【発明の詳細な説明】
テキサフィリン金属錯体を介したエステル加水分解
発明の背景
本発明は、エステル結合の切断のための触媒、特に、生体系に関連したリン酸
エステル結合を切断するための触媒に関する。有効な触媒は以下の特性を有する
。
1)生理的温度とpHで効率が高い、
2)特定の生体基質に対する特異性、
3)生理的システムに対する低毒性、
4)生体系への投与が簡単で、その後速やかに消失する。
本発明の方法に従って、RNA、リン脂質、無水リン酸、UDP-グルコースまたは
アッセイに広く使用される基質、p-ニトロフェニルリン酸エステル等の種々の生
物学的に重要なリン酸エステルを加水分解することができる。
多くの二価または三価金属塩が、リン酸エステル結合の加水分解を促進するこ
とが明らかにされてきた。Komiyama et al.(1992)は、pH 8.0、30℃における希
土類金属(III)イオンによるアデニリル(3'-5')アデノシンとウリジル(3'-5')ウ
リジンの加水分解を報告した。水酸化セリウム(III)クラスターは、3',5'-サイ
クリックアデノシン一リン酸を加水分解することが報告されている(Sumalka,et
al.1992)。Browne and Bruice(1992)は、二価カチオンの存在下にビス(8-ヒド
ロキシキノリン)リン酸の加水分解を報告した。しかし、金属イオンによる触媒
作用にある程度の特異性を付与するため、種々のリガンドを配位させた金属錯体
が検討されてきた。リガンドは、触媒の効率を変えたり、溶液中に金属イオンを
保持すると同時に、目的の基質に対する結合特異性を有する試薬を結合する等、
触媒作用において多くの役割を果たしている可能性がある。
リン酸エステル結合の加水分解に用いる金属イオンと錯体を形成するリガンド
には以下が含まれる。トリス(アミノプロピル)アミン(trpn)、1,4,7,10-テトラ
アザシクロドデカン(cyclen)、トリス(2-アミノエチル)アミン(tren)、トリエチ
レンテトラミン(trien)、テトラエチレンペンタアミン(tetren)、ビピリジンコ
ンジュゲート、イミダゾール、シクロデキストリン誘導体類、リジン(lysine)、
テルピリジン(trpy)、1,2-ジアミノエタン、ビス(ジアコ)錯体(bis(diaquo)comp
lex)、「金属ミセル」類、フェナントロリン-ポリアミン三座配位錯体(Basile e
t al.1987、Menger et al.,1987、Chung et al.1990、Hendry and Sargeson
,1989、Shelton and Morrow,1991、Ranganathan et al.1993、Breslow and H
uang,1991、Modak et al.1991、Kim and Chin,1992、Chin et al.1989、Chi
n and Banaszcayk,1989a,b、Chin and Zou,1987)。
金属錯体が生体内で触媒として作用するには、錯体は結合した金属イオンを遊
離するべきではない。Morrow et al.(1992)は、ランタニド(III)ヘキサミン・
シッフ塩基(HAM)マクロサイクリック錯体によるRNAの切断を検討した。幾つかの
ランタニド錯体によるジヌクレオチドアデニリル-3',5'ウリジン3'-モノホスフ
ェート(ApUp)またはアデニル酸のオリゴマー(A12〜A18)の切断が、37℃で4時間
後に報告された。EDTAのような他の六座配位(ヘキサデンテート)リガンドは、
同様の条件でRNA切断作用を全く持たないランタニド(III)錯体を形成した。マク
ロサイクリック錯体が金属を遊離しない程度は、ランタニド系全体で劇的に異な
ることが報告された。これらの錯体は、HAMリガンドの高い毒性、ランタニド金
属の配位が弱い、解離し易い等、重大な欠点を幾つか有する。更に、リガンドは
簡単に修飾できないため、基質特異性を持つ誘導体を産生できない。
HAM錯体に限界があるならば、ランタニド金属をキレート化し、RNAを切断でき
る安定な錯体を形成できる、新しいマクロサイクルの開発が有用であろうことは
明白である。
略語のリスト
DEPC :ジエチルピロカルボネート(diethylpyrocarbonate)
dm :デシメートル
EDTA :エチレンジアミン四酢酸(ethylenediamine tetraacetic acid
)
EuOAc :Eu(III)(アセテート)3
Txp(txph)(TX):テキサフィリン(texaphyrin)
発明の概要
本発明は、キレート化されない状態では毒性を示す金属カチオンと安定なキレ
ートを形成し、治療応用時に標的部位に対する特異性を提供し、生体内利用が可
能となるように十分無毒化できるような、エステル加水分解用テキサフィリン金
属錯体およびテキサフィリン金属錯体-コンジュゲート類(texaphyrin metal com
plex-conjugates)を供給することによって、これらの問題を解決することを目的
としている。
本発明は、テキサフィリン金属錯体がエステル結合の加水分解を触媒すること
を発見したことに基づく。テキサフィリンは、金属を極めて安定な錯体にキレー
ト化するが、金属配位部位にアクセスできるため、金属の反応性とリン酸エステ
ル結合加水分解能を保持している点でユニークな分子である。更に、テキサフィ
リン分子は、様々な生物学的適用に対応するため、誘導体を形成することができ
る。しかも、テキサフィリン錯体は、HAM錯体よりも毒性が遥に低い。
引用することにより本明細書の一部をなすものとする米国特許第5,252,720号
は、磁気共鳴画像法における生体内利用に関してテキサフィリン金属錯体の安定
性と有用性を実証した。テキサフィリンのY3+、Gd3+およびIn3+錯体は、1:1のメ
タノールと水の混合物中で加水分解に関して安定で、錯体分解またはリガンド分
解半減期はいずれの場合も3週間以上であった。T2B2テキサフィリン-ガドリニウ
ム錯体は、磁気共鳴画像の増強において低い毒性と優れた組織選択性を示した。
本発
明のテキサフィリン金属錯体-コンジュゲートは、ランタニド金属カチオンのキ
レート化に関して同様の安定性を有し、生体内適用に関して同様の低い毒性を有
するものと予想される。
テキサフィリン金属錯体は、上記の720特許において報告されているように、
固有の生体内局在特異性を有する。本発明の一つの実施例においては、テキサフ
ィリン金属錯体は更に部位指向性分子と結合し、標的を定めた生体内送達のため
のコンジュゲートを形成する。「標的部位に対する特異性」とは、例えば生理的
条件のイオン強度、温度、pH等において、テキサフィリン金属錯体を標的部位と
接触させた時に特異的結合が生じることを意味する。その標的の特定のヌクレオ
チド、アミノ酸または解糖残基と、コンジュゲートの特定の残基との、静電気、
疎水性、エントロピーによる特異的相互作用が相互作用を促進する条件下で発生
し、安定な錯体を形成し得る。本発明においては、この相互作用は、特異的結合
付近におけるエステル結合の切断を可能にする。
本発明において考慮される部位指向性分子の例として以下が含まれるが、これ
らに限定されない。すなわち、ポリヌクレオチド類およびアンチセンスオリゴヌ
クレオチド類のようなオリゴヌクレオチド類、生物学的受容体に親和力を有する
ペプチドと抗体のようなタンパク質を含むポリアミド類、ステロイド類およびス
テロイド誘導体類、エストラジオールのようなホルモン、モルヒネまたはヒスタ
ミン、そして、サフィリンおよびルビリンのようなマクロサイクル類(macrocycl
es)といったものである。
本書および添付の請求の範囲において使用される「ヌクレオチド」、「ポリヌ
クレオチド」という言葉は、天然および合成ヌクレオチド、ポリヌクレオチドお
よびオリゴヌクレオチドと、これらの類似体および誘導体を指すと理解される。
ランタニド(III)テキサフィリン類によるRNAの加水分解による切断は、テキサ
フィリン金属錯体-コンジュゲート(texaphyrin metal complex-conjugate)に付
加さ
れた追加触媒基により増強され得る。「追加触媒基」という言葉は、一般的な酸
、ブレンステッド酸、一般的な塩基、ブレンステッド塩基、求核物質として作用
することによって、またはその他の反応の活性化バリアーを低下させる、あるい
は基底状態エネルギーを上昇させる、その他のあらゆる手段によって、触媒作用
を助ける化学官能基を意味する。本発明において予想される触媒基を以下に挙げ
るが、これらに限定されない。イミダゾール;グアニジン;D-グルコサミン;D-
マンノサミン;D-ガラクトサミン;D-グルカミン等の置換糖類;L-ヒスチジンお
よびL-アルギニン等のようなアミノ酸;ヒスタミンのようなアミノ酸の誘導体;
ポリ-L-リジン、(LysAla)n、(LysLeuAla)nのようなアミノ酸のポリマー等(この
場合、nは1〜30、好ましくは1〜10、最も好ましくは2〜7個)など、そして、これ
らの誘導体やテキサフィリン金属錯体である。「テキサフィリン金属錯体-コン
ジュゲートに付加される」という言葉は、触媒基が、テキサフィリン金属錯体に
、種々の長さのリンカーまたはカップル(couples)によって直接結合されるか、
あるいはテキサフィリン錯体-リガンドコンジュゲートのリガンド部分に結合さ
れることを意味する。例えば、テキサフィリン金属錯体-オリゴヌクレオチドコ
ンジュゲートのオリゴヌクレオチド部分に結合された触媒基は、標的RNA基質に
結合する時、基質付近に配置される。
部位特異性または触媒活性を有するコンジュゲート基は、マクロサイクル環に
直接結合するか、あるいは種々のカップルを介して、テキサフィリンと共有結合
することができる。カップル(couple)は、リンカーとして、すなわちテキサフィ
リンマクロサイクルから一定の距離において別の分子と共有結合させるための反
応基として説明できる。リンカーまたはカップルの例としては、オリゴヌクレオ
チドおよび抗体の結合に関する具体例に記述されているように、アミド類、チオ
ール類、チオエーテルまたはエーテル共有結合等が挙げられる。最も好ましい実
施例において、コンジュゲートと追加基は、炭素-炭素、炭素-窒素または炭素-
酸
素結合を介してテキサフィリンに共有結合されている。
本発明の開示に照らせば、種々のエステル結合を本発明の分子によって切断で
きることは、本技術に精通する者にとって明白である。本発明の分子によって切
断されるエステル結合の例には、リン酸モノエステル結合や、ジエステル結合、
特にRNAのような核酸中に存在する生理学的に重要なリン酸結合があり、そして
、例えばヌクレオチドATP、ADP、AMP、cAMP、UDP、NADP、NADPH、FADまたはFADH2
のような重要な代謝の仲介物質、および脳神経機能に重要なホスファチジルコ
リンおよびスフィンゴミエリン等のリン脂質類等が含まれる。
本発明のある実施例は、リン酸エステルの加水分解法を提供するものである。
方法は、リン酸エステル水溶液を入手し、溶液をエステル結合加水分解触媒活性
を有するテキサフィリン金属錯体とインキュベートするステップから成る。イン
キュベーションは、リン酸エステルの加水分解に十分な条件と時間において行わ
れる。ここに使用されるテキサフィリン金属錯体は、追加官能基を持つ芳香族ペ
ンタデンテート(五座配位)の拡大ポリフィリン類似体金属錯体である。このよ
うな付加基は、溶解性または生体内局在性を増強し、部位指向性分子または触媒
基に結合部位を供給し得る。
金属は、水溶液中でエステル結合加水分解の触媒活性を有する二価または三価
金属カチオンで、特に金属は、ランタニドカチオンまたはY(III)、In(III)、ま
たはSc(III)のようなルイス酸カチオンである。金属の例としては、ランタン、
セリウム、パラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム
、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリ
ウム、イッテルビウム、ルテチウム、スカンジウムまたはイットリウム等がある
。特に、金属は、La(III)、Nd(III)、Sm(III)、Gd(III)、Tm(III)またはLu(III)
が可能で、Eu(III)またはDy(III)が好ましい。
好ましい実施例において、上記のリン酸エステルは、核酸エステルである。リ
ン酸エステル水溶液は、核酸の溶液または懸濁液で、例えばRNAまたはDNAの溶液
または懸濁液である。RNAはDNAよりも約1012のファクターでより好ましく加水分
解される。リン酸エステルがRNAの場合、金属は、Dy(III)またはEu(III)が好ま
しい。
テキサフィリン金属錯体は、次の構造式で示される水溶性化合物である。
このテキサフィリン金属錯体において、Mは水溶液中でエステル結合加水分解
を触媒する二価または三価金属カチオンである。R1、R2、R3、R4、R5、R6は、独
立して水素、ヒドロキシ、アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、ヒドロ
キシアルコキシ、糖、カルボキシアルキル、カルボキシアミドアルキル、部位指
向性分子、触媒基、または、部位指向性分子または触媒基に対するカップル(cou
ple)である。部位指向性分子は、あるテキサフィリン金属錯体-コンジュゲート(
a texaphyrin metal complex-conjugate)のコンジュゲート(conjugate)である。
触媒基も、テキサフィリン金属錯体-コンジュゲートのコンジュゲートで、イミ
ダゾール、グアニジンまたはテキサフィリンが含まれうるが、これらに限定され
ない。
典型的には、Nは2以下の整数である。二価または三価金属カチオンを有する基
本的マクロサイクルの環境においては、Nは1または2であるが、部位指向性分子
が
共有結合されている場合には、本技術に精通する者は、本発見に照らして、部位
指向性分子に存在する電荷、例えば、オリゴヌクレオチドのリン酸基の電荷によ
ってNの値が変わり得ることを理解するであろう。
R1、R2、R3、R4、R5、R6は、また、独立して、アミノ、カルボキシ、カルボキ
サミド、エステル、アミドスルホネート、アミノアルキル、スルホネートアルキ
ル、アミドアルキル、アリール(aryl)、エーテルアミド、または所望の特性を有
する同等の構造も可能である。好ましい実施例において、R1、R2、R3、R4、R5、
R6の少なくとも1個は、部位指向性分子または部位指向性分子に対するカップル
である。抗体、ペプチド、またはオリゴヌクレオチドのような大きなR基をベン
ゼン環部分に付ける場合、本技術に精通する者は、ベンゼン部分の1箇所で誘導
体を形成することがより好ましいことを理解するであろう。
ヒドロキシアルキルとは、水酸基が結合したアルキル基を意味する。アルコキ
シは、酸素に結合されたアルキル基を意味する。ヒドロキシアルコキシは、エー
テルまたはエステル結合、水酸基、置換された水酸基、カルボキシル基、置換さ
れたカルボキシル基等を有するアルキル基を意味する。糖には、酸化、還元、ま
たは置換された糖を含む。カルボキシアミドアルキルは、水酸基、第二または第
三アミド結合等を有するアルキル基を意味する。カルボキシアルキルは、水酸基
、カルボキシルまたはアミドで置換されたエーテル、エステル結合、エーテルか
ら除去された第三アミド結合等を有するアルキル基を意味する。
上記のテキサフィリンに関して、ヒドロキシアルコキシは、独立して水酸置換
物とエーテル分岐を有するか、あるいはC(n-x)H((2n+1)-2x)OxOyまたはOC(n-x)H((2n+1)-2x)
OxOyが可能で、式中、nは1から10の正の整数、xは零またはn以下の
正の整数、yは零または((2n+1)-2x)以下の正の整数である。ヒドロキシアルコ
キシまたは糖は、CnH((2n+1)-q)OyRa q、OCnH((2n+1)-q)OyRa qまたは(CH2)n+CO2Ra
が可能で、式中、nは1から10の正の整数、yは零または((2n+1)-q)以下の正の
整数、
qは零または2n+1以下の正の整数で、Raは独立して、H、アルキル、ヒドロキシ
アルキル、糖、C(m-w)H((2m+1)-2W)OWOz、O2CC(m-w)H((2m+1)-2W)OWOz、またはN
(R)OCC(m-w)H((2m+1)-2W)OWOzである。この場合、mは1から10の正の整数、wは零
またはm以下の正の整数、zは零または((2m+1)-2w)以下の正の整数、RはH、アル
キル、ヒドロキシアルキル、またはCmH((2m+1)-r)OzRb rで、式中、mは1から10の
正の整数、zは零または((2m+1)-r)以下の正の整数、rは零または2m+1以下の正
の整数、Rbは独立して、H、アルキル、ヒドロキシアルキルまたは糖である。
カルボキシアミドアルキルは、第二または第三アミド結合、あるいは(CH2)nCO
NHRa、O(CH2)nCONHRa、(CH2)nCON(Ra)2またはO(CH2)nCON(Ra)2を有するアルキル
が可能で、式中、nは1から10の正の整数、Raは独立してH、アルキル、ヒドロキ
シアルキル、糖、C(m-w)H((2m+1)-2W)OWOz、O2CC(m-w)H((2m+1)-2W)OWOz、また
はN(R)OCC(m-w)H((2m+1)-2W)OWOz、または部位指向性分子または触媒基である。
この場合、mは1から10の正の整数、wは零またはm以下の正の整数、zは零または(
(2m+1)-2w)以下の正の整数、RはH、アルキル、ヒドロキシアルキル、またはCmH((2m+1)-r)
OzRb rである。この場合、mは1から10の正の整数、zは零または((2m+
1)-r)以下の正の整数、rは零または2m+1以下の正の整数、Rbは独立して、H、ア
ルキル、ヒドロキシアルキルまたは糖である。好ましい実施例において、Raはオ
リゴヌクレオチドである。
カルボキシアルキルは、カルボキシル置換エーテル、アミド置換エーテル、ま
たは、あるエーテルまたはCnH((2n+1)-q)OyRc qまたはOCnH((2n+1)-q)OyRc qから
除去された第三アミドを持つアルキルが可能である。式中、nは1から10の正の整
数、yは零または((2n+1)-q)未満の整数で、qは零または2n+1以下の正の整数、
Rcは(CH2)nCO2Rd、(CH2)nCONHRd、(CH2)nCON(Rd)2または部位指向性分子または
触媒基である。この場合、nは1から10の正の整数、wは零またはm以下の正の整数
、Rdは独立してH、アルキル、ヒドロキシアルキル、糖、C(m-w)H((2m+1)-2W)OWOz
、O2C
C(m-w)H((2m+1)-2W)OWOz、またはN(R)OCC(m-w)H((2m+1)-2W)OWOzである。この場
合、mは1から10の正の整数、wは零またはm以下の正の整数、zは零または((2m+1
)-2w)以下の正の整数、RはH、アルキル、ヒドロキシアルキル、またはCmH((2m+1 )-r)
OzRb rである。この場合、mは1から10の正の整数、zは零または((2m+1)-r)
以下の正の整数、rは零または2m+1以下の正の整数、Rbは独立して、H、アルキ
ル、ヒドロキシアルキルまたは糖である。好ましい実施例において、Rcはオリゴ
ヌクレオチドである。
本発明のある実施例において、Mは、Ca+2、Mn+2、Co+2、Ni+2、Zn+2、Cd+2、H
g+2、Fe+2、Sm+2、UO2 +2から成るグループから選択された二価金属カチオン、ま
たは、Mn+3、Co+3、Ni+3、Fe+3、Ho+3、Ce+3、Y+3、In+3、Pr+3、No+3、Sm+3、E
u+3、Gd+3、Tb+3、Dy+3、Er+3、Tm+3、Yb+3、Lu+3、La+3、U+3から成るグループ
から選択された三価金属カチオンが可能である。
好ましいと現在考えられているテキサフィリン類において、R1はヒドロキシア
ルキル、R2、R3、R4はアルキルである。あるいは、R3は部位指向性分子または部
位指向性分子に対するカップル(couple)で、好ましくはオリゴヌクレオチドまた
はオリゴヌクレオチドに対するカップルである。更に好ましいテキサフィリン類
においては、R1は(CH2)2CH2OH、R2およびR3はCH2CH3、R4はCH3、R5およびR6はOC
H2CH2CH2OHである。あるいは、R5は部位指向性分子またはそれに対するカップル
で、好ましくはオリゴヌクレオチドまたはそれに対するカップルで、更に好まし
くはO(CH2)nCO-オリゴヌクレオチドで、ここで、nは1〜7、好ましくは1〜3であ
り、そして、R6はHである。更に好ましいと現在考えられている実施例において
、R1は(CH2)2CH2OH、R2およびR3はCH2CH3、R4はCH3、R5はO(CH2CH2O)2CH2CH2OCH3
、R6は部位指向性分子またはそれに対するカップルで、好ましくはオリゴヌク
レオチドまたはそれに対するカップル、更に好ましくはO(CH2)nCO-オリゴヌクレ
オチドで、ここで、nは1〜7、好ましくは1〜3である。その他の現在好ましいと
考えられてい
る実施例において、R1〜R6はテキサフィリンA1〜A29に関して表1の如くである。
本発明の更なる実施例においては、R1、R2、R3、R4、R5、R6の少なくとも1つ
は部位指向性分子または部位指向性分子に対するカップルである。より好ましい
実施例において、部位指向性分子はオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチ
ドに対するカップルで、最も好ましくは、オリゴヌクレオチドはデオキシリボヌ
クレオチドで、切断されるリン酸エステルがRNAである。オリゴヌクレオチドは
、加水分解されるリン酸エステル結合付近の領域においてRNAに対する相補的親
和力を有する。オリゴヌクレオチドは、ウィルスRNA、特にレトロウィルスRNAに
対し、または細菌リボソームRNAに対し、相補的親和力を有し得る。これによっ
て、ウィルスRNAまたは細菌RNAを切断し、微生物を死滅させる。リン酸エステル
がRNAの場合、金属カチオンは、ランタニド金属カチオンが好ましくは、より好
ましくはEu(III)またはDy(III)である。
上記オリゴヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチドで、オンコジーンに対
する相補的結合親和力を有するものが可能である。オリゴヌクレオチド、抗体、
ホルモン、サフィリン(sapphyrin)またはルビリン(rubyrin)は、局在のために治
療部位に対する結合特異的を有し、生物学的受容体が治療部位に局在され得る。
本発明の別の実施例は、1)リン酸エステル水溶液を入手し、2)溶液をサフィリ
ンと結合させたテキサフィリン金属錯体とインキュベートするステップから成る
リン酸エステル加水分解法である。サフィリン(sapphyrin)は、例12に記述され
ているように、リン酸エステルに対する結合特異性を有する。インキュベーショ
ンは、リン酸エステルを加水分解するのに十分な条件と時間で行われる。サフィ
リン化合物は、引用することにより本明細書の一部をなすものとされる米国特許
第5,159,065号および第5,120,411号に開示されている。
本発明の別の実施例は、標的とする細胞内mRNAを加水分解する方法である。方
法は、標的RNAに対する相補的結合親和力を有するオリゴヌクレオチドに結合さ
れ
たテキサフィリン金属錯体を細胞内へ導入することから成り、これによって標的
mRNAの加水分解はテキサフィリン金属錯体によって触媒される。mRNAは、オンコ
ジーンから転写されるものでもよいし、あるいは成長因子をコードするものでも
よい。mRNAは、例えば発現のタイミングが不適切なため、破壊しなくてはならな
い正常なmRNAであってもよい。
動物にテキサフィリン金属錯体-コンジュゲートを投与することから成る動物
における遺伝子発現を抑制する方法も、本発明の更なる実施例である。オリゴヌ
クレオチドは、前記遺伝子から転写されたメッセンジャーRNAに対する相補的結
合親和力を有し、あるいは遺伝子を取り囲んでいる、あるいは遺伝子をコードし
ているDNAのどちらかの鎖に相補的であり得る。遺伝子はオンコジーンの場合も
あり、あるいは例えば成長因子をコードしていることもある。本発明の更なる実
施例は、組織に対する特異性を有するテキサフィリン金属錯体-コンジュゲート
を動物に投与することから成る、動物の特定の組織における遺伝子発現抑制方法
である。テキサフィリン金属錯体-コンジュゲートに標的遺伝子に相補的なオリ
ゴヌクレオチドを追加することが可能で、更に例えば、エストラジオールのよう
な組織に特異的な分子、あるいは前記組織の生物学的受容体に親和力を有する前
記組織またはペプチドを指向する抗体を追加することができる。
本発明の更なる実施例は、2つまたはそれ以上の別個のテキサフィリン複合体
がオリゴヌクレオチドに、1つは3'末端、もう1つは5'末端において、一以上が内
部残基において結合されているテキサフィリン金属錯体-コンジュゲートである
。テキサフィリン錯体の金属イオンは同じでも、異なっていてもよく、ランタニ
ドイオンが好ましい。デュアルテキサフィリン錯体-コンジュゲートによれば、
金属錯体の協奏的作用により、RNAの加水分解がより高い効率で達成される。診
断および治療目的に、エステル結合を加水分解する金属種を持つテキサフィリン
錯体と、常磁性種を持つもう1つのテキサフィリン錯体を有するコンジュゲート
を使用する
ことによって、結合、画像化、加水分解の全てを1つのコンジュゲートによって
達成することができる。この場合、結合はオリゴヌクレオチドによって達成され
、画像化は存在する常磁性金属イオンによってMRIまたは蛍光顕微鏡法により行
うことができ、加水分解はエステル結合-加水分解金属種によって達成される。
従って、コンジュゲートの生体内分布と細胞透過を測定することができる。
図面の簡単な説明
図1A-1Cは、B2T2TXP(1H,1I)とB2T2のランタニド金属錯体の1J-1Wの合成法を要
約した概略図である。
図2A〜2Bは、テキサフィリン金属錯体のオリゴヌクレオチドコンジュゲート、
2Hの合成法を要約した概略図である。
図3A〜3Cは、本発明の好ましい化合物を形成するための、テキサフィリン金属
錯体と、アミン、チオールまたはヒドロキシが結合されたオリゴヌクレオチドと
の共有結合を示す。
図4A〜4Dは、ジホルミル一酸トリピラン4Hとオリゴヌクレオチドコンジュゲー
ト4Jの合成法を示す。
図5は、組み換えプラスミドを示す。この組み換えプラスミドから例6のRNA加
水分解実験用に32P標識2000塩基対RNA転写物が作製された。R1=EcoRI、MCS=マ
ルチクローニング配列。
図6は、酢酸ユウロピウムと共に、また、EuOAcとEDTAと共に、RNA転写物をイ
ンキュベートした対照実験のオートラジオグラムを示す。レーン1、対照、EuOAc
を含まない。レーン2、EDTAを含む対照、EuOAcを含まない。レーン3〜7、EuOAc
、100μM、50μM、25μM、10μM、5μM。レーン8、EuOAcを100μMとEDTAを500μ
M。レーン9、EuOAcを100μMとEDTAを300μM。レーン10、EuOAcを100μMとEDTAを
100μM。レーン11、EuOAcを100μMとEDTAを10μM。レーン12、MW標準。レーン13
、対照、EuOAcを含まない。レーン14、MW標準。
図7は、RNA転写物がユウロピウムB2T2 txphと共にインキュベートされた実験
のオートラジオグラムを示す。レーン1、対照、EuB2T2 txphを含まない。レーン
2、EDTAを含む対照。レーン3〜7、EuB2T2 txphを100μM、50μM、25μM、10μM
、5μM。レーン8〜10、EuB2T2 txphを100μMと、500μM、300μM、100μMのEDTA
。レーン11、M.W.標準。レーン12、対照EuB2T2 txphを含まない。レーン13、EuB
2T2 txphを100μMと、EDTAを10μM。
図8は、現在好ましいと考えられている本発明のテキサフィリンユウロピウム
錯体を示す。
図9は、例7のユウロピウム(III)テキサフィリン(EuTx)DNAコンジュゲート、例
8のジスプロシウム(III)テキサフィリン(DyTx)コンジュゲート、3'末端でテキサ
フィリンに結合されたオリゴヌクレオチド、およびデュアルコンジュゲート、す
なわち5'末端と3'末端でテキサフィリンを結合されたオリゴヌクレオチド。オリ
ゴヌクレオチドは、5'--3'の方向に書かれている。
図10は、EuTx-DNAによるRNA31-merと、Dy-Tx-DNAコンジュゲートによるRNA36-
merの切断を図で表したものである。矢印は、金属により触媒される加水分解部
位を示す。
図11Aと11Bは、EuTx-DNAまたは遊離ユウロピウム錯体8Bによる合成30-mer10B
の切断を示す。3'末端で32P標識された20%高分離能変性ポリアクリルアミドゲ
ルのオートラジオグラフ。約1.5×105cpmの基質が、50mM HEPES、pH 7.5、100mM
NaCl、25μM EDTA、5μg/mL子牛胸腺DNAを含む総容量20μLの緩衝液中で37℃で
約24時間インキュベートされた。手掛かり:レーン1、DNAを含まない対照。レー
ン2、未修飾のオリゴデオキシヌクレオチド9Eを含む対照。レーン3、2.5μM 8B
。レーン4、25μM 8B。レーン5〜7、9Eと250nM、2.5μM、25μM 8Bをそれぞれ含
む。レーン8、9A。レーン9、9c。レーン10、9B。レーン11〜14、それぞれ2.5nM
、25nM、250nM、2.5μMの9D。他のオリゴヌクレオチドは全て最終濃度2.5μMで
あった。
ヌクレオチド配列分析は、塩基に特異的なリボヌクレアーゼ類、T1(G)、U2(A>G)
、Phy M(U+A)、B,cereus(U+C)、HCO3(アルカリ加水分解)、PNK(ポリヌクレオチ
ドキナーゼで処理されたHCO3レーン)による部分消化により決定された。
図12は、EuTx-DNAコンジュゲート10Aによる5'末端を標識されたRNA30-mer10B
の切断を示す(9D)。標識された基質は、100mM NaClを含む緩衝液中で、37℃(レ
ーン3〜6)または25℃(レーン7〜14)で24時間、2.5μM EuTx-DNAコンジュゲート
と共にインキュベートされた。手掛かり:レーン1、インキュベートされないRNA
対照。レーン2、リボヌクレアーゼT1(G)反応。レーン3、8、50mM HEPES、pH 7.5
、25μM EDTA。レーン4、9、50mM HEPES、pH 7.0、25μM EDTA。レーン5、10、5
0mM トリスアセテート(TrisAcetate)、pH 7.5、25μM EDTA。レーン6、11、14、
50mMトリスアセテート、pH 7.0、25μM EDTA。レーン7、50mM HEPES、pH 7.5。
レーン12、13、50mMトリスアセテート、pH 7.0。レーン13、5μM Fe(II)、4mM D
TT、5μM 未修飾オリゴ9E。レーン14、コンジュゲートを含まない対照。EuTx:
コンジュゲートにより得られた切断。Bkgd:バックグランドの自然切断。
図13は、EuTx-DNAコンジュゲート10Aによる5'末端を標識されたRNA30-mer10B
の切断を示す(9D)。標識された基質は、100mM NaCl、25μM EDTA、5μg/mL子牛
胸腺DNAを含む50μM HEPES(またはトリスアセテート、レーン6)中で、37℃で25
時間インキュベートされた。手掛かり:レーン1、DNAを含まない対照。レーン21
、未修飾オリゴデオキシヌクレオチド9E(2.5μM)。レーン3、9B(2.5μM)。レー
ン4、9c(2.5μM)。レーン5〜9、9D(10A)(250nM)。EuTx:コンジュゲートにより
得られた切断。Bkgd:バックグランドの自然切断。
図14は、EuTXPの存在下における、cUMPのウリジンへの加水分解を示す。
図15は、アミドが結合されたテキサフィリンの形成を示す。R=サフィリン、
テキサフィリン、ポルフィリンまたは触媒基。(NH2)mは、モノアミン(NH2)(CH2)x
、x=0〜12、またはジアミンNH2-(CH2)x-NH2、x=2〜12、またはトリアミン(NH2
(C
H2)x)3N、x=2〜6、またはテトラアミン(NH2(CH2)x)2N((CH2)yN((CH2)xNH2)2、x
=2〜4、y=2〜6を表す。
図16は、テキサフィリン-サフィリンコンジュゲートの合成を示し、RはH、OH
、アルキル、ヒドロキシアルキル、またはアルコキシが可能で、M=Ln、n=1〜5
。
図17は、テキサフィリンの二量体すなわちコンジュゲートを示す。金属は同じ
でも、異なっていてもよい。
図18Aと18Bは、1塩基が欠失しているため、基質に加水分解に対する感受性が
増強された1塩基ループを生じたオリゴヌクレオチドコンジュゲートの例を示す
。
図19A〜19Bは、イミダゾール触媒基を持つジスプロシウムテキサフィリンの合
成法を要約した概略図である。
図20A〜20Bは、ヒスタミン基(20A)とアルギニンメチルエステル基(20B)を付加
されたユウロピウムテキサフィリンを示す。
図21は、RNA鋳型の同じ加水分解部位に標的を定められた1組のテキサフィリン
金属錯体-コンジュゲートの利用法を示す。
図22は、EuTx-コンジュゲート9Bおよび9DまたはDyTx-コンジュゲート9Iおよび
9Hによる5'末端を標識されたRNA30-mer10B(レーン1〜9)または36-mer10D(レーン
12〜18)の切断を示す。20%変性ポリアクリルアミドゲルのオートラジオグラフ
。標識された基質は、100mM NaCl、50mM HEPES pH 7.5、25μM EDTAを含む緩衝
液中で、37℃で24時間インキュベートされた。手掛かり:レーン1、12、コンジ
ュゲートを含まない対照。レーン2、6、13、9B。レーン3、7、14、9D。レーン4
、8、159I。レーン5、9、16、9H。レーン10、17、HCO3配列。レーン11、18、塩
基に特異的なリボヌクレアーゼU2(A)配列。レーン1〜5に対応する反応は、不活
性(アルゴン)雰囲気中で実施され、レーン12〜16に体操する反応は酸素中で実施
された。LnTx:コンジュゲートによる切断。Bkgd:バックグランドの自然切断。
好ましい実施例の詳細な説明
本発明は、エステル結合を加水分解により切断するためのテキサフィリン金属
錯体(texaphyrin metal complex)類、特に水溶性テキサフィリン金属錯体の利用
法に関する。特に、本発明は、水酸化テキサフィリンのランタニド金属錯体を使
用して、ジエステル、モノエステル、RNA基質のリン酸エステル結合の切断に係
わる。ランタニド(III)テキサフィリン錯体の検討により、検討された金属錯体
の全てがRNAを加水分解切断でき、ユウロピウム(III)とジスプロシウム(III)の
錯体が、これまで検討された他のランタニドよりも迅速にRNAを切断することが
示される。
本技術に精通する者は、本発見の開示に照らして、多種多様のランタニドテキ
サフィリンを調製することができ、それら全てが重要な生物学的種であるリン酸
エステルを加水分解切断するものと予想される。このプロセスの特定の可能な応
用例には、RNAの特異的切断と、その後の組み換え、ウィルスRNAの破壊、ホスフ
ァチジルコリンおよびスフィンゴミエリンのような細胞膜成分の消化、ATP、ADP
、NADH、NADPH、FADまたはFADH2の加水分解による細胞内エネルギー転移の断絶
、グリコーゲンの生成を阻害することによる肝疾患の治療、cAMPの加水分解によ
るホルモンの調節、溶媒として一般に使用される突然変異原性と発癌性を有する
ジ-およびトリアルキルホスフェートの加水分解、リン酸エステル結合の加水分
解によるリン酸エステル神経ガスと殺虫剤の解毒等が含まれる。
テキサフィリン化合物と調製方法は、米国特許第4,935,498号、第5,162,509号
、第5,252,720号、第5,272,142号、第5,256,399号に記述されており、これらは
それぞれ引用することにより本明細書の一部をなすものとする。
一般に、テキサフィリン分子のB(ベンゼン環)部分への水酸置換基の導入は、
テキサフィリン分子フェニルサブユニットの4位と5位において、それらをフェニ
レンジアミンに結合させることによって達成されるか、あるいは上記の特許に記
述されているように、マクロサイクル金属錯体を形成する縮合後の合成段階でそ
れらを付加してもよい。分子のT(トリピロールまたはトリピラン)部分への水酸
置換
基の導入は、置換されたフェニレンンジアミンとの縮合前の合成段階でピロール
環の3位または4位においてアルキル置換基の適切な官能基化による達成される。
エステル加水分解のような標準的な脱保護法を利用して、遊離水酸置換基をアン
マスキングできる。あるいは、エステル還元の結果として調製することもできる
。これらの誘導体は、水性溶媒中で1mMまで、あるいはそれ以上の高い溶解性を
示し、なおかつ脂質が多い部分に対する親和力を保持しているため、生体環境に
おいて有用性を発揮できる。
テキサフィリンの二価または三価金属錯体は、慣例により正式な電荷N+によっ
て示され、この場合、それぞれN=1または2である。本発明に記述される錯体は
、金属イオンの電荷を中和する、あるいは配位を飽和する1つ以上の追加リガン
ドを有することを、本技術に精通する者は理解するであろう。このようなリガン
ドには、数ある中で、塩化物、硝酸塩、酢酸塩、水酸化物等が含まれる。
本発明のテキサフィリン(TXP)の例を表1に示す。
特に定義されていない場合には、ここに使用される技術的および科学的用語は
、本発明が属する技術において通常の技術を有する者が共通に理解している意味
と同じ意味を持つ。ここに記述されているものと類似または同等の方法および材
料であればどれでも本発明の実施または検討に使用できるが、好ましい方法およ
び材料をここに記述する。特に言及されていなければ、ここに使用される技術は
、本技術において通常の技術を有する者にとって公知の標準的方法である。
例1
B2T2 TXPの合成、図1A〜1C参照。
2,5-ビス[(5-ベンジルオキシカルボニル-4-メチル-3-メトキシカルボニルエチ
ルピロール-2-イル)メチル]-3,4-ジエチルピロール。1c、図1A。500mLの丸底フ
ラスコに、未開封の瓶から250mLのエタノールを入れ、続いて乾燥窒素を10分間
パージングした。3,4-ジエチルピロール1B(1.29g、0.01モル)と2-アセトキシメ
チル-5-ベンジルオキシカルボニル-4-メチル-3-メトキシカルボニルエチルピロ
ール1A(7.83g、0.02モル)を加え、ピロールが全て溶解するまで、混合物を加熱
した。p-トルエンスルホン酸(65mg)を加え、反応温度を60℃に維持した。反応と
共に、透明な黄色から暗赤色に変わり、反応が進行するにつれ溶液から沈殿生成
物が生じた。10時間後、反応物質を室温に冷却し、ロータリー蒸発装置で容積を
2分の1に減らしてから、フリーザーに数時間入れた。生成物を濾過により収集し
、少量の冷たいエタノールで洗浄し、灰色がかった白色の細かい粉末を得た(61
%)。1H NMR(CDCl3,250MHz):δ1.14(6H,t,CH2CH3)、2.23(6H,s,ピロール-
CH3)、2.31(4H,t,CH2CH2CO2CH3)、2.50(4H,q,CH2CH3)、2.64(4H,t,CH2CH2
CO2CH3)、3.60(10H,br s,CH3CO2-および(ピロール)2-CH2)、4.44(4H,br s,C6
H5CH2)、6.99-7.02(4H,m,芳香族)、7.22-7.26(6H,m,芳香族)、8.72(1H,s
,NH),10.88(2H,br s,NH);13C NMR(CDCl3,250MHz):δ10.97,16.78,17.7
1,19.40,22.07,35.09,128.19,133.55,136.62,162.35,173.49;CI MS(M
+H)+750;HRMS 749.3676(C44H51N3O8に関する計算値:749.3676)。
2,5-ビス[(5-ベンジルオキシカルボニル-3-(3-ヒドロキシプロピル)-4-メチル
ピロール-2-イル)メチル]-3,4-ジエチルピロール。1D、図1A。2,5-ビス[(5-ベン
ジルオキシカルボニル-4-メチル-3-メトキシカルボニルエチルピロール-2-イル)
メチル]-3.4-ジエチルピロール1c(5.00g、0.007モル)を100mLの三つ首丸底フラ
スコに入れ、最低30分間真空乾燥した。フラスコには温度計、添加漏斗、窒素流
入用チューブ、マグネティックスターラーバーが備え付けられていた。トリピラ
ンを10mLの無水THF中に一部溶解後、29mLのボラン(THF中に1M BH3)を撹拌しなが
ら滴下して加えた。反応は穏やかに発熱し、冷水バスで冷却された。トリピロー
ルはゆっくりと溶解され、均質の橙色の溶液を形成し、これは反応が完了すると
、明るい蛍光性橙色に変わった。室温で1時間反応液を撹拌後、激し泡立ちが止
まるまでメタノールを滴下して加えることによって、反応を止めた。減圧下に溶
媒を除去し、得られた白色固体をCH2Cl2に再度溶解した。トリピロールを0.5M H
Clで3回洗浄し(合計200mL)、無水K2CO3上で乾燥し、濾過し、トリピランが結晶
を形成し始めるまで、減圧下でCH2Cl2を除去した。ヘキサン(50mL)を加え、フリ
ーザー内で数時間トリピランを結晶化させた。生成物を濾過し、再度CH2Cl2/エ
タノールから再結晶化させた。生成物を濾過により収集し、減圧乾燥し、3.69g
の橙色がかった白色固体を得た(76%)。mp172-173℃;1H NMR(CDCl3,300MHz):
δ1.11(6H,t,CH2CH3)、1.57(4H,p,CH2CH2CH2OH)、2.23(6H,s,ピロール-CH3
)、2.39-2.49(8H,m,CH2CH3とCH2CH2CH2OH),3.50(4H,t,CH2CH2CH2OH)、3.6
6(4H,s,(ピロール)2-CH2)、4.83(4H,s,C6H5-CH2)、7.17-7.20(4H,m,芳香
族)、7.25-7.30(6H,m,芳香族)、8.64(1H,s,NH)、9.92(2H,s,NH);13C NMR
(CDCl3,300MHz):δ10.97,16.72,17.68,20.00,22.38,33.22,62.01,65.43
,117.20,119.75,120.72,122.24,127.23,127.62,128.30,132.95,136.60
,162.13;FAB MS(M+)693。
2,5-ビス[(3-(3-ヒドロキシプロピル)-5-カルボキシル-4-メチルピロール-2-
イル)メチル]-3,4-ジエチルピロール。1E、図1B。2,5-ビス[(3-(3-ヒドロキシプ
ロピル)-5-ベンジルオキシカルボニル-4-メチルピロール-2-イル)メチル]-3,4-
ジエチルピロール1D(15.0g、0.02モル)を1Lの丸底フラスコに入れ、約30分間減
圧乾燥した。トリピランをトリエチルアミン(10滴)と炭素上の10%Pdと共に無水
THF(600mL)に溶解し、1大気圧のH2下に室温で撹拌した。15時間後、懸濁液をセ
ライトを通して濾過し、触媒を除去し、得られた透明な溶液を減圧濃縮し、明る
いピンク色の固体を生成した。定量的収量に近似して得られたこの物質は、更に
精製せずに次の段階に使用された。
2,5-ビス[(5-ホルミル-3-(3-ヒドロキシプロピル)-4-メチルピロール-2-イル)
メチル]-3,4-ジエチルピロール1F、図1B。2,5-ビス[(3-(3-ヒドロキシプロピル
)-5-カルボキシル-4-メチルピロール-2-イル)メチル]-3,4-ジエチルピロール。
1E(10g、0.02モル)を250mL丸底フラスコに入れ、約1時間真空乾燥した。室温で
窒素中において、トリフルオロ酢酸(31mL、0.04モル)をシリンジから滴下して加
えた。トリピランが溶解する時CO2の放出が肉眼で認められ、均質な黄色の溶液
が生成された。反応液を室温で約15分間撹拌し、続いてドライアイス/CCl4浴を
用いて、-20℃まで冷却した。新しく蒸留されたトリエチルオロトホルメート(31
mL、0.20モル、CaH2上で乾燥されたもの)をシリンジから加え、暗い橙色/黄色
の溶液を生成した。この混合物を更に10分間、-20℃で撹拌してから、冷浴を除
去し、100mLの蒸留しを溶液に滴下して加えた。得られた茶色の懸濁液を室温で1
5分間撹拌した。生成物を濾過により回収し、水で数回洗浄し、50mL/100mL/50mL
(H2O:EtOH:NH4OH、v/v)混合物中に再懸濁した。黄色/茶色の懸濁液を1時間撹拌
し、濾過し、水で数回洗浄し、続いて少量の冷たい95%エタノールでリンスした
。この時点で、TLC分析はトリピラン類(tripyrranes)の混合物を示した。従って
、粗ジアルデヒドトリピランとLiOH・H2O(2.10g、0.05モル)を400mLのガスを除
去された95%MeOHに加え、
懸濁液を窒素雰囲気中で加熱して還流させた。加熱して約1時間後に反応物は均
質となり、室温までゆっくりと冷却された。反応混合物を75mLに減圧濃縮し、得
られたスラリーをフリーザーに数時間入れた。生成物を濾過し、続いて400mLの
メタノールと50mLの水でスラリーを形成し、沸点付近まで加熱することによって
精製した。懸濁液をゆっくりと室温まで冷却し、減圧下に150mLで減量し、フリ
ーザーの中に数時間入れた。精製されたジアルデヒドトリピランを濾過し、水で
洗浄し、24時間真空乾燥し、7.65g(80%)の明るい茶色の粉末を得た。1Fについ
ては、mp164-166℃;1H NMR(CD3OD):δ0.96(t,6H,CH2CH3)、1.49(p,4H,CH2
CH2CH2OH)、2.25(s,6H,pyrr-CH3)、2.32-2.43(m,8H,CH2CH3およびCH2CH2CH2
OH)、3.46(t,4H,CH2CH2CH2OH)、3.85(s,4H,(ピロール)2-CH2)、9.34(s,2H
,CHO)、HR MS、M+:m/e 481.2942(C28H39N3O4に関する計算値:481.2941)。
4,5-ジエチル-10,23-ジメチル-9,24-ビス(3-ヒドロキシプロピル)-16,17-ビス
(3-ヒドロキシプロピロキシ)-13,20,25,26,27-ペンタアゼペンタシクロ[20.2.1.
13,6.18,11.014,19]ヘプタコサ-3,5,8,10,12,14,16,18,20,22,24-ウンデカエン(
1H、図1B)。2,5-ビス[(5-ホルミル-3-(3-ヒドロキシプロピル)4-メチルピロール
-2-イル)メチル]-3,4-ジエチルピロール1F(1.00g、0.002モル)と1,2-ジアミノ4,
5-ビス(3-ヒドロキシプロピロキシ)ベンゼン1G(0.52g、0.002モル)を1000mLのト
ルエンと200mLのメタノールの入った2Lの丸底フラスクに入れた。使用前に、溶
媒を窒素でパージングした。濃HCl(0.5mL)を加え、反応液を窒素中で加熱して還
流させた。反応が進行するにつれ、開始物質の透明な懸濁液から暗赤色の均質な
溶液に変化した。反応5時間後、室温に冷却し、溶液から生成物が沈殿するまで
、減圧下に溶媒を除去した。溶媒の残りをデカンテーションして廃棄し、マクロ
サイクルを真空乾燥した。暗赤色の生成物をメタノール2ジエチルエーテルから
再結晶させ、1.4-1.5g(90-100%)を得た。1Hについて、mp 190℃;1H NMR(CD3OD
):δ1.11(t,6H,CH2CH3)、1.76(p,4H,ピロール-CH2CH2CH2OH)、2.03(p,4H
,OC
H2CH2CH2CH3)、2.36(s,6H,ピロール-CH3)、2.46(q,4H,CH2CH3)、2.64(t,4H
,ピロール-CH2CH2CH2OH)、3.61(t,4H,ピロール-CH2CH2CH2OH)、3.77(t,4H,
OCH2CH2CH2OH)、4.10(s,4H(ピロール)2-CH2)、4.22(t,4H,OCH2CH2CH2OH)、7.
41(s,2H,PhH)、8.30(s,2H,HC=N)、13C NMR(CD3OD):δ10.0,17.2,18.6,
20.9,24.5,33.2,33.5,59.6,61.9,67.8,107.1,120.7,123.8,125.0,12
5.8,128.7,144.8,145.0,150.7,154.6;UV/vis(CH3OH)[λmax.nm]365;FAB
MS,(M+H)+:m/e703;HRMS,M+3:m/e701.4120(C40H50N5O6に関する計算値:70
1.4152)。[C40H55N5O6](HCl)(CH3OH)に関する分析による計算値:C63.52;H 7.8
5;N 9.09;Cl 4.60。実測値:C 64.17;H 7.68;N 9.39;Cl 4.70。
水溶性ランタニド(III)4,5-ジエチル-10,23-ジメチル-9,24-ビス(3-ヒドロキ
シプロピル)-16,17-ビス(3-ヒドロキシプロピロキシ)-13,20,25,26,27-ペンタア
ゼペンタシクロ[20.2.1.13,6.18,11.014,19]ヘプタコサ-1,3,5,7,9,11(27),12,1
4,16,18,20,22(25),23-トリデカエンB2T2TXP(1I、図1C)の一般的合成手順。1当
量のマクロサイクル、4,5-ジエチル-10,23-ジメチル-9,24-ビス(3-ヒドロキシプ
ロピル)-16,17-ビス(3-ヒドロキシプロピロキシ)-13,20,25,26,27-ペンタアザペ
ンタシクロ[20.2.1.13,6.18,11.014,19]ヘプタコサ-3,5,8,10,12,14,16,18,20,2
2,24-ウンデカエン1Hの塩酸塩、1.5当量のLn(NO3)3・XH2O金属塩、2〜3当量の
硝酸テトラブチルアンモニウム(TBANO3)およびトリエチルアミン(約1mL)をメタ
ノールに混合し、空気中で加熱し還流した。反応完了後(反応混合物のUV/visス
ペクトルにより判定)、深緑色の溶液を室温に冷却し、真空で溶媒を除去し、粗
錯体を数時間真空乾燥した。ジクロロメタン/メタノール(99:1、v/v)の溶液を粗
錯体に加え、懸濁液を数分間超音波処理した。ろ液中の赤/茶色の不純物を除去
するために(不完全酸化による生成物と余分なトリエチルアミン)、緑色の懸濁液
を濾過した。得られた深緑色の固体をまずメタノールに溶解し、次にクロロホル
ムを加え混合物の極性を減じた(1:2、v/v)。この溶液をセライトを通して濾過し
、(前処理/予備
洗浄された1M NaNO3)中性アルミナカラム(10cm)の上に置いた。カラムを、まず1
:10(v/v)のメタノール/クロロホルム溶液にを用いて重力により溶出し、赤みが
かった茶色の不純物を除去した。次に増量させたメタノール(20〜50%)を含むク
ロロホルムによりカラムを溶出することによって、金属錯体を得た。精製された
ランタニド(III)テキサフィリン錯体を、メタノール/クロロホルムに溶解し、
少量のメタノールを、続いてジエチルエーテルを深緑の溶液に注意深く層状に重
ねることによって再結晶させた。層状の溶液を室温で暗所に数日間保存した。ラ
ンタニド(III)テキサフィリン錯体の一部はこの方法により単一の結晶を形成し
た。それ以外の錯体は、分析により純粋な値と特徴を得るために2回再結晶させ
た。
ランタニド(III)錯体、1J。マクロサイクル1Hの塩酸塩(300mg、0.407mM)、La(
NO3)3・6H2O(350mg、0.814mM)、TBANO3(305mg、1.0mM)、トリエチルアミン(約1m
L)を350mLのメタノールに入れ、空気中で加熱し10時間還流した。完了後、上記
に概説した一般的手順により、132mgの錯体が得られた(34%)。1Jについて、1H
NMR(CD3OD):δ1.68(t,6H,CH2CH3)、2.22-2.30(m,4H,ピロール-CH2CH2CH2OH
および4H,OCH2CH2CH2OH)、3.20(s,6H,ピロール-CH3)、3.72-3.78(m,4H,CH2
CH3および4H,ピロール-CH2CH2CH2OHおよび4H,ピロール-CH2CH2CH2OH)、3.94(t
,4H,OCH2CH2CH2OH)、4.78(m,4H,OCH2CH2CH2OH)、9.37(s 2H,ArH)、9.87(s,
2H,(ピロール)2C=CH)、11.71(s,2H,HC=N)、13C NMR(CD3OD):δ11.0,18.9,2
0.3,23.0,33.3,36.3,59.7,62.2,68.1,101.5,118.5,137.1,140.3,144
.6,147.5,148.2,152.9,154.9,159.4;UV/vis(MeOH)[λmax.nm(logε)]:355
(4.34),417(4.73),476(5.06),685.5(4.08),746(4.59);FAB MS,M+:m/e835
;HRMS,(M+H)+:m/e 836.2919(C40H51N5O6Laに関する計算値:836.2903)。[C4 0
H50N5O6La](NO3)2(H2O)2に関する分析による計算値:C 48.23;H 5.47;N 9.95
。実測値:C 47.93;H 5.41;N 9.77。
セリウム(III)錯体、1K。マクロサイクル1Hの塩酸塩(300mg、0.407mM)、Ce(NO3
)
3
・6H2O(265mg、0.611mM)、TBANO3(305mg、1.0mM)、トリエチルアミン(約0.5mL)
を350mLのメタノールに入れ、空気中で加熱し7時間還流した。最初反応生成物は
懸濁液を形成するが、生成物が形成されるにつれ、溶液は均質となることに注意
することが重要である。完了後、上記に概説した一般的手順により、143mgの深
緑の結晶が得られた(37%)。この物質はX線回折分析に適していた。1Kについて
、UV/vis:[(MeOH)λmax,nm(logε)]:349.5(4.34),416.5(4.70),476.5(5.05
),684(4.07),741(4.56);FAB MS,M+:m/e 836;HRMS,(M+H)+:m/e 836.280
7(C40H51N5O6 140Ceに関する計算値:836.2816)。[C40H50N5O6Ce](NO3)2(H2O)3に
関する分析による計算値:C 47.32;H 5.56;N 9.66。実測値:C 46.98;H 5.22
;N 9.63。
プラセオジム(III)錯体、1L。マクロサイクル1Hの塩酸塩(300mg、0.407mM)、P
r(NO3)3・5H2O(255mg、0.611mM)、TBANO3(305mg、1.0mM)、トリエチルアミン(約
0.5mL)を350mLのメタノールに入れ、空気中で加熱し10時間還流した。完了後、
上記に概説した一般的手順により、200mgの錯体が得られた(51%)。1Lについて
、UV/vis:[(MeOH)λmax,nm(logε)]:352(4.34),416.5(4.69),476.5(5.04)
,689(4.07),744.5(4.57);FAB MS,M+:m/e 838;HRMS,M+;m/e 837.2823(C4 0
H50N5O6 141Prに関する計算値:837.2823)。[C40H50N5O6Pr](NO3)2(CH3OH)(H2O)
に関する分析による計算値:C 48.65;H 5.58;N 9.69。実測値:C 48.75;H 5.
52;N 9.71。
ネオジム(III)錯体、1M。マクロサイクル1Hの塩酸塩(300mg、0.407mM)、Nd(NO3
)3・6H2O(267mg、0.611mM)、TBANO3(305mg、1.0mM)、トリエチルアミン(約0.5m
L)を350mLのメタノールに入れ、空気中で加熱し12時間還流した。完了後、上記
に概説した一般的手順により、125mgの錯体が得られた(32%)。1Mについて、UV/
vis:[(MeOH)λmax,nm(logε)]:353.5(4.32),416(4.68),476(5.05),688(4.
06),742.5(4.56);FAB MS,M+:m/e 839;HRMS,M+:m/e 838.2828(C40H50N5O6 142
Ndに関する計算値:838.2838)。[C40H50N5O6Nd](NO3)2(CH3OH)に関する分析
による計算値:C 49.48;H 5.47;N 9.86。実測値:C 49.23;H 5.49;N 9.83。
サマリウム(III)錯体、1N。マクロサイクル1Hの塩酸塩(300mg、0.407mM)、Sm(
NO3)3・5H2O(270mg、0.611mM)、TBANO3(305mg、1.0mM)、トリエチルアミン(約0.
5mL)を350mLのメタノールに入れ、空気中で加熱し7時間還流した。完了後、上記
に概説した一般的手順により、183mgの深緑の結晶固体が得られた(46%)。この
物質はX線回折分析が可能である。1Nについて、UV/vis:[(MeOH)λmax,nm(log
ε)]:354.5(4.36),415.5(4.71),475.5(5.09),682(4.09),741(4.61);FAB M
S,M+:m/e 849;HRMS,M+:m/e 848.2957(C40H50N5O6 152Smに関する計算値:84
8.2959)。[C40H50N5O6Sm](NO3)2(CH3OH)に関する分析による計算値:C 48.99;H
5.42;N 9.76。実測値:C 48.79;H 5.64;N 9.43。
ユウロピウム(III)錯体、1o。マクロサイクル1Hの塩酸塩(400mg、0.543mM)
、Eu(NO3)3・5H2O(290mg、0.65mM)、TBANO3(500mg、1.64mM)、トリエチルアミン
(約1mL)を350mLのメタノールに入れ、空気中で加熱し16時間還流した。完了後、
上記に概説した一般的手順により、255mgの深緑の結晶固体が得られた(48%)。
この物質はX線回折分析に適していた。1oについて、UV/vis:[(MeOH)λmax,nm(
logε)]:414(4.72),475.5(5.10),678(4.08),739.5(4.63);FAB MS,(M+H)+
:m/e 850;HRMS,M+:m/e 849.2961(C40H50N5O6 153Euに関する計算値:849.297
4)。[C40H50N5O6Eu](NO3)2(H2O)に関する分析による計算値:C 47.56;H 5.39;
N 9.71。実測値:C 47.47;H 5.45;N 9.64。
ガドリニウム(III)錯体、1p。マクロサイクル1Hの塩酸塩(750mg、1mM)、Gd(NO3
)3・5H2O(660mg、1.5mM)、TBANO3(930mg、3.0mM)、トリエチルアミン(約1mL)
を350mLのメタノールに入れ、空気中で加熱し12時間還流した。完了後、上記に
概説した一般的手順により、700mgの深緑の錯体が得られた(72%)。メタノール
/クロロホルムに錯体を溶解し、深緑の溶液に少量のメタノール、続いてジエチ
ルエー
テルを層状に重ねることにより、X線で定性的に単一の結晶が得られた。層状の
溶液を暗所で室温にて数日間保存した。1pについて、UV/vis:[(MeOH)λmax,nm
(logε)]:358(4.33),416(4.72),478(5.12),678(4.03),737.5(4.64);[(H2O
)λmax,nm(logε)]:347(4.43),419(4.75),469(5.08),740(4.60)。IR(KBr,
cm-1,主要なピーク):ν3299(OH),1647(C=N),1601(C=N),1507,1456,1437
,1385(NO3-),1290,1221,1098,1082。FAB MS,M+:m/e 854;HRMS,M+:m/e
854.2989(C40H50N5O6 158Gdに関する計算値:854.300)。[C40H50N5O6Gd](NO3)2(
CH3OH)(H2O)に関する分析による計算値:C 47.85;H 5.49;N 9.53。実測値:C
47.62;H 5.37;N 9.54。
注:NaNO3洗浄によるアルミナの前処理が行われないと、Gd(III)は2つの硝酸対
アニオンを持たず、代わりに1つの硝酸対イオンと1つの塩素対イオンを持つよう
になる。[C40H50N5O6Gd](NO3)2Cl(H2O)2に関する分析による計算値:C 48.65;H
5.51;N 8.51;Cl 3.59。実測値:C 48.21;H 5.58;N 8.34;Cl 3.62。
テルビウム(III)錯体、1Q。マクロサイクル1Hの塩酸塩(300mg、0.407mM)、Tb(
NO3)3・6H2O(276mg、0.611mM)、TBANO3(305mg、1.64mM)、トリエチルアミン(約0
.5mL)を350mLのメタノールに入れ、空気中で加熱し12時間還流した。完了後、上
記に概説した一般的手順により、152mgの深緑の結晶固体が得られた(38%)。1Q
について、UV/vis:[(MeOH)λmax,nm(logε)]:353(4.35),414(4.71),474.5(
5.09),680(4.08),737(4.62);FAB MS,M+:m/e 856;HRMS,M+:m/e 855.3017
(C40H50N5O6 159Tbに関する計算値:855.3015)。[C40H50N5O6Tb](NO3)2(CH3OH)(H2
O)に関する分析による計算値:C 47.80;H 5.48;N 9.52。実測値:C 48.11;H
5.28;N 9.75。
ジスプロシウム(III)錯体、1R。マクロサイクル1Hの塩酸塩(300mg、0.407mM)
、Dy(NO3)3・5H2O(266mg、0.611mM)、TBANO3(305mg、1.64mM)、トリエチルアミ
ン(約0.5mL)を350mLのメタノールに入れ、空気中で加熱し5時間還流した。完了
後、
上記に概説した一般的手順により、250mgの錯体が得られた(62%)。1Rについて
、UV/vis:[(MeOH)λmax,nm(logε)]:354(4.32),414(4.68),475(5.07),677
.5(4.03),735.5(4.60);FAB MS,(M+H)+:m/e 861;HRMS,M+:m/e 860.3048(
C40H50N5O6 164Dyに関する計算値:860.3053)。[C40H50N5O6Dy](NO3)2(H2O)に関
する分析による計算値:C 47.89;H 5.23;N 9.78。実測値:C 47.97;H 5.22;
N 9.72。
ホルミウム(III)錯体、1s。マクロサイクル1Hの塩酸塩(300mg、0.407mM)、Ho(
NO3)3・5H2O(269mg、0.611mM)、TBANO3(305mg、1.64mM)、トリエチルアミン(約
0.5mL)を350mLのメタノールに入れ、空気中で加熱し12時間還流した。完了後、
上記に概説した一般的手順により、220mgの錯体が得られた(55%)。1sについて
、UV/vis:[(MeOH)λmax,nm(logε)]:354(4.35),414(4.72),475(5.12),677
(4.08),734(4.65);FAB MS,M+:m/e 862;HRMS,M+:m/e 861.3044(C40H50N5O6 165
Hoに関する計算値:861.3064)。[C40H50N5O6Ho](NO3)2(CH3OH)(H2O)に関す
る分析による計算値:C 47.55;H 5.26;N 9.47。実測値:C 47.55;H 5.26;N
9.30。
エルビウム(III)錯体、1T。マクロサイクル1Hの塩酸塩(300mg、0.407mM)、Er(
NO3)3・5H2O(270mg、0.611mM)、TBANO3(305mg、1.64mM)、トリエチルアミン(約0
.5mL)を350mLのメタノールに入れ、空気中で加熱し12時間還流した。完了後、上
記に概説した一般的手順により、143mgの錯体が得られた(36%)。1Tについて、U
V/vis:[(MeOH)λmax,nm(logε)]:355.5(4.36),414.5(4.72),477(5.13),67
2(4.08),732(4.66);FAB MS,M+:m/e 863;HRMS,M+:m/e 865.3110(C40H50N5
O6 166Erに関する計算値:862.3064)。[C40H50N5O6Er](NO3)2(CH3OH)に関する分
析による計算値:C 48.32;H 5.34;N 9.63。実測値:C 48.14;H 5.14;N 9.55
。
ツリウム(III)錯体、1u。マクロサイクル1Hの塩酸塩(300mg、0.407mM)、Tm(NO3
)
3
・5H2O(274mg、0.611mM)、TBANO3(305mg、1.64mM)、トリエチルアミン(約0.5mL
)を350mLのメタノールに入れ、空気中で加熱し22時間還流した。完了後、上記に
概説した一般的手順により、150mgの錯体が得られた(37%)。この錯体は、メタ
ノール/クロロホルム溶液中への溶解度が低いため、収量が低くなるので精製が
より困難である。1Uについて、UV/vis:[(MeOH)λmax,nm(logε)]:355.5(4.36
),414.5(4.72),477(5.13),672(4.08),732(4.66);FAB MS,M+:m/e 866;HR
MS,M+:m/e 865.3110(C40H50N5O6 169Tmに関する計算値:865.3103)。[C40H50N5
O6Tm](NO3)2(H2O)2に関する分析による計算値:C 46.82;H 5.31;N 9.56。実測
値:C 46.85;H 5.23;N 9.38。
イッテルビウム(III)錯体、1v。マクロサイクル1Hの塩酸塩(300mg、0.407mM)
、Yb(NO3)3・5H2O(274mg、0.611mM)、TBANO3(305mg、1.64mM)、トリエチルアミ
ン(約0.5mL)を350mLのメタノールに入れ、空気中で加熱し24時間還流した。完了
後、上記に概説した一般的手順により、220mgの錯体が得られた(54%)。1vにつ
いて、FAB MS,M+:m/e 870;HRMS,M+:m/e 870.3132(C40H50N5O6 174Ybに関す
る計算値:870.3149)。
ルテチウム(III)錯体、1w。マクロサイクル1Hの塩酸塩(300mg、0.407mM)、Lu(
NO3)3・H2O(220mg、0.611mM)、TBANO3(305mg、1.64mM)、トリエチルアミン(約0.
5mL)を350mLのメタノールに入れ、空気中で加熱し24時間還流した。完了後、上
記に概説した一般的手順により、150mgの錯体が得られた(37%)。この錯体は、
メタノール/クロロホルム溶液中への溶解度が非常に低い。精製中ほぼ半分の生
成物がカラム上に残った。1wについて、FAB MS,M+:m/e 872;HRMS,M+:m/e 8
71.3154(C40H50N5O6 175Luに関する計算値:871.3169)。
酸により触媒される1Gと1Fのシッフ塩基縮合によりいわゆる“sp3”非芳香族
マクロサイクル1Hが定量的収量で生成された。マクロサイクル1Hは極めて安定で
、フリーザーに保存すれば、数カ月間にわたり僅かしか分解しない。沸騰メタノ
ー
ル中で1.5当量のランタニド(III)金属塩、トリエチルアミン、空気の存在下に1H
の酸化とメタル化を行うと、3〜24時間以内(UV-Vis)により判定)の反応時間で、
深緑の金属錯体が生成される。全てのランタニド(III)[Pm以外のLa-Lu]テキサフ
ィリン錯体1J〜1wは、最適収量ではない34%〜75%で単離される。新しい化合物
全てに関して、満足できる分光学的およびマススペクトルデータが得られた。Eu
(III)およびGd(III)錯体1Oおよび1PのそれぞれのX線回折分析に適した単一結晶
が、メタノール/クロロホルムに錯体を溶解し、ジエチルエーテルで層状にする
ことによって得られた。
例2
ユウロピウム(III)T2B1 TXP-オリゴコンジュゲートの合成
相補的核酸のエステル結合を部位指向性に加水分解するのに有用なテキサフィ
リン金属錯体-オリゴヌクレオチドコンジュゲートの合成法を提供する(図2Aおよ
び2B参照)。
4-アミノ-1-[1-(エチルオキシ)アセチル-2-オキシ]-3-ニトロベンゼン2B、n=
1。炭酸カリウム(14.0g、101mM)と4-アミノ-3-ニトロフェノール2A(10.0g、64.9
mM)を、150mM無水アセトニトリル中に懸濁した。エチル-2-ヨードアセテート(10
mL、84.5mM)(またはエチルヨードブチチレートを使用してもよい。その場合n=3
)をシリンジから加え、懸濁液を環境気温で約21時間撹拌した。クロロホルム(約
375mL)を加えた。クロロホルムは、懸濁液を分離漏斗に移すために使用し、次に
それを水で洗浄した(2×約100mL)。水で洗浄したものを、CHCl3(約1000mL)で洗
浄し、CHCl3抽出物を合わせたものを水で洗浄した(約100mL)。溶媒をロータリー
蒸発器で除去し、残留物をCHCl3(約500mL)に再溶解し、ヘキサン(1.5L)NO中に入
れて沈殿させた。2日間放置し、沈殿物を濾過した。粗くフリット処理された漏
斗を用いて沈殿物を濾過し、真空乾燥し、14.67gの化合物2B、n=1(94.1%)を得
た。TLC:Rf=0.43、CHCl3。
4-アミノ-1-[1-(ヒドロキシ)アセチル-2-オキシ]-3-ニトロベンゼン2c、n=1
。4-アミノ-1-[1-(エチルオキシ)アセチル-2-オキシ]-3-ニトロベンゼン2B、n=
1(10.00g、37.3mM)をテトラヒドロフラン(100mL)に溶解し、水酸化ナトリウム水
溶液(1M溶液、50mL)を加え、溶液を環境気温で約21時間撹拌した。テトラヒドロ
フランをロータリー蒸発器で除去し、水(100mL)Hを加えてから、塩酸(1M溶液、5
0mL)を加えた。数分間放置後形成された沈殿を水で洗浄し、真空乾燥し、8.913g
の化合物2c、n=1(94.1%)を得た。TLC:Rf=0.65、10%メタノール/CHCl3。
16-[1-(ヒドロキシ)アセチル-2-オキシ]-9,24-ビス(3-ヒドロキシプロピル)-4
,5-ジエチル-10,23-ジメチル-13,20,25,26,27-ペンタアザペンタ-シクロ[20.2.1
.13,6.18,11.014,19]ヘプタコサ-3,5,8,10,12,14(19),15,17,20,22,24-ウンデカ
エン2E、n=1。4-アミノ-1-[1-(ヒドロキシ)アセチル-2-オキシ]-3-ニトロベン
ゼン2c、n=1(1.800g、8.49mM)を、1Lのフラスコ内のメタノール(100mL)に溶解し
た。炭素上のパラジウム(10%、180mg)を加え、フラスコ内の雰囲気を大気圧で
水素に交換した。約3時間後に灰色の沈殿物が形成され、上清は透明であった。
メタノールを真空で除去し、酸素に晒さないように注意を払い、化合物を真空で
一晩乾燥した。イソプロピルアルコール(500mL)とHCl(12M、400μL)を加え、懸
濁液を約15分間撹拌した。2,5-ビス[(3-ヒドロキシプロピル-5-ホルミル-4-メチ
ルピロール-2-イル)メチル]-3,4-ジエチルピロール2D(n=1)(4.084g、8.49mM)を
加え、アルゴン中で室温で3時間反応物を撹拌した。得られた赤色の溶液をセラ
イトを通して濾過し、濾過物が無色になるまで、ケーキをイソプロピルアルコー
ルで洗浄した。ロータリー蒸発装置を用いて、約50mLまで容量を減らしてから、
素早く撹拌したEt2O(約700mL)の中に溶液を入れ沈殿を生じさせた。濾過と真空
乾燥を行い、赤色固体(5.550g、98.4%)として化合物2Eが得られた。TLC:Rf=0.
69、20%メタノール/CHCl3(線条(streaks)、I2によりプレート上で緑色に変わる
。)
16-[1-(ヒドロキシ)アセチル-2-オキシ]-9,24-ビス(3-ヒドロキシプロピル)-4
,
5-ジエチル-10,23-ジメチル-13,20,25,26,27-ペンタアザペンタ-シクロ[20.2.1.
13,6.18,11.014,19]ヘプタコサ-1,3,5,7,9,11(27),12,14(19),15,17,20,22(25),
23-トリデカエンのユウロピウム(III)錯体2F、n=1。マクロサイクル、16-[1-(
ヒドロキシ)アセチル-2-オキシ]-9,24-ビス(3-ヒドロキシプロピル)-4,5-ジエチ
ル-10,23-ジメチル-13,20,25,26,27-ペンタアザペンタ-シクロ[20.2.1.13,6.18, 11
.014,19]ヘプタコサ-3,5,8,10,12,14(19),15,17,20,22,24-ウンデカエン2E、n
=1のプロトン化型(500mg、753μm)、ユウロピウム(III)アセテートペンタヒド
レート(334mg、797μM)、トリエチルアミン(1.33mL、8.0mM)を150mLのメタノー
ルに入れ、空気中で5.5時間加熱して還流した。反応物を室温まで冷却し、-20℃
で一晩保存した。ロータリー蒸発装置で溶媒を除去し、アセトン(200mL)を加え
、懸濁液をロータリー蒸発装置で2時間撹拌した。懸濁液を濾過し、沈殿物を真
空にて短時間で乾燥させてから、メタノール(約250mL)と水(25mL)に溶かし、溶
液を調製した。HCl(1M)を用いて、pHを4.0に調整し、HClで洗浄したゼオライトL
ZY54を加え(約5g)、懸濁液をロータリー蒸発装置で約6時間撹拌した。AmberliteTM
IRA-900イオン交換樹脂(NaF処理したもの、約5g)を加え、懸濁液を更に1時間
撹拌した。懸濁液を濾過し、樹脂をメタノール(約100mL)で洗浄し、HCl(1M)を用
いてろ液をpH4.0に調整した。ロータリー蒸発装置で溶媒を除去し、エタノール(
無水)を使用して微量の水を除去した。真空乾燥後、化合物をメタノール(25mL)
に溶解し、素早く撹拌したエーテル(300mL)の中に入れて沈殿させた。濾過と真
空乾燥後、薄緑色の沈殿物として化合物2F、n=1が得られた(303mg、48.4%)。メ
タノールに溶解した50mgの2F、n=1を酢酸洗浄したゼオライトで処理し、次に酢
酸洗浄したAmberliteTMで約1時間処理することによって、分析試料を調製した。
メタノールを最小容量に減じた後、溶液を素早く撹拌したエーテル(70mL)の中に
沈殿させ、濾過し、真空乾燥した。分析。(C36H39N5O5Eu)(CH3CO2)(H2O)に関す
る計算値:C 53.66;H 5.21,N 8.23。実測値:C,53.39,H,5.50,N,8.256。
HR FABマススペクトル,
M+:C36H40N5O5Euに関する計算値773.2228。実測値:773.2239。UV/vis(メタノ
ール)[330.00(4.47),464.0(4.72),708.0(3.90),762.0(4.35)。
ユウロピウム(III)錯体2F、n=1によるオリゴデオキシヌクレオチド-アミン2G
(9E)の合成後の修飾。16-[1-(ヒドロキシ)アセチル-2-オキシ]-9,24-ビス(3-ヒ
ドロキシプロピル)-4,5-ジエチル-10,23-ジメチル-13,20,25,26,27-ペンタアザ
ペンタ-シクロ[20.2.1.13,6.18,11.014,19]ヘプタコサ-1,3,5,7,9,11(27),12,14
(19),15,17,20,22(25),23-トリデカエンのユウロピウム(III)錯体2F、n=1,(25
mg、30.1μM)とN-ヒドロキシサクシンンイミド(5mg、43μM)を共に一晩真空乾燥
した。化合物をジメチルホルムアミド(無水、500μM)に溶解し、ジシクロヘキシ
ル-カルボジイミド(10mg、48μM)を加えた。得られた溶液を遮光した状態でアル
ゴンの中で8時間撹拌してから、110μLの部分標本を、1.6mLのエッペンドルフ管
のに入れた0.4M重炭酸ナトリウム緩衝液350μLの中のオリゴデオキシヌクレオチ
ド2Gに加えた。ボルテックスミキサーで短時間撹拌後、溶液を23時間遮光して放
置した。形成された懸濁液を、0.45μmナイロンミクロフィルターフュージチュ
ーブを通して濾過し、エッペンドルフ管を250μLの滅菌水で洗浄した。合わせた
ろ液を2本のエッペンドルフ管に分け、グリコーゲン(20mg/mL、2μL)と酢酸ナト
リウム(3M、pH 5.4、30μL)を各管に加えた。ボルテックスミキサーで撹拌後、
エタノール(無水、1mL)を各管に加え、DNAを沈殿させた。遠心分離後、エタノー
ルをデカンテーションし、エタノールの一部1mLをで更に洗浄し、風乾した。ペ
レットを50%ホルムアミドゲルを加えた緩衝液(20μL)に溶解し、90℃で約2分間
変性させ、20%変性ポリアクリルアミドゲルに載せた。錯体2H、n=1(9D、10A)
に対応する黄色のバンドをゲルから切り出し、破砕し、1XTBE緩衝液(約7mL)に1
〜2日間浸した。懸濁液をナイロンフィルター(0.45μm)を通して濾過し、Sep-pa
kTM逆層カートリッジを用いて脱塩した。40%アセトニトリルを用いてカートリ
ッジから錯体を溶出し、一晩凍結乾燥し、1mM HEPES緩衝液、pH 7.0(500μl)に
溶解した。UV/vis分光法によ
り測定された溶液濃度(ε260計算値=187,110)は、2H、n=1(9D,10A)で21.6μMで
あった(12%)。
例3
アミン、チオールまたはヒドロキシ基を結合したオリゴヌクレオチドが付いた
テキサフィリン金属錯体の合成、図3A〜3C参照。
アミド、エーテル、チオエーテルは、オリゴヌクレオチドのような部位指向性
分子をテキサフィリン金属錯体に結合するのに使用できる代表的な結合である(
図3A〜3C)。5'末端、3'末端、または分子内で糖または塩基残基において、アミ
ンにより官能化されたオリゴヌクレオチドまたはその他の部位指向性分子は、合
成後に、活性化されたテキサフィリン錯体のカルボン酸エステル誘導体により修
飾される。あるいは、1つ以上のチオリン酸またはチオール基を含むオリゴヌク
レオチド類似体は、テキサフィリン錯体のハロゲン化アルキル誘導体により、イ
オウ原子の部分で選択的にアルキル化される。オリゴヌクレオチド-錯体コンジ
ュゲートは、標的RNA燐酸エステルバックボーンとテキサフィリンを結合したラ
ンタニドカチオンとの触媒による相互作用を至適にする。
オリゴヌクレオチドは、相補的ヌクレオチドまたは実質的に相補的な配列を含
むオリゴ-またはポリ-ヌクレオチドを含む化合物と選択的に結合するのに使用さ
れる。ここに使用されている実質的に相補的な配列とは、ヌクレオチド、一般に
、ヌクレオチドが相補的ヌクレオチドと塩基対を形成しており、極少数の塩基対
だけが合っていない配列である。
オリゴヌクレオチドは、例えば、ブロット分析のハイブリッド形成プローブと
して、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅のプライマーとして、また部位特異的突
然変異に使用される。オリゴヌクレオチド由来の生成物は、遺伝子疾患とプロウ
ィルスHIV、後天性免疫疾患症候群(AIDS)の原因物質の検出に使用されている。
これらは、例えば遺伝子治療において、またアンチセンス能力において、化学療
法剤
としての可能性も考えられている。
オリゴヌクレオチドは、少なくとも9個のヌクレオチドまたは相補的核酸に結
合できる十分な大きさを持つ。
種々の長さと配列のオリゴヌクレオチドを調製する一般的方法がCaracciolo e
t al.(1989)Science,245:1107に記述されている。
一般に、従来の5'-3'結合を含むオリゴヌクレオチドの合成には、一般的に2種
類の固相法が使用されている。1つは中間体ホスホルアミデートが関与し、もう1
つは中間体ホスホネート結合が関与する。ホスホルアミデート合成において、結
合予定部位にシアノエチルホスホルアミデートを持つ適切に保護されたヌクレオ
チドは、固相支持体に誘導された成長するヌクレオチド鎖の遊離水酸基と反応す
る。この反応により、シアノエチルホスファイトが得られ、この結合は、還元型
は酸に不安定なので、中間体生成の各段階において、シアノエチルホスフェート
に酸化されなくてはならない。
ホスホネートに基づく合成は、酸に安定な燐酸エステル結合を得るのに適した
活性化剤の存在下に、固相で誘導された遊離水酸基を持つヌクレオチド鎖との結
合予定部位にホスホネート部分を含む、適切に保護されたヌクレオチドの反応に
より実施される。従って、ホスフェートまたはトリホスフェートの酸化は、オリ
ゴヌクレオチド合成のどの時点でも、またオリゴヌクレオチド合成完了後でも実
施できる。
ホスフェートを、四塩化炭素の存在下に第一または第二アミンと反応させるこ
とにより、ホスホルアミデート誘導体に変換することもできる。2つの方法を包
括的に示すために、入ってくるヌクレオチドは、「活性化された」ホスファイト
/ホスフェート基を持つと見なされる。共通して使用される固相合成法を使用す
る方法の他に、オリゴヌクレオチドは、トリエステル合成法のような液相法を使
用して合成することもできる。方法は作動するが、一般に実質的長さのオリゴヌ
ク
レオチドの合成法としては効率が低い。
生体内加水分解に抵抗する好ましいオリゴヌクレオチドは、各塩基にホスホロ
チオエート置換基を持つ(J.Org.Chem.,55:4693-4699,(1990)およびAgrawal
,(1990))。オリゴデオキシヌクレオチドまたはそれらのホスホロチオエート類
似体は、Applied Biosystem 380B DNA合成装置(Applied Biosystems社、フォス
ター市、カリフォルニア州)により合成できる。
例4
ジホルミル一酸トリピラン4Hとオリゴヌクレオチドコンジュゲート4Jの
合成法、図4A〜4D参照。
ジメチルエステルジベンジルエステルジピロメタン(dimethylester dibenzyle
ster dipyrromethane)4B。マグネティックスターラーバー、温度計、加熱マント
ル、アルゴンラインを取り付けた還流冷却器を設置した1000mL三つ首丸底フラス
コに、メチルエステルアセトキシピロール4A(100.00g;267.8mM)、100%エチル
アルコール(580mL)、脱イオン水(30mL)を入れた。反応混合物を加熱し、得られ
た溶液が還流し始めたら、12N塩酸水溶液(22mL)全てを一度に加えた。フラスコ
の中身を還流しながら2時間撹拌した。加熱装置を、0℃の浴と交換し、得られた
濃厚な混合物を2時間撹拌してから、一晩フリーザーに入れた。
混合物を中位にフリット処理されたガラス漏斗で濾過し、ゴム製ダムで押し、
ろ液が無色になるまでヘキサンで洗浄した。収集した固体を30℃で高度の真空で
一晩乾燥し、やや黄色がかった固体を得た(65.85g、214.2mM、収率80.0%)。
ジメチルエステル二酸ジピロメタン、4C。ガラス製品を全てオーブンで乾燥し
た。マグネティックスターラーバー、水素ライン、真空ラインを装備した2000mL
三つ首丸底フラスコに、ジメチルエステルジベンジルエステルジピロメタン4B(3
3.07g、53.80mM)、無水テトラヒドロフラン(1500mL)、10%パラジウム/炭素(3.
15g)を入れた。水素雰囲気中で24時間反応懸濁液を撹拌する前に、フラスコの
雰囲気を数回パージングしては、無水水素ガスで満たした。
反応懸濁液の溶媒を減圧下に除去した。得られた固体を、高度の真空で一晩乾
燥した。
乾燥固体を、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(1500mL)とエチルアルコール(200mL
)の混合物に懸濁し、その沸点で5分間撹拌した。熱い懸濁液をセライトで濾過し
た。ろ液を室温に冷却し、12N塩酸水溶液でpH 6になるまで酸性化した。得られ
た混合物を中位にフリット処理されたガラスで濾過した。収集された固体を高度
の真空で一定重量になるまで乾燥した(21.63g、49.78mM、収率92.5%)。
メチルエステルジベンジルエステルトリピラン、4E。マグネティックスターラ
ーバー、温度計、加熱マントル、アルゴンラインを取り付けた還流冷却器を設置
した2000mL三つ首丸底フラスコに、ジメチルエステル二酸ジピロメタン4C(21.00
g、48.33mM)、エチルアセトキシピロール4D(30.50g)、p-トルエン硫酸一水和物
、トリフルオロ酢酸(39mL)、メチルアルコール(1350mL)を入れた。フラスコの中
身を加熱し、還流しながら2時間撹拌した。加熱装置を、0℃の浴と交換し、30分
間撹拌し続けてから、得られた混合物を一晩フリーザーに入れた。
冷たい混合物を中位にフリット処理されたガラスで濾過した。収集された固体
をヘキサンで洗浄し、高度の真空で一晩乾燥した(13.05g、10.25mM、収率39.8%
)。
メチルエステル二酸ジピロメタン、4F。ガラス製品を全てオーブンで乾燥した
。マグネティックスターラーバー、水素ライン、真空ラインを装備した500mL三
つ首丸底フラスコに、メチルエステルジベンジルエステルトリピラン4E(12.97g
、19.13mM)、無水テトラヒドロフラン(365mL)、10%パラジウム/炭素(1.13g)を
入れた。水素雰囲気中で24時間反応懸濁液を撹拌する前に、フラスコの雰囲気を
数回パージングしては、無水水素ガスを満たした。
反応懸濁液の溶媒をセライドで濾過した。ろ液の溶媒を減圧下に除去して得ら
れた泡を、高度の真空状態で一晩乾燥した(10.94g、21.99mM、純度87.0%)。
一酸トリピラン、4H。ガラス製品を全てオーブンで乾燥した。マグネティック
スターラーバー、温度計、0℃の浴、アルゴンラインが付いた滴下漏斗セットを
装備した500mL三つ首丸底フラスコに、メチルエステル二酸ジピロメタン、4F(10
.20g、17.83mM)を入れた。フラスコの中身を5℃以下に維持しながら、トリフル
オロ酢酸(32.5mL)を、滴下漏斗から45分間にわたり反応フラスコに滴下して加え
た。得られた反応溶液を0℃で15分間撹拌してから、20℃で3時間撹拌した。フラ
スコの中身をドライアイス/エチレングリコール浴により-25℃に維持しながら
、トリエチルオルトホルメート(32.5mL)を滴下漏斗から20分間にわたり反応フラ
スコに滴下して加えた。得られた反応溶液を-25℃で1時間撹拌し、続いて0℃の
浴に設定した。フラスコの中身を10℃以下に維持しながら、滴下漏斗から反応フ
ラスコに脱イオン水(32.5mL)を滴下して加えた。得られた2相の混合物を室温で7
5分間撹拌し、次いで1-ブタノール8200mL)を加えた。溶媒を減圧除去した。得ら
れた黒いオイルを高度の真空で一晩乾燥し、黒い固体を得た(11.64g)。
マグネティックスターラーバー、温度計、加熱マントル、アルゴンラインを取
り付けた還流冷却器を設置した2000mL三つ首丸底フラスコに、粗メチルエステル
ジホルミルトリピラン4G(11.64g)、メチルアルコール(900mL)、脱イオン水(60mL
)、水酸化リチウム一水和物(4.7g)を入れた。フラスコの中身を加熱し、還流し
ながら2時間撹拌し、室温まで冷却し、脱イオン水(250mL)を加え、12N塩酸水溶
液を加えpH 5の酸性にしてから、0℃で1時間撹拌した。得られた混合物を中位に
フリット処理されたガラス漏斗で濾過した。収集した固体を高度の真空状態で一
定重量になるまで乾燥し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、CH2Cl2に溶
解したメタノール、0-10%;3.64g、8.06mM、収率45.2%)で精製した。
一酸トリピラン4Hを、オルト-フェニレンジアミンの誘導体、例えば1Gと縮合
させ、非芳香族前駆物質を形成し、ついでそれを芳香族金属錯体、例えば4Iに酸
化する。オリゴヌクレオチドアミンを、テキサフィリン4Iのカルボン酸誘導体と
反応させ、分子のB部分ではなくT部分に部位指向性分子を持つコンジュゲート4J
を生成する。
例5
ランタニド(III)T2B2テキサフィリンによるモノエステルの加水分解
本例は、モノエステルの加水分解、特にUpU、cUMP、3'-UMP、2'-UMPの加水分
解にテキサフィリン金属錯体を利用することに関して、本発明の有用性を示すも
のである。
シトシン、ウリジン、ウリジン-2'および3'-一燐酸ニナトリウム塩(2'-UMPお
よび3'-UMP)、ウリジン-2',3'-サイクリック一燐酸ナトリウム塩(cUMP)およびウ
リジリル(3'→5')ウリジンアンモニウム塩(UpU)は、シグマ社(セントルイス、モ
ンタナ州)から購入し、更に精製せずに使用した。ランタニドテキサフィリンは
、前記例の如く調製された。全ての溶液は、特に記述が無い場合には、Milli-Q
精製水中でpH 7.0に調整された5.0mM N-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-N'-エ
タンスルホン酸(HEPES)のストック溶液から調製された。溶液は保存され、リボ
ヌクレアーゼを含まず、オートクレーブ中で120℃にて20分間更に滅菌したプラ
スチック製バイアルの中で反応が実施された。溶液調製時と反応物質サンプリン
グ時には常に手袋を付けた。全ての速度論的操作は、水浴中で37℃に温度を一定
にして実施された。
高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)は、254nmでモニタリングしながら、Wat
ersモデル440吸光度検出器が付いたWaters 501を用いて実施した。YMC社、USA O
DS-AQカラム(150mm×4.6mm I.D.)を使用した。無勾配溶離により(1%メタノール
によりpH 5.6に調整された10mM NaH2PO4)流速1.0mL/分で満足できる分離が達成
された。ベックマンDU-7分光光度計を使用して、EuB2T2 Txpの濃度を確認した。
Eu(N03)3。対照実験において、反応溶液は、100μLのUpU(2.94mM)、25μLのEu
(NO3)3(3.5μM)、内部標準として100μLのシトシン(0.423mM)を、100μLの5.0mM
HEPES溶液に希釈することによって調製された。EuB2T2 txpにしたのと同様にし
て反応を行った。対照反応の偽零次速度定数は、k=(2.2±0.8)x10-4mM/hである
と測定された。
EuB2T2 txp。典型的な反応速度論的な実験において、100μLのUpU(2,94mM)、5
0μLのEuB2T2 txp(7.8mM)、内部標準として100μLのシトシン(0.423mM)を、350
μLの5.0mM HEPES溶液中に希釈して、反応溶液を準備した。UpU加水分解速度は
、HPLC分析が可能となるまで凍結された15μLの部分標本を取り出して、モニタ
リングした。全ての試料は、HPLCに注入される前に精密濾過された(0.2μm)。全
ての操作を3回ずつ実施した。金属錯体を含まない同時に測定した対照のバック
グラウンドは無視できるものであった。反応の偽零次速度定数は、k=(9.1±1.6)
×10ー4mM/時、37℃、pH 7.0と決定された。
水溶性EuB2T2テキサフィリンの硝酸塩によるリボジヌクレオチドの加水分解切
断の偽零次速度定数を検討した。その結果、0.15mM Eu(B2T2 TXP)2+水溶液は、
ウリジリル(3'→5')ウリジン、UpU、(0.49mM)を、37℃、pH 7.0で偽零次速度定
数(9.1±1.6)×10-4mM/時で加水分解により切断した。金属錯体が存在しない場
合には、HPLCによりRNA切断の所見は認められなかった。反応はHPLCによって追
跡され、ウリジンの形成をモニタリングした。ウリジン-2'一燐酸、ウリジン3'-
一燐酸、ウリジン-2':3'-サイクリック一燐酸(cUMP)もHPLCによって観察された
。これは切断反応が酸化メカニズムよりも加水分解であることを示している。ウ
リジン-2':3'-サイクリック一燐酸は定常状態に達したことから、テキサフィリ
ン錯体がcUMPも加水分解したことを暗示している。同一条件において、0.15mM E
u(NO3)3水溶液の偽零次速度定数は(2.2±0.35)×10-4mM/時であった。従って、
微量の遊離金属イオンが、テキサフィリン金属錯体の存在下に観察された加水分
解には関与していることはあり得ない。これらの条件において、HAMのEu(III)錯
体の偽零次速度定数は、4.1×10-4mM/時であった。従って、テキサフィリン錯
体は、HAM系よ
りも有効であることは明らかである。
B2T2テキサフィリンのその他のランタニド(III)錯体の研究は、これらの錯体
もRNAを加水分解できることを示している。結果を表2に要約する。
テキサフィリン金属錯体の触媒作用を支持する更なる証拠が、Eu(T2B2 Txp)+2
によって触媒されるウリジン-2',3'-サイクリック一燐酸(cUMP)の分解によって
生成されるウリジンの形成をモニタリングすることによって得られた。Eu(T2B2
Txp)+2によって触媒されるcUMP(0.10mM)の分解作用は、37℃、pH=7.0でインキュ
ベートすると、ウリジンの生成に関して6.94×10-5mM/時の偽零次速度定数を示
した。HPLC による反応生成物の検討により、まずcUMPがウリジン-3'-一燐酸(3
'-UMP)とウリジン-2'-一燐酸(2'-UMP)に異性化され、続いて加水分解により切断
され、ウリジンが生成される(図14)ことが明らかにされた。
例6
テキサフィリン金属錯体を使用するRNAの一般化された加水分解
この例は、ユウロピウムB2T2テキサフィリンによる均質なRNA分子集団の分解
を記述するものである。分離されたクローンからのP32標識RNA転写物は均質なRN
A基質であった。転写物とその分解生成物は、ポリアクリルアミドゲル電気泳動
とオートラジオグラフィーによって視覚化された。
社、マディソン、ウィスコンシン州、から入手した。マウス1b多薬抵抗(Multi D
rug Resistant、MDR)遺伝子の4.3kbの断片を、pGem-3ZベクターのEcoRI部位にク
ローン化し、その方向を決定した(図5参照)。転写反応にプラスミドを使用し
、BamHIにより消化されると、T7RNAポリメラーゼは、約2000塩基長のこの鋳型か
ら転写物を作る。転写反応は、100ngのBamHIにより消化されたpGem 3z/MDR#3、2
0μLの5×転写緩衝液、500μMの三燐酸塩ヌクレオチド(A,C,G)、100μMのUTP、5
0μCiの32P α-UTP(3000Ci/mM)、10mM DTT、120単位のRNアシン(RNasin)、70〜1
00単位のT7 RNAポリメラーゼから構成された。この反応物は、DEPC処理し2回蒸
留した水で総容量100μLにした。反応物を37℃で1.5時間インキュベートした。
次に、反応物の総容量を、20mMトリスpH 7.0、2mM EDTA、0.1%SDSで予め平衡化
されたG-50セファデックスカラム(Nickカラム、ファルマシア社)にかけた。カラ
ムにかけた2番目の400μLの容量において、カラムから転写物が溶出された。取
り込まれていないヌクレオチドは、カラム上に残された。
10μLの転写物の部分標本を別々の試験管に入れ、Eu(III)B2T2Txp 10、EDTAま
たはEu(III)アセテートを加え、最終容量を20μLとした。試験管を37℃で2時間
インキュベートした。30μLの色素混合物(ホルムアミド、0.2%ブロモフェノー
ルブルー)を各試験管に加えた。試験管を混合し、60℃で5分間加熱し、次に反応
物の中身全体を5%の8M尿素ポリアクリルアミドゲルに載せ、電気泳動を行った
。
EuB2T2による2000塩基長の転写物の消化の結果を図7に示す。対照と、EDTAを
含む対照レーン1、2、12に1つのバンドがある。このバンドは100μL EuB2T2 txp
を含むレーン、レーン3には認められない。低分子量物質、すなわち分解生成物
の増加が、レーン3全体に認められるかすれとして認められる。EuB2T2 txp濃度
が低いレーン4〜7では、転写物は完全なままである。転写物は、500、300、100
、10μM量のEDTAが存在すると、100μM EuB2T2 txpにより分解される、レーン8
〜10および13。この実験では、B2T2txp溶液中の遊離金属が分解を引き起こす可
能性を減じてある。レーン11は、1418塩基と679塩基の分子量基準を含む。図6は
、100、50、25、10、5μM濃度の遊離ユウロピウム金属塩(EuOAc)が転写物を消化
しないことを示している、レーン3〜7。これらの結果は、EDTAが存在しても影響
されなかった、レーン8〜11。
EuOAc、EuT2B2 txp、GdT2B2 txpによるRNA全体(主にK562細胞由来の28sおよび
18sリボソームRNA)の消化により、全てがRNA全体を消化できることが示された。
消化は、50%DMSOおよびH2O中で実施され、ゲルは10mM燐酸緩衝液、pH 6.8を用
いて電気泳動された。EuOAcが均質転写物も消化するが、本例において使用され
たよりも高いEuOAc濃度で消化している可能性が高い。
EuB2T2 txphがRNA基質を消化できることは明白である。転写物はこのように多
様な機能性を有するため、この結果は以下の例に更に論じられているように核酸
とその他の分子に対する部位特異的切断試薬の作製に重大な意味を持つ。
例7
合成オリゴデオキシヌクレオチドとコンジュゲートを形成した
ユウロピウム(III)-テキサフィリンによるRNAの部位特異的加水分解
本例は、RNA相補部分を加水分解するテキサフィリン金属錯体-オリゴデオキシ
ヌクレオチドコンジュゲートを用いるアンチセンス物質を提供する。従って、こ
のようなアンチセンス物質は、生体内で内因性ヌクレアーゼの関与無しで作用で
きる。DNA-EuTx-オリゴヌクレオチドコンジュゲートは、テキサフィリン8B、図8
(2F、図2)の官能化に基づき合成された。この「リボザイム類似体」(8C参照)は
、相補的RNAオリゴマーのオリゴヌクレオチド-指向性金属触媒加水分解の例であ
る。
2つの20-merオリゴヌクレオチドは、内部のチミン残基の5位または5'末端の末
端燐酸のどちらかにアルキルアミン基を持つように、機械で合成された。チミン
の5位で修飾されたオリゴデオキシヌクレオチド-アミンは、Oligo's Etc.社(ウ
ィルソンビル、オレゴン州)、5'末端で修飾されたオリゴデオキシヌクレオチド-
アミンは、キーストンラボラトリーズ社(メンロパーク、カリフォルニア州)から
購入された。オリゴヌクレオチドは、使用前にHPLC精製し、LiClを用いて沈殿さ
せた。カルボン酸を官能化されたユウロピウム(III)テキサフィリン(III)8Bとカ
ルボジイミドとN-ヒドロキシスクシンイミドとの反応により、対応する活性化エ
ステルが生成された。これを選択されたオリゴデオキシヌクレオチドアミンの溶
液に直接添加した。得られたDNA-EuTxコンジュゲート(図9、9A-D)を電気泳動に
より精製した。
合成RNA 30-mer(10B、図10)は、多薬抵抗性の遺伝子転写物の中のユニークな
部位から選択された配列を持つ基質(キーストンラボラトリーズ社、メンロパー
ク、カリフォルニア州)として得られた。配列は、マウス多薬抵抗性タンパク質
のmRNAの転写開始部位後の1562個の塩基において相補的である。3'-32P標識基質
を、過剰のオリゴデオキシヌクレオチドコンジュゲートと緩衝液中で37℃にて18
〜24時間インキュベートし、エタノール沈殿させ、20%変性ポリアクリルアミド
ゲルで分析した。図10の図解と、図11Aおよび11Bに示すように、約30%の切断が
、コンジュゲート10Aとハイブリッド形成する時に、ユウロピウム(III)テキサフ
ィリン錯体の予想部位付近で発生した。切断収率は、デンシトメトリーにより測
定され、切断バンド対無傷の物質の比率として計算された。この同じ基質が配列
が相補的でないオリゴヌクレオチドとインキュベートされると、対応する切断バ
ンドは観
察されなかった(図11A〜11B、レーン8〜10)。対照反応から、環境光度、子牛の
胸腺電気泳動または緩衝液の種類(トリス酢酸またはHEPES、EDTA、pH 6.0〜8.0)
は切断効率に明らかな影響を及ぼさなかった。Morrow et al.(1992)に認められ
るように、EDTAは、遊離ランタニド(III)カチオンによる切断を阻害する。
図12と13は、EuTxコンジュゲート10Aによる5'標識RNA 30mer 10Bの加水分解を
示す。図12のレーン3〜6とレーン7〜14との比較から、25℃よりも37℃で加水分
解がより迅速に起こることは明らかである。図13のレーン3は、非相補的オリゴ9B
は10Bを加水分解しないことを、レーン4は相補的オリゴを持ち、EuTxが分子内T
残基に結合しているコンジュゲートはRNA基質を加水分解しないことを、レーン5
〜9は、基質10Bに相補的なオリゴヌクレオチドを持つ5'EuTxコンジュゲート、10A
によるRNA基質の加水分解を示している。
アルカリ条件におけるインキュベーションによって、あるいは一連の塩基特異
的リボヌクレアーゼによる部分消化によって得られた配列決定レーンにおいて、
切断断片はバンドと共に移動する(同様の最終生成物分析の例は、Dange et al.
,1990を参照)。この観察結果は、2'-水酸基の分子内攻撃を促進して切断作用を
発揮するルイス酸としてEuTXが恐らく関与している加水分解メカニズムと矛盾し
ない。切断試薬が全く添加されていなくても、リボヌクレオチド標的配列の部位
特異的切断を示すバンドが存在する(レーン1、図11A)。このバックグラウンドの
切断が何に由来するかは不明であるが、オリゴリボヌクレオチドの高次構造(す
なわちヘアピン)の直接的結果であると考えられる。なぜならば、相補的オリゴ
ヌクレオチドとのハイブリッド形成により切断が劇的に阻害されるからである(
例、レーン2、5〜7、9、図11A)。この種の構造依存性切断行動は、オリゴリボヌ
クレオチドで過去に認められた(Dange et al.,1990,Kazabov et al.,1992)。
Eu(III)Txp-オリゴヌクレオチドの最大切断活性は、25nMまでの低濃度のコン
ジュゲートまで観察された。このレベル以下における切断活性の低下は、ハイブ
リ
ッド形成された物質の減少によるものと思われる(約1nMの濃度で、標的RNAのバ
ックグラウンド切断の増加が認められたことにより判定された)。比較のために
、遊離ユウロピウム錯体は約1nMの濃度で、存在する標的RNAを非特異的に加水分
解した(レーン4、図11A)。錯体と誘導体を形成していない相補的DNAオリゴマー
の両者を含む対照反応において(レーン7、図11A)、切断は主に一本鎖領域におい
て発生したが、なお2.5nMのEu-Tx-DNAコンジュゲートよりも効率は低かった。従
って、EuTxをDNAプローブに結合することにより、その有効濃度は約10,000倍に
上昇する。ここに観察された二次構造を持たない標的RNAは、より低濃度のDNA-E
uTxによる切断が可能と思われる。これらのデータは、このようなコンジュゲー
トのアンチセンス適用における有用性を示している。
本発明において証明されたように、テキサフィリン錯体の選択性は、マクロサ
イクルの末端に共有結合したオリゴヌクレオチドによって増強される。金属錯体
は、DNAよりもRNAを優先的に切断するため、DNA付属物は加水分解実験中に切断
されず無傷で残る。DNAアームは、適切なRNA断片を認識して結合し、溶液全体の
金属濃度とよりも、これらの部位で金属濃度を有効に上昇させる。従って、エス
テル加水分解は、RNAバックボーンに沿った特異的部位において有意に増強され
る。ある実施例において、PCRのプライマー(公知または推定による)を、加水
分解作用を持つ二価または三価のテキサフィリン錯体と結合させ、隣接するRNA
の加水分解を誘発できた。
加水分解に対する感受性が増強されると思われる一本鎖ループを形成するよう
に、デオキシリボヌクレオチドがRNA標的に結合するように設計することによっ
て、テキサフィリン金属錯体-コンジュゲートによるRNAの加水分解の強化を達成
できる。ループは、1つまたはそれ以上のヌクレオチドを含むことができる。こ
の場合、オリゴデオキシリボヌクレオチドは、そのRNA標的との結合エネルギー
を、標的となる燐酸ジエステルの定常状態エネルギーを高めるために使用するこ
とにより、
触媒基として作用する。例を、図18Aおよび18Bに示す。図18Aは、ループとして
飛び出した“U”と塩基対を形成するヌクレオチドを欠失し、5'末端でDy(酸)テ
キサフィリン錯体とコンジュゲートを形成しているDNA-12merを示す。RNA基質に
結合することによって、Dy(III)Txp錯体による加水分解に対する感受性が増強さ
れる部位である1塩基対ループ構造を生じる。図18Bは、同じヌクレオチドを欠失
し、3'末端でDy(III)Txpと、5'末端でDy(III)Txpとコンジュゲートを形成してい
るDNA10-merが、同じ1塩基対構造を形成するように、RNA基質に結合している状
態を示す。ループは加水分解に対する感受性が増強された部位で、今回は結合の
ループ構造に集中した2つのDy(III)Txpにより形成された。この例において、1つ
のDy(III)Txpは一般酸として、もう1つのDy(III)TxpはRNAを加水分解の方向に活
性化するDy(III)Txpに結合した水酸基を介して一般塩基として作用しているもの
と思われる。
例8
種々の長さの合成オリゴデオキシリボヌクレオチドとコンジュゲートを形成した
ジスプロシウム(III)-テキサフィリンおよびユウロピウム(III)テキサフィリン
によるRNAの部位特異的加水分解
例7の手順に従って、種々のヌクレオチド長の、5'末端で修飾されたオリゴデ
オキシリボヌクレオチド-アミン(キーストンラボラトリーズ、メンロパーク、カ
リフォルニア州)を、カルボン酸で官能化されたジスプロシウム(III)-テキサフ
ィリン錯体8Bと反応させ、DyTxオリゴ-コンジュゲート9F〜9I(図9)を生成した
。対応するEuTxオリゴ-コンジュゲートも調製した。
次に、例7の手順に従って、上記の各コンジュゲートを、3'標識合成RNA 30-me
r 10Bとインキュベートした。オリゴの両端に相補的DNAとテキサフィリン錯体を
持つコンジュゲートは全て、RNAを加水分解により切断するが、RNAはDyコンジュ
ゲートにより、Euコンジュゲートと比較して約2倍の比率(RNAの約60%を切断す
る)で加水分解された(図22)。250nMの濃度のDNAを使用した場合には、12-merコ
ンジ
ュゲートは20-merコンジュゲートと同程度の効果を発揮し、9-merコンジュゲー
トの効果はより小さく、EuTx-9-merコンジュゲートでは少量の切断しか観察され
なかった。9-merコンジュゲートの存在下にRNA基質のバックグラウンド切断が高
いことは、基質に対するアニーリングの低い特異性が短いオリゴヌクレオチドに
よるものであることを示している。
これらのデータは、12塩基対程度の少数の塩基対を持つオリゴヌクレオチドが
、正確かつ十分な加水分解活性に必要な特異性を提供することを示している。オ
リゴヌクレオチド類似体の細胞膜横断能が、その長さと反比例することが一般に
認められていることから、この点は薬物デザインにとって重要である。
例9
合成オリゴデオキシリボヌクレオチドとコンジュゲートを形成した
ジスプロシウム(III)-テキサフィリンによる36-merRNAの部位特異的加水分解
例7の手順に従って、3'標識合成RNA 36-mer 10D(プロメガ社、マディソン、ウ
ィスコンシン州)を過剰のDyTx-オリゴコンジュゲート10C(9I)とインキュベート
し、加水分解が観察された。図10の図解に示すように、DyTx-オリゴコンジュゲ
ートは、矢印で表示された部位でRNAを加水分解した。この追加結果は、エステ
ル結合の加水分解におけるテキサフィリン-オリゴヌクレオチドコンジュゲート
の広範にわたる有用性を支持するものである。
例10
オリゴヌクレオチドの3'末端にテキサフィリンが結合した
テキサフィリン-オリゴヌクレオチドコンジュゲートの合成
3'末端燐酸にアルキルアミン基を持つように、2種類の12塩基対から成るオリ
ゴデオキシリボヌクレオチドが合成された(キーストンラボラトリーズ、メンロ
パーク、カリフォルニア州)。例7の手順に従って、これらのオリゴマーを、カル
ボン酸により官能化されたEu(III)-テキサフィリン錯体8BまたはLu(III)テキサ
フィリン
錯体と反応させ、コンジュゲート9J、9K、9Nを生成した(図9)。
(本テキサフィリン錯体のように)大きな基をオリゴヌクレオチドの3'末端に結
合すると、オリゴヌクレオチドは細胞ヌクレアーゼに対する抵抗性が得られるた
め、これらの3'-コンジュゲートは、本発明の特定の実施例において特に重要で
あると思われる。
同様の方法で、本発明の一実施例は、5'末端でテキサフィリンとコンジュゲー
トを形成しているオリゴヌクレオチドの3'に特定のリガンドを付加する。3'リガ
ンドの機能は、コンジュゲートの細胞内取り込みを補助することである。このよ
うなリガンドは本技術において公知であるが、コレステロールとポリリジンに限
定されている。
テキサフィリン金属錯体-オリゴヌクレオチドコンジュゲートを使用するRNAの
加水分解における本発明の更なる実施例は、2つのコンジュゲートから成る1組を
使用する。1つは、オリゴマーの5'末端にテキサフィリン金属錯体が結合し、も
う1つはオリゴマーの3'末端にテキサフィリン金属錯体が結合している。これら
のオリゴマーは同じRNA基質に相補的であり、図21に示すように標的加水分解部
位付近に両テキサフィリン金属錯体が位置するように、一方のオリゴマーは、も
う一方のすぐ上流にある。2つの触媒基の距離は、1組の片方のオリゴマー-5'-コ
ンジュゲートを種々の長さに調製し、RNA鋳型に対し2つのコンジュゲートが同時
に結合した時に得られる加水分解効率を比較することによって、変えることがで
きる。
例11
Eu(III)テキサフィリン-オリゴヌクレオチドデュアルコンジュゲートの合成
3'および5'末端の両方にアルキルアミン基を含むように、12の塩基を持つオリ
ゴデオキシリボヌクレオチドが合成された(キーストンラボラトリーズ、メンロ
パーク、カリフォルニア州)。例7の手順に従って、このオリゴマーを、カルボン
酸により官能化された過剰のEu(III)-テキサフィリン錯体8Bと反応させ、12-mer
の
3'末端と5'末端の両方にEu(III)Tx金属錯体を持つデュアルコンジュゲート9Lを
生成した(図9)。
同じオリゴヌクレオチドに結合させた2つのテキサフィリン-金属錯体の利用は
、金属錯体の協調作用により、より効率的にRNAの加水分解作用を発揮するはず
である。この実施例において、テキサフィリン錯体はいずれも同じ金属を含むこ
とが好ましく、ランタニド金属カチオンが好ましく、ユウロピウム(III)または
ジスプロシウム(III)はより好ましい。テキサフィリン金属錯体の1つは、酸とし
て作用し、もう1つは、RNAを加水分解の方向に更に活性化するために塩基として
作用するものと思われる。
更に、デュアルコンジュゲートは、この1つの分子によって達成できる多目的
機能を提供する。例えば、オリゴヌクレオチドは結合特異性を提供し、1つのテ
キサフィリン金属錯体は画像化を行い(対照、金属イオンとしてGd(III)を持つ場
合)、もう1つのテキサフィリン金属錯体はエステル加水分解を行う。このような
デュアルコンジュゲートは、1つの分子により画像化と加水分解の2つの機能を可
能にする。
治療手技として生体内でRNA切断するためのテキサフィリン金属錯体の利用は
、目的の切断部位に錯体を有効に限局することにかかっている。目的の切断部位
は、健康の観点から望ましくない有機体にとっては新しい部位かも知れない。目
的の切断部位は、宿主にとって有害な産物をエンンコードしているメッセンジャ
ーRNAであることもあり、場合によっては有害な正常RNAの場合もある。
例6から11までのデータは、ランタニドテキサフィリン錯体を、RNAアンチセン
ス試薬に発展させ得る可能性を示している。このアンチセンス法は、タンパク質
の発現を調節する点で優れている。特定のポリペプチドの多くのコピーは、1つ
のメッセンジャーRNA分子から作られている。従って、細胞過程のレベルに逆上
り、メッセージを破壊することによって、標的部位が少なくなるため、必要な攻
撃試
薬は少なくて済むと思われる。アンチセンス戦略は、アンチセンスプローブがそ
の標的分子とハイブリッド形成することだけが必要条件となるため、明確で合理
的な方法を提供する。ハイブリッド形成の必要条件は、相補的ワトソン-クリッ
ク塩基対合によって非常によく理解できる。数千もの化合物のスクリーニングと
X線結晶構造解析を必要とする技術における現行の方法と異なり、アンチセンス
技術に必要な情報は、標的の配列である。この新しいテキサフィリン錯体を用い
る天然RNAの治療により、付属のオリゴヌクレオチドを介するテキサフィリン錯
体の相補的RNA配列への結合が生じる。次いで、ランタニドテキサフィリン錯体
はこの特異的部位付近のRNAを切断する。1つまたは2つのテキサフィリン分子を
、DNAに結合することが可能で、遺伝子スプライシング試薬の可能性が生じる。
テキサフィリンオリゴ錯体は、抗ウィルスおよび抗細菌治療に、また癌(例え
ば、オンコジーンに対する相補的オリゴヌクレオチド)および特定のタンパク質
の過剰発現によって引き起こされる炎症反応に直ちに応用できるであろう。アン
チセンス技術は、米国特許第5,194,428号、第5,110,802号、第5,216,141号にお
いて検討されており、これらの全ては、引用することにより本明細書の一部をな
すものとする。
例12
エステル結合切断と生体膜輸送のための
テキサフィリン-サフィリンコンジュゲート
選択性を獲得する更なる手段は、テキサフィリンサフィリンをサフィリン(sap
phyrin、sap)に共有結合させる方法である(Sessler et al.,1992、Furuta et a
l.,1991、Sessler et al.,1991、米国特許第5,159,065号、米国特許第5,120,4
11号、米国特許第5,041,078号、全て引用することにより本明細書の一部をなす
ものとする)。サフィリンは燐酸に結合し、pH 7の水中でK=20M-1なので、結合し
たテキサフィリン-サフィリン錯体(txph-sap)はサフィリン結合部位付近の位置
に金
属濃度を効果的に上昇させることができるものと思われる。txph-sap分子は極め
て大きいので、RNAの三元構造は限られた数の望ましい結合部位を提供しない。
従って、RNA加水分解に対する構造選択性がある程度期待される。この選択性は
、基質分子の立体配座に基づいている。
(Eu)テキサフィリン-サフィリンコンジュゲート(図15および16)の合成法。合
成は、活性化された(Eu)テキサフィリンカルボン酸とアミノ基で置換されたサフ
ィリンの間のアミド結合形成により達成された。同じ方法により、テキサフィリ
ン部分に他の金属カチオンを組み入れたコンジュゲートを含む多様なテキサフィ
リン-サフィリンコンジュゲートを調製できる。図15は、例としてアミド結合し
たテキサフィリン誘導体の形成を示している。
(Eu)テキサフィリン酸、EuT2B1(O(CH2)3CO2H)16B、R=CH2OH、図16、の合成法
。テキサフィリン誘導体(T2B1(O(CH2)3CO2H)・H2O、0.694g、1mmol)を80mLの無
水メタノールに溶解した。Eu(OAc)3・H2O(0.329g、1mmol)を加え、次いでトリエ
チルアミン(0.5mL)を加えた。反応混合物を6時間還流し(還流冷却器は大気中に
開放されていた)、メタル化の進行に続き、スペクトルが観察された。メタノー
ルを減圧蒸発させ、乾燥した黒い固体を得た。これを2時間激しく撹拌しながら
ジクロロメタンで洗浄した。生成物を濾過して取り出し、メタノール(25mL)に再
度溶解し、溶液をゼオライトで処理した(遊離ユウロピウム塩を除去する標準的
手順)。ジエチルエーテルを加えることによって、生成物をメタノールから2回沈
殿させた。収集された暗緑色の固体を高度の真空状態で一晩乾燥した。収率91.0
%。特性データ:C38H44N5O5Eu・2(OAc)に関する元素分析(F.W.920.855)計算値
:54.78% C、5.47% H、7.61% N;実測値:54.46% C、5.50% H、7.55% N。
FAB HR MS:C38H43N5O5Euに関する計算値:802.24626;実測値:802.247752。UV
-Vis(EtOH,λmax):420,469,760nm。
Euテキサフィリン-サフィリン誘導体(16C、図16)の合成法。上述のテキサフィ
リンジヒドロキシルカルボキシレート誘導体(0.092g、0.1mM)を、10mLの無水ジ
メチルホルムアミド(ジメチルアミンを含まない溶媒)に溶解した。溶液を氷上で
0℃に冷却した。活性化剤(カルボジイミド、EDC、95.5mg、0.5mL)とヒドロキシ
ベンゾトリアゾール(5mg)を加え、混合物を45分間0℃に保った。アミノサフィリ
ン誘導体16Aの調製法に関しては、DCCで活性化後、サフィリンモノカルボン酸を
t-BOCモノプロテクテトされたエチレンジアミンと反応させ、続いて室温で1時間
TFAで処理することによりプロテクトを外した。5mLのジメチルホルムアミドと0.
1mLの無水ピリジン中のアミノサフィリン誘導体、3,8,17,22-テトラエチル-12-[
N-(2-アミノエチル)アミノカルボニルエチル-2,7,13,18,23-ペンタメチルサフィ
リンの溶液(16A、0.067g、0.1mM)を同じ温度で加えた。反応混合物を0℃で30分
間維持し、室温まで温め、3日間撹拌した。溶媒を減圧蒸発させた。粗生成物を
洗浄し、エタノール(10mL)に溶解し、ジエチルエーテルをゆっくり加えた。沈澱
生成物を真空乾燥した。収率68%。特性データ:UV-Visλmax(エタノール):3
58,431,450,618,681,761nm。(H2O、pH 7):358,408,455,623,675,765
nm。FAB MS:C80H95N12O5Euの計算値1456.67539;実測値1457。
ヘテロダイマー類似体の別の合成法には、アミノ置換テキサフィリン(テキサ
フィリンカルボキシレートアニオンとモノプロテクトされたエチレンジアミンH2
N(CH2)2NHR(式中、Rは(CH3)3COCO-(t-BOC)との反応と、それに続く180℃までの
加熱によりプロテクトを外すことにより調製される)と活性化されたサフィリン
モノカルボン酸誘導体(例えば、サフィリン酸クロライド、またはジシクロヘキ
シルカルボジイミド、DCCで処理することにより得られる生成物)の結合が含ま
れる。
この化合物16cについて次のテストが行われた。(a)大量の液体膜を横切るAD
PとATPの輸送。中性のpHで効率的な輸送が観察された。(b)ホスホジエステル
の加水分解-ATPの輸送中に、加水分解の結果としてAMPが形成された。輸送研究
は、H2O-CH2Cl2-H2O 3相プレスマン-タイプU-チューブタイプモデル膜システム(
Araki
et al.,1990)を用いて実施された。水相I(source phase:ソース相)はpH 7.0の
ADP、ATPの5mM溶液、有機相は(Eu)テキサフィリン-サフィリンコンジュゲートの
0.1mM溶液であった。水相(II)(receiving phase:受容相)はpH 7.0の水であった
。膜輸送の結果として受容相のADPとATPの濃度上昇は時間の関数であった。輸送
量は、内部標準としてシトシンまたはアデノシンをを使用する受容相のHPLC分析
によって決定された(逆相分析カラム、10mM燐酸緩衝液、pH 5.6)。この方法にお
いて、ADPとATPの初期膜透過輸送の初期輸送速度が得られた。結果は、ADPの初
期輸送速度は、5×10ー9モル/cm2時で、ATPの初期輸送速度より約5倍低かった。
上記のADPとATPの膜透過輸送過程において、受容相における新しい緩衝液の形成
も観察され、これは本物のサンプルとの比較によりAMPであることが決定された
。このAMPは、担体を含まない対照実験が実施された時には、ソース相に存在せ
ず、また観察もされなかったことから、(Eu)テキサフィリン-サフィリンコンジ
ュゲートにより仲介される輸送過程の結果としてのAMPの産生は、コンジュゲー
トがホスホジエステル結合を加水分解できることを示すものと考えられる。
テキサフィリン-サフィリンコンジュゲートまたはその類似体は、アンチセン
ス適用において非常に有用となるはずである。サフィリンは、高い特異性と親和
力により、燐酸ジエステル、例えばDNAの燐酸ジエステルに結合する。Ln(III)テ
キサフィリンは、燐酸アニオンに結合し、RNAと関連種を加水分解により切断す
る。従って、テキサフィリン-サフィリンコンジュゲートにより、RNA/DNAの認
識力は増強され、誘発された「隣接グループ効果」のために加水分解速度が改善
されるはずである。
RNAの特異的切断能と共に、テキサフィリン分子は細胞膜を通過し、選択的に
ウィルスRNAを攻撃するようにデザインすることができる。このような分子は、H
IVを含む種々のウィルスに感染した患者を治療し、in vitroまたは生体外でウィ
ルス感染症に関して血液を浄化し、血液を治療する能力を有するものと思われる
。
例13
イミダゾール触媒基を持つDy(III)-テキサフィリンの合成法、図19A-B
16-[1-(ヒドロキシ)アセチル-2-オキシル-17-[2-[2-[2-[2-(N-イミダゾーリル
)エトキシ]エトキシ]エトキシ]エトキシ]-9,24-ビス(3-ヒドロキシプロピル)-4,
5-ジエチル-10,23-[ジメチル-13,20,25,26,27-ペンタアザペンタシクロ-[20.2.1
.13,6.18,11.014,19]ヘプタコサ-1,3,5,7,9,11(27),12,14(19),15,17,20,22(25)
,23-トリデカエンのジスプロシウム(III)錯体(19H、図19B)。4,5-ジニトロカテ
コール(19A)を、トリエチレングリコールジトシレート(1当量)と、塩化カリウム
とメタノールの存在下に反応させる。得られた混合物からモノトシレート(19B)
を分離し、イミダゾール(1当量)と炭酸カリウムとメタノールの存在下に反応さ
せ、4,5-ジニトロ-2-[2-[2-[2-[2-(N-イミダゾリル)エトキシ]エトキシ]エトキ
シ]エトキシ]フェノール(19C)を生成する。図2Aの合成図に記述されている手順
に従って、また図19A-19Bに概説されているように、化合物19Cをエチル-2-ヨー
ドアセテートと反応させ、得られた化合物19Dをけん化し、還元し、対応するジ
アミノ化合物19Eを得る。つぎにこれをトリピラン19Fと反応させる。得られた非
芳香族マクロサイクル16-[1-(ヒドロキシ)アセチル-2-オキシル-17-[2-[2-[2-[2
-(N-イミダゾーリル)エトキシ]エトキシ]エトキシ]エトキシ]-9,24-ビス(3-ヒド
ロキシプロピル)-4,5-ジエチル-10,23-ジメチル-13,20,25,26,27-ペンタアザペ
ンタシクロ-[20.2.1.13,6.18,11.014,19]ヘプタコサ-3,5,8,10,12,14(19),15,17
,20,22,24-ウンデカエン(19G)をメタル化し、触媒基としてイミダゾールを持つD
y(III)Tx錯体19Hを得る。
上記のDy(III)Tx錯体は、トリ(エチレングリコール)リンカーを介してテキサ
フィリン金属錯体に結合された付属触媒基を持つテキサフィリン錯体の一例であ
る。このような基は、RNA標的の部位特異的加水分解において一般塩基として補
助的役割を果たすものと思われる。この目的のため、テキサフィリン金属錯体は
、切断
されるRNA配列に相補的なオリゴデオキシリボヌクレオチドとコンジュゲートを
形成している。このオリゴは、ここに記述されている手順に従って、カルボキシ
基のようなリンカー基を介して、Dy(III)Tx化合物19Hの16位においてテキサフィ
リンとコンジュゲートを形成している。
例14
アミノ酸またはアミノ酸誘導体触媒基を持つEu(III)テキサフィリンの合成法
Eu(III)-Txカルボン酸錯体2F(n=3、92mg、0.1mM)を5mLの精製された無水DMF
に溶解し、0℃に冷却してから、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボ
ジイミド塩酸(EDC;57mg、0.3mM)と0.5mMのピリジンを加えた。その結果生じた
活性化反応を0℃で1時間進行させた。次に、3mLの水に1-ヒドロキシベンズトリ
アゾール(5mg)とジメチルアミノピリジン(5mg)を加えたものと共に、ヒスタミン
ジクロライド(55mg、0.3mM)を加えた。次に反応混合物を0℃で1時間撹拌し、続
いて室温で5日間撹拌した。溶媒を室温で真空蒸発させ、生成物をミタノール-ベ
ンゼン混合物から再結晶させ、図20Aに示す最終生成物Eu(III)Tx-ヒスタミンコ
ンジュゲートを得た。逆相カラムクロマトグラフィーにより分析試料を調製した
。UV-Vis(H2O、pH 7):λmax(nm):457.5,761.5;FAB HR MS:C43H51N8O4に関
する計算値:896.324571、実測値:896.323476。
上記の手順に従って、L-アルギニンメチルエステルジヒドロクロライド(78mg
、0.3mM)を、活性化されたEu(III)Txカルボン酸2Fと反応させた。反応コンジュ
ゲートを0℃で1時間、続いて室温で5日間撹拌した。溶媒を室温で真空蒸発させ
、図20Bに示す最終生成物Eu(III)Txを得た。UV-Vis(H2O、pH 7):λmax(nm):45
7.0,761.0;FAB HR MS:C45H58CIN9O6Euに関する計算値:1008.341102、実測値
:1008.34004。
同様の手順に従って、アミン基を含む置換基を持つテキサフィリンの金属錯体
を、テキサフィリン(III)の活性化された酸と、アミンを含む置換基との反応を
介
して、調製することができる。図15は、一般合成図を示す。これらのアミン置換
基は、触媒基として機能し、エステル加水分解を触媒するテキサフィリン金属錯
体を補助する。アミンを含む置換基には、アミンを含む糖、多糖類、アミノ酸、
アミノ酸誘導体、ポリアミノ酸等が含まれる。
例15
テキサフィリン-テキサフィリンコンジュゲート(図17)
例12に記述されているテキサフィリン-サフィリンコンジュゲートと同様に、
テキサフィリンを結合してテキサフィリン-テキサフィリンコンジュゲートを形
成することができる。テキサフィリンのカルボキシレート誘導体を、NH2(CH2)nN
H2のようなジアミノ化合物と結合することによって、あるいはモノプロテクトさ
れた化合物NH2(CH2)nNHRと結合することによって、アミノ誘導体に変換すること
ができる。この場合、Rは種々の保護基が可能で、nは1から7の整数で、1から3が
好ましい。テキサフィリン-テキサフィリンコンジュゲートの個々のTx金属錯体
は同じでも、もう一方のTx金属錯体と異なるキレート化された金属カチオンでも
構わない。図17は、2つの同等の金属テキサフィリン(Eu-Txのような)酢酸を、例
えばEDCのような活性化試薬と反応させ、続いてアミノ成分、例えばエチレンジ
アミンにより結合することによって調製されるテキサフィリン-テキサフィリン
コンジュゲートを示す。
テキサフィリン金属錯体、特に常磁性金属錯体は、これらの化合物の結合によ
って誘導される1H NMRスペクトルにおける200ppmまでのシフトによって示される
ように、燐酸アニオン、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチドを結合している。メ
タノール/クロロホルム中のジフェニルホスフェートモノアニオンによるモノア
ダクトの形成に関する見かけの会合定数は、290dm3モル-1で、ジアダクトの形成
に関しては、74dm3モルー1である。フェニルホスフェートジアニオン、フェニル
ホスホネートモノアニオン、ウリジン5'モノホスフェート、ウリジン2'3'-モノ
ホス
フェート、グアノシン5'モノホスフェート、オリゴヌクレオチド混合物の結合に
より、スペクトルパターンに同様の変化が観察された。テキサフィリン-テキサ
フィリン混合物のランタニドアダクトは、ATPのようなジまたはトリホスフェー
ト種の加水分解、RNAのような燐酸ポリエステルの複数部位における加水分解を
発揮するのに、あるいはRNAタイプの基質の結合と加水分解を同時に行うのに有
用と思われる。MRIとPDAに関しては、反磁性/常磁性種を組み合わせて、加水分
解と光活性化により結合、画像化、デュアル切断が可能となるものと思われる。
2つの近接するテキサフィリンは、金属錯体の協調作用により、より効率的にR
NAを加水分解するはずである。例えば、1つの3'はルイス酸として作用し、もう1
つは中性のpHで、金属結合水酸化物の一般塩基を生成する役割を果たす。同様の
メカニズムが、DNAポリメラーゼの3'-5'エキソヌクレアーゼ活性のような、DNA
加水分解酵素の単一結晶から得られた結晶学データに基づき提案されている。
例16
部位特異的分子と結合したランタニドテキサフィリンの更なる利用例
米国特許第5,252,720号は、生体内でB2T2ガドリニウム錯体を用いる磁気共鳴
画像法実験を報告している。結果は、B2T2ガドリニウム錯体は、脂質含有量が高
い組織、アテローマ、肝臓、腎臓、腫瘍に生体内で親和力を示し、齧歯類におい
て低い毒性を有することを明らかにしている。ここに例示されているように、こ
のテキサフィリンクラスのマクロサイクルリガンドの化学特性は、末端部の置換
により変えることができ、それによって生体内分布、薬物動態および毒性の観点
から生物特性を至適化できる。
テキサフィリン金属錯体は、種々の標的を定めた治療法において二官能キレー
ト化剤として作用するのに特に適している。テキサフィリン-金属錯体は、抗体
とのコンジュゲート形成に適した官能基を有するため、抗体コンジュゲートに基
づく治療法に有効である。これらは、抗体の免疫能を破壊しない生体内で安定な
共
有結合を形成し、相対的に無毒で、生理的環境ですぐに溶ける。これらのテキサ
フィリンの更なる利点は、多くが更なる官能化に適していると思われる点である
。カルボキシル化テキサフィリンを塩化チオニルまたはp-ニトロフェノール酢酸
で処理すると、モノクローナル抗体または他の目的とする生体分子への結合に敵
した活性化されたアシル種が生成される。標準in situ結合法(例えば1,1'-カル
ボニルジイミダゾール(CDI))をコンジュゲーションに使用することができる。
多くの細胞膜が燐脂質によって部分的に構成されている。従って、ランタニド
テキサフィリンを、特定の合成ホスホリパーゼに発展させることができる。本技
術に精通する者は、本発見の開示に照らして、特定の燐脂質の燐酸エステル結合
により結合されている脂質側鎖を正確に決定することができるであろう。この過
程を拡大すると、ホスファチジルコリンやスフィンゴミエリンのような細胞膜成
分を消化することができる。これは、後者が神経と脳の機能に関与していること
から重要である。
ランタニドテキサフィリンからの強力な細胞毒素の開発は、ATP、ADP、NADH、
またはFADH2を特異的に加水分解する試薬を開発することによって達成されるで
あろう。上記細胞毒素は、生物学的に特異的な方法で、細胞内遊離エネルギーの
流れを断絶し、本質的に有機体を餓死させる。これは、好ましくない動植物の死
滅、または哺乳類の癌の治療を可能にするであろう。
グリコーゲンの蓄積を引き起こす肝疾患は、グリコーゲンのホスホジエステル
前駆体であるウリジンジホスフェートグルコース(UDP)を加水分解することによ
って、治療することができる。本発明は、ウリジンホスフェートがランタニドテ
キサフィリンにより加水分解により切断されることを実証しており、過去のテキ
サフィリンを用いる研究(米国特許第5,252,720号)は、これらが肝臓内に限局す
ることを明らかにしている。従って、本技術に精通する者は、この方法の基本的
特徴が、既に実験によって証明されていることを理解するであろう。
サイクリックアデノシン一燐酸(cAMP)は、種々のホルモン調節に重要な役割を
果たしていると考えられている。cAMPを線状のアデノシン一燐酸(AMP)に加水分
解すると、ある種のホルモン調節を阻害する。従って、テキサフィリン錯体は、
ホルモン調節薬として利用できる可能性がある。
テキサフィリン金属錯体の更なる利用法は、ジ-およびトリアルキル燐酸エス
テルを解毒する加水分解試薬としてが可能である。アルキル燐酸エステルは、化
学反応の溶媒、殺虫剤(例えば、パラチオン)、化学神経ガス(例えば、ジイソプ
ロピルホスホフルオリデート、DIPF)等、広範にわたり利用されている。環境に
おけるこれらの薬剤の加水分解と解毒は、普通は天然プロセスによりゆっくりと
進行する。アルキル燐酸エステル加水分解の触媒を開発することによって、多く
の人々の生活が大幅に改善されるであろう。テキサフィリン錯体は更に、このよ
うな神経作用物質に接触した患者の治療薬として開発され得る。ここで、重要な
特徴は、テキサフィリンが燐酸エステルを迅速に加水分解することが知られてい
るという点である。
ここに記述されている例と実施例は、説明のみを目的としていること、またこ
れらに照らした種々の変更が、本技術に精通する者にとっては可能であり、本申
請の意図と範囲内になくてはならず、また添付の請求項の範囲内になくてはなら
ないことは明らかである。
以下の引用文献は、引用することにより、下記の理由によって関連部分の記載
を本明細書の一部とする。
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(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
C07D 487/22 9271−4C C07D 487/22
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C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
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TD,TG),AT,AU,BB,BG,BR,BY,
CA,CH,CN,CZ,DE,DK,ES,FI,G
B,GE,HU,JP,KG,KP,KR,KZ,LK
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ェイ 10237