒
として無水マレイン酸を開環させ、炭酸水素ナトリウム
の生理食塩水溶液を用いてアルカリ洗浄を行ない試料と
した。この試料をATR−IRにより表面分析を行なっ
たところ、コーティング前に存在していたエポキシ基の
ピークが認められず、エーテル結合のピークが確認さ
れ、エポキシ基の架橋が確認された。
【0039】得られたシートは生理食塩水または水に浸
漬させると、優れた潤滑性を示した。また、1時間の煮
沸においても煮沸前の優れた潤滑性を有しており、耐久
性においても優れていることが確認できた。
【0040】(比較例4)密閉可能な反応容器に、グリ
シジルメタアクリレート10g、開始剤としてアゾビス
イソブチロニトリル0.02gを溶媒であるジメチルス
ルホキシド90gに溶解し、減圧下で80℃、18時間
反応を行なった。反応後、貧溶媒をジエチルエーテル、
良溶媒をテトラヒドロフランとして精製し、湿潤時に潤
滑性を発現するポリマーを得た。本ポリマーはNMRお
よびIR測定により、分子内にエポキシ基を有するポリ
グリシジルメタアクリレートのホモポリマーであること
を確認した。
【0041】また、密閉可能な反応容器に無水マレイン
酸モノマー5gと光増感剤としてカンファーキノン0.
1gを溶媒であるベンゼン50gに入れ、UV照射後、
減圧下で80℃、18時間反応を行なった。反応後、貧
溶媒をジエチルエーテル、良溶媒をテトラヒドロフラン
として精製し、湿潤時に潤滑性を発現するポリマーを得
た。本ポリマーはNMRおよびIR測定により、無水マ
レイン酸のホモポリマーであることを確認した。
【0042】上記ポリマー2種の2重量部をテトラヒド
ロフランに溶解し、エチレン−メチルメタクリレート共
重合体(住友化学株式会社製:アクリフト)のシート1
cm×3cm×0.3mmを30秒間浸漬させた。その
ときの膨潤率は25%であった。さらに、コーティング
したシートを60℃、18時間反応させた。反応後、エ
タノール中で硫酸を触媒として無水マレイン酸を開環さ
せ、炭酸水素ナトリウムの生理食塩水溶液を用いてアル
カリ洗浄を行ない試料とした。この試料をATR−IR
により表面分析を行ったところ、コーティング前に存在
していたエポキシ基のピークが認められず、エーテル結
合のピークが確認され、エポキシ基の架橋が確認され
た。
【0043】得られたシートは生理食塩水または水に浸
漬させると、優れた潤滑性を示した。しかし、1時間煮
沸後においては、ほとんど潤滑性を有しておらず、耐久
性が低いことが確認された。
【0044】(比較例5)実施例3と同様なマクロモノ
マー2重量部と、開始剤としてアゾビスイソブチロニト
リル0.01重量部をメタノールに溶解し、エチレン−
塩ビ共重合体(東ソー株式会社:リューロンE)の1c
m×3cm×0.3mmのシートを30秒間浸漬させ
た。その時の膨潤率は0.5%であった。さらに、コー
ティングしたシートを60℃、18時間反応させた。
【0045】反応後、水洗直後は潤滑性を発現したが、
水洗中に潤滑性が低下し、耐久性が低いことが確認され
た。
【0046】(比較例6)実施例4と同様な重合体2重
量部と触媒としてピリジン1重量部をメタノールに溶解
し、エチレン−メチルメタアクリレート(住友化学株式
会社:アクリフト)の1cm×3cm×0.3mmのシ
ートを30秒浸漬させた。その時の膨潤率は0.8%で
あった。さらに、コーティングしたシートを60℃、1
8時間反応させた。
【0047】反応後、エタノール中で硫酸を触媒として
無水マレイン酸を開環させ、炭酸水素ナトリウムの生理
食塩水溶液を用いてアルカリ洗浄を行い試料とした。ア
ルカリ洗浄直後は潤滑性を発現したが、洗浄中に潤滑性
が低下し、耐久性が低いことが確認された。
【0048】
【発明の効果】以上述べたように本発明は、加熱処理に
より架橋または高分子化する水溶性または水膨潤性重合
体を医療用具の基材を膨潤させる溶媒に溶解し該重合体
溶液を作成し、該重合体溶液に医療用具の基材を浸漬し
膨潤させながら、基材表面に該重合体をコーティング
し、加熱処理等により基材と該重合体間に相互貫入網目
構造を生成させ該重合体を基材表面に固定化したもので
あるため、従来のシリコンオイルやグリセリンなどを使
用するものとは異なり、剥離や溶出がなく、耐久性や安
全性の高い医療用具が可能となる。また、該重合体が湿
潤時に潤滑性を発現するため、体内への挿入時における
抵抗は少なくなり、操作性の向上、組織粘膜の損傷低
減、患者の苦痛低減等の効果がある。さらに、従来のよ
うな複数回のコーティング等を必要としないため、製造
工程の簡略化や工程管理が容易となる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水溶性または水膨潤性重合体の架橋物また
    は高分子化物が、医療用具の基材表面で、相互貫入網目
    構造を形成したことを特徴とする湿潤時に表面が潤滑性
    を有する医療用具。
  2. 【請求項2】該重合体がエポキシ基を有するブロックポ
    リマーであることを特徴とする特許請求の範囲第1項に
    記載の湿潤時に表面が潤滑性を有する医療用具。
  3. 【請求項3】該重合体がマクロモノマーであることを特
    徴とする特許請求の範囲第1項に記載の湿潤時に表面が
    潤滑性を有する医療用具。
  4. 【請求項4】水溶性または水膨潤性重合体を医療用具の
    基材が膨潤する溶媒に溶解して該重合体溶液を作製し、
    該溶液に医療用具の基材を浸漬して膨潤させ、さらに基
    材表面で該重合体を架橋または高分子化させたことを特
    徴とする湿潤時に表面が潤滑性を有する医療用具の製造
    方法。
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