JPH08501336A - フッ化ビニルの重合 - Google Patents

フッ化ビニルの重合

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Abstract

(57)【要約】 フッ化ビニルの水性重合において、パーフルオロアルキルプロピルアミン塩の乳化剤としての使用により高収率と優れた重合体色相とが得られる。

Description

【発明の詳細な説明】 フッ化ビニルの重合発明の背景 ポリ-(フッ化ビニル)(PVF)は、フィルム形状で種々の保護および装飾 の応用面に使用される。 フッ化ビニル(VF)の重合は典型的には水中で、2,2’-アゾビス-(イソブ チロアミジン)二塩酸塩のような水溶性の開始剤を用いて実施されて、極めて微 細に分割された重合体粒子の高度に流動性の水性分散液またはスラリーを得てい る。開始剤が水溶性であり、単量体の水溶性が限定されているこの型の重合は、 しばしば乳化重合と呼ばれる。乳化重合の技術においては、その分子が親水性の 部分と疎水性の部分とにより構成されている界面活性物質または乳化剤の添加に より重合工程が改良されることが周知されている。この改良は、水相中での単量 体をより良好に分布させ、開始剤にとって単量体をより利用し易くして重合を容 易にするか、または、重合体粒子の分布を安定化し、より大きな重合体の凝結体 を形成することなく、より濃縮されたスラリーを製造し得るようにするか、また は双方の効果の組合わせにより達成される。したがって、乳化剤の使用は生産性 および経済性に利点を提供する。 乳化剤は一般に、性質においてカチオン性、アニオン性または非イオン性であ る親水性の部分を有するであろうが、一方では疎水性の部分はしばしば性質にお いてアルキルまたはアラールキルである。2,2’-アゾビス-(イソブチロアミジ ン)二塩酸塩と混和性であるためには、開始剤と不溶性の錯塩を形成しないよう に、乳化剤は性質においてアニオン性であってはならない。この種の塩は重合工 程に対して不活性な開始剤で あることが見いだされている。種々の非イオン性およびカチオン性の乳化剤が市 販されており、乳化重合に有用であることが知られている。多くのこの種の物質 の例がブラックリー(D.C.Blackley),“乳化重合(Emulsion Polymerization )”ハルステッド出版(Halsted Press,New York,N.Y.),1975,308−318ページ に記載されている。非イオン性物質は、ほとんど常に酸化エチレンのオリゴマー から誘導された親水性部分を含有している。これらの乳化剤は2,2’-アゾビス- (イソブチロアミジン)二塩酸塩開始剤と混和性であるが、常にPVFの典型的 な応用面に有用でない低分子量のPVF生成物を低収率で製造する。重合におい て正に帯電した粒子の製造に有用であるとしてブラックリーにより特定されてい る、塩化ドデシルアンモニウムまたは塩化セチルピリジニウムのような一般的な カチオン性乳化剤は、2,2’-アゾビス-(イソブチロアミジン)二塩酸塩と混和 性であるが、低分子量のPVFを低い収率で製造し、しばしば高度に望ましくな い黄色または褐色の色を重合体に与える。したがって、これらの乳化剤にはVF の乳化重合に適したものはない。チバガイギー(Ciba Geigy)により製造され、 ローダイン(LodyneR)S−106Aの商標を付して提供されているC6F13CH2C H2SCH2CH(OH)CH2N(CH3)3Clのような他のカチオン性乳化剤 も同様に、重合を阻害し、低分子量のPVFを製造することが見いだされている 。発明の概要 本発明は、ある種の乳化剤がVFの重合速度を増強し、重合体の分子量を低下 させることなく、また望ましくない色を生成物に与える原因となることなく、よ り高いスラリー固体分を維持するという発見を基礎 に置くものである。 本発明は特に、開始剤と乳化剤との存在下での水相中におけるフッ化ビニルの 重合方法において、その乳化剤が、式中のRがCH2CH2CH2とCH3CCH3 との少なくとも1種から選択したものであり、nが3ないし5の整数であり、X が開始剤または重合体の遊離基による攻撃に対して感受性の水素原子を含有しな いアニオンである一般式F(CF2CF2)nRNH3Xの少なくとも1種のパーフ ルオロアルキルプロピルアミン塩を含むことを特徴とする改良を提供する。図面の簡単な記述 図面は、フッ化ビニルの重合速度に対する乳化剤の効果の図表表示である。発明の詳細な記述 本発明が関連する基本的な重合方法は、当該技術において、たとえばそのそれ ぞれが本件明細書中に参考文献として組み入れられている米国特許2,419,008、2 ,419,010、2,510,783、および2,599,300に十分に記述されている。上記のように 、本件方法は水溶性の開始剤を用いる水性乳化重合である。 本発明に使用されるパーフルオロアルキルプロピルアミン塩は公知の技術に従 って、最初にアミンを製造し、ついで所望の塩に転化させる方法により製造する ことができる。 式中のRがCH3CCH3であるアミンの製造は、ファイリング(Feiring), ジャーナルオブオーガニックケミストリー(J.Org.Chem.),48,347,(1983) に詳細に記述されている。式中のRがCH2CH2CH2であるアミンの製造は、 フルオロオレフィンF(CF2CF2)nC H=CH2をニッケル触媒と塩化亜鉛のようなルイス酸助触媒との存在下に、ド リンカード(Drinkard)ら,米国特許3,496,217に開示されているものと同様の 方法でHCNと接触させ、得られるニトリルF(CF2CF2)nCH2CH2CN をアンモニアとラネーコバルトとの存在下に水素と反応させてアミンF(CF2 CF2)nCH2CH2CH2NH2に転化させる方法により達成する。 パーフルオロアルキルアミンの塩酸塩以外の多様な塩、たとえばアミンとトリ フルオロ酢酸、ベンゼンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等との反応 により生成するものも、この種の塩の製造に使用する酸のアニオンが開始剤また は重合体遊離基による攻撃に対して感受性の水素原子を含有しないならば、本発 明における乳化剤として使用することができる。したがって、アミンのアニオン にはフッ化物イオン、臭化物イオン、トリフルオロ酢酸イオン、ならびにスルホ ン酸イオン、たとえばトリフルオロメタンスルホン酸およびベンゼンスルホン酸 のイオンが可能である。他の1価アニオンは当業者には自明であろう。 塩酸塩は、水またはメタノールのような適当な溶媒中の過剰のHClにアミン を添加し、続いて減圧下で溶媒を蒸発させて製造することができる。これに替え て、重合を開始させる前に化学量論的に同等な量のアミンとHClとを水に添加 して工程内で、重合媒体中で塩酸塩を形成させることもできる。 乳化剤の混合物も本発明に従って使用することができる。たとえば、種々の鎖 長を有するアミン塩と上に示した式中のアニオンとの混合物が本件重合に効果的 である。 本件方法に使用する乳化剤の量は各反応成分の性質および濃度により 決定されるような乳化に関する必要に応じて広い範囲で変えることができるが、 一般には水100部あたり約0.01ないし約3部の乳化剤を使用する。好ましくは約0 .02ないし約1部の乳化剤を使用する。 この重合は、全ての物質を最初に容器に装入し、その後、重合が完了するまで 追加の成分の装入も放出もしない、振とう管のような容器内でのバッチ法で、ま たは、重合の開始に必要な全ての物質を最初に装入するが、追加の成分、たとえ ば単量体および開始剤、もしくは他の物質を添加して重合を維持してもよい、撹 拌オートクレーブのような容器内でのセミバッチ法で実施することができる。必 要な全ての成分を容器に連続的に供給し、容器内の条件が温度、圧力および成分 濃度に関して安定した状態に留まるような方法で生成物のスラリーを連続的に取 り出す、全連続法も使用することができるが、この種の連続重合法においては、 より高いスラリー固体分が連続法において得られるので、式中のRがCH2CH2 CH2であり、nが3、4または5であるF(CF2CF2)nRNH3Cl型の乳 化剤が好適に使用される。これらのアミン塩酸塩の混合物も、少なくとも個々の 成分と同等に機能する。式中のRがCH3CCH3である他の型の乳化剤を用いる 重合は、反応器の過剰な堆積に通ずる。 本発明を通じて得られる利益に関する理由は完全には理解されていないが、本 件方法に使用される乳化剤の炭化水素部分の寸法が小さいことが、疎水性部分の パーフルオロカーボン部分による遊離基との反応から乳化剤を保護された状態に 置くと考えられる。この種のパーフルオロカーボン構造は、重合工程に通常存在 する遊離基中間体に対して不活性であることが知られている。 本発明は以下の実施例によりさらに説明されるが、以下の実施例において、V Fはバッチ法、セミバッチ法、および連続法により重合させる。実施例1−3および対照例A−E 400mlのステンレススチール製の振とう管(shaker tube)中で、次の方法によ りバッチ重合を行わせた。所望の界面活性剤と開始剤とを含有する脱イオン水を 管に装入し、その内容物を凍結させ、ついで管を脱気し、窒素で3回パージした 。ついで各管を振とう機に入れ、VF単量体を管にポンプで導入した。使用した 物質の量は表1に報告されている。振とう機を始動させ、ついで振とう管を90℃ に加熱し、自然発生的な圧力下でこの温度に3時間維持した。ついで振とう管を 冷却し、通気した。重合体を吸引濾過器で単離するか、または高速遠心器で処理 して水に濡れたケーキを得、これを通気循環空気炉(vented circulating air o ven)内で、90−100℃で乾燥した。表1に報告したように、生成した重合体を秤 量し、その色を記録した。重合体の分子量に対する乳化剤の効果を判定するため に、ピストンレオメーター中で熔融粘性を測定した。PVFは有意の分解なしに は便宜な長さの時間、その190℃の融点以上に加熱し得ないので、150℃、剪断速 度23.4/秒での熔融粘性の測定には40.0%のPVFと60.0%のプロピレンカーボ ネートとを含有する混合物の粘性を使用した。これらの結果は表1に可塑化熔融 粘性(plasticized MV)として報告されている。 本発明の乳化剤は実施例1−3に使用されており、結果として、重合体の収率 を犠牲にすることなく、高分子量のPVFを得ている。得られた重合体の色は、 特に高濃度の乳化剤を使用した実施例3を含む 全ての場合に優れたものである。 対照例Aには乳化剤を使用せず、対照例B−Eにはカチオン性の界面活性剤お よび乳化剤として通常使用される他のアミン誘導体を種々の濃度で使用した。こ れらの乳化剤は、好ましくない色、低い分子量および低い収率の1種または2種 以上を生ずる結果となっている。 表1の結果は、実施例1および2におけるようなパーフルオロアルキルプロピ ルアミン二塩酸塩の存在下に行われた重合が、大量の白色の重合体と、いかなる 乳化剤をも使用することなく行われた対照例Aと同様の分子量とを生むことを示 している。同様に、比較的高濃度の乳 化剤を用いて行われた実施例3も、量、外見および熔融粘性においてその対照例 Eと同様の重合体を生成している。対照的に、一般のアミンから誘導されたカチ オン性の界面活性剤の存在下に行われた対照例B、CおよびDは、変色した、乳 化剤を使用しなかった対照例Aと比較して低分子量の重合体を低収率で生産した 。実施例4−5および比較例F 実施例4−5および比較例Fにおいては、重合速度に対するドデシルアミン塩 酸塩および本発明の乳化剤の効果が説明されている。 比較例Fにおいては、磁気駆動撹拌機を装備し、4000psiで操作される1Lの ハステロイ製オートクレーブに850mlの脱イオン水を装入した。オートクレーブ に装入した水には、所望に応じて秤量した量のドデシルアミン塩酸塩を溶解させ た。この反応器を加圧し、窒素を3回通気し、ついで90℃にした。スケール(sc ale)上の貯蔵用シリンダーからの気体VFを、シリカゲル床を通過させて重合 禁止剤を除去したのちに反応器にポンプで注入して4000psiのVF圧力にした。 開始剤の供給を始めた。全量で90gを添加するまで、一定の反応器圧力を維持す るのに十分な速度でVFを供給しながら、2,2’-アゾビス-(イソブチロアミジ ン)二塩酸塩を2%水溶液として0.50ml/分の一定速度で供給した。この点でV Fと開始剤との供給を停止し、反応器を冷却し、通気し、その内容物を排出した 。ついで、実験中に時間をおいて記録したVFシリンダーの重量を図1に示した ようにプロットし、データの直線部分の最小二乗適合法(least square fit)を 行った。このようにして計算した最小二乗直線の勾配はオートクレーブへの単量 体添加の速度であり、これはまた、反応器圧力が一定に保たれているの であるから、重合速度の尺度でもある。水に塩化ドデシルアンモニウムを添加し なかった対照例の重合に相当する図1のプロットの勾配を、塩化ドデシルアンモ ニウムの濃度が0.24%であった同様の実験に関するものと比較すれば、重合の速 度が3.5g/分から塩化ドデシルアンモニウムが存在した場合の1.5g/分に減少し ていることが見られる。すなわち、塩化ドデシルアンモニウムは重合を遅らせる のである。 実施例4および5においては、磁気駆動撹拌器を装備し、500psiで操作される 1Lのハステロイ製のオートクレーブを、3-パーフルオロヘキシルプロピルアミ ン塩酸塩と2-パーフルオロオクチル-2-プロピルアミン塩酸塩とをそれぞれ実施 例4および5において用いるPVFの製造に使用した。このオートクレーブに、 秤量した量の所望のアミン、および化学量論的に等量の塩酸を含有する850mlの 脱イオン水を装入した。この反応器を加圧し、窒素を3回通気し、ついで70℃に した。スケール上の貯蔵用シリンダーからの気体VFを、シリカゲル床を通過さ せて重合禁止剤を除去したのちに反応器にポンプで注入して500psiのVF圧力に した。開始剤の供給を始めた。150gを添加するまで一定の反応器圧力を維持す るのに十分な速度でVFを供給しながら、2,2’-アゾビス-(イソブチロアミジ ン)二塩酸塩を8%水溶液として0.2ml/分の一定速度で供給した。この点で、V Fと開始剤との供給を停止した。反応器を70℃に1時間保ち、ついでこれを冷却 し、通気し、その内容物を排出した。上記のようにして重合速度を測定し、3-パ ーフルオロヘキシルプロピルアミン塩酸塩および2-パーフルオロオクチル-2-プ ロピルアミン塩酸塩を用いて得られた結果がそれぞれ図2および3に示されてい る。 塩化ドデシルアンモニウムを用いた結果とは対照的に、3-パーフルオロヘキシ ルプロピルアミン塩酸塩または2-パーフルオロオクチル-2-プロピルアミン塩酸 塩の添加は、オートクレーブ内の水に乳化剤を添加しなかった対照実験に対して 相対的に重合速度を増加させる。重合速度の増加は添加したパーフルオロアルキ ルプロピルアミン塩酸塩の量に比例し、濃度が高ければより高い重合速度を得て いる。乳化剤の不存在で行った対照実験には、重合速度の低い初期期間(initia l period)が存在する。低速度の初期期間は塩化ドデシルアンモニウムの添加に より延長されるが、パーフルオロアルキルプロピルアミン塩酸塩の添加によって は短縮され、ほとんど排除される。これはさらに、VFの重合におけるパーフル オロアルキルプロピルアミン塩酸塩の独自の有利な効果を明示している。 上記のデータは、パーフルオロアルキルプロピルアミン塩酸塩の使用により提 供されるVFの重合に関する速度の増大を明示している。対照的に、他のアミン 塩酸塩、たとえば塩化ドデシルアンモニウムはVFの重合速度を遅くするのであ る。実施例6−14および対照例G−K これらの実施例および対照例は、連続的なVFの重合におけるパーフルオロア ルキルプロピルアミン塩酸塩乳化剤の使用により可能になった、より高い単量体 添加率とより高い反応器固体分という利点を明示するものである。 連続重合の実行には1Lのハステロイ製のオートクレーブを使用した。このオ ートクレーブは、磁気駆動撹拌機、水、開始剤溶液および液化VFを反応器に連 続的に供給するためのポンプ、ならびに反応器を 満たした液体内部の所望の圧力を維持し、反応器からの重合体スラリーの流出量 を制御するための圧力制御バルブを装備したものであった。スケール上の貯蔵用 シリンダーからの気体VFは、シリカゲル床を通過させて重合禁止剤を除去した 。ついで、このVFを−40℃に維持した凝縮器を用いて液化し、ポンプを用いて 反応器に供給した。供給速度は貯蔵用シリンダーの重量損失の損失から測定した 。望ましいならば、乳化剤を含有する水は脱気し、スケール上の容器内に、窒素 下で貯蔵した。供給速度は、水を反応器にポンプで注入するときに容器に関して 測定した重量損失の速度から測定した。開始剤溶液は、ポンプを用いてビュレッ トから反応器に供給した。供給速度は、ビュレット内で観測された体積変化の速 度により測定した。この実施例における全ての実験は、8000psiの反応器圧力お よび97℃の反応器温度で行った。開始剤は、2,2'-アゾビス-(イソブチロアミジ ン)二塩酸塩の0.3%水溶液として供給した。 開始剤を除く全ての供給を所望の速度で達成して重合を開始させた。ついで、 熱水で加温した管状熱交換器を用いて供給水を97℃にまで昇温させた。ついで開 始剤の供給を始め、所望の速度にまで徐々に加速させた。重合が始まったところ で、重合熱を相殺するために、また、一定の反応器温度を維持するために熱交換 器を加温する熱水の温度をより低温の設定点に調整した。単量体の圧力を100psi に低下させて反応器から流出するスラリーを未転化の単量体から分離し、冷却コ イルを含有する第2の容器に集めた。収集容器を定期的に空けて生成した重合体 を試料採取した。スラリー固体分を重量測定により測定し、供給データとともに 重合速度、反応器空時収率および単量体転化率の計算に使用した。スラリーから 重合体を単離し、実施例1−3に記述したようにしてその可塑化熔融粘性の測定 に使用した。この実施例に関する実験のデータは表2に与えられているが、特定 された条件で少なくとも30分間操作したのちに得たものである。 対照例G、H、IおよびJにおいては乳化剤を使用しなかった。開始剤溶液の 供給速度が0.99ml/分から3.76ml/分に増加したときにスラリー固体分は3.8%か ら8.2%に増加し、空時収率は2.57ポンド/ガロン/時から5.93ポンド/ガロン/時 に増加し、単量体転化率は27.3%から63.0%に増加した。対照例Jにおいては、 開始剤供給量の4.75ml/分へのさらなる増加は反応器固体分または単量体転化率 のさらなる増加という結果を生まなかった。実際にはこれらの観測値の減少が注 目され、空時収率の4.65ポンド/ガロン/時への減少を導いた。反応器の検査によ り、反応器が凝結した重合体で満たされていることが示された。この方法は明ら かにこの点で不安定なスラリーを得、凝結と 重合の最終的な損失とに通ずる。可塑化熔融粘性は、開始剤供給量の増加から予 期されるように、この重合体では減少していた。 実施例6−9においては、3-パーフルオロヘキシルプロピルアミン塩酸塩を 供給水に添加して0.050%の溶液を得たことを除いて、上記の手順を実質的に繰 り返した。この場合には、開始剤の供給量を0.98ml/分から4.64ml/分に増加させ ると反応器の固体分が4.7%から11.3%に一様に増加し、空時収率が3.19ポンド/ ガロン/時から8.47ポンド/ガロン/時に増加し、単量体転化率が33.7%から89.5 %に増加することにつながった。対照例と比較すれば、3-パーフルオロヘキシ ルプロピルアミン塩酸塩は反応器の生産性を43%増加させた。加えて、これらの 重合体での可塑化熔融粘性の減少は対照実験中に経験したものよりはるかに少な かった。 実施例10−14においては、45%の3-パーフルオロヘキシルプロピルアミン塩酸 塩、40%の3-パーフルオロオクチルプロピルアミン塩酸塩、10%の3-パーフルオ ロデシルプロピルアミン塩酸塩よりなる3-パーフルオロアルキルプロピルアミン 塩酸塩の混合物を純粋な3-パーフルオロヘキシルプロピルアミン塩酸塩に替えて 使用したことを除いて上記の手順を繰り返した。アミン塩酸塩の全濃度は、供給 水中で0.025%であった。結果は、対照例と比較してより高いスラリー固体分、 単量体転化率、空時収率および可塑化熔融粘性が混合乳化剤でも得られることを 示している。 比較例Kにおいては他の乳化剤、ローダインRS-106Aを使用した。乳化剤を 全く使用しなかったが同様の開始剤濃度を用いた比較例Iと比較すれば、ローダ インRS-106Aは、その水中濃度が0.014 %に過ぎなくとも、低い反応器スラリー固体分、低い空時収率および低い可塑化 熔融粘性に通ずる。これは、3-パーフルオロヘキシルプロピルアミン塩酸塩また は混合アミン塩酸塩が同様な条件下でより高い反応器スラリー固体分、空時収率 および可塑化熔融粘性を生む実施例8および12とは対照的である。 これらの結果は、ローダインRS-106Aが同様のフルオロアルキル部分を有し ているにも拘わらず、本発明の乳化剤の優越性を明示している。この優越性は十 分には理解されていないが、ローダインRS-106A分子のより大きな、より複雑 な有機部分が重合体および開始剤の遊離基にとって接近可能であり、かつ反応性 であって、この乳化剤での好ましくない結果に通ずるためであろう。
【手続補正書】特許法第184条の8 【提出日】1994年9月12日 【補正内容】 乳化剤は一般に、性質においてカチオン性、アニオン性または非イオン性であ る親水性の部分を有するであろうが、一方では疎水性の部分はしばしば性質にお いてアルキルまたはアラールキルである。2,2'-アゾビス-(イソブチロアミジン )二塩酸塩と混和性であるためには、開始剤と不溶性の錯塩を形成しないように 、乳化剤は性質においてアニオン性であってはならない。この種の塩は重合工程 に対して不活性な開始剤であることが見いだされている。種々の非イオン性およ びカチオン性の乳化剤が市販されており、乳化重合に有用であることが知られて いる。多くのこの種の物質の例がブラックリー(D.C.Blackley),“乳化重合( Emulsion Polymerization)”ハルステッド出版(Halsted Press,New York,N.Y. ),1975,308−318ページに記載されている。非イオン性物質は、ほとんど常に 酸化エチレンのオリゴマーから誘導された親水性部分を含有している。これらの 乳化剤は2,2'-アゾビス-(イソブチロアミジン)二塩酸塩開始剤と混和性である が、常にPVFの典型的な応用面に有用でない低分子量のPVF生成物を低収率 で製造する。重合において正に帯電した粒子の製造に有用であるとしてブラック リーにより特定されている、塩化ドデシルアンモニウムまたは塩化セチルピリジ ニウムのような一般的なカチオン性乳化剤は、2,2'-アゾビス-(イソブチロアミ ジン)二塩酸塩と混和性であるが、低分子量のPVFを低い収率で製造し、しば しば高度に望ましくない黄色または褐色の色を重合体に与える。したがって、こ れらの乳化剤にはVFの乳化重合に適したものはない。チバガイギー(Ciba Gei gy)により製造され、ローダイン(LodyneR)S-106Aの商標を付して提供され ているC6F13CH2CH2SCH2CH(OH)CH2N(CH3)3Clのような 他のカチオン 性乳化剤も同様に、重合を阻害し、低分子量のPVFを製造することが見いださ れている。 英国特許公報1,161,958Aは、カチオン性の乳化剤に替えて過フッ素化カルボ ン酸を用いるフッ化ビニルの乳化重合に関するものである。発明の概要 本発明は、ある種の乳化剤がVFの重合速度を増強し、重合体の分子量を低下 させることなく、また望ましくない色を生成物に与える原因となることなく、よ り高いスラリー固体分を維持するという発見を基礎に置くものである。 本発明は特に、開始剤と乳化剤との存在下での水相中におけるフッ化ビニルの 重合方法において、その乳化剤が、式中のRがCH2CH2CH2とCH3CCH3 との少なくとも1種から選択したものであり、nが3ないし5の整数であり、X が開始剤または重合体の遊離基による攻撃に対して感受性の水素原子を含有しな いアニオンである一般式F(CF2CF2)nRNH3Xの少なくとも1種のパーフ ルオロアルキルプロピルアミン塩を含むことを特徴とする改良を提供する。図面の簡単な記述 図面は、フッ化ビニルの重合速度に対する乳化剤の効果の図表表示である。発明の詳細な記述 本発明が関連する基本的な重合方法は、当該技術において、たとえばそのそれ ぞれが本件明細書中に参考文献として組み入れられている米国特許2,419,008、2 ,419,010、2,510,783、および2,599,300に十分に記述されている。上記のように 、本件方法は水溶性の開始剤を用いる水 性乳化重合である。実施例4−5および比較例F 実施例4−5および比較例Fにおいては、重合速度に対するドデシルアミン塩 酸塩および本発明の乳化剤の効果が説明されている。 比較例Fにおいては、磁気駆動撹拌機を装備し、280Kg/cm2(4000psi)で操 作される1Lのハステロイ製オートクレーブに850mlの脱イオン水を装入した。 オートクレーブに装入した水には、所望に応じて秤量した量のドデシルアミン塩 酸塩を溶解させた。この反応器を加圧し、窒素を3回通気し、ついで90℃にした 。スケール上の貯蔵用シリンダーからの気体VFを、シリカゲル床を通過させて 重合禁止剤を除去したのちに反応器にポンプで注入して280Kg/cm2(4000psi) のVF圧力にした。開始剤の供給を始めた。全量で90gを添加するまで、一定の 反応器圧力を維持するのに十分な速度でVFを供給しながら、2,2'-アゾビス-( イソブチロアミジン)二塩酸塩を2%水溶液として0.50ml/分の一定速度で供給 した。この点でVFと開始剤との供給を停止し、反応器を冷却し、通気し、その 内容物を排出した。ついで、実験中に時間をおいて記録したVFシリンダーの重 量を図1に示したようにプロットし、データの直線部分の最小二乗適合法を行っ た。このようにして計算した最小二乗直線の勾配はオートクレーブへの単量体添 加の速度であり、これはまた、反応器圧力が一定に保たれているのであるから、 重合速度の尺度でもある。水に塩化ドデシルアンモニウムを添加しなかった対照 例の重合に相当する図1のプロットの勾配を、塩化ドデシルアンモニウムの濃度 が0.24%であった同様の実験に関するものと比較すれば、重合の速度が3.5g/分 から塩化ドデシルアンモニウムが存在した場合の1.5g/分に減少していることが 見られる。すなわち、 塩化ドデシルアンモニウムは重合を遅らせるのである。 実施例4および5においては、磁気駆動撹拌器を装備し、35Kg/cm2(500psi )で操作される1Lのハステロイ製のオートクレーブを、3-パーフルオロヘキシ ルプロピルアミン塩酸塩と2-パーフルオロオクチル-2-プロピルアミン塩酸塩と をそれぞれ実施例4および5において用いる PVFの製造に使用した。このオ ートクレーブに、秤量した量の所望のアミン、および化学量論的に等量の塩酸を 含有する850mlの脱イオン水を装入した。この反応器を加圧し、窒素を3回通気し 、ついで70℃にした。スケール上の貯蔵用シリンダーからの気体VFを、シリカ ゲル床を通過させて重合禁止剤を除去したのちに反応器にポンプで注入して35K g/cm2(500psi)のVF圧力にした。開始剤の供給を始めた。150gを添加する まで一定の反応器圧力を維持するのに十分な速度でVFを供給しながら、2,2'- アゾビス-(イソブチロアミジン)二塩酸塩を8%水溶液として0.2ml/分の一定 速度で供給した。この点で、VFと開始剤との供給を停止した。反応器を70℃に 1時間保ち、ついでこれを冷却し、通気し、その内容物を排出した。上記のよう にして重合速度を測定し、3-パーフルオロヘキシルプロピルアミン塩酸塩および 2-パーフルオロオクチル-2-プロピルアミン塩酸塩を用いて得られた結果がそれ ぞれ図2および3に示されている。 塩化ドデシルアンモニウムを用いた結果とは対照的に、3-パーフルオロヘキシ ルプロピルアミン塩酸塩または2-パーフルオロオクチル-2-プロピルアミン塩酸 塩の添加は、オートクレーブ内の水に乳化剤を添加しなかった対照実験に対して 相対的に重合速度を増加させる。重合速度の増加は添加したパーフルオロアルキ ルプロピルアミン塩酸塩の量に比例 し、濃度が高ければより高い重合速度を得ている。乳化剤の不存在で行った対照 実験には、重合速度の低い初期期間(initial period)が存在する。低速度の初 期期間は塩化ドデシルアンモニウムの添加により延長されるが、パーフルオロア ルキルプロピルアミン塩酸塩の添加によっては短縮され、ほとんど排除される。 これはさらに、VFの重合におけるパーフルオロアルキルプロピルアミン塩酸塩 の独自の有利な効果を明示している。 上記のデータは、パーフルオロアルキルプロピルアミン塩酸塩の使用により提 供されるVFの重合に関する速度の増大を明示している。対照的に、他のアミン 塩酸塩、たとえば塩化ドデシルアンモニウムはVFの重合速度を遅くするのであ る。実施例6−14および対照例G−K これらの実施例および対照例は、連続的なVFの重合におけるパーフルオロア ルキルプロピルアミン塩酸塩乳化剤の使用により可能になった、より高い単量体 添加率とより高い反応器固体分という利点を明示するものである。 連続重合の実行には1Lのハステロイ製のオートクレーブを使用した。このオ ートクレーブは、磁気駆動撹拌機、水、開始剤溶液および液化VFを反応器に連 続的に供給するためのポンプ、ならびに反応器を満たした液休内部の所望の圧力 を維持し、反応器からの重合体スラリーの流出量を制御するための圧力制御バル ブを装備したものであった。スケール上の貯蔵用シリンダーからの気休VFは、 シリカゲル床を通過させて重合禁止剤を除去した。ついで、このVFを−40℃に 維持した凝縮器を用いて液化し、ポンプを用いて反応器に供給した。供給速度 は貯蔵用シリンダーの重量損失の損失から測定した。望ましいならば、乳化剤を 含有する水は脱気し、スケール上の容器内に、窒素下で貯蔵した。供給速度は、 水を反応器にポンプで注入するときに容器に関して測定した重量損失の速度から 測定した。開始剤溶液は、ポンプを用いてビュレットから反応器に供給した。供 給速度は、ビュレット内で観測された体積変化の速度により測定した。この実施 例における全ての実験は、560Kg/cm2(8000psi)の反応器圧力および97℃の反 応器温度で行った。開始剤は、2,2'-アゾビス-(イソブチロアミジン)二塩酸塩 の0.3%水溶液として供給した。 開始剤を除く全ての供給を所望の速度で達成して重合を開始させた。ついで、 熱水で加温した管状熱交換器を用いて供給水を97℃にまで昇温させた。ついで開 始剤の供給を始め、所望の速度にまで徐々に加速させた。重合が始まったところ で、重合熱を相殺するために、また、一定の反応器温度を維持するために熱交換 器を加温する熱水の温度をより低温の設定点に調整した。単量体の圧力を7Kg /cm2(100 psi)に低下させて反応器から流出するスラリーを未転化の単量体か ら分離し、冷却コイルを含有する第2の容器に集めた。収集容器を定期的に空け て生成した重合体を試料採取した。スラリー固体分を重量測定により測定し、供 給データとともに重合速度、反応器空時収率および単量体転化率の計算に使用し た。スラリーから重合体を単離し、実施例1−3に記述したようにしてその可塑 化熔融粘性の測定に使用した。この実施例に関する実験のデータは表2に与えら れているが、特定された条件で少なくとも30分間操作したのちに得たものである 。 対照例G、H、IおよびJにおいては乳化剤を使用しなかった。開始剤溶液の 供給速度が0.99ml/分から3.76ml/分に増加したときにスラリー固体分は3.8%か ら8.2%に増加し、空時収率は1.28Kg/1/時から2.91Kg/1/時に(2.57ポンド/ ガロン/時から5.93ポンド/ガロン/時に)増加し、単量体転化率は27.3%から63. 0%に増加した。対照例Jにおいては、開始剤供給量の4.75ml/分へのさらなる増 加は反応器固体分または単量体転化率のさらなる増加という結果を生まなかった 。実際にはこれらの観測値の減少が注目され、空時収率の2.32Kg/l/時(4.65 ポンド/ガロン/時)への減少を導いた。反応器の検査により、反応器が凝結した 重合体で満たされていることが示された。 この方法は明らかにこの点で不安定なスラリーを得、凝結と重合の最終的な損失 とに通ずる。可塑化熔融粘性は、開始剤供給量の増加から予期されるように、こ の重合体では減少していた。 実施例6−9においては、3-パーフルオロヘキシルプロピルアミン塩酸塩を 供給水に添加して0.050%の溶液を得たことを除いて、上記の手順を実質的に繰 り返した。この場合には、開始剤の供給量を0.98ml/分から4.64ml/分に増加させ ると反応器の固体分が4.7%から11.3%に一様に増加し、空時収率が1.60Kg/1/ 時から4.24Kg/1/時に(3.19ポンド/ガロン/時から8.47ポンド/ガロン/時に) 増加し、単量体転化率が33.7%から89.5%に増加することにつながった。対照例 と比較すれば、3-パーフルオロヘキシルプロピルアミン塩酸塩は反応器の生産 性を43%増加させた。加えて、これらの重合体での可塑化熔融粘性の減少は対照 実験中に経験したものよりはるかに少なかった。 【手続補正書】特許法第184条の8 【提出日】1994年10月31日 【補正内容】 請求の範囲 1. 開始剤および乳化剤の存在下の水相におけるフッ化ビニルの重合方法にお いて、その乳化剤が、式中のRがCH2CH2CH2およびCH3CCH3の少なく とも一方から選択したものであり、nが3ないし5の整数であり、Xが開始剤ま たは重合体の遊離基による攻撃に対して感受性であり得る水素原子を含有しない アニオンである、一般式F(CF2CF2)nRNH3Xの少なくとも1種のパーフ ルオロアルキルプロピルアミンの塩を含み、その開始剤がアゾ開始剤であること を特徴とする改良。 2. 上記の乳化剤が水の100部あたり約0.01ないし約3部の濃度で存在するこ とを特徴とする請求の範囲1記載の方法。 3. 上記の乳化剤が水の100部あたり約0.02ないし約1部の濃度で存在するこ とを特徴とする請求の範囲2記載の方法。 4. 上記のXがフッ化物基、臭化物基、塩化物基、トリフルオロメタンスルホ ン酸基、トリフルオロ酢酸基、およびベンゼンスルホン酸基よりなるグループか ら選択したものであることを特徴とする請求の範囲1記載の方法。 5. 上記のXが基本的に塩化物基よりなるものであることを特徴とする請求の 範囲4記載の方法。 6. 連続的であり、かつ、上記の乳化剤が、そのnが3ないし5の整数である F(CF2CF2)nCH2CH2CH2NH3Clから選択したものであることを特 徴とする請求の範囲1記載の方法。 7. セミバッチベースで操作することを特徴とする請求の範囲1記載の方法。 8. 上記のアゾ開始剤が2,2'-アゾビス-(イソブチロアミジン)二塩酸塩であ ることを特徴とする請求の範囲1記載の方法。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. 開始剤および乳化剤の存在下の水相におけるフッ化ビニルの重合方法にお いて、その乳化剤が、式中のRがCH2CH2CH2およびCH3CCH3の少なく とも一方から選択したものであり、nが3ないし5の整数であり、Xが開始剤ま たは重合体の遊離基による攻撃に対して感受性の水素原子を含有しないアニオン である一般式F(CF2CF2)nRNH3Xの少なくとも1種のパーフルオロアル キルプロピルアミンの塩を含むことを特徴とする改良。 2. 上記の乳化剤が水の100部あたり約0.01ないし約3部の濃度で存在するこ とを特徴とする請求の範囲1記載の方法。 3. 上記の乳化剤が水の100部あたり約0.02ないし約1部の濃度で存在するこ とを特徴とする請求の範囲2記載の方法。 4. 上記のXがフッ化物基、臭化物基、塩化物基、トリフルオロメタンスルホ ン酸基、トリフルオロ酢酸基、およびベンゼンスルホン酸基よりなるグループか ら選択したものであることを特徴とする請求の範囲1記載の方法。 5. 上記のXが基本的に塩化物基よりなるものであることを特徴とする請求の 範囲4記載の方法。 6. 連続的であり、かつ、上記の乳化剤が、そのnが3ないし5の整数である F(CF2CF2)nCH2CH2CH2NH3Clから選択したものであることを特 徴とする請求の範囲1記載の方法。 7. セミバッチベースで操作することを特徴とする請求の範囲1記載の方法。 8. 請求の範囲1記載の方法により製造された重合体。
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