JPH0859418A - 消臭抗菌処理液 - Google Patents

消臭抗菌処理液

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JPH0859418A
JPH0859418A JP6203696A JP20369694A JPH0859418A JP H0859418 A JPH0859418 A JP H0859418A JP 6203696 A JP6203696 A JP 6203696A JP 20369694 A JP20369694 A JP 20369694A JP H0859418 A JPH0859418 A JP H0859418A
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Akiko Azuma
彰子 東
Tsunetoshi Honda
常俊 本田
Akira Nishihara
明 西原
Tetsuro Watanabe
哲朗 渡邊
Hiroshi Moriguchi
浩史 森口
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 (イ) 消臭有効物質を生成する1種もしくは2
種以上の微生物 (例、バチルス属、エンテロバクター
属、ストレプトコッカス属、アルカリゲネス属、クレブ
シェラ属の微生物) の培養濾液からなる消臭性成分と、
(ロ) グアニジル基を含有するアルコキシシランもしくは
ポリシロキサンからなる抗菌性成分とを含む消臭抗菌処
理液。 【効果】 消臭効果と抗菌効果がいずれも高く、処理液
の長期保存中の消臭抗菌効果の持続性も高い。噴霧、塗
布などの処理により、処理表面に消臭性成分を取り込ん
だ抗菌性被膜を形成するため、処理後に消臭抗菌効果が
1年以上も持続する。消臭性成分が安価で安全性も高
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、消臭抗菌処理液に関す
る。この消臭抗菌処理液を使用することによって、例え
ば生ゴミ、ペット小屋、トイレ、スポーツウェアや靴下
を含む衣類、リネン等の繊維製品、靴、衣類や靴の収納
場所等において悪臭を抑制すると同時に、悪臭源となる
微生物の繁殖を抑えることができる。
【0002】
【従来の技術】人間が活動する居住空間において、ゴ
ミ、人体および動物からの皮脂・汗・分泌物などから発
する臭いは、不快感をもたらす。また、それを放置して
おくと、微生物が繁殖し、不快な臭いが強まる上、変色
等の損害も生じうる。
【0003】従来より、臭いを抑える消臭剤や、微生物
の繁殖を抑える抗菌剤は数多く提案され、実際に使用さ
れている。消臭または抗菌という単独の作用を有するも
のに加えて、両者の作用を兼ね備えた消臭抗菌剤も提案
されている。
【0004】そのような消臭抗菌剤の1例は、特開昭60
−100968号公報に記載の、数種のアミノ酸を含む植物変
性粉粒体またはその水抽出物からなる消臭性成分と逆性
石鹸成分からなる殺菌剤とを含む混合溶液を、不織布に
含浸させたヘビーデューティ殺菌消臭材である。特開昭
63−250325号公報には、銀イオン等を含む抗菌性ゼオラ
イトとアルコールとを噴射剤(フロン)と混合して缶に
密閉した抗菌性スプレー用組成物が、特開平3−244466
号公報には、消臭剤である珪酸ゾル水溶液中にヨウ素系
消毒剤を含有させた消臭消毒剤が、それぞれ記載されて
いる。特開平4−99571 号公報には、フラボノイド、レ
モン油およびグリオキザールを消臭性成分とし、コハク
酸およびエタノールを殺菌成分とした生ゴミ・トイレに
対する殺菌消臭剤組成物が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の消臭抗
菌剤は、化学系の消臭性成分を使用しており、消臭効果
を有する化学物質の分解または揮発による減少とともに
消臭効果が低下し、効果の持続性が低かった。また、抗
菌性成分の方も、効果が一過性であるか、抗菌効果の程
度と持続性の低いものが使用されていた。そのため、従
来の消臭抗菌剤は処理をたびたび行う必要があり、不便
である上、コスト面でも不利であった。
【0006】本発明の目的は、上記問題を解消し、消臭
および抗菌効果の程度が高く、しかもその高い効果が持
続し、同時に液の保存安定性も高い消臭抗菌処理液を提
供することである。本発明の別の目的は、化学系の消臭
性成分を使用せず、安価で安全な消臭抗菌処理液を提供
することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来用い
られてきた化学系の消臭剤に代えて、酵素を含んでいる
微生物の培養濾液を消臭性成分として用いることに着目
した。そして、この微生物系の消臭性成分に、抗菌性成
分として特定の抗菌性有機ケイ素化合物を組合わせるこ
とにより、高い消臭効果と抗菌効果が非常に長期間持続
する消臭抗菌処理液を得ることに成功した。
【0008】ここに、本発明の要旨は、(イ) 消臭有効物
質を産生する微生物の培養濾液からなる消臭性成分と
(ロ) グアニジル基を有するアルコキシシランまたはポリ
シロキサンからなる抗菌性成分とを含有する、消臭抗菌
処理液である。
【0009】本発明の消臭性成分(イ) における「消臭有
効物質を産生する微生物」とは、その増殖培養により、
消臭能を有する成分、具体的には、アンモニア等の悪
臭源を中和する作用のある有機酸、および悪臭源を分
解する作用のある酵素、の少なくとも一方を産生する微
生物のことである。このような微生物の例として、バチ
ルス(Bacillus)属、エンテロバクター(Enterobactoer)
属、ストレプトコッカス(Streptococcus) 属、アルカリ
ゲネス(Alcaligenes) 属、およびクレブシェラ(Klebsie
lla)属に属する微生物が挙げられ、これらの群から選ん
だ1種もしくは2種以上の微生物を使用することができ
る。
【0010】本発明において好適に使用できる微生物種
およびその菌株の具体例を次に列記するが、これらに限
定されるものではない。バチルス・サブチリス(B. subt
ilis)[IAM (Institute of Applied Microbiology=東京
大学応用微生物研究所有用菌株保存施設の略称) 1168]
、バチルス・ナットウ(B. natto)[IFO (Institute for
Fermentation Osaka=財団法人発酵研究所の略称) 300
9] 、バチルス・コアギュランス(B. coagulans)[IAM 11
15]、バチルス・マセランス(B. macerans)[IAM 1243]
、エンテロバクター・サカザキ(E. sakazaki)[IAM 12
660] 、エンテロバクター・アグロネランス(E. agglon
erans)[IAM 12659]、ストレプトコッカス・フェカリス
(S. faecalis)[IAM 1119] 、ストレプトコッカス・クレ
モリス(S. cremoris)[IAM 1150] 、ストレプトコッカス
・ラクチス(S. lactis)[IFO 12546]、アルカリゲネス・
フェカリス(A. faecalis)[IFO 12669]、アルカリゲネス
・デニトリフィカンス(A. denitrificans)、クレブシェ
ラ・ニュモニー(K.neumoniae)[IFO 13703]。
【0011】上記微生物の培養に用いる培地は、微生物
種に応じて、従来より公知の培地から適宜選択すればよ
いが、例えば、下記組成のものが使用できる。培地組成の例 グルコース : 2.0〜10.0 g KH2PO4 : 0.5〜1.0 g MgSO4 ・7H2O : 0.1〜0.2 g NH4Cl : 0.2〜1.0 g 微量元素溶液 : 0.5〜1.0 mL 水(蒸留水)を加えて:1000 mL pH : 6.7〜7.0 上記の培地組成に用いた微量元素溶液は、例えば下記組
成のものでよい。
【0012】微量元素溶液組成の例 10〜25wt% HCl水溶液: 5〜10 mL FeSO4 ・7H2O : 1.0〜2.0 g H3BO3 : 50〜70 mg MnCl2 ・4H2O : 80〜100 mg CoCl2 ・6H2O : 150〜200 mg ZnCl2 : 60〜80 mg NiCl2 ・6H2O : 20〜30 mg CuCl2 ・2H2O : 15〜20 mg Na2MoO4 ・2H2O : 30〜40 mg 水(蒸留水)を加えて: 1000 mL 本発明で用いる消臭性成分を得るための微生物の培養
は、微生物 0.1〜0.2 gを上記組成の培地1000 mL に加
え、25〜30℃の温度でゆるやかに攪拌しながら12〜36時
間程度行うことが好ましい。こうして得た微生物培養液
は、微生物の増殖中にグルコースの代謝により生成した
有機酸 (例、乳酸等) および微生物が産生する酵素を含
有する。さまざまな悪臭源に対処できるように、2種以
上の微生物種を一緒に培養した培養液を使用するか、或
いはそれぞれ別個に培養した培養液を混合した混合培養
液を使用することができる。
【0013】有機酸はアンモニア等の悪臭源を中和して
消臭することができ、上記酵素はこのような悪臭源を分
解することができる。有機酸に加えて酵素が存在するた
めに、化学系消臭剤に比べて消臭効果が高く、効果が長
時間持続する。しかも、微生物の培養を利用した消臭性
成分の製造は、化学反応を利用した製造より低コストで
実施できる。さらに、微生物が産生する有機酸は一般に
弱酸性であるため、化学系消臭剤に比べて安全性が高い
という利点もある。
【0014】消臭性成分として、上記の培養液をそのま
ま使用しても、上記の高い消臭効果とその他の利点を得
ることができるが、培養液をそのまま使用した場合に
は、微生物の増殖が進みすぎることにより、次に述べる
弊害を生ずる恐れがある。 微生物の増殖により培養液中の基質が完全に代謝され
てしまうと、その後は代謝産物である有機酸自体が代謝
されるようになり、有機酸が消費されて、消臭性能が低
下する。 増殖が進みすぎると、一般に培養液は黒ずむか、沈殿
物が生成する。その結果、被処理物の着色や汚染の原因
となる。
【0015】そのため、本発明においては、培養濾液、
即ち、培養液から濾過により微生物の菌体を除去して得
た濾液を使用する。この培養濾液を消臭性成分とするこ
とにより、培養液自体を使用した場合と同等の消臭性能
を発揮することができ、同時に上記の弊害を避けること
ができる。
【0016】微生物の濾過には、孔径0.01〜0.1μm程
度の各種分離膜を用いることができる。具体的には、孔
径0.1μmのセラミックス膜(素材:例えばAl2O3)、或
いは孔径0.01μmの中空糸膜(素材:例えばポリアクリ
ロニトリル)を用いることができる。こうして、微生物
が産生した消臭有効物質である有機酸と酵素とを含有
し、微生物の菌体が除去された培養濾液を回収し、これ
を、必要であればさらに滅菌してから消臭性成分として
使用する。
【0017】本発明で使用する抗菌性成分(ロ) は、グア
ニジル基を有するアルコキシシランまたはポリシロキサ
ンである。ここで、グアニジル基とは、式 -NHC(=NH)NH
Z で示される基を意味し、Zは1価有機基である。好ま
しいZ基は、(a) -CN 基、または(b) -C(=NH)NHR1
(ただし、R1は水素、C1〜C20 はアルキル基、または非
置換もしくはハロゲン、アルキル基、フルオロアルキル
基およびアルコキシル基よりなる群から選ばれた置換基
で置換されたフェニル基) である。このグアニジル基
は、Z基が(a) の-CN 基である場合にはシアノグアニジ
ル基、(b) の-C(=NH)NHR1 基である場合はビグアニジル
基と呼ぶことができる。
【0018】アルコキシシランとは、少なくとも1個、
好ましくは2個以上のアルコキシル基が中心のケイ素原
子に結合した有機シラン化合物である。ポリシロキサン
とは、シロキサン結合(Si-O)結合を主鎖に持つ有機ケイ
素ポリマーであり、シリコーンとも呼ばれている。本発
明で用いるアルコキシシランまたはポリシロキサンはそ
の分子内に、抗菌性官能基として知られる前記グアニジ
ル基を少なくとも1個含有するものである。このグアニ
ジル基により、これらの有機ケイ素化合物に高い抗菌性
が付与される。
【0019】グアニジル基含有アルコキシシランの具体
例としては、下記一般式(1) で示される化合物がある。
【0020】
【化1】X1X2X3SiY1NHC(=NH)NHZ (1) 上記式中、X1〜X3は同一でも異なるものでもよく、それ
ぞれC1〜C5アルキル基またはC1〜C5アルコキシル基を意
味し、X1〜X3の少なくとも2つ、好ましくはすべてがC1
〜C5アルコキシル基 (例、メトキシ基、エトキシ基等)
であり、Y1はC1〜C20 アルキレン基であり、Zは(a) -C
N 基、または(b) -C(=NH)NHR1 基 (R1は前記と同じ意
味) である。このアルコキシシランは、グアニジル基に
酸が付加した酸付加塩の形態で使用することもできる。
酸は、無機酸 (例、塩酸) または有機酸 (例、グルコン
酸、シュウ酸、酒石酸など) のいずれでもよい。このグ
アニジル基含有アルコキシシランは、特開平5−247066
号公報に記載の方法に従って、既知の反応を利用して合
成することができる。
【0021】グアニジル基を有するポリシロキサンの例
は、次式
【0022】
【化2】-X4Y2SiO- (2) で示されるグアニジル基含有構成単位を分子内に含むポ
リシロキサンである。ここで、X4は、C1〜C5直鎖または
分岐アルキル基を示すが、特にメチル基またはエチル基
が好ましい。Y2は、式 -NHC(=NH)NHZ で示されるグアニ
ジル基を少なくとも1個含有する1価の基を示し、Zは
前述の通りである。
【0023】このグアニジル基含有ポリシロキサンは、
シリコーン油とも呼ばれる公知の有機ポリシロキサン化
合物に、既知の反応を利用して、前記のグアニジル基を
側鎖または主鎖に導入することにより製造できる。別の
方法として、ポリシロキサンの製造時に、モノマーの一
部として前記のグアニジル基含有アルコキシシランを使
用し、これを他のシランまたはシロキサンモノマーと共
重合させることにより、グアニジル基含有ポリシロキサ
ンを製造することもできる。ポリシロキサンには、被処
理物への付着性を高めるために、例えば、アミノ基など
の官能基を含有させてもよい。
【0024】グアニジル基含有ポリシロキサンの性状
は、重合度が増すに従って、油、ゴム状、樹脂状の順に
変化する。本発明で抗菌性成分として用いるグアニジル
基含有ポリシロキサンは、粘度が 0.1〜100 万 cSt (25
℃) の液状物 (即ち、シリコーン油) となる範囲内の重
合度のものが好ましい。このグアニジル基含有ポリシロ
キサンも、グアニジル基に無機酸または有機酸が付加し
た酸付加塩であってもよい。
【0025】本発明で用いる抗菌性成分の種類は、被処
理物の性質に応じて選択することができる。例えば、被
処理物が吸水性または親水性であって、この性質を阻害
したくない場合には、グアニジル基含有アルコキシシラ
ンが適している。逆に、被処理物が疎水性であるか、ま
たは被処理物に撥水性を付与したい場合には、グアニジ
ル基含有ポリシロキサンを抗菌性成分として使用するこ
とが好ましい。それにより、消臭抗菌効果と同時に撥水
効果を付与することができる。
【0026】本発明の消臭抗菌処理液は、前述した培養
濾液からなる消臭性成分(イ) に抗菌性成分(ロ) を混合す
ることにより調製できる。各成分はいずれも2種以上の
混合物であってもよい。抗菌性成分が油状のグアニジル
基含有ポリシロキサンである場合には、例えば、ホモジ
ナイザーを用いて消臭性成分(イ) の培養濾液中に抗菌性
成分を乳化させてエマルジョン型の処理液とすることが
好ましい。
【0027】成分(イ) と成分(ロ) の混合比は、一般に成
分(イ) の培養濾液に対して成分(ロ)が 0.001〜25重量
%、好ましくは0.01〜10重量%の範囲内である。成分
(ロ) が0.001 重量%より少ないと高い抗菌効果が望め
ず、25重量%より多いと初期の消臭効果の低下などの問
題が起こることがある。この混合比は、使用目的(消臭
と抗菌のどちらの効果がより必要か)、成分(イ) および
(ロ) の性能などの条件に応じて適当に選択すればよい。
【0028】本発明の消臭抗菌処理液は、成分(イ) およ
び(ロ) のほかに、少量であれば香料、乳化剤、分散剤な
どの任意添加物をさらに含有することができる。また、
必要であれば、水、アルコールなどで希釈して使用する
こともできる。
【0029】微生物培養濾液からなる消臭性成分(イ) を
単独で使用すると、保存中に雑菌が繁殖して、消臭効果
が落ちたり、或いは臭いが発生することがあり、貯蔵安
定性に欠ける。これに対し、本発明の処理液では、抗菌
性成分(ロ) が共存するため、保存中の雑菌の繁殖が抗菌
性成分(ロ) により妨げられるため、雑菌の繁殖が原因で
起こる処理液の臭いや沈殿の発生、消臭効果の低下が有
効に防止され、高い消臭抗菌効果を保持したまま処理液
の長期保存が可能となる。
【0030】一方、抗菌性成分(ロ) を単独で使用した場
合には、その時に既に発生している悪臭を防ぐことがで
きない。これに対し、本発明の処理液では、消臭性成分
(イ)が、既に発生している初期の悪臭を取り除くことが
できる。同時に、抗菌性成分(ロ) が、その後の被処理物
における微生物の繁殖を抑えるので、微生物繁殖に起因
する悪臭の発生を防止することができる。もちろん、消
臭性成分(イ) は、その後も周囲環境から生じる悪臭を消
すことができる。
【0031】本発明においては、特定の消臭性成分(イ)
と抗菌性成分(ロ) との組合わせを選択したことにより、
次に説明するように、上記の消臭抗菌作用を高度に、か
つ長期間にわたって発揮させることができる。
【0032】まず、消臭性成分(イ) が微生物系のもので
あって、有機酸に加えて消臭能を有する酵素をさらに含
有しているため、有機酸のみからなる化学系消臭性成分
に比べて消臭効果が高いという利点がある。また、消臭
性成分(イ) から微生物菌体が既に除去されているため、
この微生物系の消臭性成分に抗菌性成分(ロ) を共存させ
ても、抗菌性成分が消臭性成分中の微生物に作用するこ
とによる抗菌性成分の損失が起こらない。そのため、抗
菌性成分を微生物系の消臭性成分と組合わせても、それ
による抗菌性成分の効果の低下はない。
【0033】一方、抗菌性成分(ロ) であるグアニジル基
を有する有機ケイ素化合物(アルコキシシランまたはポ
リシロキサン)は、例えば、従来の一般的な抗菌剤であ
る銀アパタイトや銀ゼオライト、さらには第四級アンモ
ニウム塩型の抗菌性官能基を含有する有機ケイ素化合物
と比べても、さらに高い抗菌効果を示す。
【0034】しかも、抗菌性成分の骨格が有機ケイ素化
合物であることから、この化合物に特有の被処理物に強
固に付着した被膜を処理表面に形成することができる。
例えば、有機ケイ素化合物がアルコキシシランである場
合には、処理後にアルコキシシランの加水分解によりポ
リシロキサン被膜が生成し、ポリシロキサンの場合もポ
リシロキサン被膜が生成する。そして、この被膜の形成
中に消臭性成分が被膜中に取り込まれ、固定される。
【0035】その結果、生成したポリシロキサン被膜
は、これに含まれるグアニジル基によって高い抗菌効果
を持続して発揮することができると同時に、この被膜中
に消臭性成分も閉じ込められているため、消臭効果も持
続する。つまり、消臭効果と抗菌効果がいずれも高い上
に、その持続性にも優れているのである。このように、
消臭抗菌能を示す被膜が被処理物に結合して形成される
ことから、衣類を処理した場合には、洗濯しても消臭抗
菌効果が消失せず、また屋外で使用しても消臭抗菌効果
を持続して得ることができるといった、従来の消臭抗菌
処理液では得ることが困難であった優れた消臭抗菌効果
を発揮することができる。
【0036】本発明の消臭抗菌処理液は、繊維、織物、
皮革、靴、さらには衣服(例、スポーツウェア)、靴
下、リネン類などの繊維製品の消臭抗菌処理に、浸漬、
噴霧、塗布などの通常の処理方法で使用することができ
る。被覆した後、必要により50〜130 ℃で2秒〜30分間
程度の加熱乾燥をして、生成した被膜の強度と密着性を
高めてもよい。
【0037】本発明の消臭抗菌処理液はまた、トイレ、
汚水タンク、ペット、下駄箱、生ゴミなどの悪臭源の消
臭抗菌にも有効に使用することができる。この場合、本
発明の消臭抗菌処理液は、必要により適当な濃度に希釈
してから、被処理物体に直接ふりかけるか、或いは噴霧
もしくは塗布により使用することができる。
【0038】
【実施例】以下に実施例を示すが、これらは本発明を限
定するものではない。実施例で用いた消臭性成分の調製
法と試験方法は次の通りである。
【0039】消臭性成分の調製法 下記組成の培地を滅菌してジャーファーメンターに入
れ、表1に示す5種の微生物を 0.1gづつ植菌し、0.2
L/min の流量で空気を通気しながら30℃で24時間の攪拌
培養を行った。得られた培養液中の各微生物の個数も表
1に示す。
【0040】培地組成 グルコース : 2.0 g KH2PO4 : 1.0 g MgSO4 ・7H2O : 0.2 g NH4Cl : 0.2 g 微量元素溶液* : 1.0 mL 水(蒸留水)を加えて: 1000 mL pH : 6.7〜7.0 *微量元素溶液組成 25wt% HCl : 6.5 mL FeSO4 ・7H2O : 1.5 g H3BO3 : 62 mg MnCl2 ・4H2O : 100 mg CoCl2 ・6H2O : 190 mg ZnCl2 : : 70 mg NiCl2 ・6H2O : 24 mg CuCl2 ・2H2O : 17 mg Na2MoO4 ・2H2O : 36 mg 水(蒸留水)を加えて: 1000 mL
【0041】
【表1】
【0042】この培養液を孔径 0.1μmのAl2O3 膜で濾
過して微生物を除去し、得られた培養濾液を消臭性成分
として使用した。
【0043】抗菌能の試験方法 (a) シェークフラスコ法 試験する消臭抗菌処理液1.5 gを10×10cmの綿布に噴霧
し、放置して乾燥させた後、この綿布と黄色ブドウ球菌
2.0×107 個 (n1) を減菌りん酸緩衝液75mLが入ったフ
ラスコに入れ、30℃、150 rpm で1時間振盪培養した。
振盪後の菌数 (n2) を測定し、次式により減菌率を求め
た。
【0044】減菌率=(n1−n2)/ n1 × 100 (%) (b) 最少発育阻止濃度法 試験する消臭抗菌処理液を液体培地に各種倍率で希釈
し、これに黄色ブドウ球菌 2.0×105 個を接種して、35
℃で24時間培養した後、菌の増殖の有無を判定した。菌
の増殖が阻止された最低濃度を決定し、これを最小発育
阻止濃度(MIC)とした。
【0045】消臭能の試験方法 15 mL 容の試験管に20 ppm濃度のNH3 ガスを発生させる
NH3 液1mLを入れ、試験する消臭抗菌処理液を0.1 mL添
加して充分に攪拌した。試験処理液を添加する前のNH3
濃度(C1)と添加した後のNH3 濃度(C2)を、北川式ガ
ス試験管により測定し、次式により消臭率を算出した。
【0046】消臭率=(C1−C2)/ C1 × 100 (%) (実施例1)抗菌性成分として、次式で示されるビグアニ
ジル基含有アルコキシシラン
【0047】
【化3】 (C2H50)3Si(CH2)3NHC(=NH)NHC(=NH)NH-p-φ-Cl・HCl (式中、p-φ-Cl = p−クロロフェニル基) 0.01gを使
用し、これを上記の培養濾液1000gからなる消臭性成分
と混合して、消臭抗菌処理液を調製した。この処理液
は、シェークフラスコ法により減菌率99.9%以上の抗菌
能を示し、アンモニアの消臭率は99.6%であった。
【0048】(実施例2)実施例1で使用したのと同じ抗
菌性成分20gおよび消臭性成分80gを混合して消臭抗菌
処理液を調製した。この処理液は、シェークフラスコ法
による減菌率が99.9%以上、アンモニア消臭率が98.6%
であった。
【0049】(実施例3)抗菌性成分として、次式で示さ
れるビグアニジル基含有ポリシロキサン
【0050】
【化4】 X(CH2)3Si(CH3)2O[Si(CH3)2O]m Si(CH3)2(CH2)3X (式中、Xは-NH2または-NHC(=NH)NHC(=NH)NH-p-φ-Cl
であり、この2種類の官能基が1:1の比率で存在し、
p-φ-Cl は前記と同じ意味であり、mはポリマーの官能
基当量 (X当たりの当量) が940 g/mol となる値であ
る) を用いた。このポリシロキサンは25℃での粘度が20
万 cStの油状物である。このビグアニジル基含有ポリシ
ロキサン10gを実施例1で消臭性成分として用いた培養
濾液1000gに添加し、ホモジナイザーで乳化させてエマ
ルジョン型の消臭抗菌処理液を得た。この処理液を用い
て実施例1と同様に試験したところ、減菌率は99.9%以
上、アンモニア消臭率は98.5%であった。
【0051】(実施例4)抗菌性成分として、次式で示さ
れるシアノグアニジル基含有アルコキシシラン
【0052】
【化5】(C2H5O)3Si-(CH2)3-NHC(=NH)NH-CN 0.01gを使用し、これを実施例1で消臭性成分として使
用した培養ろ液1000gと混合して、消臭抗菌処理液を調
整した。この処理液を用いて実施例1と同様に試験した
ところ、減菌率は、99.9%以上、アンモニア消臭率は9
8.6%であった。
【0053】(比較例1)実施例1で抗菌性成分として使
用したビグアニジル基含有アルコキシシラン20gを水80
gに溶解して水溶液を調製した。この水溶液は、シェー
クフラスコ法による減菌率は99.9%以上と高かったが、
アンモニア消臭率が0%であった。
【0054】(比較例2)実施例1で消臭性成分として使
用した培養濾液 100gを用いて試験したところ、シェー
クフラスコ法による減菌率は0%、アンモニア消臭率は
98.4%であった。
【0055】(実施例5)実施例1で使用した抗菌性成分
1gを、実施例1で使用した培養濾液1000gからなる消
臭性成分と混合して、消臭抗菌処理液を調製した。この
処理液を1年間保存し、その間に定期的に黄色ブドウ球
菌に対する最小発育阻止濃度とアンモニアに対する消臭
試験を行った。結果を表2に示す。
【0056】(実施例6)実施例3で調製したエマルジョ
ン型消臭抗菌処理液を使用して、実施例5と同様に試験
した。結果を表2に示す。
【0057】(実施例7)実施例4で調整した消臭抗菌処
理液を、実施例5と同様に試験した結果を表2に示す。
【0058】(比較例3)比較例2と同様に、消臭性成分
(培養濾液) のみからなる処理液について、実施例5と
同様に試験した結果を表2に示す。
【0059】(比較例4)実施例1で使用した抗菌性成分
1gを化学系消臭剤であるシュウ酸の10 g/L濃度の水溶
液 100gと混合して消臭抗菌処理液を調製した。この処
理液について実施例5と同様に試験した結果を表2に示
す。
【0060】(比較例5)実施例1で使用した培養濾液10
00gに、従来の一般的な抗菌剤であるクロロヘキシジン
を10g混合して消臭抗菌処理液を調製した。この処理液
について実施例5と同様に試験した結果を表2に示す。
【0061】
【表2】
【0062】表2の結果からわかるように、本発明の微
生物系消臭性成分とグアニジル基含有抗菌性成分と混合
した処理液では、1年間の保存中に消臭抗菌効果が全く
低下せず、処理液保存中の効果の持続性に優れていた。
これに対し、比較例3のように微生物系の消臭性成分の
みでは、抗菌能は最初からごく低く (実施例5の約1/
5000) 、実質的な抗菌性は示さない上、消臭能も最初は
実施例5、6と同程度であったが、保存中に大きく低下
し、保存中の効果の持続性が低かった。また、消臭性成
分と抗菌性成分の一方が本発明のものではない比較例4
および5においては、保存中に効果が大きく低下した。
【0063】(実施例8)実施例5で調製した消臭抗菌処
理液を、上記シェークフラスコ法と同様に多数の綿布に
噴霧して乾燥させた後、1、3、6、および12カ月後に
これらの綿布を用いてをシェークフラスコ法による抗菌
能とアンモニア消臭能とを測定し、処理による消臭抗菌
効果の持続性を調べた。なお、アンモニア消臭能は、消
臭抗菌処理液0.1 mLの代わりに上記綿布1枚を使用する
点を除いて、上記と同じ方法で測定した。結果を表3に
示す。
【0064】(実施例9)実施例3で調製したエマルジョ
ン型消臭抗菌処理液を、実施例8と同様に試験した結果
を表3に示す。
【0065】(実施例10)実施例4で調整した消臭抗菌処
理液を、実施例8と同様に試験した結果を表3に示す。
【0066】(比較例6)比較例3で使用した消臭性成分
のみからなる処理液を用いて、実施例8と同様の試験を
行った。結果を表3に示す。
【0067】(比較例7)比較例4で使用した、化学系消
臭性成分とビグアニジル基含有アルコキシシランからな
る抗菌性成分とを含有する消臭抗菌処理液を使用して、
実施例8と同様の試験を行った。結果を表3に示す。
【0068】(比較例8)比較例5で使用した、微生物系
消臭性成分と従来の一般的な抗菌剤とを含有する消臭抗
菌処理液を使用して、実施例8と同様の試験を行った。
結果を表3に示す。
【0069】
【表3】
【0070】本発明の消臭抗菌処理液で処理した綿布
は、1年後も実質的に完全な減菌性と高い消臭能を保持
しており、消臭抗菌効果の持続性が高かった。これに対
し、消臭性成分である培養濾液単独の比較例6では、抗
菌性は最初からなく、消臭率も次第に低下し、持続性が
低かった。また、消臭性成分または抗菌性成分が従来の
ものである比較例7、8では消臭性、抗菌性ともに低下
が見られた。
【0071】
【発明の効果】本発明の消臭抗菌処理液は、従来の化学
系消臭性成分より高い消臭効果を示す微生物系の消臭性
成分と、やはり従来の抗菌剤に比べて抗菌効果の高いグ
アニジル基含有有機ケイ素化合物からなる抗菌性成分と
を含有する。そのため、実施例1〜3に示したように、
消臭効果と抗菌効果のいずれもが高水準にある。また、
消臭性成分が微生物の培養により製造されるため、製造
コストが抑えられ、安全性も高い。
【0072】また、本発明の消臭抗菌処理液は、実施例
5〜7に示したように、処理液の長期保存中の消臭抗菌
効果の低下が少なく、長期保存性に優れている。これ
は、微生物の培養濾液と抗菌性成分という組合わせによ
り、処理液内での微生物の繁殖や、抗菌性成分の消費が
抑制されるためである。
【0073】さらに、本発明の消臭抗菌処理液は、実施
例8〜10に示したように、処理後の消臭抗菌効果の持続
性にも優れており、1年以上にわたって高い消臭抗菌能
を発揮し続けることができる。これは、抗菌性成分とし
てグアニジル基を含有する有機ケイ素化合物を使用した
ため、消臭性成分を内部に取り込んだ抗菌性の被膜が被
処理物の表面に形成され、しかもこの被膜が表面に強固
に結合しているためであると考えられる。
【0074】本発明の消臭抗菌処理液は、悪臭の発生が
問題となる各種の材料または場所に、単に噴霧、塗布、
浸漬といった簡単な処理手段で適用することができ、液
の安定性、効果の持続性がいずれも高く、比較的安価に
製造でき、安全性も高いので、産業用および日常用の消
臭抗菌剤として非常に実用的である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡邊 哲朗 埼玉県大宮市北袋町1丁目297番地 三菱 マテリアル株式会社セメント研究所内 (72)発明者 森口 浩史 埼玉県大宮市北袋町1丁目297番地 三菱 マテリアル株式会社セメント研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (イ) 消臭有効物質を産生する微生物の培
    養濾液からなる消臭性成分と、(ロ) グアニジル基を有す
    るアルコキシシランまたはポリシロキサンからなる抗菌
    性成分とを含有する、消臭抗菌処理液。
  2. 【請求項2】 前記微生物が、バチルス属、エンテロバ
    クター属、ストレプトコッカス属、アルカリゲネス属、
    およびクレブシェラ属に属する微生物から選ばれた1種
    もしくは2種以上である請求項1記載の消臭抗菌処理
    液。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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