JPH0870268A - フィルタ係数の推定装置 - Google Patents
フィルタ係数の推定装置Info
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- JPH0870268A JPH0870268A JP6203933A JP20393394A JPH0870268A JP H0870268 A JPH0870268 A JP H0870268A JP 6203933 A JP6203933 A JP 6203933A JP 20393394 A JP20393394 A JP 20393394A JP H0870268 A JPH0870268 A JP H0870268A
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- filter
- transmission system
- signal transmission
- coefficient
- signal
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- Filters That Use Time-Delay Elements (AREA)
- Cable Transmission Systems, Equalization Of Radio And Reduction Of Echo (AREA)
- Noise Elimination (AREA)
- Soundproofing, Sound Blocking, And Sound Damping (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】特性が未知の信号伝達系に送出した既知の信号
とその応答とからその信号伝達系の特性を模擬するフィ
ルタの係数を推定するフィルタ係数の推定装置に関し、
演算語長の制限あるいは信号伝達系の雑音や送出信号強
度の変化に対してもフィルタ係数の推定精度を高く維持
することを目的とする。 【構成】信号伝達系の応答とフィルタの出力との差分
と、信号伝達系に送出する信号との積を所要の項数にわ
たり累積加算する演算手段と、信号伝達系に生起する付
加雑音および/または信号伝達系に送出する信号に対し
てフィルタの係数推定誤差が所要値以下となるように上
記累積加算の項数を決める加算項数制御手段とを備え、
演算手段の演算結果を用いてフィルタの係数を推定する
ことを特徴とする。
とその応答とからその信号伝達系の特性を模擬するフィ
ルタの係数を推定するフィルタ係数の推定装置に関し、
演算語長の制限あるいは信号伝達系の雑音や送出信号強
度の変化に対してもフィルタ係数の推定精度を高く維持
することを目的とする。 【構成】信号伝達系の応答とフィルタの出力との差分
と、信号伝達系に送出する信号との積を所要の項数にわ
たり累積加算する演算手段と、信号伝達系に生起する付
加雑音および/または信号伝達系に送出する信号に対し
てフィルタの係数推定誤差が所要値以下となるように上
記累積加算の項数を決める加算項数制御手段とを備え、
演算手段の演算結果を用いてフィルタの係数を推定する
ことを特徴とする。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特性が未知の信号伝達
系に送出した既知の信号とその応答とからその信号伝達
系の特性を模擬するフィルタの係数を推定するフィルタ
係数の推定装置に関し、特に、演算語長の制限あるいは
信号伝達系に生起する雑音のパワーや信号伝達系に送出
される信号強度の変化に対してもフィルタ係数の推定精
度を高く維持できるフィルタ係数の推定装置の改良に関
する。
系に送出した既知の信号とその応答とからその信号伝達
系の特性を模擬するフィルタの係数を推定するフィルタ
係数の推定装置に関し、特に、演算語長の制限あるいは
信号伝達系に生起する雑音のパワーや信号伝達系に送出
される信号強度の変化に対してもフィルタ係数の推定精
度を高く維持できるフィルタ係数の推定装置の改良に関
する。
【0002】本発明のフィルタ係数の推定装置は、例え
ば能動騒音制御装置あるいは音響エコーキャンセラなど
のフィルタ係数を更新する装置に適用することができ
る。
ば能動騒音制御装置あるいは音響エコーキャンセラなど
のフィルタ係数を更新する装置に適用することができ
る。
【0003】
【従来の技術】図5、図6は本発明の適用によって動作
の改善が期待される装置の構成例である。以下の説明は
この2つの装置を例として進める。
の改善が期待される装置の構成例である。以下の説明は
この2つの装置を例として進める。
【0004】まず、図5に示す装置は能動騒音制御装置
と呼ばれ、ファン201側で発生する騒音をダクト20
5で消去するもので、騒音を収集する騒音収集マイクロ
ホン202、擬似騒音を生成する騒音制御フィルタ22
0、擬似騒音を出力するスピーカ203、騒音消し残り
の誤差を収集する誤差収集マイクロホン204、帰還系
を模擬する帰還制御フィルタ210、騒音制御フィルタ
220の係数更新を行う係数更新回路240、誤差収集
マイクロホン204から係数更新回路240に至る系を
模擬する推定散乱フィルタ230などを含み構成され
る。
と呼ばれ、ファン201側で発生する騒音をダクト20
5で消去するもので、騒音を収集する騒音収集マイクロ
ホン202、擬似騒音を生成する騒音制御フィルタ22
0、擬似騒音を出力するスピーカ203、騒音消し残り
の誤差を収集する誤差収集マイクロホン204、帰還系
を模擬する帰還制御フィルタ210、騒音制御フィルタ
220の係数更新を行う係数更新回路240、誤差収集
マイクロホン204から係数更新回路240に至る系を
模擬する推定散乱フィルタ230などを含み構成され
る。
【0005】この能動騒音制御装置の原理は、ダクト2
05中を流れる騒音と誤差収集マイクロホン204の位
置で同振幅・逆位相となる疑似騒音をスピーカ203よ
り出力し、同スピーカ位置において騒音を相殺すること
によりダクト外へ流れ出る騒音を抑制することにある。
但し、ここでの説明においては、本発明の効果に直接関
係しない系、すなわち、スピーカ203から騒音収集マ
イクロホン202に至る系に生じる疑似騒音の回り込み
は、帰還制御フィルタ210の出力によって完全に相殺
されると仮定しておく。また、この装置において、先に
与えた『特性が未知の信号伝達系』は騒音収集マイクロ
ホン202から誤差収集マイクロホン204に至る騒音
伝播系に相当し、また信号伝達系に送出する信号は騒音
収集マイクロホン202によって採取されるファンの騒
音Xj に、信号伝達系の特性を模擬するフィルタは騒音
制御フィルタ220に、係数更新回路240は本発明に
言うフィルタ係数の推定装置にそれぞれ相当する。
05中を流れる騒音と誤差収集マイクロホン204の位
置で同振幅・逆位相となる疑似騒音をスピーカ203よ
り出力し、同スピーカ位置において騒音を相殺すること
によりダクト外へ流れ出る騒音を抑制することにある。
但し、ここでの説明においては、本発明の効果に直接関
係しない系、すなわち、スピーカ203から騒音収集マ
イクロホン202に至る系に生じる疑似騒音の回り込み
は、帰還制御フィルタ210の出力によって完全に相殺
されると仮定しておく。また、この装置において、先に
与えた『特性が未知の信号伝達系』は騒音収集マイクロ
ホン202から誤差収集マイクロホン204に至る騒音
伝播系に相当し、また信号伝達系に送出する信号は騒音
収集マイクロホン202によって採取されるファンの騒
音Xj に、信号伝達系の特性を模擬するフィルタは騒音
制御フィルタ220に、係数更新回路240は本発明に
言うフィルタ係数の推定装置にそれぞれ相当する。
【0006】さて、同装置において、係数更新回路24
0は誤差収集マイクロホン204の出力が最も小さくな
るように騒音制御フィルタ220の係数Hj を調整す
る。また、その調整アルゴリズムとしては、次式(1)
に示すFiltered-X NLMS法 Hj+1 (m) =Hj (m) +αEj Yj (m) /ΣYj (i) ・・・(1) j :時刻(sample time index, iteration) Σ :i=l〜Iの加算、但しIはフィルタのタップ数 α :ステップゲイン Yj :推定散乱フィルタ230の出力 Ej :誤差収集マイクロホン204の出力 i :騒音制御フィルタのi番目タップ m :騒音制御フィルタのm番目タップ が用いられるか、あるいはノルムΣYj (i) による正規
化を省いたFiltered-XLMS法 Hj+1 (m) =Hj (m) +μEj Yj (m) ・・・(2) μ :ステップゲイン が用いられることが多い。
0は誤差収集マイクロホン204の出力が最も小さくな
るように騒音制御フィルタ220の係数Hj を調整す
る。また、その調整アルゴリズムとしては、次式(1)
に示すFiltered-X NLMS法 Hj+1 (m) =Hj (m) +αEj Yj (m) /ΣYj (i) ・・・(1) j :時刻(sample time index, iteration) Σ :i=l〜Iの加算、但しIはフィルタのタップ数 α :ステップゲイン Yj :推定散乱フィルタ230の出力 Ej :誤差収集マイクロホン204の出力 i :騒音制御フィルタのi番目タップ m :騒音制御フィルタのm番目タップ が用いられるか、あるいはノルムΣYj (i) による正規
化を省いたFiltered-XLMS法 Hj+1 (m) =Hj (m) +μEj Yj (m) ・・・(2) μ :ステップゲイン が用いられることが多い。
【0007】さらに、図6に示す装置はハンズフリー通
話装置と呼ばれ、音響エコーキャンセラ300と信号伝
達系200で構成され、信号伝達系200は遠端話者音
声を出力するスピーカ301、近端話者音声を入力する
マイクロホン302を含み、音響エコーキャンセラ30
0は信号伝達系を模擬するFIRフィルタ320、マイ
クロホン302の採取信号から回り込みエコーを除去す
る減算器310、FIRフィルタ320の係数更新を行
う係数更新回路330、遠端話者信号の有無などを検出
する音声検出回路340などを含む構成される。
話装置と呼ばれ、音響エコーキャンセラ300と信号伝
達系200で構成され、信号伝達系200は遠端話者音
声を出力するスピーカ301、近端話者音声を入力する
マイクロホン302を含み、音響エコーキャンセラ30
0は信号伝達系を模擬するFIRフィルタ320、マイ
クロホン302の採取信号から回り込みエコーを除去す
る減算器310、FIRフィルタ320の係数更新を行
う係数更新回路330、遠端話者信号の有無などを検出
する音声検出回路340などを含む構成される。
【0008】このハンズフリー通信装置は、手放しで双
方向同時に通話できるようにスピーカ301とマイクロ
ホン302の間の音響結合を低減する効果をもつ音響エ
コーキャンセラ300が導入されているところに特徴が
ある。
方向同時に通話できるようにスピーカ301とマイクロ
ホン302の間の音響結合を低減する効果をもつ音響エ
コーキャンセラ300が導入されているところに特徴が
ある。
【0009】この図6に示す装置において、スピーカ3
01を含む信号伝達系200に送出された遠端話者信号
(前記の既知信号に相当)Xj は、エコー(前記の信号
伝達系の応答に相当) gj =Σhj (i) Xj (i) ・・・(3) hj (i) :スピーカからマイクロホンに至る音響伝達系
のインパルス応答 Xj (i) :遠端話者信号 となってマイクロホン302に回り込む。音響エコーキ
ャンセラ300はこのエコーgj をFIRフィルタ32
0で合成された疑似エコー Gj =ΣHj (i) Xj (i) ・・・(4) をもって減算器310で減算し、相殺する。
01を含む信号伝達系200に送出された遠端話者信号
(前記の既知信号に相当)Xj は、エコー(前記の信号
伝達系の応答に相当) gj =Σhj (i) Xj (i) ・・・(3) hj (i) :スピーカからマイクロホンに至る音響伝達系
のインパルス応答 Xj (i) :遠端話者信号 となってマイクロホン302に回り込む。音響エコーキ
ャンセラ300はこのエコーgj をFIRフィルタ32
0で合成された疑似エコー Gj =ΣHj (i) Xj (i) ・・・(4) をもって減算器310で減算し、相殺する。
【0010】また、この減算の結果として得られるエコ
ーの相殺の程度は、係数更新回路330によって算定さ
れるFIRフィルタの係数Hj (i) と信号伝達系200
の伝達特性を規定するインパルス応答hj (i) との誤差 Δj (i) =hj (i) −Hj (i) ・・・(5) によって測られ、この音響エコーキャンセラを導入した
ことによって得られる効果は以下の差分(残留エコー) Ej =ΣΔj (i) Xj (i) +Nj ・・・(6) Nj :周囲騒音 が最も小さくなるときに最大となる。
ーの相殺の程度は、係数更新回路330によって算定さ
れるFIRフィルタの係数Hj (i) と信号伝達系200
の伝達特性を規定するインパルス応答hj (i) との誤差 Δj (i) =hj (i) −Hj (i) ・・・(5) によって測られ、この音響エコーキャンセラを導入した
ことによって得られる効果は以下の差分(残留エコー) Ej =ΣΔj (i) Xj (i) +Nj ・・・(6) Nj :周囲騒音 が最も小さくなるときに最大となる。
【0011】図6に示す構成例において係数更新回路3
30は本発明に言うフィルタ係数の推定装置に等価であ
り、この係数更新回路330は上記の差分Ej が最小と
なるようにFIRフィルタ320の係数Hj (i) を調整
して信号伝達系200の特性を模擬するインパルス応答
を持つフィルタを構築する。
30は本発明に言うフィルタ係数の推定装置に等価であ
り、この係数更新回路330は上記の差分Ej が最小と
なるようにFIRフィルタ320の係数Hj (i) を調整
して信号伝達系200の特性を模擬するインパルス応答
を持つフィルタを構築する。
【0012】この音響エコーキャンセラ300では通
常、この差分Ej を最小とするフィルタ係数を算定する
アルゴリズムとして、学習同定法(NLMS法) Hj+1 (m) =Hj (m) +KEj Xj (m) /ΣXj (i) ・・・(7) K :ステップゲイン(0<K<2) が採用されるか、あるいはノルム〔ΣXj (i) 〕による
正規化を省略したLMS法 Hj+1 (m) =Hj (m) +μEj Xj (m) ・・・(8) が採用される。
常、この差分Ej を最小とするフィルタ係数を算定する
アルゴリズムとして、学習同定法(NLMS法) Hj+1 (m) =Hj (m) +KEj Xj (m) /ΣXj (i) ・・・(7) K :ステップゲイン(0<K<2) が採用されるか、あるいはノルム〔ΣXj (i) 〕による
正規化を省略したLMS法 Hj+1 (m) =Hj (m) +μEj Xj (m) ・・・(8) が採用される。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】当然ながら、このフィ
ルタ係数の更新に必要な演算量はノルムの計算が不要と
なるFiltered-x LMS法やLMS法の方がその分だけ
少なく、実用化の観点からは後者の方法の採用が望まし
いことは明らかである。しかしながら、この後者の方法
はステップゲインμとして相当に小さな値の設定を必要
とし、その場合には上式(2)の第2項(すなわち係数
の更新量)は小さくなる。すなわち、演算語長が有限で
あるような場合に、その小さなステップゲインは同第2
項の有効桁数を減少させ、演算誤差の相対的な増加から
推定精度の確保を困難にさせる。さらに、その有効桁数
が減少して演算語長の制限を超えるまでに至ったときに
は、フィルタ係数Hj の更新は不可能となる。
ルタ係数の更新に必要な演算量はノルムの計算が不要と
なるFiltered-x LMS法やLMS法の方がその分だけ
少なく、実用化の観点からは後者の方法の採用が望まし
いことは明らかである。しかしながら、この後者の方法
はステップゲインμとして相当に小さな値の設定を必要
とし、その場合には上式(2)の第2項(すなわち係数
の更新量)は小さくなる。すなわち、演算語長が有限で
あるような場合に、その小さなステップゲインは同第2
項の有効桁数を減少させ、演算誤差の相対的な増加から
推定精度の確保を困難にさせる。さらに、その有効桁数
が減少して演算語長の制限を超えるまでに至ったときに
は、フィルタ係数Hj の更新は不可能となる。
【0014】この第2項が小さくなることによる有効桁
数の減少はまた、比較的大きなステップゲインの設定が
可能なNLMS法、Filtered-x NLMS法において
も、フィルタ係数の更新が進行して推定誤差Δj (i) が
小さくなるときに同様に起こることは、式(6)から容
易に推察される。その場合、係数更新が進んで誤差が少
なくなれば、更新量が桁落ちしてそれ以上の係数更新が
不可能になる場合も生じ、これは推定精度の向上に限界
を生じさせる結果となる。
数の減少はまた、比較的大きなステップゲインの設定が
可能なNLMS法、Filtered-x NLMS法において
も、フィルタ係数の更新が進行して推定誤差Δj (i) が
小さくなるときに同様に起こることは、式(6)から容
易に推察される。その場合、係数更新が進んで誤差が少
なくなれば、更新量が桁落ちしてそれ以上の係数更新が
不可能になる場合も生じ、これは推定精度の向上に限界
を生じさせる結果となる。
【0015】一方、学習同定法をフィルタ係数の推定に
用いたときに収束後に生成されるフィルタ係数の推定誤
差の自乗平均値PD は、周囲騒音Nj のパワーPN とス
テップゲインK、遠端話者信号Xj のパワーPX とから
なる関数 PD =KPN /〔PX (2−K)〕 ・・・(9) として与えられる。すなわち、周囲騒音が相当に大きい
環境下にあっても、ステップゲインKを小さくとれば、
所要の推定精度が確保されることを上式(9)は示して
いる。
用いたときに収束後に生成されるフィルタ係数の推定誤
差の自乗平均値PD は、周囲騒音Nj のパワーPN とス
テップゲインK、遠端話者信号Xj のパワーPX とから
なる関数 PD =KPN /〔PX (2−K)〕 ・・・(9) として与えられる。すなわち、周囲騒音が相当に大きい
環境下にあっても、ステップゲインKを小さくとれば、
所要の推定精度が確保されることを上式(9)は示して
いる。
【0016】ここで、問題となるのは、周囲騒音が大き
い場合に推定精度を確保する必要から小さなステップゲ
インを与えたとき、Filtered-x LMS法やLMS法と
同様、式(1)あるいは式(7)の第2項が小さくなっ
てその有効桁数が減少し、所要推定精度が得られなくな
ることである。さらには同第2項が演算語長の制限を超
えて小さくなればフィルタ係数が更新されなくなる、と
いう事態が想定されることである。
い場合に推定精度を確保する必要から小さなステップゲ
インを与えたとき、Filtered-x LMS法やLMS法と
同様、式(1)あるいは式(7)の第2項が小さくなっ
てその有効桁数が減少し、所要推定精度が得られなくな
ることである。さらには同第2項が演算語長の制限を超
えて小さくなればフィルタ係数が更新されなくなる、と
いう事態が想定されることである。
【0017】このような問題を解決してフィルタ係数の
更新量が小さくなる場合でも高い推定精度を確保する方
法としては、演算語長が広くとれる浮動小数点演算の採
用が最も簡単な解となる。しかしながら、浮動小数点演
算の採用は、演算語長が短く制限される固定小数点演算
に比較して、費用および処理速度の点で不利となる。す
なわち、これらの装置を実際に商品化することを考慮し
た場合、固定小数点演算を用いた信号処理プロセッサは
浮動小数点演算を用いた信号処理プロセッサよりも安価
であるため、その低価格性を無視できなくなり、よって
学習同定法を固定小数点で実行できることが必要とな
る。
更新量が小さくなる場合でも高い推定精度を確保する方
法としては、演算語長が広くとれる浮動小数点演算の採
用が最も簡単な解となる。しかしながら、浮動小数点演
算の採用は、演算語長が短く制限される固定小数点演算
に比較して、費用および処理速度の点で不利となる。す
なわち、これらの装置を実際に商品化することを考慮し
た場合、固定小数点演算を用いた信号処理プロセッサは
浮動小数点演算を用いた信号処理プロセッサよりも安価
であるため、その低価格性を無視できなくなり、よって
学習同定法を固定小数点で実行できることが必要とな
る。
【0018】したがって、本発明の目的の一つは、有限
な演算語長の下でフィルタ係数Hjの更新量(例えば式
(1) の第2項)が小さくなった場合においても同係数の
更新を有効なものとし、所要推定精度が確保される係数
更新回路を、固定小数点演算によっても可能なように構
築することにある。
な演算語長の下でフィルタ係数Hjの更新量(例えば式
(1) の第2項)が小さくなった場合においても同係数の
更新を有効なものとし、所要推定精度が確保される係数
更新回路を、固定小数点演算によっても可能なように構
築することにある。
【0019】また、式(9)は遠端話者信号Xj のパワ
ーPX が小さくなるときにおいても、フィルタ係数の推
定誤差が増加することを表している。この対策として、
例えば特開平2−288428号に開示されているよう
に、小さな振幅の遠端話者信号に対してフィルタ係数の
更新を休止する制御は推定精度を高く維持する方法の一
つとなり得る。
ーPX が小さくなるときにおいても、フィルタ係数の推
定誤差が増加することを表している。この対策として、
例えば特開平2−288428号に開示されているよう
に、小さな振幅の遠端話者信号に対してフィルタ係数の
更新を休止する制御は推定精度を高く維持する方法の一
つとなり得る。
【0020】ここで、式(9)は、上記の係数更新の休
止と継続を切りわける閾値として、所要の推定誤差PD
と周囲騒音PN に対して式(9)を遠端話者音声のパワ
ーP X で解いた PX =KPN /〔PD (2−K)〕 ・・・(10) を用いるのが合理的であることを示している。
止と継続を切りわける閾値として、所要の推定誤差PD
と周囲騒音PN に対して式(9)を遠端話者音声のパワ
ーP X で解いた PX =KPN /〔PD (2−K)〕 ・・・(10) を用いるのが合理的であることを示している。
【0021】しかしながら明らかに、この閾値は周囲騒
音が大きい環境下での使用が想定されるときに高くなる
ことを示しており、そのように閾値を高く設定するとき
には、休止が多くなるため係数更新が実行される時間は
当然ながら減少する。さらに、その係数更新実行時間が
減少すれば、フィルタ係数の収束が遅れ、その長くなっ
た収束に至るまでの間にハウリングが発生する危険が増
大する。すなわち、推定誤差を小さくしてハウリングの
発生を抑えるために該閾値の設定を高くする必要がある
けれども、その対策はまた、一方においてフィルタ係数
の収束を遅らせ、ハウリング発生の危険を増大させる別
の原因となる。この問題を解決するためには、高い推定
精度の確保と同時にフィルタ係数の更新を可能な限り継
続して実行することが必要である。
音が大きい環境下での使用が想定されるときに高くなる
ことを示しており、そのように閾値を高く設定するとき
には、休止が多くなるため係数更新が実行される時間は
当然ながら減少する。さらに、その係数更新実行時間が
減少すれば、フィルタ係数の収束が遅れ、その長くなっ
た収束に至るまでの間にハウリングが発生する危険が増
大する。すなわち、推定誤差を小さくしてハウリングの
発生を抑えるために該閾値の設定を高くする必要がある
けれども、その対策はまた、一方においてフィルタ係数
の収束を遅らせ、ハウリング発生の危険を増大させる別
の原因となる。この問題を解決するためには、高い推定
精度の確保と同時にフィルタ係数の更新を可能な限り継
続して実行することが必要である。
【0022】このような問題を解決して遠端話者音声の
パワーが減少したときにおいてもフィルタ係数の更新を
可能にできる方法として、文献1:『参照信号パワーに
基づく可変ステップサイズ確立勾配アルゴリズム、1994
年電子情報通信学会春季大会,A-246』で提案されている
方法がある。
パワーが減少したときにおいてもフィルタ係数の更新を
可能にできる方法として、文献1:『参照信号パワーに
基づく可変ステップサイズ確立勾配アルゴリズム、1994
年電子情報通信学会春季大会,A-246』で提案されている
方法がある。
【0023】すなわち、エコーキャンセラの使用環境か
ら想定される周囲騒音のパワーPNと遠端話者音声のパ
ワーPX に対して推定誤差の平均自乗値を所要の値に止
められるステップゲインの大きさは、式(9)より K=2PD PX /(PN +PD PX ) ・・・(11) と求められることから、ステップゲインKを遠端話者音
声のパワーPX の変動に合わせて上式(11)の通りに
制御するならば、推定精度を維持しつつ係数更新を常時
継続することが可能となる。しかしながら、この方法に
は以下に示す問題がある。
ら想定される周囲騒音のパワーPNと遠端話者音声のパ
ワーPX に対して推定誤差の平均自乗値を所要の値に止
められるステップゲインの大きさは、式(9)より K=2PD PX /(PN +PD PX ) ・・・(11) と求められることから、ステップゲインKを遠端話者音
声のパワーPX の変動に合わせて上式(11)の通りに
制御するならば、推定精度を維持しつつ係数更新を常時
継続することが可能となる。しかしながら、この方法に
は以下に示す問題がある。
【0024】まず第1に、上記文献1に示されたステッ
プゲインの制御範囲が10-8以下と小さく、したがって
係数更新の手順を与える式(7)の第2項が非常に小さ
くなると予想されることである。この場合、演算語長が
十分に長くとれないときには、その第2項はその語長内
に収まらず、あるいは収まっても有効となる桁数が少な
くなって十分な推定精度が得られなくなる。
プゲインの制御範囲が10-8以下と小さく、したがって
係数更新の手順を与える式(7)の第2項が非常に小さ
くなると予想されることである。この場合、演算語長が
十分に長くとれないときには、その第2項はその語長内
に収まらず、あるいは収まっても有効となる桁数が少な
くなって十分な推定精度が得られなくなる。
【0025】第2に、遠端話者音声の変動に合わせてス
テップゲインを制御することは、更新量〔例えば式
(7)の第2項〕においてノルムによる正規化の効果が
失われる結果となる。すなわち、ステップゲインを小さ
く設定する場合には、式(9)から明らかに分かるよう
に、エコーの残留部分PD PX は周囲騒音のパワーPN
に比べて小さく、また、上記の文献1で想定されている
自動車電話のように周囲騒音が大きいためステップゲイ
ンを小さく設定する必要がある場合には、上式(11)
の分母の第2項は第1項に比較して無視することができ
る。その結果、ステップゲインは、 K≒2PD PX /PN ・・・(12) と近似され、ステップゲインKとして遠端話者音声のパ
ワーPX に比例する値が設定されることになる。
テップゲインを制御することは、更新量〔例えば式
(7)の第2項〕においてノルムによる正規化の効果が
失われる結果となる。すなわち、ステップゲインを小さ
く設定する場合には、式(9)から明らかに分かるよう
に、エコーの残留部分PD PX は周囲騒音のパワーPN
に比べて小さく、また、上記の文献1で想定されている
自動車電話のように周囲騒音が大きいためステップゲイ
ンを小さく設定する必要がある場合には、上式(11)
の分母の第2項は第1項に比較して無視することができ
る。その結果、ステップゲインは、 K≒2PD PX /PN ・・・(12) と近似され、ステップゲインKとして遠端話者音声のパ
ワーPX に比例する値が設定されることになる。
【0026】当然ながら、ノルムは遠端話者音声のパワ
ーPX に比例することから、この制御は式(7)の第2
項に対してステップゲインとノルムの比を一定にとる操
作に等しくなる。すなわち、この制御はノルムによる正
規化の意味を無くし、NLMS法をLMS法に戻す結果
となる。この場合、安定性を確保するためには、ステッ
プゲインをさらに小さく選ぶことが必要となり、収束速
度は大幅に低下する。上記文献1においてステップゲイ
ンが10-8以下と非常に小さな値が設定されているの
は、この理由によると想像される。
ーPX に比例することから、この制御は式(7)の第2
項に対してステップゲインとノルムの比を一定にとる操
作に等しくなる。すなわち、この制御はノルムによる正
規化の意味を無くし、NLMS法をLMS法に戻す結果
となる。この場合、安定性を確保するためには、ステッ
プゲインをさらに小さく選ぶことが必要となり、収束速
度は大幅に低下する。上記文献1においてステップゲイ
ンが10-8以下と非常に小さな値が設定されているの
は、この理由によると想像される。
【0027】したがって、本発明の目的の他の一つは、
信号伝達系への送出信号のパワーが小さくなるときにお
いても推定精度を高く維持しつつフィルタ係数の更新が
常時実行される係数更新回路を構築することにある。
信号伝達系への送出信号のパワーが小さくなるときにお
いても推定精度を高く維持しつつフィルタ係数の更新が
常時実行される係数更新回路を構築することにある。
【0028】
【課題を解決するための手段および作用】図1は本発明
に係る原理説明図てある。上述の課題を解決するため
に、本発明に係るフィルタ係数の推定装置は、第1の形
態として、特性が未知の信号伝達系に送出した信号とそ
の応答とから信号伝達系の応答特性を推定し、その応答
特性に等価な応答を出力するフィルタを構築する装置の
フィルタ係数を推定する推定装置であって、信号伝達系
の応答とフィルタの出力との差分と、信号伝達系に送出
する信号との積を所要の項数にわたり累積加算する演算
手段と、信号伝達系に生起する付加雑音および/または
信号伝達系に送出する信号に対してフィルタの係数推定
誤差が所要値以下となるように上記累積加算の項数を決
める加算項数制御手段とを備え、演算手段の演算結果を
用いてフィルタの係数を推定することを特徴とする。
に係る原理説明図てある。上述の課題を解決するため
に、本発明に係るフィルタ係数の推定装置は、第1の形
態として、特性が未知の信号伝達系に送出した信号とそ
の応答とから信号伝達系の応答特性を推定し、その応答
特性に等価な応答を出力するフィルタを構築する装置の
フィルタ係数を推定する推定装置であって、信号伝達系
の応答とフィルタの出力との差分と、信号伝達系に送出
する信号との積を所要の項数にわたり累積加算する演算
手段と、信号伝達系に生起する付加雑音および/または
信号伝達系に送出する信号に対してフィルタの係数推定
誤差が所要値以下となるように上記累積加算の項数を決
める加算項数制御手段とを備え、演算手段の演算結果を
用いてフィルタの係数を推定することを特徴とする。
【0029】また本発明に係るフィルタ係数の推定装置
は、第2の形態として、特性が未知の信号伝達系に送出
した信号とその応答とから該信号伝達系の応答特性を推
定し、その応答特性に等価な応答を出力するフィルタを
構築する装置のフィルタ係数を推定する推定装置であっ
て、信号伝達系の応答と該フィルタの出力との差分と、
信号伝達系に送出する信号との積を所要の項数にわたり
累積加算してその算術平均をとる演算手段と、信号伝達
系に生起する付加雑音および/または信号伝達系に送出
する信号に対してフィルタの係数推定誤差が所要値以下
となるように上記累積加算の項数を決める加算項数制御
手段とを備え、演算手段の演算結果を用いてフィルタの
係数を推定することを特徴とする。
は、第2の形態として、特性が未知の信号伝達系に送出
した信号とその応答とから該信号伝達系の応答特性を推
定し、その応答特性に等価な応答を出力するフィルタを
構築する装置のフィルタ係数を推定する推定装置であっ
て、信号伝達系の応答と該フィルタの出力との差分と、
信号伝達系に送出する信号との積を所要の項数にわたり
累積加算してその算術平均をとる演算手段と、信号伝達
系に生起する付加雑音および/または信号伝達系に送出
する信号に対してフィルタの係数推定誤差が所要値以下
となるように上記累積加算の項数を決める加算項数制御
手段とを備え、演算手段の演算結果を用いてフィルタの
係数を推定することを特徴とする。
【0030】また本発明に係るフィルタ係数の推定装置
は、第3の形態として、特性が未知の信号伝達系に送出
した信号とその応答とから信号伝達系の応答特性を推定
し、その応答特性に等価な応答を出力するフィルタを構
築する装置のフィルタ係数を推定する推定装置であっ
て、信号伝達系の応答と該フィルタの出力との差分と、
信号伝達系に送出する信号との積および該信号伝達系に
送出する信号のノルムを所要の項数にわたり累積加算し
てその比をとる演算手段と、信号伝達系に生起する付加
雑音および/または該信号伝達系に送出する信号に対し
て該フィルタの係数推定誤差が所要値以下となるように
該累積加算の項数を決める加算項数制御手段とを備え、
演算手段の演算結果を用いてフィルタの係数を推定する
ことを特徴とする。
は、第3の形態として、特性が未知の信号伝達系に送出
した信号とその応答とから信号伝達系の応答特性を推定
し、その応答特性に等価な応答を出力するフィルタを構
築する装置のフィルタ係数を推定する推定装置であっ
て、信号伝達系の応答と該フィルタの出力との差分と、
信号伝達系に送出する信号との積および該信号伝達系に
送出する信号のノルムを所要の項数にわたり累積加算し
てその比をとる演算手段と、信号伝達系に生起する付加
雑音および/または該信号伝達系に送出する信号に対し
て該フィルタの係数推定誤差が所要値以下となるように
該累積加算の項数を決める加算項数制御手段とを備え、
演算手段の演算結果を用いてフィルタの係数を推定する
ことを特徴とする。
【0031】このように構成することで、演算手段で累
積加算した値のうち、フィルタ係数の推定を妨害する外
乱となる成分に対してはその影響を加算項数に比例して
抑圧し、一方、フィルタ係数の修正に必要な成分につい
ては所要の大きさにして取り出せすことができ、このと
き加算項数を付加雑音および/または信号伝達系に送出
する信号のパワー等に応じて増減することで、所要の推
定精度が常時確保できるようになる。
積加算した値のうち、フィルタ係数の推定を妨害する外
乱となる成分に対してはその影響を加算項数に比例して
抑圧し、一方、フィルタ係数の修正に必要な成分につい
ては所要の大きさにして取り出せすことができ、このと
き加算項数を付加雑音および/または信号伝達系に送出
する信号のパワー等に応じて増減することで、所要の推
定精度が常時確保できるようになる。
【0032】また本発明に係るフィルタ係数の推定装置
は、上記第2のフィルタ係数の推定装置において、上述
の演算手段での該積の累積加算に際してその加算値を監
視し、その加算値が予め定めた値に達したときにその積
の加算値をもって該フィルタの係数を更新することを特
徴とする。
は、上記第2のフィルタ係数の推定装置において、上述
の演算手段での該積の累積加算に際してその加算値を監
視し、その加算値が予め定めた値に達したときにその積
の加算値をもって該フィルタの係数を更新することを特
徴とする。
【0033】このように構成することで、加算値が所要
の演算語長制限を超えてオーバフローしてしまうことを
防止でき、また、推定誤差が少なくなった時に加算項数
を増加させて推定精度をさらに高めることができる。
の演算語長制限を超えてオーバフローしてしまうことを
防止でき、また、推定誤差が少なくなった時に加算項数
を増加させて推定精度をさらに高めることができる。
【0034】また本発明に係るフィルタ係数の推定装置
は、上記第3のフルタ係数の推定装置において、演算手
段で実行される累積加算に対してそのノルムの加算値を
監視し、ノルムの加算値が予め定めた値に達したときに
該演算手段の演算値をもってフィルタの係数を更新する
ことを特徴とする。
は、上記第3のフルタ係数の推定装置において、演算手
段で実行される累積加算に対してそのノルムの加算値を
監視し、ノルムの加算値が予め定めた値に達したときに
該演算手段の演算値をもってフィルタの係数を更新する
ことを特徴とする。
【0035】このように構成することで、例えば信号伝
達系に送出する信号が減少したときでも加算項数を増や
すことにより所要の推定精度が維持できるようになり、
同信号が小さい区間においても係数更新を休止する必要
がなくなる。
達系に送出する信号が減少したときでも加算項数を増や
すことにより所要の推定精度が維持できるようになり、
同信号が小さい区間においても係数更新を休止する必要
がなくなる。
【0036】また本発明に係るフィルタ係数の推定装置
は、上述の各推定装置において、加算項数制御手段はフ
ィルタ係数の収束を監視して該フィルタ係数の収束の程
度に合わせて該加算項数を制御することを特徴とする。
は、上述の各推定装置において、加算項数制御手段はフ
ィルタ係数の収束を監視して該フィルタ係数の収束の程
度に合わせて該加算項数を制御することを特徴とする。
【0037】このように構成することで、推定誤差が少
なくなった時に加算項数を増加させて推定精度をさらに
高めることができる。
なくなった時に加算項数を増加させて推定精度をさらに
高めることができる。
【0038】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。図2には本発明の一実施例としてのフィルタ係数
の推定装置が示される。この実施例装置は、前述の図6
に示したハンズフリー通信装置の音響エコーキャンセラ
300に本発明を適用した場合のものであり、この音響
エコーキャンセラ300の係数更新回路330として本
発明を実現している。したがって、実施例装置には入力
信号として回線側からの遠端話者信号Xj と減算器31
0からの残留エコーEj が入力され、出力信号として係
数更新した係数Hn+1 がFIRフィルタ320に出力さ
れる。なお、音声検出回路340からの信号については
本発明に直接関係しないので、ここでは省略してある。
する。図2には本発明の一実施例としてのフィルタ係数
の推定装置が示される。この実施例装置は、前述の図6
に示したハンズフリー通信装置の音響エコーキャンセラ
300に本発明を適用した場合のものであり、この音響
エコーキャンセラ300の係数更新回路330として本
発明を実現している。したがって、実施例装置には入力
信号として回線側からの遠端話者信号Xj と減算器31
0からの残留エコーEj が入力され、出力信号として係
数更新した係数Hn+1 がFIRフィルタ320に出力さ
れる。なお、音声検出回路340からの信号については
本発明に直接関係しないので、ここでは省略してある。
【0039】図2において、係数更新回路は、基本的な
回路構成として、(7)、(8)の第2項を構成するE
j Xj (m) を計算する積回路1、その積をJ個累積加算
して算術平均を求めたりノルムとの比を求めたりする演
算回路2、演算回路2の加算項数を制御する加算項数制
御回路3、演算回路2の演算値をもとにフィルタ係数を
更新する係数更新回路4を含み構成される。
回路構成として、(7)、(8)の第2項を構成するE
j Xj (m) を計算する積回路1、その積をJ個累積加算
して算術平均を求めたりノルムとの比を求めたりする演
算回路2、演算回路2の加算項数を制御する加算項数制
御回路3、演算回路2の演算値をもとにフィルタ係数を
更新する係数更新回路4を含み構成される。
【0040】以下、この基本回路構成よる各種制御方法
の実施例をその原理とともに詳細に説明する。
の実施例をその原理とともに詳細に説明する。
【0041】(1)周囲騒音/遠端話者信号のパワーに
合わせて加算項数を設定する方法の実施例 さて、式(6)から明らかなように、フィルタ係数の修
正に利用される差分E j には、その修正に必要な情報を
含む差分Δj (i) の他に周囲騒音が混在している。これ
をさらに詳しく見るため式(6) のEj から第m番目タッ
プ成分を分離すると、式(6)は Ej =Δj (m) Xj (m) +Σm Δj (i) Xj (i) +Nj ・・・(13) Σm :i=mを除いたi=1〜Iの加算、以下同じ と分解され、フィルタ係数Hj (m) の更新には、このE
j とXj (m) の積 Ej Xj (m) =Δj (m) Xj 2 (m) +Xj (m) Σm Δj (i) Xj (i) +Nj Xj (m) ・・・(14) の第1項だけが利用されていることが分かり、一方にお
いて残る第2項以下の成分はその推定を妨害する外乱と
見ることができる。このことは、その第1項の差分Δj
(m) が Δj (m) =hj (m) −Hj (m) ・・・(15) となり、フィルタ係数Hj (m) とエコー経路(該信号伝
達系)のインパルス応答h(m) との差を与えていること
からも明らかである。
合わせて加算項数を設定する方法の実施例 さて、式(6)から明らかなように、フィルタ係数の修
正に利用される差分E j には、その修正に必要な情報を
含む差分Δj (i) の他に周囲騒音が混在している。これ
をさらに詳しく見るため式(6) のEj から第m番目タッ
プ成分を分離すると、式(6)は Ej =Δj (m) Xj (m) +Σm Δj (i) Xj (i) +Nj ・・・(13) Σm :i=mを除いたi=1〜Iの加算、以下同じ と分解され、フィルタ係数Hj (m) の更新には、このE
j とXj (m) の積 Ej Xj (m) =Δj (m) Xj 2 (m) +Xj (m) Σm Δj (i) Xj (i) +Nj Xj (m) ・・・(14) の第1項だけが利用されていることが分かり、一方にお
いて残る第2項以下の成分はその推定を妨害する外乱と
見ることができる。このことは、その第1項の差分Δj
(m) が Δj (m) =hj (m) −Hj (m) ・・・(15) となり、フィルタ係数Hj (m) とエコー経路(該信号伝
達系)のインパルス応答h(m) との差を与えていること
からも明らかである。
【0042】そこで、フィルタ係数の更新を時間軸の方
向にサンプル値がJ個の区間(ブロック)おきに実行す
ることとし、その区間〔j=nJ+1〜(n+1)J〕
の間に積Ej Xj (m) の算術平均 An (m) =Σ* Ej Xj (m) /J ・・・(16) Σ* :i=nJ+1〜(n+1)Jの加算(すわなちJ
個ごとの加算) n:区間(ブロック)の番号 を計算し、 Hn+1 (m) =Hn (m) +KAn (m) ・・・(17) として係数を更新することを考える。
向にサンプル値がJ個の区間(ブロック)おきに実行す
ることとし、その区間〔j=nJ+1〜(n+1)J〕
の間に積Ej Xj (m) の算術平均 An (m) =Σ* Ej Xj (m) /J ・・・(16) Σ* :i=nJ+1〜(n+1)Jの加算(すわなちJ
個ごとの加算) n:区間(ブロック)の番号 を計算し、 Hn+1 (m) =Hn (m) +KAn (m) ・・・(17) として係数を更新することを考える。
【0043】この区間〔j=nJ+1〜(n+1)J〕
においては、フィルタ係数は更新されないので一定値H
j (i) =Hn (i) をとること、同時に、係数の推定が完
了するまではエコー経路のインパルス応答は変動しない
〔hj (i) =h(i) 〕と仮定できることから、推定誤差
はこの区間において Δn (i) =h(i) −Hn (i) ・・・(18) のごとく定数とみなすことができる。すなわち、式(1
6)を An (m) =Δn (m) Σ* Xj 2 (m) /J +Σ* Xj (m) 〔Σm Δn (i) Xj (i) +Nj 〕/J ・・・(19) Σ* :i=nJ+1〜(n+1)Jの加算、以下同じ と書き改められる。
においては、フィルタ係数は更新されないので一定値H
j (i) =Hn (i) をとること、同時に、係数の推定が完
了するまではエコー経路のインパルス応答は変動しない
〔hj (i) =h(i) 〕と仮定できることから、推定誤差
はこの区間において Δn (i) =h(i) −Hn (i) ・・・(18) のごとく定数とみなすことができる。すなわち、式(1
6)を An (m) =Δn (m) Σ* Xj 2 (m) /J +Σ* Xj (m) 〔Σm Δn (i) Xj (i) +Nj 〕/J ・・・(19) Σ* :i=nJ+1〜(n+1)Jの加算、以下同じ と書き改められる。
【0044】ここで、この式(19)の第1項はΔ
n (m) と遠端話者信号の平均パワーに近似され、第2項
以下の周囲騒音Nj を含む妨害成分は算術平均によって
1/Jに減少させられる。すなわち、周囲騒音に対し
て、加算数Jを増減することによって推定誤差を所要値
に留めることができる。
n (m) と遠端話者信号の平均パワーに近似され、第2項
以下の周囲騒音Nj を含む妨害成分は算術平均によって
1/Jに減少させられる。すなわち、周囲騒音に対し
て、加算数Jを増減することによって推定誤差を所要値
に留めることができる。
【0045】また、係数更新量に関する情報を含むこの
第1項が遠端話者信号のパワーに比例することは、推定
誤差を所要の大きさに維持するのに遠端話者信号パワー
の増加に対して加算項数Jを減らせることを意味する。
すなわち遠端話者信号パワーの増減に合わせて加算数J
を調整すれば、所要推定精度が常時確保されるシステム
が実現される。さらに、式(14)から明らかなよう
に、Ej Xj (m) の加算値は遠端話者信号パワーに比例
して増加するけれども、所要の推定精度の確保の範囲で
加算項数Jはその分だけ少なくすることができるので、
その加算値は一定の範囲内におさめることができる。こ
の結果、固定小数点演算の採用が可能となる。
第1項が遠端話者信号のパワーに比例することは、推定
誤差を所要の大きさに維持するのに遠端話者信号パワー
の増加に対して加算項数Jを減らせることを意味する。
すなわち遠端話者信号パワーの増減に合わせて加算数J
を調整すれば、所要推定精度が常時確保されるシステム
が実現される。さらに、式(14)から明らかなよう
に、Ej Xj (m) の加算値は遠端話者信号パワーに比例
して増加するけれども、所要の推定精度の確保の範囲で
加算項数Jはその分だけ少なくすることができるので、
その加算値は一定の範囲内におさめることができる。こ
の結果、固定小数点演算の採用が可能となる。
【0046】以上の動作原理に基づいて、実施例装置で
は、式(14)に示すEj とXj (m) の積を積回路1で
求め、さらに式(16)に示す累積加算の算術平均を累
積加算回路2で求め、その累積加算の際の加算項数を周
囲雑音および/または遠端話者信号のパワーに応じて加
算項数制御回路3で決定し、累積加算回路2 で求めた算
術平均に基づいて式(17)に従い係数更新回路4でフ
ィルタ係数Hn+1 を計算して出力している。
は、式(14)に示すEj とXj (m) の積を積回路1で
求め、さらに式(16)に示す累積加算の算術平均を累
積加算回路2で求め、その累積加算の際の加算項数を周
囲雑音および/または遠端話者信号のパワーに応じて加
算項数制御回路3で決定し、累積加算回路2 で求めた算
術平均に基づいて式(17)に従い係数更新回路4でフ
ィルタ係数Hn+1 を計算して出力している。
【0047】(2)加算値に上限を定めて加算数を制限
する方法の実施例 ここで、推定誤差は加算項数Jに比例して小さくなるこ
とが式(19)から明らかである。したがって、例えば
能動騒音制御装置のように収束速度が重要でない応用に
おいては、その加算項数はできるだけ多くとるほうが望
ましい結果をもたらす。しかし、一方において加算項数
を過度に多くとれば、加算値はときに演算語長制限を超
えてオーバーフローを引き起こすという問題がある。
する方法の実施例 ここで、推定誤差は加算項数Jに比例して小さくなるこ
とが式(19)から明らかである。したがって、例えば
能動騒音制御装置のように収束速度が重要でない応用に
おいては、その加算項数はできるだけ多くとるほうが望
ましい結果をもたらす。しかし、一方において加算項数
を過度に多くとれば、加算値はときに演算語長制限を超
えてオーバーフローを引き起こすという問題がある。
【0048】この問題に対しては、加算値に対してある
限度となる値を定め、加算値がその限度値に達したとき
には、その加算を中止してそのときの加算値をもってフ
ィルタ係数を更新する方法が有効となる。この方法は、
フィルタ係数の収束の程度に合わせて加算項数を自動的
に増加させる制御、すなわち残留エコーEj が小さくな
って上記更新量の有効桁数が減少したときに加算項数を
増加させる制御より、推定誤差を抑えて収束後に得られ
る推定精度を高める効果をもたらす。
限度となる値を定め、加算値がその限度値に達したとき
には、その加算を中止してそのときの加算値をもってフ
ィルタ係数を更新する方法が有効となる。この方法は、
フィルタ係数の収束の程度に合わせて加算項数を自動的
に増加させる制御、すなわち残留エコーEj が小さくな
って上記更新量の有効桁数が減少したときに加算項数を
増加させる制御より、推定誤差を抑えて収束後に得られ
る推定精度を高める効果をもたらす。
【0049】以上の動作原理に基づいて、実施例装置で
は、加算項数制御回路3は演算回路2での加算値を監視
して所要の上限値と比較し、加算値が当該上限値の前後
に達したら、演算回路2での加算を中止(すなわち加算
項数を制限)させ、そのときの演算回路2の加算値をも
って係数更新回路4で係数更新を行う。
は、加算項数制御回路3は演算回路2での加算値を監視
して所要の上限値と比較し、加算値が当該上限値の前後
に達したら、演算回路2での加算を中止(すなわち加算
項数を制限)させ、そのときの演算回路2の加算値をも
って係数更新回路4で係数更新を行う。
【0050】(3)ノルムによる正規化を行う場合の加
算項数の制御方法の実施例 推定誤差は周囲騒音のパワーの他に遠端話者信号のパワ
ーによっても変化することは、フィルタ係数の推定がエ
コーと疑似エコーの差分を更新情報として用いられてい
ること、さらに、その差分は遠端話者信号のパワーに比
例する大きさとなることからも明らかである。
算項数の制御方法の実施例 推定誤差は周囲騒音のパワーの他に遠端話者信号のパワ
ーによっても変化することは、フィルタ係数の推定がエ
コーと疑似エコーの差分を更新情報として用いられてい
ること、さらに、その差分は遠端話者信号のパワーに比
例する大きさとなることからも明らかである。
【0051】すなわち、推定誤差を所要値に留めておく
ためには、遠端話者信号のパワーに比例した加算項数の
設定が必要となる。これにノルムによる正規化を加え
る。例えば式(7)に示す学習同定法に本方法を拡張し
て適用する場合について考えると、その係数更新手順
は、 Bn (m) =Σ* Ej Xj (m) /Σ* ΣXj 2 (i) ・・・(20) Σ* :i=nJ+1〜(n+1)Jの加算 とおくことにより、 Hn+1 (m) =Hn (m) +KBn (m) ・・・(21) と表すことができる。
ためには、遠端話者信号のパワーに比例した加算項数の
設定が必要となる。これにノルムによる正規化を加え
る。例えば式(7)に示す学習同定法に本方法を拡張し
て適用する場合について考えると、その係数更新手順
は、 Bn (m) =Σ* Ej Xj (m) /Σ* ΣXj 2 (i) ・・・(20) Σ* :i=nJ+1〜(n+1)Jの加算 とおくことにより、 Hn+1 (m) =Hn (m) +KBn (m) ・・・(21) と表すことができる。
【0052】ここで、上式(21)の第2項は式(1
9)を参照して、 Bn (m) =Δn (m) +Σ* Xj (m) 〔Σm Δn (i) Xj (i) +Nj 〕/Σ* ΣXj 2 (i) ・・・(22) Σ* :i=nJ+1〜(n+1)Jの加算 であり、周囲騒音を含むこのBn (m) の第2項はJ=1
とする通常の方式に比較して1/Jに抑えられる。すな
わち、推定誤差は PD =KPn /〔PX J(2−K)〕 ・・・(23) に減少すると与えられ、これをJについて解けば所要推
定誤差PD の確保に必要な加算項数Jは、 J=KPN /〔PX PD (2−K)〕 ・・・(24) と求められる。このことから、遠端話者信号のパワーP
X 、周囲騒音のパワーP N に対して加算項数Jを式(2
4)に従って設定すれば、推定誤差が所要の大きさに維
持される適応フィルタ係数の更新が可能となる。
9)を参照して、 Bn (m) =Δn (m) +Σ* Xj (m) 〔Σm Δn (i) Xj (i) +Nj 〕/Σ* ΣXj 2 (i) ・・・(22) Σ* :i=nJ+1〜(n+1)Jの加算 であり、周囲騒音を含むこのBn (m) の第2項はJ=1
とする通常の方式に比較して1/Jに抑えられる。すな
わち、推定誤差は PD =KPn /〔PX J(2−K)〕 ・・・(23) に減少すると与えられ、これをJについて解けば所要推
定誤差PD の確保に必要な加算項数Jは、 J=KPN /〔PX PD (2−K)〕 ・・・(24) と求められる。このことから、遠端話者信号のパワーP
X 、周囲騒音のパワーP N に対して加算項数Jを式(2
4)に従って設定すれば、推定誤差が所要の大きさに維
持される適応フィルタ係数の更新が可能となる。
【0053】以上の動作原理に基づき、本実施例装置で
は、演算回路2において前述の実施例(1)の算術平均
に換えて、式(20)に示すEj Xj (m) の積とルノル
ΣX j 2 (i) の累積加算値の比を求め、その結果に基づ
いて式(21)に従い係数更新回路4で係数更新を行っ
ている。
は、演算回路2において前述の実施例(1)の算術平均
に換えて、式(20)に示すEj Xj (m) の積とルノル
ΣX j 2 (i) の累積加算値の比を求め、その結果に基づ
いて式(21)に従い係数更新回路4で係数更新を行っ
ている。
【0054】(4)ノルムの加算値が一定値を超えたと
きに係数更新を実行する方法の実施例 次に、式(22)はこの加算によって遠端話者信号のパ
ワーがJ倍に増加したことに等しいことを表している。
見方を変えれば、遠端話者信号のパワーが1/Jに減少
したときでも加算項数をJに増やせば、所要の推定精度
が維持されることを意味している。一方、遠端話者信号
のパワーはノルムに比例することから、式(20)の分
母の加算値が推定誤差を所要値に抑えるのに要する値に
達したときに係数更新を実行するように構成すれば、推
定精度を維持しつつ係数更新が常時可能となる。この結
果、遠端話者信号がパワー変動を引き起こす場合に、通
常ならば係数更新が休止されるパワーの小さい区間にお
いても係数更新が可能となり、フィルタ係数を更新して
いる時間の増加からエコー経路変動に対する追随が高速
化されるという利点が生じる。
きに係数更新を実行する方法の実施例 次に、式(22)はこの加算によって遠端話者信号のパ
ワーがJ倍に増加したことに等しいことを表している。
見方を変えれば、遠端話者信号のパワーが1/Jに減少
したときでも加算項数をJに増やせば、所要の推定精度
が維持されることを意味している。一方、遠端話者信号
のパワーはノルムに比例することから、式(20)の分
母の加算値が推定誤差を所要値に抑えるのに要する値に
達したときに係数更新を実行するように構成すれば、推
定精度を維持しつつ係数更新が常時可能となる。この結
果、遠端話者信号がパワー変動を引き起こす場合に、通
常ならば係数更新が休止されるパワーの小さい区間にお
いても係数更新が可能となり、フィルタ係数を更新して
いる時間の増加からエコー経路変動に対する追随が高速
化されるという利点が生じる。
【0055】以上の動作原理に基づいて、実施例装置で
は、加算項数制御回路3は演算回路2でのノルムの加算
値を監視して所要の値と比較し、加算値が当該所要値の
前後に達したら、演算回路2での加算を中止(すなわち
加算項数を制限)させ、そのときの演算回路2の演算値
をもって係数更新回路4で係数更新を行う。
は、加算項数制御回路3は演算回路2でのノルムの加算
値を監視して所要の値と比較し、加算値が当該所要値の
前後に達したら、演算回路2での加算を中止(すなわち
加算項数を制限)させ、そのときの演算回路2の演算値
をもって係数更新回路4で係数更新を行う。
【0056】ここで、本発明の実施にあたっては、周囲
騒音のパワーの算定が必要である。もちろん、周囲騒音
のパワーを使用環境から想定して上記制御を実施するこ
とも可能であるが、ここではその算定手段の実施例につ
いて説明する。
騒音のパワーの算定が必要である。もちろん、周囲騒音
のパワーを使用環境から想定して上記制御を実施するこ
とも可能であるが、ここではその算定手段の実施例につ
いて説明する。
【0057】(5)シングルトーク(近端話者が発声を
休止している状態)のときに得られる残留エコーのパワ
ーから周囲騒音のパワーを算定する実施例 まず、残留エコーのパワーは、(6)式から、 PE =PD PX +PN ・・・(24) と与えられる。これに式(22)の結果を代入してPN
について解けば、周囲騒音のパワーは残留エコーのパワ
ーから算定できることは明らかである。しかしながら、 PE ≒PN ・・・(25) とおいても、周囲騒音のパワーの算定値は、ステップゲ
インK=1、J=1のときの2倍程度しか変わらないの
で、簡易的には残留エコーのパワーを周囲騒音のパワー
とおくことも可能である。すなわち、このように算出し
た周囲騒音のパワーと遠端話者信号のパワーから推定誤
差を所要値に抑えるために必要な加算項数あるいは係数
更新の実行を判定する加算値を決定すればよい。
休止している状態)のときに得られる残留エコーのパワ
ーから周囲騒音のパワーを算定する実施例 まず、残留エコーのパワーは、(6)式から、 PE =PD PX +PN ・・・(24) と与えられる。これに式(22)の結果を代入してPN
について解けば、周囲騒音のパワーは残留エコーのパワ
ーから算定できることは明らかである。しかしながら、 PE ≒PN ・・・(25) とおいても、周囲騒音のパワーの算定値は、ステップゲ
インK=1、J=1のときの2倍程度しか変わらないの
で、簡易的には残留エコーのパワーを周囲騒音のパワー
とおくことも可能である。すなわち、このように算出し
た周囲騒音のパワーと遠端話者信号のパワーから推定誤
差を所要値に抑えるために必要な加算項数あるいは係数
更新の実行を判定する加算値を決定すればよい。
【0058】次に、その残留エコーから周囲騒音のパワ
ーを算定する回路例を示す。
ーを算定する回路例を示す。
【0059】(6)立上りが緩やかで、立下りが早いフ
ィルタに残留エコーを印加してその出力を周囲騒音のパ
ワーの算定値とする実施例 これは図3のように構成される。ここで、31はフィル
タ出力PE と入力Ej 2 を比較する比較器、32は比較
器31の比較結果に応じて大きな定数αまたは小さな定
数βを選択する選択器である。乗算器33、34、加算
器35、36、単位遅延シフトレジスタ37で構成され
る回路は、選択器32から供給される定数αまたはβに
応じて、入力されたEj 2 の立上り、立下り特性を制御
するフィルタである。
ィルタに残留エコーを印加してその出力を周囲騒音のパ
ワーの算定値とする実施例 これは図3のように構成される。ここで、31はフィル
タ出力PE と入力Ej 2 を比較する比較器、32は比較
器31の比較結果に応じて大きな定数αまたは小さな定
数βを選択する選択器である。乗算器33、34、加算
器35、36、単位遅延シフトレジスタ37で構成され
る回路は、選択器32から供給される定数αまたはβに
応じて、入力されたEj 2 の立上り、立下り特性を制御
するフィルタである。
【0060】さて、その動作はまず、近端話者がその発
声を停止してシングルトークの区間が出現すると、ダブ
ルトークのために増加していたフィルタ出力PE はその
入力Ej 2 と比較して大きくなるので、それを比較器3
1で検出し、そのときに選択器32は小さな定数βを選
ぶ。この定数βを選んだときにはフィルタの時定数は短
くなるため、フィルタ出力PE はシングルトーク区間に
得られる残留エコーのパワーに対応する大きさまで急減
することになる。
声を停止してシングルトークの区間が出現すると、ダブ
ルトークのために増加していたフィルタ出力PE はその
入力Ej 2 と比較して大きくなるので、それを比較器3
1で検出し、そのときに選択器32は小さな定数βを選
ぶ。この定数βを選んだときにはフィルタの時定数は短
くなるため、フィルタ出力PE はシングルトーク区間に
得られる残留エコーのパワーに対応する大きさまで急減
することになる。
【0061】次にダブルトークとなると、Ej 2 はフィ
ルタ出力PE により大きくなるために、比較器31でこ
れを検出して、選択器32は大きな定数αを選び、それ
によりこのフィルタの時定数は長くなる。すなわち、フ
ィルタ出力はゆっくりとしか上昇せず、したがって、同
低域フィルタの出力はシングルトーク区間の残留エコー
のパワーにほぼ対応する大きさを長時間維持することに
なる。すなわち、図3に与えるフィルタによってシング
ルトーク時の残留エコーのパワーが算定されることにな
る。
ルタ出力PE により大きくなるために、比較器31でこ
れを検出して、選択器32は大きな定数αを選び、それ
によりこのフィルタの時定数は長くなる。すなわち、フ
ィルタ出力はゆっくりとしか上昇せず、したがって、同
低域フィルタの出力はシングルトーク区間の残留エコー
のパワーにほぼ対応する大きさを長時間維持することに
なる。すなわち、図3に与えるフィルタによってシング
ルトーク時の残留エコーのパワーが算定されることにな
る。
【0062】(7)係数器による周囲騒音パワーの算出
する実施例 図5は立上りが緩やかで、立下りが早いフィルタ効果が
期待できるもう一つの例で、比較器41、計数器42、
43、切換え器44、加算器45、単位遅延シフトレジ
スタ46を含み構成される。その動作は次のように説明
される。
する実施例 図5は立上りが緩やかで、立下りが早いフィルタ効果が
期待できるもう一つの例で、比較器41、計数器42、
43、切換え器44、加算器45、単位遅延シフトレジ
スタ46を含み構成される。その動作は次のように説明
される。
【0063】まず、比較器41は入力端子から入力した
Ej 2 (ここではAで表す)と単位遅延シフトレジスタ
46の出力(ここではBで表す)とを比較し、前者A>
後者BとなるときにはA計数器42に対して計数の開始
を指示し、反対に、前者A≦後者VとなるときにはB計
数器43に計数の開始を指示する。この場合、計数器4
2、43はその計数値が予め定めた数に達するまでは
「0」を出力し、達したときには「1」を出力し、次の
時刻に計数値を「0」に戻す。切換え器はC=1、D=
0すなわちA計数器42が「1」を出力したときには定
数γを、C=0、D=1すなわちB計数器43が「1」
を出力したときには定数−δを、C=0、D=0のとき
には「0」を選択する。このとき、定数δに比較して定
数γを大きく選んでおけば目的の特性が得られる。
Ej 2 (ここではAで表す)と単位遅延シフトレジスタ
46の出力(ここではBで表す)とを比較し、前者A>
後者BとなるときにはA計数器42に対して計数の開始
を指示し、反対に、前者A≦後者VとなるときにはB計
数器43に計数の開始を指示する。この場合、計数器4
2、43はその計数値が予め定めた数に達するまでは
「0」を出力し、達したときには「1」を出力し、次の
時刻に計数値を「0」に戻す。切換え器はC=1、D=
0すなわちA計数器42が「1」を出力したときには定
数γを、C=0、D=1すなわちB計数器43が「1」
を出力したときには定数−δを、C=0、D=0のとき
には「0」を選択する。このとき、定数δに比較して定
数γを大きく選んでおけば目的の特性が得られる。
【0064】(8)計数値を違えることによる周囲騒音
パワーの算出方法の実施例 あるいは、この図4の実施例においてA計数器42が
「1」を出力するまでに要する計数値をB計数器43の
それよりも大きく設定しておけば、加算器45と単位遅
延シフトレジスタ46で構成される巡回回路の積分出力
に対して立上りが遅く、立下りの早い特性が実現され
る。
パワーの算出方法の実施例 あるいは、この図4の実施例においてA計数器42が
「1」を出力するまでに要する計数値をB計数器43の
それよりも大きく設定しておけば、加算器45と単位遅
延シフトレジスタ46で構成される巡回回路の積分出力
に対して立上りが遅く、立下りの早い特性が実現され
る。
【0065】以上に述べた実施例は本発明をハンズフリ
ー型通信装置の音響エコーキャンセラの係数更新回路と
して実現した場合のものであったが、もちろん本発明は
これに限られるものではなく、他の種々の形態のエコー
キャンセラ、例えば会議電話装置などのエコーキャンセ
ラの係数更新回路としても実現できるし、前述の従来技
術で述べた能動騒音制御装置のフィルタ係数更新回路と
しても実現できる。この場合、図2の実施例における積
回路2は、図5における推定散乱フィルタ230からの
Yj と誤差収集マイクロホン204からの誤差信号Ej
を入力として、(1)、(2)の第2項を構成するEj
Yj (m) を計算するように構成する。
ー型通信装置の音響エコーキャンセラの係数更新回路と
して実現した場合のものであったが、もちろん本発明は
これに限られるものではなく、他の種々の形態のエコー
キャンセラ、例えば会議電話装置などのエコーキャンセ
ラの係数更新回路としても実現できるし、前述の従来技
術で述べた能動騒音制御装置のフィルタ係数更新回路と
しても実現できる。この場合、図2の実施例における積
回路2は、図5における推定散乱フィルタ230からの
Yj と誤差収集マイクロホン204からの誤差信号Ej
を入力として、(1)、(2)の第2項を構成するEj
Yj (m) を計算するように構成する。
【0066】
【発明の効果】以上、本発明によれば、演算語長が短い
回路によっても高い推定精度が得られるフィルタ係数の
推定装置が実現される。
回路によっても高い推定精度が得られるフィルタ係数の
推定装置が実現される。
【図1】本発明に係る原理説明図である。
【図2】本発明の一実施例としてのフィルタ係数の推定
装置を示す図である。
装置を示す図である。
【図3】シングルトーク時の残留エコーのパワーから周
囲騒音のパワーを算定する回路の例である。
囲騒音のパワーを算定する回路の例である。
【図4】シングルトーク時の残留エコーのパワーから周
囲騒音のパワーを算定する回路の他の例である。
囲騒音のパワーを算定する回路の他の例である。
【図5】能動騒音制御装置の従来例である。
【図6】ハンズフリー通話装置の従来例である。
1 積回路 2 累積加算の演算回路 3 加算項数制御回路 4 フィルタ係数の係数更新回路 31、41 比較器 32 選択器 33、34 乗算器 35、36、45 加算器 37、46 単位遅延シフトレジスタ 44 切換え器 202 騒音収集マイクロホン 203、301 スピーカ 204 誤差収集マイクロホン 210 帰還制御フィルタ 220 騒音制御フィルタ 230 推定散乱フィルタ 240 係数更新回路 302 マイクロホン 300 音響エコーキャンセラ 310 減算器 320 FIRフィルタ 330 係数更新回路 340 音声検出回路
Claims (8)
- 【請求項1】特性が未知の信号伝達系に送出した信号と
その応答とから該信号伝達系の応答特性を推定し、その
応答特性に等価な応答を出力するフィルタを構築する装
置のフィルタ係数を推定する推定装置であって、 該信号伝達系の応答と該フィルタの出力との差分と、該
信号伝達系に送出する信号との積を所要の項数にわたり
累積加算する演算手段と、 該信号伝達系に生起する付加雑音および/または該信号
伝達系に送出する信号に対して該フィルタの係数推定誤
差が所要値以下となるように該累積加算の項数を決める
加算項数制御手段とを備え、 該演算手段の演算結果を用いてフィルタの係数を推定す
ることを特徴とするフィルタ係数の推定装置。 - 【請求項2】特性が未知の信号伝達系に送出した信号と
その応答とから該信号伝達系の応答特性を推定し、その
応答特性に等価な応答を出力するフィルタを構築する装
置のフィルタ係数を推定する推定装置であって、 該信号伝達系の応答と該フィルタの出力との差分と、該
信号伝達系に送出する信号との積を所要の項数にわたり
累積加算してその算術平均をとる演算手段と、 該信号伝達系に生起する付加雑音および/または該信号
伝達系に送出する信号に対して該フィルタの係数推定誤
差が所要値以下となるように該累積加算の項数を決める
加算項数制御手段とを備え、 該演算手段の演算結果を用いてフィルタの係数を推定す
ることを特徴とするフィルタ係数の推定装置。 - 【請求項3】該演算手段での該積の累積加算に際してそ
の加算値を監視し、その加算値が予め定めた値に達した
ときにその積の加算値をもって該フィルタの係数を更新
することを特徴とする請求項2記載のフィルタ係数の推
定装置。 - 【請求項4】特性が未知の信号伝達系に送出した信号と
その応答とから該信号伝達系の応答特性を推定し、その
応答特性に等価な応答を出力するフィルタを構築する装
置のフィルタ係数を推定する推定装置であって、 該信号伝達系の応答と該フィルタの出力との差分と、該
信号伝達系に送出する信号との積および該信号伝達系に
送出する信号のノルムを所要の項数にわたり累積加算し
てその比をとる演算手段と、 該信号伝達系に生起する付加雑音および/または該信号
伝達系に送出する信号に対して該フィルタの係数推定誤
差が所要値以下となるように該累積加算の項数を決める
加算項数制御手段とを備え、 該演算手段の演算結果を用いてフィルタの係数を推定す
ることを特徴とするフィルタ係数の推定装置。 - 【請求項5】該演算手段で実行される累積加算に対して
そのノルムの加算値を監視し、該ノルムの加算値が予め
定めた値に達したときに該演算手段の演算値をもって該
フィルタの係数を更新することを特徴とする請求項4記
載のフィルタ係数の推定装置。 - 【請求項6】該加算項数制御手段はフィルタ係数の収束
を監視して該フィルタ係数の収束の程度に合わせて該加
算項数を制御することを特徴とする請求項1〜5のいず
れかに記載のフィルタ係数の推定装置。 - 【請求項7】上記加算項数あるいは係数更新を実行に移
す判定に用いる加算値を該信号伝達系に生起する付加雑
音の観測されたパワーから決定することを特徴とする請
求項1〜6のいずれかに記載のフィルタ係数の推定装
置。 - 【請求項8】 上記請求項7に必要とされる周囲騒音の
パワーを算定する回路は、その回路の出力が現入力を上
回るときには該回路の時定数を短く設定し、下回るとき
には長い時定数を設定して周囲騒音のパワーを算定する
ことを特徴とするフィルタ係数の推定装置。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP6203933A JPH0870268A (ja) | 1994-08-29 | 1994-08-29 | フィルタ係数の推定装置 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP6203933A JPH0870268A (ja) | 1994-08-29 | 1994-08-29 | フィルタ係数の推定装置 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH0870268A true JPH0870268A (ja) | 1996-03-12 |
Family
ID=16482099
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP6203933A Pending JPH0870268A (ja) | 1994-08-29 | 1994-08-29 | フィルタ係数の推定装置 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH0870268A (ja) |
Cited By (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2008182473A (ja) * | 2007-01-24 | 2008-08-07 | Oki Electric Ind Co Ltd | エコーキャンセラ及びエコーキャンセル方法 |
-
1994
- 1994-08-29 JP JP6203933A patent/JPH0870268A/ja active Pending
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2008182473A (ja) * | 2007-01-24 | 2008-08-07 | Oki Electric Ind Co Ltd | エコーキャンセラ及びエコーキャンセル方法 |
| US8073133B2 (en) | 2007-01-24 | 2011-12-06 | Oki Electric Industry Co., Ltd. | Echo canceler and echo canceling method |
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20020716 |