JPH0850849A - 陰極部材およびそれを用いた電子管 - Google Patents

陰極部材およびそれを用いた電子管

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JPH0850849A
JPH0850849A JP32190894A JP32190894A JPH0850849A JP H0850849 A JPH0850849 A JP H0850849A JP 32190894 A JP32190894 A JP 32190894A JP 32190894 A JP32190894 A JP 32190894A JP H0850849 A JPH0850849 A JP H0850849A
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powder
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electron
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Kazunori Narita
万紀 成田
Toshikazu Sugimura
俊和 杉村
Hiroyuki Sakatani
浩行 酒谷
Takeshi Tanabe
剛 田辺
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Renesas Semiconductor Manufacturing Co Ltd
Kansai Nippon Electric Co Ltd
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Renesas Semiconductor Manufacturing Co Ltd
Kansai Nippon Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 低い動作温度で、電子放射分布が良く、高電
流密度電子放射を長期間安定して放射可能な安価な陰極
と、それを搭載した高輝度、長寿命、低消費電力、高性
能で安価な電子管を提供する。 【構成】 Niと、還元作用を有する金属と、電子放射
剤とを含有し、熱間等方加圧処理により焼結一体化さ
れ、電子放射面が鏡面加工された電子管用陰極部材。 【効果】 動作温度が低く、電子放射面が平滑なため電
子放射分布が良く、高電流密度電子放射を長期間安定し
て放射可能な安価な陰極が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は真空中で熱電子を発生さ
せる陰極部材およびそれを使用した電子管、特に陰極線
管(以後CRTと略称)に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のCRT用陰極は、「応用物理」第
56巻、第11号、13〜22頁(1987)に示さ
れ、第1例として図5の酸化物陰極を参照して説明す
る。図5にて50は酸化物陰極、51は(Ba,Sr,
Ca)CO3 からなる電子放射剤、52はMg、Siな
どを含むNi製基体、53はNi−Cr製陰極スリー
ブ、54はヒータである。次に酸化物陰極50の製法を
説明する。ニトロセルロースを溶解した有機溶媒に(B
a,Sr,Ca)CO3 粉を混合した溶液を基体52の
表面に吹き付け、膜厚100μm程度の被膜を形成す
る。電子管に酸化物陰極50を組み込み後、真空排気中
に電子放射剤51をヒータ54により約1000℃に加
熱し (Ba,Sr,Ca)CO3 →(Ba,Sr,Ca)O
+CO2 ↑ なる熱分解をおこない炭酸塩を酸化物に変換する。電子
管を封止したのちヒータ54により約1000℃に加熱
しながら電子放射電流を取る。このとき電子放射剤51
と基体52との界面で基体52内部から拡散してくるM
g,Siなどの還元作用を有する金属(以後還元性金属
と略称)と電子放射剤51中のBaOとが反応して遊離
Baを生じる。この過程を活性化と称する。活性化完了
により酸化物陰極50が完成する。完成した酸化物陰極
50はヒータ54により加熱され、約760℃にて電子
放射剤51から熱電子が放射される。なおここでNiに
Mg,Si等の還元性金属を添加、合金化させる方法と
しては、Niと還元性金属とを真空中で溶融、混合させ
た後冷却して合金化させる真空溶解法が一般的である。
【0003】次に従来例2として「焼結型陰極」と称す
る酸化物陰極の改良品を図6を参照して説明する。(特
開昭54−100249号公報) 図6に焼結型陰極の断面図を示す。図6において60は
焼結型陰極、51は電子放射剤、53は陰極スリーブ、
54はヒータ、61はAl,C,Mg,SiまたはZr
のような還元性金属を含む焼結Ni基体である。基体6
1は(還元性金属−Ni)合金を粉砕し、それをNi粉
末と混合し、その混合物を水素炉で約1050℃に加熱
焼結し、焼結済品を圧延、打ち抜き、成形して製造され
る。その後、従来例1と同様に電子放射剤51の被膜形
成、熱分解、活性化が行なわれ焼結型陰極60が完成す
る。次に従来例3として「マトリックス型陰極」と称す
る別種の陰極を図7を参照して説明する。(特開昭60
−170137号公報) 図7にマトリックス型陰極の断面図を示す。図7におい
て70はマトリックス型陰極、53は陰極スリーブ、5
4はヒータ、71は陰極ペレット、72は陰極キャップ
である。陰極ペレット71は、WまたはMoから成る耐
熱金属粉末と、(Al2 O3 ,CaO,MgO,Sc2
O3 ,Y2 O3 ,ZrO2 、SrO)の少なくとも一種
とBaOを含む化合物あるいは混合物を原料とする電子
放射剤粉末とを混合、加圧成形後、高温で焼結して製造
される。マトリックス型陰極70は従来例1、2と異な
り電子放射剤の被膜形成および熱分解は不必要である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来例1の酸化物陰極
は実用陰極中最も低温で電子放射が得られるうえ、非常
に低価格であるという特徴があるが、高電流密度で電子
放射させた場合に寿命が極端に短いという欠点があっ
た。その原因を次に説明する。(「応用物理」第56
巻、第11号、13〜22頁(1987)) 酸化物陰極の低い仕事関数はBaOがMg,Siなどの
還元性金属で還元されて遊離Baとなることで得られる
が、一方Mg,SiなどはMgO,BaSiO4 などの
反応生成物となり電子放射剤51と基体52の界面に堆
積して中間層(図示せず)をつくる。この中間層は電気
抵抗が大きいためそれを横切る電流が大きい場合(すな
わち高電流密度で電子放射させる場合)中間層でジュー
ル熱が大量に発生し、電子放射剤51が過熱して溶融変
質したり、基体52から剥離するなどの現象がおこるた
め寿命が極端に短くなる。このため従来例1、酸化物陰
極は放射電流密度が最大0.5A/cm2 程度に限定さ
れ、HDTV用CRT、大型TV用CRT、高精細ディ
スプレイ用CRTには輝度が不足して使用できない。ま
た従来例1、酸化物陰極は吹き付け法で作製されるた
め、電子放射面の凹凸が激しく最大30μmほどに達す
る。このため表面の電子放射分布が悪く、CRT画面上
でのフォーカス特性が悪くなりモアレ縞が発生するとい
う欠点も有する。この点からも従来例1、酸化物陰極は
高精細ディスプレイ用CRTには不適切である。また従
来の真空溶解法によるNi合金基体では、溶融中は還元
性金属が均一に分散していても、凝固時には還元性金属
がNi結晶粒界に偏析するため一様な合金が形成されな
い。さらにその合金を粉砕して微粉化すると、粉砕時に
活性な還元性金属が酸化されて還元力が失われるため十
分粒径がそろうまで粉砕ができない。いずれにしても還
元性金属の還元力が均一に得られない欠点があった。
【0005】従来例2、焼結型陰極は従来例1、酸化物
陰極で発生する不具合すなわち、電子放射剤51と基体
52の界面に中間層が堆積して電流の妨げになることを
防ぐことを目的としている。基体61が多孔質焼結体で
あるため、その間隙に電子放射剤51が浸透し両者の接
触面積が大きくなるので従来例1、酸化物陰極に比べ中
間層の堆積厚さは薄くなる。しかし電子放射剤51の浸
透深さが基体61の厚みに比較して浅いため中間層厚さ
低減効果は十分ではない。また従来例2、焼結型陰極も
従来例1、酸化物陰極と同様吹き付け法で作製されるた
め電子放射面の凹凸が激しく、CRT画面上でのフォー
カス特性が悪くなるという欠点を有する。従来例3、マ
トリックス型陰極はMg,Siのような中間層を生成す
る還元性金属を含んでいないため、従来例1、酸化物陰
極、従来例2、焼結型陰極とは異なり中間層による電流
密度制限はない。反面還元性金属を含まないため遊離B
aの生成が少ないので、動作温度が高くなり(960℃
程度)、陰極スリーブおよび陰極キャップを高価な耐熱
金属製とせねばならず高コストとなる。本発明は上述し
た従来型陰極の欠点に鑑みて、酸化物陰極(従来例1)
と同様の低い動作温度(約760℃)にてマトリックス
型陰極(従来例3)と同等の高密度電子放射(2ないし
10A/cm2 )を長期間(30、000時間以上)に
わたり安定して放射可能で、しかも表面電子放射分布の
良好な陰極を安価に提供すると共に、それらを搭載した
高輝度、長寿命、低消費電力でかつ安価な電子管を提供
することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の陰極は少なくと
もNiと、還元性金属と、電子放射剤とを含有し、熱間
等方加圧処理により焼結一体化され、電子放射面が鏡面
加工されたことを特徴とする。また本発明の陰極は少な
くともNiと、還元性金属と、電子放射剤と、中間層生
成阻害物質とを含有し、熱間等方加圧処理により焼結一
体化され、電子放射面が鏡面加工されたことを特徴とす
る。また本発明の陰極は還元性金属がMg,Si,Z
r,Ta,Al,Co,Crから選ばれたことを特徴と
する。また本発明の陰極は還元性金属がMg,Si,Z
r,Ta,Al,Co,Crから選ばれた少なくとも1
種とWとであることを特徴とする。また本発明の陰極は
電子放射剤が少なくともBa炭酸塩又はBa酸化物を含
むことを特徴とする。また本発明の陰極はNiと還元性
金属とが熱間等方加圧処理以前に合金化されていること
を特徴とする。また本発明の陰極はNiと還元性金属と
が熱間等方加圧処理により焼結一体化されたことを特徴
とする。また本発明の陰極は中間層生成阻害物質が、希
土類金属又は希土類金属酸化物であることを特徴とす
る。また本発明の陰極は希土類金属がSc,Y,La,
Ce,Dyから選ばれたこと、また希土類金属酸化物が
前記金属の酸化物から選ばれたことを特徴とする。また
本発明の陰極は中間層生成阻害物質が、In化合物であ
ることを特徴とする。また本発明の陰極はNiと還元性
金属とがメカニカル・アロイング法により合金化されて
いることを特徴とする。
【0007】
【作用】少なくともNiと、還元性金属と、電子放射剤
とを含有し、熱間等方加圧処理(以後HIP処理と略
称)により焼結一体化され、電子放射面が鏡面加工され
たことにより本発明の電子管用陰極部材は次の作用効果
が得られる。 HIP処理の圧力効果により、融点の異なるNiと、
還元性金属と、電子放射剤とが強固に焼結一体化でき
る。 還元性金属により電子放射剤が還元され電子放射に有
効な金属原子が多量に生成されるため760℃程度の低
温で十分な電子放射が得られる。 Niと電子放射剤との接触面積が従来例に比べてはる
かに大きいため単位面積当たりの中間層堆積量が少な
く、中間層による放射電流密度制限が少ない。このため
高電流密度で電子放射させても陰極寿命がはるかに長
い。 電子放射面に凹凸がなく平滑であるため電子放射分布
が均一であり、CRT画面上でのフォーカス特性が良好
でありモアレ縞不良が発生しない。このため高精細ディ
スプレイ用CRTに好適である。また、少なくともNi
と、還元性金属と、電子放射剤と、中間層生成阻害物質
とを含有し、HIP処理により焼結一体化され、電子放
射面が鏡面加工されたことにより、本発明の電子管用陰
極部材は上記作用,,,に加え次の作用効果が
得られる。 中間層生成阻害物質が中間層の堆積を抑制するため中
間層が生成しない。このため高電流密度で電子放射させ
ても陰極寿命が非常に長い。また、Niと還元性金属と
をメカニカル・アロイング法により合金化することによ
り、真空溶解法では困難な、還元性金属が均一に分散
し、粒径のそろった合金粒子が低コストで作製できる。
【0008】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を説明
する。図1は本発明の一実施例の陰極部材を用いた陰極
の断面図、図2は本発明の一実施例の陰極部材を用いた
陰極の製造工程図、図3は本発明にかかわるHIP処理
温度、圧力プログラムの一実施例である。図1にて、1
0は本発明の陰極部材を用いた陰極、11は本発明の陰
極部材を用いた陰極ペレット、12は陰極キャップ、1
3は陰極スリーブ、14はヒータである。図1,2,3
を参照して本発明の陰極部材の一実施例(以後、実施例
1と称する)の製法を説明する。MgおよびSiを含む
Ni合金粉末と、BaCO3 粉末、SrCO3 粉末、C
aCO3 粉末とをボールミルを用いてよく混合する(図
2、21)。ここでNi合金粉末の平均粒径は5μm、
BaCO3 粉末、SrCO3 粉末、CaCO3 粉末の平
均粒径はいずれも2μm、(Ni合金粉末):(BaC
O3粉末+SrCO3 粉末+CaCO3 粉末)の体積比
は45:55、MgおよびSiの量はおのおのNiの
0.1重量%、0.03重量%であった。またBaCO
3 粉末、SrCO3 粉末、CaCO3 粉末の比率はB
a:Sr:Caのモル比が5:4:1であった。ここで
用いたNi合金粉末は、平均粒径がいずれも5μmの,
Mg粉末0.1g,Si粉末0.03g,Ni粉末9
9.87gをメノウ乳鉢にメノウボールと共にアルゴン
ガス雰囲気で密封し、遊星式ボールミル装置で4時間ボ
ールミングして得られたもので、メカニカル・アロイン
グ(MA)法によって合金化したものである。この時の
メノウボール径は直径10mm、数は20個、加速度は
約120Gであった。MA法に適する装置としては、例
えば「トライポロジスト」誌、38巻、11号、P.1
024〜P.1030(1993)記載の高速遊星ミル
などがあるが、大きな加速度(例えば100〜150
G)を加えることができるものであれば、高速振動、超
音波振動など他の方法装置でもよい。
【0009】上記原料の平均粒径は、Ni合金粉末は
0.5μm以上30μm以下が、BaCO3 粉末、Sr
CO3 粉末、CaCO3 粉末はいずれも0.05μm以
上10μm以下が適切である。また上記原料の混合比、
組成比は、(Ni合金粉末):(BaCO3 粉末+Sr
CO3 粉末+CaCO3 粉末)の体積比が5:95から
95:5の間、MgおよびSiがおのおのNiの0.0
1重量%以上3重量%以下で前述の効果が得られ、特に
(Ni合金粉末):(BaCO3 粉末+SrCO3 粉末
+CaCO3 粉末)の体積比が35:65から65:3
5の間、MgおよびSiがおのおのNiの0.05重量
%以上1重量%以下が適切である。次に上記混合済み粉
末をゴム型に詰め密封したのち一軸加圧装置又は冷間等
方圧加圧装置(CIP装置)により加圧して成形品をつ
くる。(図2,22) 次に上記成形品をガラスカプセル(図示せず)内に真空
封入し、HIP処理のさい高圧ガスが成形品内部に侵入
することをガラスにより防止し、圧力が完全に成形品に
加わるようにする。また真空封入することによりHIP
処理時に成形品が酸素、窒素などと有害な反応をするこ
とを防止できる。このとき成形品とカプセルが直接接触
するとHIP処理中に両者が有害な反応をするため、成
形品とカプセルとの間に酸化アルミニウムまたはBNな
どの粉末を充填する。
【0010】次に上記成形品入りガラスカプセルをHI
P処理装置(図示せず)の炉内に挿入し、図3に示す温
度、圧力プログラムに従ってHIP処理を行なう(図
2,23)。途中で770℃に保持するのはガラスが十
分に軟化するのを待ってから加圧するためである。HI
P処理の温度、圧力、時間については図3の数値は一例
であり、温度が800℃から1500℃の間、圧力が2
00気圧から2000気圧の間、時間は任意の間におい
て焼結状態が得られるが、特に温度が800℃から10
00℃の間、圧力が1000気圧から2000気圧の
間、時間が20分から100分の間が適切である。なお
最高圧力については2000気圧を越えても適切な焼結
状態が得られると思われるが、2000気圧を越えるH
IP装置は特殊であるため2000気圧を越える範囲は
実用的ではない。また本発明の実施例においてはカプセ
ル材料としてガラスを用いたが、軟鋼や銅などの金属を
カプセル材料として用いることも無論可能である。この
場合ガラスカプセルと異なり金属カプセルが軟化する前
に加圧してもさしつかえないが最終加熱温度より低い軟
化点を有する金属を使用する必要がある。HIP処理完
了後、ガラスカプセルから焼結一体化済品を取り出し、
切断、研磨等の機械加工により電子放射面が鏡面加工さ
れた所定の形状の陰極ペレット(図1,11)を作製す
る(図2,24)。完成した陰極ペレット(図1,1
1)を陰極キャップ(図1,12)、陰極スリーブ(図
1,13)に挿入し、周囲および底面を抵抗溶接または
レーザ溶接により固定する(図2,25)。次に陰極ス
リーブ(図1,13)内にヒータ(図1,14)を挿入
する(図2,26)。
【0011】完成した陰極(図1,10)をCRT(図
示せず)に組み込み(図2,27)、排気中にヒータ
(図1,14)を点灯して陰極ペレット(図1,11)
を600℃以上1200℃以下に加熱し BaCO3 →BaO+CO2 ↑ SrCO3 →SrO+CO2 ↑ CaCO3 →CaO+CO2 ↑ で表される熱分解を行なう(図2,28)。なお、これ
は電子放射剤の出発原料がBaを含む炭酸塩だからであ
り、出発原料がBaを含む酸化物の場合は上記熱分解は
不要である。排気完了後CRTを真空封止し、再度ヒー
タ(図1,14)を点灯し陰極ペレット(図1,11)
を600℃以上1200℃以下に加熱して熱活性化を行
い、引き続き600℃以上1200℃以下に加熱しなが
ら電子放射電流をとり電流活性化を行なう(図2,2
9)。いずれの活性化もBaOを還元し、Ba原子が陰
極ペレット(図1,11)の電子放射面を覆い、電子放
射面の仕事関数を低下させることを目的とする。電流活
性化完了により本発明の陰極部材を用いた陰極(図1,
10)が完成する。
【0012】本発明の陰極部材の実施例1を用いた陰極
の電子放射特性を図4を参照して説明する。図4は本発
明の陰極部材の実施例1を用いた陰極を2極管(図示せ
ず)に組み込み、陰極−陽極間印加電圧と電子放射電流
の関係を測定し、横軸に陰極−陽極間印加電圧を、縦軸
に電子放射電流密度をそれぞれ対数目盛りで表示したも
のである。図4に示したように本発明の実施例1を用い
た陰極は陰極温度760℃で最大電流密度3A/cm2
が得られた。これはHDTV用CRT、大型TV用CR
T、高精細ディスプレイ用CRTで十分な輝度の得られ
る電流密度である。ここで、MgおよびSiを含むNi
合金粉末を従来の真空溶解法で作成した場合の相対的な
電子放射電流密度は、純Niの場合を1.0として、
1.20であったが、本発明のメカニカル・アロイング
法では1.56と大幅に改善された。また本発明の実施
例1を用いた陰極をCRTに組み込み陰極表面の凹凸に
起因するフォーカス不良及びモアレ縞不良を従来例1、
酸化物陰極と比較した。次に陰極温度760℃にて電流
密度3A/cm2 で寿命試験を行い、同等の試験条件で
の従来例1、酸化物陰極と電子放射電流の低下を比較し
た。陰極表面の凹凸に起因するフォーカス不良及びモア
レ縞不良は、従来例1、酸化物陰極でそれらが顕著に観
察される厳しい条件においてもほとんど観察されず、陰
極表面が平滑である効果が確認された。また寿命試験に
おいては、連続動作2000時間後、本発明の陰極の実
施例1の電子放射電流の低下率は約10%であったが、
従来例1、酸化物陰極の電子放射電流の低下率は約30
%にも達した。
【0013】上記実施例1においては還元性金属として
Mg,Siを用いたが、同じ目的でZr,Ta,Al,
Co,Cr,Wを用いた場合の特徴を簡単に説明する。
Zr,TaはMg,Siに比べ還元力は弱いが蒸発が少
ないため不要電子放射が起きにくいので高信頼性電子管
に適する。AlはMg,Siと同等の還元力を有し、M
g,Siと似た特徴を示す。CoはMg,Siに比べ還
元力は弱いが蒸発が少ないため特に長寿命を必要とする
電子管に適する。CrはMg,Siと同等の還元力を有
しているが蒸発が多いため特に初期特性の高さを要求さ
れる電子管に適する。以上のZr,Al,Co,Crの
Niに対する添加量はMg,Siと同等が適切である。
Wは非常に還元力が弱いため単独では効果が少ないが、
ほとんど蒸発しないため長期にわたって還元力を発揮す
る。このためMg,Si,Al,Cr等のような還元力
の強い還元性金属とWとを併用すると寿命が長くなり好
適である。またこのためWのNiに対する添加量は他の
還元性金属と比べ多く、1重量%以上10重量%以下で
効果を発揮し、特に2重量%以上6重量%以下が適切で
ある。
【0014】実施例1においてはNiと還元性金属とが
HIP処理に先立ち合金化されていたが、Ni粉末と還
元性金属粉末と電子放射剤とを混合し、HIP処理によ
りそれらを焼結一体化しても、前者に近い効果が得られ
る。後者の方法の利点は、還元性金属を含むNi合金は
高価であるが、Niおよび還元性金属は安価であるた
め、全体としてコストが安くなることである。次に本発
明の陰極部材の別実施例(以後、実施例2と称する)の
製法を説明する。MgおよびSiを含むNi合金粉末
と、BaCO3 粉末、SrCO3 粉末、CaCO3 粉末
と、Sc2 O3 粉末とをボールミルを用いてよく混合す
る。ここでNi合金粉末の平均粒径は5μm、BaCO
3 粉末、SrCO3 粉末、CaCO3 粉末、Sc2 O3
粉末の平均粒径はいずれも2μm、(Ni合金粉末):
(BaCO3 粉末+SrCO3 粉末+CaCO3 粉末)
の体積比は45:55、Mg,SiおよびSc2 O3 の
量はおのおのNiの0.1重量%、0.03重量%およ
び5重量%であった。またBaCO3 粉末、SrCO3
粉末、CaCO3 粉末の比率はBa:Sr:Caのモル
比が5:4:1であった。ここで中間層生成阻害物質で
あるSc2 O3 粉末はNiの1重量%以上10重量%以
下が適切である。
【0015】実施例2における陰極の構造、製造工程、
HIP処理温度圧力プログラムは各々図1,2,3に示
した実施例1のものと同一なので説明を省略する。本発
明の実施例2を用いた陰極の初期電子放射特性は本発明
の実施例1のそれにほぼ同じであり、寿命試験における
電子放射電流の低下率は本発明の実施例1のそれの1/
3以下であった。中間層生成阻害物質が、他の希土類金
属またはその酸化物、すなわちY,La,Ce,Dy又
はその酸化物の場合は、Sc2 O3 に比べいくらか中間
層生成阻害効果が劣るが、Sc2 O3 に比べ価格が大幅
に安いため高性能よりもコストを優先する場合に適して
いる。上記の希土類金属またはその酸化物の添加量はS
c2 O3 と同一が適切である。中間層生成阻害物質がI
n化合物の場合は、前記希土類金属又はその酸化物より
もいくらか中間層生成阻害効果が劣るものの、さらに安
価である。
【0016】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、低
い動作温度で表面の電子放射分布が良く、高電流密度の
電子放射を長期間安定して放射可能な陰極を安価に提供
できる。またそれを搭載した高輝度、長寿命、低消費電
力、高性能でかつ安価な電子管を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例の陰極部材を用いた陰極の
断面図
【図2】 本発明の一実施例の陰極部材を用いた陰極の
製造工程図
【図3】 HIP処理の温度、圧力プログラムの一実施
例説明図
【図4】 本発明の実施例1の電子放射特性説明図
【図5】 従来例1、酸化物陰極の断面図
【図6】 従来例2、焼結型陰極の断面図
【図7】 従来例3、マトリックス型陰極の断面図
【符号の説明】
10 陰極 11 陰極ペレット 12 陰極キャップ 13 陰極スリーブ 14 ヒータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田辺 剛 滋賀県大津市晴嵐2丁目9番1号 関西日 本電気株式会社内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Niと、還元作用を有する金属と、電子放
    射剤とを含み、熱間等方加圧処理により焼結一体化さ
    れ、電子放射面が鏡面加工された陰極部材。
  2. 【請求項2】更に中間層生成阻害物質を含むことを特徴
    とする請求項1記載の陰極部材。
  3. 【請求項3】前記還元作用を有する金属がMg,Si,
    Zr,Ta,Al,Co,Crからなる群より選ばれた
    少なくとも一種であることを特徴とする請求項1又は2
    記載の陰極部材。
  4. 【請求項4】さらにWを含むことを特徴とする請求項3
    記載の陰極部材。
  5. 【請求項5】前記電子放射剤がBa炭酸塩又はBa酸化
    物であることを特徴とする請求項1又は2記載の陰極部
    材。
  6. 【請求項6】前記Niと還元作用を有する金属とが熱間
    等方加圧処理に先立ち合金化されていることを特徴とす
    る請求項1又は2記載の陰極部材。
  7. 【請求項7】前記Niと還元作用を有する金属とが熱間
    等方加圧処理により焼結一体化されたことを特徴とする
    請求項1又は2記載の陰極部材。
  8. 【請求項8】中間層生成阻害物質が、希土類金属又はそ
    の酸化物であることを特徴とする請求項2記載の陰極部
    材。
  9. 【請求項9】前記希土類金属がSc,Y,La,Ce,
    Dyからなる群より選ばれた少なくとも一種であること
    を特徴とする請求項8記載の陰極部材。
  10. 【請求項10】前記中間層生成阻害物質が、In化合物
    であることを特徴とする請求項2記載の陰極部材。
  11. 【請求項11】前記Niと還元作用を有する金属とがメ
    カニカル・アロイング法により合金化されていることを
    特徴とする請求項6記載の陰極部材。
  12. 【請求項12】請求項1ないし11記載のいずれかの陰
    極部材を搭載した電子管。
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