【発明の詳細な説明】
トリテルペノイド酸の誘導体およびその用途発明の技術分野
本発明は、一般に医化学の分野に関する。さらに詳しくは、本発明は、二重の
薬理作用発現特性を有するトリテルペノイド酸の誘導体(好ましくはグリシルレ
チン酸の誘導体)、該誘導体を含有する調合物、およびある種の疾患を予防また
は治療するためのその用途に関する。発明の背景
天然産物のトリテルペノイド類の成員であるグリシルレチン酸およびある種の
その誘導体は、抗潰瘍、抗炎症、抗アレルギー、抗肝炎および抗ウイルス作用を
有することが知られている。たとえば、ある種のグリシルレチン酸誘導体は胃潰
瘍を予防または快癒することができる。ドル(Doll,R.)ら、Lancet(1962
)11:793。当該技術分野で知られているそのような化合物としては、カル
ベノキソロン(carbenoxolone)(米国特許第3,070,623号)、3−O
位に置換基を有するグリシルレチン酸エステル誘導体(米国特許第3,070,
624号)、グリシルレチン酸のアミノ酸塩(特開昭JP−A−32798号)
、グリシルレチン酸のアミド誘導体(ベルギー特許第753773号)、11−
デオキシグリシルレチン酸のアミド誘導体(英国特許第1346871号)、シ
クロキソロン(cicloxolone)(Journal of Antimicrobial Chemotherapy(19
86)18:B:1845〜200)、およびグリシルリジン酸およびその誘導
体(Chem.Pharm.Bull.(1991)39(1):112〜115)が挙げられ
る。
ある種のグリシルレチン酸化合物の製造方法もまた知られている。たとえば、
11−デオキシグリシルレチン酸並びにそのヘミエステル誘導体およびそのカル
ボン酸およびアミド誘導体の合成方法もまた知られている。特開昭JP−A−5
9−70638号;特開昭JP−A−58−8044号;特開昭JP−A−63
−135351号。
驚くべきことに、グリシルレチン酸およびその誘導体の多彩な医学的作用を説
明する生物学的作用メカニズムはわかっていない。グリシルレチン酸はロイコト
リエン生合成に関与する酵素(5−リポキシゲナーゼ活性を含む)を阻害するこ
とが示されており、このことが、報告された抗炎症作用の原因であろうと考えら
れている。ソトマツ(Sotomatsu,S.)ら、Skin and Urology(1959)21:
138およびイノウエ(Inoue,H.)ら、Chem.Pharm.Bull.(1986)2:8
97〜901。このクラスの化合物に関しては、別の作用様式について報告され
ていない。
レセプターのファミリーであるセレクチン(selectins)(またはレクチン、
EGF、補体−細胞接着分子)(以下、LEC−CAMsという)が、癌、関節
炎を含むある種の疾患において、および炎症応答において関与することを示す膨
大なデータが蓄積している。このファミリーの3つの知られた成員であるL−セ
レクチン(LECAM−1、LAM−1、gp90MEL)、E−セレクチン(
LECAM−2、ELAM−1)およびP−セレクチン(LECAM−3、GP
M−140、PADGEM)は、それぞれ、カルシウム依存性レクチン(Cーレ
クチン)に相同なドメイン、EGF−様ドメイン、および幾つかの補体結合タン
パク質様ドメインを有している(ベビラッカ(Bevilacqua)ら、Science(19
89)243:1160〜1165;ジョンストン(Johnston)ら、Cell(19
89)56:1033〜1044;ラスキー(Lasky)ら、Cell(1989)5 6
:1045〜1055;テッダー(Tedder)ら、J.Exp.Med.(1989)1 70
:123〜133)。おそらく最も研究されているのはE−セレクチンであ
り、これは刺激を受けた血管内皮上に存在し、炎症応答の間に遊出に先立って好
中球付着に関与する。これらセレクチンに結合する薬剤は種々の疾患の治療に有
用な医薬となるであろうことが提唱されている。
医化学の分野においては、その医学的有用性を説明する2以上の作用メカニズ
ムを有する医薬を同定し、製造することが望ましい。明らかに、かかる医薬を利
用でき、処方することができることは、その効能が高いがゆえに医者にとって有
利である。発明の要約
本発明の重要な側面は、トリテルペノイド酸のある種の誘導体、好ましくはグ
リシルレチン酸の誘導体が二重の薬理作用発現特性、すなわちセレクチンリガン
ド活性およびロイコトリエン生合成の酵素阻害作用を示すという発見にあり、下
記の一般的構造式(I)を有する化合物である:
(式中、
YはOR1、NR1 2、O−M1;
R1はH、低級アルキル;
M1はNa+、K+,Ma++,Ca++イオン;
R2はCH2OR1またはCH3;
R3はH、CH3、低級アルキル、COY、CH2OH、CH2OCH2CH=CH2
、CH2OSO3M1;
ZはO、NR1、NR1Ac、NR1Bz、H、OCH3、低級アルキル、OH、S
O3M1、OCH2CH=CH2、OCH2CO2HまたはO−グルコシド(グルコシ
ドは、グルコース、フコース、ガラクトース、マンノース、アラビノースまたは
キシロースを含む);
R4はH、OH、SO3M1、NH(CH2)nNH2、またはNH−Ph−(NH2
)n(n=1〜8、Phは3までのアミン官能基で置換されており、残りの置換
がH、R1、R2またはCO2R1であってよいフェニルまたはナフチル環);
R5およびR6=H、CH3、または一緒になって5または6員の炭素環式環;
XはO、S、NR1 2;
WはC=O、C=CR1 2、CR1CR1 3、CR1−CR1 2OR1、COR1−CR1
OR1 2、COR1CR1 2OR1、CR1CR1 2NR1 2、CR1CR1 2OCR1COY
)。
本発明の他の目的は、式(I)で示される化合物を含有する医薬調合物を提供
することにある。
本発明の第三の目的は、トリテルペノイド化合物の3位にグルコシドを直接ま
たは間接に結合させることからなる、トリテルペノイド化合物の二重薬理作用発
現特性を高める方法である。
本発明の第四の目的は、式(I)で示される化合物を投与することによる疾患
の診断法であり、該化合物は体内の疾患部位での位置決定を容易にするために適
当に標識されている。
本発明の他の目的は、癌、関節炎および炎症応答を含む疾患の治療方法を提供
することを包含するが、これに限られるものではない。図面の簡単な説明
本発明は、以下の添付の図面を参照することにより、一層よく理解でき、その
多くの目的、利点および特徴は当業者に明らかとなるであろう。
図1は、白血球細胞と活性化された内皮細胞との間の相互作用を示す横断面の
模式図である。
図2は、本発明のリガンドがいかにしてELAM−1を抑制する医薬として用
いられるかを示す横断面の模式図である。発明の詳細な記載
本明細書を通じて、科学記事および特許または特許出願を含むある種の刊行物
を参照のため言及する。これら刊行物は、それが本明細書中で言及された場合に
参照のために引用されることを意図するものである。
本発明はまた、記載された特定の組成物、方法またはプロセスに限定されない
ことも理解されなければならない。というのは、これら組成物および方法は、も
ちろん変わりうるからである。また、本明細書において使用する術語は特定の態
様を記載するためにのみ用いるものであり、限定することを意図するものでない
ことは、本発明の範囲が添付の請求の範囲によってのみ限定されることからして
理解されなければならない。
特に定義しない限り、本明細書において使用する技術的および科学的用語はす
べて、本発明が属する技術の分野における当業者が一般に理解しているものと同
じ意味を有する。本明細書に記載したものと類似または等価なあらゆる方法およ
び材料を本発明を実施または試験するために用いることができるが、本明細書に
は好ましい方法および材料を記載する。
「薬理作用発現物」とは、医学的応用のための単一の生物学的作用を有する化
合物を意味する。
「二重薬理作用発現物」または「二重薬理作用発現化合物」とは、医学的に有
用な応用に貢献ないし促進する2つの生物学的作用を有する化合物を意味し、ト
リテルペノイドおよびグルコシドからなり、該グルコシドは該トリテルペノイド
に3位にて結合している。
グルコシドとは、グルコース、フコース、ガラクトース、マンノース、アラビ
ノース、キシロースおよび化学的に関連する糖をいう。
本発明に関連して使用する幾つかの標準的な略語としては、以下のものが挙げ
られる:BSA、ウシ血清アルブミン;DEAE、ジエチルアミノエチル;DM
SO、ジメチルスルホキシド;ELAM−1、内皮/白血球接着分子−1;HP
TLC、高速薄層クロマトグラフィー;LECAM−1、白血球/内皮細胞接着
分子−1;5−LO、5−リポキシゲナーゼ;MOPS、3−[N−モルホリノ
]プロパンスルホン酸;NANA、N−アセチルノイラミン酸;PVC、ポリ塩
化ビニル;TLC、薄層クロマトグラフィー;TFA、トリフルオロ酢酸;Tris
、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン。一般的概観
本発明の化合物の予期しない特性は、それが二重の薬理作用発現特性を示すこ
とである。さらに詳しくは、本発明の化合物は、セレクチンリガンドとしてもロ
イコトリエン生合成の阻害剤としても働く。本発明の化合物の予防または治療効
果を説明する特定の作用メカニズムのいずれにも拘泥することを意図するもので
はないが、それにもかかわらず、本発明者らは、これら両作用が本発明の化合物
の医薬用途を促進しまたその根拠となるものと考える。
ありうるセレクチン作用機構に関し、図1を参照する。図1は、血管1の横断
面を示す。血管壁2の内部側には内皮細胞3が並んでいる。内皮細胞3は活性化
されることによって三角形の表面レセプター4にてELAM−1の合成(図2に
示す)をもたらす。赤血球細胞5および白血球細胞6は血管1内を流れている。
白血球細胞6は炭化水素リガンド7を呈示し、該リガンド7は該リガンド7のレ
セプター4への結合を可能にするような化学的および物理的特性を有している。
リガンド7がレセプター4に結合すると、図に白血球細胞6Aとして示されてい
るように、白血球細胞6は血管壁2を通過させられる。周囲組織8中に移行され
た白血球6Bは、感染と戦うなどの正の効果、および炎症などの負の効果を有し
うる。
それゆえ、以下に一層詳細に記載するように、また図2を参照すると、本発明
の重要な側面は、白血球細胞6の表面上に存在するかどうかとは無関係にセレク
チンリガンド7として機能しうる化合物を本発明者らが製造したということにあ
る。これら単離されたリガンド7Aはそれ自体でELAM−1に付着し、医薬組
成物として調合することができるが、これを投与したときにELAM−1を有効
に阻止し、白血球細胞6に連結したレセプター7の接着を妨害する。薬理学的有
効量のリガンド7Aを投与することにより、すべてとは言わないまでもいくらか
の白血球細胞は周囲組織8に達しないであろう。白血球細胞が周囲組織に到達す
る速度を遅くすることにより、炎症を防ぎ、および/または改善することができ
る。
ある種の癌が人体中を首尾よく広がっていくことができるためには、細胞−細
胞接着が起こる必要がある。この接着は、一般に細胞−細胞接着を妨害するのを
助ける本発明の化合物を投与することによって妨害することができる。従って、
本発明の化合物は、式(I)の化合物へ接着するレセプターを呈示する癌細胞の
拡散を遅らせるのに用いることができる。
上記のように、本発明の化合物の第二の予期しない特性は、本発明の化合物が
ロイコトリエン生合成に関与する酵素(酵素5−リポキシゲナーゼを含む)の阻
害剤であることである。ロイコトリエンは、炎症応答の開始に関与していると考
えられる非常に強力な化学運動性および化学走化性因子である。ロイコトリエン
の生合成を妨害する化合物は、ある種の疾患を治療するうえで医学的に有用であ
る。それゆえ、本発明の化合物の医薬活性は、少なくとも部分的にはロイコトリ
エン生合成阻害作用に帰することができる。トリテルペノイド酸誘導体の試験−セレクチンリガンド活性およびロイコトリエ ン生合成阻害
一般構造式(I)で示されるトリテルペノイド酸の誘導体は、1または2以上
のセレクチンのリガンドとしてのセレクチン結合能か、またはロイコトリエンの
生合成に関与する1または2以上の酵素を阻害する能力のいずれかを決定するた
めに、1または2以上のアッセイ手順に従って試験することができる。これら活
性を有する化合物は本発明に包含され、単独またはある種の疾患の治療または予
防に用いることのできる医薬組成物の一部として有用である。
セレクチン結合アッセイは、所望の細胞表面セレクチンレセプターを発現する
細胞を用いる細胞ベースのアッセイを含む幾つかの態様をとることができる。フ
ォクサル(Foxall,C.)ら、Journal of Cell Biology(1992)117:8
95〜902。そのような細胞は、当業者に知られたアッセイ条件下で化合物が
該細胞に接着するかどうかを決定することにより、化合物をスクリーニングする
ためのプローブとして用いる。別法として、エライサベースのアッセイを利用す
ることができ、選択したセレクチンに結合する本発明の化合物を同定することが
できる。かかるアッセイは、ワトソン(Watson,S.R.)、フェニー(C.Fennie)
、およびラスキー(L.A.Lasky)、Nature(1991)349:164〜167
;ワトソン、イマイ(Y.Imai)、フェニー、ジェフリー(J.Geoffrey)、シン
ガー(M.Singer)、ローゼン(S.D.Rosen)、ラスキー、J.Cell Biol.(19
91)115:235〜243;またはワトソン、イマイ、フェニー、ジェフリ
ー、ローゼン、ラスキー、J.Cell Biol.(1991)110:2221〜22
29、およびフォクサルら、Journal of Cell Biology、117
895〜902(1992)に記載されている。
ロイコトリエン生合成に関与する酵素に対する本発明の化合物の阻害活性を評
価するために幾つかのアッセイを行うことができる。たとえば、アラキドン酸か
らのロイコトリエン生合成はアラキドン酸の5−リポキシゲナーゼ酸化による5
−ヒドロペルオキシエイコサテトラエン酸(5−HPETE)の生成、そして今
度はロイコトリエンA4および5−ヒドロキシエイコサテトラエン酸(5−HE
TE)の生成によって始まる。5−リポキシゲナーゼのアッセイは当該技術分野
で知られており、シミズ(Shimizu,T.)らの方法(Proc.Natl.Acad.Sci.USA
(1984)81:693〜698)およびエパン(Epan,R.)ら(J.Biol.Che m
.(1985)260:11554〜11559)によって容易に行うことが
できる。
別法として、5−リポキシゲナーゼおよび12−リポキシゲナーゼはコシハラ
(Koshihara,M.)らの方法(J.Biol.Chem.(1982)257:7302)に
よってアッセイすることができる。シクロオキシゲナーゼ活性もまた、イノウエ
(Inoue,H.)らによって記載されている修飾したアッセイ条件(Chem.Pharm.Bul l
.(1986)2:897〜901)を用いて同様にアッセイすることができ
る。
セレクチン結合活性かまたはロイコトリエン酵素阻害活性のいずれかの適当な
アッセイを行うための詳細は以下に記載する。
上記活性の一方または両方を有する適当な化合物が同定された後、所望なら、
該化合物を薬理学的に許容しうる賦形剤材料と混合することによって医薬組成物
に調合することができる。そのような組成物は、疾患を予防または治療するのに
充分な量にて静脈注射、局所投与などにより患者に投与することができる。組換
えにより製造されたレセプターを用いた推定ELAM−1リガンドの同定。上記
のように、本発明の化合物は細胞ベースのアッセイを用いてセレクチンリガンド
活性をスクリーニングすることができる。ELAM−1リガンド活性について本
発明の化合物をアッセイするそのようなアッセイの一例は、まず、IL−1で刺
激したヒト臍帯静脈内皮から単離した全RNAから出発するPCRによりELA
M−1レセプターの完全なcDNAを得ることからなる。得られたcDNAをC
DM8プラスミド(アルッフォ(Aruffo,A.)およびシード(Seed,B.)、Proc.N atl.Acad.Sci.USA
(1987)84:8573参照)中に挿入し、このプラ
スミドを大腸菌中で増幅させた。個々のコロニーからのプラスミドDNAを単離
し、COS細胞をトランスフェクションするのに用いた。HL−60細胞接着を
支持するCOS細胞を産生する能力により陽性プラスミドを選択した。DNAシ
ークエンシングにより、これらクローンのうちの一つをELAM−1をコードす
るものとして陽性に同定した(ベビラッカら、Science(1989)243:1
160;ポルト(Polte,T.)ら、Nucleic Acids Res.(1990)18:10
83;ヘッション(Hession,C.)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1990)87
:1673)。これら刊行物は、ELAM−1およびその産生をコードする
遺伝物質を開示するものとして参照のため本明細書中に引用する。ELAM−1
cDNAの完全なヌクレオチド配列およびELAM−1タンパク質の予測され
るアミノ酸配列は上記で引用したベビラッカによる文献に記載されており、これ
らDNAおよびアミノ酸配列を参照のため本明細書中に引用する(1990年1
1月15日公開のPCT特許出願第WO90/13300号をも参照(該公報を
参照のため本明細書中に引用する))。
膜に結合したELAM−1を発現するCOS細胞を32PO4で代謝的に放射性
標識し、トリテルペノイド酸誘導体の認識をスクリーニングするための2つのア
ッセイ系でプローブとして用いた。第一に、トリテルペノイド酸誘導体をPVC
マイクロタイターウエルの底に吸着させ、一方、第二に該誘導体をTLCプレー
ト上で解析した。両アッセイにおいて、これらトリテルペノイド酸誘導体を、制
御された脱離力の条件下、ELAMでトランスフェクションしたCOS細胞、ト
ランスフェクションしていないCOS細胞、または関係のないcDNAを含むプ
ラスミドでトランスフェクションしたCOS細胞の接着を支持する能力について
プローブした(スワンクーヒル(Swank−Hill,P.)ら、Anal.Biochem.(198
7)183:27;およびブラックバーン(Blackburn,C.C.)ら、J.Biol.Chem
.(1986)261:2873参照(上記アッセイ法の詳細を開示するも
のとして本明細書中に引用))。結合体
本発明の化合物の二重の生物学的特性、すなわちセレクチンリガンドおよびロ
イコトリエン生合成の阻害剤を考慮すれば、公知の化学リンカーにより生物学的
に活性な分子をトリテルペノイド酸誘導体に結合させることにより、該分子をセ
レクチンにターゲティングするために後者を利用することができる。米国特許第
4,810,784号および米国特許第5,034,514号。いかなる選択薬をも
用いることができるが、ナプロキセンやイブプロフェンなどの非ステロイド系抗
炎症剤(NSAIDs)をリガンドに結合させ、他の方法に比べて小量で全身投
与することによって、炎症部位で等価もしくは一層大きな抗炎症作用を得るのが
好ましい。結合させることのできる他の薬剤としては、抗生物質、血管拡張薬お
よび鎮痛剤が挙げられるが、これらに限られるものではない。結合させる薬剤の
化学的性質に依存して、リンカーに直接結合させることもできるし、または適当
な反応性残基を付加して間接的に行うこともできる。
酵素的に開裂可能なリンカーにより薬剤を本発明の化合物に結合させるのが一
層好ましい。この種の好ましいリンカーは、疾患部位に有意レベルで存在する酵
素により開裂されるものである。たとえば、本発明の化合物および薬剤を炎症部
位にターゲティングすることを望む場合は、炎症細胞によって産生され分泌され
る酵素によって酵素的に開裂可能なリンカーを選択することにより、該炎症部位
で該化合物および薬剤を放出させるようにする。
このようなドラッグデリバリー手段は、結合体の一部としてではなく遊離の形
態で投与された場合に本発明の化合物および/または薬剤が示す毒性に付随する
全身作用を有意に減少させる。すなわち、本発明の化合物−薬剤結合体は患者の
体内を循環するけれども、遊離の化合物または薬剤は疾患部位においてのみ高濃
度で存在し、それゆえ全身作用を有しないかまたは遊離の化合物または薬剤を投
与した場合に比べてはるかに減少した作用を有する。それゆえ、この投与法は、
全身作用を減少させながら疾患部位に高濃度の化合物および薬剤をもたらすメカ
ニズムを提供するものである。
上記リンカーに加えて、ポリマー性骨格に薬剤を結合させることができる。該
ポリマー骨格としては、簡単なポリマー、炭水化物ポリマー(シクロデキストリ
ン、ヘパリンまたはその誘導体を含む)、ペプチド、ポリマー性ビーズなどが挙
げられるが、これらに限られるものではない。用途および投与
本発明のトリテルペノイド酸誘導体化合物は、疾患を予防するかまたは該疾患
が発症した後に快癒させることにより該疾患の処置を必要とする患者を処置する
ために該患者に投与することができる。本発明の化合物は薬理学的に許容しうる
担体とともに投与するのが好ましく、そのような担体の性質は該化合物の化学的
特性(溶解度特性を含む)および/または投与法に依存する。たとえば、経口投
与を望む場合は、固体担体を選択することができ、静脈内投与のためには液体の
塩溶液担体を用いることができる。
調合の選択は、たとえば、医薬グレードのマンニトール、ラクトース、デンプ
ン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウムセルロース、炭酸マグネ
シウムなどを含む種々の賦形剤を用いて行うことができる。経口組成物は、液剤
、懸濁剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、徐放製剤、または散剤の形態とすることが
できる。DMSOなどの浸透促進剤とともに経皮製剤として本発明の化合物を直
接投与するのが特に好ましい。他の局所製剤もまた、ある種の疾患適用を処置す
るために投与することができる。
一般に、本発明の化合物は、1%未満から約95%以上の活性成分、好ましく
は約10%から約50%の活性成分を含む。約10mg〜50mgを子供に投与
し、約50mg〜1000mgを成人に投与するのが好ましい。投与頻度は、患
者の応答性に注意して決定されるであろう。他の有効投与量も、用量応答曲線を
確立するための通常の試用により当業者によって容易に決定することができる。
本発明の化合物は、癌、慢性関節リウマチおよび多発性硬化症を含む広範囲の
疾患を治療するのに用いることができると思われる。本発明の化合物は、免疫系
が生体に有害な作用を及ぼし、組織損傷、腫脹、炎症および/または疼痛を引き
起こす程度に白血球が組織中に蓄積する疾患状態を治療するのに応用することが
できる。たとえば、慢性関節リウマチの炎症は、多数の白血球が疾患部位内の関
節に素早く入り込み、周辺組織を攻撃するときに生成される。
本発明の調合物はまた、心臓発作により生じる組織損傷の望ましくない後遺症
を防ぐためにも投与することができる。心臓発作が起こり、抗凝固剤や血栓溶解
剤(たとえば、tPA)の適用などにより患者が蘇生した場合に、血餅の生成し
た部位の内皮細胞の並びがしばしば損傷を受ける。抗血栓剤が血餅を除去したと
きに、該血餅の下部の損傷組織および酸素を奪われていた内皮細胞の並び中の他
の損傷組織は活性化される。ついで、活性化された内皮細胞は、該細胞が損傷を
受けた時間内にELAM−1レセプターを合成する。これらレセプターは血管内
に伸長していき、そこで白血球細胞の表面上の糖脂質リガンド分子に接着する。
多数の白血球細胞が速やかに捕捉され、活性化された内皮細胞の領域の周囲の組
織に移行され、その結果、炎症、腫脹および壊死を生じ、このことにより患者の
生存の可能性が減少する。それゆえ、本発明の化合物は、好中球の心臓組織への
接着およびその結果としての組織の損傷を防ぐことにより心臓発作の治療に有利
であることが理解されるであろう。
心臓発作の結果として外傷を患う患者を治療することに加えて、生体のある領
域が重篤な外傷を受けた後に通常生じる所定量の炎症および腫脹を快癒させるた
め、実際の物理的外傷を患う患者を本発明の調合物を用いて治療することができ
る。本発明の調合物を用いて治療することのできる他の疾患状態としては、種々
のタイプの関節炎および成人呼吸障害症候群が挙げられる。当業者であれば、本
発明の開示を読んだ後、本発明の調合物を投与することによって治療および/ま
たは緩和することのできる他の疾患状態および/または兆候を認識することがで
きるであろう。
他の投与方法もまた本発明に用いることができるであろう。たとえば、本発明
のリガンド分子を座剤に調合することができ、ある場合にはエアロゾル剤および
経鼻組成物として調合することができる。坐剤の場合、ビヒクル組成物にはポリ
アルキレングリコールやトリグリセリドなどの通常の結合剤や担体が含まれるで
あろう。そのような坐剤は、活性成分を約0.5%〜約10%(w/w)、好ま
しくは約1%〜約2%の範囲で含有する混合物から調製することができる。
経鼻調合物には、通常、鼻粘膜の刺激や絨毛機能の妨害を起こさないビヒクル
が含まれるであろう。水などの希釈剤、食塩水その他の公知の物質を本発明に用
いることができる。経鼻調合物にはまた、クロロブタノールや塩化ベンザルコニ
ウムなど(これらに限られない)の保存剤も含まれていてよい。鼻粘膜による本
発明のタンパク質の吸収を促進するため、界面活性剤も含まれていてよい。
本発明の化合物はまた、注射剤として投与することができる。一般に、注射用
組成物は液体の液剤または懸濁剤として調製することができる。注射前に液体ビ
ヒクル中に溶解または懸濁させるのに適した固体形態も調製することができる。
調製物を乳濁させることもできるし、または活性成分をリポソームビヒクル中に
組み込むこともできる。式(I)の化合物を、両立しうる薬理学的に許容しうる
賦形剤と混合することができる。
本発明の剤型を調製するためのある種の方法は、知られているかまたは当業者
には明らかであろう。たとえば、レミングトンズ・ファーマシューティカル・サ
イエンスィズ(Remington's Pharmaceutical Sciences)(マック・パブリッシ
ング・カンパニー、イーストン、ペンシルベニア、第17版、1985)を参照
。投与しようとする組成物または調合物には、いずれにしても、処置しようとす
る患者において所望の状態を達成するに適した所定量の化合物が含まれるであろ
う。本発明の種々の化合物は、それ自体で、または上記薬理学的に許容しうる賦
形剤材料とともに用いることができる。合成法
種々のグリシルレチン酸結合体の合成には、トリテルペン核の3−位の周辺で
の操作を必要とする。これら操作の幾つかには、この中心の周辺での二重反転法
が含まれる。
本発明の化合物は、ミツノブ(Mitsunobu)法(O.Synthesis(1981)、1
)を用い、ついで本明細書に記載するC−グリコシド化法を用いてβ−からα−
へ、すなわちC3−β−OHからC3−α−OHへ転化することができる。
幾つかの場合には、E環のカルボキシル基を保護するためにベンジルエステル
保護基を用いることができ、その後に除去すると11−カルボニル官能基も還元
されて11−デオキソーグリシルレチン酸結合体が生成するであろう。グリシル
レチン酸およびその誘導体はアルドステロン(DCA)様活性を有し、ナトリウ
ムの保持およびカリウムの分泌を促進することが知られており、これにより浮腫
、血清カリウムレベルの減少、血圧の上昇および筋疾患が引き起こされる。11
−デオキソ−グリシルレチン酸は、実質的に親化合物のDCA活性を示さない[
バレン(Baren,J.S.)ら、J.Med.Chem.(1974)17(2)184〜191
]。それゆえ、1回の操作により種々の誘導体が潜在的に一層有用な化合物に変
換される。たとえば、周囲温度、酢酸中のptO2で3日間水素化すると[バー
トン(Barton,D.H.R.)ら、J.Chem.Soc.(C)、(1968)、1031]、
11−オキソを選択的に除去して11−デオキソーグリシルレチン酸結合体を得
ることができる。他の合成態様
グリコシド結合体として炭素連結アームに結合した別の炭水化物を含む他の化
合物の合成も、通常のグリコシド化法により行うことができる。別法として、本
明細書に開示する炭素−グリコシド化法を用い、荷電したまたは荷電していない
および/または脱酸素した種としての炭水化物単位を生成させることができるが
、本明細書の開示は分枝鎖、直鎖または他の形態の二糖、三糖および多糖または
オリゴ糖から調製した類似体を排除するものではない。さらに、誘導体化した炭
素−グリコシドは、2'3'−ベンジリデン誘導体の使用を含む選択的保護法(実
施例4参照)によりピラン環とグリシルレチン酸核に結合したスペーサーとの間
の連結基として利用することができ、その際、選択的官能化および/またはグリ
コシド化を脱保護に先立って行うことができる。それゆえ、種々の誘導体が潜在
的に一層有用な化合物に変換される。多価形態の本発明の化合物
本発明の化合物のセレクチンレセプターに対する親和性は、好ましくは担体残
基によって提供される足場を用いることにより、所望の化合物の複数のコピーを
密に近接させて提供することにより促進することができる。そのような多価性を
残基間での空間配置を最適としながら提供することによって、レセプターに対す
る結合が劇的に向上することが示されている(たとえば、リー(Lee,Y.C.)ら、Biochem
(1984)23:4255参照)。
多価性および空間配置は、適当な担体残基を選択することにより制御すること
ができる。そのような残基としては、本発明の化合物に付随する官能基と反応し
うる複数の官能基を有する分子支持体が挙げられる。特に好ましい方法は、還元
的アミノ化により担体のアミノ基に本発明の化合物を結合させることである。還
元的アミノ化は、まずシッフ塩基を生成させ、ついで得られた結合体を水素化物
還元剤などの還元剤で処理することにより、アルデヒド残基を遊離のアミノ基に
結合させるうえで特に都合のいい方法である。一般に、アミノ基を有する担体を
炭水化物残基とおよそpH9にて混合してシッフ塩基を生成させる。溶媒を一般
に蒸発させ、還元剤を高pHにて加えて反応を完了させる。
多価形態の本発明の化合物を得るために特に都合のいい担体残基としては(ア
ミン(たとえば、N(CH2CH2NH2)3))、タンパク質およびペプチド、と
りわけ2つのアミノ基を結合に利用できるリシン残基を含有するものが挙げられ
る。これらペプチドやタンパク質中に少なくとも一つのチロシン残基を含ませて
おくことも有用である。というのは、これが、たとえば放射性ヨウ素で標識する
のに都合のいい部位を提供するからである。三価結合を得るのに特に都合のいい
担体はペプチドLys−Tyr−Lysである。本発明の化合物と該ペプチド上
の遊離アミノ基との反応が完了すると三価残基が得られる。それゆえ、本発明の
一般式(I)で示される化合物は、多価構築物を製造するのに用いることができ
る:
還元的アミノ化による本発明の化合物のアミンへの結合またはその逆により、
多価化合物が製造される。好ましい結合部位はR1、R3、R4、R5、R6、R7お
よびXであり、とりわけR1、R3、R5、R6およびR7である。
もちろん、BSAまたはHSAなどのタンパク質、たとえばペンタペプチド、
デカペプチド、ペンタデカペプチドを含む種々のペプチドなどを含む種々の担体
を用いることができる。これらペプチドまたはタンパク質は、その側鎖に遊離の
アミノ基を有するアミノ酸残基を所望の数だけ有するのが好ましい。しかしなが
ら、スルフヒドリル基やヒドロキシル基などの他の官能基も安定な結合を得るた
めに用いることができる。たとえば、本発明の炭水化物化合物を酸化してカルボ
キシル基を有するようにし、ついで該カルボキシル基を遊離のアミノ基で誘導体
化してアミドを生成させるかまたはヒドロキシル基と誘導体化してエステルを生
成させることができる。加えて、適当に官能化したビオチンテザーを結合させ、
ついで多価形態のためにアビジンと複合体を生成させてもよい。
上記式(I)の構造は異なる異性体形を有し、これら異性体も本明細書の開示
に含まれる。とりわけ、炭素グリコシド残基はアルファまたはベータ立体配置の
いずれであってもよく、糖が結合するA環のC−3位の結合もアキシアルまたは
エクアトリアルのいずれであってもよい。しかしながら、本明細書の開示では異
なる立体配置が示されていないが、これらも本明細書および添付の請求の範囲に
包含されることが理解されるべきである。
実施例
以下の実施例は、当業者に本発明の化合物および組成物の製造法に関する完全
な開示および記載を提供すべく記載するものであって、本発明者らが本発明と考
える範囲を限定するものではない。使用する数字(たとえば、量、温度など)に
関しては正確を期すべく努力を払ったが、若干の実験誤差および偏差は考慮され
るべきである。特に断らない限り、部は重量部であり、分子量は重量平均分子量
であり、温度は℃であり、圧力は大気圧またはその近傍である。
本明細書において本発明を最も実際的で好ましい態様と考えるものを示し記載
する。しかしながら、本発明の範囲内においてこれら態様から離れることは可能
であり、当業者であれば本明細書の開示を読んで明らかな修飾を施すであろう。
実験部門 一般的記載
試薬はアルドリッチ・ケミカル・カンパニー(Aldrich Chemical Company)や
ランカスター・シンセシス(Lancaster Synthesis Ltd.)などの商業提供
者から購入したものであり、特に断らない限り、さらに精製することなく用いた
。テトラヒドロフラン(THF)およびジメチルホルムアミド(DMF)は信頼
できる封印ビンでアルドリッチから購入し、受領したままの状態で用いた。溶媒
はすべて、特に断らない限り常法により精製した。反応は、窒素の加圧下または
乾燥チューブ中、周囲温度にて(特に断らない限り)、無水溶媒中で行い、反応
フラスコは注射器で基質および試薬を導入するためのゴム隔壁を備えていた。ガ
ラス製品はオーブンで乾燥させるか、または熱乾燥させた。分析用薄層クロマト
グラフィー(tlc)は、ガラスで裏打ちしたシリカゲル60F254プレート
アナルテック(Analtech)(0.25mm)上で行い、適当な溶媒比(v/v)
で溶出し、適当に表示した。反応をtlcによりアッセイし、出発物質の消耗に
よる判断で停止させた。
tlcプレートの視覚化は、p−アニスアルデヒドスプレー試薬およびホスホ
モリブデン酸試薬(アルドリッチ・ケミカル、エタノール中に20重量%)を用
いて行い、熱で活性化した。
実験操作は、一般に、特に断らない限り、反応溶媒または抽出溶媒で反応容量
を2倍にすることによって行い、ついで25容量%の抽出溶媒を用いて指示した
水溶液を洗浄した。
生成物の溶液を、濾過および減圧下でのロータリーエバポレーター上での溶媒
の蒸発に先立ってNa2SO4で乾燥させ、溶媒を減圧留去した。
フラッシュカラムクロマトグラフィー(スティル(Still,W.C.);カーン(Ka
hn,M.);ミトラ(Mitra,A.)、J.Org.Chem.(1978)43:2923)は
、特に断らない限り、ベーカーグレードフラッシュシリカゲル(47〜61mm
)および50:1の比率を用いて行った。
水素化は、実施例中に示した圧力または周囲圧で行うことができる。
1H−NMRスペルトルは300MHzで作動するバリアン(Varian)300
装置上で記録し、13C−NMRスペルトルは75MHzで作動するバリアン30
0装置上で記録した。NMRスペルトルは、参照標準としてクロロホルム(7.
25ppmおよび77.00ppm)またはCD3OD(3.4および4.8ppm
および49.3ppm)または内部テトラメチルシラン(0.00ppm)を適当
に用い、CDCl3溶液(ppmとして報告)として得た。ピークの多重度を報
告する場合には、以下の略号を用いる:s(一重項)、d(二重項)、t(三重
項)、m(多重項)、br(ブロード)、dd(二重項の二重項)、dt(三重
項の二重項)。カップリング定数を示すときにはヘルツで報告する。
赤外スペルトルは、パーキン−エルマー(Perkin−Elmer)FT−IRスペク
トロメーター上で正味の油状物として、またはCDCl3溶液として記録し、波
数(cm-1)で報告する。
マススペルトルはFABを用いて得た。
収率は、フラッシュクロマトグラフィーにより精製し、TLCおよび300M
Hz 1H−NMRにより示された95%以上の純度を有する単離生成物の収率で
ある。
実施例1 基本的な合成中間体である2−クロロメチル−3−(トリ−O−ベンジル−α− L−C−フコピラノシド)−1−プロペン(1)の調製
本発明の最終化合物の調製に用いた下記合成化学中間体化合物を、以下に記載
するように合成した。
0℃の無水アセトニトリル(200mL)中のトリ−O−ベンジル−L−フコ
ピラノース(20.0g、46.03ミリモル、1.00ミリモル当量)の溶液に
、2−クロロメチル−3−トリメチルシリル−1−プロペン(30.0g、18
4.34ミリモル、4.00ミリモル当量)を加えた。トリメチルシラントリフル
オロメタンスルホン酸(10.24g、46.03ミリモル、1.00ミリモル当
量)を無水アセトニトリル(30mL、全反応濃度0.2M)中で滴下し、反応
内容物を0℃にて30分間攪拌した。30分後、反応液を酢酸エチル(230m
L)で希釈し、この内容物を飽和重炭酸ナトリウム水溶液中にゆっくりと注ぐこ
とに
よって反応を停止させた。不均一層を分離し、有機相を水で2回、1.0M塩酸
および食塩水で洗浄した。得られた粗製の生成物を無水硫酸ナトリウムで乾燥さ
せ、濾過し、シリカゲルの小パッドに詰めた。溶媒を真空除去して油状物を得、
これをベーカーグレードフラッシュシリカゲル(47〜61mm)(50:1の
比)上のクロマトグラフィーにかけ、ヘキサン中の5または10%酢酸エチルで
溶出した。真空濃縮して2−クロロメチル−3−(トリ−O−ベンジル−α−L
−C−フコピラノシド)−1−プロペン(1)(20.01g、85%)を得た
。
実施例2 2−(トリ−O−ベンジル−α−L−C−メチルフコピラノース)−3−[3− O−(18−β−グリシルレチン酸)]−1−プロペン(2)の調製
下記化合物を以下のようにして調製した。
テトラヒドロフラン中の無水25%ジメチルホルムアミド(30mL)中の水
素化ナトリウム(611mg、25.2ミリモル、6.00ミリモル当量)の溶液
に、テトラヒドロフラン中の無水25%ジメチルホルムアミド最小量中の18−
β−グリシルレチン酸(2.00g、4.25ミリモル、1.00ミリモル当量)
を周囲温度にて加えた。ヨウ化ナトリウム(6.37g、42.5ミリモル、10
.00ミリモル当量)およびヨウ化テトラブチルアンモニウム(157mg、0.
425ミリモル、0.10ミリモル当量)を加え、反応内容物を穏やかな還流ま
で(H2の発生が停止するまで)30分間温めた。2−クロロメチル−3−(ト
リ−O−ベンジル−α−L−C−フコピラノシド)−1−プロペン(1)(6.
47g、12.75ミリモル、3.00ミリモル当量)をテトラヒドロフラン中の
無水25%ジメチルホルムアミド(23mL、全部で0.08M)中にて滴下し
、穏やかに6時間還流した。6時間の還流後、トルエン中の50%メタノール(
100mL)を0℃にて注意深く加えることによって反応を停止させ、ついでp
Hが1〜2となるまで4M塩酸を加え、ついでクロロホルムで希釈した。不均一
層を分離し、有機相を1.0M塩酸で2回、重炭酸ナトリウムおよび食塩水で洗
浄した。得られた粗製の生成物を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、小パ
ッドのシリカゲルに詰めて酢酸エチルで溶出した。溶媒を真空除去して油状物を
得、これをベーカーグレードフラッシュシリカゲル(47〜61mm)(50:
1の比)上のクロマトグラフィーにかけ、ベンゼン、ヘキサン中の10%酢酸エ
チル、ヘキサン中の30%酢酸エチル、ヘキサン中の50%酢酸エチル、100
%酢酸エチルおよび最後にクロロホルム中の50%メタノールで溶出した。真空
濃縮して2−(トリ−O−ベンジル−α−L−C−メチルフコピラノース)−3
−[3−O−(18−β−グリシルレチン酸)]−1−プロペン(2)(2.8
0g、70%)を白色泡状粉末として得た。
2−(トリ−O−ベンジル−α−L−C−メチルフコピラノース)−3−[3
−O−(18−β−グリシルレチン酸)]−1−プロペン(2)の他の製造方法
は以下の通りである。無水ベンゼン(10mL)中の水素化ナトリウム(0.4
72g、19.68ミリモル、6.00ミリモル当量)の溶液に、周囲温度にて最
小量の無水テトラヒドロフラン中の18−β−グリシルレチン酸(1.547g
、3.28ミリモル、1.00ミリモル当量)を滴下した。ヨウ化ナトリウム(4
.916g、32.8ミリモル、10.00ミリモル当量)およびヨウ化テトラブ
チルアンモニウム(157mg、0.425ミリモル、0.10ミリモル当量)を
加え、反応内容物を還流まで(H2の発生が停止するまで)30分間温めた。2
−クロロメチル−3−(トリ−O−ベンジル−α−L−C−フコピラノシド)−
1−プロペン(1)(5.00g、9.86ミリモル、3.00ミリモル当量)を
無水テトラヒドロフラン(31mL、全反応濃度0.08M)中にて滴下し、穏
やかに6時間還流した。6時間の還流後、トルエン中の50%メタノール(10
0
mL)を0℃にて注意深く加えることによって反応を停止させ、ついでpHが1
〜2となるまで4M塩酸を加え、ついで反応内容物を酢酸エチルで希釈した。不
均一層を分離し、有機相を1.0M塩酸で2回、飽和チオ硫酸ナトリウムおよび
食塩水で洗浄した。得られた粗製の生成物を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾
過し、小パッドのシリカゲルに詰めて酢酸エチルで溶出した。溶媒を真空除去し
て油状物を得、これをベーカーグレードフラッシュシリカゲル(47〜61mm
)(50:1の比)上のクロマトグラフィーにかけ、ヘキサン中の10%酢酸エ
チル、ヘキサン中の50%酢酸エチル、100%酢酸エチルで溶出した。真空濃
縮して2−(トリ−O−ベンジル−α−L−C−メチルフコピラノース)−3−
[3−O−(18−β−グリシルレチン酸)]−1−プロペン(2)(2.99
1g、96%)を白色泡状粉末として得た。
実施例3 1−[3−O−(18−β−グリシルレチン酸)]−2−(α−L−C−メチル フコピラノース)プロパン(3)の調製
下記化合物を以下のようにして調製した。
メタノール中の10%酢酸(溶解度を高めるために酢酸エチルを添加してもよ
い;1.5mL)中の2−(トリ−O−ベンジル−α−L−C−メチルフコピラ
ノース)−3−[3−O−(18−β−グリシルレチン酸)]−1−プロペン(
2)(15mg、0.0159ミリモル、1.00ミリモル当量)の溶液を炭素上
の10%パラジウム(基質1ミリモル当たり35mg)に加え、パール水素化装
置上に置いた。反応容器からガスを抜き水素を再充填する操作を3回繰り返し、
つい
で50PSIにて48時間震盪した。反応内容物をセライトで濾過して触媒を取
り除くことによって反応を停止させた。真空濃縮し、ジクロロメタンで洗浄して
1−[3−O−(18−β−グリシルレチン酸)]−2−(α−L−C−メチル
フコピラノース)プロパン(3)(10mg、99%)の白色粉末を得た。
実施例4 1−[3−O−(18−β−グリシルレチン酸)]−2−(トリ−O−ベンジル −α−L−C−メチルフコピラノース)−2',3'−プロパンジオール(4)の 調製
下記化合物を以下のようにして調製した。
無水ジクロロメタン(5.3mL、0.2M)中の2−(トリ−O−ベンジル−
α−L−C−メチルフコピラノース)−3−[3−O−(18−β−グリシルレ
チン酸)]−1−プロペン(2)(1.00g、1.06ミリモル、1.00ミリ
モル当量)の溶液に、周囲温度にて四酸化オスミウム(0.0106ミリモル、
トルエン中の0.5M溶液を21.2mL、0.01ミリモル当量)およびN−メ
チルモルホリン−N−オキシド(1.24g、10.6ミリモル、10.00ミリ
モル当量)を加えた。反応内容物を周囲温度にて6時間攪拌し、25%メタ亜硫
酸ナトリウム(sodiumm etasulfite)水溶液を添加することにより反応を停止さ
せ、1時間攪拌した。不均一層を分離し、有機相を25%メタ亜硫酸ナトリウム
水溶液で2回、1.0M塩酸、重炭酸ナトリウムおよび食塩水で洗浄した。得ら
れた粗製の生成物を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、小パッドのシリカ
ゲルに詰めた。溶媒を真空除去して油状物を得、これをベーカーグレードフラッ
シュシリカゲル(47〜61mm)(50:1の比)上のクロマトグラフィーに
かけ、ヘキサン中の50%酢酸エチル、ついでクロロホルム中の5%メタノール
で溶出した。真空濃縮して1−[3−O−(18−β−グリシルレチン酸)]−
2−(トリ−O−ベンジル−α−L−C−メチルフコピラノース)−2',3'−
プロパンジオール(4)(837mg、81%)を得た。
実施例5 1−[3−O−(18−β−グリシルレチン酸)]−2−(α−L−C−メチル フコピラノース)−2',3'−プロパンジオール(5)の調製
下記化合物を以下のようにして調製した。
1−[3−O−(18−β−グリシルレチン酸)]−2−(トリ−O−ベンジ
ル−α−L−C−メチルフコピラノース)−2',3'−プロパンジオール(4)
(2.00g、205ミリモル、1.00ミリモル当量)をメタノール中の10%
酢酸(10mL、0.2M)中に溶解し、炭素上の10%パラジウムを加え(基
質1ミリモル当たり35mgをトルエンで湿らせる)、パール水素化装置上に置
いた。反応容器からガスを抜き水素を再充填する操作を3回繰り返し、ついで5
0PSIにて48時間震盪した。反応内容物をセライトで濾過して触媒を取り除
くことによって反応を停止させた。真空濃縮して1−[3−O−(18−β−グ
リシルレチン酸)]−2−(α−L−C−メチルフコピラノース)−2',3'−
プロパンジオール(5)を白色粉末として得、これを濾過し、ジクロロメタンで
濯いで1.20g(83%)を得た。
3'−O−グリコシル化誘導体を得るにはグリセロール連結アームのさらなる
操作が必要である。このことは、ガレッグ(Garegg,P.J.)およびヒュルトベル
ク(Hultberg,H.)によって開発された部分保護法(ガレッグおよびヒュルトベ
ルク、Carbo.Res.93(1981)C10−C11)を用いることによって行う
ことができ、THF中の水素化シアノホウ素ナトリウムを用いた2',3'−ベン
ジリデンアセタールの還元的開環を含む。
アセテートおよびベンゾエートは糖中のヒドロキシル基の保護基として働き、
グリコシド化反応において隣接基関与を示す。それゆえ、グリコシド化に先立っ
て保護基を適切に選択することによって(すなわち、ベンジルエーテル、アセテ
ートまたはベンゾエート)、アルファーまたはベーター炭素結合したグリコシド
のいずれかを優先的に選択することができる(ポールセン(H.Paulsen)、AN GEW Chem.Int.Ed.Engl.
(1982)21:155;シュミット(R.R.Schmi
dt)、「Synthesis of Carbon linked glycosides in Comprehensive Organic S
ynthesis」、トロスト(B.M.Trost)編、6:33〜64)。
実施例6 1−[3−O−(18−β−グリシルレチン酸)]−2−(α−L−C−メチル フコピラノース)−2',3'−プロパンジオールペンタサルフェート(6)の調 製
下記化合物を以下のようにして調製した。
無水ジメチルホルムアミド(3.5mL、0.2M)中の1−[3−O−(18
−β−グリシルレチン酸)]−2−(α−L−C−メチルフコピラノース)−2
',
3'−プロパンジオール(5)(50mg、0.709ミリモル、1.00ミリモ
ル当量)の溶液に、周囲温度にてポリマーの結合した三酸化硫黄ピリジン錯体(
sulfur trioxide pyridine complex polymer bound)(141.8ミリモル、1
0ミリモル当量)を加える。反応内容物を周囲温度にて攪拌し、ついで穏やかな
還流まで8時間温める。周囲温度に冷却し、ポリマーをセライトで濾過すること
によって反応を停止させる。溶媒を真空除去して油状物を得、これをトルエンと
共沸させる。真空濃縮して1−[3−O−(18−β−グリシルレチン酸)]−
2−(α−L−C−メチルフコピラノース)−2',3'−プロパンジオールペン
タサルフェート(6)を得る。参考文献:グラーフ(Graf)、W.Chem.Ind.(1
987)232。
1−[3−O−(18−β−グリシルレチン酸)]−2−(α−L−C−メチ
ルフコピラノース)−2',3'−プロパンジオールペンタサルフェート(6)の
他の調製法は以下の通りである。無水ジメチルホルムアミド(3.5mL、0.2
M)中の1−[3−O−(18−β−グリシルレチン酸)]−2−(α−L−C
−メチルフコピラノース)−2',3'−プロパンジオール(5)(50mg、0.
709ミリモル、1.00ミリモル当量)の溶液に、周囲温度にて三酸化硫黄ピ
リジン錯体(ミリモル、10ミリモル当量)を加える。反応内容物を周囲温度に
て攪拌し、ついで穏やかな還流まで8時間温める。周囲温度に冷却することによ
って反応を停止させる。溶媒を真空除去して油状物を得、これをトルエンと共沸
させる。真空濃縮して1−[3−O−(18−β−グリシルレチン酸)]−2−
(α−L−C−メチルフコピラノース)−2',3'−プロパンジオールペンタサ
ルフェート(6)を得る。
実施例7 1−[3−O−(18−β−グリシルレチン酸)]−2−オキソ−2−(トリ− O−ベンジル−α−L−C−メチルフコピラノース)−エタン(7)の調製
下記化合物を以下のようにして調製した。
−78℃の無水ジクロロメタン(0.210mL、0.2M)中の2−[3−O
−(18−β−グリシルレチン酸)]−3−(トリ−O−ベンジル−α−L−C
−メチルフコピラノース)−1−プロペン(40mg、0.042ミリモル、1.
00ミリモル当量)の溶液に過剰のオゾンを加えた。反応内容物を−78℃にて
1時間攪拌し、ジメチルスルフィドを添加することによって反応を停止させ、1
時間攪拌し、周囲温度に温めた。水を加え、不均一層を分離し、有機相を1.0
M塩酸で2回、重炭酸ナトリウムおよび食塩水で洗浄した。得られた粗製の生成
物を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、小パッドのシリカゲルに詰めた。
溶媒を真空除去して油状物を得、これをベーカーグレードフラッシュシリカゲル
(47〜61mm)(50:1の比)に詰め、ヘキサン中の50%酢酸エチルで
溶出した。真空濃縮して1−[3−O−(18−β−グリシルレチン酸)]−2
−オキソ−2−(トリ−O−ベンジル−α−L−C−メチルフコピラノース)−
エタン(7)(30mg、75%)を得た。
実施例8 1−[3−O−(18−β−グリシルレチン酸)]−2−オキソ−2−(α−L −C−メチルフコピラノース)−エタン(8)の調製
下記化合物を以下のようにして調製した。
1−[3−O−(18−β−グリシルレチン酸)]−2−オキソ−2−(トリ
−O−ベンジル−α−L−C−メチルフコピラノース)−エタン(7)(15m
g、0.0159ミリモル、1.00ミリモル当量)をメタノール中の10%酢酸
(溶解度を高めるために酢酸エチルを添加してもよい;1.5mL)中に溶解し
、炭素(トルエンで湿らせる)上の10%パラジウム(基質1ミリモル当たり3
5mg)を加え、パール水素化装置上に置いた。反応容器からガスを抜き水素を
再充填する操作を3回繰り返し、ついで50PSIにて48時間震盪した。反応
内容物をセライトで濾過して触媒を取り除くことによって反応を停止させた。真
空濃縮し、ジクロロメタンで洗浄して1−[3−O−(18−β−グリシルレチ
ン酸)]−2−オキソ−2−(α−L−C−メチルフコピラノース)−エタン(
8)を得た。
実施例9 1−[3−O−(18−β−グリシルレチン酸)]−2−(α−L−C−メチル フコピラノース)−2'−エタノール(9)の調製
下記化合物を以下のようにして調製した。
0℃の無水テトラヒドロフラン(5.3mL、0.2M)中の1−[3−O−(
1
8−β−グリシルレチン酸)]−2−オキソ−2−(トリ−O−ベンジル−α−
L−C−メチルフコピラノース)−エタン(7)(1g、1.06ミリモル、1.
00ミリモル当量)の溶液にR−またはS−アルパイン−ハイドライド(Alpine
-Hydride)(THF中の0.5M溶液を4.24mL、2.12ミリモル、2ミリ
モル当量)を加え、反応液を8時間攪拌する。H2O2およびNaOHを0℃にて
添加することによって反応を停止させ、反応内容物を2時間攪拌し、ついで周囲
温度にて一夜(12時間)攪拌する。反応液を酢酸エチルで希釈する。不均一層
を分離し、有機相を25%メタ亜硫酸ナトリウム水溶液で2回、1.0M塩酸、
重炭酸ナトリウムおよび食塩水で洗浄する。得られた粗製の生成物を無水硫酸ナ
トリウムで乾燥させ、濾過し、小パッドのシリカゲルに詰める。溶媒を真空除去
して油状物を得、これをベーカーグレードフラッシュシリカゲル(47〜61m
m)(50:1の比)上のクロマトグラフィーにかけ、ヘキサン中の50%酢酸
エチルついでクロロホルム中の5%メタノールで溶出する。真空濃縮して1−[
3−O−(18−β−グリシルレチン酸)]−2−(トリ−O−ベンジル−L−
C−メチルフコピラノース)−2'−エタノールを得る。参考文献:ミヤノ(Miy
ano,M.)、スティーリー(Stealy,M.A.)、Chem.Commun.(1973)180;
シャウブ(Schaub,R.E.)、バイス(Weiss,M.J.)、Tetrahedron Lett.(197
3)129;グヌドジンスカス(Gnudzinskas,C.V.)、バイス、Tetrahedron Le tt.
(1973)141。アルパインーハイドライドはケトンのキラル還元のた
めに用いる(J.Org.Chem.(1977)42:2534参照)。
最後に、1−[3−O−(18−β−グリシルレチン酸)]−2−(トリ−O
−ベンジル−α−L−C−メチルフコピラノース)−2'−エタノール(1.0g
、1.06ミリモル、1.00ミリモル当量)をメタノール(0.2M)中の10
%酢酸中に溶解し、これに炭素上の10%パラジウム(基質1ミリモル当たり3
5mg)を加え、パール水素化装置上に置く。反応容器からガスを抜き水素を再
充填する操作を3回繰り返し、ついて50PSIにて48時間震盪する。反応内
容物をセライトで濾過して触媒を取り除くことによって反応を停止させる。真空
濃縮して1−[3−O−(18−β−グリシルレチン酸)]−2−(α−L−C
−
メチルフコピラノース)−2'−エタノール(9)を白色粉末として得、これを
濾過し、ジクロロメタンで濯ぐ。
実施例10
抗炎症作用
以下の記載においては、上記で合成した本発明の化合物についての言及は実施
例中の付随する番号および/またはその化学名による。
ハリス(Harris,R.R.)らによって記載された(Skin Pharmacol(1990)3
:29〜40)アラキドン酸(AA)、マウス皮膚炎症モデルを用い、1−[
3−O−(18−β−グリシルレチン酸)]−2−(α−L−C−メチルフコピ
ラノース)−2',3'−プロパンジオール(5)の抗炎症活性を試験した。比較
のため、18−β−グリシルレチン酸も試験した。化合物(5)については0.
80mg/mLで溶解した他は、すべての化合物をメタノールまたはクロロホル
ム(18−β−グリシルレチン酸)中に100mg/mLにて溶解した。各化合
物(10μL)を耳に塗布した。AAは単独で塗布するか、または直ちに1−[
3−O−(18−β−グリシルレチン酸)]−2−(α−L−C−メチルフコピ
ラノース)−2',3'−プロパンジオール(5)もしくは18−β−グリシルレ
チン酸を続いて塗布した。90分後、各耳6mmディスクを取り、重量を測定し
た。AA単独によって引き起こされた腫脹の%抑制が、1−[3−O−(18−
β−グリシルレチン酸)]−2−(α−L−C−メチルフコピラノース)−2',
3'−プロパンジオール(5)では約71%、1−[3−O−(18−β−グリ
シルレチン酸)]−2−(αL−C−メチルフコピラノース)−プロパン(3)
では約61%減少したのに対し、18−β−グリシルレチン酸ではわずかに約3
8%、グリシルリジンでは約5.5%しか減少しないことが観察された。さらに
実験したところ、表1には示していないが、化合物(8)は化合物(3)および
(5)と同様の活性を有することが示された。
それゆえ、化合物(3)、(5)および(8)は有意の抗炎症活性を有し、従
って、炎症の要因を有する広範囲の疾患の治療または予防のための強力な医薬で
ある。
実施例11
E−セレクチンへの細胞接着に対するトリテルペノイド酸誘導体の効果
癌細胞のE−セレクチンへの結合を本発明の化合物が妨害する能力を決定する
ために実験を行った。アッセイするに先立って化合物をジメチルホルムアミド(
DMF)中に溶解した。アッセイは、適当な被験化合物、IgGテールを含むE
−セレクチンキメラ、並びにビオチン化ヒトIg(Fc特異的)およびストレプ
トアビジン−アルカリ性ホスファターゼ(すべて、10mMトリス、150mM
NaCL、pH7.2〜7.4に1mMCa++を加えた溶液中)からなる検出系の
組み合わせからなっていた。この混合物をロータリープラットホーム上、室温に
て30〜60分間激しく回転させた。ついで、微細物質を遠心分離により取り除
き、可溶性画分をグルタルアルデヒド固定したLS174T結腸癌細胞を入れた
96−ウエルマイクロタイタープレートに移した。37℃で60分後、プレート
を洗浄し、0.1mg/ml MgCl2を含有する1Mジエタノールアミン緩衝
液(pH9.8)中のpNPP基質を加えることにより細胞に結合したE−セレ
クチンキメラを定量した。プレートを暗所で発色させ、405nmにて読み取っ
た。報告したIC50は、コントロールに比べて50%またはそれ以上抑制する一
連の2倍希釈(各濃度で4つのウエル)からの最低濃度である。DMF(ビヒク
ル)は一般に効果がなかった。その結果を表2に示す。すべての化合物が癌細胞
のE−セレクチンへの結合を有意に妨害することが理解されるであろう。18−
ベーターグリシルレチン酸以外のすべての化合物が低いIC50値を有していたの
で、ある種の転移性癌の治療または予防に適していることが示された。さらに、
これらの所見は本発明の化合物の二重薬理作用発現特性を強調している。なぜな
ら、化合物(3)および(5)は18−ベータ−グリシルレチン酸に比べて著し
く低いIC50値を有しているからである。
実施例12
トリテルペノイド酸誘導体によるP−セレクチン結合の抑制
E−セレクチン結合に加え、癌細胞への、およびP−セレクチンに結合するこ
とが知られている化学物質、2,3sLexへのP−セレクチン結合を抑制する
能力について本発明の幾つかの化合物を試験した。以下の材料および手順を用い
た。化合物の調製
:
実施例5の化合物(5)、および実施例8の化合物(8)をDMF中に溶解し
て100mM溶液を得た。P−セレクチン検出溶液
:
ヤギF(ab')2抗ヒトIgG(Fc特異的)−ビオチンおよびストレプトア
ビジン−APを、1mMCaを含有する1%BSA−TBS中に1:1000に
希釈した。2,3sLexへのP−セレクチン結合を測定するためにエライサア
ッセイを用い、P−セレクチンを300ng/mlにて加えた。P−セレクチン
へ
の癌細胞の結合を本発明の化合物が抑制する能力のアッセイにもエライサアッセ
イを用いた。HL−60癌細胞を用い、P−セレクチンを200ng/mlにて
加えた。プレートの調製
:
2,3sLexをエライサのためにプロバインド(Probind)マイクロタイター
プレートに30ピコモル/ウエルにてコーティングした。糖脂質を50%MeO
H中にて50μl/ウエルにて加え、一夜蒸発させた。エライサプレートおよび
HL−60アッセイプレートを5%BSA−TBSCa++で室温にて1時間以上
ブロックした。プレートをCa++を含まないTBSで洗浄した。細胞の調製
:
HL−60細胞を遠心分離によって回収し、Ca++を含まないTBSで洗浄し
、カウントし、ついで1%BSA−TBSCa++中で密度を2×106/mlに
調節した。アッセイ
:
簡単に説明すると、アッセイを以下のようにして行った。化合物(5)および
(8)を、HL−60ベースのアッセイについては4、2、1、0.5、0.25
および0.125mMにて、2,3sLexを含むアッセイについては2、1、0
.5、0.25、0.125および0.063mMにてP−セレクチン検出溶液に加
えた。DMF溶液を0.5mMに希釈するために1%BSA/TBS−Caに直
接加えた。低濃度をBSA−TBS中の一連の2倍希釈で作製した。これら溶液
を室温にて回転プラットホーム上で1時間インキュベートし、遠心分離にかけて
微細物質をペレット化し、ついで2,3sLexコーティングプレートについて
は3つずつ、HL−60細胞については4つずつ、50μl/ウエルにて加えた
。細胞ベースのアッセイには等容量のHL−60細胞をウエルに加えた。2,3
sLexコーティングプレートを37℃にて45分間インキュベートし、TBS
で3回洗浄し、50μlの基質を各ウエルに加えた。HL−60細胞を有するプ
レートを4℃にて1時間インキュベートし、遠心分離により細胞をペレット化し
、TBSで3回洗浄した。両アッセイとも、基質を75μl/ウエルにて加えた
。
適当な強度まで発色させた後、405nmでの吸光度を測定するために50μl
/ウエルを別のプレートに移した。化合物(5)もsLexへのP−セレクチン
結合を抑制したが、化合物(8)に比べると効果は低かった。
これら結果は、化合物(8)が2,3sLexへのP−セレクチン結合を抑制
するIC50は〜125μMであることを確立した。化合物(5)については、そ
れは<1および>0.5mMであった。HL−60アッセイは、化合物(8)が
HL−60細胞へのP−セレクチン結合を用量に依存した仕方で妨害することを
示した。IC50は〜0.75mMであった。化合物(5)もまた、HL−60細
胞へのP−セレクチン結合を用量に依存した仕方で抑制したが、この場合も化合
物(8)よりも効果が低かった。IC50は〜2mMであった。
これら結果は、P−セレクチンについては本実施例で、E−セレクチンについ
ては実施例12で一般に示すように、本発明の化合物がセレクチン結合を妨害す
る顕著かつ有意の二重薬理作用発現能を有する点で実施例12に示す結果を確証
および拡張するものである。重要なことに、本発明の化合物はP−セレクチンお
よびE−セレクチンの両方へのヒト癌細胞の結合を妨害する。
実施例13
5−リポキシゲナーゼの阻害
5−リポキシゲナーゼはアラキドン酸から5−ヒドロキシペルオキシエイコサ
テトラエン酸(5−HPETE)への酸化的代謝(ある種のロイコトリエンの生
成へ導く最初の反応)を触媒する。それゆえ、5−リポキシゲナーゼを阻害する
化合物は、ロイコトリエンレベルを制御ないし低下させる必要のある有意の医学
的応用を有する。それゆえ、5−リポキシゲナーゼを阻害する能力について本発
明の化合物をアッセイした。
5−リポキシゲナーゼアッセイを、ラット好塩基球性白血病細胞(RBL−1
)からの粗製の酵素調製物を用いて行った(シミズ(Shimizu,T.)、ラドマーク
(Radmark,O.)およびサムエルソン(Samuelsson,B.)、Proc.Natl.Acad.Sci.U SA
(1984)81:698〜693およびエガン(Egan,R.W.)およびゲー
ル(Gale,P.H.)J.Biol.Chem.(1985)260:1155
4〜11559)。被験化合物を該酵素とともに室温にて5分間プレインキュベ
ートし、基質のリノール酸を加えて反応を開始させる。室温で8分間インキュベ
ートした後、NaOHを添加して反応を停止させ、234nmにおける吸光度を
読み取って5−HETEレベルを決定した。化合物を50μMでスクリーニング
した。その結果を表3に示す。
表から、試験した両濃度において化合物(5)がグリシルリジンに比べて著し
く大きな阻害活性を有し、18−ベータ−グリシルレチン酸と比べても両濃度で
同程度の活性を有することが明らかである。これら所見は、上記実施例の所見を
支持するものであり、本発明の化合物の二重薬理作用発現特性を強調するもので
ある。
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(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
C07D 211/06 9284−4C C07D 211/06
211/68 9284−4C 211/68
211/80 9284−4C 211/80
335/02 9455−4C 335/02
C07H 17/00 8615−4C C07H 17/00
17/02 8615−4C 17/02
17/04 8615−4C 17/04