JPH084618B2 - 抗血栓性材料の製造法 - Google Patents

抗血栓性材料の製造法

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JPH084618B2 JP60228474A JP22847485A JPH084618B2 JP H084618 B2 JPH084618 B2 JP H084618B2 JP 60228474 A JP60228474 A JP 60228474A JP 22847485 A JP22847485 A JP 22847485A JP H084618 B2 JPH084618 B2 JP H084618B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、抗血栓性材料の製造法に関する。さらに詳
しくは,グラフト重合法による抗血栓性材料の製造法に
関する。
〔従来の技術〕
人工血管は抗血栓性の要求される代表的な医用材料の
1つであるが、現状では十分な抗血栓性を有するのもは
得られておらず、ごく一部の領域で実用化されているに
すぎない。すなわち、従来より大口径動脈用の人工血管
としてポリエステル編物あるいはポリテトラフルオロエ
チレンからなる多孔性材料などが使用されているが、こ
れらの材料の抗血栓性は十分ではないので、小口径の動
脈や血液の流速の小さい静脈では短時間のうちに血栓を
生成し閉塞してしまい、使用することができなかった。
また、特開昭46−42759号公報、特開昭50−150793号
公報および特開昭51−24651号公報等においては、ポリ
(2−ヒドロキシエチル)メタクリレートやポリビニル
アルコールなどの親水性重合体を架橋処理して得られる
ヒドロゲルからなる抗血栓性材料が開示されているが、
抗血栓性が不十分であるだけでなく強度も小さいので、
人工血管として使用するには問題があった。また、特開
昭49−125493号公報および特開昭51−125978号公報にお
いては、上記の親水性重合体を形成する単量体を素材表
面にグラフト重合する方法が開示されているが、この方
法では基材を適当に選択することにより材料強度の改良
はできても抗血栓性については親水性重合体と同等の効
果しか得られていないので、やはり小口径の動脈や静脈
への適用は困難であった。
さらに、特開昭48−66187号公報および特開昭53−106
778号公報等にはヘパリンやウロキナーゼなどの血液凝
固抑制物質を材料の表面に固定して抗血栓性を付与する
方法が開示されている。この方法では初期には優れた抗
血栓性が得られるもののしだいに血液凝固抑制効果が低
下するので、長期間にわたって安定した抗血栓性を得る
ことはできなかった。そして、このような方法により製
造される抗血栓性材料は、血液凝固抑制物質が高価であ
ることと滅菌が難しいために無菌的に製造する必要があ
ることからきわめて高価なものになるという欠点があっ
た。
このように従来から多くの提案がなされているにもか
かわらず現状では人工血管とし小口径の動脈や静脈など
にも適用し得るほど優れた抗血栓性を長期間にわたって
維持することのできる材料は得られていなかった。
本発明者らは、抗血栓性を改良するために種々検討し
た結果、高分子材料からなる基材表面上に、水溶性でか
つ実質的に非イオン性の重合体をきわめて少量(1〜10
0μg/cm2)結合することにより、多量に結合した場合よ
りも飛躍的に抗血栓性が改良されることを見出し、先に
特願昭59−87432号として特許出願を行った。
〔発明が解決しようとする問題点〕
上記の特許出願にかかる発明は、優れた抗血栓性材料
を提供するものであるが、本発明者らの経験によれば、
同じ結合量であっても結合した重合体の鎖長によって抗
血栓性に差ができる可能性がある。しかしながら、従来
より行われているグラフト重合法によっては、重合体の
鎖長が常に一定の範囲になるように制御するのは難しか
った。本発明の方法による目的は、重合体の鎖長を最適
範囲に制御して製造され、極めて高い抗血栓性を有する
製品を提供することにある。また本発明の方法による他
の目的は、安定して供給できる高い抗血栓性を有する製
品を提供することにある。
〔問題点を解決するための手段〕
上述した目的は、グラフト重合の際にレドックス還元剤
及び/または重合調整剤を共存させることによって達成
される。すなわち本発明の方法により製造されたものは
高分子材料からなる基材表面上に水溶性単量体をグラフ
ト重合してなる抗血栓性材料であって、上記水溶性単量
体は、レドックス還元剤及び/または重合調整剤の存在
下に遊離ラジカルまたペルオキシドを生成させてグラフ
ト重合を実施することにより、制限された量が基材に結
合してなることを特徴とする抗血栓性材料である。
レドックス還元剤及び重合調整剤の使用量は使用する
化合物の種類によって最適範囲が異なるが、概ね10-5mo
l/l〜10mol/lの範囲の濃度で使用するのが適当である。
〔作 用〕
本発明によればレドックス還元剤及び/または重合調
整剤を使用しない場合にくらべてより優れた抗血栓性材
料が得られるが、その理由は、基材に結合するグラフト
重合体の結合数が増すとともにその鎖長は一定の範囲に
制限されるためではないかと推定される。すなわち、レ
ドックス還元剤あるいは重合調整剤は基材表面上のペル
オキシドを効率よくラジカルに変換し、基材表面にグラ
フト重合の開始点を多数形成されるので、グラフト重合
体の結合数が増加する。そしてこれらの化合物は連鎖移
動剤としても作用するので、重合体鎖の伸長が抑制され
重合度は比較的低い範囲に制限されるものと考えられ
る。このように、比較的鎖長の短い重合体が多数結合し
た場合の方が、同じ結合重量でも鎖長の長い重合体が少
量結合した場合よりも優れた抗血栓性を示すものと考え
られる。
〔実施例〕
本発明による抗血栓性材料には、まず高分子材料から
なる基材表面上に遊離ラジカルまたはペルオキシドを生
成させる。遊離ラジカルまたはペルオキシドを生成させ
る方法としては、(1)電子線やガンマ線などの高エネ
ルギー放射線を照射する方法、(2)紫外線を照射する
方法、(3)低温プラズマ放電処理、(4)グロー放電
処理、(5)オゾン処理および(6)過酸化ベンゾイル
のようなラジカル重合開始剤を添加する方法などがあ
る。また、基材としては公知の高分子材料のほとんどが
使用可能であり、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチ
レン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重
合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチ
レン、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレー
ト、スチレン−ブタジエン系ブロック共重合体、アクリ
ロニトリル−ブタジエン−スチレン系ブロック共重合
体、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリテトラフル
オロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチ
レンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポ
リエーテル−エステル系ブロック共重合体、ポリカーボ
ネート、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスルホン、ポ
リエーテルスルホン、シリコーン、セルロースおよび酢
酸セルロースなどを例示することができる。基材の形態
については、非多孔質、多孔質、織物、編物などいずれ
の形態でもよく、形状についてもチューブ状、円筒状、
シート状、板状、ブロック状、繊維状など使用目的に応
じていかなる形状のものでも使用できる。また、これら
は単一の材料から構成されていてもよいし、複数の材料
からなる複合構造物であってもよい。
本発明による抗血栓性材料は、遊離ラジカルまたペル
オキシドを生成させた基材に水溶性単量体を作用させて
グラフト重合を行うが、使用する水溶性単量体として
は、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、メタク
リルアミド、ビニルピロリドンおよび、アクリル酸また
はメタクリル酸のポリアルキレングリコールエステルな
どを例示することができる。これらは単独で使用しても
よいし、2種類以上を同時に使用することもできる。ま
た、水溶性単量体はそのまま使用することもできるが、
水溶液の形で使用するのが好ましい。
本発明による抗血栓材料に使用するレドックス還元剤
とは過酸化物などの酸化性物質と共にレドックス反応を
起こす還元性物質であり、塩化第1鉄、硫酸第1鉄、モ
ール塩などの2価の鉄塩、酸性亜硫酸ソーダ、ロンガリ
ット、アスコルビン酸またはその塩及び酒石酸などを例
示することができる。また、重合調整剤とは、重合速度
あるいは重合度を抑制する作用を有する化合物でありチ
オグリコール酸、アリルアルコール、イソプロピルアル
コール及びメタノールカプタン、プロピルメルカプタン
及びブチルメルカプタンなどのメルカプタン類を例示す
ることができる。
グラフト重合は、基材表面上に生成した遊離ラジカル
またはペンオキシド開始点となって、水溶性単量体と接
触させると直ちに反応が開始される。反応は常温でも進
行するが、場合によっては加熱あるいは冷却してもよ
い。
以下、実施具体例により本発明をさらに具体的に説明
する。なお、以下の例においては、抗血栓性の指標とし
てタンパク質の吸着特性を利用した。すなわち、抗血栓
性の優れたものほどIgGのような糖タンパク質の吸着が
少ないと言われているので、IgGの吸着量を測定して抗
血栓性を評価した。
実施例1 本実施例の抗血栓性材料は、針状電極をポリウレタン
チューブの両端にセットし、印加電圧50V,50ml/min空気
流下で5秒間グロー放電を行い、チューブ表面を処理し
た。次いでこのチューブを種々の濃度のモール塩を含む
ジメチルアクチルアミドの1.5mol/l水溶液に浸漬し、窒
素雰囲気下30℃で20時間グラフト重合を行った。この抗
血栓性材料評価は、牛ガンマグロブリン(IgG)をフル
オレセインイソチオシアネート(FITC)で蛍光ラベル
し、これに非蛍光ラベルIgGを混合して全タンパク質濃
度が2mg/mlの水溶液を調整し、この液に本実施例の抗血
栓材料によるチューブを浸漬して37℃で3時間タンパク
質を吸着させた。その後チューブ面をゆるやかに緩衝液
で洗浄して非吸着タンパク質を除去し、さらにオートク
レーブを用いて3気圧1時間の条件下で吸着タンパク質
を加水分解して、FITCの蛍光強度を励起波長490nm,蛍光
波長520nmで測定した。測定結果と別に作成しておいた
検量線とから吸着したIgG量を算出した。結果を表1に
示す。
表1から明らかなように、本実施例の抗血栓性材料に
おけるレドックス還元剤にモーム塩を使用するとIgGの
吸着が極めて少なくなり、抗血栓性が優れていることが
わかる。また、モール塩の濃度は10-4mol/l以上であれ
ば抗血栓性にほとんど変化しない。
実施例2 実施例1と同様にしてポリウレタンチューブをグロー
放電処理し、このチューブをジメチルアクリルアミドを
1.5mol/l,モール塩を10-2mol/l含有する水溶液に浸漬し
て30℃で1〜20時間グラフト重合を実施した。次いで実
施例1と同様にしてIgGの吸着量を測定した。結果を表
2に示す。
表2から明らかなように、本実施例の抗血栓性材料に
おける重合時間が3時間以上であれば、抗血栓性はほぼ
一定になることがわかる。
実施例3 実施例1と同様にしてポリウレタンチューブをグロー
放電処理し、このチューブをジメチルアクリルアミド1.
5mol/l,アリルアルコールを2〜10重量%含有する3種
類の水溶液に浸漬して60℃で5時間グラフト重合を実施
した。次いで実施例1と同様にしてIgGの吸着量を測定
した。結果を表3に示す。
実施例4 実施例1と同様にしてポリウレタンチューブをグロー
放電処理し、このチューブをジメチルアクリルアミドを
1.5mol/l,アリルアルコールを5重量%含有する水溶液
に浸漬して60℃で0.25〜24時間グラフト重合を実施し
た。次いで実施例1と同様にしてIgGの吸着量を測定し
た。結果を表4に示す。
実施例5 実施例1と同様にしてポリウレタンチューブをグロー
放電処理し、このチューブをアクリルアミドを10重量
%,モール塩を10-2mol/l含有する水溶液に浸漬して、3
0℃で3時間グラフト重合を実施した。次いで実施例1
と同様にしてIgGの吸着量を測定したところ、0.26μg/c
m2であった。
これに対し、モール塩を使用しない場合のIgG吸着量
は0.41μg/cm2であった。
実施例6 実施例1と同様にしてポリウレタンチューブをグロー
放電処理し、このチューブをジメチルアクリルアミドを
1.5mol/l,アスコルビン酸を0.2〜1.0重量%含有する3
種類の水溶液を浸漬して、40℃で20時間グラフト重合を
実施した。次いで実施例1と同様にしてIgGの吸着量を
測定した。結果を表5に示す。
実施例7 実施例1と同様にしてポリウレタンチューブをグロー
放電処理し、このチューブをジメチルアクリルアミドを
1.5mol/l,チオグリコール酸を0.2〜1.0重量%含有する
3種類の水溶液に浸漬して40℃で20時間グラフト重合を
実施した。次いで実施例1と同様にしてIgGの吸着量を
測定した。結果を表6に示す。
実施例8 実施例1と同様にしてポリエチレンチューブをグロー
放電処理し、このチューブをジメチルアクリルアミドを
1.5mol/l,アリルアルコールを5重量%含有する水溶液
に浸漬して60℃で0.25〜24時間グラフト重合を実施し
た。次いで実施例1と同様にしてIgGの吸着量を測定し
た。結果を表7に示す。
〔発明の効果〕 以上の結果から明らかなように、本発明の方法による
抗血栓性材料によれば極めて優れた抗血栓性を有する材
料を容易に製造して提供することができる。しかも、レ
ドックス還元剤及び重合調整剤の効果は広い範囲で安定
しているので、常に一定した品質のものを製造して提供
することができる。
また、レドックス還元剤あるいは重合調整剤を使用す
ることによって、グラフト重合時のホモ重合体の生成が
抑制され、得られた抗血栓性材料の表面に付着するホモ
重合体は量も少なく重合度も低いので、それを除去する
操作も容易になる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高分子材料からなる基材表面上に遊離ラジ
    カルまたはペルオキシドを生成させ、次いで2価の鉄
    塩、アスコルビン酸あるいはその塩、またはチオグリコ
    ール酸あるいはアリルアルコールからなる群より選ばれ
    た1種または2種以上のレドックス還元剤及び/または
    重合調整剤の存在下に水溶性単量体を作用させて上記基
    材表面上に該水溶性単量体をグラフト共重合する ことを特徴とする抗血栓性材料の製造法。
  2. 【請求項2】2価の鉄塩が10-4mol/l以上の濃度を有す
    る水溶液中のモール塩である特許請求の範囲第1項記載
    の抗血栓性材料の製造法。
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